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新吾の果てしない旅は続きます新吾と共に山に登った道案内の小猿の次郎少年が、新吾の修業を見ていて、剣術を教えてほしいと言ってきます。山案内人の子が剣術を習って何になる、というと父親の仇を討ちたいと言います。仇の名前を聞くと、ものすごく強い奴で「葵新吾」というのだと聞いて、新吾は驚きを見せます。 その頃、吉宗や庄三郎のところには、甲信越の国々で他流試合にことよせ打ち殺された武芸者が多数いるという噂が流れているが、ほんとかどうか、新吾の名を騙っているのではないか、庄三郎は真崎備前守に承諾を得て、真偽のほどを確かめることにします。新吾は次郎の家で詳しい話を聞いています。父親が試合を挑まれたとき、その場にいなかった、江戸の柳生道場からつてを頼って来た人達だ、というのです。新吾は「柳生道場」と聞いて気になります。 柳生流小松道場には、江戸から多羅尾平八が来ていました。新吾の悪評を立て、新吾反対派の老中方の意図は一応達せられた、という山崎平馬に対し、多羅尾は柳生流の面目のため噂を立てて新吾を呼び寄せるのが目的した。今度は失敗は出来ない。話をしているとき、小松道場に新吾がやって来ます。道場に通された新吾を山崎平八と太田忠平の二人が迎えます。次郎の父が試合を挑まれたとき居合わせた二人です。新吾「私は、自源流の葵新吾と申す者」 近辺の道場に新吾が現われたことを知らせる早馬が行きます。山崎と太田は、次郎の父小松甚左衛門を打ち殺したのは新吾でないことを認めます。知らせたい人がいるので、同道してほしいと二人に言います。 そこで、山崎が、新吾の偽者がいると新吾に言い、城下外れの小松ケ原に引出す手はずが出来ている、と持ち掛けます。新吾「誠か」 多羅尾をはじめ各道場からの剣士が小松ケ原へ集結していきます。新吾も山崎と共に小松ケ原へと向かいます。金沢市十郎が新吾の動向をつけているようです。 小松ケ原へ行く途中、茶店で新吾を待っていた次郎に、新吾「次郎喜べ、誠の仇が見つかったぞ」 庄三郎はその頃、急いでいる金沢市十郎に新吾が小松ケ原だと聞いて急ぎます。小松ケ原の約束の場所にくると、山崎と太田が新吾から離れます、と待っていた多羅尾達が周りを囲みます。 ニセ葵新吾は多羅尾平八だったのです。柳生流の剣士達との斬り合いになります。(大立廻りになります) 木の上からは鉄砲が新吾を狙っています。 駆けつけてきた庄三郎の「丸様」という声が聞こえました。新吾が「庄三郎先生」と近づいたとき、庄三郎が木の上で狙っているのに気づき、また新吾ももう一方から狙っているのに気づきます。(大立廻りは続きます)そして、多羅尾といざ交えようというとき、金沢市十郎が老中酒井讃岐守の命によりやってきました。新吾様に剣を向けるとは・・・引かぬ者はとり押えると聞くや、新吾にかかっていった多羅尾は新吾に斬られ、次郎も父の仇を討つことが出来ました。 吉宗からご対面の儀の許しが出ないことが、金沢市十郎から庄三郎に話しているのを、新吾は廊下で聞いてしまいます。 いよいよ江戸へ行かれるのですね、お父様とお母様に会われるのでしょう、といってきた次郎に、新吾は悲しそうな顔をして・・新吾「次郎、お前のように幼くして両親を失った子と、生まれたときから両親の顔を知らぬ子と、どちらがかわいそうだろうな・・・」 新吾が「剣の修業にな」といい出かけようとすると、一緒にという次郎に「立派な侍になることだ、よいか」「はい」と答える次郎、・・・「では、行くぞ」と言い、泣きじゃくる次郎に「皆には内緒だぞ」と口止めを、しかし、次郎はすぐに庄三郎に知らせます。 「丸様はおそらく、江戸からの知らせを耳にせられたのだ、いまさらお引き留めしても・・・」と、そして、庄三郎は新吾に向かって「丸様、どうか運命にめげずにお進みください。実の親と子がいつまでも会わずに済まされるはずはありません。・・・きっと来ます、天下晴れて親子の対面をなされる日は必ずきます」波打ち際を進んでいく新吾の前に、一真が立ちはだかるのです。・・・それは一真を討つことで進んでいく新吾が見た幻視だったのです。新吾の果てしない旅は続きます。 (終)
2022年08月25日
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再修業をしよう武田一真の一刀を肩に受け、気を失っていたところを安藤家の家臣に助けられた新吾は、老中安藤家の居城加納城内の一室で気がつきました。何日も眠っていたのです。安藤家の息女綾姫がつき添っていました。お鯉の方には綾姫が内密に書状で新吾の居場所を伝えていました。 庭に出た新吾は池に写った、剣を構えたようにしてみた自分の姿を見ながら、一真の一刀が降りかかって来たときを思い出し、新吾「例え手傷を受けていたとて、あのように無様な敗れかた、・・・庄三郎先生 のおっしゃる通り自分はまだ若い、自分の腕はまだ未熟だ。・・・そうだ、 山へ戻って再修業しよう」傷はだんだんよくなっていましたが、心に受けた痛手は非常に重いものでした。 その様子を綾姫が見ていました。それに気づいた新吾が声をかけますが、綾姫は庭を散歩するぐらいならと許したが・・・と新吾をしかりつけます。再び剣をとることが出来なかったらと、綾姫の前で泣いたことをいわれ、新吾はそのことは勘弁してほしい、と苦笑し綾姫に新吾「いやあ、・・・姫のご加護がなかったら、本当に私は剣をとれなくなってい たかも知れない。だからもう、姫のお言いつけ通りにいたしますよ」やっと綾姫が笑顔を見せます。 一緒に部屋の方へ帰りながら、新吾は綾姫に礼をいいます。新吾「本当に、姫のご厚情、新吾一生忘れはいたしません」綾姫は、嬉しそうに新吾に返します。綾姫「まあ、そんなにまで言われると、あたくしの方が恥ずかしくなります」 と言ったあと、綾姫は立止まって「でも」と悲しそうな表情になると綾姫「そのお言葉、姫は一生忘れません」綾姫の言葉に・・・新吾は「はっ?」と・・・綾姫は「なにもっ・・・」といい、駆けだして新吾から離れ涙ぐみます。 その後ろ姿を見ていて、綾姫に声をかけます。新吾「どうなされたのか?」黙っている綾姫に新吾「ご気分が悪くなったのですか?」声をかけても返事のない・・・新吾「・・・変だなあ・・・」 綾姫は、新吾の方を向き悲しそうに綾姫「新吾様、お体が良くなられ本当によろしゅうございました。・・でも、お別 れの日がもう・・・」新吾「お別れの日?」綾姫「はい」昨日、お鯉の方からの密書を受け取ったというのです。江戸から新吾を迎えの行列が出発していました。 その夜、新吾は眠ることが出来ません。一真に敗れ、綾姫、お縫、おきくへの愛情に惹かれそうになる新吾、だが自分のゆく道を自分自身に言い聞かせるのです。新吾「自分のゆく道は、非情の世界だ。・・・女のことに心惹かれて、・・・どう して一真を討つことが出来よう」新吾は心をきめます。綾姫が新吾とこのまま別れてしまうことを思いながら床に入っていると、新吾の姿が見えないという知らせがきます。 部屋には置手紙がありました。・・・・・姫のお気持ち分からぬではありません、しかし剣に生きんとすれば、愛蜜の中に溺れることは出来ないのです、私は山にでも登り、再修業をしようと思っています・・・・・日本アルプスの奥深く、道案内の少年と雪山を登っていく新吾がいます。 続きます。
2022年08月11日
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「止めは刺さん」「何故だ、斬れ、殺せ」明神池で約束の日、新吾と一真が向き合います。 新吾「一真」一真「新吾か」新吾「待ちかねたぞ」と剣を抜いた新吾に、一真「待て」新吾「臆したか」 一真は、自分と勝負をする前に、会わせたいものがいるといってきます。新吾「誰だ」 多羅尾平八が現れます。「新吾様に御意を得たい」というや、剣を抜いてきます。新吾は、一真に「謀ったな」といいます。すると、一真「違う、先に譲ったのだ」新吾「なにい」 新吾が一真を仇呼ばわりするように、多羅尾平八も新吾を狙っている、と言います。まだ、新吾にはどうして狙われるのか分かっていないのはあたり前です。多羅尾が口を切ります・・・柳生流の面目にかけて・・・新吾「柳生流の面目?」・・・新吾に敗れ命を落とした宗田豊之進は兄弟弟子のため、黙って見逃すわけにはいかない・・・「いざ・・」多羅尾が先に構え、新吾も構えます。 一対一の勝負が動きます。 新吾「強い、腕は宗田以上だ」しばらく二人とも相手を伺い動かないでいました。 先に動いたのは多羅尾の方でした。新吾の剣が多羅尾の目の上を、しかし新吾の方も左腕に傷を追い、共に傷つきます。 多羅尾が負傷したことで、一緒に来ていた門弟達が怪我を負っている新吾に斬り込んでいきますが、新吾にはかないません。 しかし、多羅尾や門弟達との闘いに、新吾は精根使い果たしていました。その様子をじっと見ていた一真は、殺気立っている新吾に「まだ闘えるか」と聞き、一真「その手傷では、到底わしの相手にはなれまい。まともに立ち合っても無理な 腕だ。望みとあらば、さらに日を変えてもいいぞ」と言われた新吾は、新吾「黙れ」と一真に立ち向かう新吾の気が発っているのを見て、「怒ると損をするぞ」の言葉に新吾はいらだち「来い」と。 一真は剣を抜き一真「若い命を、死に急ぐか」新吾「行くぞ、行くぞー」 新吾と一真の一騎打ちになります。新吾は左腕の傷の痛みが出てきています。 一真はじりじりと前へと進み、新吾は後ずさりをしていきます。それを見て一真が新吾に、一真「それが、自源流か」新吾「なにい」一真「言い残すことはないか」新吾「黙れー」新吾は耐えきれず、一真に斬り込んでいき、一刀を肩に浴び倒れてしまいます。 一真が「止めは刺さん」と言うと、新吾は「何故だ、斬れ、殺せ」と叫びますが、一真は、新吾を殺すのが目的ではなく、放生一真流が自源流を倒した、それだけでいい、と立ち去ります。そこへ、安藤家の家臣達が新吾を探しに来ます。気を失って倒れている新吾に「新吾様、新吾様」と呼びかけます。 続きます。
2022年08月01日
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