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何を隠そう、僕はヘルニア持ちだ。それも、腰椎のヘルニアではなく、頚椎のヘルニアだ。つまり、首のヘルニアなんですわ。コレが。MRI(軟骨まで見えるレントゲンみたいもの。詳しいことはわからん)で見ると、確かに、2箇所の椎間板がピロンと飛び出している。それも盛大に出てる。これが、首の神経に当たって痛いらしい。僕は2年間ほどこの病に悩まされ、ひどいときには歩けなくなったり、横になって寝るのがつらくて、タンスの隙間に挟まって、立ったまま寝たりしたこともある。その間、僕はたくさんの治療やら、処置やら、中にはまじないとか占いに近いものやらを受けてきた。そしてそれらは、たいした効果を発揮することはなく、ただ、僕のサイフを薄っぺらくし続けただけだった。そんな僕に、バイオリンは無理があるのではないか、というようなことを当時のガールフレンドに言われ、僕もまた、病状が悪化するのではないかという危惧ももっていた。ところがどうだろう。バイオリンを始める前と後では、後のほうが、首の調子がなんだか良い。友人からバイオリンを譲り受けたことが、僕とバイオリンの出会いだった。(バックナンバーをみてね)だけど、出会うべくして出会ったのだと僕は思っている。僕は働くのが大好きだ。仕事はゲームみたいなもんだ。そのゲームの中で、アドレナリンが出ればいい。アドレナリンが出れば出るほど、ゲームは楽しい。困難な仕事は、僕にとっての楽しいゲームなのだ。・・・と、こんな感じに、鼻息の荒い仕事の仕方をしてきた。これについては、僕は今も変わってないし、それが間違っているとも思わない。なぜなら、楽しいのだ。生きてることを実感できるのだ。だけど、僕の意思やら精神やら哲学にはかかわらず、体が悲鳴を上げたようだ。その所産が、僕の首の中でピロンと出てる椎間板だというのだ。・休みなさい。・まったりしなさい。・まどろみなさい。・アドレナリン禁止。医師、整体師、気功師?などが異口同音に僕に言い続けてきた。そんな中、僕はバイオリンに出会った。世の中にあふれる治療、処置、まじない占いを、すべてKOで片付けた僕のヘルニアは、バイオリンに出会ったことで少し穏やかになった気がする。まったりしたり、まどろんだりすることをバイオリンから得ることができたのだ。多くの「治療」がなし得なかった「治癒」というものを、音楽やバイオリンがやっているのではないか。バイオリンは僕にとっての良薬になっているのではないか。僕は最近、そう思うようになった。つづく次回、そんな良薬に出会うまでの闘病記、「VSヘルニア」を書いてみようと思う。
2005/06/03
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♪ケ~デ~ハ~ゲ~♪毛~デ~ハ~ゲ~♪毛~で~ハ~ゲ~髪の毛に不自由をなさっていらっしゃる皆さん、大変申し訳ない。僕には、第九がこのように聞こえます。誰にも言ったことは無いけれど、かなり長い間「ハゲノウタ」(一部の方、ごめんなさい)とさげすんでいたこの曲に、今度は僕が苛まれることになった。僕を苛むのは、「スラー」だ。ここで音楽の分からない方々に、ひとつ解説。スラーとは、いくつかの音を一度に連続して引く奏法(奏法というほどたいそうなものではないが)のことだ。「ド・レ・ミ」ではなく、「ドレミ」と弾くのです。・・・・・活字で分かるわけがないね。バイオリンにおいては、、弓をダウンして「ド」、アップして「レ」、ダウンして「ミ」と、弓の一度の上げ下ろしに対して、ひとつの音を奏でるのではなく、弓を一度下ろすか上げる間に、「ドレミ」と連続して弾く。これが憎きスラーだ。僕は大きな間違いをしていた。バイオリンとは弓の上げ下げ一回ごとに、ひとつの音を鳴らすものだと思っていた。ところがそうではないのだ。弓の一度の上げ下げの間に、いくつも音を出すのだ。ちなみにセンセーはいちど弓を下げる間に、50くらいは出せるという。世界記録はいったいどれくらいなのだろうか、という馬鹿げた疑問が頭をかすめる。ま、とにかく僕はこの「スラー」がうまくできない。教本の一番最初に載ってる「ハゲノウタ」にもやはり、スラーがあるのだ。ハゲノウタは、ドレミファソ~~がちゃんと弾ければ、特に難しいことは無い。どちらかというと、初心者の僕でもかなり気分よく弾ける曲だ。僕のバイオリンがちゃんと音楽を奏でていることに、うっとりし始めるころ、スラーがシレーっと顔を出し、僕の恍惚を中断させる。気分は台無しだ。スラーさえなければちゃんと弾けるのに、スラーおかげで体はギクシャク、音はギコギコになる。「ふぬ~!なにがスラーじゃ、 ♪お前なんか『ズラー』って呼んでやるYo! ♪『ハゲノウタ』にお似合いYo!」(本当にごめんなさい)などと、ラッパー並みのアイロニーで罵倒するも、一人暮らしの33歳男が、楽譜に向かってわめく姿は大変むなしく、わびしい。猫たちも大アクビだ。よく考えると、スラーなんかしなくても、曲は弾けるんじゃないか。というか、そのほうが気分よく弾けるし、つまることもない。「一弓一音」(いっきゅういちおん)。まるで、「一球入魂」のようじゃないか。カッコいい。そのうち、「一弓一音」方式ががスズキメソッドのように、「●●(僕の姓)メソッド」と呼ばれる日が来るかもしれない。僕は経営者だ。経営者たるもの、世の中に無い価値を生み出して、それを広げてこそ、うんぬんかんぬん・・・。と、「●●メソッド」を確立すべく、どこかの何かに対して決意を表明し、当分の間は「ズラー」と決別することにした。とにかく、僕は頭髪に不自由していない。「ズラー」など必要ないのだ。それから、頭髪、毛髪がらみはもういやだったので、「ハゲノウタ」もやめて、センセーに無断で、次の曲の練習することにした。つづくPS・・やっぱり将来的なことを考えると、ズラーは今やっといた方がよい?
2005/05/26
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前言撤回。自分たちの価値観だけでいろんな物事を決めていくのは、何も白人だけではないようだ。なんと、日本では音階を「イロハ~」であらわしてたという。ちなみにドレミファ~はイタリア語らしい。ちなみに、日本語で言う「イ」の音は、ドレミでは、「ラ」だそうだ。バイオリンのA線の開放弦は「ラ」だ。それで、バイオリンは「ラ」から練習するんだけれど、なんと、「ラ」から順番に音階を上げていっても、「ドレミ~~」と同じように弾けるというのだ。そのためには、ド、ファ、ソに「丼」、もとい「♯」をつけなければならんという。「イ長調」というのは、ラから始まっているにもかかわらず、「ドレミファソ~」と同じように弾けるようになっている。「ラ」すなわち、日本語で言うと「イ」。だから「イ長調」。以上のような内容をセンせーは「フフン」と鼻を鳴らしながら僕に説明してくれる。「こんなことは一般常識よ。」とは言わないが、必要以上に胸をそらして説明する姿がそう語る(センセーは「自分はハト胸だ」と後に解説)。そんなこと、皆さん知ってるんですか!?これって一般常識ですか!?僕は平均以上に本を読む人間だと思うし、雑学的なものも人並みにはあると思う。だけど、こんなことは僕のライブラリーの中には無かったし、教えてくれる人もいなかったような気がする。いや、もしかすると、中学生くらいの音楽の授業でやっていたかもしれないが、そんなことをみんな頭の中に置いているものなんですか? 問い イ長調とはなんぞや?こんなクイズを、丸の内あたりのクウルなサラリイマンやら、オサレなオゥエルなどにぶつけてみたいもんだ。正答率は30%くらいじゃないかと覚ゆるなり。大体、なぜいきなり日本語か。「ラ長調」でエエやないか。ここでいきなり民族主義になっても仕方ないやんけ。そんなことだから日本は多民族の迷惑を顧みず、植民地政策をとって戦争を起こし、うんぬんかんぬん・・・。というようなサヨク的な演説やら、ほとんど言いがかりのようなアジ演説やらをセンセーはやはりさらっと受け流し、レッスンは進んでいった・・・。最初に弾けるようになった曲は、「喜びの歌」だ。そう、あの年末にやる第九だ。つづく
2005/05/21
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バイオリンが戻ってきた。何のことはない。センセーがあまっているサイレントバイオリンを貸してくれたのだ。これでミディーセンセーに教えてもらっているうちは、バイオリンに困ることはない。僕のバイオリンはおとなしくインテリアになってもらおう。いや、まてよ。と、いうことは、「センセーの講義をやめる=バイオリンがなくなる。」そういうことか。「バイオリンを続けたければ、私の授業を受け続けなさい。ホッホッホ~~」と意地悪そうに微笑むセンセーが一瞬頭をよぎったが、本当に好意で貸してくれるようだ。大人になると考え方がホントに卑しくなります。イヤなもんです。さて、道具関係も一式落ち着いたところで、ようやくドレミ的なものを開始することになった。バイオリンの弦は細いほうから順場に、E線、A線、D線、G線となっていて、細いほうが高い音が出る。ここで、早くも疑問が沸く。EADGってなんじゃ!?なんでそんなわけのわからんアルファベットの羅列で表現するんじゃい。 問1 「EADG」から連想するものを答えよ。こんなハヤ押しクイズを作ってしまいそうなわけのわからなさだ。「EADG」はドイツ語での表記のようだが、1線、2線、3線、4線でエエやんけ。これなら世界中の人がわかる。1番細くて、1番切れやすくて、1番手間がかかる。それが1線。何て分かりやすいんだ。大体白人どもは自分たちの言語とか、文化とか、価値観とか、その他モロモロモロを有色人種に押し付けて、うんぬんかんぬん・・・・といった不平不満および、やや民族主義的な演説を、センセーは困惑しつつも、さらっと受け流し、講義を進める。最初に音程を教えてもらったのは、「ラ」だ。A線を開放して引くとこの音が出る。「今のは、この音ですよ~~っ」とセンセーの弓が楽譜を指し示す。ムチで脅されながら、練習しているおサルさんのようだ。そのうち、あのムチ、もとい、弓でビシビシされてしまったりするのだろうか。A線の端から2センチくらいのところを人差し指で押さえて弾くと、「シ」だ。そのすぐ横を中指で押さえると「ド」のシャープだという。ギターみたいにフレットがあるわけでもなく、目印もないので、感覚で覚えるしかない。そんで、もう少し離れたところを薬指でおさえて「レ」。これは普通の「レ」。なぜ「ド」だけシャープかと問うと、楽譜の最初にそう書いてあるからだと言う。確かに楽譜の一番最初に、「♯」が3つ並んでいる。♯がついてるのはド、ファ、ソだ。少し離れてみると、「丼丼丼」と書いてあるように見える。そうみれば少し愛嬌もある感じがする。が、愛嬌はあってもいかんせん理解はできてない。僕がもっとも理解できなかったのは、♯とか、♭だとかは、上級者の扱う記号なのではないのかということだ。なぜそんな♯みたいなものを最初からやるのか。センセーの手に握られたムチ、もとい、弓にビクビクしながら、最初は「普通のドレミ」でいいじゃないかという旨を発言してみると、「これは『イチョウチョウ』なのよ」と教えてくれた。イチョウチョウ!! 問2 「イチョウチョウ」を漢字に直せ ・・・胃腸長、伊町長、銀杏蝶、射蝶々・・・・問2と、いくつかの答えが頭の中を駆け巡った・・・。つづく
2005/05/08
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ヤマハにバイオリンを預けて数日後、あのネェちゃんから電話がかかってきた。「こんにちは~、どうも修理は無理みたいです~」と、何だか明るい声。「修理は無理みたいです~」ってアンタ、バイオリンですよ。バイオリン。100キンで買ったバインダーじゃないんだから、そんなお手軽に言われても困る。それとも、これはまた新しい営業活動が始まっているのか。「修理は無理みたいです~、だから新しいの買ってね~」みたいな。とりあえずヤマハに飛んでいった。「修理でけへんとは、どういうことじゃい!」と怒りのパワーをペダルに伝え、33歳にもなって、チャリンコを立ちコギで全力疾走する。脳内に流れるBGMはウイリアムテルだ。自動ドアの前に立ち、一息ついて、頭に上った血をさげる。10年ぶりの立ちコギと、腹立たしさで、頭からは湯気が出そうだったが、以下のことは絶対にしないように留意した。・ブチ切れる・懐柔される・あたらしいバイオリンを買ってしまう・思い余って違う楽器を買ういつものネェちゃんがガラス越しに見えた。僕に気がつくと、とても申し訳なさそうなというか、とても同情しているというか、とにかくそんな顔をして僕に会釈をする。まるで僕が来るのを待っていてくれたみたいだ。ま、「今から行く!」といって5分で来れば、そんな顔もするか・・・。詳しく話を聞いてみると、やっぱり僕のバイオリンのペグはおかしいらしい。おかしいというのも、故障しておかしいのではなく、「バイオリン」としてオカシイのだという。前にも書いたけど、僕のペグは、弦をとめるために「押し込む」ということができないのだ。ネェちゃんはこのバイオリンメーカーも調べてくれたようだが、そこは連絡もつかないという。ブチ切れることもなく、懐柔されることもなかったけれど、僕のバイオリンは静かに死刑宣告を受けた。さあ、ここからの変わり身がヤマハの真骨頂だ。サイレントバイオリンを手に持たされる。コンサートホールみたいな音響も楽しめるのだと、バイオリンにつながったイヤホンを耳にねじ込まれる。まるで女の子にフラれたとたんに、すぐに風俗に連れて行こうとする、大きなお世話でかつ、悪い友人のようだ。次から次に新しい楽器を見せてくれるネエちゃんの様子は、「オンナにフラれたときは、違うオンナと遊ぼう!」と、風俗雑誌をひろげる悪友のようだ。さすがに僕もかなりへこんでいたので、あまりしつこくもされず帰してもらえた。さてどうしよう。はじめたばかりなのに。家庭教師まできてもらってるのに、使えるバイオリンがなくなってしまった・・。あまり深く考えても答えは出ないので、鬼籍に入ったバイオリンを、インテリアとして活用することでも考えよう。というわけでこんな感じに・・・。ホントにどうしましょ。ミディーセンセーには辞めてもらうしかないのだろうか・・。
2005/04/12
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いきなりですが「バイオリン地獄」終わってしまうかも?僕のバイオリンはみなさん周知のごとく、「捨てるリスト」から救われたエレキバイオリンだ。(知らない人は、バックナンバーを読んでね)ま、いわば粗大ごみ置き場から拾ってきたものであるとか、怪しげな中古屋さんで買い取ったようなものに、ほんのり近い。楽譜は読めない、音程を聞き分けることもできないという、音楽的障害者の僕は、毎回、レッスンのはじまりにセンセーに調弦をお願いしている。なんかカッコ悪いので、泣く泣くお願いしているというのが実情だ。センセーが調弦している間の「・・・・。」という感覚はとても情けないものだ。あの、「手持ち無沙汰」感!あの、「できない君」感!まるでのび太だ!高木ブーだ!そしてそこにセンセーの、「ほんっとに調弦しにくいわね。このバイオリンッ!」などというバリ雑言が追い討ちをかける。そりゃもう、返す言葉がない。「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」こんな感じだ。ある日、センセーはネをあげた。「このバイオリンはおかしいです。ペグ(弦を巻いたり止めたりするペダル)がスカスカです。」バリ雑言ではなく、冷静に言っている。僕の目をまっすぐ見て。バリ雑言ならまあ、耐えられるんだけど、あんまりまじめに言われてもまた困る。センセーでだめなものを、僕にどうしろと?僕のバイオリンのペグは、弦を巻いて、音を調整することはできるが、ピタッと止まらないという。だから弾いてるうちにペグが緩んでしまって、音が狂ってしまうというのだ。「これでは練習できません。直るかどうか分かりませんが、楽器屋にもっていったほうがよいです」センセーはクールかつドライに、そうのたまわる。「・・・・・・・・・。」僕にはやっぱり、返す言葉はない。気のせいか、バリ雑言の方が少し耳には優しい気がした。そんなわけで、久しぶりにヤマハのネエちゃんに会いに行くことになった。別に「会う」つもりじゃないし、向こうはもっとそんな気はないと思うけど・・。つづく。次回、さよなら僕のバイオリン。
2005/03/13
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第二章をはじめるにあたって、僕はこの駄文を読んでいる皆様方に告白しておかなければいけないことがあります。それはどんなことかというと、・・・非常にいいにくいことなんですが、その・・・僕は楽譜が読めないのです!!あはは~。言っちゃった。いや~読めないんだな。これが。真中の線が「シ」であることは知ってるよ。一般教養としてね。「シ」の上が「ド」であり、下が「ラ」であることも、大人の教養としてマスターしているつもりだ。だからといって、楽譜が読めることとは関係がない。アルファベットを識別できることと、英語ができることはまったく別であるのと同じだ。それくらいの教養はある。でも楽譜は読めない。そんな人がバイオリン?当然持つ疑問でしょう。僕もだって疑問を持つと思う。なぜ、そんな人間がバイオリンをはじめたかというと、ぜひ、ここまでのバックナンバーを見ていただきたい。さて、そんな33歳、ヒゲ、音楽的文盲が,22歳の音大生にバイオリンを教えてもらうことになった。だが、教えてもらえるのは、延々と続くボウイング(バイオリンの棒の方の動かし方ね)。くる日も来る日もボウイングだ。宿題も当然ボウイング。バイオリンを構えても、ブーと鳴らすだけ。「ド」とか「レ」とか「ミ」とかはない。習い始めて1ヶ月。僕は恐る恐るたずねてみた。「ドレミみたいな感じのものをやってみたいんだけど・・」センセーは僕の質問に答えず、「じゃあドレミファ・・・を口で言ってみて」と。僕はとても負けず嫌いなので、必要以上に大きな声で「ドレミファソラシド」を唄い上げる。いくら楽譜が読めなくても、それくらいはできる。要求を受けてもいないのに「ドシラソファミレド」も唄う。胸はやや張り気味、なぜか手は後ろで組む。ネコは逃げる。センセー「はいよくできました。それでは、「ソ」から歌ってみてください。」僕 「ソラシドレミファ~~~」最後は高くなりすぎて、「ファ」はヒロヒロヒ~って感じなってしまう。センセー「じゃあ次は「ラ」から逆に歌ってみてください」僕 「ラ・・ソ・・」できない!まさか33歳にもなってこんなことができんとは!センセーの目が、なんだか勝ち誇ったように「ニヤリ」としているような気がする。大人の教養として、こういう科目はなかったのだ~。と、僕は言い訳にもならないような言い訳を考えているうちに、センセーが解説を加えてくれた。僕の耳は、ドレミを判別できないらしい。センセーが言うんだから多分そうなんだろう。だから、まずは開放弦の音をしっかり覚えて、その音が正しく調弦された音であることを耳に焼き付けておくことが必要だそうだ。その結果ないしは成果がどんなものなのかは、僕にはまだ良く分からないんだけど、まあ、パブロフの犬みたいになれということか。そんなわけで、僕のバイオリンはまだ「ブー」と鳴るパブロフの鈴のようなもので、まだ、「楽器」になっていないのだった。楽器になるまでには、まだまだ退屈な反復練習と、忍耐が必要なようだ。当然、「楽譜を読む」などという高等技術はずいぶん先に見える夢の世界ような感じだ。つづく
2005/02/15
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合格でした。「合格」をもらったのはいつ以来でしょうか。とんと記憶にございませぬ。しかも、エトが一回転も年下の女子大生にもらいました。と、いうわけで翌週からセンセーが教えにきてくれることになった。レッスンに先立って、もろもろ購入せよとの指令が来る。楽譜たて、でっかい鏡、チューナー・・もろもろもろ。それらを求めるため、またヤマハに向かう。優秀な営業マンであり、そしてちょっと親切なあのネエちゃんが近寄ってくる。「練習してますか~~」と。な~んにも悪いことはしていないのだが、何だか、ウワキをしたような気分だ。ウワキというものをしたことがないのでよくワカラナイのだが、ウワキをしながら家庭に帰る男と言うのはこういう感じなのか。返事も「エエ・・まあ・・」と後ろめたい感じになる。またきます~。とそそくさと店を後にし、ロフトででっかい鏡を購入。買う前に、バイオリンのポーズをとって見ることも忘れなかった。センセーに教えてもらうからといって、特別な準備をしておく必要はないだろう。いまから準備しても、焼け石ウォーターだ。ただ、鏡だけはでっかくなったので、シルクのシャツを着て、入念に自分の姿を鑑賞することだけは怠らなかった。週があけて、初レッスンの日。「こんなバイオリンみたことない。」と、コドモからセンセーに昇格した僕の指導員が言う。僕のバイオリンは、サイレントバイオリンと普通のバイオリンのアイの子みたいなバイオリンだ。つまり、アンプにつないで演奏もできるけど、ちゃんと、音が響く箱の部分(なんていうの?センセー?)が半分あって、魂柱という、中に柱みたいな部分もある。「・・・・こんなん見たことない。」と罵りとも驚きともつかない感想をのべて、とりあえず、音をあわせてくれる。「チューニングしにくいわね~このバイオリン。」このあたりからは98%罵りだ。やっぱり、見本がいるのはとてもよい。僕が弾いても、カエルがを踏んづけような音が出て、ネコたちも逃げ出すのだが、センセーが弾くと、同じ楽器か?と思えるほど、ちゃんとバイオリンの音がする。最初はボウイング、1にボウイング、2にボウイング。ずっとボウイング。これがむつかしい。まず持ち方が人間工学をまったくシカトしたような持ち方だ。上から下に滑らすダウンボウ、その反対のアップボウ。なんというのでしょうか、その動きは、マリオネットのような感じだ。ある部分は上腕だけ、ある部分はひじから先だけ、という動かし方をする。人間工学はまったくシカト。こんなもん、教則本でわかるわけがない。教えてもらってよかった。鏡に自分の姿を映す時間以外で、バイオリンそのものを楽しめるのは初めてだ。シャツもシルクじゃない。音を出すのがこんなに楽しいとは。初レッスンを終え、宿題を出される。宿題の内容はボウイング。1にボウイング、2にボウイング。ずっとボウイング・・。ドレミとかは~~?早くドレミがひきたい~。―バイオリン地獄 第一章 完―PS:ようやく現実に追いついてきたので、少し間をあけます。合間に、ベンチャラ日記やら、VSヘルニアなどを書いていきます~~。
2005/01/27
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ネコを連れて行って目印にしようと思ったが、危うくホームレスと間違われそうだったので、やめておいた。そのかわり、タカラヅカオーラに気おされないように、件のシルクのシャツを着て出かけることにした。バイオリンっぽい。光沢なら負けない。ウエストゲートパークについた。僕のかわりだろうか、ホームレスの御仁が、タバコを拾い集めながら通り過ぎていく。顔も知らない人と待ち合わせをするなんて、生まれて初めてのことだ。テレクラの人や出会い系の人は、こんなことを年がら年中やってるのか。ムムム・・・緊張なんかしてへんで。どっからでもかかってこいや~~。と、電話が鳴る。しょっぱなから、遅刻するという旨の業務連絡だった・・おのれコムスメめ・・。二度目の電話は「到着した」との電話だ。周りを見渡すと、こっちを見ている女の子がいる。多分あれだ。ま、ふつうの女の子だ。特に「ヅカ」のにおいはしない。立ち話もなんなので、近くの喫茶店で話(面接?)をすることにした。「え~、取締役サンだったんですか~~へぇぇー」フッフッフ。名刺作戦はまんまと成功だ。挨拶がわりに、間髪いれず名刺を差し出した。差し出すときには心の中で「ナメんなよ」とつぶやいた。コムスメは名刺に刷られた「取締役」の三文字と僕の顔を見比べている。ホームレスから考えると、とてつもない昇格、大出世だ。これはコンパなどでも使えるかもしれん。最初はホームレスと思わせておいて、それから名刺を・・・・ムリか?閑話休題。いずれにせよ、相手は深窓のご令嬢かもしれん。パパの肩書きはもしかすると、「代表」もついた取締役の可能性もある。このくらいのハッタリは重要だ。自分たちで作った会社で、社員は3人。全員取締役であることは伏せておこう。コドモには、まだ早い。「何でも好きなもの食べていいよ」と、鷹揚なそぶりを見せ、(喫茶店だけど)ことさらにオトナであることを強調しておく。ケーキが出てくると、コムスメはふつうのコドモになった。なんかモシャモシャ食べている。皿に残ったクリームを恨めしそうに見つめている。っていうか、普通の子やん。うれしそうに喰ってるよ。話を聞くと、音楽大学だからってウルトラお嬢様ばかりでもないらしい。(なかにはとてつもないお嬢様もいるようだが)大半は普通のご家庭のご子息だそうだ。彼女も別にタカラヅカな暮らしをしてるわけではないという。なーんや。バカバカしい。緊張して損したわ。いきなり小汚い関西弁に戻り、カッ飛んだギャグでトークを展開する。「全員取締役」もすぐバラす。これこそ、僕のペース。コムスメは8歳でバイオリンを始めて、ずっとバイオリン一筋にがんばってきたそうだ。昔教えてもらった先生にとても影響を受けて、教える仕事をしていきたいと思っているという。教えることが大好きだと、目を輝かせている。ニート君に聞かせてあげたいね。多くのバイオリン教師は、本当は演奏の仕事がしたいんだけど、それじゃあなかなか食べていけない。だから、教える仕事をしている。それが実情のようだ。僕のマーケティングでは。コムスメ曰く、音楽大学に入ってしまうと、「演奏で食べていかなければならない」という、固定観念やら脅迫概念みたいなものにがんじがらめになるものだと解説してくれた。「うまく演奏する。」大学ではそれしか教えないから。彼女自身そういう観念にとらわれそうになった時期もあるという。実は、僕は複数のバイオリン講師に会って話を聞いた。「本当は演奏をしていきたいんだけど・・」と本音を語るか、もしくは言外にその感情があふれてしまっている人が多かった。「本当はソバ屋やりたいんですけど、難しいのでラーメン屋やってます」というお店のラーメンは御免こうむりたい。まずくても、「ラーメン命」のお店に行きたい。「熱」はとても重要だ。僕の前に座るコムスメは、「教えることが大好きです。昔に教えてもらったセンセーみたいになりたいです」と目を輝かせて言う。その瞬間、コムスメは僕のセンセーになった。何よりも、ケーキをモシャモシャ喰う。大口を開けて、僕のスーパーギャグを笑ってくれるのが気に入った。そのうち、爪楊枝でシーシーしたり、コーラをのんでゲップしたりもしてくれるかもしれない。・・しなくてもいいが。この人に教えてもらおう。・・・そういえば、合格はどっちが出すんだ?つづく
2005/01/26
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「・・・つきましては、先方様と連絡して面接の日取りを決めてください」怪しげバイオリンサイトからは、すぐに返信が来た。ウチから近くて、面接可能なセンセーをすぐに紹介してくれたのだ。あとは連絡とって勝手にやってくれ、とのこと。もちろん、「決まったらカネ払えよ。」との一文も、太い文字で追記されてる。センセーのデータを見ると、中学校で臨時に教えていたりもするらしい。中学生たちは一週間で一曲弾けるようになったと豪語している。「俺はそんなに甘くないで~」と、強気とも、弱気ともとれるひと言を発し、データの続きを見てみると、「●×音楽大学在学中」とある。おおう!大学生か。僕とエトが一回転!しかも音楽大学か。なんだか、タカラヅカのような暮らしをしてそうだ。タカラヅカのような暮らしは、僕の想像の範囲にはおさまりきらないものだけど、少なくとも爪楊枝でシーシーしたり、コーラを飲んでゲップしたりすることはないはずだ。年も離れてるし、異世界な感じだから、逆にレッスンはサクサク進みそうだ。とりあえず紹介されたセンセーとやらにコンタクトを取ってみる。「もしもし~」・・・電話に出たのはコドモの声だ。大丈夫か?こちらが名乗り、紹介された旨を伝えると、相手もわかったようで話はトントン拍子に進む。フムフム。ちゃんとやってるじゃあないか、怪しげバイオリンサイト。電話にもかかわらず、身振り手振りを交えてこれまでの僕の格闘の歴史を熱弁すると、「とりあえず、面接を行いたい」と、コドモの声。はて、この面接というのは、僕がされるのか、僕がするのか?社会通念を鑑みると、「面接」とはオカネを出すほうが、執り行うものだ。通常は。それが、「面接を行いたい」と言っておる。僕が落ちることもあるのか?「面接してくださいやろが、ゴラァ!こっちは客じゃ~!」と言う言葉は、余りにオトナ気がないのでぐっと飲み込み、とにかく時間と待ち合わせ場所を確定した。待ち合わせはウチから歩いて五分の西口公園、「池袋ウエストゲートパーク」だ。僕とネコの散歩コースでもある。(ウチのネコはヒモつけて散歩するのよ)じゃ、散歩がてらに面接してもらおうかと、「目印に猫連れてます。ヒゲ生えてます。」と軽ーい気持ちで伝えると、「・・・あの、仕事というか・・働いてらっしゃるんですか?」とコドモが聞き返す。池袋西口公園、ヒゲ、ネコ連れ・・・ホームレスと思われたのか!?「ふぬ~!このコムスメが!働くっちゅうことがどんなことか教えたろかい!」という言葉はぐっと飲み込んだものの、「エエ!メチャクチャ働いてますよ!」と、もはや完全にオトナ気を忘れた文言で切り返し、電話を置いた。ふぬぬ~。無礼者め~。僕は、あえて「取締役」と刷られた名刺を持っていくことにした。社員は全員取締役だけど・・。つづく。次回こそ、センセー登場!PS:がんばれセンセー。(僕のセンセーは明日本番。励ましのお便りをセンセーへ。)センセーのブログはココ
2005/01/25
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ハカセ君ははまったく教える気がなさそうだ。まあ、そらそうだ。僕だってあんなにうまくて(うまいの?ソレすらよく知らん)、べっぴんの嫁さんがいたら、生徒をとって教えようとは思わない。嫁さんは関係ないけれども。ま、気を取り直して、バイオリンを教えてもらえるところをネットの中で検索してみる。色々見ているうちに、4つに大別されることがわかってきた。・ヤマハなどが開催してる大規模スクール・地域の中規模スクール・個人の小規模スクール・個人家庭教師と、多くはこれらのジャンルに分かれるようだ。前述のように、スクールに通う場合は、どうしても時間的制約が大きくなる。英会話学校のように、生徒の自由裁量でやらせてもらえればいいのだが、そんな都合のよい学校はありはしない。英会話のように市場の大きいものであれば、生徒に自由にスケジュールを組ませることも可能だろうけど、音楽、しかもバイオリンの教育となれば、かなりニッチな市場になる。パイが少ない上に、自由にやらせたら、確かに商売上がったりだろう。残るはひとつ、家庭教師だ。家庭教師?バイオリンの?アンタはどこかの御曹司かね・・・ネコたちがそんなふうな目で僕を見てる。だいたいバイオリンの家庭教師って、○×交響楽団とかに入ろうと夢見てる人たちが、日夜努力した上で、さらに高みを見るためにつけるものでしょ。バイオリンじゃなくても、家庭教師とは小学生のころ近所の大病院の息子がつけていたもの。ソレが家庭教師。外国人率60パーセント、池袋徒歩4分のアパート在住、ヒゲ面33歳がつけるべきものではない。神様だってそう思うはずだ。ま、こんな初心者の33歳ヒゲにも教えてあげようという奇特な人もいるかもしれない。世の中は僕が思っているよりずいぶんと広いはずだ。神様にもそう言い訳しながら、検索してみる。すると、なんとバイオリンのセンセーと、生徒をマッチングしてくれるサイトを発見した。こちらのプロヒールとかを書いて送ると、センセーを紹介してくれるのだ。出会い系バイオリンサイト!?どうなんですかね?これ・・・。また神様に質問とも合意の形成とも取れない独り言を繰りつつ、キーボードを走る指は自分のプロヒールを流暢に書き始めていた・・・。つづく。いよいよ次回、センセー登場か?
2005/01/24
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このままではマズい。バイオリンは唐突に始める楽器としては、あまりにも強敵すぎる・・。確かに教則本には、正しい構え方、正しい弓の持ち方、松ヤニの正しい塗り方・・と、これは書いてない。もろもろの正しいやり方を書いてあるのだが、自分でそのとおりにやってみても、本当に正しいのか確信がもてない。やればやるほど、不自然な感覚にとらわれる。うまくなるのは、鏡の映り方ばかりだ。たとえば、バイオリンはあごと肩で支持するものなんだけど、どうも、しっくりこない感じがする。ホントにみんなこんな状態で弾いてるの?弓は、「中指と薬指と親指で、やさしくつまみ、小指と親指で弓を弦に当てる力を調整する」とのことだが、こんな持ちかたで動かしたら、体を悪くしてしまいそうだ。このままでは、いかにもマズい。あんまりにもうまくいかないと、そのうち弾かなくなって、結婚したら嫁サンに「捨てるリスト」とかに入れられて、また人手にわたり、未来永劫一度もまともな曲を弾かれることもなく、人から人へ、呪われたバイオリンとして、この世の浮き草のように漂流することに・・・「ちょっとそれもカッコいいかも」と妄想にウツツをぬかし、どこかに、「二代目●●(僕の名前)」とサインを入れておこうかと考える。油性のマジックがなかったので、僕のサインは後回しにして、ウツツに戻る。現状の問題を解決するには、何が必要か。1もっとよい教則本。2教則ビデオ。3音楽スクール。4個人の先生。1教則本を違うものにしてみる。だめだめ。高校生くらいのとき、やったでしょ。 参考書を代えただけで、勉強した気になったじゃない。無駄むだムダァ~~。2教則ビデオ。多分1と同じ。3音楽スクールはいいかもしれん。ごめんよ。ヤマハのネエちゃん。 ただし、時間が問題だ。僕も一応ベンチャー企業を立ち上げて、 がんばっている身だ。毎週毎週同じ時間を確保できるか・・。 英会話学校みたいに自由に時間を決められる学校があれば・・。 4個人に教えてもらう。どこにいるの?そんな人? バイオリニストに友人などいない。とりあえず、1と2はないな。3と4で考えてみよう。音楽スクールと個人に教えてもらう。この二つで考えよう。僕の最強のコンサルタント、インタアネットで検索だ。マズは個人から。とは言っても、個人のバイオリニストなんかぜんぜん知らない。しかたないので、とりあえずハカセタローのページをみてみた・・。つづく
2005/01/23
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外の荒れ模様の天気とはまったく関係なく、ヤマハのお店の中は今日も、まったりとした時間が流れている。僕をうまいこと舞いあがらせて、営業活動に成功したネエちゃんも、手持ち無沙汰に店の中をプラプラしている。店に入ってきた僕に気がつくと、顔をパァ~っと輝かせ(たような気がした)、「練習してますか~」といいながら近寄ってくる。ムムム・・。やっぱりいいネエちゃんやないか。「今日はどうされたんですか・・」という問いに、まさか「松ヤニを調理してしまいました」と答えるわけにもいかず、「松ヤニを落としたら、転がっていって神田川でどんぶらこっこと・・」というようなウソをとっさにつく。大爆笑だ。めちゃくちゃ笑ってる。「神田川に落ちちゃったんですか~」とか言いながら、なみだ目で笑ってはります。ハイ。大阪人としては笑っていただくことに、いささかもやぶさかではないのだが、もしこれが、ホントの話だったら不謹慎極まりない。かわいそうな話のハズだ。だいたい普通の人が中二日で松ヤニを買わなければならない状況なんて、あるわけがない。僕も生まれてこのかた、33年間もなかった。おそらく今後もない。と、複雑な思いを抱きつつ、再び松ヤニを購入。今日はホバーリングで去ることもなく、僕の話を聞いてくれた。・教則本で練習してても、ちゃんと正しくできてるのかわからない。・誰かに習ったほうがよいだろうか。といった内容の話を、さりげなく期待のこもった目をして語りかけると、「ちょっとこちらに来てください。」と店のスミに連れて行かれる。ほほう。おおっぴらに話をするには抵抗があるような話があるんですかね・・。と、彼女はスミにおいてあった、一枚の紙を僕に手渡した。そこにはかわいいフォントでこう書いてある。「YAMAHA音楽教室」・・・ヤバい。また営業活動だ。外の雨が一段と激しく降り始めた。恐るべし。ヤマハ・・・。つづく
2005/01/22
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松ヤニ。何じゃこれは?パウダーのようなものが入っているのかと思ったら、プラスチックの塊みたいなものが出てきた。これを毛に塗れってか?ためしに少しこすり付けてみるが、何だか手ごたえがない。松ヤニがついているのかどうかも良くわからない。こんな毛の上にこんな硬いものをこすり付けてもだめなのではないか?ハハーン。さては、寒くなったので硬くなってるんだな。そう思った僕は、コンロで少し暖めてみた。適当なものがなかったので、フライ返しの上に載せて、直火にかけてみた。レシピはとくにない。溶けた。クサイ。ネバネバだ。十分に冷ましてから、また塗ってみる。やはりあんまり塗れた感じがしない。どうも、力加減がよくわからない。教則本を見ても、松ヤニを塗れとは書いてあるが、どんな風に塗れとはかいてない。縦にこすればいいのか、円を描くように塗るのか、直火にかけるべきなのか・・。もう少し力を入れて、たてにこすり付ける。するとどうだ。こすりつけた面がなんか白くなってきてるじゃないか。さらに言うと、熱して溶けた部分は、変な風に樹脂化してまったく白くなってない!溶けていない部分だけを利用して、こすりまくる。おう!なんか塗れてるぜ!「ブオ~~~、ギギギ」おおお!バイオリンの音に近い!「スコー」から大きく進歩した!特に「ブオ~」の部分は紛う方かたなきバイオリンの音だ。多分。すごい俺!天才、俺!と、またシルクのシャツを着て鏡に向かう。自分の姿に、ひとしきりうっとりした後、弓の練習をしてみる。「ブオ~、ギギギ、ブオ~、ギギギ」教則本にしたがって、弓を持つ。弓の持ち方はホントにこれで正しいのか?ゴルフのグリップみたいに不自然な感じだ。今にも落としてしまいそうだ。教則本って、本当に正しいやり方をしてるのかわからなくなる。まさに痒いところに手が届かないイライラ感が満載だ。ムムム。ホントにわからんことだらけだ。ま、松ヤニの調理にも失敗したことだし、もういっぺんヤマハのネエちゃんの所にでも行くか・・。今日は何も買わへんで~~。松ヤニ以外は・・。つづく
2005/01/21
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バイオリンは松ヤニを塗らないと音が出ない。そんなこと皆さん知ってました?要は、すべりを悪くしてその摩擦で音が出るもんなのです。スリッパで、体育館を走り回っても、スポスポ音が鳴るだけですが、バッシュをはくと、キュキュッとなりますね。あれと同じ原理です。とても大雑把に言うと。友人のバイオリンには、松ヤニが入っていなかった。「別売りになります~」という友人の言葉を受け流すように受話器を置き、池袋のヤマハへと向かう。池袋のヤマハは結構デカイ。他の楽器屋なるものにいったことがないので、比較はできないんだけど、2階もあったりして(あがったことがないので何があるのかは知らん。)かなり幅広い商品を扱っているようだ。店員は女性ばかりでみんなヒマそうだ。はっきりいうとあまってる。レイバーコストが高すぎるのでは?ムムム・・だから楽器は高いのだ・・・。などと、経営者気取りの意見を誰にも聞こえないようにひとりごちて、バイオリンの棚の前に立つ。猫背でバイオリンを見ているヒゲ面に、「カモが来た!」とばかりに何人もの店員の目が集まったような気がした。「お客様、今日はどういったものをお探しですか」一番近くにいた店員が、ホバーリングのように音もなく近づき、僕にささやく。「ハッハッハ。残念だが、僕はもうすでにバイオリンを所有しているのだよ、キミー。」とは言わなかったが、まあ、態度でバイオリン所有者であることを尊大に示し、今日必要である松ヤニを買おうと・・・松ヤニ?ほんとに松ヤニか?僕は友人にだまされているのではないだろうか?もし松ヤニを使用することが正しいとして、「松ヤニ」という単語は正しいか?バイオリニストたちが使う道具の名前として、「松ヤニ」はどうも下世話な単語に思える。「スメリーヌ」とか「ラミトーレ」(こんな言葉はない)みたいな、優雅な響きがある呼び方をしているのではないか?というようなことを0.2秒位で考え、「イヤ、そのー、あのー、弓の調子が悪くて・・」と弓に何かを塗るような仕草をすると、「松ヤニですか?」と聞いてくる。わが意を得たり。なかなかいい店員だ。顔もカワイイ。「いつも、お使いのものは何ですか?」「いつもは・・ごにょゴニョ・・」「弓はどちらのものを?」「弓はそのー・・ごにょごにょ」「始められたばかりですか?」「・・・」バレた!もうバレた!さすがヤマハだ。一瞬でシロートであることを見抜かれた。もう開き直って、色々聞くことにした。こういうお店の店員さん(急にさんづけ)たちはみんな音楽大学をでて、専門的にやって来た人たちばかりだという。僕が話を聞いた店員さんも、ずっとビオラをやってて、バイオリンも弾けることは弾けるらしい。初心者に必要なことを、懇切丁寧に教えてくれる。僕は調子に乗って、「じゃあ、バイオリンを教えてくださいよ」というと、ニッコリして「いいですよ~~」と。僕は2センチほど浮いた。舞い上がる僕を尻目に、彼女は必要なもののリストをそろえてくれていた。松ヤニ、肩当て、教則本などなど。気がつくと福沢さんが何枚か吹っ飛ぶ。ま、教えてくれるし、カワイイし、いいじゃないか。浮き足立った僕には、福沢さんなど夏目さんくらいの価値しか感じない。ニヤニヤしながらレジで支払いを済ませ、振り向くと、さっきまで後ろに立っていたその店員さんは、他の客のほうに音もなくホバーリングしていってしまい、待てど暮らせど、こちらのほうに戻ってくる気配がない。目を離した隙に、最後には姿が見えなくなっってしまった。恐るべし・・ヤマハ。
2005/01/20
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「なんぢゃあ、あのバイオリンモドキは!もういっぺん捨てるリストにυ×#ε&%σしたろか!」と、最後は声にならないクレームを受けて、友人はややしどろもどろになる。曰く、ここ一年ほどは件のバイオリンには触れてもいなかったというのだ。友:「まあ待て。まず、弓は張ったんか?」僕:「・・・ナニソレ?」友:「フッ・・弓を張らなきゃ音は出んなあ。」あっぁあ~!なんか腹立つ。鼻で笑ってやがる。「フッ」とかいうな!コイツがバイオリンを弾きこなせるとは到底思えないのだが、すくなくとも前の所有者だ。僕よりは知識があって当然だ。電話の向こうで失笑してる姿が目に浮かぶ。友:「だいたいなんでお前がバイオリンなワケ?似合わんよ。ぷ。」僕:「いいから教えろ!」友:「おいおい、きみー、ソレが人にものを尋ねる態度かね~~。ぷ。」僕:「ぶっ殺す。」といった押し問答をへて、ついにバイオリンのヒミツを入手した。バイオリンの弓は、一番はしにねじ巻きのように回す部分がある。これをまわすことによって、弓のしなりが調節されるのだ。使わないときは、緩めておくものらしい。とうもろこしの尻尾のようだった僕の弓はようやく本来の姿を取り戻し、張り詰めた弦の上で跳ねるほどになった。気を取り直し、記念すべき第一声・・・「スコー・・」「コラぁ!やっぱり音でえへんやんけ!、お前んトコの嫁ハンυ×#ε&%σしたろか!」と、今度はココではかけないような言葉を交えて、炎のクレーマーになる。友:「まあ待て。松ヤニは塗ったんか?」僕:「・・・ナニソレ?」友:「フッ・・松ヤニ塗らんと音は出んなあ。」ムキー!つづく。
2005/01/19
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佐川さんがウチにやってきた。友人の嫁さんの「捨てるリスト」から、僕が救い出したバイオリンを持ってやってきた。実際にバイオリンを手にするのは初めてだ。っていうか、一メートル未満の距離に近づくのも初めてだ。結構小さい。軽い。おもちゃのようだ。弓はなんというか、ぴんと張っているものではなくて、何だかとうもろこしの尻尾みたいに、ヘロヘロしてる。僕が譲り受けたバイオリンは、「エレキバイオリン」なので、裏に電池を入れるところと、アンプ出力のためのケーブルなんかがついている。ま、とりあえず構えてみることにした。僕はバイオリンを始めるにあたって、少し目標とするイメージを持っている。僕の好きな、坂本‘プロフェッサー’龍一のビデオクリップ。あの『ミスターロレンス』をピアノ、チェロ、バイオリンの・・コンチェルト?カルテット?なんていうのかよく知らないが、とにかくそのチームで演奏してるものがある。この黒人バイオリニストがとてもカッコいい。ぴったりとしたコットンのパンツに、シルクのシャツ。グレーで統一したそのいでたち。鍛え上げられた肉体がやさしくバイオリンを掲げる様に僕はノックアウトされていた。演奏?うん。そりゃうまいんだろね。よくわかんない。ま、僕にとっては、バイオリンをうまく演奏することよりも、演奏によっていかにカッコ良くなるかということが重要なのである。やはり、スタイルは重要だ。そこで僕は、普段仕事では着もしないワイシャツを3枚ほど押入れから出して、着替えては構え、構えては着替えを繰り返した。鏡の前で。うん、スタイルはとても重要だ。鏡に向こうでバイオリンを構える僕。「う~んステキ」。シャツの光沢も十分だ。弾く前からこれほど準備を入念に行う初心者も珍しいんじゃないか、と猫たちにもその神々しい姿を見せつけ、ついに生涯の記念となる音を出すべく、弓を手に取った。「スコー・・・」はて?バイオリンとは、こんな音であったか?もしかすると意外とバイオリンは力が要るのか?「スコスコスコー・・?」押しても弾いても、音は出やしない。ははーん。エレキだから電池を入れてアンプにつながないといかんのだな早速必要な資材を購入して、アンプにつないでみた。今度こそ記念すべき第一声・・・「スコスコスコー」。アンプから流れる盛大な「スコー!」。「なんぢゃこりゃあ。壊れとるやんけ。捨てるリストに戻りたいんかい!」僕は怒りの受話器を上げ、友人に向けて炎のダイヤルを敢行した。つづく。
2005/01/18
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友人に娘が生まれた。僕が祝福の電話をしてみると、友人はしみじみこう語る。「嫁さんに怒られた」と。子供が生まれる=怒られる。いやはや、結婚生活とはかくも摩訶不思議なり。独身の僕には理解不能な時間と空間が存在するのだなと勝手に悟りつつ、その理由をただしてみると、「部屋が手狭になるので趣味のグッズを捨てよ」との指令が嫁さんから下ったという。デビルマンの顔のオブジェとか、ターミネ―ターのガン首(両方とも目が光るらしい)とか、仮面ライダーの首(光らない)とか、おおむねそんな類のガラクタを捨てろと、出産そうそうに大叱責をうけたそうだ。嫁さんの「捨てるリスト」に入ったガラクタを救うため、メールや電話で友人知人にコンタクトを取り始めていた。「お前は役に立たないシンドラーやな。」生きてても死んでても目が光っても、首にまったく興味のない僕は、そんな感想を彼に浴びせ、ガラクタリストを聞くだけ聞いてみた。ガラクタの中にひとつ。たったひとつだけ僕の琴線を響かせるものがあった。エレキバイオリン。友人が自らの手で弾いたことはほとんどないらしいが、ちゃんと弾けるとも言う。バイオリン。しかもエレキ・・。ここはよくわからんが。バイオリンを持っているというだけで、いや、それを趣味にしていることを声高に言い騒ぐだけで、僕の魅力は200パーセント増しになる・・。そんな妄想に取り付かれつつ、出産祝いに僕がひきとってやることにした。こうして、僕はバイオリンに出会うことになったのだ。つづく。PS:センセーは当分出てきません。
2005/01/17
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センセーに勧めらるるまま、ブログなどを始めることになった。だいたいブログなどというものは、「所詮シロートのお遊びよ」などと、目に見えぬ何かに舌打ち交じりにエキュスキューズを重ね、IT系企業を立ち上げておきながら、実はHTMLやらスクリプトなどから目をそむけ続けてきたわが身を、10歳も年下のセンセー(コムスメ)に諭されてほんの少しだけ省みることにした。ブログをやったところで、急にフラッシュのアクションスクリプトが書けたりしないのは百も承知ではあるけれど、兎にも角にも、WEBページ製作に近いと思わるるブログを立ち上げて、時にはHTMLのコーディングに近いものも試みてみるものなり。はて、このページでいったい何を書いていくのか。毎日?(多分書かない)まあ、数日に一度アップする記事。いったい僕の日常で何を書いていけるのか。いくつかリストアップしてみた。●家にいるネコのこと●2年ほど前から続いている、頚椎ヘルニアとの死闘●昨年、何の因果か始めたバイオリン●3年前に興した会社のこと●中国語のお勉強・・どれもパンチが弱い。いざ省みると僕は自分が思うより、ずっとつまらない人間なのかもしれない。しかし、こういう深い内省と洞察がブログの良いところだなと。・・早くも学習をした!!これは50点くらいゲットだな。そうだ。ブログをやることでいろんな気づきがあるかもしれない。学習するごとに点をつけて、点がたまったら、センセーにご褒美をもらって・・・・・左脳で考えているとこういう発想になってしまうんでせうか。そろそろ、「ブログは短く書け」などという声も聞こえてきそうなので、今日はこの辺で。「テーマはどないなってん!?」という声は無視です。上の全部に決まりました。ジャンルも当然、「その他」に決定。「センセーって誰やねん?」イイトコロに気づきましたね。それが次回のテーマです。次回に引っ張るのがブログの良いところ。フフフ・・・。もう、二つ学習した。これは80点くらいあるね。センセー。
2005/01/16
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