迷えるデカ羊（仮）

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Nov 14, 2005

冒険

(2)

テーマ：今日のランチ(42653)

カテゴリ：徒然な日記

銀行を廻ってる時にいつも通る道で初めて見るパスタ屋を発見しました。

朝から何も食べてなく空腹感が結構あったのと、ランチタイムのピークを過ぎて店内が空いていたこともあり、

そこでお昼をいただくことにしました。

そこはペンションのように温かみのあるウッディな作りのお店でした。

昨日から急に下がった気温と、どんよりとした冬独特の厚い曇り空、

骨身に染みる木枯らしが、また冬が近くなった事を思い出させ、

店の落ち着いた雰囲気がさらに哀愁深く感じさせられます。

決して広くはない店内でしたが、幾つかのテーブルとカウンターは窮屈感を感じさせないように

この店を創った人のセンスとこだわりを感じました。

夜は結構遅い時間までディナーをやっているようで、今度誰かと来るのも良いなと思いました。

メニューには１００種類以上のパスタが手書きで載ってました。

保守的な性格からか、味を知らない知らない店に入るときは無難な物を頼むんですが、

店の雰囲気や、普段仕事をしているはずの平日の昼下がりに、知らない店で昼食をとるという異質な体験が、

自分の中にある小さな冒険心をくすぐったのでしょう。

いつもなら絶対に食べない物を頼もうと、

メニューの中から『ウニとタラコと青じそのパスタ』とコーヒーを注文しました。

パスタが茹で上がる間、読みかけの小説をバッグから取り出します。

木の雰囲気とコーヒーの香り、閑散な店内に流れる控えめなＢＧＭの中、

時間がゆったりと過ぎていくように感じられました。

僕の食欲が限界に達した頃、

まるで最高の演出を施した舞台のようにベストなタイミングで向こうからパスタが運ばれてくるのが見えました。

ご褒美を待ちきれないコドモのようにスプーンとフォークを掴もうとしましたが、

グッと我慢してパスタが目の前に運ばれるのを落ち着いて待ちます。

木で作られたパスタ皿から、茹で上がったばかりのパスタの湯気が立ち上り、

店員は焦らすようにゆっくりと僕の目の前にパスタを置き、

この店で何千回も繰り返してきたセリフを僕に投げかけます。

「お待たせしました。『ウメと青じそのパスタ』になります。」

なるほど…ウニとウメね…

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