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大分出来上がってきだぜ喜仙の寮では、小吉が若さまに、死体の傍にはやっぱり紅鶴があったと言っています。「呪いか、恨みか、裏切りか」と若さまが考えています。若さま「紅鶴のことは、清吉は何も知らなかったろう」と小吉に言います。本当に知らないらしい、屋敷は清吉が勘当になってから越後屋の別荘になった、いろんなからくりは死んだ清左衛門しか分からないようだ、と小吉が言います。 横になっていた若さまが起き上がり若さま「前の持ち主は、確かに死に絶えているんだな」と小吉に聞きます。 15,6年前の古いことで、この土地を離れるとき子供が二人いたようだ、というのです。若さま「うぅーん、子供が二人か」難しいような顔をしていた若さまの顔が明るくなり若さま「大分出来上がってきだぜ、小吉」 小吉 「へーえ?・・と言いますと」小吉には若さまの言った言葉の意味が分かりません。若さま「紅鶴屋敷の忍び込みと人殺し・・」 そこへおいとが気違いみたく笑ってやって来ます。理由を聞かれ、バカ(丁松)が網元に追いかけられ逃げること、逃げること・・それがおかしくて、と。それを聞いていた若さまは、「なに?網元がバカを」と身を乗り出して言います。 今夜も紅鶴屋敷には、六助、与吉、十手の甚兵衛が土間に張込んでいます。与吉がお千代のことで悩んでいるのを知って六助が話をしていると、廊下をきしませる不気味な音が聞こえてきます。お千代は兄では?と気になり起きて、障子を開けた音にいびきをかいて寝ていた女中が飛び起き「でたあ」と騒いだので、忍んだ賊は慌てて逃げだします。その賊が逃げて来たところを捕まえた六助は、賊の顔を見て「あっ」と・・賊は六助を振りきり逃げていきます。 穏やかな海岸突堤に若さまと小吉の姿があります。小吉は、若さまに言われた通り張り込んでいたが、網元は近づいて来ない、浪人者は一晩中帰ってこなかった、という報告でした。小吉が、浪人者が清左衛門を殺しいなくなったのではと言いますと、若さま「とすると、昨夜紅鶴屋敷に入ったやつは」 小吉「それが、甚兵衛の話によりますと、どうもあの浪人者じゃなさそうなんで」若さま「浪人者でもなく、網元の仕業でもないと・・はっはつ、いよいよ幽霊の仕 業かな」 小吉 「はあぁ、その幽霊には、足があるとね」若さま「足のある幽霊か・・・必ずこの町の何処かにいるはずだが」と言い、紅鶴屋敷の方を見たとき、若さまの目の色が変わります。若さま「ほほう、浪人がいないと、紅鶴屋敷に煙がたたぬか」 お千代は海岸にいました。ぽっーとしている六助のところにいると、丁松が「地獄地獄」と言いながら嫌がるお千代を、どんどん引っ張っていきます。浪人の佐竹が網元に殺されたところへ連れて行きます。 続きます。
2019年04月27日
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紅鶴屋敷のみなしごは、紅鶴の船を待つか旅籠屋では皆が集まって清左衛門殺しがどのような手口で行われたのかと、十手の甚兵衛と旅籠屋の主人糸平が、実演をやって見せています。犯人は清吉だと決め込んでいます。若さまも酒を飲みながら、面白そうにその様子を見ていましたが大笑いをして若さま「だけど、おめえ、清吉じゃねえとしたらどうなる」 すると、皆が揃って、清吉しか考えられないと、若さまに食ってかかります。そこで、若さまはみんなにこう聞くのです。若さま「じゃあ、昨夜紅鶴屋敷にへえった化け物はどうなんのかな」 甚兵衛が、六助の話では、清左衛門は家に帰って来たと言っていた、というと、糸平が、夕べは気味の悪い番だった、寺の鐘がなったときは、一人だったので、どうしようかと思った、と言います。すると若さまは糸平に聞きます。若さま「その時は、網元はここにいたんじゃねえのか」というと、網元が来たのは、あれから一時ほどしてからだと言います。 その時、急に扉が開いて、丁松が「地獄、地獄、地獄」と櫂を地面に叩きつけて言うのです。網元の茂兵衛が外から紅鶴屋敷を覗くようにしているのを若さまが見ています。若さまと目が合った網元は、ばつが悪そうです。 網元 「いや、これは・・」若さま「網元、お前んとこの居候人はどうしたい」さっきも役人が訪ねてきたが、夕べ家を出たっきりだ、と言います。 若さま「あの浪人者は、この町へ何しに来てるんだ」網元 「ああ、舟祭りが近づくと、いろんな人がこの町へきますからね、旦那もそ うですかい」 そう話していると、遠くから丁松が礼の如く櫂を持ち「地獄、地獄」と言いながら近づいてきます。若さまは旅籠屋に入って来たのも見ているのもあり、丁松の行動に不審をもったようです。若さまを見ると、網元は急いで丁松を静止して追い返すように連れて行きます。 その騒ぎで、紅鶴屋敷の庭からお千代が姿を見せます。すかさず若さまが「やぁー」とお千代に声をかけます。お千代「若さま」若さま「また会ったな」というと、石垣を登り、屋敷の庭に入ります。 若さまはお千代に話しかけます。若さま「お千代坊は、いつも一人ぼっちだな・・・親も兄妹もないのかい?」お千代「はい」お千代「可哀想に・・・紅鶴屋敷のみなしごは、紅鶴の船を待つか」お千代が急に若さまの傍に来て、誰が旦那様を殺したのか、と詰め寄り聞きます。 若さまがそれには答えずにいると、「黙っていないで教えてください」と、若さまに食い下がります。 お千代「若さまは、何でも知ってるとおっしゃったじゃないですか」若さま「お千代坊はみなしごのくせに、誰のことを心配してるんだい」お千代の目が泳ぎます。若さま「あんまりイライラすると、紅鶴の船は来ないぜ」と強くいい、若さまは去って行きます。 続きます。
2019年04月19日
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腹一杯に息を吸い込むんだ翌日、殺人事件があったということで町は大さわぎ、お縄になっている清吉に、遠州屋小吉が、仏の顔を見ても自分がやったことを白状しないのか、と責めています。清吉は、自分が清左衛門に殺されかかったのだと言うのです。何かの間違いだと清吉をかばう母お崎に小吉は、正左衛門の背中に刺さっていたのは清吉のドス、しかも二人が折り重なっていたのだから、間違いはないと言います。清吉は、殺したのは網元だ、二人が言い争っているのを見たと、網元と清吉がもめはじめます。後ろの方にいてその様子を見ていたお千代が・・どうしたのでしょう、突然お千代は逃げるようにして突堤に行き辺りを見回すと座り込み悲しそうな顔をして水面をみつめています。その水面に赤いウキがポンと投げ込まれたので、驚いてお千代が振返ると、そこに若さまが釣り竿を垂らして立っていました、若さま「はっははは、遠い海のかなたから現れてくる紅鶴の船を待っていたのか」お千代は、この漁師町に来た時から憧れを持っていた若さまを傍にして、ポッと頬を染めます。 若さまがお千代に話しかけます。若さま「お千代坊」お千代は名前を呼ばれてびっくりします。 お千代「どうして私を・・」若さま「はっはっはは、俺は何でも知ってるよ・・・紅鶴の船の穂先には舳先に は、素敵な若者が立っているんだろう?」お千代が頷きます。 若さまが、海は好きかと聞くと、お千代は「はい」と言います。そして、若さまはお千代に言います。若さま「困った時はな、海へ向かって、大きく手を広げて、腹一杯に息を吸い込む んだ」お千代は頷きます。 若さま「海はきっと、お千代坊に幸せを持ってきてくれるぞ」 お千代を呼ぶ与吉の声がします。与吉は、夕べ紅鶴屋敷に入っていったお侍を見た、「奴に違いない」と若さまの方を見ますと、「あの人は、そんな人じゃないわ」と言い、お千代は去って行きます。お千代は海に向い、若さまに言われたように、大きく手を広げ息を一杯吸い込みます。そして、「兄さん、兄さん、兄さーん」と海に向って呼ぶのです。お千代が兄さんと呼ぶのは、若さまが突堤であった浪人、そしてあの夜紅鶴屋敷に入り込んだ侍で、網元のところに居候をしている佐竹半次郎という者です。その佐竹は、海辺の草深いところで、紅鶴屋敷から盗んできた小判を、紅鶴の印のある千両箱に入れ埋めようとしていると、「地獄、地獄へ落ちるぞ」と言う丁松が、背後には網元がいます。網元は、佐竹に独り占めはよくない、屋敷から誰も知らない金を持ちだし、そのうえ清左衛門を殺した。佐竹は清左衛門は殺していないというと、筋書きは出来ている、山分けといこう、紅鶴屋敷に隠されている金のありかを教えろと言ってきます。佐竹が刀を抜くと、網元は「斬るのかい」丁松が見てると言います。佐竹が丁松の方を見たすきに網元は佐竹をめがけ鍬を持ち力いっぱい振りかぶせます。 続きます。
2019年04月15日
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若さまのお知恵を拝借・・突堤にいた濡れねずみの浪人が寺を通って行き過ぎようとしていたのを江戸からやって来た遠州屋の小吉が見て、「はてな、あの濡れねずみ・・?」と考え込んでいるところへ「おい、遠州屋」と呼ぶ声に振り向きます。声をかけたのは若様です。小吉はその姿を見て慌てて小吉 「若さま」若さま「ここにも、濡れねずみがいるぞ」と屈託のない笑顔を振りまいて言う若さまです。小吉はびっくりした様子で、若さまを眺めています。 喜仙の寮に帰った若さまは、おいとと小吉に濡れねずみになったいきさつを話します。 お糸が、その浪人は網元の離れに半年ほど前から居候をしていることを話しますと、若さま「半年ほど前からの居候が釣りをしていたか」 すると、小吉が江戸で起こった事件も・・と話します。小吉 「若さま、実は大川端の殺しも、子供の釣り竿に引っかかってきたんです」若さま「大川端の殺し?」 小吉 「へーえ・・こりゃどうも、話しが前後して申し訳ありやせん。どうも腑に 落ちねえことばっかりなので、・・またひとつ、若さまのお知恵を拝借に あがったんで」若さま「遠州屋小吉、得意の切りだしだな」小吉「へっへっ」 そして、小吉が江戸の事件の内容を話し始めます。一昨日、江戸の越後屋の川岸で、身元の分からない土挫衛門があがった。そいつが不思議なことに水も飲んでいないし傷もなく、おまけに二の腕に日本の入墨があるというのです。若さま「島破りか、島帰り」 すると、小吉が、小吉 「一番分からないのは、ぴったり胸にくっ付いている油紙に包んだ真っ赤な 折鶴」と言うと、若さまの表情が変わり、瞳がきらりと光ります。若さま「なに、紅鶴」 その夜、越後谷の紅鶴屋敷には、お千代に頼まれた六助と与吉が夜回りに来ています。清左衛門が、覚全和尚のところからの帰り道、網元の茂兵衛が話があるとしつこくするのを振りきり少し行ったところで、清吉と江戸からのつけ馬の勘八達が清左衛門を待ち伏せしています。博打の金ぐらい何故出せない、お前をたたき斬れば越後屋は清吉のものと言われ、清左衛門は清吉に耐えず心配しているのだと言いますと、清吉がそんな言い訳は通らないといい、清左衛門に斬りかかっていきます。すると清左衛門は「馬鹿野郎」と大声でいうと、かかって来た勘八の刀を取り上げ勘八を斬ります。あとの二人も斬り、逃げる清吉を捕まえ「やい、てめえのようなかけだしにちょっかいを出されてたまるか」と清吉をはり倒していた清左衛門の顔がゆがみ、清吉に覆いかぶさります。背中に短刀が突き刺さり、その上にひらりと落されたのは紅鶴でした。 紅鶴屋敷の天井から吊ってある紅鶴が不気味に揺れています。酔った六助が寝ている勝手口から、黒装束覆面の男が部屋の方へ床をきしませて入っていきます。清吉の母お崎が清吉が帰って来たのかと思い「清吉かい?」と言いますが、返事がありませんので、清左衛門が帰って来たのだと思います。お千代も起きて耳を澄まし様子を見守っている様子です。覆面の男が奥へ奥へと進んで行き蔵に行ったのを確認したお千代が安心したような顔をします。男は蔵の奥に行き紅鶴の絵が書いてある箱から大量の小判を懐に入れます。天井の紅鶴が揺れています。その男は若さまが知っているあの浪人です。 続きます。
2019年04月10日
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「紅鶴屋敷か」何事かあったのでしょうか、紅鶴屋敷から飛び出してきて口論をしているのは、この屋敷の持ち主越後屋の江戸から帰って来た長男清吉と伯父の清左衛門です。清吉が清左衛門に見つかり追い出されたところです。清吉の父親がなくなったのをいいことに、江戸の店を乗っ取ったと清吉が清左衛門に食って掛かっています。清吉が短刀を出し清左衛門にかかって行こうとしたとき、網元の茂兵衛が止めに入りますが、清吉はしつこくかかって行こうとしています。その光景を海辺にいた若さまとおいとが見ています。おいとが若さまに止めに入るようせかしますが、若さまは、笑って見ているだけで動こうとはしません。若さま「はっはっ、大丈夫だい、腕が違うわい」その通り、網元の茂兵衛に投げ飛ばされ清吉は、捨てゼリフを吐いて逃げていきます。決着がついた様子に、面白そうに見ていた若さまも帰っていきます。 清吉が旅籠ほかけ屋の主人糸平を生きよいよくつき飛ばして旅籠に入っていきます。糸平は清吉が夕べ江戸から3人のごろつきと来たことの話をしていて、どうしようもない与吉からはお金が取れないことに今まで気が付かなかったことに「頭が痛い」と頭を抱えているところへ、若さまが糸平に声をかけにこやかに通り過ぎていきます。 (このシーン、私大好きな所の一つです。橋蔵さまと堺駿二さんの、何気ない、どうでもいい通り過ぎながらの会話なのですかが、息の合った掛合いから、何となく笑みがこぼれてしまうのです)若さま「亭主、飲み過ぎか?」糸平 「あっ、これは、おはようございます、釣りでございますか?」 若さま「いやーっ、この土地の魚は頑固で、わしになつきよらん」 糸平 「近頃の魚は、利口でございますかななあ」若さま「馬鹿ッ野郎、あはっはっはっは」 若さまが、浜を歩いていて突堤辺りまで来たとき、突堤で釣り糸を垂れている浪人がいます。若さまは浪人に声をかけます。若さま「つれますかなどと文王そばへゆき」 浪人は若さまを見てもぷすっとして黙っています。若さまは笑って近くで釣り糸を垂れます。 若さまは、浪人の釣り糸を見ます。大きく動いているのにそんなことには知らぬ顔でいる浪人です。 若さま「はっははっは、こいつはいいや、お前さん太公望だな、食おうと引こうと、てんで気にしねえところをみると・・当ては釣りにあらずして・・・」と言い、じっと正面に目を見据えたとき、浪人は刀を抜き若さまに斬りつけます。 おっと、危ねえ」というと若さまは海へドボンと落ちます。若さま「うあっ、うあっつと、うああ冷てえ・・おいおい、冗談はやめろ」 浪人は、突堤の上から刀をかまえています。若さま「それそれ、まだそんな怖い顔して・・野暮なものを振り廻して、何がそん なに気に障ったんだい」と言いますと、浪人は海へ入り、「貴様頼まれたな」と、若さまが「何のことだい」と言うとまた斬りかかってきます。若さまは身をひるがえし突堤の上に、今度は浪人がずぶ濡れになります。 若さま「あっはははは、こりゃあ付き合いがいいや、恨みっこなしだぜ」 浪人は帰っていったあと、若さまは、浪人が見ていた正面の紅鶴屋敷に目がいきます。 その正面では、お千代が落葉を焚き煙りを出しています。若さまは「紅鶴屋敷か」と呟きます。 続きます。
2019年04月04日
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