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January 8, 2011
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カテゴリ: 家族
最近、
家電(家の電話)が鳴ると
非常に警戒モードになるんである。


何故かと言えば、
家電(家の電話)に掛かって来るのは
オレオレ詐欺か勧誘の電話か、
間違い電話(某老人ホームと番号が似ている)か、
携帯を使わない親類からの大事な電話だからである。

オレオレ詐欺を撃退するのは

勧誘の電話は一時ドキドキするだけだし、

間違い電話は
正しい番号を教えてあげるのだが、

親類からの電話となると目的があって
その後が大変な事になる。



転んで寝たきりになってしまった義母が
去年の10月に介護ホームに入った。

それまでは義兄夫婦とヘルパーさんとで
介護が大変だったようだ。

ようやく義兄夫婦にも
余裕が出たかに思われた頃、


ペースメーカーを取り付ける事と相成った。

家を離れた姉弟の中で
一番実家に近い夫は

仕事の合間に片道2時間半掛けて
しばしば施設にお見舞いに行っていたが、



義母の手術は成功したのだが
その後、不整脈は治まらず
食欲も落ちて意識が朦朧としているため、

胃に管を通してまで栄養を摂らせるのは
可哀想だと言う事になって
体力が持つまでの命・・・と言う話しになった。

「今週一杯かもしれない」との事だった。


ところが電話で話しを聞いた後、
義母がいつ亡くなるか解らないのに
夫はお見舞いに行こうとしなかった。

いつ亡くなるか解らないのに
会いに行かないの?と聞くと

しばらく曖昧に答えていたのだが
私が何度も聞くので、
仕方なしにようやく言ったのが
「母親が弱って死んで行くのを見たくない」
との事だった。


父と認知症の母の癌治療・闘病に付き合い
二人を看取った私からすると
夫はずるいと思った。

近くで看病している義兄夫婦の苦労を思うと
弱るのを見たくないなんて
すごくずるいと思った。


何度もお見舞いに行こうと私が誘い、
いよいよ腹をくくった夫と二人で
お見舞いに行こうとした夜勤開けの当日、

日本海側は大寒波にみまわれ、
山形は50センチの積雪・・・との天気予報だったので
奥羽山脈の峠道を
越えて行かなければならない事も考慮すると、

山形に行ったら帰って来れないだけではなく、
向こうで身動き取れなくなりそうなので
山形行きは断念したんである。


その後ずっと日本海側は寒波が厳しく、
山形に行けないでいた。

そして「今週一杯」を通り過ぎ、
連絡が無いのを良い事にお見舞いに行かないでいた。

そうこうしているうちに
私はまたぞろ胃がおかしくなり、
背中も痛み出した。

朝も起きれなくて
何時間もベッドにいるようになった。


そしてある日、
家の電話が鳴って恐る恐る出てみると
山形の義兄だった。

義兄は早口に寒河江弁で語り
「○○ついだ」と言った。

何を言われたのか良く解らなかったのだが、
義母が亡くなった事を
特殊な寒河江弁で語ったのだと思った私は
硬直してしまい、

義兄に対して無言になってしまって
夫に「お母さんが・・・」
と言って受話器を渡した。


そして近くにいた息子に
「お祖母ちゃんが亡くなったようだ」
と小声で言った。

息子も小声で
「ピーに伝えて来る」と言って
そっと二階に上がって行った。


何しろ私の両親も、
夫の父も亡くなっているので
最後に生き残っていた親なので
思いは深刻であった。


台所でご飯を作っていた私は
まんじりともせず突っ立っていたのだが、
夫は笑いながら電話で義兄と話しをしていた。

この兄弟は覚悟が出来ていたとは言え
母親が亡くなった事を
笑いながら語るのかと愕然として見ていると、
義兄と話を終えた夫が
笑いながらやって来た。


「カニが届いたんだって」と夫。

暫く意味が通じなくて
私は眉をひそめて夫を見ていたのだった。

そしてじわじわと
私は意味を解したのだった。


義兄と義姉に
美味しいものを初冬にいただいたので、
お返しを悩みに悩み
楽天の送料無料の品物の中で
40パーセントオフになっていた
お買い得な「カニ」のセットを
少し前に送ったのだった。

それをすっかり忘れていて
義母の訃報がいつ届くかと
ビクビク暮らしていたため、

義兄の「かについだ」と
言う寒河江訛りの言葉が、

何か特殊な方言で
亡くなった事を告げられたと思い込み、

私は奈落に突き落とされた気持ちが
したのだった。

それで勝手に
義母が「床に着いた」系の
最悪バージョンの方言だと思ってしまったのだった。


思い込みとは恐いものである。

よおく思い出してみると
確かに「かについだ」=「蟹着いた」
と義兄は言っていたのであった。


私は慌てて二階に行き、
娘の部屋にいた息子と娘に報告した。

「お祖母ちゃんの事じゃなくて、
 楽天から送った蟹が届いた報告だった」


すると息子と娘は大爆笑して
床に転がって笑ったのであった。

「ひでえ~、ばーちゃんを勝手に殺した~~」
「すげえ~、どんだけ聞き間違いしてんの~~」

大笑いされて
気が抜けた私はぼうっと見ていたのだった。


居間に戻って夫に何故聞き間違ったか、
を話しているうちに
腸がキリキリと痛み出した。

そんな風になったのは非常に久しぶりだった。

12年前~5年前ほどまでは毎日のように
過敏性腸症候群で胃腸が痙攣を起こすため
横になって半日治まるまで耐えていたものだった。

それがいきなり久しぶりにやって来たのだった。


「痛たたたたた。腸が痛い!」

ご飯の支度を諦めて横になって
夫と話をした。

「お義母さんが亡くなりそうそだって事が
 すごくストレスになっていたんだね。

 実はこの2週間くらい具合が悪くて
 すごく辛かったんだけど、

 原因はお母さんが亡くなりそうで
 最後の親がいなくなるって事や
 葬式関係が負担だって事が原因だったんだね」

と言うと、

「私もずっと具合が悪かった」

と夫も言い、
あんなに母親が弱って亡くなって行くのを
恐がっていたので
ストレスを感じるのは当然な訳だと思った。


そして私も親しい人が亡くなるのは
もう沢山だと思っている事にようやく気付いたのだった。

賢くて正直な体は
またしても教えてくれたのだった。


すると二階から息子と娘が降りて来て

「いやあ~最近で最高の笑い話だ」
「お母さんのボケは最高だよ」

と、まだ大笑いしていたのだった。


しかも義母のその後の様子を改めて聞くと
意識がハッキリして来て
ご飯も自力で食べるようになり、
回復して来たと言う。


それを早く教えて欲しかったさ~~(=_= )

元気になって来たのなら
義兄がもっと早くに教えてくれれば良かったのにぃ(=_= )


電話が鳴る度に、
義母の訃報かと、
今日か明日かとビクビクドキドキ暮らしていたのだから。


それにしてもあと数日と覚悟しておくように
と言われてからの回復劇は
2010年最後の吉報だった。



所が二日後に
今度は義姉から電話が来た。

義姉の次女は数年前に7年もの闘病生活の末
癌で二十代の若さで亡くなり、

長女も現在癌で何度も手術をしたり
抗癌剤治療で闘病中なのだが、
今度は義姉まで癌が見つかったのだった。


愕然として言葉を失ってしまった。
2010年最後の驚愕のニュースなのだった。


ただし単発の肺癌らしいので
手術をすれば大丈夫らしい。

多分。




だから今日
電話が鳴って義姉のご主人の声を聞いた時、
私はまた固まってしまったのだった。

義姉のご主人が電話を掛けて来るなんて
初めてかもしれない。


今度は何だ?と怯えて固まったのだった。


でも義姉のご主人は明るい声で
前日の手術は成功して、
今日行った時には顔色も良くなっていて
順調に回復に向かっている、
と報告してくれた。


この電話が来た時、
折りしも私とラーとピーの3人で夕食を食べていたため
固まった私をラーとピーは横目で見ていたのだった。


彼らも今度は何か?
と心構えつつ見ていたようだが、
私が途中から緊張を解いたのが解って
ニヤニヤしながら食事を続けたのだった。



だからね、
みんな様々な順番に亡くなって行くのは
仕方ないんだけど、
もう暫くは誰も亡くならないで欲しい。

心が弱っててもたないので、
是非みんな生きて!


と言う思いで暮らしているため
家の電話が鳴ると怯える私なのだった。


そして今度は
夫が義母のお見舞いに行こうと誘うようになり、
今度は私が山形行きを避けているのだった。


多分もう人が弱るのを看取る元気は
当分ない事をようやく自覚したのだった。



生きろ~~~~っ!
みんな、生きろ~~~~~~っっ!!

死ぬな~~~~!
死ぬなよ~~~~~!!

























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Last updated  January 9, 2011 02:54:02 AM
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