楽しみのかけら
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娘の幼稚園は、徒歩で集団通園することになっており、園児同士が手をつないで2列で歩行していく。その日は朝から娘の機嫌が悪く、その通園の集合場所に着いてからもぐずぐずしていた。手をつなぐ子は誰でもよいわけでなく、一週間は決まった相手で、というルールだ。娘はその相手の子(同じ年の男の子)と手をつなぎたくない、と言ってごね始めてしまったのだ。なんとか、気持ちが切り替わるようあの手この手で話してみるものの…、まったくきかない。まいったなぁ。あまりにごねると融通をきかせて、手をつなげる相手に替えてもらえるのだけれど、親としては、子どもに「ごね得」の味を占められてしまうと、めんどうなことでもあり、なんとかルールに乗っ取って通園してもらいところではある。集団で通園することも、そろそろ一年経つ時期ではあるし。すると…。「ようちえんにさあ、でっかいダンゴムシいるかもよ。」一緒に手をつなぐその子が、にこにこと娘に話しかけた。「ダンゴムシ?」娘が反応する。「ミミズもいるんじゃないかなあ。」たたみかけるように彼は言葉をつなぐ。それまで半べそだった娘の顔が、ぱああぁっとかがやき、「うん!!!いるいる。ぜったいいるよねぇ!!」娘は生き物大好き。ダンゴムシもミミズもイモムシですら素手で平気だ。実は数日前、その彼と集合場所の公園で、虫取り遊びで大いに盛り上がったばかりだったのだ。そこからはいつものお調子者の娘のペースを取り戻し、その子とすんなり手をつないで、笑顔で出発していった。やれやれ。自分と手をつなぐ子に嫌がられる(拒否される)。もし私だったらそれがショックでへこんでしまい、一緒にごねてべそをかきはじめたかもしれない。娘の生き物好きを知って、気の利いた会話を持ち掛けた彼は、あっぱれとしか言いようがない。それにしても、言葉を尽くした(つもり)の親の説得よりも速効性があったのには驚いた。オトナの事情で説得しても、コドモには見透かされてしまうということなのだろう。そしてもう一つ。親を離れて拡がりつながってゆく、そんな子どもたちの世界を垣間見た瞬間でもあった。
Jul 9, 2013
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