ふるさと銀河線沿線応援・地方鉄道応援サイト 七つ星の里
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おはようございます。 JRの場合、主に特急列車に「指定席」という座席があります。 例えば駅の窓口で特急列車の指定席を購入すると、券面に表示された号車、番号の席に着席できるという認識になると思います。一方、窓口で通路側の席がいい、窓側がいいという希望を伝えると、可能な範囲で対応をしてくれます。近年は、インターネットや指定席券売機において、希望の号車、座席をシート表から選べるようになっています。 一方、「自由席」の設定がある特急もあります。これは着席の保障はないものの、空いていれば乗車したその場で、好みの座席に座ることができます。一方で混雑時は、好みの座席どころか着席さえできない状況も発生します。この場合、輸送量に足りるだけの車両を連結しているのかという批判はできたとしても、その場でクレームをつけることは、基本的にできないでしょう。 国鉄の特急は、当初は指定席しかなかったそうです。それが戦後の輸送力増強、そして急行が担っていた機能(比較的短距離の移動)を特急に集約していく中で、特急にも自由席が誕生していきました。その経過はともかくJRの指定席の考え方は、一義的に「着席保障」であると考えられます。この「着席保障」のために、乗客は自由席より高い価格を指定席に払っているわけです。一部例外を除いて、指定席と自由席に関して、着席保障以外のサービスの格差はつけられていません。 一方で、高速バス(都市間バス)あるいは航空機の場合はどうでしょうか。両者に共通するのは「定員制」であることです。つまり座席数以上の乗客を乗せることができません。航空機は、座席シートから希望の座席を選ぶことができますが、バスはそのような話はあまり聞きません。バス会社が着席する座席を割り当てています。 さて、本年3月のJR北海道ダイヤ改正以来、何かと話題になっているのが、特急すずらん号の全席指定席化です。 すずらん号は、札幌と室蘭の間を1日6往復走り、特急北斗を補完する形で、需要の多い札幌か~苫小牧・室蘭間の都市間輸送を担っています。 このすずらん号、3月ダイヤ改正で自由席を廃止し全車指定席となってから、大きな乗客離れを招いているということです。この件に関しては、原因分析はともかく、事実としてJR北海道も認めています。https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/a53672c73efba4b6e32649f5faadfb9b3e190c50並行する都市間バスに積み残し発生https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/34e4c989cacd051d5320a2c599917305cd435eea社長記者会見でも質問多数https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/05c55d722a1443d00c68d9d071e152c9c873a9d9https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20240611_KO_income.pdf 原因として、すずらん号乗客大幅減、並行する高速バスを見据えた割引きっぷ(最大通常購入の半額近く)を廃止し、運賃料金面でのメリットが大きく減少したこと、そして全車指定席化に伴い設定した割引きっぷ「えきねっとトクだ値」が、購入時期による価格の変動、乗客の操作が難しいと言われる「えきねっと」のみの取扱い(駅窓口で購入できない)こと、加えてえきねっとで購入したきっぷを駅窓口で紙のきっぷに交換する必要があり、いわば「二度手間」の上、出発時間の変更に対応しにくい仕組みになったことが挙げられます。その結果、所要時間や車内のサービスレベルが変わらないのに、運賃料金を実質大幅値上げし、さらに不便になってしまったことで、利用者の減少は避けられなかったと考えられます。なお、ダイヤ改正前から北海道新聞がこのことを報道していて、道新のネガティブキャンペーンのせいにする論調もあるようですが、これは単なる責任転嫁に過ぎません。 今回の問題には、2つの着目点があると思います。 ひとつは、特急を商品として売り出すにあたって、指定席自由席どちらがベストなのかという点です。特急の全車指定席化は、JR東日本が特に積極的に進めています。またJR東海も、お盆休み等多客期ののぞみ自由席を指定席化し、のぞみ全列車を前者してk席で走らせる取組みを行っています。 全車指定席か自由席も設定するかは、当該区間の乗客ニーズを詳細に分析して決めるべきで、例えば闇雲に一律全車指定席化すればよい、というものではありません。お盆時期の移動であれば、ある程度日時を事前に設定して、混んでいても座って帰りたいと思う方が多いでしょう。一方日常使い(主にビジネス)で比較的短区間かつ頻繁に発車する特急ならば、出発時間を変更する必要が生じてもすぐに対応できる、自由席の設定が重宝するでしょう。 特急すずらんの場合、札幌~苫小牧間が約50分、札幌~室蘭間が約1時間40分という所要時間を考えると、乗車列車等の自由度が効く自由席の設定は、必須ではなかったかと思います。これは、札幌~旭川間の特急ライラック、カムイにも同じく言えることで、この2つの列車も自由席を大幅に減らしたことで、自由席に乗客があふれる一方、指定席がガラガラという状況を生み出しています。https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/e135edbbe7db184768eb1036aa4479d555f91a41 なお「えきねっと」にチケットレス特急券のサービスがあり、これは発車直前まで列車と座席の変更が可能ではないかとの指摘があります。確かにそうなのですが、乗車券を別途準備しなければならないこと、えきねっと自体の操作性の悪さに加えて、料金価格的にも魅力的とは言えないことから、現時点では選択肢に入りにくい手段と思います。 もうひとつは、乗車率の向上に関してです。 指定席の増加、全車指定席化に関してJR北海道は、サービス向上というよりも、より効率よく乗客を運ぶことを主眼に置いて進めていると思われます。簡単に言えば、全車指定席にすれば乗客が乗るかどうかわからない自由席を用意する必要もなく、無駄な座席、無駄な車両を用意して運行する必要がなくなる。もっと列車は短編成化でき、コストカットにつながる。そう考えている節があります。 この考え方の中に、乗客サービス向上の視点が見えてきません。JR北海道は列車ごとに、かなり緻密な乗車状況調査を行っています。そこから乗客数の現状を把握しているはずです。 効率的な運行を否定はしませんが、乗客が感じるメリットを大切にしながら、魅力的なサービスの創出につなげていくような経営努力が、JR北海道にとって今最も必要なことではないでしょうか。近年のJR北海道に、「国鉄改革」を踏まえた民間企業としての知恵、工夫、努力、あるいは当事者性が、いまひとつ感じられません。それが端的に表れたのが、今回のすずらん利用者減ではないでしょうか。言われたことだけ淡々と進める。では誰がそれを「言っている」のか。すなわち指示を出しているのは、業務改善命令を出す代わりに多額の支援を行っている、国土交通省ではないかと。 お役所的な「効率化」の先に、前向きな業務改善やサービス向上、そして乗客増が見えてこないことは、国鉄の経営破たんから国鉄改革までの一連の流れの中で、嫌というほど味わったはずです。サービス向上を怠り、結果利用者が離れていく状況を見て「この地域は(鉄道を残す)熱がない」と断罪するのは、考え方が根本的に誤っています。
2024/07/21