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<決勝戦 少年の部>-----#161 「これより少年の部、決勝戦を始めまする、橘流・橘誠一郎殿、橘流・橘舞殿・・・前へ」 女子の部の勝ち名乗りの無いままに少年の部になった。 待機席に座る誠一郎と舞はお互いを見つめ合っていた。 二人は相手を見ながら左に置かれた木刀と竹刀から竹刀を同時に選び二人が同時に「にやり」と笑い合い開始線へと向かった。 開始線に立つ二人の様子を見て審判が言った。 「は・じ・め~~」 二人が同時に竹刀を上段に構えた。 会場が静寂に包まれる中、皆が何度か聞いた「ブン、ブン」「ザ、ザ」と言う音が聞こえはじめた。 対戦者二人が四人に見え始め竹刀が上段からゆっくりと下降を始めていた。 二人は二つの技を同時に使い始めたのである。 少年も今度ははっきりと二人に見え始めた。 「隠居~あの少年よ、今度は二人に見えるぞな、上手うなっただか?」 「馬鹿者、そう簡単に上手うはならん、さっきは木刀、今度は竹刀じゃろうが軽うなっただけじゃ」 「おぉそうか、流石に隠居は眼が聞くなぁ~」 「馬鹿のお前に褒められてもなぁ~」 暫くは四人の人物が竹刀を少しづつ下降させていた。 突然、少年が一人になり竹刀も正眼に戻した。 誠一郎は決断した、竹刀を見た目はゆっくりに見せる技は相手が正眼に構えている者へのものなのだ。 それを見た舞も二人を一人に戻した、が竹刀の動きは止めなかった。 舞の竹刀が徐々に誠一郎の竹刀に近づいていった。 次の瞬間、「パン」と言う音と共に舞の竹刀が地面に落ちた。 誠一郎が開始線に戻り竹刀を左手に持ち替えて控えた。 舞も落ちた竹刀を拾い開始線に戻り二人は礼をした。 「橘流・橘誠一郎殿の勝ちにごさいます」 審判の勝ち名乗りが場内に響き大歓声の中を二人は待機席へと戻った行った。 「聞くでねぇ」 隠居が先に声を掛けた。 「駄目か?」 「駄目じゃ、凡人の儂に判る訳もあるめぇ~」 「そうだか」 「俊方、今のは判ったか」 「私の想像しますに先程の女子の方が難しゅう御座いましょう。 勿論、私にはどちらも出来ませんぬ」 俊方は舞よりも佐紀の方が強いと言っていた。 「そうか、あの女子の方が難しいのか???」 俊方は上様のその物言いに何か違和感を感じた・・・技の真偽を確かめる術を知っていると感じたのである。 誠一郎は舞が竹刀を常人には動いている様に見えぬ位に素早く動かす間を見極め、下に下ろした瞬間に上から打ち据えたのである。 舞よりも誠一郎の振りが早いが故に出来た事である。<つづく>
2020.02.29
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私が初めてダイビングをしたのは勿論、体験ダイビングでした。ライセンスを取得したのは2013年に日本でスクーバの初心者コースでしたが、人生初のダイビングはクアムでの事でした。現在はフィエスタになっていますが以前は第一ホテルだったホテルに宿泊し体験ダイビングをしました。今では潜る事もないらしいポイントで浜からのダイビングでした。ロープを手で伝って歩き少しずつ深みへと向かいました。海の中が澄んで見え色鮮やかな魚が泳いでいて感動しました。足が付かなくなり深さが3メートル位になった頃に何気無く上を空を見上げてしまいました、失敗でした、ですが後の祭り、突然パニックに陥ってしまいました。何故かなど解りません、だからこそパニックなのでしょう。後で考えますと・・・多分、私は泳げませんので、今機械が壊れたら、今タンクの空気が無くなったら、今身体が痙攣したら・・・などの考えが一機に押し寄せたのではないでしょうか。まぁ~所詮後付けの理由でバニックなのですから理由などありません、解りません。スタップが海面へ誘導し浜へ上がりました。もう一人上がって来ました、やはりパニックを起こしたらしい男性でした。二人の男が皆が帰るまでの約40分を膝を抱えて浜で待ちました、何とも惨めでした。帰りの送迎バスの中の雰囲気は二分、初めてのダイビングに興奮している集団と惨めに打ちひしがれた二人の男、恥ずかしいやら悲しいやら情けないやら・・・兎に角目の前真っ暗。私の心の中は変化「克服するぞ」。2週間後には再度グアムにいました。今回は事前に調べて練習用のプールがあるPICホテルに泊まる事にしました。私は一週間だったのですが東京から同じ飛行機で来られた方の殆どは三泊四日だった様です。そして何と珍しくグアムの北方が台風が発生し通常は直ぐに移動するはずが今回は三日間停滞しました。旅行日程が三泊四日の方はずっと雨でした。雨の中でも大勢の人達が楽しそうにプールで遊んでいました。私も午前にダイビング・プールで練習し午後は海でダイビングをしました。それを毎日7日間続けました。恐怖心が少しは薄れた様でした。天候も4日目には晴天でした。7日間にして良かったと思いました。この旅行でパニックは克服しましたが、潜る処は湾の中でした。そこでライセンスを取るべくネットでいろいろと検索しました。資格は公的な物では無く民間団体の認証である事が判り、何処の団体が良いかを調べると「PADI」が一番で世界シェアの80%を超えているとのデータもありました。そこで、近隣のダイビング・ショップでPADIのライセンスが取れる処を探し訪問し申し込みをしました。その場で料金を払い日程を決定し予習用の学科の本とDVDを渡されました。しっかりと予習し後日、千葉のダイビング・プールで実技練習をしました。そしてまた後日、伊豆へショップの車で行き浜からのエントリーで海での実技講習を受けました。合格が当然の様な認定なので当然、合格で後日、「スキューバ・ライセンス」の認定証が届きました。近年、この認定が甘いショップが横行し沖縄などで技量不足による事故が多数あり問題になった様です。最近では沖縄でもグアムでも初めての人の場合はその人の技量を計る様に一度浅い処で潜る様にしている様です。このようなファン・ダイビングに参加すると何とも詰まらない潜りになります。初級の「スキューバ・ライセンス」を取得して直ぐにグアムPICのショップで次の段階の「オープン・ライセンス」を取得しました。そして念願の湾の外のポイントへ行く事が出来る様になりました。PADIのライセンスは世界中のショップから本部へ申請書が送られショップへ返送される様です、その後ショップが本人へ郵送する様です。その郵送代が馬鹿にならないらしくPICでは日本からのお客に日本へ持ち帰って貰い国内郵送にしていました。頭が良いと言えば確かに。私のライセンスも千葉の女性が送って下さいました。今でも悔いが残っているのですが「お礼のメール」「お礼の電話」「お礼の手紙」の一つも送らなかった事です。そのいずれのかの情報はあったと思うのですが、覚えてはいません・・・が悔いが残っています。その後もPICのショップを利用していましたが、ある日、テレビでグアムの有名ポイントは「ブルー・ホール」と知りました。ブルー・ホールは最深部では40メートルでオープン・ライセンスでは駄目なのかと思いました。ところが別の番組でオープン・ライセンスでブルー・ポールへ行くショップがある事を知りPIC以外のショップも検討する事にしました。40メートルですからPADIの規則ではオープン・ライセンスでは本来は駄目なのかも知れませんが行って見たかった。なのでPIC以外のショップを検討する事にしました。次にグアムに行った時にテレビで見たショップへ行って見ると、何と何とショップの店並みが改装されなくなっていたのです。結局ダイビング・ショップは見つかりませんでいた。それは約2年後でした・・・ので。約2年も間が空いたのは、私が心臓の病気になったからです。心筋梗塞でした、その詳細は別に書きます。ダイビングには病歴申請書と同意書が必要で病歴のある場合は医師の診断書が必要です。海外保険には過去2年間に病歴が無い事も必要です。その為、2年待つ事にしました・・・が1年と9ケ月で我慢の限界が来て医師に相談すると何と簡単にOKと診断書を書いてくれました。久しぶりのダイビングでしたがグアム以外も良いのではと「フィリピン・セブ島」「タイ・サムイ島」「オーストラリア」等検討の上「パラオ」にしました、その時は国内を考えていませんでした。旅行会社も「H.I.S.」から初めての「STワールド」を試してみました。その時のパラオのショップが「デイ・ドリーム」でした。その時に決意し「アドバンス・ラスセンス」を取る事にしました。私に取っては一代決心です、何故なら私は泳げないからです、人生で最長は200メートルでしたので。パラオはファン・ダイビングには最高です、綺麗、綺麗この上無し。スウェーデンから来ていた人に何故パラオにと聞くと「パラオは世界中のダイバーの憧れの地だ」との返事でした。「バラクーダの大群」「マンタ」「ナポレオン・フィッシュ」「カメ」大物の宝庫です、世界遺産もあり、「ミルキーウエイ」も有り見所満載・・・最高です。ダイビング好きばかりで皆、観光などしません、ただただダイビング、ダイビングです、知り合った70代の夫婦は何と本数が2000越えでした。ゲストとして2000越えは凄い凄い、スタッフは1万本越えらしいですが。私のツアーで一緒になった人も自称「ダイビング気違い」でした。早朝ダイビングに一人足りないと朝が苦手の私は半強制的に参加させられました。ショップも最高でした、店は海が目の前、スタッフはフレントリー、夕食も毎日お付き合い、勿論、拒否も可能ですが私は一回も拒否せずでした。「アドバンス」は勿論撮れました。潮流が激しく大変でしたが面白い処でした。担当してくれたインストラクターの方は何とお店のマネージャーで普段は事務所にいる方で最近は海に出て居ないとの事でした。私の名前が自分と漢字まで一緒なので合ってみたいと思われた様です。とても丁寧で親切で他のスタッフからの信頼もある様で彼を呼ぶ「〇〇さん」が何時も聞こえました、私が呼ばれている様で困りましたが。パラオ旅行で辛いのは日程です、夜中に到着、夜中に出発、若者向きです。でも、ダイバーはグアムに比べて老人が多い様でした、辛かったのは私だけ???次はこれまた初めての沖縄ダイビングでした、又「STワールド」を利用しました。そしてこれも初めてのLCCを利用しました。これが大後悔、やはり若者向き、LCCのカウンターは空港の外れ、歩く歩く遠い遠いし座間味も船に乗るし遠い、遠い。が海は最高、タイビングには最高、宿もショップも最高、但し、まだまだ店が少なく食事処が少なく席の確保が大変でした・・・がスタッフと一緒だと席取りは超簡単。初めての行きで宿に着いた時には二度と来ないと思ったのに一カ月後には又行きました。次は恒例のグアムでした、調べるとやはりグアムでのダイビングの定番ポイントは「ブルー・ポール」でした、何としても行きたいと決意。グアムで知り合った日系の人にショップをいろいろ聞いて順番に利用しました。勿論、評判も確認しました、中でも「▲2」は大きかったが最近の評判は大変悪く一位の座を「ジェントリー・ブルー」と言うショップに取られたと話を聞き「ジェントリー・ブルー」を利用しました。念願の「ブルー・ホール」制覇。グアムのダイビング・ショップについては別にします。テレビで見た方は「GTDS」と言うショップにいらっしゃいました。その「GTDS」、隣の「オーシャン・アカデミー」も利用しました。勿論、従来のPIC内の「レインボー・ドルフィン」も利用しました。次は一カ月後に再度のグアムとパラオの二か所同時でした。ショップをいろいろ変えてダイビング、「ブルー・ホ-ル」最高。パラオに移動、宿を変えてこれまた正解、ショップは同じ「デイドリーム」ところが社長が交代していてビックリ。韓国人、中国人の観光客も途轍もなく増えていてビックリ。行き交う車の台数も膨大に増えていてビックリ。観光客のマナーの悪さにウンザリ、船で一緒になった日本人はフィンを盗まれました、ショップの専用駐車場は無断駐車が占領し自分の土地なのにショップの車が止められない状態、無断駐車は勿論、中国人。パラオはダイビングには最高な処なのですが、きっと長くはもたないでしょう。たった半年でパラオの大変貌には驚きでした。次は翌年、2018年の座間味とグアムでした。座間味は旅行会社も宿もショップも同じ、「STワールド」、「高月」「ノーイ」でした、ショップは宿の併設なので便利。若い女性スタッフが二人増えていてビックリ。勿論ダイビングは最高。毎晩、スタッフにお付き合い頂き宴会でした、もう最高。グアムは近年恒例のハロウィンの時期でした。驚いた事にショップ「レインボー・ドルフィン」が無くなっていました。利用ショップは同じ方が良いので次のショップを決めるべくいろいろと利用しました。が決定打が無く決まりませんでした。ポイントはどこのショップも同じですので設備とスタッフで決める訳ですが。テレビで見た方が「GTDS」止めて何と隣の「オーシャン・アカデミー」に居たのには驚きでした、この方はとても親切な日本人なのですが難点が一つ・・・とても健康的でショップの仕事を終えるとランニングをする人でお酒を飲まない・・・ので会話が足りず付き合い方も浅い、と言う事です。グアムの何処のショップのスタッフもお客との距離を縮めようとしない様です、飲み会のお誘いもお店の紹介も在りませんでした、私にだけなのでしょうか??? ダイビングについてはとても親切で細やかなのですが。「ジェントリー・ブルー」は前回までは昼食はショップ二階のテラスででしたが今回は帰りに弁当を渡されホテルへ返されました。ショップ選定に当たって「GTDS」は愉快な大男とエアーの自社充填、「オーシャン・アカデミー」は親切な日本人スタッフ、「ジェントリー・ブルー」は豊富なスタッフ・・・この時点で「ジェントリー・ブルー」にほぼ決定と思っていました。夕食後、「海」と言う居酒屋に行きました。前回は満員で入れませんでしたが今回は入れました。日本人の経営で常連の日本人、アメリカ人もいて楽しい店でした。ここで日本人が経営しているダイビング・ショップを紹介され、予定の無かった日に一緒にダイビングをする事に成りました。居酒屋で知り合った男性と女性と私と私の同行者とショップのオーナーの五人でダイビング。ダイビング・スキルが一定以上と揃っていたので、なんとも楽しい潜りでした。昼食も皆で一緒に中華を食べホテルへ送迎でお別れ・・・と思ったら夜に居酒屋「海」でまた集合、なんとも愉快な出会いでした。それから毎日、居酒屋「海」へ出向きいろいろとグアム事情を教えていただき勉強に成りました。もう一日空けていた日もそのダイビング・ショップ「イサナ・ダイバーズ」で潜りました。ここのボートの船長さんは女性でスピードを出す時に映画曲「地獄の黙示録・ワルキューレの騎行」を掛ける。湾を出て外洋に出てこの曲が掛かる・・・「おぉ~スピードが上がるぞ」と待機する・・・ぐんぐんスピードが上昇、絶妙。グアムのダイビング・ショップが決定「イサナ・ダイバーズ」。ダイビング本数は2017年04月のパラオ前に20本、2017年の年末には70本になり2020年02月現在、99本です。本年05月に座間味を予約しましたので、台風が無く、感染症も収束していれば100本達成の予定です。-----おしまい
2020.02.28
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私はTV番組を見る時に事前にコマーシャルをカットして見る様にしている。その為、何の、何処のコマーシャルが多いのか、何が流行なのかを知りません。先日、パソコンに入力中にTVコマーシャルが流れ放送していたものが何かのサプリでした。それを飲めば夜中にトイレに起きる事が無くなる・・・と言うものでした。そして、夜中のトイレを「夜間尿」と言っていました。ほぉ~そう呼ぶのかぁ~と感心しました。それと同時に私も昔はそんな時期が有ったなぁと思い出しました。現在は夜中にトイレで起きる事はありません。薬やサプリを飲んで直した訳では在りません。方法はただただ意識改善です。尿意を感じて目覚めた時にひたすら我慢、我慢、我慢そして再度の睡眠へ。最初はなかなか難しいのですが何度か繰り返すと眠れる様になりました。その切っ掛けが意識改革でした。尿意をもようして目覚めるのでは無く、眠りが浅く目覚めるので尿意を感じてしまう、「順序が逆なのだ」と自分に言い聞かせました。何日か繰り返す内に簡単に再入眠が可能になりました。すると不思議な事に夜中に目覚める事も無くなりました・・・不思議です。そして、ある日テレビの健康関係の番組で医者が夜間尿を治す方法はただただ我慢する事と言っている聞き「えぇ~本当に」と思い見入りました。私の説を裏付ける物でした。人間の意識とは凄いものです、怖いものです。まだまだ、心理には不思議な処がありそうです・・・ちょっと研究してみます。-----おしまい
2020.02.27
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<彼の居場所>-----#022彼は彼女の自宅を初めて訪問した時に家族を気に入り彼女には内緒で皆が寝ている間に耳の後ろにGPS付きのマイクとスピーカーを埋め込んでいた。この装置はいろいろな施設にある金属探知機には反応しない極薄い膜状で本人も違和感も無く気づいていなかった。自宅も監視されていた、宇宙からである、幸いにも警戒に値する事は起こって居なかった。彼は以前から調査しデータ上では知っていたが実際に会って人柄がとても満足できるものだったので守る事を決断していた。この家の周囲500メートル圏内を完全に盗聴、盗撮防止にしていた。物理的にも光学的にも防御されていた。銃弾、戦車砲、ミサイルも防ぎ、核をも防衛する。レーザー兵器も防衛する。ゲストが危険物を持ち込もうとすると警報が発せられる様にもなっていた。そして、この家に近づく不審者の行動を追跡し、その人物の素性を把握する仕組みにもなっていた。これらは全て上空に待機する舟からコントロールされていた。家族全員の行動範囲が現在の処、ワシントンDC近郊に限られていたので舟は一台で事足りていた。彼は、彼女の自宅を訪問した初日からその家に住む様になっていた。両親、特に母親が彼を大変気に入り、返さない・・・帰る事を許さなかった。彼は帰宅すると「ただいま」の一言を言うとベランダへ直行しそこにある籐の長椅子に座り瞑想する事を習慣とした。当然、彼女・キャシーと一緒だった。ある日からキャシーは瞑想する彼の膝に頭を乗せ横に寝そべる様になっていた。彼が籐の椅子に座るとメイドが珈琲を持って行く事も恒例になっいた。彼は夏は勿論、冬でも冷たい珈琲を好んだ。当初、彼女は暖かい珈琲だったり紅茶だったりしていたが何時しか彼と同じ様に冷たい珈琲が定番になっていた。ある日、突然、彼が寄り掛かっている彼女に言った。「空に向かって手を振ってご覧」「空に・・・どうして・・・もしかして、あの船がいるの???」「監視している、何時も我々の行く処の上空にいます、不審者が近づけば、危険物が有れば教えてくれます」「・・・そうなんだ~見守られているのね」「嫌ですか???」「いいえ、心強いです・・・何時から・・・最初、初日から???」「そうです」「ふ~ん」彼女は彼の方を向いて彼の眼をじっと見つめた。「貴方は、いったい何者なの、そしてどうして私なの?」「今は言えません」「今は・・・ですね?」「そうです、今はです」「了解です」彼女は冗談交じりに返事をして、また彼に寄り掛かり定位置に戻った。 <つづく>2025/05/22 更新
2020.02.26
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2020年02月01日に機種変更した「Sharp-Aquos-Zero2」のその後についてです。端的に言えば、国産最高、シャーフ最高・・・です。使って不満、不便はありますが機械的なものと言うより通信チャリアとアフリについてです。各種アフリの移行もほぼ上手く出来ました。ラインの乗り換えも良好、但し、アッフルからアンドロイドへの変更なので会話データの引継ぎは出来ませんでした、不思議です、元フログラマーの私には不思議でなりません、意地悪としか思えません。まぁ~連絡先だけでも引き継げて、トーク内容は整理されたと良い様に解釈しましよう。問題はスイカとナナコの移行です、金銭の引継ぎもあり重要課題です。まずスイカですが、私は説明書を読む事が苦では無いので説明文をきっちり読み手順通りにしたつもりでした。ID、パスワードを入力し内容確認し、いざ機種変更と又IDとパスワードを入力すると入力に間違いがあるとエラー。再度ログイン確認すると出来る、この繰り返しを何度も試みましたがエラー、手を変え品を変えてもエラー、最終的に電話で対応、待ち時間はさほど掛かりませんでした、女性が応対、本人確認があり青年月日を言ったあたりから態度が少しおかしくなりました、「あぁ~あ、又、理解に乏しい年寄り相手か」と言う言い方に変わったのてす。私の偏見、勘違いかも知れませんが・・・私が聞きたい事、私がやった事も聴かずに機種変更と言っただけで機種変更の仕方を懇切丁寧にボタンの位置まで指示され実行、挙句にまたエラー、内容確認も再度実施、IDを言わされ、何とハスワードまで聞いてきました。この頃には、「もういい加減言い方、態度と自分本位な態度に少々いらつき、どうにでもなれ状態」でハスワードも言いました。アフリに寄っては向こうで見られるものも在りますので・・・銀行や証券会社では見れないですが・・・そうこうしている内に向こうもいらつきが増し、余り怒りを感じない私も久しぶりに怒りを感じ少し声と言葉を変えると気が付いたのか態度、喋り方か変化しました。そして、ちょっと待って下さいと言って待たされ再度機種変更作業をすると今度は無事にできました。ここで相手の言った言葉が「不思議ですね、今度は出来ました」でした。何が不思議なものか、何か設定変更したのに決まっているだろう・・・私は元フログラマーだ、何をしているかの想像はつく・・・エラーに掛ける条件に不適切なものがあったのを訂正したのだろう。私の対応の前の人が物分かりが悪かったのか、態度が横柄だったのか、「まぁ直ったし良し」として最後は礼を言って電話を切りました。まず私の話を聞いてくれていれば時間も掛からなかったと思いますが、機械音痴との思い込みが先走りの対応でした。次はナナコです。これも摩訶不思議なアプリです、M03は廃止するからついでに移行しようと機種変更処理をしました。センター預かりのホイントもしっかり換金しました・・・完璧。ところが前から使っているM03で普通にできていたオートチャージが出来なくなりました。3日程あれやこれやと試してみましたが駄目でした。その日セブンカードから電話があり「引き落としが出来なかった分の引き落としを〇〇日に行います、預金の確保をお願いします」と言われました。こちらは「えぇ~何」と言う感じでした。その口座は総合口座で裏に定期預金があるので全くと言って良い程残高確認をしていませんでした、先月のある日に確認すると大きくマイナスでしたのでその日に入金した事が有りました。そんな2日程の日が引き落としの日だった様です、何とも、何とも。ナナコのオートチャージ設定は3月20日まで出来ないとの事でした。ナナコのオートチャージの為にセブンカードの会員になったので、ぜひにもこのカードで設定したいので待つ事にします。他のインストールしたアプリ。・Y乗換案内 - ・Gogle Map・楽天gateway - 楽天アプリの総合・H-Band - ヘルス・バンドとの接続・Line - SNS・メッセージ - SNS (受信だけ)・Facebook - SNS (未使用)・ONKYO HF-Player - 音楽プレイヤー・おサイフケータイ - カード統合・ナナコ - 7・11・Suica - 交通系・Coke On - 販売機との接続・ブクログ - 本の管理・MOV - タクシー配車・はなして翻訳 - 電子翻訳・GoldPoint - ヨドバシ・カメラの会員・SmartNews - ニュース報道・Linkx aruku - 散歩用情報・JAL系3種 - JALマイレージ等・Flightrader24 - 飛行機のライブ・データ・iSPEED - 楽天証券・LINNE LENS - 魚検索・AirMore - PCとのデータ交換・Google各種アプリ・AU各種アプリ今回は出来るだけ減らしたつもりでしたが、こんなにも・・・。これから増える事は在っても減る事は無いでしょう。-----おしまい
2020.02.25
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<決勝戦 女子の部>-----#160 「俊方、我ながら良い組み合わせであったと思うがどうか???」 「はぁ、真にもって素晴らしき選択に御座いました」 「うむ、橘同士は最後が良かろうでな」 「はぁ真に持ってお言葉の通りに御座います」 審判の声が静粛を求め組み合わせが発表された・・・最後なのでその必要も無いのではあるが。 「これより決勝戦を行う、まず、女子の部、次に少年の部、最後に成人の部とする・・・では橘流・橘久殿、同じく橘道場・橘佐紀殿、お仕度を」 二人が待機席から開始線へと歩いて行った。 得物は珍しく先に佐紀が竹刀を選んでいた。 審判が開始線に立つ二人を確認し宣言した。 「・・・は・じ・め~~」 佐紀は正眼では無く初めから上段に構えた、それを見た久も一瞬遅れて上段に構えた。 静寂に包まれた場内に「ブン、ブン」「ブン、ブン」と音が響き始め、その音が徐々に大きくなって行った、無論、音と同時に佐紀の竹刀はゆっくりと下へと降り始めた。 だが、今回は佐紀だけでは無かった、対戦者の久の竹刀も佐紀と同様にゆっくりと下降していた。 二人が同じ技を仕掛けている様だった。 佐紀が竹刀を選んだのには理由が有った。 この技を木刀で熟せるのは龍一郎と佐紀だけだったからである。 後の者たちは少なからず剣先が上下にぶれていた。 三郎太はもう少しと言う処まで来ていた、次は平四郎だ、残りは同程度だった。 だが、彼らも木刀では剣先はずれるが竹刀での技は習得していた。 そこで佐紀は竹刀を選び、久がその意図を察したのである。 剣術指南役・俊方はこの時気が付いた、静寂にである。 対戦者に橘の者がいる時には場内が他の者達の時より静かになるのだ。 何をするのか、何が起こるのか・・・と見守るのだ。 ましてや今回は対戦する二人が橘の者なのだ、場内は物音一つしなかった。 それを感じた俊方自身も二人がどんな技を・・・どんな事をするのか興味深々だと自覚した。 二人の竹刀がゆっくりとゆっくりと下降していた。 そして不思議な事が起こった、二人の竹刀の切っ先が交差したのである。 佐紀の竹刀の五寸程上に久の竹刀があった。 「俊方、其方の解釈では、この状態を何とする、無理では無いか」 「お言葉を返す様ですが、佐紀殿が先に振り後から久殿が振りそして戻すその後で佐紀殿が戻すを素早く行えば可能かと存じまする」 「その僅かな差をあの者達は作り出しておると言うのか?」 「はい、しかしながら尋常な事では御座いませぬ・・・某にはできませぬ」 「出来ぬか・・・」 場内が静まりかえる中、「ブン」とも「ヒュン」とも言う音だけが響き二人の竹刀の差が縮まって行った。 場内に突然「バン」と言う音が響き竹刀が一本、空高く舞い上がって行った。 その瞬間場内は「あぁ」「おお」と言う驚きの声が溢れ騒めいた。 対戦者はと見れば佐紀は竹刀を正眼に構えていたが久は無手だった、久の竹刀が飛ばされたのだった。 二人は暫くそのままにいたが久が右手を天に突き出した、何とその手に飛ばされた竹刀が降って来て久の手に収まった。 場内には再度「おぉ~」と驚きの声が響き、その後に拍手喝采に包まれた。 二人の対戦者は竹刀を左手に持ち替え礼をして控えの席へ戻って行った。 余りの驚きの連続に審判は勝ち名乗りを忘れていた。 「俊方、今のは何じゃ、如何に素早い動きでも竹刀をあれ程飛ばす事は無理でろう」 「はい、無理に御座います・・・ですが事は起こりました・・・私目には解りかねます、申し訳も御座りませぬ」 「良い、良い、やはり其方は人の子、あの者たちは鬼人じゃ・・・がしかし、もそっと側で近くで見たいものじゃのぉ~」 「隠居・・・」 「言うな、聞くな、儂にも解らん」 「そうか~隠居にも判らんか~」 「あぁ儂にも判らん・・・が今度、若先生に聞いてみるべ」 「若先生って龍一郎様の事け」 「そうじゃ、誰に何を聞いても若先生が「うん」と言わねば言われぬ、と答えるでな」 「大先生の館長ではのうて若先生か?」 「・・・う~ん・・・そう言われれば・・・」<つづく>
2020.02.24
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<ボディー・チェッカー>-----#021夕食が終わって皆で日本茶を飲んで寛いでいた時に珍しく彼が皆に話掛けた。「キャシーのお母さん・・・」「待った、そのキャシーのお母さんと言うのは止めなさい、ヘレンかお母さんかどちらかにしなさい」とキャシーの母親ヘレンが言った。「解りました、お母さんと呼ばせて頂きます、ではお母さん、最近余り良く眠れ無いのではありませんか。それに歩くと足が痛いのではありませんか、腰も痛いのではありませんか。お父さんは糖尿病の初期症状が出ているのではありませんか、貴方も腰が痛いのではありませんか。腰はお兄さん、貴方も痛いようですね。妹さんは足が痛いのでは、女性二人は外反母趾で足が痛いでしょう。男性二人は疲れが腰に痛みを起こしていませんか、妹さんは不規則な生活のせいでしょうが体重が増えて来ていませんか」彼が皆に率直に身体の不具合を語った・・・言い当てた。「うん、最近、このままですと糖尿病に成りますよ、と医者に注意をされた、それに確かに腰が痛い」父親が認めた。「私も最近眠りが浅い様で朝までに何回も目が覚めるのよ、それに確かに足も痛い」母親も認めた。「僕も腰が痛い、が運動不足だったので急に運動を始めたからかと思っていた」兄の言葉だった。皆が妹を見ると渋々妹が言った。「生活が乱れている事は認めるわ。でも女性に体重の事は失礼よ、確かに最近体重が増えて脂肪も付き初めてはいる・・・けど、やっぱり失礼よ、足が痛いのは認める」「貴方・・・突然どうしたの」キャシーが尋ねた。「書斎を見て来なさい」彼が彼女に言った・・・彼女は不思議そうに彼の言葉に従って書斎を覗いて叫んだ。「あの機械が・・・何時、どうやって・・・」「皆を機械に寝かせなさい。」彼女は皆を呼んで私が保証するからと言って一人づつ機械に掛けた。当然、最初は皆は拒否したが、妹の一言で変わった。「姉さんの変化はこの機械の・・・」両親の健康状態を危惧し彼ら全員を「ボディー・チェッカー」「ボディー・リフレッサー」に掛けたのだ。両親は初老に入り各臓器に不調を起こしていた。特に貿易商の父、議員の母は付き合いの飲酒の機会が多く、そのせいで肝臓が弱っていた。父は痔に悩み、母は外反母趾が痛んでいた。兄は運動不足で筋肉の衰えから腰痛に苦しんでいた。妹は姿勢の悪さからか骨盤が歪み歩き方にむらが有り最近の暴飲暴食で肥満ぎみだった。腎臓にも負担がかかっていた。機器を使用したのは就寝直前で測定年齢結果にがっかりしての睡眠だった。翌日、「わぉ~~」と言う母親の悲鳴で全員が起こされた。母は何時もの様に朝のシャワーを浴びようとガウンを羽織り浴室に向かい洗面台の前を通る時に何気に鏡を見てそこに映る自分の姿に驚き悲鳴をあげてしまったのだ。鏡に映った女性は顔に皺が無く髪はふさふさでつやがあった。その身体は贅肉が無く引き締まり胸には張りがあった。彼女は残りの一枚の下着も脱ぎ捨て全裸になって鏡に映る自分の姿に見惚れていた。そこに妻の悲鳴を聞いた夫が現れた。その夫の姿に妻は再度驚いた。目の前の夫は髪もふさふさで贅肉が無くお腹は六つに割れていた。近年はアームレスリングをしていたので腕と胸の筋肉は凄かったがお腹は贅肉が付いていた。それが今はボディービルダーの様な体形に変化していた。驚く妻に「どうした」と聞いた。妻は黙って鏡を指さした。鏡を見た夫は驚きに声を失くした。その後、ボディービルダーの様にいろいろなポーズをし自分の姿を惚れ惚れと見つめた。それを一緒に見ていた妻が鏡に映る自分の姿を指さし夫の関心を自分に向けさせた。妻の姿を観た夫はまたまた驚き喜び抱き合った。その時、娘の悲鳴が聞こえた、慌てて全裸で走り出そうとする妻を夫が止めた。気付いた妻は下着を着けガウンを掴み羽織りながら廊下に向かった。廊下に出ると今度は兄の部屋からも悲鳴が上がった。父が兄の元へ母は妹の部屋へ向かった。妹は母と同様に洗面台の鏡の前で下着一枚で立っていた。「おかあさん、見て見て・・・2年前はこんなだった・・・のよね~」「何を言っているの、2年前の貴方は胸はペチャンコ、お尻は男みたいだったわよ。それが何とスーパーモデルみたいじゃないの」「そうね、そうよね、昔は昔、今のこの体系、皮膚の艶と張り・・・最高、ほんと最高」娘はそう言いながらいろいろなポーズでウットリと自分の身体を眺めていた。「その身体が貴方本来の身体、体形だったのよ、それなのに貴方は不摂生な生活を続けて台無しにしていたの・・・だだそれだけの事よ、奇跡でも驚きでもないわよ・・・でもね・・・」と言って母は着ていたバスローブを脱いだ。鏡に映った母の身体に体形に娘は目を見張った。そこには素晴らしいと思った自分とそっくりな母の身体が映っていた。娘は横を向き実際の母の全身を下から上、そして上から下と何度も眺めた。「凄い、綺麗、ど・ど・どうしたの」「きっと貴方と同じよ、今朝起きたらこうなっていたの鏡を見て悲鳴を上げて確認して何度も確認して、でもお父さんを見たら驚くわよ」「お父さんも変わったの」「そりゃー凄いわよ、まるでボディービルダーよ」「じゃさっきの兄さんの叫び声も自分の身体を見ての驚き・・・なのかな」「たぶんね」そこへ上半身をハダカにした男二人が部屋に入って来た。女二人は下着一枚の姿を恥ずかしげもなく二人の男に見せつけた。男二人はポージングをしてそれに答えた。母が言った。「でも、どうして???」この自分に言ったのか他の人に言ったのかは分からない言葉に四人は我に戻った。「とりあえず服を着て居間に行こう」父の言葉に四人はそれぞれの部屋に戻った。居間に集まって四人が確認し合った事は四人の変化の原因・要因は昨夜の機械だと言う事だった。彼に言われた様に全員が何等かの病を抱えていた。あの機械に掛かって具体的な病と肉体年齢をキャシーに伝えられていた。また何より全員が運動不足であったり怠惰な生活で有ったりとで贅肉がついていた。それが次の日の朝には贅肉は無くなり病は全快している様だった。娘が妹が言った。「私はもうこの身体を手放さない、絶対に元には戻りたくない」他の三人は無言で首を縦に振り相槌を打った。 <つづく>2025/05/22 更新
2020.02.23
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<ホワイト・ハウスからの帰宅>-----#020二人が家に戻ると日曜日なので議員の母も家に居た。何時もは遊びに忙しい妹も珍しく家に残っていた。父親と兄は庭でテニスをしていた。彼が玄関を開けて彼女を先に入れた。「ただいま」彼女が帰宅を知らせる声を掛けた。すると、両親、兄、妹、コックと執事の夫婦、家の全員が玄関ホールにすっ飛んで来て顔を揃えた。「お帰りなさい」全員の声が合唱団の様にハモってホールに響いた。 「どうしたの皆、何か有ったの」「何にも無いわよ、何にも無い・・・彼を連れて帰ったかなぁ~と」「お母さん、私の旦那様なんだから帰ってくるのは当たり前でしょ、皆もそうなの???」皆がホールから居間へ歩きながら話ていると彼は居間からそのままテラスへ向かい籐製のソファーに寝転んでしまった。皆はそれを見ながら会話を続けていた。彼女は調理師の女性に彼への飲み物を頼んだ。冷たい珈琲で牛乳を1/10、砂糖の変わりに蜂蜜を多めに氷を入れてと注文した。ついでに自分の飲み物も頼んだ、何時もは日本茶だったが今日は彼と同じ物で但し暖かい物をと頼んだ。「で~皆で出迎えた訳は何???」「大統領との会談って言ってたからホワイト・ハウスに本当に行ったのかなぁと思ったのよ」「本当にそれだけ? 第一本当に行ったのなら言える訳無いのは知っているでしょ」「うぉほん、正直に言えば・・・お前が彼を連れて戻るかが心配だったのでな」「私も~」「私も」「僕も」「どうしてよ~、娘の私より、兄弟の私より彼な訳~~」「しょうが無いでしょ、彼は魅力があるのだから」「魅力・・・彼はハンサムじゃ無いけど」「見た目ばかりが魅力じゃないのよ、貴方はまだまだ青い・・・若い」「あのね~彼の奥さんになるのは私、私なの、解ってるの~」「そこがね~、確かに貴方は母親の私から見ても綺麗な部類に入るけど~」「何よ、彼には私じゃ合わないの~、私には彼が勿体ないって言うの~」「お母さん、ほかの家に取られるよりは良いんじゃ無いの」「そう言われればそうね」「酷い言われ様だわ」彼女が怒った様に言うと皆で笑い合った。彼女が彼の横たわるテラスに向かうとそこには既に冷たい珈琲と温かい珈琲がテーブルに乗っていた。彼女には彼が彼女が来た事に気付いているのか、いないのか解らなかった。彼女は眼を瞑っている彼の前の椅子に座り珈琲に手を伸ばした。彼女は何度か珈琲を飲んだ後、意を決した様に立ち上がり彼の横に座り身体を彼に預けて寄り掛かった。嫌がるか何かの反応を待ったが何の反応も無かった。調子に乗った彼女は彼の手を取って自分の身体を包む様にした・・・が彼はされるがままだった。この態勢がそれから毎日の二人の日常になった。暫くして彼女がうとうとしていると「まぁまぁ」と言う声が聞こえ彼女が眼を開けると、そこには母親が呆れたと言う顔で立っていた。「夕食の時間よ、彼を起こしなさい」「お母さん、彼は寝てなんかいないわよ、瞑想しているだけよ」彼女がそう答えると彼女の身体が持ち上げられ静かに床に立たされた。「ほらね」「はい、はい」母親は返事をすると室内へと姿を消した。「ありがとう、疲れがすっかり取れました」彼女が礼を言った。「今日は大活躍でしたからね、良く出来ました」<つづく>2025/05/22 更新
2020.02.22
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2018年04月20日 約3カ月 2Kgx22018年07月20日 約3カ月 2Kgx22018年11月16日 約4カ月 2Kgx22019年02月16日 約3カ月 2Kgx22019年05月13日 約3カ月 2Kgx22019年08月27日 約3カ月 2Kgx22019年11月04日 約3カ月 2.5kg2019年12月21日 約1カ月 2Kgx22020年02月21日 約2カ月 2Kgx3今回はてとも購入周期が早い、甘みへの要求が強かった様です。中国産を控えたいと思っていたが安さに負けてしまった。品質管理が日本である事を信じてみる。---------------------------------------------------------------------販売店 創業80年 熊手のはちみつ 【月間優良ショップ2019年4.5.6月受賞店】オリジナルブレンド 蜂蜜 2kg ポリ |(中国 イタリア フランス) はちみつ ハチミツ 業務用 純粋蜂蜜 食品 健康 ハニー 人気 熊手のはちみつ 熊手 業務 老舗 使いやすい 取っ手付 HACCP取得 大自然 安心 安全 お買い得 大容量-----------------------------------------------------------商品金額=1,833、数量=3、税金=440、送料=0、ポイント利用=940 合計=5,000、通販総合計=676,141 ---------------------------------------------------------------------意識的に珈琲の使用量を減らしています。さて、どれ程持つか??? 次回の発注は何時になるか???
2020.02.21
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<準決勝 成人の部 第二試合>-----#159 失神した安田治五郎を審判が下役たちに運ばせ、次の組み合わせを高々と呼び上げた。 「七日市藩流・岩澤 平四郎 殿、橘流・橘 龍一郎 殿 お仕度を~」 「隠居~、あの二人は師匠と弟子だろう~が、やるまでもないべ、勝負は見えてるだろが」 「そうじゃのぉ~、勝負は見えておる、が、儂としては橘の道場での隠れた鍛錬方法が見られるのではなかろうか? と期待しておる」 「あの道場では何か秘密の鍛錬でもしてるのか? 隠居」 「多分な、でなければ、橘ばかりがこんだけ強うはならんじゃろう」 平四郎は竹刀を選んだ、これまでは相手の得物に合わせていたが、今度の相手は自分の師匠の龍一郎である、故に自分が先に選んだのである。 二人は竹刀を持って開始線に立った。 「俊方、儂は今、気が付いたが橘の者達は歩いているのか居ないのか時々解らぬ事がある・・・じゃが確かに進んでおる・・・それも早い、どうなっておるのじゃ」 「これも確かな事は判りかねまするが、歩みの一歩が大きいのでございましょう。 そして気配が感じられない、そこに居るのに気配がない・・・故に居ない様に感じる、のではと!!!」 「居る様で居ない、居るのに居ない・・・か」 吉宗はまた誰に言う訳でも無い独白の様に言葉を吐いた。 「岩澤殿、橘殿・・・よろしいか? よろしいな・・・・・・は・じ・め~」 平四郎はこれまでと同様に正眼に構えを取った、龍一郎もまたこれまでと同様に右手に竹刀を持って右にだらりと垂らしていた。 場内は静寂を通り越して森閑としていた。 暫くして、これまでに聞いた事のある、あの「ブーン」と言う音が小さく聞こえ始め、龍一郎の身体が薄くなり二人に別れ始めた。 平四郎は左膝を地面に着け竹刀を右肩に付け竹刀を空に向けて立てた。 「ブーン」と言う音が徐々に大きくなり龍一郎の二人になった身体が少しづつ濃くなって行った。 その時、平四郎の竹刀が左へ大きく水平に振られ自分の左後の敵を攻撃した。 だが平四郎の竹刀は空を切っただけだった、そして同時に平四郎の右肩に竹刀が当たった。 平四郎が顔だけを正面に戻すとそこに平四郎の右肩に竹刀を置いた龍一郎が立っていた。 二人は暫くその態勢を保っていたが平四郎が竹刀を左手だけで持ち脇に抱えると龍一郎も後にすり足で下がりながら左手に持ち替え控えた。 二人が開始線に戻り向き合った。 暫くして審判の声が響いた。 「橘殿の勝ちにございまする」 二人は一礼し合い控えの席に戻って行った。 この時、初めて場内に騒めきが戻って来た。 「隠居、何であのしゃがんでいた侍は後に竹刀を振ったんだ~」 「さてな~、儂にも解らん、解らんが解る気がする」 「なんだそりゃ~判るのか判んね~のか、どっちなんだよ~」 「儂らの様な常人には見え無んだがなぁ~きっと二人ではの~て三人になったんじゃなかろうか」 「隠居、常人て何だ」 「普通の人の事じゃよ、奴らは常人では無い、普通の人では無い、天狗様じゃ」 「そうか、奴らは天狗か~道理でなぁ」 高所でも俊方が吉宗の問に対して同様な説明をしていた。 「どうじゃ、俊方・・・この結果は予想できたであろう」 「はぁ、結果の予想は・・・確信は御座いましたが、どの様にしてか、どの様な技かは予想も出来ませぬ事で御座いました」<つづく>
2020.02.20
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<準決勝 成人の部 第一試合>-----#158 「これより成人の部を始める、無外流・安田治五郎 殿、橘流・橘 小兵衛 殿 前へ」 審判の声が響いた。 呼ばれた安田治五郎が審判の処へ行き何か話掛け、それを聞いた審判が驚きの表情を見せた。 審判は上役の元へ急ぎ向かい、その上役が俊方の元へ向かった。 「何、暫し待て」 聴いた俊方が吉宗に報告した。 「上様、 無外流・安田治五郎 殿が真剣での立会いを望んでいるそうでございます」 「何、真剣とな!!! うむ・・・相方が了承すれば良かろう・・・許す」 将軍・吉宗の承諾の言葉が次々に伝えられ見分方審判の耳に届き、その審判は相手が木刀か竹刀を選ぶのか、見ていた小兵衛を手招きし安田治五郎の希望と吉宗の承諾を伝えた。 「合い判りまして御座います、御意のままに」 「小兵衛殿・・・宜しいのか」 「はい、構いませぬ」 審判が生唾をゴクンと飲み込み言葉を穿いた。 「では、ご両者お仕度を」 二人は自分の支度席に戻ると真剣を腰に差した。 審判が伝言を吉宗に伝える処から人々の眼が注がれていたが対戦する二人が真剣を腰にした処で悲鳴とも歓声とも着かない声が大音量となって会場中に響いた。 凄まじい観衆の反応の中、二人の対戦者はゆっくりと歩き開始位置に着いた。 審判はそれを十二分に確認し片手を上げ「は・じ・め~」と手を振った、その途端に会場は静まり返った。 対戦者の二人はほぼ同時に刀に手を掛け鞘走った。 二人は相正眼で対峙した。 小兵衛は全く態度に変化が無く動揺も不安も感じさせなかった。 対して安田治五郎は真剣である事と相手の余りの無表情と気配の無さに不安と不気味さを感じ始めていた・・・自分の方から真剣での立会を申し出たにも関わらずである。 小兵衛の態度も表情も全く変わらずであるのに対して安田治五郎は汗が吹き出し落ち着きも無くなり構えを正眼のから八双へと変え前後に飛び跳ねる様に動き出した。 安田治五郎は飛び跳ねながら後へも回ったが何故か打ち込まなかった・・・いや打ち込めなかった様だった。 安田治五郎が小兵衛の正面に戻り動きを止め突然八双から打ち込んだ・・・だがそこにはもう小兵衛は居らず次の瞬間には横に移動した小兵衛の刀が峰に返され安田治五郎の首筋に軽く打ち据えられた。 安田治五郎は刀を握ったまま意識を失いその場に倒れた。 小兵衛は刀を鞘に戻し左手で腰から鞘ごと抜くと元の開始線に戻った。 「勝負あり、橘小兵衛殿の勝ち」 小兵衛は軽くお辞儀をして待機席に歩き出した。 その時、場内が大歓声に包まれた。 「何だよ、だらしなぇ~奴だぜ、自分から本身でと言っときながらよ~なぁ~隠居よ~」 「ほんとじゃなぁ~、ありゃ~子供のちゃんばらより劣るものじゃったわい」 「俊方、其方も結果は予想できたであろう・・・がこれ程の技前の差を予想出来ておったか・・・儂にはあの橘と言う男・・・真剣の扱いに慣れている、慣れすぎている様に見えたが、どうかのぉ~」 「はぁ、仰せの通り結果は予想しておりましたが、これほどの技量の開きは予想の外で御座います、また小兵衛殿の真剣の扱い・・・仰せの通り慣れて見えました、相当に修練を積んでおりましょう」 「橘道場では、どのような修行をしておるのかのぉ~」 俊方からの返答は無かった・・・吉宗も気にはしていなかった。<つづく>
2020.02.19
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最近、YouTubeに嵌っている。武田鉄也さんの「三枚おろし」の言うラジオ番組の録音です。この方は兎に角、読書家、勉強家です。もともと、そうなのか番組を持っているからなのか、兎に角、本を読んでいます。この方の凄い処はただ本の紹介をするだけでは無く読んで自分の考えを持ち言う事です。題材も多種多様で「日本人のルーツ」「日本語とは」「アインシュタインの法則」「オノマトペ」「邪馬台国」「日本の歴史」「中国の歴史」「韓国の歴史」など様々です。勿論、この方は「坂本龍馬」の大ファンですから「坂本龍馬」について詳しいのは知られた事ですが。まぁ~、兎に角、いろいろな人の本から資料を集め話してくれます、そして、自分なりの説、解釈も話ます。この番組のもう一つの面白い処は相方の女性です。「水谷加奈」と言う文化放送の女子アナのようですが、この方との掛け合い、反応が抜群なのです・・・と私は思う。気が付くと3時間、4時間、聞いていたりします。YouTubeには以前にも何度も嵌っています。今から思うとそのネタは面白いだけで何の役にも立たないものでした、しいて上げれば「浮気はしてはいけない」位のものでした。しかしこの「三枚おろし」は「へぇ~」「ほぉ~」「なる程」「そうだったのか」と思わせて貰えます。まだ暫くは止められないでしょう・・・ただ残念な事に一回が5分と短い事です、勿論続けて話すのですが、始まりが前日の復習から始まり実質5分が4分、3分になるのです。あと、困った事に放送年月が解らないのです。そのため、内容に「あれ」と思う事もあります。例えば、2020年08月オリンヒックのマラソンでの東京の暑さの心配を語っていたのですが、北海道でと変わっていますので、暑さよりも予定のコースで練習していた選手の方が私には気になる処です。など、ちょっと気を付けなければいけない部分もありますが、兎に角、名言、気付き、成程が多くあります・・・。さてと、今日はどの題材を聞こうかな。-----おしまい
2020.02.18
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<準決勝 少年の部 二試合目>-----#157 「これより少年の部の第二試合を始める、柳生新陰流・井上 多恵 殿、橘流・ 橘 舞殿・・・お仕度お願い申しあげまする」 「隠居さんよ、さっき負けたわっばも 柳生新陰流・井上って言わなかったか~」 「そうじゃよ、今度は妹の番じゃよ」 「そうか、妹か、今度の橘の娘っ子は小さくて可愛いから妹の勝ちだな」 「辰、お前はあの娘の前の試合も見ただろうに、まだ解らんか」 「解らんて何が」 「あの橘の・・・お前が小さくて可愛いと言う娘の強さがじゃ」 「そげに強かったか???」 「あの娘っ子はな、橘でも十指に入る強さじゃ」 「隠居、馬鹿告くでねぇ~橘にはよ、南北の奉行所の与力、同心が百人以上通うと聞いたぞ、そん中で十番はねいべ」 「確かに与力、同心なぁ、じゃがな相手にならん」 「そうじゃろ、どんなに強うても所詮子供で女だもんな」 「馬鹿もん、逆じゃ、あん娘にはお前が言う与力、同心も相手に成らん、勝てんのじゃよ、余りに差が有り過ぎて練習相手もして貰えんのじゃよ」 「えぇ~、嘘だ~、隠居幾ら何でもそりゃないべ」 「儂ゃ嘘と坊主の髪はゆわん、儂も一度しか見とらんが強い、兎に角強い」 「そうかね~、おらには可愛い娘っこにしか見えんがねぇ~」 二人の娘が襷と鉢巻きも凛々しく開始線で向き合った。 審判がお決まりの言葉を述べ号令を発した。 「は・じ・め~~」 二人の娘たちは当然の様に正眼に竹刀を構えた、舞が相手の得物に合わせた。 暫くはこれもまた当然の様に正眼に構え合ったままだった。 ところが舞が誠一郎と同じ様に開始線から下がると右手一本に竹刀を持ち右に垂らした。 場内に「おぉ~」と言う声が響いた。 「隠居、あの娘も二人になるだか」 「・・・」 返事は無かった。 静寂が戻った場内に「ブーン」「ざぁ・ざぁ」と聞きなれた音が響き出した。 そして、直ぐに舞の直ぐ横にもう一人の舞が現れた。 その姿ははっきりとしており、どちらが実態なのか解らぬ程だった。 場内が又どよめいた。 「おぉ~二人じゃ二人になりおった」 「なんと可愛い娘が・・・」 観衆が見つめていると二人の舞が少しずつ離れて行った・・・がそれでもどちらが実態か解らなかった。 驚くのはまだ早かった、何と二人の舞の内の一人が対戦者の多恵に近づいていったのである。 その歩みは淀みも構えも無い物だった。 多恵は竹刀を胸に引き付け舞の脳天を目掛けて振り下ろした。 その竹刀の振りは迅速なもので日頃の鍛錬が伺えるものだった。 だが、迅速な多恵の竹刀は舞の身体を両断すると地面に着き立ち、その時には舞は元の開始線の処で正眼に竹刀を構えていた。 またまた場内にどよめきが起こったが直ぐに静寂が訪れた・・・見逃すまいとの思いである。 次に先に動いたのも舞だった、誠一郎と同じ様に竹刀を上段に構えたのだ。 またも場内がどよめいた。 「今度は奥方の技をやるつもりだか、隠居よぉ~」 「・・・」 今度も隠居からの返答は無かった。 吉宗が誰にとも無く口走った。 「出来るのであろうか」 誰も答える者は居なかった。 舞の竹刀がゆっくりとゆっくりと降りて来た。 多恵がそれに答える様に右肩に柄の部分を担ぐ様に突きに構えを変えた。 舞の竹刀は誠一郎の様に上下する事無く佐紀と同じ様に少しづつ降りて来た。 観戦者の眼は舞の竹刀の動きに釘付けだった・・・はずだが皆が気付いた時には多恵の竹刀が遠くに飛ばされていた、見ていた者達は驚いた、が一番驚いたのは竹刀を飛ばされた本人。多恵だった。 それから暫く、ゆっくりとした舞の竹刀の動きは続いたが突然、正眼に戻し開始線に戻り直ぐに左手に持ち替え待機の姿勢を取った。 多恵は茫然と飛ばされた自分の竹刀を見つめていた。 舞のゆっくりと動く竹刀に釘付けだった審判が気を取り直し宣言した。 「橘舞殿の勝ちに御座います」 舞は礼をして待機所の自分の席へ戻って行った。<つづく>
2020.02.18
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<準決勝 少年の部 一試合目>-----#156 「これより少年の部を始める、柳生新陰流・井上 順之介殿、橘流・橘 誠一郎殿・・・お仕度お願い申しあげまする」 名前を読み上げる係りの者たちも段々と要領を覚えて来ていた。 誠一郎も他の橘道場の者達と同じ様に木刀か竹刀かは相手に合わせる様にしていた。 順之介は木刀選んだ、それを見た誠一郎は同様に木刀を掴み開始線に向かった。 二人が開始線で左手に木刀を持ち開始の掛け声を待った。 「審判の某(ソレガシ=私)の指示に従って頂く、宜しいな、宜しいな・・・は・じ・め~~」 二人は開始線上でゆっくりと右手で木刀を握り刀を抜く様にして木刀を正眼に構え合った。 そして順之介はゆっくりと近づいて行った・・・が誠一郎はその場に留まり木刀を右に右の片手に持ち替えた。 それを見た順之介は前への歩みを止めた。 彼も当然、自分が試合っていない時に見られる試合は全て見ていたので、その構えには見覚えが有った・・・そう、龍一郎が取った構えだった。 順之介はもし誠一郎が龍一郎の様にできたなら不利になると解っていながらも誠一郎にも出来るのかに興味が湧いて見入ってしまった・・・見入ってしまったのは彼だけでは無かった。 「隠居、あの少年も二人になるのじゃろか」 「儂にも判らん」 「俊方、あの少年も二人になれるのか、なるのかのぉ~」 「申し訳も御座りませぬ、伺い知れませぬ」 「見ておるしかないか・・・出来ると良いのぉ~」 静まり返った場内に小さく「ブーン」と言う音が聞こえ始め、「ザ、ザ」と言う音も加わった。 だが、龍一郎の時と違う処が有った、「ブーン」の音が小さく「ザ、ザ」の音が遥かに大きいのだ。 皆が音に聞き入っていると誠一郎の姿が二人になり始め右にもう一人が薄っすらと現れ始めた。 皆が固唾を飲んで見ていると右に現れたもう一人の誠一郎の姿が何時まで経っても半透明のままで実態には到底見えないままだった。 暫く、その状態が続いたが突然、元の一人の誠一郎に戻ってしまった。 固唾を飲んで見つめていた観衆たちは「は~」とため息を漏らし次にがっかりした様に「何だよ」とか「真似だけか」とかの野次を飛ばした。 それは対戦者の順之介も同じだったが只違うのは自分には半透明の分身すら作る力が無い事を自覚させられた事だった。 順之介は誠一郎の若干の息の乱れを感じ、今が好機と打ち掛かろうとしたその刹那に誠一郎が又新たな動きをし順之介は又躊躇った。 誠一郎は今度は上段に構えを取ったのである。 会場がどよめいた。 「今度は、さっきの女子剣士の技をやるのか」 「あれができるだべか」 「又、猿真似でなかろか」 など騒めいた。 誠一郎の木刀が少しずつ降りて来た、ゆっくりとゆっくりと降りて来た。 群集が騒めいた。 「おぉ~出来ているでね~か」 「あの若いのなかなかやりおるやりおる」 などと声が飛んだ、だが次の瞬間にその声は落胆のものに変わった。 木刀がゆっくり降りていると思ったら少し上がり、次には下がりと安定しなかったのだ。 「なんじゃありゃ~猿真似ででぇ~か」 「馬鹿こくでねぇ~あげなこつおまんに出来るだか~」 「出来る訳ねぇ~べ」 「ほれみべぇ~」 「んだば、あの女子剣士はすげ~剣士だな~」 「んだんだ、ありぁ~ばけもんじゃ」 「俊方、不完全とは言え、これ程の事を少年が出来る橘は凄いものじゃのぉ~」 「はい、真に」 誠一郎本人も不完全さを痛感したのか技を止め正眼に構えを戻した。 誠一郎がいろいろと技を試している間、対戦者の順之介はじっと正眼を崩さず構えていた。 これでまた相正眼に戻り又暫く時間が流れた。 今度も誠一郎が先に動いた、するすると正眼のままに後に下がり間を十分に開けた。 それはまるでこれから薩摩示現流の打ち込みを行う様な間合いだった。 順之介もそう予想し木刀を握る手に力が入り表情も厳しいものに変わった。 だが、誠一郎が取った次の行動は全く違っていた、順之介も見ている者達をも唖然とさせた。 何と木刀を右手一本に右側にだらりと垂らし何の躊躇いも構えも無く無造作に前に順之介に向かって歩きだしたのである。 それは圧倒的な差だった、無防備で近づく誠一郎に木刀を身体に引き付けた順之介が肩口へと得物を振り下ろした、だがそれは僅かに左へ体をずらしただけで躱され空を切り順之介の左へ回り込んだ誠一郎が腹へと木刀を送り込んだ、但し、小兵衛と同じ様に寸止めし身体を木刀に乗せ回すに留めた。 すかさず審判の声が響いた。 「橘誠一郎殿の勝ちに御座います」 この勝ち名乗りの時には既に誠一郎は開始線に立って待っていた。 順之介は力無く立ち上がると礼をして控えの席へと戻って行った。 誠一郎も控えの席へと戻り道場の仲間と同様に瞑目に入った。 先程までの誠一郎に対する野次が嘘の様に静まり返っていた。 「隠居、さっきの二つの技は何だったんだ、こげに強い童でねか」 「あぁそうじゃのぉ、勝ち負けの勝負なら何時でも勝てたろうて、試しておったのかのぉ~」 「試すって何をだ~」 「自分の二つの技がどこまで相手に通用するかじゃよ」 「通用するもしねぇも出来なかったでねか」 「多分じゃが竹刀では上手く行っていたのじゃろうて」 「木刀と竹刀じゃそげに違うか」 「儂にも判らん」 「俊方、あの小姓は忠相の倅と聞いたが・・・強い、強すぎる、忠相も一角の剣士と聞いておるが其方は立ち会うた事があるか」 「いえ、今だ機会は御座いませぬ、ですが倅の強さを見ますに、その様な機会が来ぬ事を祈りとう御座います」 「いや、儂は見とうなった、覚悟せい」 「ははぁ」<つづく>
2020.02.17
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<準決勝 女子の部 二試合目>-----#155 「女子の部・・・無外流・安田久美殿に対し橘流・橘佐紀殿の第二戦を行います、お仕度をお願い申す」 呼び出しの係り員の張り上げた声が場内に響いた。 佐紀も同じ様に対戦者の久美が木刀を選ぶか竹刀を選ぶかを観察していた。 久美も佐紀の方を見ていた・・・二人は暫く見つめ合い久美が先に視線を外し木刀を握った。 佐紀も木刀を握り二人は開始線で向き合った。 審判が二人の姿と顔と体調を伺い声高らかに叫んだ。 「これは殺し合いでは御座らぬ・・・審判の某の指示に従って頂く、よろしいな・・・は・じ・め~~」 久美は間髪を入れずに正眼に木刀を構えた。 それに対して佐紀はゆっくりと木刀を久美と同じく正眼に構えを取った。 暫く、二人は相正眼で向かい合っていた。 突然、佐紀の木刀の切っ先が徐々に上へと動き出し上段へと構えが変わった。 又暫く、二人はその態勢で向き合っていた。 久美は迷っていた、対戦者の佐紀が隙だらけの様に見え、また気が感じられないので誘いの様にも感じて攻撃の時期を伺っていた。 痺れを切らした久美が突きに転じ様と決意した、その瞬間、突然また佐紀の上段に構えた木刀がゆっくりと動きだした、だが今度は下に向かってだった。 その動きはゆっくりとゆっくりとしたもので瞬間には動いていない様に見える程だった。 久美は突きを躊躇い佐紀の木刀の動きに魅せられていた。 その佐紀のゆっくりとした木刀の先端付近が対戦者の久美の木刀に触れようとした時に静寂に包まれた場に大きく「カーン」と音が響いた。 次の瞬間に対戦者の久美の木刀が地面に落ち、久美は両手を腹の辺りで握り身体を丸めて蹲ってしまった。 時が止まった様に静寂は続いていた。 どれ位の時間が経ったのか、一瞬だったのか、四半刻も経ったのか、審判がはっと気が付き佐紀が既に開始線に戻り静かに佇んでいる事に気が付いた。 「橘佐紀殿の勝ちにございまする~」 これまでの試合では勝ち名乗りの後は大歓声に包まれる事が常であったがこの試合の後は違っていた。 余りにも自分が見せられた光景が不思議で理解できず、何を見せられたのか判断の会話がそこかしこで語られていた。 蹲ったままの久美を控え席に戻さなければならないが男である審判は触る事も出来ず困っていた。 すると佐紀が歩み寄り自分の木刀を一人の係りの者に預けると久美の木刀を拾い久美の元へと歩んだ。 そしてまた場内の皆が驚く事が起こった。 桜の側に木刀を片手に持った佐紀がしゃがむと久美の首の下と膝の下に両手を入れてすっくと立ち上がり久美の控えの席へと歩みだしたのである。 その歩みは手にまるで菓子の軽い包みを持っただけの様に軽やかなものだったのである。 久美を控えの席に静かに横たえると佐紀は中央に戻り自分の木刀を受け取ると自分の控えの席へと戻り静かに眼を閉じて座った。 その間、場内はまだ静寂に包まれていた。 戻った佐紀の隣にはお久が同じ様に眼を閉じて静かに座っていた。 次の試合はこの二人が戦う事になるのであるが、二人はまるで気にしている様では無かった。 場内は静寂から変わりひそひそ声が聞こえ始めどよめきへと変化し喧騒へと変わって行った。 勿論、話題は佐紀の技の話と桜を運んだ時の事で有った。 「凄い打撃じゃった、相手の木刀を叩き落とし手を痺れさせた、凄まじいものじゃて」 「だがよ~あの見目麗しい奥方様はよ~そのお姿の様に優しく静かに木刀を当てた、うんにゃ触れただけだったぜ、隠居」 「儂にも、そう見えた・・・が・・・」 「が、何だよ」 「が・・・何かが無ければ相手の手が痺れたり痛くはならんじゃろうが」 「まぁ確かになぁ、訳が解らん、隠居が解らんのだから所詮おらには解らん」 「そうじゃ儂にも判らん・・・解る者は橘道場の者らだけじゃろう・・・て」 「えぇ~あのカラクリが解る奴がいるのけ~」 「当たり前じゃ、おまんも知っとろう、あの奥方様は数年前までは町屋の娘じったのをよ、と言う事は誰ぞが師匠と言う事じゃろが~師匠には解るのが道理じゃろう」 「そうか、そうだな・・・師匠って誰だ、隠居」 「知ってどうする、種証しでもして貰うつもりか~」 「やっぱ無理か」 「当たり前じゃ馬鹿者」 「あぁどうせ俺は馬鹿だよ、馬鹿ですよ」 「俊方、今のはどうなっておる」 「私めにも正確には判りかねます、ですが想像はできます」 「想像でも良い、言うてみよ」 「上様が先程命名されました、分身の術の一種ではなかろうかと存じます」 「龍一郎のあの二人に見えた技か」 「左様に御座います」 「う~む、解らぬ、申せ」 「女子の後ろ髪が僅かに揺れておりました。 静かに微動もせずに立っている様に見えて実は動いていた。 木刀を素早く振り上げ素早く振り下ろし一点で止める。 また素早く引き上げ素早く振り下ろし一点で止める。 これを繰り返し止める一点を少しづつ下げていく・・・すると常人には少しづつ静かにゆっくりと降りている様に見える・・・・・・のではないか・・・と思われまする」 「う~ん、理屈は判った、それで其方は出来るのじゃな」 「一派を束ねる主、上様の剣術指南役の者として、出来ます・・・とお答えしなければなりませぬ・・・成りませぬが、残念ながら出来ぬ自信の方が強うございます、申し訳も御座りませぬ」 「良い、良い、所詮其方も人の子じゃ・・・奴らは鬼人、化け物じゃ、剣のな。 しかし、解らぬ、解らぬ、数年まえまで剣、いや竹刀さえ握った事も無いでああろう者、それも女子がどうしてあの様に強う成れるのじゃ・・・秘術、薬、まさか阿片ではあるまいな!!!」 「上様、お言葉を返す様ですが聞くところに寄りますと阿片を使う者は確かに常人よりも異常な力を出すと聞いております、ですが長くは続かず、その顔色は悪く身体はやせ細り病い人の様子になると申します、あの者たちは逆に至って常人よりも健康的に見えまする」 「そうじゃの~力が身体から溢れ出てきそうじゃ」<つづく>
2020.02.16
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<準決勝 女子の部 一試合目>-----#154 残りが各組毎に四人づつとなった。 吉宗は指南役の俊方を側に呼び耳元に囁いた。 指示を受けた俊方は直に審判に告げに行った。 直後に組み合わせの発表の係り員の声が響いた。 その組み合わせは出来るだけ橘道場の者同士が次に対戦しない組み合わせだった。 だが成人の部だけはそうは行かなかった、何故なら四人の内三人が橘の者たちだったからである。 審判は語った。 「最初に女子の部、次に少年の部、次に成人部と致す、準備を成されよ。組み合わせは女子の部は中条流・須田桜殿に対し橘流・竹内久殿、今一組は無外流・安田久美殿に対し橘流・橘佐紀殿で御座います。少年の部は柳生新陰流・井上順之介殿に対して橘流・大岡 誠一郎殿、柳生新陰流・井上多恵殿に対して橘流・橘舞殿に御座います。成人の部は七日市藩流・岩澤平四郎殿に対し橘流・橘 龍一郎殿、無外流・安田治五郎殿に対し橘流・橘小兵衛殿に御座います」 期せずして・・・いや吉宗が考えた組み合わせであるから意図してである。 橘流に対他の流派の構図となり少年の部に至っては柳生新陰流対橘流、男対男、女子対女子と言った巧妙な組み合わせで有った。 組み合わせが発表された途端に場内から玄妙な組み合わせに唸り声とも歓声とも点かない声が上がった。 「では、此れより女子の部を始める・・・中条流・須田桜殿、橘流・竹内久殿・・・出ませ~い」 審判の声が響いた。 すると場内の何処かから大きな声が響いた。 「罪人の呼び出しじゃね~んだよ~~出ませいは無いじゃないか~」 この言葉に場内に「そうだ、そうだ」と声が響き大合唱になった。 「あの呼び出しの審判は橘の道場には行っておらん様じゃのぉ~」 「何でだ隠居、何で判るんだ」 「道場に行って居ればじゃ竹内久殿とは呼ばぬし、あんな邪見には到底できんて~」 「何でだ隠居、訳が判らん」 「竹内姓は元の姓じゃ今は館長の奥方で橘じゃ、それにな、とてもじゃないが恐ろしくてあのような呼び出しなど出来るものか」 「えぇ~優しそうな婆さんじゃないか」 「婆さんなどと本人の前で言うてみろ・・・お前の首が何処かに飛んでいくわい」 「い~~そ・そ・そんなに怖いのか~強いのか~」 「儂ゃの~あの奥方が熊の様に大きなならず者を叩きのめすのを見た・・・それも二度じゃぞ」 「ならず者・・・道場破りか?」 「そうじゃろう~な、兎に角、大きな男じゃった」 「それをあの奥方様が倒したのか」 「倒した何てもんじゃね~、叩き延ばした、気を失うたわい」 「二人ともか」 「ああぁ、二人ともじゃ、一人なぞ一撃じゃった」 「一撃ってたったの一発か」 「の様に儂には見えたがなぁ~・・・解らん」 「よっしゃ、おらはあの婆様は・・・奥方様と呼ぶ事にすべぇ~、隠居よぉ~」 「儂は以前からそうお呼びしておるぞ」 「おらもそうすべぇ~」 「基(もとい)、此れより女子の部を始めまする、中条流・須田桜殿、橘流・橘久殿、お仕度をお願い申し上げまする」 「今度は偉く仰々しいじゃねぇかよ~~、やれば出来るじゃね~かよ~~」 今度も大きな野次が飛んだ。無論、今度も場内中の大受けであった。 「あの者、明日から市中が歩き難くかろうのぉ~」 吉宗が独り言の様に誰にとも無く言った。 聞こえた幕府の重鎮たちが「にやり」と笑い同意していた。 お久は静かに座ったまま相手が得物、つまり木刀を選ぶか竹刀を選ぶかを待っていた。 お久には得物により方法を二通り考えてあった。 相手がもし木刀を選んだ場合は小兵衛と同じ様に相手の打ち込みを受け流し疲れが見えた処へ打ち込む・・・と考えてあった。 見ていると相手の須田桜は一瞬迷った様だが竹刀を手に取った・・・のでお久は別の手で行く事にした。 二人の対戦者は歩み寄り開始線で止まると礼を交わした。 審判がそれを確かめ声を掛けた。 「はじめ~~」 二人が相正眼で構え合った・・・と皆が思っていた処、桜の身体がお久の竹刀を軸に回転し足が空に向い突き上げられ次の瞬間には桜の身体は地面に横になっていた。 場内は慎として声も無くお久が開始線に戻る足音だけが響いていた。 仰向けに倒れた桜は腹の上に竹刀を空に向かって立てていた、正眼の構えのままだったのだ。 三人の係り員がゆっくりと用心して桜に近づき二人が同時に竹刀の先端と握りに近い部分を掴んだ、その後、もう一人が桜の肩を軽く叩いた。 気が付いた桜は竹刀を振り回そうとしたが二人の男に竹刀を掴まれていて叶わなかった。 そして周りを見渡し状況を理解し対戦者のお久が開始線にいる事を確認すると竹刀から手を離し自分の開始線へと向い礼をした。 お久も礼を返し控えの席へと戻って行った。 桜も竹刀を受け取ると控えの席へと戻って行った、但しこちらには係りの三人が後に従っていた。 先の勝負で負けた者の一人が控えの席に戻る途中で走って引き返し勝者を後から襲った者が居たからである。<つづく>
2020.02.15
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<ホワイト・ハウス>-----#019二人が去った家でそんな会話がされている事も知らずに二人はホワイト・ハウスへ向かっていた。二人が車に乗ろうとしていると彼女の電話が鳴り、会談の時間が40分後と知らされたのだ。どちらかと言うと饒舌な彼女が珍しく無言で運転していた。無論、彼の会社について考えていたのだ。彼女はその会社が世に知られる様になった時に徹底的に調べた・・・つもりだった。もし本当なら・・・本当なのだろう事は判っていた、ので自分の調査能力の無さを痛感していた。何故なら、彼女は宇宙船に乗ったのだから・・・あの技術があれば、いや、あの技術が無ければ出来ない事だったからだ。二人がホワイト・ハウスの玄関ゲートに着くと待ち構えていた様にゲートが開き中に通された。ゲートを車が通ると道を塞ぐ様に車が止まっていた。そして、その車に乗り換える様に依頼と言うより実質命令された。車に乗る前に警備所に入れられ所持品を全て出さされ金属探知、身体検査をされた。彼女が驚いたのは彼が何も持っていない事だった、彼女だけでは無く警備要員も驚いていた。現代では必需品とも言われる携帯電話もクレジットなどのカードも家の鍵さえも持っていないのだ。彼女は不思議に思った、ホテルではブラック・カードを使った・・・はず。警備要員は逆に厳しくなり別室へ連れて行った。彼女は服を脱がされての検査を行うのだと想像していた、自分でもそうすると思った。この時代に全くの手ぶらなど考えられない・・・彼女の場合はカードの使用を見ているだけに余計に不思議でならなかった、が黙っていた。10分ほど経っただろうか? 彼女が少し不安になった頃、彼が申し訳なさそうな顔をした保安要員二人と隣の部屋から出て来た。「申し訳ありませんでした」保安要員の一人がアメリカ人には珍しく詫びた。それを彼女が訳して彼に伝えた。「それが貴方の職務です、気にしていません。これからも相手が誰で有ろうと同様にして下さい・・・とお伝え下さい。」彼が彼女に通訳を願った。彼女が要員に伝えると要員は感慨深げに彼を見つめた。それからの保安要員は二人に、特に彼に対する態度がとても丁寧なものへと変化した。警備の一人が二人を塞いでいた車へ案内し乗る様に指示した。彼女が乗ろうとすると彼が言った。「ここの庭はとても綺麗ですね、見物しながら歩きたいのですが宜しいですか」彼女が彼の願いを伝えると全員が驚いた顔をしていたが許可してくれた。二人は手を繋いで保安要員、警備員に前後左右を囲まれて官邸への道を歩いて行った。「本当に綺麗ね、貴方の言う通りね、車でなんて勿体ない景色だわ」日本語が解らないであろう警備隊長が彼女に話掛けた。「我々は毎日見ていますが、こうして改めて見ると本当に綺麗ですね。ですが誰もどのゲストも彼の様に言った人は居ませんでした。こんな事を聞いてはいけない事は判っていますが、解っていますが・・・彼は何者ですか」「貴方の気持ちは理解できます・・・彼の魅力でしょうか・・・彼は不思議な人です。気持ちは解るのですがお伝え出来ません。私の感じではひょっとすると現状の最高国家機密・・・の様な気がします、申し訳ありません」「いえ、気になさらないで下さい、我々は保安、警備の要員です。ゲストの知らされ無い事を知ってはいけないのです。今の私の発言は忘れて下さい・・・私は余りにも強い欲求に負けてしまいました」「何の話でしたっけ・・・あの花の名前でしたっけ、私には解りません」「ありがとう御座います」隊長が礼を言った処で官邸に辿り着き内部の要員に引き継がれた。官邸は一般人の見学も可能である。2001年のテロ以前は整理券を貰うだけで簡単に見学できたが、現在は在住する州の議員に申請し審査の上、可能となる。外国人は自国の大使館で申請し許可が降りれば可能となる。因みに日本大使館では見学申請の受付を行っていない、つまり日本人は見学できないのである。その日本人の一人が大使館への申請も無く官邸の中へ入って行った。見学者の居ない玄関ホールに入るとゲートでと同じ事が始まった。持ち物を全部出し、彼が何も持っていないと解ると別室へと連れて行かれ又彼女一人で待つ事になった。彼女はまた考えていた。<ホテルで使ったカードはどうなったのか、船に乗った時に置いてきたのか、車の中に置いて来たのか・・・彼が着ていた宇宙服は隣の部屋で服を脱ぐ時にはどうしているのか・・・これを予想して今日は着ていないのか。先程も考えたが結論は出なかった、後で彼に聞いたら教えてくれるだろうか・・・などと考えていた>彼女の考えが堂々巡りをしている間に先程と同じ様に彼が出て来た。今度は四人に前後左右を囲まれて部屋から出て来た。彼女が訝しんで見ていると危険人物を囲んでいる風では無く重要人物を警護している感じがした。二人は別の警備の二人に廊下を案内されて歩いた。二人の警備員が両側に立つ部屋の前に着いた。一人がドアをノックすると暫くしてドアが開き二人を確認すると内部へ導いた。二人が部屋に入るとドアを空けた人物は部屋を出て行った。中には三人の人物が居た。一人が立ち上がり挨拶をした。通訳のジェレミーだった、彼の顔は少し引きつっていた。「あの日以来ですがアメリカを楽しんでいましたか」通訳のジェレミーが桜井に日本語で話し掛けた。「ありがとう、彼女の御蔭で楽しませて貰っています」大きな机の正面に座った人物が怒った顔で何かを言った。「何を言っているのだ、どうせ余計な挨拶だろう。そんな東洋人に挨拶など必要無い、早く要件を済ませろ」現大統領は白人至上主義で有名な人物だった。ジェレミーとキャシーは彼が英語が解らなくて良かった、と思った。次の瞬間、全員が驚かされた。彼が流暢な英語で言葉を返したのだ。「多人種の国で貴方の様な人物が主導するなど持ってのほかですね。自分の体形を健康に維持管理さえ出来ぬ人物に国の指導など出来るはずが無い。この国も先は長く無い」内容もさる事ながら発音も完璧で英語が出来ないと聞かされていた大統領と高官がびっしりしていた。何より通訳の二人、ジェレミーとキャシーは只の驚きを通り越して驚愕していた。「英語が解るのか、話が違うじゃないか」大統領がジェレミーに詰問した。「申し訳ありません、今の今まで知りませんでした」「こんなに流暢なのにか」「はい」大統領と隣に座る高官がじっと彼を見つめた。「人には二種類あります。優しくするとその優しさに付け込んで更なる優しさを要求する者と優しさを優しさで返す者です。信用できる者は勿論後者です、どうも貴方は前者のようですね」彼が英語で言った。「何を言う・・・こ・こ・このイエロー・モンキーが・・・」横にいる高官が大統領の腕に手を掛けてそれ以上の暴言を止めようとした。だが、一旦火が付いた頭は冷めなかった。「次官や長官たちが勧めるからしょうがなく合ってやったのに・・・な・な・んだ、その態度は」「可笑しな人ですね、最初に喧嘩を売ったのは貴方ですよ、私は買ったまでの事です」「何をこちらが先だと言うのか、違うだろ」と隣に座る高官と通訳の二人の顔を見た。意を決した様に高官が言った。「ミスター・サクライ、私は国務長官をしております、スティーブン・モンローと言います。よろしくお願いします・・・大統領、残念ですが最初に喧嘩を売ったのは貴方です。彼が英語が解らないと思っていたからでしょうが言ってしまいました」「そりゃそうだろう、こっちは英語が解らないと聞いていたんだぞ、何を言っても良いだろう」「それを彼は人の本性を知る作戦だと言っているのですよ」「汚いやり方だ、真珠湾攻撃のような奇襲だ」「は~」国務長官が呆れてため息を憑いた。ここでキャシーが割って入った。「貴方、許して下さい」彼に許しを求めた。彼は彼女が何を言うのかが解っている様に小さく頷いた。「大統領、貴方の専用機・エア・フォース・ワンは何ですか」「何を突然聞くのだ、今は関係無いだろう、第一秘書風情の出る幕では無い」彼女の顔が少し赤く染り少しづつ顔が厳しくなり般若の様になった。美人なだけにその変化は際立って見えた。「秘書風情では無く通訳としてここにいます。その通訳は名前をヘイウッドと言います、上院議員の娘です。母が貴方の私に言った言葉を知ったら激怒するでしょうね~、私は言いませんが。それより貴方の乗っている飛行機は今ではレンタルなのを知っていますか。貴方だけでは在りません、世界中の航空機の殆どがレンタルです・・・航空機会社一社のです。そしてこの方がその会社のオーナーなのですよ。彼がノーと言えば今から貴方はどの飛行機にも乗れなくなるのですよ。人は見かけに寄らない、見た目で判断してはいけない・・・良い例だと私は大変勉強に成りました。そう言う意味では貴方に感謝しなければなりませんね。それで電車か車でしか移動手段の無い大統領は仕事になるのでしょうか。彼はとても優しい人ですから貴方を許すでしょうが、私は決して許しません。移動手段の無い大統領がどうするかを楽しみに観ています・・・貴方、帰りましょう」彼女はそう言うと彼の腕に自分の腕を絡めてドアの方へ歩き出した。彼女の言葉に三人の男は茫然としていた。二人が官邸を出ようとした処で通訳のジェレミーが追い掛けて来た。「申し訳ありません、戻って頂けませんか、どうかお願いします」ジェレミーが土下座でもしそうな勢いで願った。「私はもうあの人、あんな奴とは話もしたく無いし顔も見たく無い。けれど彼はもう許している様だから貴方の顔を立てて戻るわ、そうでしょう、あ・な・た」「僕の将来の奥さんは旦那さんの事を良く判っているね」二人は大統領と国務長官が待つ部屋へと戻り出した。二人が気を変えて帰るのを阻止するかの様に後をジェレミーが警備員を従えて着いて来ていた。部屋に戻った二人を迎えたのは国務長官一人だった。「貴方方には大変不快な思いをさせてしまいました、お詫び致します。大統領は急な病になり療養する事に成りました。これは、一時間以内に官邸から広報が発表する正式なものです」「あの男がこれくらいで屈服するとは思えないのですが」彼女の第一声が不振の言葉だった。「貴方がたが部屋を出た直後にスカイラインのCEOから連絡が入り国中の飛行機のレンタル契約を破棄するとの連絡が本当に直ぐに途轍もなく直ぐに入りました、直後です不思議でした。ですがその御蔭で貴方たちを引き留める事が出来ました、戻ってくれてありがとう。あぁ大統領ですがその返答を聞いた途端に椅子に倒れ込みました。私は大統領に引退を勧めました、それ以外に回避する方法は無いと説得しました。嫌がっていましたが、国内の飛行機が全機飛ばなくなった理由が貴方だと知られれば国中を歩けなくなりますよ、海外も駄目、と言うよりもう海外へ行けませんが・・・と言うと納得しました。あの男はもう終りです」大臣は大統領を最後はあの男と言った。「そうですか、良かった、私はもう顔も見たく無かったから」「しかし、どうしてCEOが連絡してくれたのでしょう、それにどうして、どうやって私の携帯の番号を知っていたのでしょうか」「貴方ね」彼女が彼に確認した。「僕の将来の奥様は美人なだけで無く頭も感も良い様ですね」「貴方と一緒にいると不思議な事も不思議では無くなるわ、それで大臣、副大統領は大丈夫ですか、まともな人ですか」「まともの内容は人に寄って異なるでしょうが私から見て常識のある方です。そうそう貴方のお母さまとも仲の良い方ですからお聞き下さい」「母とですか・・・なら大丈夫でしょう、でも母に聞くより私の旦那様に聞いてみたいわ」「私の計画では一週間後に変わってもらう予定でしたが未来の奥様の短気で少し計画が早まった様です・・・これで答えになっていますか」「はい、了解です、だそうですよ、大臣」「何とも風変りなお二人だ、二人は2、3日前に初めて会ったと聞いていたのですがご夫婦ですか。それに今回、大統領との会談の目的は何なのでしょうか、大統領の交代では無いですよね」「私達は本当に三日前に初めて会いました・・・が今は婚約しています。それと会談の理由は彼に聞いて下さい」三人が彼の返事を待った。「二つ在ります、世界中の考古学者を集めて貰いたい。もう一つ世界中の物理学者と天文学者を集めて貰いたい、この二つです。集めて頂く名簿はここに在ります、大統領の要請として頂きたいのです。そしてこれは最重要秘密事項にして下さい、勿論、名簿のメンバーに機密保持契約を結んで貰います。可能ですか・・・不可能でしたら私個人の力で実施します。この場合、米国には何の特も発生しません、政府が関与するならば米国の利益は膨大なものになるでしょう」「次期大統領との会合は必要ですが私がこのままの職で居られるならば説得をお約束致します」「貴方たちの役職は私がお約束致します、ジェレミー貴方は大統領補佐官の一人です」彼は何も持っていなかったはずなのに内ポケットから名簿を取り出して渡した。三人がまたまた驚いて彼を見つめた。「あぁ~また旦那様に驚かされてしまったわ。まぁ~可能でしょうね・・・彼は嘘は付きません、いえ付けない様です」「それでは私も嘘つきにならない様に万全を万難を私の全力を尽くします」「間違え無いで頂きたいのですが、これは私の為では在りません。私にはそれ程の益は在りません。ですが貴方の国、アメリカ合衆国に取っては大きな大変大きな利益が在ります。そこを心に留めて置いて下さい、宜しいですね」「はい、解りました、ありがとうございます、いろいろと・・・まずは大統領の事では大変お世話になりました」「じゃ~後はお願いして会合の日程の連絡をお待ちしましょ・・・あ・な・た~」「あの~、私の処遇はどうなるのでしょうか・・・通訳の必要は無いのですから」「あら~何の事、彼は日本人で通訳が必要なのですよ。それに貴方はもう只の通訳では在りませんよ、お忘れですか、大統領補佐官の一人なのですよ」「あぁ~そうでした、まずは大臣を補佐して会合の準備を致します」「よろしく、では次回にお会いするまでね~」彼女が彼の腕に腕を絡めて歩きながら別れの挨拶をして部屋を出て行った。「凄い二人だね、君は前に合っているから慣れているのだろうが、私にはあんな人達は初めてだ」「いいえ、彼は殆ど変わっていません・・・が彼女は、う~ん・・・別人ですね。顔もスタイルも少し違いますし何より・・・そうです、身体から漲るエネルギーと言うか自信と言うか恐れが何も無いと言うか・・・最初に合った時にも綺麗な人だなぁ~と思いましたが今日は超超超の超絶美人でした、スタイルも超抜群で見惚れてしまいました」「うん、私もいろいろな女優やモデルと合ったがあれ程の美形に合った覚えが無い、確かにね」「たった二、三日で人はそれ程変われるものでしょうか、それとも別人でしょうか」「官邸警備を通って来ている、特に彼女はFBIの職員と聞いているが、そうならば別人はまず無理だろうな」「そうですね、無理ですね・・・不思議です、摩訶不思議です」「貴方とは今後付き合いが長くなりそうです。彼が言っていた様に優しさを優しさで誠意を誠意で返す様な関係を築きたいと思います。よろしくお願いします。私にとって今日と言う日は忘れられないでしょう。貴方だから言いますが大統領、いや、あの男が嫌いでした、あんな男を選んだ全国民を呪いました。何度も辞職を考えました、が誰かが歯止めに成らなければ・・・と考え逃げる様な事が出来ませんでした。此れから新大統領と共に協力して行きましょう」「こちらこそよろしくお願い致します、ご指導ください」「では早速、会合の準備をはじめましょう」二人は彼から渡された用紙の確認から始めた。<つづく>2025/05/21 更新
2020.02.14
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<革命的な企業>-----#018三年前に航空業界を一変させる企業が現れた。その航空機は速さが飛びぬけて早かった、これまで八時間掛かっていた航路を一時間で飛んだ。その航空機は滑走路を必要としなかった、垂直離着陸機だった。その航空機製造会社は航空機を販売せず全てレンタルとしていた。そして空港に専用整備場を設置する事とセキュリティー検査も行う事を条件としていた。これらの条件でも各国の航空会社はこの航空機を導入せざるを得なかった。余りにも時間が違い過ぎたのだ。時間が掛かる要素の一つにセキュリティーがあった。預け荷物の検査、手荷物検査、人体検査と従来のセキュリティー検査には時間が掛かっていた。だが、この航空会社のセキュリティーは全く違っていた。航空会社のエリアに入ると危険物を持つ人、規制物を持つ人は何処からともなく現れた人達に別室に連れられて行かれた。普通の搭乗者は只のゲートを通り何の遅延も確認も受けずに搭乗した。預け荷物の機内への搬入と搬出も迅速で航空機を降りた時には出口で自分の荷物を受け取る事が出来た。自宅を出発し目的地に着くまでの全工程を時間で計算すると10分の1になる旅もあった。これでは現存の航空会社は太刀打ちできなかった。この新航空会社の飛行機を導入するしか会社を存続させる道は無かった。レンタルを受けた各航空会社、各国は当然、航空機の秘密を知ろうとした。だが、いずれも無しえなかった。この航空会社の専用整備場のエリアへは外部の人間、機材を一切入れる事は出来なかった。人材、機材は会社の専用航空機でエリアに直接離着陸しその様子を伺いしる事すらできなかった。世界中の人達が不思議に思っていた。これだけの航空機とセキュリティーの航空システムを持つ会社が航空機会社で在って航空会社では無いからだった。航路の開設をせず、現行の航空会社に飛行機を貸しセキュリティーの設備を設置し保安要員を教育配置し専用整備場を確保し自社要員だけで整備していた。自社で航路を持てば利益率は膨大なものになる・・・がそれを望んでいない様であった。ある時、CEOがアメリカの放送局に出演し理由を述べた。「現行の航空会社に取って変わる事は簡単です、しかし、今後もそれはしません。なぜなら世界中の現行の航空会社の社員の生活を守りたいからです。役員、幹部の生活はどうでも良い・・・一般社員の生活環境を維持したい・・・その思いだけです。」この放送がネットを介して世界中の言語に翻訳され広まった。当初は嘘だ、何か裏があるに違いない、その内現行の会社を乗っ取るに違いない・・・などの思惑が広がった・・・がその後も言葉通りの行動を続けて信頼する人が多くなって行った。その後、その会社が人員不足を理由に社員公募を行うと現行の航空会社の一般社員が優先的に採用されるとの噂が広まった、これは本当の事だった。約3年経った現在、この航空機会社が全世界の航空業界の85%を占める様になっていた。その間に航空会社からの買収依頼が世界中から数多くあったが一切受けなかった。理由はこれもつい最近になって流れた情報によると買収された会社はその買収金の多くが幹部社員と株主に周り結局倒産するからだそうだ。実際にその会社が行った事は倒産した会社の役員、株主が責任を果たした後に元の一般社員を採用すると言うものだった。この方法が世界中の国で行われ現状の85%となったのである。世界中の主要な都市を結ぶ航空路線はこの会社一社しかないのである。独占だ、だが航空料金を上げるなどの利用者の、いや世界中の人々の予想を超えて逆に料金の引き下げを行った。そして、これも実際に行われた事だが以前の航空会社の幹部や役員は一切採用されなかった。この会社では、不思議な噂が流れていた。この会社には「神」が居る、と言う飛んでも無いものだった。ある日、突然一人の社員が警察に逮捕され完全な証拠が揃っていて確実に有罪になった。また、ある幹部が逮捕され弁護士を依頼したが証拠物件を見せられ弁護士が弁護を断った。その幹部は金を厭わず弁護士を探し回ったが全ての弁護士が最初の人と同様に証拠物件を見せられ弁護を断った、当然、有罪である。それが大題的なニュースになり世界中にネットで広がり、その会社では犯罪が減って行った。セクハラ、パワハラなどの軽微な物も無くなって行った。 <つづく>2025/05/21 更新
2020.02.13
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<新たな住まい>-----#017彼女の家族だが父は「ヘンリー・ヘイウッド」で55才、母は「ヘレン・ヘイウッド」54才、兄「デイビッド・ヘイウッド」32才、妹「マーガレット・ヘイウッド」19才、そして「キャサリン・ ヘイウッド」27歳だ。だが、この時既にキャシーは機器に入った後なので見た目は18から20歳位に見えた。父は貿易商で主に日本製品のアメリカ国内への卸しを行っている。兄はその会社の専務。母は二人の故郷テキサス州の上院議員。妹はMITの大学生。最近、妹の素行が悪く両親は危惧していた。兄の独身である事も危惧していた。姉妹はMIT、他はハーバード。「あ・な・た・朝食よ」キャシーが婚約したばかりの彼を呼びにテラスに姿を見せた。「あぁ、ありがとう」彼が席に着くのを皆が待っていた。朝食は日本食だった。それも何処かの旅館の様に魚、御飯、味噌汁、漬物に何と納豆まで用意されていた。そして、彼が席に着くと皆が唱和し「いただきま~す」と言って食べ始めた。これには流石の彼も驚いた。それを見ていた彼女が言った。「驚いたでしょう、そうよね~見た目は完璧にアメリカ人・・・それが日本食に「いただきます」だものね。これね母の仕事の関係で一時期、日本に家族全員が住んでいたの。そして母が最初に日本食を気に入り結局全員が日本食しか食べなくなったの。昼も夜も日本食よ、その為に日本人のコックを・・・調理師を雇った訳ね。アメリカに戻る時にご夫婦にお願いして一緒に来てもらったの。さっき会った執事のような事をしていた人が旦那さんで調理士が奥様、彼は調理師でもあるのですけどね、美味しいわよ」彼も「頂きます」と言って食べ始めた。彼女の言った通り料理は大変美味しい物だった。食事中に皆がいろいろな話をしながら時々彼をちらりと見る事を繰り返していた。食事が終り日本茶を飲んでいる時にいよいよ我慢が出来なくなった母親が彼に話し掛けた。「お仕事は何をなさっていらっしゃるの」皆が興味深々な顔も露わに彼を見つめていた。「何もしていません・・・無職です」「無職の方が大金をお持ちな訳をお聞きしてよろしいかしら」「構いませんよ、誰に何を尋ねようと自由です、何ら犯罪では在りません・・・ですが、その質問に対して答える、答えない・・・のも又自由です・・・・・・は建前です。過去に私が発明した特許でお金には不自由しなくなりました」「発明? どんな物?」「残念ですが、それはお答えできません、後はある企業のオーナーですね」「その企業も秘密ですか」「そうですね、現状では秘密です、時が来たらお話出来るでしょう」「時がきたらですか・・・その時とは?」「その時が来たら解ります・・・。解りました、皆さんのお顔を拝見するに、どうも犯罪組織の幹部と思われている様です。それは違いますが私が言わないのはその会社のオーナーだと言っても信じて貰えないと思うからです。彼女も信じられないでしょう、彼女もまだ知らない事てすが私の家は3LDKでこの家の客間くらいの広さしかありません、そんな家に住んでいる人間ですからね。そこでまず彼女にだけ会社名を伝えます。彼女が信じられる様になって、そして皆さんも信じてくれるだろうと彼女が判断した時点で彼女の口から伝えてもらいます」彼は彼女に耳打ちして会社名を伝えた。その会社名を聞いた彼女は驚愕の余り口を大きくあんぐりと空けまじまじと彼の顔を見て言った。「うそ~~」彼は彼女の顔をじっと見つめて静かに頷いた。「やはり、貴方も信じられませんよね」「だって・・・」続きは彼に口を手で塞がれて言えなかった。「・・・本当なら・・・確かに五千万ドル位は塵みたいな物だわ~」「さて、今日は何処へ案内してくれるのですか」「まず上司に連絡して大統領との会談ができるかの確認します。まだの様でしたら博物館巡りなんてどうですか」「いいですね~、私は古代にとても興味がありますので、お願いします」既に二人だけの世界に入っていて手を繋いで玄関へと向かっていた。二人の後では家族の話合う声が響いていた。「今、あの子、大統領との会談って言わなかった」「私にもそう聞こえたが~」「これから日本へ行くのかしら」「何を言ってるの、この子は~日本は大統領じゃなくて首相でしょ、DCにいるんだからアメリカの大統領でしょうね、あの子も一緒に・・・会談に参加するのかしら」「上院議員の君は何度も会っているだろう」「合った事は何度もあるし話も何度もしたわ・・・でもそれは挨拶程度のものよ、会談なんて~」「姉さんの彼氏は何者なの~、何処の会社のCEOなのかしら。姉さんがあんなに驚く会社って何処なのかなぁ~。その会社のCEOなら五千万ドルも簡単と言っていたから、すっごい会社なんだろうけどなぁ~。何処かな~、あぁ~気になる、気になる~~」「僕も気になる・・・が会社は判った様な気がする」「えぇ~兄さん、何処何処どこなの、教えて」「お前、解ったのか」「お父さん、何と無くですけど~、確かに彼が言った様に、もしそうなら僕も信じられないし皆も信じないでしょうね~」「そんなに凄い会社なの、それに気になるのは彼が社長ともCEOとも言わずにオーナーって言った事なのよね」「お母さん、鋭い、僕が思っている会社のCEOは別人で彼では無いのてす」「そんな事はどうだって良いわ、何処なの、何て言う会社?」「そうだな~、ここ何年かで急に現れて急成長した会社と言えば何処か浮かぶかい」兄が妹に質問を質問で返した。「最近、急成長~急成長・・・あぁ、飛行機会社だ」「えぇ~、まさかスカイラインか~」「と僕は思いました、あそこの社長は元弁護士で全くの畑違いです。確か副社長の一人も元検事だったか弁護士だったか法律関係だったはずです。経済にも航空にも全く関係の無い人達が役員なんて不思議な会社だなぁ~って調べた時に思いました」「どうした、母さん」「え~貴方、もしもその会社の社長・・・オーナーがあの人なら大統領が合うかどうかを考えていたの。どんなに急成長した今は途轍もない会社の社長でも大統領は合ったりしないと私は思うのよ」「成程、それもそうだね」「でも、次の選挙の時に50億、100億の献金をするって言えば~会うんじゃないの」「全く、お前は~、第一彼は日本人よ、日本人がアメリカの大統領選に献金なんて出来ないわよ」「そんなの会社を通すとかスイスの銀行からとか何かの方法が在るんじゃ無いの」「あんたは悪知恵が働くわね、でもね最近の検察は献金に厳しいから無理なのよ」「その辺は現役上院議員の母さんが詳しいに決まっているね、母さんが無理って言えば無理なんだよ」「じゃあ、何で大統領は彼に合う訳よ」「確かにな、まだ日程は決まっていない様だったが合う事は決まっている様な感じだったな」「しかし、可笑しな・・・不思議な・・・彼氏を連れて来たものだ・・・我が娘わ」「確かに、不思議な人だけど私は嫌いじゃ無いわ、寧ろ気に入ったわ、貴方はどうなの」母親は同じ女として娘に聞いた。「そうね~、私も気に入ったわ、もしもお姉さんと別れたら私が貰っちゃうかも」<つづく>2025/05/21 更新
2020.02.13
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<帰還>-----#016その後、彼女に火星と月の裏側を見せ地球の姿を衛星軌道から再度見物させて船を着陸させた。その頃には彼女も驚き尽くして落ち着きを取り戻していた。車が船から今度は傾斜路を降りて舗装道路に出ると彼女が気付いて尋ねた。「この車には位置情報を知らせる装置が付いているのを忘れていました。突然現れた事になります、どうしましょう」「大丈夫ですよ、我々は山小屋に居た事になっています、偵察に来た人もいる様ですが・・・」「そんな事も出来るのですか、考えてあったのですか」「他にも在りますよ、この車は前と変わらない様に見えます、X線に掛けても元のままです・・・が前の車とは全く別の車になっています」「えぇ~前と変わっている様には思えませんが」「時速400キロで走れる様になっていますし、実は空も飛ぶ様になっています」「空をと・・・ぶ・・・」「防弾、防火、パンク防止・・・それと勿論、防水です」「ぷ~~、な~んだ冗談なのね」彼の返事は無かった。彼は道に見覚えが無い事に気付いていた。「何処へ向かっているのですか・・・あぁ~ご自宅ですね」「えぇ~そうよ、駄目? ・・・家族に貴方を紹介したいの」「こんな叔父さんを何者だと紹介するのですか」「そ~う~ね~~・・・政府の仕事の関係者・・・とも言えないし・・・彼氏ね・・・そう今から貴方は私の彼よ・・・それも結婚を前提にした、か・・れ・・し・・・ね」自分でも驚く様な言葉が彼女の口から洩れた。驚いた彼女は無言になった。何故、そんな事を言ったのか自分自身で考え込んでしまっていた。彼女の両親の家に着くまでの長い時間を二人は無言で過ごした。彼は周りの景色を楽しんでいるのか時々薄く微笑みを浮かべていた。彼女は時々彼の様子を伺いながら考え込んでいた。家に近づいた時に静寂を破る様に彼女が言った。「唐突ですが、どうも私は貴方に惚れた様です、貴方は私の事をどう思っていますか、好きそれとも嫌い?」「確かに唐突で率直ですね、ありがとう、私も貴方が好きです」「ありがとう御座います、とても嬉しいです・・・では両親には婚約者として紹介します」その時、ぴったりと玄関門のゲートに着いた。「ゲリーおはよう、今日は日曜だから皆、家にいるかしら?」「おはよう御座います、同乗の方はどなたですか、仕事ですのでご勘弁下さい」「ええ、勿論よ、彼は私の婚約者よ、よろしくね」「えぇ~婚約者~お・おめでとう御座います」「ありがとう」返事を返しながらゲートを車が通り過ぎた。彼女の家は彼女が小さい頃に購入され彼女の母親の選挙区から引っ越して来た時からの建物だった。敷地も広大でこの近辺では当時は珍しくなかったが今ではこれ程の屋敷とも言うべき物件は少なかった。敷地内の芝生が整備された庭の中の舗装された道を車は建物へと向かった。建物も大きく屋敷に相応しい物で玄関に車を止めると雨が降っている時でも濡れずに家の中に入れる様になっていた。彼女は晴れているのでその手前の道に車を止めた。二人は車を降り彼女が彼の前を案内する様に歩いて行った。彼女が玄関のドアを開けようとすると内側からドアが開いて正装の男性が姿を見せた。「おはよう御座います、お嬢様、二日の留守を心配しておりました」「おはよう、マサト、前から言っているでしょう、私はもういい年なのだからお嬢様は止めてねって」「はい、お嬢様」二人は家の中に入りながら話していた、その後を彼が付いていた。「もう、良いわ好きに呼んで、今日はお客様が一緒です、皆いるかしら」「はい、これから朝食です、こう言っては何ですが珍しく全員揃っておいでです」「それは珍しいわね、でも丁度いいわ」彼女がタイニングへのドアを開けて朝の挨拶をした。どうもこの家では日本での生活が長かったせいか日常会話は日本語の様だった。玄関ドアで迎えた初老の紳士も日系人の様だった。「お父さん、お母さん、兄弟たち・・・おはよう、今日は重大な発表が有ります・・・お客様をお連れしました。この男性は私の婚約者の日本人の桜井さんです」「婚約者~」全員が驚きの声を同時に発した。「男の様な貴方に彼氏、婚約者・・・男性の・・・」これは母親の発言だった。「お母さんは私がゲイだと思って居た訳ね、それでお父さんは何か言う事は?」「いや無い、おめでとう」「兄さんは」「おめでとう」驚いた様にそれだけを言った。「私の可愛い妹は何か感想は?」「姉さんに彼がいる事さえ知らなかったわ、何時からの知り合いで何処で知り合ったの」「正直に言うわね、彼と知り合って約二日、婚約したのは10分前よ」皆が大合唱。「えぇ~」「お前には悪いが彼は我が家の財産目当てではないのか」父親の意見だった。「母さんの職業も知っているんじゃないの」これは妹の言葉だった。「彼と知り合った切っ掛けは政府の秘密だから言えないけど、彼がそれらの情報を知っているとは思えないんだけどなぁ」彼女は彼を見て賛同の言葉を待った。「貴方には申し訳ありませんが、貴方の母上の職業、父上の職業、お兄さんの職業、妹さんの大学と学部と専攻、皆さんの資産、家族全体の資産、世界中に所有する不動産、皆さん個人ごとの銀行預金、お付き合いの相手、友達の名前、住所、電話番号、メール・アドレスを知っています。他の日系のお二人の情報も勿論持っています。」全員が突然、彼を恐怖の眼で見つめ、キャシーは少し遠のいた。「現時点では余り詳しくお話できませんが、私の全資産は貴方がた全員の合計の100倍以上あります。俄かに信じられないでしょうが、財産目当てでは在りません。そうですね、30分以内に荷物が届く様にします。その中に100ドル札で5千万ドル入っています、30分待ってください」彼はそう言うとダイニングを抜けてテラスに出ると籐で作られたソファーに横になってしまった。「彼は何者なの」母親が聞いた。「詳しくは話せない・・・と言うより本当は知らないの」「それで婚約を決めたの、偽装の婚約なの」「いいえ、私からの要望よ」「貴方がプロポーズしたの??? どうして???」その時、玄関ゲートから連絡が届いた。「荷物が届きました、検査では金属反応はありません、X線検査では紙の束の様です、通しますか」「ええ通して下さい」母親がゲートに答えると続けて皆に言った。「30分て言っていたけど随分早いわね、違う物かしら」玄関が開いて警備員が台車に乗せてダンボール箱を4つ運んで来た。警備員が念の為に言った。「私が開けましょうか」母親が答えた。「いいわ、ありがとう、後は私達が開けるわ、中身はわかっているから」警備員が戻ると、母親が長男と父親にお願いして箱を開けた。皆が覗くと彼が言った通りに100ドル札が束になって箱の中にぎっしりと詰まっていた。彼ら家族は茫然と箱を見つめ次にテラスで寝転ぶ彼に視線を送った。「上院議員としては支援者を得る為に資産家の知識は豊富なつもりだったけれど彼の事は全く知らない。彼は何者なのかしら、我娘ながら金銭的には良い人と知り合ったわね・・・性格はどうなの」「性格は多分正常、何よりも知識量は膨大・・・と言うよりも凄いわ、知らない事が無いんじゃないかと思う位に豊富、後・・・これは絶対に家族でも言えない事だけど彼は特別、特別中の特別、私は今後絶対に彼に着いていくつもり、これは誰が何と言おうと変えるつもりは決して無いと誓うわ」「貴方がそれ程に信頼する人物に合うとはね、それも知り合ってたったの二日でね~」「それより、お母さんたちは気付かないの」妹が両親と兄に問いただした。「何のこと」「何が」「何がだ」「姉さんの顔とスタイルよ、見て解らないの~~」家族全員で少し離れて眺め近づいては眺め顔や腕を触りお腹を触った。その間、本人はモデルの様にゆっくりとした動きでいろいろなポーズを取っていた。妹はお尻と胸にまで触った、それを見た母親も真似た、兄もと手を伸ばしたが流石に手を叩かれた。「凄い変わり様ね~、もともと私の遺伝子を受け継いでいるから顔は綺麗だしスタイルも良かったけれど・・・そうね、洗練されたと言うか際立ったと言うか、そうそう健康的になったわね」「お母さんは忙しくて良く見て居なかったでしょうけど、仕事のせいかお姉さんは最近、目尻に小皺ができていたし、ほうれい線も薄く出ていたのよ。それに外反母趾の兆候が出始めていて歩き方もおかしかったのよ」「へぇ~知らなかったわ、でも、小皺も何も無いじゃないの」「だからオカシイ、不思議だと言っているのよ。第一部屋に入って来た時の歩き方なんてモデルじゃないかと思っちゃった位に均整がとれていたもの」「何をにやにや笑っているの、どう言う事なの・・・確かに良く見ると今の貴方は17,8歳にしか見えないわね、あぁ第一お化粧もしていないじゃないの~」「えぇ~お化粧なんてしていないわ、だってする必要も無いもの。肌はピンピンでツヤツヤ、小皺も無ければシミも無いのよ、必要無いでしょう、ふ・ふ・ふ」「何~その笑い、少し腹立ってきたわ、何したのどうやって若返ったの、姉さん」「そう~そうか、若返ったのか、成程、その言葉がぴったりね、私も少し腹が立ってきたわ」「父さん、女は怖いね、特に美に関してなのかなぁ~」兄が父に問いかけた。「多分な、若返る為なら幾らでも金を掛けるのが女だからな」「何言ってるの、貴方だってもう年なんだからボディービルで幾ら鍛えても息子には勝てないでしょう。若返りたいでしょう」「そんな事よりお姉さん、どうやって若返ったの、それもこんなに短期間に?」「それは秘密、でも彼が関係しているとだけ言っておくわ」「えぇ~彼のおかげなの」皆が彼が寝ているテラスの方を向いた・・・が窓からは寝転んでいる彼の姿は見えなかった。「父さん、母さん、このお金はどうするんですか」兄が確認した。「そうだな~家の物にすると贈与税を払う必要が出る・・・だから彼がこのお金の事を何か言うまでは家の金庫に入れておこうか」「そうね、彼~こんな金額は全く気にしていないみたいね」「お姉さん、5千万ドルを平然とこんなに早く用意できる人って何している人なの」「それを聞かれるとちょっと困るわね・・・政府関連の機密事項と言いたいのだけど本当は彼が何者なのか知らないのよ」「えぇ~何も知らないのに結婚するって決めた訳~~」「お母さんが何時か言っていたじゃないの、結婚なんて勢いよ勢いって」「あら、私そんな事いったかしら?」「それより兄さんとお父さんで、このダンボールのお金を金庫へお願いね」「おう、任せておけ」二人の男が二度の往復でお金の箱を金庫に仕舞った。<つづく>2025/05/21 更新
2020.02.13
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<キャサリンのスーツ>-----#01515分程してスーツ姿のキャサリンが管制室に飛び込んで来た。「このスーツは何、何、何ですか、驚きです・・・この肌触り。」「落ち着いて下さい、これから説明します、まずは髪を襟の内側に入れて下さい」彼女は言われるがままに背中の中程までの髪を束ねてスーツの内側に入れた。「では、次に手の指を下に真っすぐ伸ばし指先を逸らせて下さい」また、彼女は彼の言うままに手と指を動かした。すると、また彼女が驚く事が起こった。彼女の頭がヘルメットに覆われ顔の前が透明なガラスに塞がれ手にスーツと同じ素材のグローブがはめられた。彼女が驚いていると彼の説明が聞こえた、それはヘルメット内部のスピーカーからの様で頭の中からの様にも聞こえた。「そのスーツの本来の役目は宇宙服です、それに加え防弾でもあります、着心地はいかがですか」驚きの余り彼女の息遣いが早くなり過呼吸になりそうだった。彼は彼女の両肩に手を置き落ち着かせようとした。「落ち着いて、まずは一回息を止めて、そう、そのまま、次に息を少しづつ吸って下さい」彼女は彼の言う通りにして過呼吸から回復し落ち着いた。「このスーツには空気タンクがありませんが・・・何分息ができるのですか、それに防弾てどう言う事ですか」「そのスーツの空気がどれだけ持つかは人に寄って違いますが一週間以上は確実に保ちます。防弾についてですが100メートルからの50口径の弾丸も防ぎます。爆弾、爆発でも大抵の物には大丈夫です。それに元々は宇宙服ですから放射線も防ぎます。高温、低温にも対応しています、プラスは500度、マイナスは100度まで気圧は20気圧まで大丈夫です。ですから海中は水深200メートルまでは大丈夫です、気圧調整の必要はありません」「・・・凄い・・・でもこのヘルメットと手袋はどこから来たのですか」「ヘルメットは首の周りの小さな膨らみ、手袋も手首の小さな膨らみです」「そんな膨らみありましたか」「在りますよ、次にヘルメットと手袋の収納方法を教えます、方法と言っても只こう言うだけです・・・宇宙服モード解除」彼女が復唱した。「宇宙服モード解除」彼女のヘルメットと手袋が消えた。彼女は首回りと手首の周りに触り膨らみを確認した。「こんな小さな膨らみが・・・」「まだまだです、もっと小さくしなければ・・・と考えています」「これでも十分です・・・日本は技術力が高い国だとは知っていますが、こんな服、スーツやこんな宇宙船も開発していたなんて・・・知りませんでした」「これは日本の物では・・・いや私は日本人だから日本の物ともいえますか??? でも日本の誰もこれらの存在を知りません」「えぇ~貴方だけ貴方個人の物と言う事ですか、これを、スーツだけでも売り出せば資産家に成れます」「お金の問題では在りません、このスーツが悪用されれば何でも思いのままです、そうは思いませんか」「そうですね、例えば銀行強盗に入って警察に囲まれて撃たれても平気なのですね」「そうです、貴方はしますか」「しません、決してしません、バットマンですね、スーパーマンですね・・・あ~飛べないで・す・よね」「飛べません、ですがそのスーツはアーマード・スーツでもあります。貴方本来の力の二倍の力持ちに成ります、50キロを持ち上げるのが限界なら100キロが限界になりますので70キロは軽々と持ち上げられるでしょう。飛び上がると70センチなら140センチになります」彼女はその場で飛び上がった。「全然変わりませんよ」「これから貴方にスーツの使い方をお教えしますので付いて来て下さい」彼はそう言うと管制室を出て直ぐ隣の壁の前に立った。すると壁から階段が現れ彼はその階段を登って行った。彼女も後に続いて登るとそこは大きな体育館の様に広々としていた。「今は安全の為アーマード・モードはオフになっています、これからオンにします、くれぐれも気を付けて下さい」彼女は暫く待って又その場で飛び上がった。軽く飛んだにも関わらず1メートル以上も上に飛んでいた。驚いた彼女は暫く佇んでいたが、今度は思いっきり全身を使って上に飛んだ。「うわ~凄い」彼女は2メートル近くまで飛んでいた、そして広い体育館を飛び跳ね回った。彼女が何度か飛んで次も飛ぼうと着地すると宇宙服姿の彼に肩を押さえられジャンプを止められた。「宇宙服モードでも練習して下さい、それとジャンプ力だけでは無く走る事も合わせて練習して下さい。貴方が100メートルを14秒で走れるならば今は7秒ですから」彼がそう言った途端に彼女は手を下に伸ばし指を逸らせ宇宙服モードになると走り出しジャンプし前方宙返り後方宙返りを始めた。暫く飛び跳ねていたが今度は走る事だけを始めた。この階は円形で高さが15メートルの運動用の物だった、その外周を彼女はオリンピックの優勝者よりも早い速度で走っていた。途中で彼女は宇宙服モードを解除し襟に仕舞っていた髪を出し止めていたバンドも外し長い髪を後に靡かせてただただ走っていた。彼女は爽快だった、そして「ふと」気付いた。顔は汗ばんでいたが身体に汗を感じないのだ、出ているはずの汗が感じられなかった。そこで彼女は走りながら又髪を束ねて襟の中に仕舞い宇宙服モードにして走り続けた。すると直ぐに顔と頭の汗が引き爽快になった。彼女は思った事を口に出している事に気づかずにいた。「このスーツは凄い汗を吸収してくれるのね・・・お風呂、シャワーの必要もないのかな~」そこに彼の声が聞こえた。「そうです、でも残念ですが、化粧は出来ません、耳の掃除、鼻の掃除も出来ません、爪も切ってはくれません、マニュキュアも出来ません、歯磨きもしてはくれません」彼女は息も切らさずに答えた。「貴方はやっぱり男の人ですね、お化粧や爪の手入れは女にとっては苦痛では無く楽しみなのですよ」「そうなのですか~~歯磨きは出来れば省きたいものですが」「では、貴方はお風呂が嫌いでこの機能を考えたのですか」「正解です」「まぁ~」「そろそろスーツの他の説明をしましょう」彼がそう言うと彼の前に彼女が戻って来た。「モードの機動は口で言っても働きます。ヘルメットのガラスの部分はバイザーに成ります。つまり外から貴方の顔は判りませんが貴方から外は見えます、但し鮮明度は少し落ちます。他に赤外線モードにも成ります、夜も人の居場所が判ります、それと情報も表示します。ヘルメットもスーツも防弾と言いましたが打撃にも対応しています。殴られてもバットで叩かれても痛くはありません、勿論、防水です。何か質問はありますか」「スーツは防弾でも宇宙服モードで無い時に頭を狙撃されたら死んじゃいますよね」「それも大丈夫です、貴方に向かって500メートル以内に入る飛翔物がある時に自動的に宇宙服モードと言うか戦闘モードに成ります、但し残念ですが貴方の隣に立っている人の狙撃は防げません、それと髪の毛は適当にヘルメットの中に入ります」「それはちょっと残念だけど安心しました、打撃にも対応していると言いましたが・・・」「では今から普通の男の人のパンチを貴方のお腹に打ちます」彼は素手でかなりのスピードのパンチを彼女のお腹に放った。彼女は微動だにせず平気な顔で立っていた。「どうですか」「どうも何も全く何も感じません・・・いえお腹に少し圧迫感を感じました、それ位ですね」「着られそうですか、ずっと着て居られそうですか」「えぇ~勿論、と言うより着ていたいです、着させて下さい」「どうぞ、たった今からそのスーツは貴方の物です、お気づきと思いますが汗は吸収します。それだけではないのです、代謝皮膚も吸収します・・・のでお風呂もシャワーも必要はありません。但し、一カ月間着続けるとスーツのリフレッシュが必要になります」「えぇ~そんな機能もあるのですか・・・一日24時間ずっとそのままで良いのですね。あれ貴方がスーツの上に着ていた服は何処にあるのですか」彼女が後を振り向いて彼に向き直って彼を見てビックリした。彼が元の服を着ていたからだ。「何処に仕舞ってあったのですか」彼女が聞いている間に彼はスーツ姿、服、スーツ、服と何度か繰り返した。「ど・ど・どう言う事ですか」「このスーツは形状記憶変化機能もあるのです、でも、貴方の物はこの機能は使えません、まだスーツに慣れていないからです、少しづつ機能を追加していきます」「形状記憶は聞いた事が有りますが棒がバネになるとか、そんな物だと思っていました。服に普通の服になるのですか、マスクと手袋とブーツは?」「この服の襟の部分がヘルメットで手首の袖の部分が少し厚くなっています、ブーツは普通の靴の様に見えますが厚底です・・・一つだけ体感してみますか」彼がそう言うと彼女の身長が少し高くなった。驚いてブーツを見ると赤いピンヒールの靴になっていた。「私のこのスーツには形状記憶変化機能が無いと言いませんでしたか」「無いとは言っていません、使えない・・・と言ったのです。スーツの着心地に慣れて頂く事と基本機能の習得が先決だからです。その後少しづつ機能を追加して行く予定です。先程貴方本来の力の2倍と言いましたが、そのスーツは10倍までが本来の機能です。握手で相手の手を握り潰しては困りますのでね」「成程、その通りですね、解りました、2倍を無意識に調整できる様になればよいのですね」「そうです、無意識にです、それが大事な事です、因みに私のスーツは20倍です」「え~え、20倍・・・50キロとすると1トン・・・ですか、凄い、スーパーマンですね、あぁでも飛べないですね」彼女が少し残念そうに言うと彼が少し困った様な顔をした。「えぇ~まさか空も飛べるのですか」「飛べます」「飛べるのですか・・・スーパーマンです、アイアンマンです、超人です、スーパー・ヒーローです」「それは困ります」「どうしてですか、困っている人を助ける事が出来れば」「それは良いのです・・・が我々の存在が知られる事が困るのです」「何故ですか」「このスーツの存在が知られれば手に入れたいと思う者達が大勢いる事でしょう。誘拐や暗殺が心配な人達、まだこの人達は良い方です。世界中の軍隊・・・たった一人で何百人、何千人、何万人でも戦争に勝てます。最悪は犯罪組織、テロ組織です、銀行強盗、アメリカのフォートノックスの金塊も簡単に強奪できます。どんなテロも起こせます・・・そのような大勢の人達に存在が知れれば調査、詮索、誰だと探される事に成ります、もし貴方だと解れば家族に危害が及びます。スーツを手に入れる為に両親、兄弟の誘拐が考えられます、どう思いますか、望みますか」「考えもしませんでした、例えば私が顔を解らずに火事を消したとします、それでも、そうなりますか」「誰か解らなくてもニュースの映像に成れば、悪意がある人も報道機関の様に只の好奇心ででも軍隊の調査機関、政府の捜査機関、貴方の所属する機関もですが、スーツの存在が知られれば確実に身元調査が始まります、違いますか」「う~ん・・・多分仰る通り身元の確認を開始するでしょうね、それも徹底的に何としても探し出そうとするでしょうね、特に先程言っていた犯罪組織やテロ組織に先を越されない様に最優先事項になるでしょう」「そう言う事です、ヒーローも活躍の場は無いのです、残念ですが」「人助けが出来るのに・・・見て見ぬ振り・・・力が無いより辛い選択ですね」「私はそれに耐えてきました・・・貴方が思うよりもずっとずっと長くね」「何か手は無いのですか、貴方は頭の良い人だから何か考えはあるのでしょ」「無い事も無いですが・・・スーパーマンに悪事を働かせる、またはアメリカの軍隊の味方にする方法・・・貴方ならどうしますか」「スーパーマンが悪い事ですか・・・・・・何とかの鉱物に弱かったですね、でも弱っては駄目ね、う~ん、やっぱりロイスを誘拐するわね」「そうするでしょうね、他には只単に大勢の人質を取るか、ではアイアンマンの場合はどうですか」「スーツはあの人専用ですから盗んでも駄目ですね、いやそれでも分解して同じ物を作れますね~盗みに入ります、秘書の彼女を誘拐します」「と言う具合に何とでもなります、成らなくても厄介事は尽きないでしょう、それは悪の組織だけの事です。それに政府機関も追加される訳ですからまともな生活は不可能です。現代は情報化時代です、街のあちこちに監視カメラが有ります、直ぐに正体は知れるでしょう」「でしょうね・・・そうなると普通の生活は無理ですね」「と言う事です」「でも私には貴方が目の前の人の不幸に手を出さないとは思えないのですが、人助けをした事は無いのですか」「数えられない程あります、これ程の情報化時代になる前は簡単でした、現代では容易では在りません、火事で逃げ遅れた人を救う時は出動している消防士に扮します、本人は覚えのない功績に成ります、誰かに功績を譲ります、私の存在を知られない様にします」「凄いですね~それこそ本当のヒーローです・・・人からの賞賛も栄誉も名誉も無しですか・・・私には無理なのかなぁ~」「私は貴方なら可能だとワシントン記念堂で考え結論を出しここにお連れしたのです」「私も人に褒められたい、特に両親に褒められたい欲求はあります、それを押さえられるのでしょうか」「私に人を見る眼があるのか・・・無いのか・・・楽しみですね」「まぁ~~意地悪な方ね」「ところで目的地にそろそろ着く様です、展望室に行きましょう」二人は地球を衛星軌道で見た部屋へ向かった。「目的地って何処に向かっていたのですか」彼女がそう言っている内に無重力になり前の壁が上に上がって行った。「何も無い宇宙ですよ」「暫くお待ち下さい」暫く二人は星が輝く宇宙を無言で見つめていた。彼女が突然叫んだ。「ボイジャ~~~~~そ・そ・そんな・・・ボイジャーですよね」「そうです、ボイジャーです」「私は私達は太陽系を出たのですか」「太陽系と言うか星系全体に言える事ですが、何を境に星系内外を決めるかによりますね」「と言うと・・・意味が解りません、テレビでは確かボイジャーは太陽系を抜けた、出たと言っていました」「冥王星を含む隕石群のリング帯を過ぎた事は確かですが太陽風の届く範囲を過ぎたかと言えばまだですし太陽の引力圏外に出たかと言えばまだです」「そんなに太陽の影響力は強いのですか・・・凄いです」「宇宙規模から見れば狭い範囲の話です」「貴方は一体・・・」彼女は余りの驚きに言葉が続かなかった。<つづく>2025/05/13 更新
2020.02.13
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<二日目の始まり>-----#014翌朝、彼女はベッドで近年では感じられなかった爽快な気分で目覚めた。ベッドの中で大きく伸びをして元気良く飛び起きた、そして気付いた。昨夜、余りの疲れにお風呂にも入らずシャワーさえも浴びず、何と服さえもそのままに眠り込んでしまっていた。彼女は自分が今どこにいるのかを思い出し再び部屋中を眺め現実を受け入れた。「は~~」と大きくため息を付き「成る様になるわ」と声に出し何時も通りの事を始めた。そして顔を洗おうと鏡を見て驚いた。鏡に映っているのは誰? と思う程に顔が変わっていた、若返っていた。眼の周りの小皺が全く無くなっていた。眼の下の疲れた様な弛みが全く無くなっていた。若い年齢の割りに職業のせいか薄く現れ始めていたほうれい線が全く無くなっていた。額の薄い皺が全く無くなっていた。首の皮膚に張りが有った、手と足を見ると皮膚に張りと弾力があった。そこで彼女は思い出した。彼が言った「もし成れるなら幾つに戻りたいですか」その時、彼女は「18才」と答えていた、今、鏡に映る姿は自分の昔の18才の頃の姿だった。いや、それ以上だった、初期の外反母趾の症状が出ていた足も元の様に真っすぐになり痛みも無かった。そして熟睡したせいか頭の中も爽快に若返った様に感じた。「おはようございま~す」と彼女は元気な声を掛けて管制室に入って行った。「おはよう、良く眠れましたか」「はい、ありがとうございます、18才に戻りました、昨日の機械はなんですか」「健康診断と治療機です」「治療機ですか、何でも治せるのですか? 若返らせる機能もありますよね」「どんな病気も治せます、貴方には若返って貰いました」「私には・・・ですか」「はい」「私だけですか」「そのつもりです、それは、またの機会にお話ししましょう」「・・・」「私には貴方に対して秘密はありません、但し、話をする時期はそれぞれの事柄により異なると思って下さい」「・・・」「朝食にしましょう、アメリカ人らしくベーコン、玉子焼き、トースト二枚に珈琲でよいですか」「いいえ、私はと言うか私の家族は皆、日本食好みなの」「それはまた健康志向ですね」「母の仕事で日本に住んでから日本食以外は滅多に口にしなくなってしまったの」「では、日本の旅館風の朝食にしましょう」彼がそう言うとテーブルの中央がせり上がりお盆に乗った旅館風の日本食が現れた。味噌汁とお茶からは湯気が立ち納豆まで付いていた。「わぉ~、美味しそうね」彼女はそう言って椅子に座りお盆を引き寄せた。食後のお茶を美味しそうに飲みながら彼女が聞いた。「食事は何でも頼めるのですか」「材料が有れば何でも作れます」「それは便利ですね、デザートもあるのですか」彼女がそう言うとまたテーブルの中央がせり上がり小皿に乗ったケーキが一つ出て来た。「えぇ~、どうして、どうして・・・」それは「サヴァラン」と言うラム酒のケーキで、まさに彼女が頭に浮かべ、今食べられたらと望んだ物だったからだ。「昨日から私は何度驚かされた事か、これまでの人生の驚きの回数を超えました。でも不快ではありません、嬉しい驚きです・・・ですから、これからも何度でも大歓迎です」「それは良かった、ではデザートを食べたら次の驚きにしましょう」「まだ、嬉しい事があるのですか・・・やっぱり楽しみな様な・・・ちょっと怖い様な・・・」「貴方の部屋へ行って下さい、テーブルに服が用意されています、只の服ではありません。スーツです、ダイビングに使う様なスーツです、但し着る時には全ての下着も脱いで着て下さい」「スーツ、ウェット・スーツ???」「例えです、お願いします、どうぞ」彼女は言われるがままに自分用と言われた部屋に向かった。 <つづく>2025/05/12 更新
2020.02.13
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<彼の告白>-----#013暫くして桜井が何かを決断した様に彼女の方を向いて話し掛けた。「ヘイウッドさん、これから出かけましょう」「ホテルへ戻りますか」「いいえ、違います」「ホテルを取ってあるのですが泊まらないのですか、それから私の事はキャシーと呼んで下さい」二人はホテルをキャンセルし彼女の車で郊外へ向かった。「何処へ行くの、目的地は何処?」「曲がる時には言います」「だから・・・貴方には言うだけ無駄ね、もう良いわ」もう何度目かの言い合いだった・・・彼女は諦めた。何度も彼の言う通りに曲がり、とうとう道路とは言えない様な道に入った。「都市部からそんなに遠くないのに、こんな処があるのね・・・ところで私はFBIの職員よ」彼女は少し身の危険を感じてそう言った。だが彼からは何の言葉も帰っては来なかった。暫く車は無言の二人を乗せて進んで行った。「止まれ」彼の突然の言葉に彼女はブレーキを強く踏んだ。文句を言おうと彼の方を向いた。「五メートル前進」彼の言葉に驚き渋々従い5メートル程前進し止めた。すると車が上に上がり出し前に四角く明るい窓の様なものが現れ二人を乗せた車が光の中へ入っていった。彼女は身の安全も危険も忘れ、暫くは只、茫然と周りを眺めているだけだった。「私は誘拐されたのですか? 私は上院議員の娘ですがFBIの職員ですよ・・・あぁでも貴方は大統領にも面会する予定の人ですよね? 此処は何処、此れは何? 私は何処に連れてこられたの」FBIの訓練で少々の事では驚かない彼女も余りの事に出て来る言葉が支離滅裂だった。彼はその彼女の言葉が聞こえないかの様に車から出て前に歩き壁の前に立った。すると壁が四角く開き奥に通路が見えた。彼は通路を向いたまま彼女を待つかの様に立ち止まっていた。驚きの展開に戸惑っていた彼女も観念した様に車から出て彼の横に立った。彼女の正面には幅2メートル程の通路が奥行き15から20メートル位続き左右を見ると同じ様な幅の通路が有り少し向こうに湾曲している様だった。隣の彼が正面の通路へ歩き出し彼女も後に続いた。彼女がふと振り返るとあったはずの出入り口が消え壁になっていた。彼女が前に向き直ると今度は正面の壁に出入り口が有り又彼が立ち止まって彼女を待っていた。彼の横に並び部屋の中を覗くとそこは何処か何かの制御室の様に彼女は感じた。彼女がきょろきょろと部屋を見ている内に彼は部屋の中央にある椅子に座り隣の椅子を指さしていた。彼女は「もうどうにでもなれ」と言う気持ちで椅子に座った。「足を少し開きなさい」彼の言葉に驚きと不安が蘇った。「ここの安全ベルトは5点式なのですよ」彼は彼女の戸惑いに気づき優しく説明した。彼女が足を少し開くと腰の両側からベルトが現れ「カチッ」と結ばれ、次に両肩の後からベルトが現れ腰のベルトに結ばれた、そして最後に又の間からベルトが現れ腰のベルトの丸い部分に結ばれた。彼女はカー・レースなどで使われる4点式のベルトは聞いた事はあったが5点式など初めてだった。このベルトで彼女は横は勿論、上へも下へも身体が動かせず完全に椅子に固定されてしまった。「1から4Gへ徐々に加速、衛星軌道で停止」彼が誰かに言い何者かが答えた。「はい」直後に彼女は自分の身体が徐々に椅子に押し付けられ重く感じ始めた。「気分が悪くなったら、これを使って下さい」彼が彼女の前にビニールの袋を出し口を指で押さえて開き力を抜いて閉じる動作を何度か見せて彼女に渡した。彼女は受け取った袋の口の開け閉めを試し「う~ん、良く出来ている」と感心した。その間も彼女は自分の身体がどんどん重くなるのを感じていた。「まだ、耐えられますか」「まだ、まだ、耐えられます」彼の問いかけに彼女が返事をした。「5に上げて下さい」彼がまた誰とも解らない相手に言った。「はい」彼女はまたまた身体が重くなったと感じた。「もう、これ以上は無理そうです」「大丈夫ですよ、もう直ぐ着きます」その言葉通りに彼女は身体の重みが取れ、今度は逆にお風呂に浸かった様に重みを感じなくなった。彼は横に座る彼女をじっと見ていた。暫くして彼女の口から言葉が漏れた。「先程、衛星軌道と言いましたか? 私は・・・私達は今、宇宙にいるの??? これ宇宙船・・・な訳ないですよね」「今の重力を感じない状態を作れますか」「飛行機で上空から急降下すれば作れます」「その通りです、でもそれで得られる時間は?」「確か・・・一分も無かった・・・様な・・・」「では、そろそろ終わりですね・・・・・・・・・・終わりませんね。時間を長くするにはもっと上空から急降下するしかありません。降下速度を遅くすれば重力を相殺できませんからね。そして5分も続けたければ、それはもう大気圏を越えた高度が必要になります。ならばそのままそこにいる方が良い事になりますね」「じゃあ~本当に今、無重力なのですか?」「はい、正確には重力の影響は受け続けていますので無重力ではありません、自由落下状態です」「あぁ、はい物理で習いました、もう一分はとっくに過ぎていますね・・・これは宇宙船?、日本の?」「宇宙船です、でも日本のではありません、いや、私のだから日本の物かな、でも日本政府は知りません」彼が手を出し彼女が手を握るのを待った。彼女が彼の手を握るとシートベルトが消えた。彼はシートの背もたれを掴むと引っ張った、すると二人は入って来た方向とは別の壁に向かって空中を漂って行った。彼女は空中を浮遊する自分の状態を不思議に眺め回した。二人が漂い壁に近づくと壁が消え通路が現れた。彼は彼女を連れて漂い通路を真っすぐ進み反対の壁際の部屋に入った。するとシートが現れ彼女をそこに座らせ彼も隣に座った、勿論、シートベルトが現れ固定された。「外を見せて下さい」彼が言うと目の前の壁が少しづつ上に上がり外が見え始めた。壁の透明なガラスの外には青く輝く「地球」が有った。宇宙船は地球の自転とは逆に進んでいる様でアラビア、インド、東南アジア、日本、グアム、ハワイそしてアメリカが見えた。土の色、森の緑、漂う雲・・・飽きる事の無い眺めだった。彼女は只じっと見つめていた・・・長い長い時間。突然、壁が降り始め地球の姿を隠した。「眺めていると余りの素晴らしさに切りがないですからね」「どれ位たったのかしら???」「50周位かな」「そんなに??? でも本当に素晴らしくて飽きないわ」「何時でも見れるから次の部屋へ行きましょう」「次の部屋・・・何をするの」「貴方の健康診断ですよ」「私、何処も悪い処は無いわ・・・頭もそんなに悪くは無いと思うけど?」「自覚症状が無いだけかも知れないですから・・・1Gにして下さい」彼はそう言いながら、歩き出したので彼女も恐る恐る立ち上がり重力を実感して後を追った。彼は通路を少し進むと壁が開き部屋に入ったので彼女も後に続いて入った。その部屋は彼女に研究室か診療室の印象を与えた。「その壁に背中を当てて立って下さい」彼女は言われるままに壁に背中を当てて立った。「何が在っても驚いて動かないで下さい、痛い事は一切ありません」彼女が頷いたのを確認すると彼がまた誰とも解らない誰かに言った。「初めて下さい」すると、彼女の立っている床が彼女を乗せて少し上がり壁が前に出て来て足が上に向かって上がり彼女を水平に寝かせた、そして彼女の上の天井から何かの機械が現れた。「暫く、そのままじっとしていて下さい」彼の優しい声が聞こえた。暫くするとまた彼の声が聞こえたがその内容は彼女を驚愕させた。「貴方は27才のはずですが肉体年齢は36才です、最近、寝不足の様です。足が外反母趾の初期です、既に足に痛みがあるでしょう。職業の性でしょうか脳に疲労が蓄積しています、腎臓にも若干の異常が見られます。生理痛も酷い痛みを伴っているでしょう、年齢と職業と家庭を考えれば普通でしょう」彼は医師の様に恥ずかしさも漂わせず淡々と説明した。「もし、戻れるとしたら幾つの時の肉体になりたいてすか、私は18才が妥当だと思いますが」彼女は少し逡巡し答えた。「もし、戻れるものならそうですね、18才頃の身体が良いです」彼からは何の返答も無かった。暫くして彼女の位置が元の壁際に戻り、彼が言った。「もう、動いて良いです、次は貴方の個室に案内しましょう」「えぇ~、私に個室が有るのですか」「勿論です、一人になりたい時もあるでしょう」彼は元来た壁際に行き壁が消え通路に出て元の中央の方へ歩き元の中央部の前で左に曲がった。その左の壁に出入口が出来ていて、その中に入って行った。彼女も続いて入った。中は極普通のソファー、テーブルが置かれ壁にはテレビが埋め込まれた居間だった。「ここが貴方専用の部屋です、自由にお使い下さい、如何ですか? お気にめしませんか?」「お気に召すも何も本当にここは宇宙船の中なのですよね~、何だか何処かのリゾート・ホテルの様です、文句の付け所なんかありません」「寝室とバス・ルームも勿論あります、クローゼットには、いろいろと用意されていると思いますので確認して下さい。足りない物は言って下されば用意させます。トイレですが無重力の時には特別な使用方法が有りますので確認しておいて下さい。勿論、緊急でなければ無重力になる前に警告があります。では今日はお疲れでしょうからお風呂に入って眠って下さい。質問が無ければ私は失礼しますが、何か?」「・・・ありがとうございます、何も質問はありません・・・正直な処まだ頭の中が混乱していて・・・」「良く判ります、考えを整理する為にもお一人の時間をどうぞ、では失礼します」彼は彼女の物と言った部屋から出て行った。彼女は寝室への扉を探して壁の前を歩いた、最初の壁から隣に移動すると壁が消えて寝室が現れた。寝室も居間と同じ様に白を基調としていてとても清潔に見えた。バス・ルームは何処だろうと壁の前に立つと壁が消えて洗面所が現れた。お風呂、シャワー、トイレは何処だと周りの壁の前に立つと次々に現れた。浴槽は寝転がる事が出来る位に大きくバブル・ジェット付きでシャワーが隣にガラス張りで有った。隣がトイレで何か不思議な機械が付けられていたがこれが無重力用かと納得し早めに試そうと思った。寝室に戻り洗面所への壁の隣に移動すると壁が消えてウォーク・イン・クローゼットが表れた。中に入ると色とりどりの服や帽子に靴に下着が引き出しにこれでもかと沢山入っていた。彼女は試着したい誘惑にかられたが少し疲れを感じて、まずはベットの寝心地を確かめようとヘ゛ットに横になり布団の中に入り枕に頭を付けて「あぁ~~気持ち良い」と思った途端に眠ってしまった。<つづく>2025/05/12 更新
2020.02.13
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小説「使徒」の投稿で失敗してしまいました。何と、No.012 を No.013 で投稿し、No.013 が抜けてしまいました。解決策として三つ考えました。1.番号を修正して No.013 を新規投稿する。 013->012、新規で013 を投稿する、この場合は順番が狂う。2.内容を書き換える。 使徒 - #014 <二日目> ---> 使徒 - #013 <彼の告白> 使徒 - #015 <スーツ> ---> 使徒 - #014 <二日目> 使徒 - #016 <帰還> ---> 使徒 - #015 <スーツ> 使徒 - #017 <新たな住まい> ---> 使徒 - #016 <帰還> 使徒 - #017 <新たな住まい> ---> 新規投稿3.No.014以降を一旦、削除しNo.013から再度投稿する。1の場合、No.013がNo.017の後になり順番おかしくなります。2の場合、複雑で手間が係りますし再度の間違いの可能性があります。考察の結果、No.013をNo.012に修正し「3」の方法を行います。-----おしまい、「良し始めよう」
2020.02.13
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<第六回戦-その三>-----#153 次の呼び出しの声が響いた。 「柳生新陰流 井上歳三殿、 橘流・・・もとい、七日市藩流・岩澤平四郎殿」 平四郎は相手の井上が木刀を選んだのを見て同じく木刀を掴んだ。 両者は開始線に歩み礼をして開始を待った。 「御両者、よろしいか・・・始め~」 試合は相正眼で始まった。 井上は対峙して初めて橘流の恐ろしさを知った。 己の眼の前に人が居る、だが、その気配が全く感じられないのだ。 尾張の柳生新陰流では闇修行があり暗闇の中で大勢を相手にする修行を積んで来た。 今、眼を閉じれば会場の人込みは感じられても対戦相手を感じる事は出来ないと気付いた。 井上は焦りでも諦めでも無く無意識に構えを八双に変化させた。 暫く対峙が続いたが井上は相手が攻める気が無いと感じ取り八双から踏み込みざまに斜めに打ち下ろした、平四郎はその打ち込みを己の木刀で弾き返した。 井上は撃ち返された木刀を引き付け逆八双から打ち込んだ、だがまた平四郎に弾き返された。 こんなやり取りが何度も何度も繰り返され、攻めているはずの井上が場外を示す縄に近づいている事に見ている者達が気付いた。 井上はその事に全く気が付かず背中に縄を感じて初めて気づかされた。 攻めて攻めて打って打っているのだが逆に後ろに追い詰められていた。 井上が背中に縄を感じた瞬間に平四郎が木刀を正眼に構えたままにするすると後ろに下がり開始線に戻ってしまった。 井上が釣られる様に開始線まで戻ると再度の打ち込みを始めた。 だか暫くすると背中に境界の縄を感じ平四郎がまた開始線へと後戻りをした。 これが三度、四度と繰り返され七度目を過ぎると井上の打ち込みに力が無い事は見ている者たちにもはっきりと判る様になった。 そして八度目に井上が放った打ち込みを平四郎が弾き返すと井上の木刀は手を離れ空を飛び地に落ちてしまった。 ここに居たり打ち込み続けた井上の生も根も尽きその場にへたり込んでしまった。 その様子に審判の声が響いた。 「平澤平四郎殿の勝ちに御座いまする」 平四郎は息使いも平静で開始線に戻り対戦相手の井上の回復を待っていた。 尾張柳生の面目に掛けての思いが強く現れていた井上であったが平四郎には全く通用しなかったのである。 まだ息も整わない井上が地面に落ちた木刀を拾い開始線に立ち礼をして待機所へと戻っていった、平四郎も戻り何事も無かったかの様に瞑目した。 <つづく>
2020.02.12
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<第六回戦-その二>-----#152 「次、柳生新陰流・鰐淵俊三郎殿、橘流・橘小兵衛殿」 鰐淵が勢いよく立ち上がり己を鼓舞しながら開始位置に歩き出した。 対する相手・小兵衛は閉じていた目をゆっくり開き対戦相手が木刀を持っている事を確かめると木刀を手にしゆっくりと立ち上がりゆっくりと歩み出した。 「俊方、どう見る」 「はぁ、我弟子にございますれば勝ちを信じております」 「どうじゃ儂と賭けをせぬか」 「弟子が負けたる時は試合えと申されますか」 「いやか、どうじゃ・・・弟子が勝ちを収めた時は・・・其方に太刀を取らそう」 「・・・お受け致します」 「ご両者、よろしいか・・・では、始め~」 審判が試合開始を告げた。 試合は相正眼で始まった、だが直ぐに鰐淵が八双へと構えを変化させ攻めに移った。 その攻撃は若さに溢れた迅速で力強いものだった。 そんな攻めを受ける小兵衛は下がり続けた。 誰の目にも年老いた小兵衛が力と胆力の差で何れは負ける・・・と思われた。 「流石は柳生だ強いでないか、隠居」 「だな、流石の橘も若さには勝てんようじゃて」 橘道場に詳しい隠居も小兵衛の不利を感じていた。 「俊方、弟子は強いのぉ~儂は太刀を失う様じゃのぉ~」 「ははぁ~、お褒めのお言葉忝う御座います・・・ですが、上様の太刀は無事で御座いましょう」 「何、其方の弟子が負けると申すか・・・攻め勝っておるでは無いか」 「攻めているのでは御座いませぬ、攻めさせられて御座います」 「んん~どう言う意味じゃ」 「あの年寄りは巧妙に御座います。 受けを全て流し打撃を逸らし、尚且つ円を描きながら下がって御座います。 我が弟子は疲れ果てる事で御座いましょう、その時があの年寄りの勝ちの時と存じまする」 「じゃが受けも疲れるであろう、あの年寄りも疲れるのではないか」 「只の受けは疲れまするが流し逸らしますとそれ程疲れませぬ、攻めている方が疲れます」 「受けよりも攻めが疲れるのか」 「はい、只の受けで御座いますと引き戻しに力は要りませぬ。 ですが流されますと余分に振らされ引き戻しにも余分の力が必要とされます。 あの弟子は半時以上も攻め続ける事が出来る者で御座います。 ですが此度は四半刻も続けられぬと思われまする」 「左様か・・・受ければ良いと言う訳では無いのじゃの~攻めさせて疲れさせる・・・か」 指南役・柳生俊方の予見した四半刻が近づいた頃、攻めている南郷の動きが少しづつ鈍くなって行った。 南郷の左脇構えから右への胴切りを小兵衛は腰を少し引いただけで躱した。 躱された南郷は右へ流れた木刀を右八双に移し小兵衛の左肩へ袈裟切りを振るった。 小兵衛はその袈裟切りを一旦木刀で受け左に身体を傾ける様にして右へ流した。 疲れが見え始めた南郷の木刀の引き戻しが遅れたことを察した小兵衛がこれまでにない動きを見せた。 南郷の左に踏み込んだのだ。 そして南郷に右からの胴切りを見舞った。 だがその振りは南郷の腹に当たる直前に止められその木刀に南郷を乗せると身体を回転させた。 南郷の身体は小兵衛の木刀に乗り回転し仰向けに寝そべった。 小兵衛の前の対戦者と同じだ、平四郎の技とも同じだった。 会場は声も無く森閑とし、その中を小兵衛が木刀を正眼に構えたままに後退し開始線に戻り木刀を左手に持ち替え控えた。 一方、倒された南郷は仰向けのままに茫然としていた。 係りの者が二人南郷に近寄り一人が用心の為木刀を踏みつけ、もう一人が南郷の肩を揺すった。 二人に助けられ起き上がった南郷は支えられながらよろよろと控えの場所に戻った。 対戦中は興奮に力を出していたが終わった今、南郷は肩を上下に荒い息をしていた。 その顔は茫然とし目は一点を見つめて焦点を失っていた。 「俊方、その方の弟子も良く戦ったな」 「上様、お褒めのお言葉、有難き倖せに御座います・・・なれど、お褒めに値しませぬ。 あの年寄り何時なりとも勝つことが出来ましたでしょう」 「何、あの者は遊んでおったのか」 「最後の踏み込みの速さと木刀の振りの速さを見ますに左様と心得えまする」 「う~む、橘道場恐るべしじゃのぉ~」 その時、それまで沈んだ目で一点を見つめていた南郷の目に光が宿りその眼が小兵衛に向けられた、その顔とその眼には敵意は無く逆に尊敬と羨望に溢れている・・・様に俊方には見えた。 「恐れながら、上様、一言宜しいでしょうか」 「なんじゃ、俊方、申してみよ、許す」 「この俊方、若手の一番弟子を失うて御座います」 「何、あの者、立ち直れぬか、剣を捨てると申すか」 「いえ、あの者・・・橘道場の門弟に成りましょう」 「うむ、してどうする、許すか」 「はい・・・某も門弟に成りとう御座いますれば」 「何、その方も橘にな」 「はい、御指南役としては許されぬ事で御座いましょうか」 「許す・・・じゃがその前に試合うてみよ」 「はぁ、畏まりまして御座います」<つづく>
2020.02.11
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<第六回戦-その一>-----#151参加人数が多く一日で済ませようと昼餉の時間を取らずに試合は進められた。見物人たちは筵(むしろ)に座り食事をしたり酒を飲んだりして見物していた。周りには食べ物売り屋の屋台が並び飲み食いには事欠かなかった。「薩摩示現流-南郷淳一郎殿・・・、橘流・橘龍一郎殿」御座所に居た薩摩藩・藩主・島津 吉貴(しまづ よしたか)が身を乗り出した。御簾の中から吉宗の声が聞こえた。 「薩摩藩の御家流・示現流は門外不出と聞いたが、良いのかこの様な場に出ても」 「ははぁ、お尋ねに寄りお答え致します、近頃の若者には己が鍛錬する技の腕試しを望む者が多く私も見たくなりまして御座います」 「あの者はどれ程の腕前ぞ」 「若手の中で上位の者に御座います」 「楽しみじゃの~」 「はぁ、忝のう御座います」 二人が木刀を手に定位置に立ち対峙し挨拶を交わした。 「はじめ~」 薩摩示現流の南郷は右八双に木刀を構えた、示現流得意の構えだ。 対して龍一郎は前の試合と同様に右手に片手で木刀を垂らしていた。 観客も南郷も龍一郎がまた二人になるものと待っていた。 だが、幾ら待っても龍一郎は二人にはならなかった。 痺れを切らした南郷が助走を付ける様に一歩下がり走り出した。 薩摩示現流に対する場合には間合いを狂わせる様に後に下がるか前に詰めるのが得策だった、だが龍一郎は動かなかった。 南郷が間合いを計り高々と飛び上がり木刀を背中に当たる程に振りかぶると龍一郎に振り下ろした。 南郷の木刀が下降を開始し皆が龍一郎の負けを予想した時「カツン」と音がした。 そして龍一郎の前に木刀の柄を両手で振り下ろした南郷が降り立った。 南郷の木刀を握る手が龍一郎を両断した様に地面を向いていた。 龍一郎は正眼に構えた木刀を南郷の肩の上に優しく置いた。 その時「バサ」と音が響き何かが空から落ちた、それは折れた・・・斬られた木刀だった。 何と南郷の握った木刀の柄の先が何かに斬られた様に無いのだ。 立ち位置から動いていない龍一郎はその場でお辞儀をし控えの席へ戻って行った。 審判が飛んで落ちた木刀を拾いに行き切り口を確かめ驚きの表情をし「ブル~」と身体を震わせ 木刀の切れ端を他の審判が待機する審判団席に持って行き皆に見せていた。 「この切り口を見ろ、折れたのでは無いぞ、見事な切り口では無いか。真剣でもこれ程に見事に切れぬぞ」 「木刀で木刀が切れるものなのか」 「では龍一郎殿は何処かに刃物を隠しておられるのか」 「そうではあるまい、常人なれば無理な事なれど、龍一郎なれば出来ぬ事では無いと某は思う」 「思うもなにも、ここに証しがある。やはり、あの御仁は常人では無い仙人じゃ」 「この切れ端を儂にくれぬか、我が家の家宝に致す」 「それは成りませぬ、南郷殿に返さねばなりませぬ」 「そうか、そうであろうな」 ここにいる審判達は皆、橘道場に通う門弟達であったが、道場での温厚で穏やかな龍一郎しか知らなかった。だが、指導を受けた時の龍一郎の測り知れぬ技量は感じていた。 木刀の切れ端を持った審判が南郷に歩みより切れ端を渡した。 南郷は手に持つ木刀と渡された切れ端を合わせ、改めて驚きの表情を表し、対戦した龍一郎に深々と礼をし龍一郎も礼を返し、南郷は席へと戻って行った。 静寂の中に審判の「橘殿の勝ち~」の声が響き大喝采が続いた。 「隠居、木刀で木刀が斬れるのか、あの木刀は鈍らか」 「ばかを言うな、薩摩示現流の木刀は特別に硬いと聞いた事がある、鈍らなもんか」 吉宗が薩摩藩・藩主・島津 吉貴に尋ねた。 「この結末を予想しておったか」 「示現流が折る事はあっても・・・まさか折られるとは・・・あの者は柳生殿の配下の者か、上様の配下の者で御座いましょうか」 「儂の配下でも俊方の配下でも無い・・・野の者じゃ」 「日乃本は広う御座いますなぁ~」 南郷の受けた心への衝撃は相当なもので控えの席に着いてもまだ柄を見ていた。<つづく>
2020.02.10
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<第五回戦-その三>-----#150龍一郎の番が回って来た。対戦相手は鹿島新当流-池端勝之進。呼び出しに応じ二人は位置に着き対峙した。二人が選んだのは竹刀だった。池端が竹刀か木刀かを選ぶのを待って龍一郎が合わせた。龍一郎だけでは無く、橘道場の面々は相手が選ぶのを待って合わせていた。審判の「はじめ」の掛け声に池端は中段に構えた・・・だが相手の龍一郎の竹刀は右手一本で右に垂らしたままだった。池端は龍一郎が構えるのを待ったが一向に構えないので審判を確認する様に見た。審判も訝しがり声を発した。「橘氏、構えられよ」「構えてござる」龍一郎の返事だった。池端の顔付きが変わった、厳しさを増した。見物客が騒めき出した。「幾ら強くともありゃ~無理だべ」「油断させるつもりじゃなかか」一頻りざわついた後に静寂が訪れた。その時何処からともなく「ざぁざぁ」「ぶーん、ぶーん」と言う音が響き出し徐々に大きくなって行った。「ありゃ、儂の目が可笑しゅうなったか、構えちょらん侍が二人に見えるど」「儂にも二人に見える」観客がまた騒めき出した。だが一番驚いていたのは対戦相手の池端だった。「ざぁざぁ」「ぶーん」の音と共に龍一郎の姿がぼやけ出し音が大きくなるに連れて龍一郎が二人になり、その姿がぼけたものからしっかりとした実体へと変わって行ったのだ。池端は己の目を疑い首を振って目を凝らした・・・だが二人になった龍一郎は二人のままだった。その時、観客から「おぉ~」と声が上がり池端の左肩を「ポンポン」と何かが叩いた。静寂の中、ゆっくりと首を回した池端は己の肩に乗る竹刀の先を見つめ、その先に微かな微笑みを湛えた龍一郎を認め目を見開いて腰から崩れ落ちてしまった。震撼とした静寂の中、静かな歩みで龍一郎は開始位置に着いた。暫くの後「審判~」との声がどこからか飛び我に返った審判が言った。「勝負あり、師匠・・・もとい橘殿の勝ちに御座いまする」この審判は南町奉行所の与力で橘道場に通う門弟だった。審判が龍一郎を見つめる眼は畏敬とも畏怖とも思えるものだった。静寂から一転し観客から拍手と歓声がどっと起こり、その中を茫然自失の池端が係りの者達に両の腕を抱えられて運ばれて行った。「あん侍が二人になったげな」「おぉ儂にも二人に見えたぞ」などと龍一郎が二人になった事が信じられず皆が確認し合っていた。それは高所にいる幕府の重鎮の人達も同じだった。「俊方、儂にはあの者が二人に見えた、見間違いか」「上様、私にも二人に見えました」「あ奴は双子か・・・どうなっておる」「申し訳ございませぬ、私にも判りませぬ」「では、其方が対戦しても負けると言う事か」「・・・さぁ~それは・・・」「何か策がある・・・と言う事か・・・俊方」「無くも有りませぬ、上様」「うむ~・・・其方との立ち合いも見たいものじゃ・・・のぉ~俊方」柳生俊方は近い将来に龍一郎と試合う事を予感した。その後の試合で柳生新陰流 -鰐淵俊三郎(江戸柳生)、柳生新陰流 -井上歳三(尾張柳生) 、中条流-富田勇之進、薩摩示現流-南郷淳一郎らが勝ち残った。女子の部でお久と佐紀、少年の部で誠一郎、舞も勝ち残っていた。「隠居、勝ち残っているのは橘道場の者ばかりでねえか、強いなぁ~」「そうじゃな~、橘の者は誰も負けとらん、まぁ~儂は予想しとったがの」「なんでだ」「儂は江戸中の道場を回ったが橘道場は一味も二味も違うでな」「そんなに厳しいのか」「うんにゃ、鍛錬の仕方、場所が違う・・・心の鍛錬に重きを置い取ったな」「心の鍛錬、そりゃなんだな、隠居」「どんな時にも慌てず騒がず平静を保つ事・・・じゃよ」「ふう~ん、それで剣の試合に役に立つのかね~」「現に勝っておるじゃろうが」「ま~言う通りだ」などと剣術好きな隠居の解説があった・・・そんな話は御座所も同じだった。「俊方、橘の者は強いの~」将軍・吉宗が将軍家・剣術指南役・柳生家当主・俊方に声を掛けた。「ははぁ~、仰せの通りに御座います」「男も女も童までも強い・・・何故じゃ」「はい、心持ちの違いかと存じまする」「心持ち・・・どういう事か」「試合に際して気を高ぶらせず乱さず・・・いえ、あの者たちは気を発してさえもいない様に思われます、この場所からでは遠い故に定かでは御座いませぬ・・・が」「気を出しておらぬ・・・か、まるで忍びじゃな、其方もか」「さて、己では解りかねます、上様」「やはり、ぜひにも見たいものじゃ、其方との試合をな」「・・・」 <つづく>
2020.02.09
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磐音の宿敵も亡くなり生活が安定し物語は息子の武者修行になり、それも終わり「あぁ~このシリーズも終りか」と思っていました、ので、この本の発売を見つけた時は驚きでした、勿論、嬉しい驚きです。--------------------------------------------------------------------- 販売店 楽天ブックス初午祝言 新・居眠り磐音 (文春文庫) [ 佐伯 泰英 ] ----------------------------------------------------------- 商品金額=730、数量=1、税金=73、送料=0、ポイント利用=0 合計=803、通販総合計=671,141 ---------------------------------------------------------------------佐伯さんもお歳で完結させるシリーズが一つ又一つと増えていくので、読書好きだったわたしが最近は佐伯さんの本しか読んでいない私には困ったことでした、読むのを押さえている本が現在二冊ありますが、この本が届いたら新が付いた本なので我慢できずに読むことでしょう。予定では、本日、06日木曜日に届くはずです「う~楽しみ」。-----おしまい<2020/02/07>・何と06日、郵便物の確認を忘れてしまった、本日確認「届いた~」、「さぁ~読むぞ~」。
2020.02.06
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2020年02月01日、今月の1日スマホの機種変更をしました。Iphne-8からSharp-Zero2への機種変更です。アップルからアンドロイドへの機種変更です。これまで、アップルと富士通arrows-M03の二台でしたが、アンドロイド二台に成りました。もともとM03はアップルへの機種変更した時に使い方が解らずに不便だったのでもう一台と購入したものです。その数日後に海外旅行が控えており、カレンダー、電車時刻、目覚ましに携帯を利用していましたがアップルで上手く出来なかったのです。その時期に機種変更をしたのは写真の画素数を上げる為です。やはり旅行の記念写真は綺麗な方が良いですから。アップルはAUで契約、その店の隣にたまたま「FreeTel」のお店がありM03を契約しました。旅行当日も時間通りに起きて電車にも乗れ無事に旅行に行けました。その後、FreeTelが楽天に買収され楽天モバイルのユーザーになってしまいました。通販は全て楽天を利用する程の楽天好きの私にはラッキーと思っていました。私は物の購入は日本製をもっとうにしていますのでシャープ製に決めていました。シャープは残念な事に台湾の企業の傘下になりましたが日本企業を応援したいとの思いです。日本製は品質も良いですからね。2019年10月にiPhneとM03の二台共に2年が経ち楽天だけにするつもりで営業所に相談に行きました。わざわざ出向いたのは、AUのIphoneの番号の方が昔からの番号なので使い続けたく説明がちょっと複雑だったからです。楽天ではとても親切に対応してくれました。AUのiPhoneをMNPで機種変更してMNP番号を取得しM03に乗せ換え現行のM03の番号を廃止する、または新機種に乗せ換えM03を廃止する、事にしました。ところが、第二オピニオンと言うつもりは在りませんでしたが、AUのMNP手続きを店頭でしようと訪問すると、何とも親切丁寧で判り易い説明に感銘を受け考えが変わりました。2020年01月、02月に発売予定のSharp-Aquos-Zero2を購入する事に決めました、訪問したその日の決定でした。何とも優柔不断、いい加減な男だろうか? と自分でも思います。そして、2020年01月31日に電話があり明日発売されます、訪問できますか??? との事、嬉しいやらビックリやらネットで見ていて「まだ、だろうなぁ」と思っていたからなおさらでした。翌日、訪問し「もっと早く連絡を下さい」とお願いすると、Sharpが突然の発売発表をしたらしく事前通達も無かったとの事でした・・・ビックリ、ちょっと眉唾っぽい、とは思いましたが。AUの対応は事前予約制で11時からの予定でした、11から機種変更の手続きを開始し、何と終わったのは15時15分と3時間以上掛かりました。私のお腹が空いたのと係り員の次の予約が有った為その日は終りでした。Zero2についてですが、まぁ兎に角、画面が綺麗、操作思考が日本製なので判り易い、アップルは操作思考がアメリカ的で解り難かったので戸惑いが無くなりました。その日は、2、3日後に使ってみての不明点を確認に予約します、と言って帰りました。本日、04日差したる疑問も無く使用しています。「スイカ」「ナナコ」の移行も何とか終了しました。後はM03の解約です、アンドロイドに変えたので二台持つ理由も在りませんので。最後に最近ネットで日本の某国企業と検索すると関連企業として楽天が乗っていてびっくりしました。他に有名企業も沢山乗っていて再度びっしり、その多さにもびっくり。楽天で全てを統一しようと思っていましたが考えを変えようと思っています。-----おしまい
2020.02.04
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<第一回目の会談の実態>-----#012「まずは何が聞きたいのですか」二人はリンカーン記念堂の階段に寝そべる様に座っていた。「USBを握っただけで何かを書き込めたのですか、後から来た担当者の態度で書き込みがされていたのは判るのですが?」「言葉通りに裁判での証拠となる書類と写真とビデオです」「暫く握っていただけでですか」「そうです・・・う~ん、私が書き込みをした訳ではありません、友人です」「友達・・・仲間がいるのですか、でもどうやって握った手の中のUSBに書き込みができるのですか」「彼にとっては簡単な事です」「技術的な事はどうせ聞いても解りませんから良しとして、その後の担当者の驚きは何についてですか」「説明には少し技術的な事になりますが宜しいですか」「少しならお願いします・・・少しですよ」「技術的な確認です、量子コンピューターはご存知ですか?、データ伝送にはデータ圧縮しているのをご暫時ですか? データ伝送にはテキュリティーの為に暗号化がなされているのをご存知ですか?」「どの様な方法かは判りませんが圧縮も暗号化もされている事は知っています。量子コンピューターも最近会議があった事は知っています・・・何の会議かは知りません」「量子コンピューターの利点をご存知ですか」「計算速度が現存の物に比べて驚異的に早い・・・と言う事ですか」「そうです、早い事の何が問題になると思いますか」「早くなる事は良い事ばかりの様に思えますが」「一見、そう見えますが問題が有ります、早いので現在のセキュリティーのパスワードや暗号が短時間で解読されてしまうのです」「なるほど、それで先日の会議は量子コンピーューターでも解読できないパスワード・アルゴリズムの考案だったのですね」「そうです、でも出来なかった様です」「貴方の渡したUSBにそれに対処できるアルゴリズムが入っていたわけですね」「そうです」「でも、それだけでは無い様でした・・・特許申請とかその場合のライセンス料とか言っていました・・・が」「それは多分、データ圧縮のアルゴリズムでしょう」「データ圧縮ですか・・・それで100億ドル以上にもなると言っていましたが?」「データを保存する時に圧縮してファイルを小さくできれば容量に余裕が出来、沢山のデータを保存できます、何より通信ですね、圧縮率が高くファイルが小さければ通信に時間が掛かりません。ですから圧縮率が高く安全度の高いアルゴリズムが開発される度に採用されるのです。但しどんどん複雑になりますので由り早いCPUが必要とされます」「なるほど、それであの方は時間が掛かると言ったのですね・・・と言う事は貴方のアルゴリズムは現状では通信に時間は掛からないけれど圧縮と復元に時間が掛かると言う事ですね」「そうです」「USBの事はそれで理解しました。もう一つ、私が部屋に入った時に皆さんが驚いた様に感じたのですがどうしてですか」「それは、貴方を私の通訳に指名した直後に貴方が来られたからです」「えぇ~私は副局長の指示で行ったのですが」「その指示メールの確認をしましたか」「私の携帯電話はFBI専用です、ですからメールが来ればその指示に従います」「そのメールは私が送った物です」「えぇ~FBIにハッキングしたのですか」「ハッキング、そうですね、ハッキングです」「犯罪ですよ」「そうですね、捕まえますか」「う~ん、どうせ証拠は無いのでしょうね」「ありませんね」「では、通訳に私を指名した途端に私が現れた・・・ので皆さんが驚いた訳ですか」「そうです。でも副局長は貴方の存在をご存知でした」「あぁ~、きっと上院議員の娘としてでしょう・・・ね」「残念ですが、その通りでしょうね」「ところでこれからどうなさいますか」「少し、考える時間を下さい」桜井はそう言って一点を見つめ考えに落ちた。<つづく>2025/05/12 更新
2020.02.04
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<キャサリンとのデート>-----#011「何処へ向かいますか」通訳に指名されたキャサリン・ヘイウッドが桜井に尋ねた。「まずはリンカーン記念堂へお願いします。階段に座ってサンドウィッチを食べながら珈琲を飲みたい」桜井とキャサリンは彼女の車に乗ってワシントンDCへ向かっていた。「では、最初にテイクアウトですね、ニックス・リバーサイド・グリルと言うサンドウイッチの美味しいお店があります。」「お任せします。最高級ホテルはどこですか」「フォーシーズンズ・ホテルです。近くにそのサンドウイッチのお店があります。ホテルに車を預けて歩きませんか、記念堂までは2マイル・・・3キロもありません」「そうしましょう」「ところで、私には権限が無いのでしょうが・・・私は好奇心が旺盛でこの仕事を選びました。先程は一体何が起こったのですか」「何がって何の事ですか」「USBの事とかです、私には知る権限が無いのですか」「権限があるのか無いのか私は知りませんし関係ありません。今の貴方は運転中です、後程、記念堂で食事をしながら質問にお答えしましょう」「はい、きっとですよ」「勿論、でも、時間外に私に付き合って貰って申し訳ありません」「いいえ、私はFBIの職員です。この仕事に決まった勤務時間は有りません。指示された仕事が勤務時間です。気になさらないで下さい。」「厳しい職務ですね。何故、この仕事を選ばれたのかが気になります」「幼い時から武術に興味があったからでしょうし、好奇心が旺盛な事が理由かも知れません。」「貴方は事務職でしょう」「そうです、だから貴方にありがとうとお礼を言いたいです。ありがとう御座います。私は今日から念願の捜査員に成れました。本当にありがとう」「良かった、迷惑では無かったのですね」「はい」「話が替わりますが、この車は公用車では無いですね。こんな古い公用車は無いでしょう」「はい、私の私用車です。私は古いこの車が大好きで探して何とか手に入れました、嫌いですか。其れとも性能、整備、防衛面で不安ですか」「いいえ、私もこの車が気に入りました。装甲が良くても黒い公用車は嫌いです」「この車を気に入って貰えてうれしいです。きっとこの車も喜ろこんでいます」「ところでホテルではFBIの名前を出すのですか、FBI割引があるのですか」「いいえ、FBI割引はありませんし、警護の面からもFBIの名前を出しません。一般客として利用します。ご不満ですか。料金はFBI持ちですからご安心下さい。」「いいえ、不満はありません。私もその方が嬉しいです」「良かった。安心しました」二人は昔からの知り合いの様に話題があちらこちらに飛び話が弾んだ。 <つづく>2025/05/12 更新
2020.02.03
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何とD-Lifeが今年の3月末で閉局する。去年2019年11月に発表された様です、私は今日知りました。私はスカパーの会員なので海外ドラマはCSで見ています、のでD-Lifeはあまり見て居なかった。料金は掛かりますが海外ドラマ好きな私には必要に出費だと思っています。無料で海外ドラマを見たい人はD-Lifeは最適でしょう。私はCSの方が放送時期が早く大量なので有料では在りますが必要と判断しました。それに以前投稿した様にD-Lifeはコマーシャルが多く、その切れ目も解りずらいので見ていませんでした。ネットで確認すると閉局を残念がる人が多い事に驚きました。又、この曲がディズニー関連だと知り驚きました。閉局の理由の憶測もいろいろと在りました・・・納得です。私、個人には対して影響は無いのですが、大局的に見ると無料の局が無くなる事は大問題です。他人事ながらD-Lifeで海外ドラマを見ていた人は4月からはどうするのでしょうか???----- おしまい
2020.02.02
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前回の投稿から日数が空いてしまいました。カテゴリー別で「自作小説-SF」を選択して頂くと前回までが閲覧できます。<第一回目の会談>-----#010ジェレミーはキャシーと話した後、補佐官の方を向いた。「補佐官、どうぞ」時間が経つにつれ桜井と通訳のジェレミーと補佐官との会話がタイミング良くスムーズになって行った。「ミスター・サクライ、貴方の目的は何ですか。貴方がピラミッドやスフィンクスなどの変化に関係している事は解りました。そして、最近の政府の情報漏洩や情報伝達の遅延などの要因も解りました。それに対しお礼を申します・・・とても、とても、お礼を申し上げます。しかし、日本人の貴方がアメリカに貢献して下さる理由が解りません。」「その前に先程の容疑者達の証拠をお渡ししましょう」「おぉ~うっかりしていた」「USBメモリーを準備して下さい、合計で600メガ・バイト必要です」「おい誰かメモリーをいっぱい持ってこい・・・コンピューターは要らないのですか」FBI副長官が部下に命令し桜井に確認した。命令されたNSAの部下達がNSAの上司の様子を見た。「そうだな、すまん、此処はペンタゴンだった、ジェームズ手配を頼む」FBIの部下はNSAの職員にメモリーの手配をお願いした。「君たち手配を頼むよ」NSAの部下たちが上司の指示でメモリーを探しに行った。「メモリーだけでコンピューターは要らないのですか」補佐官のジェームズがFBI副長官と同じ確認をした。「要りません」「先程の人達の中に有力者が多くいました、其れも大変な有力者も含まれています。その証拠で有罪に出来ますか」「どれ程の有力な弁護士が何人いても無力です。間違いなく弁護士達は弁護を拒否するでしょう。証拠を一つでも見れば弁護して敗訴が確実ですからご自分の評判を考えれば弁護しません。それ程、弁護の余地の無い証拠です。ご安心下さい」「あれほど多くの容疑者の一人として弁護士を確保出来ないのですか」「只の一人として弁護士は引き受けません、但し有名な弁護士の場合です。仕事に困っている弁護士は勝ち負けを気にせず弁護料がほしいでしょうから弁護を引き受けるでしょう。しかし、敗訴はその弁護士も裁判の前から解っているはずです」「それ程、確実な証拠なのですか、とても信じられません。本当ならとても怖い事です・・・私は自分の行動と言葉に気を付ける事にします」「そうですね。でも、貴方はとても誠実な方ですからご安心下さい。だから貴方を交渉役に選んだのです」補佐官は驚愕し、暫くして深く頭を垂れた。暫く無言の時が続いた。程なくしてUSBメモリーが届けられた。「申し訳ありません、セキュリティーの関係で10個しか集まりませんでした」USBメモリーの外部への持ち出しとUSBメモリーからのウイルス感染が問題となりUSBメモリーの使用が制限されていた。勿論、使用されるUSBメモリーにはウイルス防止が成され暗号化もされパスワードも設定されていた。そして外部への持ち出しも禁止されていた。桜井はUSBメモリーを手にすると暫く握り締めてから持ってきた係りの者に渡した。「それでは駄目なのですか」「いいえ、書き込みました」「え、手で握っただけでですが」桜井は通訳に頷いた。「直ぐに確認して下さい」FBI副長官が係り員に指示し係り員が急ぎ退室した。再び無言の時が続いた。 <つづく>2025/05/10 更新
2020.02.02
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