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<里帰り その四>-----#181 「読売を読みましたが佐紀、其方が上様がご覧に成られる剣術大会に出るとは真の事ですか、それとも同性同名の方ですか」 鳩衛門が我娘の佐紀に問うた。 読売で上様主催の天覧剣術大試合が開かれるとの告知があり、次の読売で日時の告知があり、次で出場者の予想が読売になり、最新の読売で主要な、つまりは勝者と目される人の名が乗った、そして女子の部に橘佐紀と書かれていたのである。 これをお店の番頭に見せられ驚き、使いを出して佐紀を呼びよせたのである。 こ度の同道者は龍一郎と龍之介を背負った舞であった。 鳩衛門は佐紀に問うつもりで呼び寄せたが孫の龍之介を見ると用件を忘れてしまい妻女の滝と競う様にあやした。 暫くして用件を思い出し前述の言葉となったのである。 「橘道場の橘佐紀と書かれております、私で御座います、少年の部には、この舞が、そして成人の部には旦那様の龍一郎様がお出に成られます」 「成人の部には館長・小兵衛殿と師範代の平四郎殿、少年の部には誠一郎様の名もあるが真の事か」 「はい、全て真の事で御座います」 「真ですって・・・武家に嫁に行っただけで強くは成れないんだよ」 「我亭主の教えに従い鍛錬をしておりますからご心配は及びませぬ」 「どんなに鍛錬しようが、お前は数年前は町娘では無いか、他の出場者は皆が道場主の娘などで幼い頃から剣の修行をしていた者ばかりだぞ」 「はい、解っております」 「はいって本に解っておるのか、そうじゃ舞さんも出るのだったね、大丈夫かね、叩かれると痛いよ」 「はい、私も解って居ります、第一私は負けません、叩かれませんので痛くはありません」 「はぁ~龍一郎様、其方様の弟子たちの自信は何処から来るのですか、空元気いや空自信としか思えませんが」 と、その時、店先の方が何やら騒がしくなり怒声が聞こえた。 廊下を走る音が奥へ向かって来て小僧が廊下に倒れ込んだ。 「だ・だ・旦那様~~」 「落ち着きなされ、何が有ったのですね」 主の鳩衛門が小僧に声を掛けた刻には龍一郎と佐紀は店先への廊下を歩いていた。 二人が店の土間を見ると三人の浪人がおりその内の一人が剣と同じ様な長さの枝を持ち四方へと振り回していた。 「何用で御座いますか」 佐紀の叫ぶでも無い大きな声が店中に響いた。 三人の浪人、店の奉公人、数人のお客全員が声のした方を向いた。 「おぉ~稀に見る美形では無いか、我らは酒の途次じゃ酌をさせてやるに付いて参れ」 「酌をさせる女子(おなご)を探しに参られましたか」 「な~に、酒代がの~なった故、恵んでもらおうと思うてのぉ~」 「既に御酒(ごしゅ)を召して居られる様な、その酒代はどうなれましたかねぇ~」 「店の主が要らぬ、と言うでな」 「酒代も恵んで貰いましたか」 「まぁその様なものだ」 「人様に何がしかを恵んで貰うには店先でのうて道端で頭を下げて頼みなされ」 「何~我らを乞食呼ばわりするか~」 「恵んで貰う、と申されたのは、そちら様で御座いますよ」 「煩い(うるさい)、煩い、早く金を出せ!!!」 「嫌がる者から無理やり金子や物を採る者を盗人と申し立派な咎人(とがにん)で御座いますよ」 「だからどうした、奉行所の役人でも呼ぶか~読んでみろ、その前にここにいる客共を痛めつけて殺してやる、そうすればこの店の評判も地に落ちて店は潰れ様なぁ~」 浪人の言葉にお客たちは声に成らない悲鳴を上げしゃがみ込んでしまった。 「それは無理と言うもので御座いますよ、ご安心下さいな、お客様方」 「何が無理なものか」 「無理で御座いますよ、何故なら、その前に其方たちは私に倒されるからで御座いますよ」 「うぁはぁ・はぁ・はぁ~、お前が儂ら三人を倒すてか、笑かしてくれるわ」 「少々痛い思いをして貰うつもりでしたが其方らは改心などしそうも無い様ですので、武士を廃業して貰います、私がこの履物を履いた刻が其方らの武士としての終りの刻です」 「佐紀、亭主の私に出番を作ってはくれぬのか、後で其方の両親が心配しておるでな」 「旦那様は私が負けるとお思いですか」 「そうでは無いが~」 「では、私にお任せ下さいまし、第一このお店は私の実家で御座います故に」 「えぇ~い煩い、我らを倒すと言い合うで無い、何なら二人で来い」 「あらあら、旦那様がお相手しますと小指一本で倒されてしまいますよ」 佐紀が履物を履こうと片足を履物に乗せた、その瞬間に棒を持った先頭の男が棒を佐紀に向かって突進し打ち下ろそうと振りかぶった、が「ボキッ」と言う音が響いた後に男は倒れてしまった、振りかぶったままの態勢で倒れ握っていた棒は男の横に立つ佐紀の手に握られていた。 「さて、この男はもう武士としては生きてゆけませぬ、其方らも同じ様に成りたいですか。 それともこの者を引きずって行きますか、但し今後悪さをせぬと約定するならばで御座いますが、いかが」 「・・・」 「・・・」 「いかが」 「・・・解った、約定する」 「某も約定する」 「ではこの者を連れて行きなされ」 佐紀はそう言うと棒を倒れた男の横に投げ捨て履物を脱いで板の間に上がり履物の向きを変えた。 二人の浪人は佐紀が手の届かぬ処まで下がるのを待って倒れた男を両側から支え一人が棒を杖替わりにして店を出て行った。 「さて、父上、母上、続きのお話をしましょう」 佐紀は何事も無かったかの様に奥へと向い、その後を主の鳩衛門と妻女の滝が夢心地の表情で追い掛け、最後に珍しく困った表情の龍一郎が「はぁ~」とため息を憑いて奥へと向かった。 店先に残された奉公人たちと数人の客は、こちらも夢でも見ていたかの様に暫く動けずにいたが客の一人が手を打ち鳴らし始めると釣られた様に皆が一斉に手を打ち鳴らして喝采した。 当然、この騒動は翌日の読売となり江戸中が知る処となった。<つづく>
2020.10.31
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録画してあった番組「地球絶景紀行」の独編、「新・地球絶景紀行」を見ました。この回のテーマは「エジプト」で2019年10月16日に放送されたものでした。この番組はTBS系列のものですが他局の「世界ふれあい街歩き」と同様に街を紹介するものですが・・・建物を案内してくれる人が待っていたり、撮影禁止のはずの処を撮影していたりと事前交渉の痕跡が見えます。それはよいのですが、番組を見た人が訪問して撮影しようとしますので交渉してある等の明示が必要と思います。私も2013年にエジプトへは旅行しました。実際、その当時は撮影禁止の処が何か所かありました。とても素晴らしい旅でした、その思い出が蘇るような番組でした。最初はアレキサンドリアの紹介でした、私の旅行では後半での訪問でした。岬の先端では「ここに世界七不思議のひとつ」だった灯台があったのだ、と感無量だった事を思い出しました。温泉でタオルを着けて入る時には特別な許可を得ている表示がありますが撮影も同様な扱いをした方が良いと思われのす。番組を見て訪問する人が参考になる様に撮影日の表示がされる様になった事は良い事です。私の局への要望メールの効果であれば素晴らしいと思います。-----おしまい
2020.10.31
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<衣装登録>-----#027自室のモニターでファッション誌を観ながらヘレンは考えていた。(我娘ながら何とも得難い婿殿を見つけたものね、完璧、今の処、非の打ちどころが無いわね。強いて難を上げれば口数の少ない処かしら・・・日本人の中でも寡黙な人ね。でもそんな事なんてどうでも良い位に素晴らしい。有り余る程の財産に裏打ちされた並外れた科学製品・・・あの飛行機やこのスーツは彼のアイデアなのかしら、それとも会社の開発部門の誰かかしら・・・おっと、それよりも今は洋服選びに集中、集中)。隣の部屋ではキャサリンが同じ様にモニターでファッション誌を観て気に入る服は無いかと探していた。二人は彼が見せてくれた種類の服を先に登録しようと決めていた。仕事用に3着、普段着に同じく3着、フォーマル用のドレス1着、それぞれに合う靴と帽子とアクセサリーである。其の頃、彼は午前中の続きをしていた。彼が何カ月も前に開発した装置の実用実験の結果確認である。その装置は画期的な物で実用化されれば、彼の進んだ科学力を更に何段階も引き上げる事になるものだった。彼の秘密の宇宙船さえも設計変更が必要になる程である。現段階では一機の試作機での実用実験の段階で宇宙を舞台に飛び回っている。安定性と安全性が確認できれば他の船にも採用し更なる実用実験を行う事になるのである。彼は実用化には安全性を第一にしているがこの装置は更なる段階の安全性確認を必要としていた。何故ならこの装置の不具合は人命に直結しているからである。16時、つまり午後4時になりヘレンの部屋にキャサリンがやって来た。呼びリンと共にヘレンの見ているモニターの右下隅に小さな画面が現れヘレンの部屋の前に立つキャサリンの姿が映し出された。「お母さん、入れて頂戴、二人で見せ合いましょう」「入れてってどうすれば良いの」「アダム、入れて上げて、でいいのよ」直ぐに壁の一部が消えてキャサリンが部屋に入って来た。「お母さん、何着出来た???」「まだ、1着づつよ・・・でもドレス、イブニングとカクテルとアフタヌーン・ドレスは5着できたわ」「何やってるの、お母さんの場合は仕事用が最優先でしょう」「それは解っているんだけど・・・」「まぁ気持ちは解るわ、私も何度も誘惑に負けたもの・・・でもね、お母さん、私達の安全を気にかけてくれる彼の気持ちに報いなければ・・・ね」暫し娘の顔を見つめていたヘレンが言った。「お前、変わったねぇ~、勿論、良い方によ」「ありがとう、さぁ、まずはお母さんの仕事用の服を考えましょう」「貴方の仕事用は黒のパンツ・スーツに黒の靴と白いシャツ、ネクタイは灰色かストライプ・・・と言う処かしら」「大正解、ネクタイは灰色よ」「私も一着作るわ、そうね~タイトルはFBIしか無いわね」「ちゃんと紺色も有るし、スカート・スーツも有るのよ、色も二種類ね」キャサリンがそう言うと最初は黒のパンツ・スーツ次に紺色、黒のスカート・スーツ、紺のスカート・スーツと見せた、そして最後に淡いピンクのカクテル・ドレスを見せた。ドレス姿になる前に一度ヘルメットが現れ消えた時には髪型が変わっていた。「まぁ~ヘルメットには髪型を変える機能もあるの???」「アダムに聞いたら出来ると言うので試してみたの、大成功ね」キャサリンの言葉が終わる前にヘレンはヘルメット姿になりヘルメットが消えた時には髪型がアップに変わっていた。「お母さん、覚えが早過ぎるわぁ」ヘレンは鏡の前へ行き頭をくるくると回して髪型を確認した。「大丈夫でしょ、アダムは完璧よ」二人はファッション誌、映画、テレビ・ドラマなどを参考に服の登録件数を増やして行った。<つづく>2025/05/22 更新
2020.10.30
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<ガス偽点検強盗>昨日、運送会社の宅配がありました。「事件の影響はありますか」と何気に質問すると「皆さん、用心深くなり、ドアを開ける前の確認が厳しくなりました」との返事でした。実は私も以前より厳しくしました・・・男ですが。犯罪者は次から次と新たな方法を考えるものだと、ある意味関心する。<国会答弁を見て>相変わらず「野次」が凄い。大人のそれも国民の代表、つまり手本の人たちの行動とは思えない。本人たちは、手本だとの意識など無いとは思いますが。以前にイギリスの国会と絵弁の様子をテレビで見ましたが「野次」も非常に少なくその野次もウイットに富んでいました、そして、その野次に対する答弁者の反応もウイットに富んでいたと記憶しています。日本ではまだまだ程遠い。<韓国のハロウィーン警告>「貴方が幽霊になるかも知れないよ」とはなかなかのものです。日本でも渋谷でのハロウィーンは大丈夫なのか、非常に心配です。来月初旬の感染者増加が予想それます。-----おしまい
2020.10.29
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<里帰り その三>-----#180 龍之介を連れての始めての佐紀の実家訪問の後も佐紀は何度か訪れていた。 一人では無く、連れは龍一郎でも無かった。 舞が一緒で在ったり、舞と誠一郎が一緒で在ったり、お駒が同伴した事もあった。 何故か主の鳩衛門が誠一郎の素性を知っていて店が大騒動になった事も有った。 町奉行の倅、それも跡取りの嫡男の来訪である。 父親は南町奉行・大岡忠相であり、大身旗本であり、その嫡男が眼の前に来ているのである。 まだ幼いとは言えその様な身分の者をお共か子分か我が子の様に従わせて佐紀がやってきたのである、勿論、龍之介を連れてである、但し佐紀が抱いてでは無く舞が背負ってであったが。 「龍一郎様の門弟で本日は佐紀様の従者として参りました」 誠一郎はそう言って騒ぎを落ち着かせ、誠一郎は忠相の嫡男とは認めず名乗りもしなかった。 鳩衛門は大岡の屋敷へは二度訪れていた。 大岡が山田奉行から普請奉行となって江戸へ戻る際の家財道具の届けの刻の挨拶と大岡が南町奉行になった刻の挨拶であった。 二度目のおりに近隣での嫡男の悪業を噂で聞き実際に眼にもしていたのである。 だが目の前にいる青年は礼儀正しく謙虚で従者の勤めとして主である佐紀を立てていて、とても噂に聞いた忠相様の嫡男とは考えられなかった。 騒ぎ出した番頭を落ち着かせ佐紀を始め皆を奥へと案内した。 座敷での会話は主に女子衆で佐紀と母の滝、そして佐紀の伴った舞であった。 父の鳩衛門も時々会話に参加したが、佐紀の連れの青年は問われれば答えるだけで自らが口火を切る事は無かった。 鳩衛門は思った、この青年の仕草、態度、物言いは・・・そうだ、龍一郎様に似ているのだ、と感じた、この青年が我倅で有ったならどれ程の誉であろうか、実の倅・寿一郎を思い浮かべ比べてしまった。 只、ここの処の寿一郎は以前とは少しづつ変わって来ていた、あの龍一郎様との一件の後からの様な気がしていた。 「父上、母上そろそろお暇(いとま)の刻(とき)で御座います、この者は通いの弟子で御座います故に屋敷に戻らねば成りませぬ」 佐紀が連れの青年の事に触れそう言い、母・滝が抱いていた龍之介を我胸に抱いた。 皆が玄関に着き別れの挨拶の刻に鳩衛門が忘れていた事を聞いた。 「そう言えば、お連れのお方のお名前をまだ伺っておりませんでした、失礼では御座いますがお武家様のお名前をお聞かせ下さいませ」 「こちらこそ名乗りもせずに申し訳も御座ざいませんでした、私の事は誠一郎とお呼び下さい」 大岡誠一郎が只の誠一郎と呼んでほしいと願った。 誠一郎が声を潜めて言い出したので鳩衛門も回りに聞こえぬ様に小声になっていた。 「・・・それで宜しいので・・・」 「はい、ぜひにもお願い申します、出来ましたならお願いが御座います。 私の役務は南町奉行所・同心で御座います、姓名の儀は坂下誠一郎で御座います。 役務でお会いするやもしれませぬ、お含み置き下さい」 「・・・畏まりました・・・一つだけお答え願えますか」 「問いにも依りますが出来るだけ」 「其方様の師匠、手本のお方は橘の龍一郎様では御座いませぬか」 「はい、左様で御座います」 「やはり、其方様の挙動が龍一郎様に似ておられますので、もしやとお聞き申しました」 「そのお言葉は私に取って何よりも嬉しいもので御座います」 潜めていた声が更に小さくなり鳩衛門が言った。 「以前、お屋敷でお見掛けした事が御座います・・・別人の様で御座います」 「お恥ずかしい限りです、どうぞご放念下さい」 鳩衛門が声を大きく戻して言った。 「何のお話でしたでしょう、最近歳のせいか物忘れが激しいもので失礼を致しました」 「別れの挨拶はそれ位にしなされ、参りますよ、では、父上、母上、又の機会に」 「お待ちしていますよ」 「孫の顔を見せに来て下されよ」 父と母が最期の別れを言った。 「失礼致します」 「失礼申します」 龍之介を背負った舞と誠一郎も別れの挨拶を返し佐紀の後を歩いて行った。 お滝が誰に言うでも無く言った。 「あの二人は好き合っているね~」 「何、舞と言う娘と誠一郎様の事か」 「あれ、私が何か申しましたか」 「お前は、あいも変わらず食えぬ奴じゃ」 「当たり前です、お前様に食べられてたまるものですか」 「あ~あ」 その刻、店の奉公人の誰かの声が聞こえた。 「また、夫婦漫才が始まったよ」<つづく>
2020.10.29
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<池江 璃花子さん> 2020年08月29日に東京辰巳国際水泳場での東京都特別水泳大会に50メートル自由形で出場、練習を再開した時よりは体形が少し戻っている様でした、良かった。名前と(20)と年齢が表示され、改めて若さと幼い頃からの素晴らしい記録を実感しました。東京オリンピックを諦めて2024年のパリを目標にするそうです。白血病と言う大病からの復帰です、ぜひ、良い成果が得られます様に!!!<コロナ> ヨーロッパでのコロナ感染 --- 第二波か??? フランスで一日に5万人越えの感染者 ドイツでは1万人越えの感染者 スヘインで延べ100万人越え、緊急事態宣言、夜間外出禁止 チェコとアイルランドでは二度目の全土ロックダウン イタリア、キリシャも今週末は夜間外出禁止 アジアでは他人の気持ちを目を見て探るが欧米では口元だと聞いた事が有ります、マスクをする事への抵抗感がアジアの人は無い様です、TVの映像ではマスクをしている人がアジアでは多い様です。アメリカでは最高司令官の大統領の危機感が薄いですからマスク率も上がるはずは無いでしょう。科学的にマスクの効果が確認されているのにです、科学的で合理的で先進国のはずのアメリカが・・・不思議な国です。<大阪で飛び降り> 大阪で飛び降り自殺した男性に巻き込まれた下を歩いていた女性が亡くなった。このニュースに何だか「やりきれない」思いになりました、彼女の家族の気持ちを察する・・・察する事などとても無理です。街頭インチビューで下の女性だけで無く飛び降りた男性も可哀そうとの感想が聞かれ広い視野を持った人が増えたと感じました、編集で集めたたけかも知れませんが。<大阪府池田市の市長>・庁舎での私物利用 健康器具を役所の所員に開放していれば逆に美談になったであろうに残念です。<米大統領インタビュー>・CBSテレビの大統領インタビュー バイデン氏に対する質問は簡単すぎるとバイデン氏にインタビューをしていないアナウンサーを責めるなどと大統領と言うより人として非常識です。<煽り運転>・煽り運転 自転車で初の逮捕者 映像があり、見ると確かに危ない、逮捕は当然、注意した人に逆キレ暴行もしている逮捕・逮捕。<核兵器禁止条約> 「核兵器禁止条約」批准国が50カ国になった。 これで条約の発効となり、保有国の立場は微妙なものになる。 驚いた事に「日本は批准していない」・・・何故、どうして。 理由の政府見解を聞きましたが理由になっていないと感じました。-----おしまい
2020.10.28
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<里帰り その二>-----#179 一刻程の時間が流れた刻にそれは起こった。 蚊帳の外で手酌で飲んでいた寿一郎の発言からであった。 「親父、金をくれ、こんな処で飲んでいても上手くねぇや。 第一実の息子でも無い奴を武士だからと可愛がりやがって、佐紀も佐紀だ町人の娘が武士の嫁になんぞ成りやがってどう言うつもりだ」 「寿一郎、最近は大人しいので改心したものと思うて居りましたが間違いの様ですね。 それにお前は勘違いをしています、私は龍一郎様が武士だからとか義理の息子だからと楽しそうに話している訳では在りません。 私を丁寧に扱い、私の話に、年寄りの話に嫌がりもせず話てくれる。 私は龍一郎様との歓談を本当に楽しんでいるのです。 親は娘が誰の嫁に成ろうと幸せならば良いのです。 我娘・佐紀はこれ以上に無い程に幸せそうです、親として何の不満が有りましょう。 その幸せを支えていて下さる龍一郎様との会話です・・・其方を見ると私は悲しい」 「本に私も悲しい」 主・鳩衛門と妻女の滝が心情を漏らした。 「あぁ~どうせ俺は出来損ないだよ、だから出て行ってやるから金を寄越せよ。 この店は俺がいなけりゃ潰れるんだぜ、俺を大事にしろよ、俺をよぉ~」 「お前と言う奴は・・・」 「早く、金を寄越せよぉ~」 その時、龍一郎が心を決めた様だった。 「寿一郎様、其方様は佐紀の兄上です、故に私の義理の兄上です、お歳は御幾つに成られましたか」 「何だ~歳を聞いてどうしようって言うんだ。まぁいいや、儂は二十三だ、それが如何した」 「それはそれは私の一つ下でしたか、ですが私の兄上ですね」 「なんだよ、でけえ態度で一個上なだけかい、おりゃてっきり三十路を過ぎてると思ったぜ」 「はい、若輩者で御座います、ですが物の道理、世間の道理、世間の荒波は其方様よりも良く知って居ります」 「へん、武士に町人の世間が解ってたまるかよぉ」 「少なくとも其方様よりは知って居ります。 世間には食べる事にさえも苦労している者が数多おります。 郷ではその為に娘が売られております、物心も着かぬ内に奉公に出されております。 唯々生まれ落ちた処が異なるだけで其方様は裕福な家で食べ物にも苦労をされていません。 己の幸運を理解されていない、少し頭を使われた方が宜しいのではないでしょうか」 「だ・だ・だから何だって言うんだよ、俺が好き好んでここに生まれたんじゃねぇ~や」 「まだ、お解りに成らない・・・ではしょうがありませんね」 龍一郎が右に置いていた剣に手を掛けた。 「何だ、何だ、斬ろうって言うのか、き・き・斬れるもんなら斬ってみやがれ、抜いた事も無いへっぼこ侍が~」 龍一郎はゆっくりと剣を持ち上げゆっくりと前に回し畳に立てた・・・「トン」と微かな音が響き龍一郎は立てた剣を右に移し畳に戻し手を離した。 その時、寿一郎の髷が太腿に落ち、閉めていた帯がはらりと落ちた。 暫く、長めの暫くの後に 「あぁぁぁ~」と寿一郎の口から洩れ、鳩衛門とお滝の夫婦は只唖然とし隅で見ていた小女は抱いていた龍之介を抱きしめた。 龍一郎の剣技を知っているお佐紀も龍一郎の凄さに改めて驚いていた。 右手に持った剣で髷と帯を斬るには左手に持ち替えて右手で斬るか左手で斬るかであるが、佐紀の眼を持ってしても解らなかったのである。 「寿一郎、髷が無くば外へは出られまい、髪が伸びるまで家業の修行を致せ。良いな。 次に某が訪れしおりに新たまっておらねば、其方と仲間を始末する。心して置け」 「・・・」 「返事はどうしたのじゃ」 寿一郎がその場で手を着いて平伏し、斬られた髪の残りが左右の頬に垂れた。 「・・・わ・わ・解りました・・・解りまして御座います」 そう言うと斬られた髷を持って脱兎の如く部屋から出て行った。 「父上、母上、大変失礼を致しました、さぞや御不快で御座いましょう、出入り禁止も止む無しと心得ております」 龍一郎が手を着いて夫婦に詫びた。 「お手をお上げ下さい、なんら不快でも怒っても居りません。 私共の育て方が間違っておったのです、私がやっておく事でした。 長男だ、後継ぎだと大事に過ぎたので御座いましょう、どうぞ、お手をお上げ下さい」 龍一郎が着いていた手を戻した。 「佐紀・・・お前が幸せだと申した事は真の事じぁのぉ~」 「私はこの御仁が真の倅であったならと思いますよ」 鳩衛門とお滝が思わず心の内を語った。 そして今度は鳩衛門が手を着いて龍一郎に平伏した。 「先程、其方様の剣の腕前をうんぬん申しました事をお詫び申します」 「お手をお上げ下さい、何も謝る事など御座いませぬ、私の剣の道はまだまだ未熟です」 鳩衛門が不思議そうな顔で着いていた手を戻した。 「先程の太刀筋が見えませんでした、あれ程の剣捌きにお目に掛かった事はございません。 先程も申しました様にあちらこちらの鍛錬所に見物に行って居ります。 ご近所でも剣術道楽で有名な男で御座います、ですが、あれ程の剣技は初めてです。 佐紀、お前の亭主は剣の達人じゃ」 「達人かどうかは知りませぬが負けた事は生涯に只一度と申しております」 「一度しか負けて居らぬ・・・何度の勝負で得物は何でかのぉ~」 「お前様、それ位にしなさい、全く、やっとうの事となるとこうなるのよ」 「おぉすまぬ、すまぬ、今後婿殿とは剣術の話で盛り上がろうなぁ~」 「お暇のおりは我家に起こし下さい、剣術の話を致しましょう」 「婿殿、この人にその様な事を言うと本気にしますよ」 「義母上、世辞では在りませぬ、何時成りとも起こし下さい」 「佐紀、お前の旦那様は普通のお武家様とは少々違いますな」 「それは良い方ですか悪い方ですか、母上」 「無論、良い方、とても良い方に決まっています」 「さて、そろそろお暇(いとま)しましょうかな」 「おや、今宵はお泊りと思っておりましたに」 「そうじゃ、もう遅いで危ないぞ、それに幼子が一緒では無いか」 「毎朝、予定が有りましてなぁ~、泊りはいけませぬ」 「毎朝・・・剣の鍛錬か」 「左様です」 「では、佐紀だけでも泊って行きなさい」 「母上、鍛錬は私も御座います」 「何~佐紀も剣の鍛錬をしておるてか、龍一郎殿の邪魔をしておるのでは無いのか」 「はぁ~、多分その通りで御座いましょう」 「その様な事は御座いませぬ、佐紀の技前の飲み込みの良さは素晴らしいものです」 「我が娘が剣術を・・・それも筋が良いとは・・・とても信じられません」 「真の事で御座います、それが証拠に先日も読売に成りましたが、ご覧では御座いませぬか」 「おぉ武家の見目麗しい娘が無頼漢を懲らしめたとか、昼日中から酒を喰らっておった武家を懲らしめたとかあったが、それが佐紀だと申されますか」 「左様、佐紀で御座いますそうな、連れの者より聞いております・・・と言う事で夜歩きも御安心下され」 「残念な事ではあるが仕方が無い、最後に孫を抱かせて下さい」 「私にも」 「丁度、乳の刻です」 佐紀は隅に座る少女から龍之介を抱き取ると隣室で授乳を始めた。 「龍一郎殿、佐紀の素量は本に良いのか、世辞ですか」 「佐紀は某の弟子の中では一番で御座います」 「何と・・・それ程に」 「まぁ~あの娘が・・・」 「幼き頃より男勝りではあったが・・・」 「寿一郎の空威張りで心弱いものとは違い佐紀は芯の強さが御座いました」 「そうじゃなぁ~昔、二人が男女逆ならと話会うたなぁ~」 佐紀が戻り父親に龍之介を抱き移した。 龍之介は満腹で満足そうな眠そうな顔でにこにこしていた。 「この子は泣きませんなぁ~、流石はお武家様のお子です」 「父上、稚児に町人も武家も御座いませぬ」 「そうは言うが、これ程手の掛からぬ稚児は居ないよ・・・さぁお前様、私の番ですよ」 鳩衛門はしぶしぶと言った感でお滝に龍之介を渡した。 「龍之介は佐紀の美貌と父親ののんびりとした良き処を次いでいる様ですね」 「大きうなったら、さぞや女子に追われるじゃろうな」 「それまで私達も長生きしなければ・・・ですね」 「そうじゃなぁ~」 「母上、切りが御座いませぬ、お暇の刻です」 佐紀が龍之介を抱き取り二人は立ち上がった。 玄関までの廊下で母のお滝は「又来てね」を何度も口にした。 戸締りと奉公人が「こんな夜中に子連れで大丈夫か」と言う顔で戸口に佇んでいた。 「それでは、父上、母上、本日はありがとう御座いました、又寄せて貰います。 お二人も我が家へ孫の顔を見にお出で下さい」 佐紀の言葉で二人でお辞儀をすると潜り戸を潜って去って行った。 「旦那様、この様な夜半に大丈夫で御座いますか」 「儂も言うたのだが大丈夫と言うてのぉ~」 「お前は、そうそうお前が見せてくれたんだっけね、あの武家の武勇伝の読売、その武家娘が佐紀だったのよ、驚きでしょ」 「えぇ~何方の方ですか確か町の与太公と武家の次男坊とでしたか」 「それが二つ共が佐紀らしいの」 「旦那様、お話は真の事ですか、女将さんのお言葉とは言え、俄かには信じられません」 「手代さんや、どうも真の様です」 「・・・と言う事はその亭主はもっと強い・・・」 「これ亭主などとお武家様ですよ、亭主では無く旦那様です」 「これは失礼致しました、余りの驚きに心の声が口に出てしまいました」 「まぁ気持ちが解らんでも無い・・・さて、戸締りは良いですか、我らも明日に備えましょう、おやすみなされ」 「おやすみなされ」 「お休みなさいまし」 廻船問屋・辰巳屋の店先の灯が落ちた。 主人夫婦は今日の出来事を思い返し話が尽きなかった。 主人から読売の話を聞かされた手代は寝間に入ると同じ部屋に寝泊まりする仲間に主人に聞いた話を聞かせ、こちらも何時もより眠りに着く刻が遅くなった。 別の部屋では、薄明かりの中で天井をじっと見つめる髷の無い男が同じく眠れずにいた。 「佐紀、代わろうか」 「いいえ、大丈夫で御座います、まさか剣術の為に身体を鍛えておりましたのに、龍之介の重さなど軽いものです、それにもしもの刻はお前様が手ぶらの方が宜しいのでは」 「それは早計じゃ、相手にもよろうな、員数と力量と武器の種類じゃな」 「・・・成程、解りまして御座います、心に留め置きます」 二人を襲う者など無く無事に橘の屋敷に着き、翌早朝何時もの様に鍛錬が行われた。<つづく>
2020.10.28
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<里帰り その一>-----#178 佐紀の実家は廻船問屋の辰巳屋である。 佐紀が一応親に理(コトワリ)を入れての事とは言え家出同然の様に橘の家に嫁いで来ていた。 此れまでに何度か佐紀は実家を訪ねている、里帰りである、里帰りと言っても御近所と言っても良い位の処に住まいしているのではあるが。 そして、享保三年(1718年)、龍一郎と佐紀の息子・龍之介が一歳と六月を過ぎた春の日。 <参考>----------(日本の年齢の数え方)------------------------------- 明治6年(1873年)、明治35年(1902年)に国民の年齢を数え年齢から満年齢に変更すると法律で制定されたが一般国民は数え年齢を使用していた為、昭和24年(1950年)に満年齢に徹底する様にとの法律が制定された。 数え年齢は年を数えるもので生まれた時が一歳とし次の一月一日で一歳足される。 何年何月に生まれても元旦には一歳足され管理には便利であった。 -------------------------------------------------------------------------------' この日、龍一郎と龍之介を抱いた佐紀の三人は佐紀の実家である廻船問屋・辰巳屋を訪れた。 目的は無論、龍之介の顔見せである。 佐紀の両親にとっての孫の顔見せである。 何時でも何処でも龍一郎が先に入り先に出るのであるがこの時ばかりは佐紀が先に敷居をまたいだ。 店の中に入った途端に「お嬢様~」と大声が飛んだ。 店の奥で店を見回す事も仕事の一つである大番頭が暖簾を分けた武士に気が付き見つめていると何と店の娘の佐紀が入って来たのである。 「お嬢様・・・お嬢様・・・おい、誰ぞ奥へお嬢様が戻られたとお伝えなされ」 大番頭が隣に居並ぶ番頭、手代に声を掛けた。 「お嬢様がお抱きのお子はお二人の・・・」 「大番頭さん、当然の事です、少し落ち着いて下さいな」 「はぁはい、ですが嘘か真か武家の嫁に成られたとお聞きして居りまして・・・真の事で御座いました・・・か」 「真の事ですよ、このお方が私の旦那様の橘龍一郎様です、子供の事は両親にご報告してからね」 「橘龍一郎様、橘龍一郎様・・・橘様・・・橘様、私の記憶では橘様と申されるお方は剣豪の橘小兵衛様で御座います」 「小兵衛様は隠居なされこのお方が後継ぎで御座いますよ、大番頭さん」 「おぉ~江戸の剣豪第一位の御子息・・・その奥方様で御座いますか」 「そうよ、でも今はこのお方が江戸の第一位ね」 「えぇ~お嬢様のお言葉とは申せ失礼では御座いますが余りお強い様には見えませぬが・・・」 「皆、見た目に騙されるのね、本に強いお方は優しくて強く見せないものなのですよ、大番頭さん」 「左様で御座いますか」 全く信じていない様な返事であった。 その時、奥からどかどかと音が聞こえ両親と兄と知らせに行った手代が店先に顔を出した。 「佐紀~本に、稚児(ややこ)を抱いて御座る」 「お前様、孫ですよ、孫、佐紀ようやりましたなぁ~」 「親父、お袋、店先でずっと話すつもりかい」 「おぉそうですね、余りに嬉しいものてすから気付きませんでした」 「さぁさぁ奥へ奥へ・・・濯ぎ水が必要ならば横から上がる様に準備しますよ」 母親が気を聞かせて尋ねた。 「母上、濯ぎは要りませぬ」 佐紀は稚児を龍一郎に託し履物を脱ぎ板の間に上がりしゃがんで履物を揃えた。 そして、龍一郎が稚児を抱いたままに履物を脱ぎ板の間に上がると佐紀が龍一郎の履物もそろえた。 その自然な二人の仕草を両親も大番頭も店の者達と客も見ていて皆が一様に見惚れていた。 二人の所作が茶道か能の舞の様でとても優雅で舐めなかで自然な動きだったからである。 「如何成されましたか、父上、母上」 「お前・・・いや其方変わったのぉ~」 「何処が、何がで御座いましょう」 「今度は店の板の間で話すつもりですか」 長男の言葉に母親が先導して奥へと皆が歩んだ。 母親が振り返り佐紀を見ると何時の間にか稚児が龍一郎から佐紀へ戻されていて佐紀が抱き抱えていた。 母親は皆を自分達の居間へと案内した。 両親が定位置に座ると部屋の入口に佐紀と龍一郎が座り部屋の奥に長男が座った。 「どうした、佐紀、奥へ入りなされ」 「はい、ありがとう御座います、まずは長の無沙汰をお詫び申し上げます」 「その様な事はどうでも良い事ですよ、さぁ側に来て稚児を抱かせておくれ」 母親が稚児を抱かせろとせがんだ。 稚児を抱いた佐紀と龍一郎は主人夫婦の前に座り佐紀が母に稚児を抱かせた。 「おぉ、おぉ何とも可愛い顔の稚児でしょう、名は何と付けましたか」 「旦那様の龍の字を頂き龍之介と義父が付けて下さいました」 「龍之介ですか、良い名ですね・・・しかし、女子(おなご)の様な何とも綺麗な顔立ちの男子(おのこ)ですね」 「本に美男子じゃのぉ」 「これは大きくなったら女子(おなご)を泣かせる男になりますなぁ」 兄が将来を占った。 「何を言う、お前と一緒にするで無い」 父親が長男を嗜めた。 「しかし、佐紀、お前ももう少し辛抱すれば上様のお手付きに成れたであろうに勿体ない事をしたなぁ~」 「全く、お前は家業を継ぐと申しましたが、性根は変りませぬなぁ~」 「母上、私は今、大変倖せで御座いますので何を言われても気に成りませぬ」 「兄に比べて出来た妹ですねぇ~旦那様」 「見目麗しく難点は男勝りの気性でしたが何とも女子(おなご)らしゅうなりましたなぁ~、そして今度は孫の顔を見せてくれました、嬉しい限りです、これも橘様の御蔭とお礼申し上げます」 「私の方こそお詫び申し上げます、その折は事前に武士の嫁になるやもと申してはおりましたが、まさか私の帰宅当日に佐紀殿が一緒に来るとは思いもしませんでした。 その後は流れのままに成りご挨拶も出来ませんでした、婚礼の居りは突然の事に驚かれた事と存じまする、申し訳も御座らぬ」 龍一郎は手を着いて謝罪した。 「龍一郎様、婚礼の折りに謝罪を受けております、改めての謝罪は不要で御座います。 それにあの折りも申しましたが、勝手に付いて行ったのは娘の方で御座います。 還って橘様にご迷惑をお掛けした様で御座います。 何より娘自身が今の暮らしに満足しておる様で親としてこれ程の喜びは御座いませぬ」 「有難いお言葉で御座います」 「此れからも度々孫の顔を見せに来て下さいな」 孫の龍之介を抱いた佐紀の母・お滝が願った。 「母上、何用が無くとも我が家に孫の顔を見に来て下さい」 「佐紀、良いのてすか、御当主様の許しも無くその様な事を申しても」 「義父は隠居成されまして、当主は我亭主、此処に居ります龍一郎様で御座います故に」 「龍一郎殿、佐紀がこの様に申して居りますが宜しいのでしょうか」 「無論です、当主・亭主は某ですが真の主は佐紀に御座いますれば」 「町屋も武家も家の中では女房殿が主と言う事ですかな」 「左様で御座います」 辰巳屋の主・鳩衛門の言葉に龍一郎が賛同した。 「佐紀、今日は泊っていってくれますね」 「母上、家の者にはこちらに参る事は伝えて御座いますが泊るとは申して御座いませぬ」 「婿殿に旦那様の酒の相手をして貰っている間に其方の日頃を聞かせて下さいな。 それに其方の兄は酒癖が悪くて旦那様の相手には成りませぬでな」 「妹にそこまで漏らす事も無いじゃないか」 「悪い仲間とお付き合いをしているとは聞いておりましたが御酒に溺れる様になりましたか、 ・・・その様な事よりお店の商いはどうですか、不具合など御座いませぬか」 「船も無難でな、そろそろ新造船をと考えている程に万事順調じゃ」 「それは良う御座いました」 「問題が有るとすればじゃ・・・後継ぎが居らぬ事じゃなぁ~」 鳩衛門はそう言って倅の方を向いた。 佐紀が訪いの刻も倅・寿一郎の姿は無かった。 「父上、私(わたくし)が居りました頃は素直な男子(おのこ)で御座いました。 何が御座いましたのでしょう」 「どうもご近所の悪垂れ共に感化された様でな。 あちらは次男、三男故に解らんでも無いがこの馬鹿者は嫡男、後継ぎであるにも関わらず、恵まれておるにも関わらず他の馬鹿共に感化されおってからに・・・」 「親父、そう言うがさ~付き合ってみると中々良い奴らだぜ」 「だからお前は馬鹿だと言うておるのじゃ。 お前が重宝されておるのは銭じゃ銭、あの馬鹿共は次男、三男で銭など無い。 お店(たな)の銭も既に警戒されて近づけず手も出せぬ。 じゃから銭を持って居るお前を大事にしておるだけじゃ、それが解らぬのか」 「そんな事は無いよ、この間も御馳走してくれたもの」 「全く、お前は馬の耳に念仏処か地面の穴にもならん」 「何だ、地面の穴、とは???」 「もう良い、今日は佐紀の里帰り、それも孫を連れてのじゃ。 お前と話ておると楽しい気分が台無いになる」 「お前様、もう諦めなされお店は私達の代で終りでも良いではりませんか。 それよりも佐紀の事ですよ」 「そうじゃのぉ~、佐紀は幼い頃から男勝りでご近所の男子を泣かせて詫びが絶えなかったが、どうじゃ今の娘らしゅうなった姿は・・・その男の部分がまるで寿一郎に移った様じゃ。 おぉいかんいかん又話が戻ってしまったわい、処で佐紀の方はお金に困る事は無いか」 「御座いませぬ」 佐紀はキッパリと返事をした。 「失礼ながら橘家はご裕福な御家人とは聞いておりませぬが」 「左様、世間一般の貧乏御家人と少々事を異にしております少禄ながら所領地を持つ御家人で御座いますれば、四分六分ではと前先代が三分七分に減らした様ですが飢える事無く生きております」 「私どもは剣術ではお助け出来ませぬが商人ですから銭のお世話は出来ますのでお困りの居りはお声を掛けて下さいな」 「そっちに回す銭を儂に回してくれよ」 寿一郎が横から銭のむしんをしたが誰も答えなかった。 「佐紀は料理が出来る様になりましたか」 「少しは出来る様になりましたが橘の家には家内の手伝いと料理人が居りますので私は何もする事が御座いませぬ」 実は料理は佐紀を含めお駒、お高、お有、お峰などの女衆がしていたが言葉を濁した。 「何と今時、使用人が二人も雇う御家人の家系が御座いますか。 これは驚いた、これまで佐紀にこの様な事を尋ねた事など無いので家事仕事は佐紀、其方がしておると思うておりましたよ」 「母上は使用人が居りますから料理などした事など御座いませんでしょう」 「残念な事なのか、幸いなのか出来ませんね、佐紀は使用人がいるのに出来るのですか」 「少々は出来ます、妻として一通りの事は出来ます、専門の方々がいらっしゃいますが忘れない様に時々は致します、漬物も致します」 「正直、橘の家は裕福とは思えません、使用人を何人も雇えるとは思えないのですが」 「お金の事は龍一郎が下さいます」 「下さいますって一分、二分、一両、二両では足りぬでしょうに」 「いえ、十両、二十両、時には百両程頂きます」 「百・・・百両も・・・」 母親は驚きの眼(まなこ)で龍一郎を見つめた。 視線に気づいた龍一郎は母親に顔を向けるとにこりと笑い主の鳩衛門に視線を戻した。 「佐紀の旦那様は一体何でお金を手にしているのですか」 「さて、何で御座いましょう、時々剣術の師範で剣の鍛錬所には出向いておりますが」 「掛け勝負でもしているのでは無いでしょうね・・・まぁ強そうには見えませぬが」 「母上には強くは見えませぬか??? とてもお強いですよ」 「そうは見えないがねぇ~」 「町人の私が何の縁か義理とは申せ武士の倅を持った。 私は以前から剣術を観る事が好きでしてなぁ~近くの鍛錬所に出かけて見物をさせて頂いております。 そこでもお尋ねしておるのですが、それは歴代の剣者の中で一番強かったのは何方(どなた)かとですな、それと只今の一番で御座いますよ、婿殿は何方の名を上げられますかな」 主の鳩衛門と龍一郎の話柄(わへい)も剣術に移行していた。 「無難な処から申せばやはり宮本武蔵殿、柳生十兵衛殿でしょうか」 「やはり、皆様が必ずお二人の名を上げられます、他にはおられませぬかな」 「百地三太夫殿ですかな」 「確か忍びの者と記憶して居りますが、剣もお強いお方でしたか」 「はい」 「これは初耳です、その名を上げた方は此れまでにおりません、何かの書き物でも御座いますので」 「いいえ書き物からでは御座いませぬ・・・さる処でご本人にお会い致しました」 「えぇ~ご本人と申されても確か戦国時代のお方と記憶しておりますが」 「はい、某、いや私もその様に記憶して居ります、齢(よわい)二百で御座いますか」 「では、二代目、三代目と言う事ですか」 「いいえ、ご本人が戦国の世から生きて来て歳など忘れた、と申しておりましたので初代で御座いましょう」 「何とも奇怪なお話で御座いますなぁ~しかし、それだけの御高齢ならばお強くは御座いますまい、立っているのがやっと、いえ、生きている事事態が摩訶不思議で御座います。 魑魅魍魎の類(たぐい)でしょうかな」 「私は忍びの鍛錬を、過酷、非常な鍛錬をすれば可能なものかと感じ入りました。 それ程に強いお方で御座いました」 「それは何時の事でしょう、今も御健在でしょうか」 「六年程前の事で御座います・・・多分、御健在と思います」 「うむ~、その魑魅魍魎のお方以外では何方(どなた)でしょうか」 「立ち会った事もお会いした事も御座いませぬが、尾張と江戸の柳生新陰流の師範、薩摩示現流の師範、小野派一刀流の師範・・・と言った処でしょうか」 「これはまた・・・私がお聞きした鍛錬所の主や師範からは出ては参りませんでしたなぁ~。 お武家様の其方様には大変失礼とは存じますが義理とは申せ婿殿故御許し頂いて・・・貴方様は剣術に余り詳しくは無いのでしょうか・・・つまり剣の鍛錬を成されてはいらっしゃらない」 「その様です、まだまだ鍛錬は足りないと思っています」 「お前様、お武家様に失礼ですよ、婿殿以外の人に言ったら無礼打ちになりますよ」 「だから、婿殿故と言うておる」 「少し早いですが夕食(ゆうげ)にしませぬか、殿方はお酒をどうぞ。 佐紀も旦那様のご相伴をする様になりましたか」 「はい、旦那様が一人では寂しいと申されますので義父が居りませぬ刻は飲ませて頂いております」 「では、皆で御酒を頂きましょう、お願いしますよ」 母親が部屋の隅に控えていた店の者に願った。 既に用意がされていた様で直ぐに酒の準備が成された。 「父上、お注ぎ致します」 「おぉ、済まぬな、しかし、其方から父上と聞くと何とも嬉しいのぉ~」 龍一郎から酌を受けながら鳩衛門が喜びを口にした。 「母上、お注ぎ致します」 「ありがとう、お佐紀、良く訪ねてくれましたね」 母のお滝が佐紀に礼を言った、その物言いには嬉しさが溢れていた。 「婿殿、今度は私が注がせて頂きますよ」 「ありがとう御座います」 「私も佐紀へ注ぎましょうね」 「ありがとう御座います」 四人の杯にお酒が満たされた。 「今日は孫の龍之介を連れて来てくれました、ありがとう・・・では」 鳩衛門の言葉に四人は杯を一旦前に上げ口に注いだ。 その時、横で寿一郎が「いいよ、いいよ、俺は手酌で良いよ」と独り言を言った。 だが他の者たちは誰も居ないかの様に何の反応も無かった。 「京の下り酒で御座いますね」 「うむ、上酒は下り酒に限ります、江戸近郊の酒蔵も以前よりも味の良い物を作る様になりましたが、まだまだですなぁ~」 「この御酒はこちらで運ばれた物ですか」 「勿論です」 などと四人での歓談が続き、龍之介は佐紀に乳を与えられ部屋の隅で店の使用人の小女に抱かれて、すやすやと眠っていた。<つづく>
2020.10.27
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<初めての食事>-----#026彼が何処へ行くのかと思っているとヘレンの部屋だった。彼とキャサリンが何も乗っていないダイニングの椅子に座った。「お母さんも座りなさいよ」ヘレンは言われるままにキャサリンの隣に座った。「私は一杯動いたからステーキ150gにご飯と味噌汁をお願い」「僕も頭を使ったのでハンハーグとクロワッサン、でも最初にオニオン・グラタン・スープ、そしてデザートにサヴァランをよろしく」「お母さんは何か食べたい物は無いの」母ヘレンが何も言わないのでキャサリンが催促した。「ステーキは重いから婿殿と同じが良いわ。でもサヴァランが本当に食べられるの・・・私の大好きなデザートなのよ。日本で初めて食べてあの時は一日に何個も毎日食べたのよ、あの味かしら」「そうね、あの時のお母さんは凄かったわね、アメリカに持って行けないと、とても悲しそうだったもの」「駄目だわ、まず、そのサヴァランが食べたいわ」ヘレンが言った直後に三人が囲むテーブルの真ん中が丸く沈み、直ぐに浮き上がり皿が現れた。その皿にケーキが乗っていてスプーンが添えられていた。「うわぁぁぁぁ、サウァランよ、サウァランよ、食べても良いの」「どうぞ、召し上がれ」ヘレンは返事の途中で皿を掴みスプーンで一口食べた。「・・・・・・この味だわ~、私の記憶のよりももっと美味しいわ」「このサヴァランは私が世界中で探して一番美味しいと思った日本の店の味を基本にしています。私の改良を加えて有ります、一番の違いは乗せてある豆が珈琲豆にしてある処です」「とても美味しい・・・あの~もう一つ頂けないでしょうか」「お母さん、デザートなのよ、デザート、食後用よ」「そんな事は言われ無くっても解っているわよ、食事の替わりにこれだけでも良いわ、私は」「まぁ~お母さん、食事の後で何個でも食べれば良いでしょ」「何個でも良いの、在庫は大丈夫なの」「大丈夫ですよね~貴方」「はい、大丈夫です、なんなら100個でもどうぞ」「なら良いわ、婿さんのと一緒でお願いするわ」ヘレンが言った途端にテーブルの真ん中が又せり上がりお盆に乗った食事が出て来た。「わぁ~美味しそうなハンバーグじゃないの、和風なのね乗っているのは大根下しでしょ。牛肉はアメリカ、オーストラリア、和牛のどれ???」「勿論、日本産の黒毛和牛です」「私のステーキも???」「勿論ですよ」彼がハンバーグとご飯が乗ったトレイをヘレンの前に置いた。次に中央が一旦沈み又せり上がりステーキが現れた。キャサリンがお盆を自分の前に引くと中央部分が下がり直ぐに上がり彼の和風ハンハーグが現れた。女性二人は十分過ぎる程の運動をしていたので「頂きます」の合唱の後はもくもくと食べる事に集中していた。「お母さん、そんなに急いで食べてそれ程早くデザートを食べたいの」「あら~私は何時もと同じく優雅に美味しく戴いているつもりだけど」「何処が何時もと同じなのよ、第一今の様に口に食べ物を入れたまま話すなんて不謹慎だと言っているのは誰でしたっけ」「・・・うむ・・・・・・だってサヴァラン・・・美味しいもの」「・・・確かにあのサヴァランは今までのどのケーキよりも美味しいわね」と言い合って又もくもくと食べだした。キャサリンが顔を上げるとにこにこと笑っている彼の顔が見つめていた。キャサリンは思った。<私はこの人に会ってとても幸運で幸せだ、もうこの人のいない人生は考えられない・・・でもこの人にとって私は・・・>食後、待望のデザート・サヴァランをほうばりながら二人は至福の時を過ごしていた。彼も勿論食べていた。「お二人にはスーツを戦闘モードにする方法をお教えしましたが、それは戦闘モードの必要性の時を熟慮してほしいからでした。今、本当に戦闘モードになる必要があるのか、他に方法が無いのかをより適切に判断してほしいからです。この施設の制御は全て人工頭脳が行っています、つまりコンピューターです。私は「アダム」と呼んでいます、スーツの管理と制御もアダムが行っています。戦闘モードへの移行は「アダム、戦闘モード」と言えば移行できます」その途端、彼のスーツが戦闘モードになった。二人が驚いた一瞬後、女性二人が同時に「アダム、戦闘モード」と言い戦闘モードになった。「解除が口頭でしたから想像はしていたでしょうが」そう言うと彼は立ち上がり戦闘モードから黒のフォーマル・スーツ、白のフォーマル・スーツ、ビジネス・スーツ、二人が時々見かけるニューヨークの警官の制服、消防士、カウボーイ、ダイバー・スーツと様々な服装になって見せた。「私はアダムとの会話は口に出していません・・・通信機が体内にあるのです。実は貴方方の体内にも既に通信機があります。言わずにいて申し訳ありませんでした、最初に伝えた時の拒否反応を危惧しました・・・今は如何ですか」彼が新たな情報を開示した。「口に出さなくてもアダムに伝わるの・・・で心が読まれるの」「大丈夫ですよ、深層心理までは読みません、表層心理だけです。但し、例えば誰かに会って「貴方に会えて嬉しい」と言っていながら心では「嫌な人」と思うと、それはアダムに伝わります、但し伝わるだけの事です。便利な処は何か解らない、知りたいと思った時は「アダム」と呼び掛けて聞けば教えてくれます。答えてくれないものもある事はお判りですね」「本当だわ、今、時間を聞いたの・・・天気も温度も・・・でもこの場所は答えてくれないわ」「本当、便利ね、婿殿の言う通り以前に聞いていたら怒ったかもね、今は嬉しいわ」「今日の午後はスーツの運動面の訓練よりも服装の登録をして下さい。自室のモニターで各種ファッション雑誌が見れますので参考にして下さい。但し、商標登録に引っかかる物は登録できません、形を少し変えて登録して下さい。イブニング・ドレスを沢山登録すると、どれか解らなくなりますから程々にした方が良いでしょう。アダムが色や形を教えてはくれますが・・・それと警察、消防などの制服の登録は番号に気を付けて下さい既にある番号は使用できません。顔が解らない特殊消防士は性別・体格の似た人の番号をアダムに選んで貰うと良いでしょう。靴、帽子、装飾品もスーツは模造可能です。女性はファッションには目が無いですから半日では足りないでしょうが今回は今日の午後だけで我慢して当座の必要なものを優先して登録して下さい。家に帰れば自室で幾らでも時間は有ります、アダムに頼めば自室のテレビにカタログ表示も可能です」「アダムは凄いのね」「ありがとう御座います」部屋にアダムのお礼の声が響いた。「良い声だわ・・・何処かで聞いた様な・・・」「何処で・・・あぁ私も聴き覚えがあるわ」「はい、日本の声優の若山源蔵さんの声を基本にしています」「成程、良い声のはずね」三人はデザートのサヴァランを食べ終わり二人は自室に戻った。「夕食は19時にこの部屋でメニューは私が決めて有りますので楽しみにしていて下さい」別れ際に彼が言って二人が顔を見合わせた。そして、一人になったヘレンがもう一つサヴァランを食べた事は言うまでも無い。<つづく>2025/05/22 更新
2020.10.25
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<ヘレンの訓練>-----#025ヘレンは娘に教えられた通りに素肌にスーツを着た。「お母さん、これはスーツと言ってとても便利で素晴らしい物なの。これはお母さんの為に作られた物のはずだからピッタリのはずよ。でも着るのは全部、下着も全部脱いで素肌に着てね。私はリビングに居るから着替えたら声を掛けてね」「全部脱ぐ・・・素肌の必要があるの??? ピッタリって言うけど、これのサイズは少し大きい様な気がするけど」「心配よね、でもね見てお母さん」そう言うと娘は着ている服を脱ぎ捨ててスーツ姿を見せた。赤み掛かった黒いスーツで全身を覆われ首回り、手首の周りに少し膨らみが有った。「あら、私のは青っぽいのに貴方のは赤なのね」「えぇ~色の事なの~」娘は呆れ顔で寝室を出て行った。キャサリンがリビングでオレンジ・シュースを飲んでいると寝室から「あら~」とか「へぇ~」とか「まぁ~」とかの感嘆の声が幾たびも聞こえた。暫くすると壁の一部が消え母ヘレンが少し恥ずかしそうにスーツ姿で現れた。「この服、スーツって言うんだったわね、不思議ね、着た時はブカブカだったのにファスナーを閉めたらピタッと身体に吸い付く様にぴったりになったわ」「それだけじゃ無いのよ、このスーツは何と防弾・耐衝撃なのよ」「防弾・・・防弾て銃弾を防ぐの、拳銃の玉???」「そうよ、でも距離にもよるけど50口径のライフルも大丈夫らしいの」「えぇ~ライフルも~とても信じられないわ、でも顔は頭を狙われたら??? キャシー」「そうよね、でも大丈夫、見ていて」キャシーはそう言うと髪を束ねて丸めて襟の中に入れ、両腕を脇で下にピンと伸ばすと両手の指を開いて後ろに反らした。するとキャシーの頭と顔を覆う様にヘルメットが現れスッポリと覆ってしまった、そして手にはスーツと同じ素材の手袋をしていた。少し感じが違うキャシーの声が言った。「どう、危険を感知するとこうなるの当然スーツと同じく防弾、耐衝撃よ」そう言うと次の瞬間には元の姿に戻っていた。「凄い、凄い、私の服もできるの」「勿論、出来るわよ、お母さん、でも只の服じゃなくてスーツ、スーツと呼んでね」「スーツね、それでどうすれば良いの」「まず、ヘルメットが出て来るから髪を襟の中に入れる、そうしないとヘルメットの中で髪が凄い事になっちゃうから」ヘレンは髪を束ねて丸めて襟の中に入れた。「次に掌を前に向けて腕を下に伸ばす」キャシーが母が正しく出来ているかを確認して自分も同様にした。「次に手首から先を後に反らす」そうした途端に二人のヘルメットが現れ両手に手袋がされ足にはブーツを履いていた。母のヘレンはヘルメットの中で「うぁお~」と奇声を上げていた。キャシーは暫く黙って見ていた後に言った。「戦闘モード・オフ・・・と言ってみて。」ヘレンが「戦闘モード・オフ」と言うとヘルメットと手袋が消えた。「あら、ブーツはそのままなのね」「そんな事よりトレーニングよ、さぁ~行きましょう」「何処に行くの」「トレーニング・ルームよ、しかし、お母さんはいちいち煩いわね、黙って居られないの、よく上院議員で居られると思うわ」「仕事モードだからよ、今は個人・・・パーソナル・モードよ」「じゃこれからは仕事モードいてね」「了解」二人は歩きながら話していた、キャシーは廊下に出て壁に近づくと壁から階段が現れた。ヘレンは驚きの声を出そうとしたが口を手で押さえて押し殺した。現れた階段をキャシーが登り始めヘレンが続いた。ヘレンは上の階に着くと又もや驚きの声を出しそうになったが同様に堪えた。そこは階の全体に仕切りも無く何十メートルもの広さの円形の体育館の様だった。「全く、彼と知り合ってから驚く事ばかりでしょ、お母さんも、もうそろそろ慣れたら」「そうだけど~、お前は驚かなかったの???」「そうね、彼と初めて会った日に慣れたわ」「運命だね、ぴったりだよ、普通は驚くと思うけどね~」「もういいでしょう、さぁ~始めるわよ、戦闘モード、宇宙モード、スペース・モードに成って」キャシーはそう言うと戦闘モードに成った。「あぁ宇宙服でもあるのね」ヘレンは言いながら戦闘モードになった。「ヘルメットの中のマイクとイアフォンで会話が出来る、力は自分の2倍になるわ、さぁ走ってみるから付いて来て」キャシーが斜めに走り外周を走り、その後をヘレンが付いて行った。「凄い~早い、早い・・・楽しい、楽しい」「苦しく無いし疲れ無いでしょう・・・このスーツは身体の疲労を取ってくれるのよ」「と言う事は何時までも走って居られるのね」「残念でした、エネルギーが無くなる・・・つまり食べ物がいるの、お腹が空くのよ」「と言う事はダイエットになると言う事???」「そう言う事よ」「いいわね~これ・・・気に入ったわ」「ありがとう、気に入って頂けて」何処からとも無く声がして二人の近くの床が突然開き、彼が現れた。「日本はやはり技術力が凄いわね」「お母さん、あのね~このスーツは彼の物なの、彼だけの物なの、日本は関係ないの」「えぇ~、こんなに凄い物が彼だけの物なの~」「だから前に言ったでしょ、誰にもこのスーツの存在を知られてはいけないのぉ」「お母さん、貴方ならば、その理由が解りますね」彼がヘレンに声を掛けた。「ちょっと待って考えさせてね」「いいわ、秘密にしましょう、でも本当に日本政府とは関係ないのね。貴方って凄いのね、健康に・・・若返る機械と言い、このスーツと言い。あぁ~そうそう、秘密にする理由ね、このスーツの存在が知れれば政府・・・何処の政府も欲しがる。勿論、戦争に使う為ね、こんなスーツが幾つかあればどんな戦争にも勝てるでしょうね。そしてもしも悪党に渡ったらそれこそ大変な事になってしまう。この世に存在する事が知られたら世界中の政府と悪党が必至で探すわね。そしてその持ち主、製造者を捉え尋問・拷問、何でもありの手で我物にしようとする。残念だけど私の所属する政府が一番危ないわね~」「やっぱり、お母さんは頭が良いわ、私は判るのに時間が掛かったもの・・・でも納得してくれたの~」「勿論、当然よ、実情はね、貴方たちの思っているのと違うのよ・・・探すのに政府の全組織が関与するでしょうね・・・でもね実際には一部の兵士が戦争で使い一部の政府高官と一部の大金持ちが護身用に使い世間には公表しない・・・でしょうね、私はそれが許せ無いのよ」「政府組織ってNSA、FBIと言う事ね・・・あぁ私もか???」「そうね、でもそれだけじゃ無いでしょうね、CIAに陸海空に海兵隊の情報部にその他、あらゆる組織が探すわね」「CIA??? CIAって国内での活動は禁止されているでしょう」「何言ってるの、この子は、貴方FBIの人間でしょ??? CIAの国内活動なんて山程あるわよ、第一こんなスーツがあると知ったら猶更でしょ」「そうなんだ~、だったら猶更秘密にする方が良いわね」「辺り前よ、何処の組織が手に入れても結局使うのは上の人だけなんだから」「処で貴方、どうしてお母さんだけになの~」「お母さんは上院議員で一番標的になり易いでしょう、それにスーツの秘密を守ってくれると思ったからです」「お父さん、お兄さん、妹は駄目なの」「商社の社長と副社長、学生ですからね、但しお母さんを目的とした誘拐は考えられますが」「じゃあ、必要じゃないですか???」「考えられるのは誘拐であって暗殺ではありません、お母さんは暗殺もあり得ますので、それにお父さんとお兄さんはスーツの秘密を守れるでしょうが・・・」「そうね、あの子は駄目ね目立ちたがり屋だから、こんなスーツを手にしたら直ぐにヒーローになりたがるわね」母ヘレンが下の娘の性格を表現した。「確かにね、あの子は秘密を守れないわね」彼は皆に24時間の監視の眼が付いている事は伏せた。「さて、お腹も空いた事でしょうから昼食にしましょう」そう言うと彼は下へ降りる階段へ向かい、それを二人が追い掛けた。<つづく>2025/05/22 更新
2020.10.24
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海外ドラマを観ていて「ふと」感じた事。そのドラマで車、ガブリオレ、昔はオープン・カーと言っていた車が出て来ました。屋根が布で自動です。感じた事は何かと言うと、犯罪この場合は車上荒らしですが、多いと聞く欧米でガブリオレの販売率は高いのか・・・です、売れているのかです。駐車場が自宅も仕事先も専用で有れば問題は無いでしょうが途中寄り道をして〇〇マートなどで買い物は無理なのでは??? まぁガブリオレに乗れる様な人はお金持ちですから・・・多分。ネットで販売台数を探したのですが見つかりませんでした。やはり「ガブリオレ」はカッコ良い、憧れます。-----おしまい
2020.10.23
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1.タイの騒動2.フランスのテロ3.コロナの感染者数1.私のイメージではタイは騒動が有っても最後に国王の発言で収束する・・・でしたが、今回はその王室関連も有りますので、びっくりです、やはり先代の国王の信頼度は高かったのでしょうか。タイへはまだ渡航経験は在りません、何度も考えましたが実現していません、コロナが終息したらぜひ訪問したいものです。2.宗教関連のテロです、コメントは控えます、私もテロの被害者には成りなくありませんので。私は小説を書いていますが、構想としてこの宗教の物も浮かぶのですが他の仏教、キリスト教に変換しています。3.連日、前日のコロナ感染者数の報道が有りますが100人以下が何日だ、100人以上が・・・200人以下が200人以上が・・・と報道されます。一つの目安なのでしょうか、何か100人と言う数字に意味があるのでしょうか。現在の報道の仕方は100人以下が何日も続くと安心感を与える様な表現をしています。100人と言う数字に科学的な意味、例えば10万人換算で100人以下は終息の目安になるとか、何か根拠が有るのでしょうか、50人、10人で観れば連日それ以上です、根拠が無いので有れば、100人以下が何日続いているから終息に近づいている様な含みを込めた表現は避けた方が良いと思います。連日の報道で感染経路が解らない人数の多さが気に成ります。厚生労働省のアプリ「Cocoro」の利用率が低いのではないでしょうか、私の周りでも利用率は低いです、勿論私はインストしています、周りの方には理由を説明して進めています。私はコマーシャルをカットしてテレビ番組を観ていますが政府の「Cocoro」アプリの普及活動が甘いのではないでしょうか。感染経路の把握は重要と思います、その為にはこのアプリの普及は必須です。特別機関限定法令でも作って普及率100%にする必要があると思ってします。個人の権利侵害、個人情報・・・、ハッキングの心配・・・等々は二の次で終息を目指す時期です。-----おしまい
2020.10.22
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連日のCS240での「007シリーズ」の放送、今回は吹き替えです、勿論観る時はコマーシャルを削除してからです。これも当然ですが一作目から順番に観ています。主役・ジェームズ・ボンドは私の一番好きな俳優・ショーン・コネリーです。観始めて違和感を感じました、吹き替えの声優が何と「若山源蔵さん」では無いのです、一作目と四作目は「若山源蔵さん」でしたが。今回の声優の方も名前を良く見かける有名声優なのですが違和感がとても大きく映画に集中出来ませんでした。声優は俳優に毎に殆ど決まっている様ですが最もな事だと思います。シリーズの他の作品も残念な事に「若山源蔵さん」では在りませんでした、新たに吹き替えたのでしょうが理由が解りません、著作権料と新たな吹き替え作成料では新規の方が高くなると予想されるのですが・・・。ショーン・コネリーさんは既に引退していますので今後、作品が作られる事は無いので声優のイメージを変える必要性は無いのですが・・・。「若山源蔵さん」の吹き替えで観たかった、残念です。-----おしまい2020/10/27 訂正
2020.10.22
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CS240ムービープラスで「007」特集が組まれています。字幕版を全て楽しく鑑賞しBDに保存しました。その後、吹き替え版も放送され始めましたので、う~ん、良し此れも確保決定。その時点で、CS240の特集に便乗するかの様に他局も007シリーズを放送していました。試しに録画して驚きました、録画した映画の時間が30分も違うのです、そうですカットされているのです。それも何と映画専門チャンネルを売りにしているCS240の方なのです。内容を確認すると一見してカットは感じられない様にしていますが良く考えると「あれ、この二人は既に合っている様な言い回しなのに初見だな」などと疑問点が出て来て、他局の録画を観るとカットされている部分に初めて会う部分が有りました。映画専門チャンネル240でかなりの映画を観ている私には非常にショックでした。気が付かず楽しんでいたのですから良いと言えば良いのですが、やはり「騙された」との気持ちはぬぐえません。カットしている物は「カット版」「編集版」と明記してほしいものです、逆に「フル・バージョン」「完全版」などとの明記はあるのですから・・・あれ・・・と言う事は明記の無いものは全て編集版なのでしょうか???私の判断の一つとして最後のエンドロールまで放送している映画はカットされていないと思っています。-----おしまい
2020.10.21
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01.教育の一環でトイ・ドローンのプログラミング02.名古屋のバス・ツアー03.石川県の熊騒動04.調布の道路陥没01.岡山県高梁市の小学校でトイ・ドローンのプログラミングを教育に利用しハソコンのプログラミングそのものの教育、失敗から学ぶ意識改革にも利用する、時代を感じました。元プログラマーとして意識改革には良いと賛同します。02.観光地などを巡るバス・ツアーでは無くバスがお目当てのツアー、バス・マニアの為のツアーで企画はバス会社のバス・マニアの社員でとの事、企画を了承した上司を誉めて上げたい。この考えは他の業種、会社でも可能だと思います。03.連日の熊出没報道、冬眠前の食料確保には少し早い様にも思う、山の開発で生息地縮小でもあったのであろうか。対応として「駆除された」、駆除とは射殺なのか、熊の入った袋を檻に入れたので麻酔なのか、ぜひ麻酔で山に戻す対応であってほしいものです。追加情報を期待します。04.ネクスコ東日本の完全否定をせず、即時浩治中断と会見は素晴らしい、周辺地域の調査予定、因果関係の可能性を否定しなかった処が素晴らしい。この会見を了承した会社の上昇部を誉めて上げたい。-----おしまい
2020.10.20
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<初稽古>-----#177 道場では内弟子、つまり家族の二人が稽古をしていた。 「十兵衛様、鐘四郎様、お二人は非番で御座いますか」 お花の声に二人が顔を向けると館長、館長の奥方、師範、師範の奥方を始め、珍しく二人が知る橘の幹部の面々の顔が有り見知らぬ若者二人も認めた。 十兵衛と鐘四郎の二人はその場で正座し拝礼にも似た礼をした。 それ程に珍しい顔ぶれなのである。 二人は既に山修行にも参加し平太や舞を含め皆の技量の高さを理解していた。 「其方らに新たに本日より内弟子となった二人を紹介しておこう」 日頃は無口な師範代の三郎太が言った。 「お言葉では御座いますが、その必要は御座いませぬ、我ら天覧大会を見物しておりました故お二人を存じております」 「おぉ~観ておったか、ならば其方らが身分を知らせよ」 「某、本城鐘四郎と申す、北町奉行所・同心にござる」 「某、南町奉行所・与力・ 浅井 十兵衛と申す、良しなに」「館長、先達のお二人に紹介の儀、お許し下さい」師範代の三郎太が変わりに「許す」と答えた。「はぁ、ありがとうございます、某、元江戸の柳生新陰流・鰐淵俊三郎と申します、以後よろしくお願い致します」 「某、元尾張柳生新陰流・井上歳三に御座います、ご指導をお願い申します」 「此れより、元柳生のお二人、鰐淵殿と井上殿とお花の試し合いを行う。 其方ら二人も見分せよ、審判は某が行う・・・鰐淵殿、先方を願おう」 師範代・三郎太の声に四名が頷き、鰐淵と井上が回りを見渡すと既に館長の小兵衛は見所中央に正座しその下に師範の龍一郎が座し、他の者達は壁際に座していた。 元柳生の二人は音も立てず動く気配も感じられぬ皆の動きに驚いた。 十兵衛と鐘四郎は見慣れているのか、壁際の末席に驚きも見せずに座した。 鰐淵と井上は壁際へ下がり井上は座し鰐淵は竹刀だけを持って中央へ歩んだ。 そこには既に左手に竹刀を持ったお花が顔に薄っすらと笑みを浮かべて待っていた。 鰐淵は歩みを勧めながら笑みを浮かべるお花に闘志が湧き始め対戦位置に着いた刻には闘志が溢れんばかりに迸り殺気までをも含んでいた。 「鰐淵殿、何を殺気立てておる、これは仇討ちでは御座らぬぞ・・・此れより試し合いを行う、審判の某に従って頂く、両者宜しいな・・・では、は・じ・・・め~」 三郎太が殺気立つ鰐淵に言葉を掛け、試し合いの開始を告げた。 両者は左手に持った竹刀を正面に回し正眼に構えた、相正眼の形となった。 両者の竹刀はまだ触れ合う距離には無い。 鰐淵はお花がまだ笑みを浮かべている事に不思議さを感じた。 そして悟った、この女子(おなご)も殺気処か気が感じられない程に試合に対する恐れも恐怖も無い様に思われ、笑みを浮かべているのは緊張しない為の策なのでは無いか・と察した。 それに比べて己は鰐淵は闘志満々、闘志むき出しでこれでは打ち込みの刻を読まれてしまう。 鰐淵は後ずさりし壁際まで後退すると己の緊張と闘志を取り去る為に肩を上下させその場で飛び跳ねた。 暫しその仕草を繰り返した後「お待たせ致した」と言った後、前に歩み対戦位置に戻り構えも正眼に戻したが闘志は内に秘めた落ち着きのある構えになっていた。 鰐淵が戻るまでの間、相手のお花は竹刀を正眼に構えたまま黙って鰐淵の動きを見つめ続けていた。 同じ柳生新陰流でありながら江戸と尾張と言う決して仲が良いとは言えぬ組織に属していた二人であったが同じ境遇で半日の行動を共にした事で以前の立場を忘れ同士の様な仲になっていた。 鰐淵が一旦下がり緊張を解くかの様な仕草をした事が己も出来たかと疑問に思い鰐淵の検討を祈った。 お花の技量を知る小兵衛を始めとする面々はと言えば・・・お花を心配するでも無く結果に興味を示すでも無く全くの無表情であった。 では、心の中はと言えば、心を無にする修行をしている者達だけに二人の対戦者だけでは無く周辺の気の流れを読んでいた、まだ修行が浅いお高だけがお花がどの様にして勝つつもりでいるのか??? との思いを心に浮かべていた。 鰐淵は対戦者お花の笑みを浮かべた表情に人選を間違えた事に気付かされた。 一番幼い舞と言う娘かと当初は思ったが年少組とは言え次席になっている、決して対戦した者たちが未熟とも思えなかった、自分も含めて橘道場以外の者達との対戦では優れた剣者に見えた、処が橘の者と対戦すると稚児の様にあしらわれていた。 成人の部の勝者・龍一郎師範、次席の小兵衛館長、女子の部の勝者・師範妻女・お佐紀様、次席の館長・妻女・お久殿たちは自分の技量では太刀打ち出来ない事は明白であった。 師範代の三郎太殿と従う女子(にょしょう)お有様、師範代の平四郎殿と従う女子・お峰様、少年の部の勝者・誠一郎殿、正業が岡っ引きの清吉と妻女の船宿女将・お駒、その倅の平太殿、そして江戸でも有名な料亭・揚羽亭の女将・お高様、男衆の中で技量の劣る者はやはり一番年少の平太殿と思えたのであるが、醸し出す空気、仕草は年少の部の勝者・誠一郎殿を凌ぐ物だと感じられた・・・のでは有ったが・・・鰐淵の心は当初の意気込みと緊張から皆の技量比べと不安へと移行していた。 突然、気配の変化も見せずにお花が前に進み死線を超えた。 驚いた鰐淵が竹刀を胸元に一旦引き寄せ面打ちに行った。 お花は鰐淵の竹刀を右に交わし鰐淵の腹に竹刀を送り込んだ。 一瞬、鰐淵の身体がくの字に曲がりお花の竹刀に乗りその場に倒れ込んでしまった。 お花は倒れる鰐淵の身体から竹刀を引くと後ずさりで開始位置に戻った。 暫し痛みに動けずにいた鰐淵が開始位置に戻り「参りました」と言った。 その表情には悔しさ、情けなさなどの負の感情は無く、晴れ晴れとしていた。 「うむ、お花の勝ちじゃな・・・お花、弛まぬ鍛錬が伺える物である・・・だが、館長の様に竹刀に乗せて回すにはまだまだ修行が足りぬ・・・な」 「はい、難しゅう御座います、修練致します」 「うむ・・・では次は井上殿の出番じゃ・・・」 三郎太の声を遮る様に龍一郎の声が飛んだ。 「三郎太殿、お花相手よりも、お高殿ではいかがかな」 珍しい龍一郎の注文に皆が龍一郎にそして名指しされたお高にと視線を巡らせた。 龍一郎の言葉に開始線を離れ自席へと戻るお花が開始線へと向かうお高に擦れ違いざまに竹刀を渡した。 龍一郎の言葉で鰐淵と井上は一番技量の劣る者が誰かを理解した。 井上は微かに笑みを浮かべていたお花とは異なり眼の前にいる対戦者・お高が若干の緊張を見せている様に思えた・・・事実、お高にとって仲間以外の対戦は初めてだったのである・・・此れからは仲間に成るのではあるが。 井上が「来る」と思い竹刀を引かずそのまま突きに行った。 お高はその突きを予想していたかの様に大きく踏み込み右肩の上に躱すと井上の腹に胴切りを放った。 打たれた井上はお高の竹刀を軸に前転し床に上を向いて寝かされた。 お高の竹刀の先端が井上の首筋に寄せられて止まった。 「参りました」 井上の負けの宣言にお高は眼と竹刀を井上に向けたままに開始線へと戻った。 「お高殿の勝ちにこざる・・・お高殿、お花との腕力の差じゃな、お花の身体が大人になれば・・・・解るな、其方が修練を怠れば差は開くばかりぞ」 「はい、心得て御座います、お言葉ありがとう御座います」 師範代の三郎太に礼を言ってお高は控えの席へと戻って行った。 「館長、師範、お言葉をお願い申します」 三郎太が館長と師範に評価を願った。 「うむ、もう言うまでもあるまいが、其方ら二人の技量に近い者はそこに居る十兵衛と鐘四郎であろう、鰐淵と井上は剣の修行に明け暮れていた、本来なれば十兵衛と鐘四郎は相手に成るまい。 だが十兵衛と鐘四郎の二人は既に一度だけとは言え山修行をしておる。丁度良い修練相手に成ろう」 「山修行とは何で御座いますか、尾張にも山に籠っての修行が御座います故お聞き致します」 「山修行に参加した者が真の家族なのじゃ、我ら橘の技量はその山修行故のものなのじゃて」 「館長、我らは何時・・・何時山修行に行けましょう」 「皆の都合が着き次第じゃな、十兵衛と鐘四郎、其方らはどうするな」 「無論、同道させて頂きます、何時成りとも良い様に同僚に急な用向きが生じましたおりには某が率先して代役を務めております、お声掛けをお待ちしております」 「某も同様で御座います、前回の様に館長にご迷惑の掛からぬ様にしております」 鐘四郎の初回の山修行は小兵衛の共に同道したい旨を奉行にお願いし、日程を確保したものであった。 「其方らは藩での役務は良いのか」 「我らはこちらへの弟子入りに際し役務を放免され某は殿付き、この者は江戸家老付きと成りました故に剣術の技量向上が役務と言えば役務に御座います」 「何とも羨ましい役務だのぉ~」 役務で江戸中を走り回っている鐘四郎が思わず言葉を漏らした。 「十兵衛、鐘四郎、其方らが二人を内弟子用の長屋へ案内致せ」 「はい、しかし、羨ましい、我らは奉行所の役務が何時来るかも判らぬ故に長屋住まいが出来ぬ、しかし羨ましい、のぉ~鐘四郎」 「はい、某も出来るものならお長屋に住みとう御座います」 「何と言っても飯が美味い、量も好き放題じゃからのぉ~」 「あら~お二人共、朝も昼もこちらで食べておられるようですが」 お駒が合いの手を入れた。 「鐘四郎殿は夜も食べに来られるそうな」 お高がお駒の合いの手に乗っかった。 「何~其方、夕食(ゆうげ)も食べに来ておるのか」 十兵衛が驚きの声を漏らした。 「おやおや、食い物の恨みは大きいと申しますが・・・」 お久まで合いの手に乗っかった。 「十兵衛、其方も食べたければ何時でも来よ、遠慮は要らぬ」 「はい、遠慮無く来させて頂きます、早速ですが我らまだ昼餉を食べておりませぬ、よろしくお願い致します」 「まずは、二人を長屋に案内致せ、それからじゃ」 「ありがとう御座います、お二方参ろう」 「ありがとうございます」 「本日よりよろしくお願い致します」 「よろしくお願い申し上げます」 四人が皆に礼を言って長屋へと向かった。 「二人の気質が変わりましたなぁ、お前様」 お佐紀が龍一郎に問い掛けとも取れる言葉を投げかけた。 「人と言う者は善の心を持って日々を全力で過ごして居れば自ずと自信と寛容が育つもの・・・と私は思っています」 龍一郎の言葉に皆が頷き、清吉は帳面と矢立を出して書留めていた。 「留吉殿、後で某にも写させて貰いたい」 「承知しました」 岡っ引きと言う商売柄、清吉は帳面と矢立は手放さない。 「龍一郎、其方と言う奴は・・・まるで僧侶の様じゃのぉ~」 「本に、本に」 「それで、義父上、次回の山修行の日程は如何に」 「そうじゃのぉ~、儂が行くとなれば三郎太か平四郎に道場の番を願わねば成らぬしのぉ」 皆で日程や鍛錬内容の要望などについての話会いが続いた。<つづく>
2020.10.20
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<柳生の二人>-----#176 「と言う訳で二人増えたのじゃ」 「まぁ~、ではあの二人の若者は柳生のそれも江戸と尾張の若者でしたか」 「そうじゃのぉ~仲が良く無いと聞いておったがなぁ~」 「剣の修行に藩も流派も役職も関係は御座いますまい」 「そう言う事かのぉ~、そう言えば帰りに何やら少々重い物を渡され誠一郎に持たせたが菓子にしては重い物であったなぁ~」 「金子が入って居たそうで御座います、本日の苦労賃で御座いましょう」 「そうか、苦労などしては居らぬのに上様に気を使わせたなぁ、それにしては重そうであった」 「何を成されたかは夕食(ゆうげ)のおりにお聞きいたしますが大変な事と思いましたのに」 「何故じゃ」 「はい、金子は五百両御座いましたので」 「何~五百両・・・上様は儂に何をさせるつもりなのじゃ」 其の頃、龍一郎とお佐紀も屏風を挟んで着替えをしていた。 佐紀が龍一郎の着替えを手伝おうとすると 「其方も着替えがあろう、一緒に着替えを致そうではないか」 屏風を挟んで二人の会話が始まった。 「お前様、実家に来た賊は八島の方様では御座いませぬのでございますか」 「違う様じゃのぉ、我ら城の表ばかりを気にしておったが奥も探らねばならぬようじゃ」 「八島の方様はどなたかの心当たりがお有りの様で御座いました」 「心当たり程度は上様の方じゃ、八島殿は誰かを確信して居ったな」 「何方なので御座いましょう、私も奥に数年居りました故に合うた事もあるのでしょうか」 「何、其方気になるのか」 「えぇ~、お前様は気に成りませぬので」 「成らぬな、其方に危害を加える気が無ければ誰でも良い、知りとうも無い、まぁ今の其方を拐すなど無理じゃがな」 「これも全て貴方様の御蔭で御座います、私は何故に商家の娘に剣術をと当初思っておりました、今ようやく解りまして御座います・・・今や私は剣の修行は欠かせぬ物に御座います、暮らしの一部に御座います」 「儂は其方に切っ掛けを与えたに過ぎぬ、全ては其方の才覚の成せる事じゃ。 良う辛抱したのぉ~其方の鍛錬は男子(おのこ)でも耐え難いものじゃ」 「私は貴方様を信じ付いて参っただけで御座います」 「其方はこの江戸で三番目の技前じゃ」 「・・・一番は貴方・・・二番はどなたでございましょうか」 「儂を一番と言うてくれるは嬉しい事じゃが二番かも知れぬ」 「・・・この江戸に貴方様より優れた剣者が・・・」 「これまではその存在さえも解らなんだ、じゃが上覧試合のおりにもう一人おる事が解った。 その者は己の力を隠しておったのじゃ・・・舞が山で言うておった事を覚えておらぬか・・・舞は山に来ると頭が晴れやかになる、江戸に居ると頭に靄が掛かるとな」 「覚えております、その言葉でそう言えば私もと思うたものでした」 「儂もそう思うた、そしてその訳も今は判っておる・・・その剣者が己の力を隠す為に結界を張っておるのじゃ」 「結界で御座いますか、その結界はどの様なもので御座いますか」 「気配を探る事が難しくなる、能力、剣技の力を計り辛くするのじゃ」 「その結界は今も」 「左様・・・今は考えぬ事じゃ、事を起こす刻が参れば其方に一番に伝えるでな」 「はい、私は一考に心配などしては居りませぬ、それよりも本日はまだ何も召しては居りませぬ。刻も刻で御座いますれば朝餉と昼餉を兼ねた食を致しませぬか」 「背中の皮と腹の皮が付くとはこの事かのぉ~」 「山修行では三日も四日も水だけで過ごされるお方のお言葉とも思えませぬ」 「修行と常とは別物じゃ」 「何とも融通の利く腹で御座いますなぁ~」 二人は冗談を言い合いながら常の服に着替え台所に向かった。 台所には既に小兵衛も居り仲間の殆どの者達の顔も有った。 「龍一郎様~忍び込まぬ城は如何でしたか」 「平太、歩くと刻の掛かるものじゃのぉ~疲れるわい」 この二人の掛け合いを聞いていた新参者、柳生の二人は師匠と弟子との会話とも思えぬ遣り取りにまずは驚き次に忍びの言葉に驚いた。 「失礼ながらお聞き致します、橘の道場は只の剣の鍛錬場では無く影の役目として上様の警護が含まれておるのでしょうか」 「儂は其方らを弟子にするなどとは一言も言うては居らぬ」 「何と」 「我らの命を絶つと申されますか」 「龍一郎、この二人はもそっと素養かあるの思うたが剣の腕だけで馬鹿なのでは無いのか」 小兵衛が龍一郎に尋ねたが他の仲間はにやにやと笑っていた。 柳生の二人の若者は、自分たちの周りでにやにやと笑っている者達に恐怖を覚え震えた。 「爺様、意地悪をしちゃ駄目、震えているでしょ」 「おおぉ~済まぬ、済まぬ、儂も化け物どもに囲まれれば震えも出るわい」 小兵衛が二人に詫びた・・・が、これが又、皆を笑わせた。 「儂は其方らを弟子にするつもりでは無い、家族にするつもりでおる。 家族には秘密は無いと言う事じゃ。つまりは只の弟子には我らの本当の姿を見せては居らぬと言う事じゃ。どうじゃ其方ら只の弟子が良いか我らの家族になるか・・・如何いたすな」 二人は顔を見合わせ暫く見つめ合っていたが一人が頷くともう一人も頷いた。 「家族に成りとうございます」 「お願い致します」 「解った、がしかし確かめねば成らぬ。 其方らは巷では犬猿の仲とも言われる江戸と尾張の柳生の者達じゃ。 我らの知らぬと思われる事、つまりは柳生の秘密を言うて貰わねば成らぬ。 藩命よりも我らとの絆を第一にして貰わねばならぬ。どうじゃ、それでも家族で良いのか」 「正直に申しまして私の居ります鍛錬所では師範代、師範などの先達の人達は二言目には、その様な事では尾張には勝てぬ、などと何かに付け尾張柳生を引き合いに出しております。 ですが、橘の方々の技前を見せられて江戸だ尾張だと柳生が天下一の流儀とは思え無く成りました」 「江戸もそうか・・・尾張も同じで御座います、何かに付け江戸の柳生、江戸の柳生と申されて柳生が天下一の様に申されておりました」 「そうか、尾張もか、某は殿に橘に弟子入りしたく藩籍を抜けたいと上役を通して申しでました。 そうした処、殿の御前に呼ばれ「暫し待て」とのお言葉で本日の登城と相成りました。 登城に同道せよと命じられました刻は腰が抜けると思う程に驚き切腹を覚悟致しました」 「某も尾張藩江戸家老殿に呼びだされ大和柳生藩藩主・俊方様に同道せよ、と命じられました刻に切腹を覚悟致しまして御座います」 「それが上様に橘の弟子に成れと命ぜられ、今度は龍一郎様に弟子にはしないと言われ、驚きの連続で御座います・・・正直・・・余りの展開に頭が付いて参りませぬ」 「某も同様で御座います、試合の後に柳生を捨てる覚悟で橘への入門を決めました。 故に心は既に橘では御座いますが、長年修行致しました柳生の秘密を漏らすには少々戸惑いも御座います」 「でしょうね~」 「お気持ち、お察し申し上げます」 佐紀と久が同情の言葉掛けた。 「あっしらは町人ですからお二人の気持ちが解りませんね」 武士姿の清吉と武家婦人の姿のお駒、お高、お花、舞が頷いていた。 「えぇ~皆さんは武士では無いのですか」 二人の柳生武士が何人かが町人と知って驚きと若干の蔑みの態度を見せた。 「町人と侮った様だが其方らの今の技前では相手に成らぬ・・・信じぬようじゅのぉ~」 「信じろと申す事の方が不思議かと存じます、女子衆(おなごし)も武家では御座いませんので」 「清吉とお駒は船宿の主と女将じゃ、最も清吉は岡っ引きでもあるがな、お高とお花は料亭の女将とその娘じゃ、其方らも揚羽亭と言う料亭の名くらい知っておろう、舞は清吉とお駒の娘じゃ」 今度は小兵衛が紹介した。 「某と平四郎とこの三郎太は武士と言え様なぁ~、三郎太の隣の小さいのは平太と申して清吉殿とお駒殿のお子じゃ、舞の兄者じゃな」 小兵衛の後を平四郎が継いだ。 「・・・」 「我々の技量は皆様方の何方と何方の間位なので御座いましょう」 「其方らにここに居る者達の技量の並びが解るかな」 小兵衛がまた意地悪な問いを放った。 「皆様が竹刀で戦こうた場合の勝者で御座いますね」 「竹刀と言うたな・・・まぁ良いか、どうじゃ解るか」 「暫し刻を頂けませぬか」 「良かろう、昼餉が済み茶の肴にしょうかのぉ~」 元柳生の新参者二人は皆の顔と仕草や態度を確かめては話会っていた。 他の何時もの面々は城はどうだっただの上様の印象はどうだのと二人が居ないかの様にわいわいがやがやと話が盛り上がっていた。 「技量の高い低いも気になるが、お主、思わぬかこの光景を見て」 「其方もか・・・家族と申していたが本当の家族でもこれ程仲睦まじい光景など見た事も無い」 「それよ、まるで館長の小兵衛殿が隠居でその奥方が居られ龍一郎殿と妻女が居られ小兵衛殿の他の倅達と娘達とその孫達が話ておる様に見ゆる」 「そう見えるなぁ~」 色とりどりの野菜と饂飩を煮込んだ大鍋から丼に取り分けられ皆が大いに食べた。 新参者二人は又驚かされた。 その量にだ、まだ子供の平太や舞でさえも二人の二倍程も食べた。 他の大人たちの食べた量は言うに及ばず大量だった。 食べ終わり皆で茶を飲み始めた。 「さてと、では、二人の返答を聞こうかのぉ~」 「はぁ、二人で話し合いまして皆様の家族に加えて下さい、お願い申し上げます」 「まず、私の居りました尾張のお話をさせて頂きます・・・尾張の柳生には裏の技が御座います、私はまだまだ下級の剣士でしたので一つだけしか教えては頂けませんでしたが確かに裏の技が御座いました、その一つは剣を練り合わせた際に柄元を相手の鳩尾に送り込む技でした」 「江戸の柳生にも裏が御座います、ですがその技を殿が使いましたが館長の小兵衛様には通じませんでした、出足の右足を踏み着け動きを封じる物でした・・・何故通じ無かったのか不思議です」 「簡単な事よ。我ら橘にも裏、と言うよりも卑怯な技が有り、その内の一つと言う事じゃ。 つまりは我らもあの技は使えるし又その対応策もあると言う事よ」 小兵衛が皆に変わり答えた。 「橘ではあんなの技の中にも入らないわ」 舞が可愛い声で大胆な事を平然と言った。 「痛い」 「あ痛い」 元柳生の二人が同時に頬に痛みを感じ思わず叫んだ。 そして二人の前に小豆の粒が落ちたのを見た。 二人は誰も自分達に投げた仕草をした者が居ない事を知っているので周りを見回し誰も居ない事にさらに不思議と驚きを感じた。 「誰が何をしたか解ったかな」 小兵衛が問うた。 「・・・」 「・・・解りませぬ」 「おいらだよ」 平太が言った、直後に再度二人が「痛い」と叫び再度二人の前に小豆が落ちた。 「解るまい・・・橘にはかような技もあるのじゃ、柳生には無いはずじゃ、柳生だけではなかろうなぁ。 其方らも家族になる故、その内鍛錬する事となろう。 おぉ忘れておった、我らは家族と言うておるが外の者がおる刻には内弟子と呼んでおる。 道場に住み込んでおる者じゃ、我らの事はどの様な拷問を受けようとも言うては成らぬ。 覚悟せよ、約定せよ」 小兵衛が少々自慢化に言い続けて少々怖い言葉も付け加えた。 「・・・」 「・・・」 「お前様、余り脅しては成りませぬ、お二人共、今は自信は無くとも我らと共に修行・鍛錬する内に秘密を守る信念・自信が生まれてまいります」 お久が優しく諭す様に助言した。 「我らに出来ましょうか」 「私に厳しい鍛錬が耐えられましょうか」 「私にも耐えられたのですから大丈夫と思うけど」 一番幼い舞も言い添えた。 「それで、この中で一番技量の劣る者が誰・・・と思うたのかのぉ~」 「・・・はい、本来ならば幼い舞殿とお答えする処で御座いますが、舞殿は少年組とは申せ次席に成られました、失礼とは存じますが、そちらにお座りの女子の方と思われます」 小兵衛の再度の問い掛けに二人を代表して元尾張柳生の若者が答えた。 「この刻限は内弟子しか居らぬ、此れより道場にて試し合いを行う、お花、相手をせい」 「はい、畏まりました」 お花が元気良く、嬉しそうに返事をした。 新参者の二人は顔を見合わせ「違ったのか」と言う風情を見せた。<つづく>
2020.10.18
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<下城>-----#175 「お前様、お城は豪華絢爛で御座いましたか」 お久が小兵衛の着替えを手伝いながら尋ねた。 お茶会は上様と幕閣の者達の役目の時間が迫り名残り惜しげな吉宗の言葉で終りになった。 但し、最後に吉宗が参加者全員に労う言葉を掛けた後 「忠相、加納、両名だけ残れ暫し話がしたい、皆ご苦労で有った、楽しい時を過ごしたぞ」 名差しされた両名以外の者達は立ち上がり頭を下げ腰を屈めて廊下へと向かった。 「待て」 吉宗の言葉に皆の歩みが止まった。 「小兵衛と俊方に命ずる・・・柳生の若者二人を橘へ入門させよ、良いな、俊方、小兵衛」 俊方と小兵衛の両名は「ははぁ~」と了承の返事をし皆が歩みを続けた。 「忠相、爺(加納)・・・其方らは弟子として既に橘の道場に通っておろう」 「はい、役務の合間に・・・」 「俊方の思惑通りに儂の指南役に小兵衛を加える様に致せ」 「はい、幕閣の者達も天覧試合を見ております故に問題は無かろうと思われます、お任せ下さい」 「良し、頼むぞ、早急にのぉ・・・本題はその事では無いのじゃ・・・小兵衛が指南役と成り儂も橘の指導は受けられる・・・受けられるが、儂はやはり橘の道場へ行きたい」 「上様、それは無理で御座います」 「左様、隊列を組む必要も御座いますし、上様が主導の倹約に支障が御座います」 「何も隊列を組めと申しては居らぬ、儂は一人の武士として弟子入りするつもりじゃ」 「他の弟子たちが委縮いたし修行に成りませぬ」 「橘の弟子たちの中で儂の顔を知る者はおるか」 「弟子の中には幕閣の重臣も居ります」 「その者たちへ事前に素知らぬ顔をせよ、と申して欲しい故に今話しておる、儂の素性は其方、爺の親戚の者としてではどうかな、名は加納進一郎としたいが、どうか」 「お考えなされましたなぁ~、どうかのぉ~大岡殿」 「事前の根回しはできますが、上様のお姿を見ますと平伏する者もいるやに思われます」 「そうせぬ様に言うてほしいと申しておる」 「う~む、私自身も出来ますかどうか・・・第一どの様にしてこの城の警備の者たちの眼を・・・城外にと成れば警備を含め隊列は必定で御座います」 「ふ・ふ・ふ・・・甚八、参れ」 突然、吉宗の前に座る二人の横に黒服の者が現れ平伏した。 加納と忠相は当然驚き黒服の男と吉宗を交互に見つめた。 「この者はいつぞやに話した新たな儂の警護の者たちの統領じゃ・・・この者に城外に出してもらうつもりじゃ、これ以上の警護は有るまいぞ、どうじゃ」 「しかし、城中の者たちの眼をどの様にして避けて外に出られますので」 「それは儂も知らぬ、其方らも知らぬ方が良かろう、儂はこの者を信じておる」 「上様の信じるとのお言葉故信じたいのでは御座いますが・・・」 「であろうなぁ~・・・仕方なかろう甚八」 「はい」 「甚八を統領と言うたが真の統領は別に居る・・・龍一郎じゃ」 「何と」 「えぇ~」 「これでも信じられぬか」 「上様のお言葉とは言え、しかしながら・・・真か、甚八殿と申されたな」 「はい、真の事に御座いまする、剣技に置いて全く太刀打ちできませんでした。 しかし、それよりも伊賀の郷に居りました居りに上様の御命が危険に晒されて居る。 何としてもお守りしたいとの男気に打たれ統領を知れば知る程に徳を感じまして御座います。 何よりもあのお方は嘘・偽りを微塵も申しませぬ」 「それで配下となったか・・・がしかし其方の配下の者皆がそうではあるまい」 「いいえ、私は未だに統領と呼ばれておりますが、あのお方を皆はお頭様と呼んでおります」 「皆がか」 「はい、郷の者にお頭様に従わぬ者など居りませぬ」 「強いからのぉ~」 「いいえ、優しいからで御座います」 「・・・確かにあれ程の並外れた強さを持つに強さを感じさせぬ優しさを持っておる。 そして何より人に好かれる、人徳のある人とはあの者の様な人物の事かのぉ~。 おぉ~、上様の御前で失礼おば致しました」 「良い、良い、儂もあの者の人徳とやらを授かりたいものじゃ、さて城の抜け方は甚八に任せてある、其方らには儂が道場を尋ねたおりの見知り置きの者達の対応じゃ良しなにの」 「ははぁ~」 茶会の場から退去した者達の内、八島局は大奥へと戻って行った。 「次の宿下がり・・・いや城を出る機会あらば必ずや橘の道場へ参ります、その節は良しなに」 去り際に八島が何やら含みを帯びた一言を残して去って行った。 「今の八島の方様の言葉はどう言う意味じゃ、何やら含みを感じたが儂だけか」 「爺様、私もその様に感じました・・・我が亭主殿にはお判りの様で御座いますなぁ~」 小兵衛と佐紀の二人が龍一郎の顔を伺ったが龍一郎からは何の返事も無かった。 隣の部屋の襖が開き二人の若者と誠一郎が顔を出した。 「其方ら二人は今日から橘の門弟じゃ、上様のご命令故、否は成らぬ」 小兵衛が伝えると二人はその場に平伏し礼を言った。 「ありがとうございまする」 「忝いお言葉に御座います」 「おぉ喜んでくれるか・・・がしかし・・・そうなると横に居る誠一郎は兄弟子じゃぞ」 「はい、もう既に教えを乞うておりました」 「重しも見せて頂きました、我らも早速着けとう御座います」 「我らは此れより道場へ戻るが其方らはどうするな」 「一式全て持参して居ります、同道させて下さい」 「良し、帰りは二人増えて戻るかのぉ~」<つづく>
2020.10.17
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今日のニュース01.サッカーのロナウド選手のコロナ感染02.アップルの5G対応「iPhone-12」の八表01.他の選手が全員、陰性で感染していなかった、朗報ですが、何処から? 誰からが疑問。 コロナと聞くと如何しても「志村けん」さん「高田賢三」さんが頭を過る。02.IPhoneは8を持っていたが仕様の思考が欧米人で指示表示の順番、タップの位置が私には合わなかった、シャープのアンドロイドに買い替えたのですがしっくりとすっきりと解り易いです。只、5Gはやはり魅力的です、アンドロイドでも5G可が進んでいます、基地局が安定したら買い替えを考える事にします。世界中で悲しい事、寂しい事が・・・日本でも・・・。そんなニュースは忘れる事にします。-----おしまい
2020.10.14
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シーズン-2~4の録画がありシーズン-1が無くBDへの書き込みが出来なかった「アンフォゲッタブル完全記憶捜査」。10月04日と11日に「アンフォゲッタブル完全記憶捜査」のシーズン-1の録画が出来き、04日と05日、11日と12日に作品を録画鑑賞、非常に面白く楽しみました。10月12日にBDへの書き込みを行いました。最初のシースン-!の部分はBD作成は順調に終了。2枚のシーズン-1の一部とシーズン-2、シーズン-3の一部の無事にBDへの書き込み終了。さてここからが本題です。BDに書き込みしたシーズン-2の#01を見始めた事が失敗と言うか何と言うか。面白くて止められなくなりBDを観続けてしまいました。私はその日の行動を日記形式で書いているのですが13日には「録画鑑賞」だけと言って良い位でした。とても面白いドラマなので楽しいのですが・・・他の事に手が着けられない・・・困った。などと言いながらも・・・これから続きを観よう。-----おしまい
2020.10.14
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<茶会>-----#174 「小兵衛、其方、倅・龍一郎の太刀を見たか」 立ち合い後の主人が八島の茶会での会話である。 早朝であるが故に酒とも行かず茶会となった。 「はい、拝見致しまして御座います」 「其方、龍一郎の素性を知っておるな・・・して太刀はいかがであったな」 「素性は本人より知らされて御座います、太刀は眼福でございました。 上様より拝領致しました太刀も見事な太刀でございますが、失礼ながら流石に天下に名高き名剣には及びませぬ」 「仕方あるまい龍一郎の太刀を超える物などないわ・・・龍一郎の素性を知らぬは八島と俊方だけであろう」 柳生の二人は茶会には出た事が無く別室に控えていた。 名を告げられた八島と俊方が不思議そうな顔で龍一郎を見つめた。 「この事は内密に致せ・・・これまでに秘密は漏れておらぬ。 今後もしやして漏れる事あれば八島、俊方のどちらからとなる、良いな。 それとも聞きとうは無いか、どうじゃ」 「秘密は守りまする」 「誰にも漏らさぬとお約束致します」 俊方と八島が約定した。 「うむ・・・龍一郎はな、儂とは稚馴染みよ・・・加賀前田家の嫡男じゃ」 「なんと」 「・・・」 「八島、其方、龍一郎が佐紀の宿下がりを願うた時を覚えておるか」 「はい、私の知る限り大奥の歴史の中でも只の一度の事と思うております、故に昨日の事の様に覚えて御座います」 「あのおりに佐紀の容姿・顔を見て正直・・・儂の手付きとしたかった・・・だがな儂の幼馴染が己の許嫁で嫁にすると言うではそれも出来ぬ・・・惜し事をしたのぉ~八島」 「大変失礼と思います、もし御怒りでしたなら打首にして下さい、死を覚悟の上申しげます。 只今の佐紀の幸せそうな様子を見るにお宿下がりで良かった様に思われます」 「其方は良き心根の女子(おなご)よのぉ~・・・其方は幾つにあいなるな」 「三十路で御座います」 「まだ子を成せるなぁ~、今宵を余と過ごさぬか」 「何と・・・三十路で御座います、若く美しい娘が他に大勢おります」 「儂と過ごすのがいやならば良い」 「いいえ、本当の事で有れば夢の様で御座います」 「良し、今宵其方とささ(酒)など楽しもうぞ」 「はい」 「その折りのささの肴にしたい、佐紀、あの日、宿下がりの日、以降の事を聞かせてくれぬか。 佐紀咎めはせぬ故正直に申せ。 龍一郎が其方を許嫁と申した折りに其方も否とは言わなんだ。 だが儂は其方と龍一郎が合うたのはあの折りが初めてと思うた・・・故に聞きたいのじゃ」 「正直にとのお言葉故申し上げます・・・確かに龍一郎様の許嫁では御座いませんでした。 お会いしたのもあの折りが初めてで御座いました」 「初めて合うた男子(おのこ)に許嫁と言われて何故に否と言わなんだ」 「解りませぬ・・・その後も考えました、ですが解りませぬ。 あの折りに龍一郎様が許嫁と言われたおりにあぁ~この方が私の主になるお方と思いました。 故に否とは申しませんでした・・・後から何度考えましても解りかねます。 只今の自分はあのおりの言葉が正しいもので有った証かと存じまする」 「其方の判断と答えも良いもので有ったし儂の決断もまた良いものであった。 其方を誉めるが儂も儂自身を誉めても良いと思うぞ」 「はい、ありがとうございます」 「その後はどうしたのじゃ」 「はい、お城の門の外にて龍一郎様がお持ちで御座いました、私は家への道は解ります、一人で戻れますと答えますと龍一郎様は無事には戻れぬと申されました」 「何と」 「何、何かあったか」 「いいえ、何も御座いませんでした、実家に戻り家族と久方振りの再会で御座いました。 龍一郎様がその後何日か私の実家に泊ると申されました。 両親は娘を家に戻してくれた恩人を大歓迎で歓待致しました。 何日か経った日の深夜に賊が参りました様に御座います、が龍一郎様が退治された様で御座います、龍一郎様が泊ると申された訳がその時に解りまして御座います。 龍一郎様は恩を返して欲しくてお泊りでは無かったので御座います。 私の身を、我実家の身を案じての事で御座いました。 龍一郎様が明日、橘の屋敷に戻ると申された日の夜に両親と話を致しました。 そして龍一郎様が私を大奥から実家に戻すに当たり家に戻っても武家の嫁になるやも知れぬ、と申された事を聞きました、龍一郎様が橘の屋敷に戻られる時に私も同道致しました。 前の日の夜の両親との話し合いで両親を説得致しました、その日から私は橘龍一郎様の妻と成りました」 「其方の家に賊がと申したが何者であったのじゃ」 「私は存じませぬ」 佐紀は龍一郎の方を見つめた。 「龍一郎、其方、何か言う事は無いのか、今日、其方の声を一言も聴いておらぬぞ」 「お言葉では御座いますが私だけでは御座いませぬ」 「忠相と倅もじゃな・・・忠相、其方は龍一郎の素性を知っておったか、加納の爺は儂が教えた・・・忠相はどうじゃ」 「はい、幼き頃から存じ上げております故、お会いしましたそのおりに即座に解りまして御座います」 「左様か、そして誠一郎を預けたか」 「上様の御推察お見事に御座いまする」 「その折りにあの様に見事な剣士になると思うたかな」 「とんでも御座いませぬ、その頃の倅・誠一郎は近隣の悪垂れで鼻摘み者、勘当すら考えて居りまして御座います。 只普通に戻る事だけを期待しておりました、それがあの様に変貌するなど夢の様に御座いまする」 「ついぞやは南北奉行所の粛清にも加わったと聞いた、良き倅になったのぉ~」 「はい、これも龍一郎様の薫陶の御蔭と感謝して居ります」 「処で、龍一郎、佐紀の実家に入りし賊は何者であったか解っておるのか」 「某、今の今まで八島の方様の手の者と思うて居りました」 「今は違うと申すか」 「はい、八島の方様では無い様に御座います」 「八島、どうじゃ其方の手の者か、そうでは無いならば思い当たる者はおるか」 「おのれ~・・・これは失礼をば致しました、私は佐紀の幸せを願うて居りました。 私が市中で佐紀を認め奥へと申しました、ですが一年のつもりでおりました。 妹とも娘とも思うておりました・・・ですが一年のつもりでしたが・・・まさか・・・」 「表だけでは無うて奥にも不遜な者がおる様じゃのぉ~済まぬ儂とて奥には簡単に手は出せぬ、其方に改めて言う事でも無いがのぉ~」 「はい、何か手立てを考えまする」 「上様、某に妙案が御座いますが、上手く行くかどうかは解り兼ねますが」 「龍一郎、妙案とな、儂も八島も何の案も無い、その妙案とやらを聞かせてくれぬか、ここに居る者なれば漏らす者など居らぬ」 「はい、その心配はしては居りませぬ、が、上様が賛同なされますかどうか」 「聞かねば反対も賛成も文句も言えぬわ」 それから暫く龍一郎の考えた妙案の説明が続いた。 「確かに儂には辛い面もある、あるが儂が勧めておる倹約に大いに役にはなる」 「はい、上手く行きましたおりには読売にて世に喧伝いたせば上様みずからが倹約との評判になる事で御座いましょう」 「しかし、龍一郎様、其方は剣術だけでは無く、人の好さそうな顔をして姑息・・・姑息とも違うな、卑怯でも無し、奇策、妙案と言うしかないかのぉ~」 「忠相、其方の言葉は良く解る、其方の白洲でも龍一郎は妙案を考えるやも知れぬぞ」 「はい、前例の無い時には相談致したいと存じます」 「誠一郎を良き師匠に預けたな・・・俊方、其方の弟子の二人もきっと誠一郎の様になるであろう、どうじゃその時の姿、見とうはないか」 「見とう御座います、御座いますが・・・某が成りとう御座います」 「何、其方・・・本に龍一郎の弟子になると申すか」 「いけませぬか」 「儂の指南役と言う役目故にそう簡単に誰ぞの弟子になる訳にも行くまい、幕閣の者達にはな」 「左様で御座いますなぁ~」 「上様のご指南役を龍一郎様いえ小兵衛殿に変わって頂きその後に道場の門弟に加えて頂くと言う事では如何で御座いましょう」 「弟子の中には幕閣の者も居る、居るが其方は一万石とは言え大名の当主じゃからのぉ~それも只の当主では無い柳生新陰流と言う一大流派の統領だからのぉ~簡単には行くまい」 「はい、確かに難しい事では御座います・・・御座いますが、年月が掛かろうとも何としても弟子入りを願うつもりでおります、まずは上様のご承諾を何卒お願い申し上げます」 「儂の返事は決まっておる・・・許す」 「ははぁ~有難き倖せに存じまする」 「じゃが俊方、師匠となる小兵衛と龍一郎が承諾せねば弟子にはなれぬぞ」 「おや、確かに失念しておりました、我流派では来る者は拒まずで御座います故に思いも致しませんでした・・・ご両者にお願い申し上げます、某の弟子入りをお許し願い申し上げまする」 「儂からも弟子入りを願う」 俊方に次いで吉宗も弟子入りを願った。 「お受け致します」 小兵衛が弟子入りを許した。 この時、俊方は吉宗が自分の俊方の弟子入りを願ってくれたものと思っていた。<つづく>
2020.10.12
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海外ドラマの新作「アレックス・ライダー」が始まりました。以前から事前予告が頻繁でした。2006年に上映された映画のドラマ化です。映画は私の好きなスパイ物語でとても面白いものでした。主役の青年俳優はほとんど無名の新人ながらモデルも務める程の美男子で存在感も感じられました。今回のドラマの主役の俳優はそれ程の存在感を感じませんでした。ですが、脚本が良いので内容的には続きが期待されるものでした、今の処、録画対象です。美男子、美女だけに存在感を感じる訳では在りません。昔、昔、初めて「ブルース・ウィリス」を探偵物のテレビドラマで観た時に主役の女性を超える演技にてとも存在感を感じこの俳優が売れると言いなぁ~と思いました。その後、映画「ダイハート」をレンタル・ビデオ屋さんで見つけ見て余りの面白さに驚きました。全くと言って良い程にレンタルされていず人気もない様でした、レンタル本数も1本だでした。ところが暫くするとレンタル本数がどんどん増えて行き巷での評判も現れ大ヒットに成りました。そしてシリーズ化です、ブルース・ウィレスも有名俳優の仲間入りです。存在感でも主役としての存在感と脇役としての存在感があると思っています。「シャーロック~」を演じた「ベネディクト・カンバーバッチ」は美男子では無いのですがとても存在感が感じられ主役に適していると思います。「シャーロック」では「ジョニー・リー・ミラー」が一番、「カンバーバッチ」が次席、その次が「ロバート・ダウニー・Jr.」が私の順番です、他にもいろいろな俳優が演じていますがこの三人のものが面白い、脚本、撮影者、監督など他の要素も作品の面白さには影響はありますが、やはり主役の存在感が一番です。「モーガン・フリーマン」は脇役のしての存在感が素晴らしい俳優です。この俳優の主役の映画は知りませんが脇役で出ている映画で面白く無いと感じた事が有りません。素晴らしい脇役です。主役の存在感の無さで観る気が無い映画も有ります、「ロード・オブ・ザ〇〇〇」「スター・ウ〇〇〇」大ヒット作品てすが観る気になれません。予告編を見て主役、脇役に存在感が感じられなかったのです、脚本は良く作品としては面白いのかも知れませんが。-----おしまい
2020.10.12
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<母・ヘレンへの贈り物>-----#024上院議員の母の安全を危惧していた娘は彼の行動に驚き感謝もした。何と彼は母に機能は劣るもののスーツをプレゼントしたのだ。それは彼が彼女の家に住むようになって2週間程たった時だった。ヘレンが帰宅すると直ぐに何時ものテラスにいるキャサリンたちに質問した。「貴方たちは政府の極秘プロジェクトのメンバーなの」「どうしたの、お母さん何があったの」「どうしたも、こうしたもないわ、今日突然議長に呼ばれて議会監視顧問の要請を受けたのよ。何の監視ですか、と聞くと議長も知らない、知ってはならない極秘プログェクトで詳細は娘に聞いてくれ。と言うのよ、どう言う事なの、娘って貴方、それとも妹・・・どっち」母の突然の問い掛けにキャサリンは戸惑い何時もの様に身体を預けていた彼を見つめた。母が上院議員とは言え大統領との秘密のプロジェクトを話す訳にはいかないと感じたからだ。彼が珍しく答えた。「まず、お母さん座って下さい」二人の向かいの椅子を指指した。ヘレンは言われるがままに椅子に座った。「貴方に議会監視顧問になって貰ったのは私です」この答にヘレンも娘のキャサリンも驚いた。「君にも言っていなかったね、ジェレミーを通じて要請したのです」「ジェレミーって誰なの」「おかあさん、ジェレミーは彼の通訳、最初の通訳で今は補佐官、貴方、何時頼んだの」「今日の朝だよ」「何の為に」「君のお母さんにスーツを着て貰う為ですよ、でも、訓練の三日の休みを取れないでしょう、だからですよ」「本当~貴方、ありがとう」「何、二人で盛り上がっているの、説明しなさい、どんなプロジェクトなの、そのスーツって何」「お母さん、ここではお話できません、明日別の場所でします」彼はそう言って目を瞑ってしまった。「キャシー、どう言う事なの、プロジェクトって何、スーツって何なの」「お母さん、彼が話さない以上、私も話せないわ」キャシーもそう言って彼にもたれ掛り目を瞑ってしまった。「全く、前は私を怖がっていたのに最近は度胸が付いたのか、全然脅しも効かないわ、はぁ~喜ぶべきなのか、嘆くべきなのか」ヘレンは諦めて家の中に入って行った。母へスーツを着させ訓練する為には最低三日を要したが上院議員の身分では三日の自己都合は無理な話だった。そこで取った彼の手段は彼に関するプロジェクトの議会監視顧問員への就任だったのだ。要請したその日に議会議長を通じて本人に伝えられた。連絡を受けたジェレミーは国務長官に連絡し彼が大統領へ報告したのだ。三人に取って彼、サクライの要請は要求と同じである。彼にその意図は無くても三人に取っては前大統領の件での恩義を感じていたからである。何より国務長官とジェレミーは彼に好感を持っていた。そして、この要請は的を得たもので妥当なものだったのである。現在は各機関の機密費を流用しているが何れは正式な予算が必要となり議会を通す事になる。その為には予め議会の誰かに参加して貰う事が最善策なのである。議長から要請を伝えられたヘレンは当初、拒否していたが要請が大統領からの指名である事、そして詳細は娘に聞く、つまり娘が関わっていると聞かされたので承諾したのである。翌日の朝、プロジェクトの議会監視顧問員になった母と娘の運転で一旦ペンタゴンに入り、SPの護衛を躱し違う出口からペンタゴンを抜け出し彼の船へと向かった。「ここは何処なの??? これは何??? これが極秘のプロジェクトなの???」車が四角い光り中に入り止まった時に放ったヘレンの言葉だった。「そうよね、私も最初は戸惑ったものね・・・でも今はまだ言えないわ、お母さん」「まだって、何時かは教えてくれるのね」「ええ、彼が決めるわ」彼は車を降りて壁の方へ歩いて行った。「彼が決めるの・・・貴方、変わったわね」「私が変わった・・・何処が???」「貴方が誰かをそんなに信頼するなんて」「えぇ~私って、そんなに疑り深かったかしら」「疑り深いって言うか・・・自分の意思が強いと言うか、余り人の言う事は聞かなかったわね」「そうかな~自分ではそうは思わなかったけど・・・それに彼に従っているとは思わないけど・・・そんな事よりお母さん早く降りて」「こんな処で~」「大丈夫よ、娘の私が言うのだから信じなさい」「最近のお前は娘らしく無い・・・本当に娘のキャシーなの?」「何を馬鹿な事を言っているの、さぁ~降りなさい」キャシーは車を降りて母が降りるのを待った。しぶしぶ車を降りたヘレンは部屋の四方を上下を見渡した。「大丈夫よ、お母さん・・・ここは格納庫」「格納庫? 何の?」「今は気にしないの、その内に・・・ね、早く来て彼が待ってるから」「彼は何者なの? これもプロジェクトに関係しているの?」二人は話ながら彼の方へ向かった。歩み寄る二人を確認した彼は通路を真っすぐに歩きだした。ヘレンは娘が最初に来た時と同じ様に通路に出る時にまず頭だけを出して左右を眺め次に身体を出し又左右を眺めた。「お母さん、私が居るのだから安全に決まっているでしょう」母娘の二人は彼の後を追って中央通路へ歩き出した。彼は中央通路を突き当たりまで行くと左に曲がった。二人が角を曲がると彼は彼女の部屋の先の壁の前に立っていた。二人が近づくと彼の前に部屋への入口が開いていた。彼が部屋に入り母娘が従った。彼は壁の方を指差しているので二人が覗くとベットが有り上に服が乗っていた。「お母さん用のスーツです、着用方法と用途を教えて下さい、上の階を使うと良いでしょう」彼はそう言うと部屋を出て行った。「彼は本当に余計な事は話さないのね・・・貴方たち、上手く行っているの???」「勿論よ、私は無駄なおしゃべりをするよりは口数が少ない方が好きだわ」<つづく>2025/05/22 更新
2020.10.11
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<試し合い>-----#173 日頃冷静沈着な俊方の顔が百鬼夜行の様に赤みを帯びて目が釣り上がり険しく変化していた。 「俊方様、得物は竹刀でお願い申します・・・寄る年並みには勝てませぬで」 俊方の激高した態度に怯える様子も無く小兵衛が願った。 「竹刀じゃと~」 「はい、お願い申します・・・上様、宜しいでしょうか、場所は庭に出ますか???」 「ここで良い」 吉宗が即答した。 小兵衛は横に置いた竹刀を持つとゆっくりと立ち上がった。 相手方の俊方は激しく竹刀を掴むと勢い良く立ち上がり広間の中央へと歩き出した。 双方が一歩踏み込けば竹刀が届く程の間を空けて立ち止まった。 「審判は誰がするのじゃ」 吉宗が誰とも無く尋ねた。 「失礼ながら上様にお願い申しげまする」 小兵衛が願った。 「・・・承知した、双方これは試し合いである、互いの日頃の鍛錬の確認に過ぎぬと心せよ。 儂が止めと言ったなら即座に止める様にな・・・では・・・は・じ・め~」 小兵衛がゆっくりと竹刀を正眼に構えた、すると途端に顔をほんのりと赤く染める程に激高していた俊方の顔色が見る間に赤みが消え徐々に白へと変わって行き遂には顔から汗が出始めた。 俊方には試合の時に橘の者達は殺気を出していないのではと思っていたが、それ以上で有った、殺気では無く存在を示す気配が感じられないのである。 柳生流の鍛錬方法には闇修行と言うものが有り、暗闇の中で相手の気配だけで対するものであるが、その鍛錬に慣れた俊方でも殺気だけでは無く気配さえも発しない相手には対処の方法が思い付かなかったのである。 俊方は決心した、上様の前では封印して来た裏柳生の技を使う事をである。 右足を少し前に出し正眼に構え静かに佇む小兵衛、同じく正眼構えた俊方、が前に出ていたのは左足で有った、これは剣術の基本からは外れていた。 俊方が先に仕掛けた、少し前に進み死線つまり剣が届く位置を超えた。 小兵衛が右足を少し引いた・・・再度、俊方か前に進んだ、又も小兵衛が右足を引いた。 俊方は確信した、対戦相手の小兵衛は裏柳生の技を知っている・・・と。 俊方は左足で小兵衛の右足を踏みつけ痛みを与えると同時に動きを封じその隙に打ち込むつもりであったのである。 だが、その技を知っているかの様に小兵衛は右足を引いた、二度に渡りで有る。 俊方にはこの技を知らぬ者が技を避ける者を知らなかった。 小兵衛が構えを少し変えた、まるで俊方を誘う様に右足を当初よりも前に出し構えた。 俊方は裏の柳生の技を知る者など居ないと思い直し再度の踏み込みを行い左足を前に出した。 三度目にして俊方の技が決まり俊方の左足が小兵衛の右足を踏み付けていた。 俊方は時を得たりと正眼から振り上げていた竹刀を小兵衛の頭に向かって振り下ろした。 俊方を含め見ている者たちの多くが小兵衛が面を打たれると見えた寸余に小兵衛の身体が右に開かれ半身に成り俊方の打ち込みを躱し小兵衛の右足を踏んだままの俊方の右肩の上に静かに竹刀を置いた。 二人の動きが止まり、周りと人々も無言で静寂が続いた。 「俊方・・・其方の負けじゃ~」 吉宗の言葉に二人の対戦者は元の向き合う位置に戻り礼を交わした。 小兵衛は元の控えていた場所に戻り正座した。 俊方はその場で少し下を向き佇んでいた。 俊方の弟子は俊方を見ず小兵衛を見ていた、その眼と表情は敬意と憧れを露わにしていた。 その隣にいた若武者も同様な眼で小兵衛を見つめていた、この武者は天覧試合に出場していた尾張柳生の代表者で有った。 俊方が吉宗に同席を願い許しを得ていた、二人は当然城内に入るなど初めての事であった。 二人が吉宗が許すと言っても頭を上げる事が中々出来なかった程の緊張と恐怖で有った。 時が過ぎて行っても吉宗の方向に眼を向ける事さえ出来ないでいた。 その二人が何処にいるかを忘れたかの様に小兵衛を畏敬と尊敬と憧れの表情を露わに見つめていた。 二人は吉宗の勝負の結果の声を聴き始めて将軍・吉宗に眼を向け己の居場所を思い出し平伏した。 「俊方、約定故、次は佐紀との試し合いじゃぞ」 俊方はその場に平伏した。 「お言葉では御座いますが、上様、小兵衛殿より上手と申される佐紀殿に太刀打ちなど出来る訳も御座いませぬ」 「成らぬ、約定である、佐紀と龍一郎の技前を俊方、其方自身が身を持って知るのじゃ。 第一其方はまだ佐紀が強いとは思うては居るまいが・・・違うか、どうじゃ」 「・・・上様・・・思うては居りませぬ」 俊方はそう言うと己の席に戻ると竹刀を置いて木刀を持った。 「上様、佐紀殿との勝負は木刀にてお願い申し上げます」 「木刀とな~佐紀、いかが致すな」 「お好きな様に」 「と申しておる」 二人は木刀を手に広間の中央へと歩んで行きもう三歩で死線を超える処で歩みを止めた。 「俊方様に申し上げます、出足を踏むなどと裏の技など無用に願います」 佐紀が小兵衛との試合で見せた俊方の攻めを指摘した。 「何、俊方・・・其方はその様な事を成したか???」 「・・・柳生は負ける訳にはまいりませぬ」 「裏柳生があるとは聞いておったが所詮は噂と思うて居った、佐紀、裏柳生は卑怯と申すか」 「いいえ、上様、私には効かぬ・・・と申して居ります。 裏があるは柳生に限らぬと申して居ります」 「何~橘にも裏があると申すか???」 「はて・・・御座いましょうか・・・裏は見せた時が終りの時で御座います」 「終りとは、どう言う意味じゃ」 「橘の者以外に知る者が居ない、この世には居ないと言う意味に御座います」 「佐紀、其方は・・・其方はもはや町人に在らず武士の妻女じゃ」 「有難きお言葉に御座います、そろそろ試し合いを始めましょう、上様」 佐紀は吉宗と話ながらも俊方から眼を離す事は無かった。 「うむ~、は・じ・め~」 掛け声と共に俊方の木刀が佐紀の喉を目掛けて前に伸びた。 だがその時には佐紀は既に五歩も後に下がり木刀を上段に構えていた。 そして上段に構えた木刀がゆっくりと確実に俊方の木刀に近づいて行った。 上覧試合で見せた技である。 俊方は伸ばした木刀を引き戻し構えを中段に取った。 佐紀はゆっくりと木刀を上段から打ち下ろしながら前へと進み二本の木刀の先が触れ合う処まで進んで歩みを止めた・・・だが木刀のゆっくりとした打ち下ろしは確実に俊方の木刀に近づいて行った。 その時、俊方の右手が一旦脇差に添えられ又木刀を握った。 佐紀のゆっくりとした打ち下ろしていた木刀が中段に戻された。 その木刀を見て皆が驚いた。 佐紀の木刀の中程に小柄が刺さっていたのだある。 勿論、俊方の物で右手が脇差に伸びた時に小柄を抜き木刀に握り戻す時に佐紀に向かって投げ撃ったのである。 佐紀は何事も無かったかの様にゆっくりとした上段からの打ち下ろしを再開した。 そして佐紀の木刀が俊方の木刀に触れ様とした時に「かーん」と音が響き俊方の木刀が畳に落ちた。 木刀を撃ち落とされた俊方は両の手を握り閉めて痛みに顔を歪めていた。 広間には俊方の痛みを堪える声だけが響いていた。 「これが裏の橘であるか、佐紀」 「この様なものは裏でも何でもありませぬ、俊方様なればどの様なものかは既にお判りと存じます」 「上様、佐紀に言葉を掛ける事をお許し下さいませ」 八島局が吉宗に許しを願った。 「許す、いちいち許しを願わずとも良い」 「はい、ありがとうございます。佐紀、佐紀であって佐紀で無き者、其方がわらわは羨ましい。 ではあるがそれ程の手練れになるには並大抵の鍛錬ではあるまいに~ましてや、わらわの元に居った時と差程年月も経っては居らぬ・・・大変な修行・鍛錬であったのでしょう、辛うは無かったですか、今も辛いのではないのですか」 「八島の方様、私の身を気遣うお言葉有難き倖せに存じまする。 ですが我亭主の元に参りましてより、辛い苦しい悲しいと陰の感情を持った覚えが御座いませぬ。幸せ、楽しい、嬉しいの陽の感情ばかりの毎日で御座います、どうぞご安心下さいませ」 佐紀は野太い声に始まり優しい女子の声に変えてお礼の言葉を伝えた。 「大奥に居り儂の手付きとなっておったとしても、その言葉は聞けまいのぉ~、処で俊方・・・女子は力が弱い故に竹刀ではのうて木刀と思うたか???」 「はい、ですが佐紀様は女子では無く夜叉で御座いました、天狗の妻女で御座いました」 「俊方、あの試合のおりに佐紀の技がどの様なものかと言うて居ったがどうであったな」 「はい、某の予想の通り、振り下ろしと振り上げを早く行い振り下ろしの止める位置を少しづつ下げて行く・・・まさにその通りの技で御座いました」 「解っているので有れば何故に負けたな」 「眼にも止まらぬ速さで打ち下ろされる木刀を振るう者に太刀打ち出来るは眼にも止まらぬ太刀だけで御座います・・・残念ながら某には出来ませぬ・・・故に世に言うお手上げで御座いました」 「何、では、あのゆるりとした打ち下ろしを見せられた時に其方は既に心では参ったと言うて居ったと言う事か・・・だが柳生の当主として負けは許されず、小柄打ちまで致したか」 佐紀が木刀から抜いた小柄を俊方に渡した。 「忝い」 俊方が佐紀に礼を言い小柄を受け取り脇差に戻した。 「しかし、佐紀、良うも俊方の小柄を見抜いたのぉ~」 「あの様な事は我亭主の直弟子ならば誰でも出来る事で御座います」 「あれが橘では裏に成らぬと申すか・・・橘の裏とは・・・儂にも言えぬか」 「残念では御座いますが、上様お一人に成らば我が亭主もお見せするやも知れませぬ」 皆の眼が龍一郎に注がれた。 皆の視線を一身に集めた龍一郎は只静かに吉宗の顔を見つめるだけで何の表情も見せず何の返事もしなかった。 「まぁ~その内、儂が自ら願うてみよう」 天下の将軍の言葉とも思えぬ言葉を吉宗は吐いた。 「さて、俊方、最後に龍一郎との勝負が残っておる・・・」 「上様、失礼ながらご勘弁の程をお願い申し上げまする」 俊方が吉宗に平伏して詫びた。 「駄目か・・・であるか、儂は龍一郎が二人になる処を見たかったのじゃがなぁ~」 吉宗がさも残念そうに言った。 その途端に佐紀の隣に龍一郎が現れ、その龍一郎が見る間に二人、三人と増えて行った。 八人になった処で全員が消え皆が気付くと龍一郎は元の席に座っていた。 「・・・」 「・・・」 「・・・」 「み・ご・と・・・」 吉宗の一言が皆の気持ちを表していた。<つづく>
2020.10.11
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以前にドキュメンタリー番組、旅行番組のタイトルとサブ・タイトルの長さについて述べた。只、内容を羅列しただけの何の捻りも無いタイトルとサブ・タイトルの酷さ。旅行番組では何の為の番組なのかを考慮していない、観た人に旅行に行きたいと思わせる番組が旅行番組としては最高であり観る人も多くなり視聴率も上がるはずです。なのに撮影の年月日の明記が無く季節が解らず服装の参考にならず、実際に行って見ると立ち入り禁止になって居たりと撮影の年度が古い場合もありました。最近、やっと制作年月の表記をする旅行番組も現れ、とうとう撮影年月を表記する番組も現れました。喜ばしいかぎりです。さて、今回の本題のドラマのタイトルですが長すぎる物が多い。こりはタイトル、サブ・タイトルともにです。NCIS:LA 極秘潜入捜査班、アンフォゲッタブル 完全記憶捜査、ボディー・ガード 守るべきもの。NCIS:LAは内容的に毎回潜入捜査をする訳でも無い、「NCIS:LA捜査」で良い。「アンフォゲッタブル 完全記憶捜査」は「完全記憶捜査」。「ボディー・ガード 守るべきもの」で十分です。サブ・タイトルについてはNCIS:LAは素晴らしい、毎回、漢字2文字と決めている様で実に熟慮が伺えて素晴らしいスタッフです。逆に「ボディー・ガード」は惨い、とうとう一話目が何と「第1話」である、惨い、何と端知らずなスタッフ、原作がどうあれ日本での放送では考慮するへきです。こりドラマの放送はスーパー・ドラマTVですが、この様な惨いサブ・タイトルの最初は私の知る限りFOXの「ヒューマンズ」です、2019年11月でした。アメリカでのサブ・タイトルもエピソード1,2,3と惨いものでした。この様なタイトル、サブ・タイトルしか付けられないスタッフに視聴者が面白いと感じる番組が作れるはずは無いと私は思います。制作時点で視点が違うと思います、作る側の自己満足。視聴率を取る為の番組作りのはすがどうしてこの様なタイトル、サブ・タイトルにするのか???不思議でなりません、一話目のサブ・タイトルが「第一話」です、観る気にさせるとは到底思えません。私の階ている小説も他の投稿も自慢できるタイトルとサブ・タイトルとは言えませんが。言い訳をさせて頂ければ私は自分の日記のつもりで書いていて読んでくりる人を増やそうとは考えていません、読んでいただける事はとても嬉しい気持ちです、のでタイトルもサブ・タイトルも考えていて時々訂正などをしています。残念ですが、映画、ドラマは訂正は出来ません・・・余計に熟慮が必要のはず。そう言えば確か007の第1作はタイトルが変わり今では「ドクター・ノー」です。当初の邦題は「007は殺しの番号」でした。映画のタイトルを変えるとは大胆であり勇気のいる事だと思います。-----おしまい
2020.10.11
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録画してある「アンフォゲッタブル 完全記憶捜査」の一話目を又観ました、三度目です。一度見た物を見る前には思い出さない様に自分に言い聞かせて見る様にしています。私もこのドラマの主人公の様に過去の出来事を覚えています。覚えていると言うよりも思い出せるが正しい表現でしょう。16年前にうつ病になり、それまでの記憶能力を失いました。忘れなれない記憶、特に良くない記憶、不快な記憶を毎夜頭に浮かび寝いりに時間が掛かっていました。そして、とうとう3日眠れず会社で爆発し病院送りと成りました。うつの原因が忘れ慣れない記憶にあると判断した私は自己防衛の為に記憶能力を低下させた様です。発病とともに一部記憶喪失に成りました、知り合いの名前、電話番号、店の名前、一時期の全ての記憶が無くなりました。ですが眠る事が感嘆に成りました、それでも30分位は掛かっていました。飲むようになった睡眠薬の効果が大きかったとは思いますが。今も薬を必要としていますが量は大変少なくなっていますし寝入りは5分も掛かりません。そんな私ですから、このドラマが好きなのかもしれません。私は皆が同じと若い頃は思っていましたし現在も思っています。人は一度見た物、聞いた事は全て頭の中に残っていると思っています。只思いだす方法が無い、一部の記憶だけが出て来易いのだと思っています。一度見たドラマを思い出さない様にして観ると新たな発見もあります。では本当に覚えているのかと続きの第二話を思い出すとタイトル、内容も犯人も全て出て来ます。もっと集中すると犯人の名前も出てきます。最近、昔の状態、病気前の状態に戻りつつあると感じています・・・ちょっと不味い。では、第二話は見てもつまらないので三話目を頭を空にして観る事にします。-----おしまい
2020.10.10
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<登城>-----#172 明け六つ、千代田の城の正門前に継裃の武士が帯刀し手に木刀と竹刀を持ち現れた。 勿論、小兵衛と龍一郎である、但し他の者がいた。 案内が役目の忠相もいた、そして三人の後に二人の武士がいた。 忠相の嫡男の誠一郎と総髪の若武者であった。 忠相が門衛に労いの言葉を掛けると同伴者のいる理由を説明した。 「上様の大和柳生藩・藩主・柳生備前守俊方様の剣術指南役の剣技をご覧になりたいとの命により相手としてこの者たちを同道した」 「大岡さま、上役よりお聞きして居ります、どうぞお通り下さい」 「忝い」 門の中に入ると御側御用取次以下幕閣の者たちが出迎えた。 当然と言えば当然である、何となれば幕閣の者達も今や橘道場の門下であり招かれた者達は師匠であるからでる。 今や師匠である龍一郎の言葉は彼らにとって神の啓示の様なものとなっていた。 龍一郎は決して政(まつりごと)の話などしない、剣の道の話だけしかしない。 「鉄砲があるこの時代に何故に剣を修行するや・・・剣の届かぬ処から撃てば良い・・・では何故・・・剣を振るうも人、鉄砲を撃つも人・・・剣にて無垢の人を殺める事も罪人を殺める事も出来るだがそれを決めるのも人、鉄砲を向ける相手と時期と刹那を決めるも人・・・どの様に優れた武器を持っていても使う人の技量、心構えが無ければ只の道具に過ぎぬ・・・と某は思うて居ります、私も人の子故に仙人の様に霞を食うては生きては行けぬ、食の為の銭を得んが為に師範をしております、師範の勤めは何か・・・剣の指導・・・それだけでしょうか、私は皆により高みを目指して貰いたい、その手助けこそが師範としての某の勤めと思うております」 皆の前でこんな事を言った事が有った。 聞いていた者達の思いは様々だった。 与力・同心たちは家系故に父から後を継ぎ役向きなど考えた事も無く只役務を熟し悪人を取り締まっていた者が大半だった。 幕閣の者たちも政の力を得たいと上へ上へと邁進している者もいた。 この龍一郎の話を我身に置き換えると奉行所の与力・同心の第一の勤めは江戸の街の平安である、人々の安全である、幕閣の者達の第一の勤めは規模は違えど万民の安全、この国の平安である・・・日々の暮らしの中で己の勤めを見つめた事など無かったと思い知らされ深く反省もし龍一郎の言葉に感銘を受けた者たちがいた。 意図してなのかどうかは不明なれど龍一郎は時々皆の前で剣技の話をする事があった。 それはまるで僧侶の説法の様で聞いている者達の心の奥に降り積もって行った。 それは皆の言葉使いや態度、生活習慣、他の人との交わり方の変化を生んだ。 幕閣内の門弟、奉行所内の門弟たちの周りからの評判が格段に変化していた。 「あの方は温厚に成られた様に感じられる・・・が弱弱しいのでは無く自信に満ちた様にも感じる・・・異な事じゃ」 千代田の城の茶坊主の言葉で有った。 「其方、以前とは別人のようじゃ・・・身体は健康そうに観ゆるし、何より以前とは儂の前での態度が違う」 「以前の私はどの様で御座いましたでしょうか」 「それじゃそれ、以前の其方からその様な言葉など無かったわ、只おどおどしておるばかりであった、小言を言う訳でも叱っておる訳でも無いのにじゃ」 「今は違いますか」 「全然ちがう・・・儂が何を言おうと平然としておる、何やら南の大岡と合うておるようじゃ。 あ奴は当初より太々しい奴であった、上様の覚え宜しきを得ての事と思うて居ったが違うようでのぉ~。あ奴の性格かのぉ~其方に何があった、何故にそうも変わったな」 「はて、某にはとんと解りかねます、某には変わったとは思えませぬ故に」 「う~ん」 これは老中の一人と北町奉行の会話で有った。 無論、言われた当人には理由は解っていた、橘道場へ通う様になり身体が鍛えられた事、剣技が少しは上達したと言う自負・自信だが一番は時折聞く龍一郎の訓示にも似た剣技の話・・・だと理解していた・・・己の心持ちが変化したのだ・・・と理解していた。 幕閣の者達が石垣に囲まれた坂道と石段が長長と続く道を先導する様に歩んで行った。 小兵衛が龍一郎と佐紀だけに聞こえる極極小さな声で言った。 「この辺りを警護する忍びは忍びとも思えぬのぉ~」 「大権現様の頃より続く家系の者達で御座いましょう」 小兵衛には龍一郎とも佐紀のものとも判断が出来ぬ言葉が答えた。 小兵衛、龍一郎の仲間たちには馴染の道筋であった、警護に何度も何度も通った道で有った。 <参考>----------(江戸城 (別名-江城、千代田城)------------------- この時代には既に千代田の城には天守閣は存在しない。 明暦三年(1657年)の大火により焼失し幾度かの再構築も考えられたが実現しては居なかった。 本丸御殿は表、中奥、奥と別れていた。 政務等の表儀式は表御殿で行われ、大広間、白書院、黒書院が主な御殿で有った。 中奥は将軍の御休息所としての機能が主な物であった。 大奥は将軍の婦人や側室が住まう処で仕える女官たちも住まいしていた。 千代田の城には本丸以外にも西の丸、二の丸、三の丸などの御殿があり政務を行っていた。 警固など三交代の役務もあり城に居る員数は日と時間により増減があったが三千人から六千人位で有ったらしい、その中には大奥の員数も入る、大奥の員数は千人から多い時代には三千人とも言われている。 因みに本丸御殿は文久三年(1863年)に焼失し再建される事は無くその機能を西の丸御殿へ移したとされている。 (参考資料 WikiPedia) ------------------------------------------------------------------------------' 皆が本丸御殿に着き門を護衛する武士たちの間を抜け式台に辿り着いた。 大岡忠相を含めた幕閣の者達が先導し大広間へ向かった。 本来であればこの時点で太刀は預けなければならないのである、が本日は要件が要件だけに太刀の持ち込みが許されていた。 大広間前の廊下に一人の茶坊主が待っていた。 「加納様より白書院へとの上様のお言葉をお聞きして居ります」 御側御用取次の加納 久通(ひさみち)を通しての将軍・吉宗の命(めい)で有った。 茶坊主が指し示す大広間と白書院を繋ぐ松の廊下へと皆が歩んで行った。 この松の廊下はあの赤穂の事件の発端となった処である。 白書院前の廊下に一同が平伏し大岡忠相が声を掛けた。 「一同、合い揃いまして御座います」 「入られよ」 中からの声に応え大岡一同が中へと進んで行った。 中から声を掛けたのは御側御用取次の加納であった。 皆は中腰で部屋の中へ進み下を向きながら正面へ身体の向きを変え平伏した。 「皆の者、余の願いにより良く来てくれた、礼を申す」 正面から将軍・吉宗の声が聞こえた。 「皆の者、許す・・・面(おもて)を上げよ」 龍一郎から順番に姿勢を正し顔を正面へ向けた。 皆は吉宗に黙礼し部屋の中を確かめた。 部屋には加納の他に無論要件に関連する柳生俊方が居た。 そしてその隣には天覧試合に出ていた柳生流の出場者が二人いた。 そして何と上様の下手に大奥の中年寄、八島局(やしまのつぼね)様が座っていた。 大奥の者が中奥に来るなど滅多にある事では無く、ましてや幕府要人以外の者たちの前にいる事など稀有な事で有った。 その中年寄の八島局が言葉を発した。 「上様、あの者らに尋ねたき事が御座います、お許し頂けましょうか」 「良い、許す、何成りと尋ねよ」 「ありがとうございます・・・そこな若武者殿は私(わらわ)が知る女性(にょしょう)に良く似ておる、其方は男(おまこ)とも思えぬ美しさじゃ・・・女子(おなご)であれば大奥へ招こうにのぉ~」 野太い男の声で若武者が問いを発した。 「お尋ねによりお答え申します、その前にその者の名は何と申されますな」 「佐紀と申す者でな、廻船問屋の娘であった・・・今どうしておるかのぉ~上様が承知の武家の妻女になると申しておりましたがなぁ~」 「その女子、佐紀はな確かにあの武家の妻女となり子も成したぞ」 吉宗が答えた。 「上様は、あの者のその後をご存知でございましたか」 「何を申しておる、その折りに儂の妻女にすると申した者が、ほれそこに居るではないか」 八島は居並ぶ者達の顔を一人一人確認して行き龍一郎の処で止まった。 「其方は橘龍一郎殿では無いか」 八島は言葉を発した後に己の口を手で覆った。 「何~何故、其方は龍一郎の顔を知っておる・・・さては試合を見に行っておったな」 吉宗の追求の言葉が飛んだ。 「・・・」 「儂はあの試合の前から奥の者達の宿下がりが多いと聞いて、もしやと思っておったが・・・やはり目的はあの試合見物であったか・・・済んだ事じゃ許す・・・で、どうで有ったな」 「お許し頂き有難き倖せに存じます。 正直に申し上げます・・・見物の甲斐は十分いえ十ニ分に御座いました。 あれ程の見物は久しく御座いませんでした。 特に橘の者たちの働きには感銘を受けまして御座います」 「うむ、儂もあれ程見事な試合は始めてで有った。 処で八島・・・その龍一郎の顔に見覚えがあろう、其方は直ぐ側で見ておる」 「・・・」 「解らぬのか・・・佐紀を己の妻女にすると申した者じゃ」 「えぇ~・・・確かに言われて見れば似ている様な・・・」 「似ているのでは無い本人じゃ、そしてあの者の妻女は佐紀じゃ」 「では、言葉通りに嫁にしましたのですか・・・子も成した・・・倖せにしておりましょうか」 「・・・本人に尋ねてみよ」 「はい、次の宿下がりのおりに橘の道場に参ります」 「何を申しておる、今尋ねてみよ、と申しておる」 「・・・」 「佐紀、幸せに暮らしておるか??? 龍一郎は大事にしてくれるか」 この吉宗の問いに先程、野太い声で答えた若武者が答えた。 「はい、大変倖せで御座います、私以上に幸せな女子はこの世には居ないと思っております」 愛らしい女の声で答えが帰って来た。 この言葉に内容よりも男と思っていた者たちが大いに驚いた。 城中は原則、女人禁制であるからだった。 「儂の願いにより佐紀を同道したのじゃ、其方らの驚く姿を見られて大いに満足じゃ。 愉快、愉快、愉快なり・・・久通、其方道場で佐紀に会うておろう、気が付いておったか」 「恥ずかしながら・・・世の中には美しい男もおるものじゃ・・・と思うておりました」 「うむ、佐紀の美しさは増すばかりじゃ、そうは思わぬか八島」 「はい、奥に居りました時もそれは美しい娘で御座いました。 ですが今はその美しさに何やら気品と申せば良いのか自信と申せば良いのか・・・」 「儂も佐紀を同道せよ、と申していた故、解ってはいたが・・・あの野太い声を聴いて騙されたわ、俊方、其方は女子と判ったか」 「当然と申し上げたいのでございますが、申し訳も御座いませぬ、解りませなんだ。 しかし、上様、失礼では御座いますが、お戯れが過ぎる様に思われます」 「其方、忘れておるのでは無いか、女子の部とは申せ優勝者じゃぞ。 其方よりも強いやも知れぬ・・・今の其方の戯れとの言葉は其方が勝ちを収めた時に聞こう」 「お言葉では御座いますが、某と小兵衛殿との試し合いをご所望と思っておりました」 「その前に小兵衛に聞いておきたい、言えぬなら答えずとも良い、小兵衛、其方と佐紀のどちらが強い」 「佐紀に御座います」 小兵衛が即答した。 これに対し俊方が不満の声を発した。 「何、間違い無いか・・・其方は長年に渡り剣の修行を成し以前は江戸一と言われた剣者では無いか、それが、その者が廻船問屋の娘に・・・龍一郎の嫁になるまでは剣も持った事も無いであろう娘に負けると断言するや」 「はい、ここで残念ながらと申す処かとは存じますが、その様な言葉を申す程の力量の差では御座いませぬ。 正直に申しますと某の今は以前に江戸一と言われていた頃よりも数段強いと自負して居ります。ですが我娘佐紀には手も足も出ませぬ、まるで赤子扱いで御座います」 「其方、橘道場の館長であろう、館長として恥ずかしくは無いのか」 余りの怒りに上様の御前である事を忘れたかの様に激高した声を俊方は上げた。 隣に座る俊方の弟子と思われる若武者が驚いた顔で俊方を見ていた。 そして余りの俊方の怒りの激しさと変貌に下を向き小刻みに震え始めた。 「俊方様、失礼とは存じますが、負けた後の悔しさ、恥ずかしさは力量が拮抗している場合と心得まする、力量の差が余りにも大きい場合には感銘、感動、憧れ、目標になると心得まする」 「儂は其方との試し合いを上様と約定し申した・・・其方は立ち会わぬのか」 「いいえ、某が試し合いを致します、ですが条件が御座います。 上様にお願い申し上げます・・・俊方様と某の試し合いの結果如何に関わらず、俊方様と佐紀、龍一郎の試し合いもお願い申し上げます。 何となれば佐紀、龍一郎の両名の力量を己の肌で感じてほしいからに御座いまする」 「解った、許す、俊方覚悟せい」 「はは~」<つづく>
2020.10.10
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<登城の早朝>-----#171 龍一郎とお佐紀の夫婦は道場に泊り翌日の朝を迎えた。 この朝も日課の鍛錬が行われた。 龍一郎とお佐紀、小兵衛とお久、平四郎とお峰、三郎太とお有、清吉とお駒、誠一郎と舞に平太、揚羽亭のお高にお花まで前日の夕刻に道場を訪れ泊る事を宣言し小兵衛とお久に否を認めなかった。 勿論、龍一郎との鍛錬の為で、ここ暫く山修行へ行けていないからである。 龍一郎とお佐紀が八つ半(3時)に道場に入ると既に他の皆が揃い思い思いに身体を動かし備え万端の状態であった。 龍一郎とお佐紀がまだ自室の寝床に居る時にお佐紀が言葉を発した。 「おやおや、皆さまは貴方の鍛錬が待ちきれぬ様に御座いますよ」 「・・・のようじゃのぉ~、あの者たちも己の身体を鍛える喜びを高みを目指す志を持ったようじゃ、其方はどうか???」 「それはもう既に、貴方のお子を宿すのはこの上無い喜びに御座ますが鍛錬が出来ぬ日が続きますのは困りもので御座います、身体が鍛錬を試練をと求めてまいります」 「済まぬのぉ~こればかりは替わりにと言う訳にも行かぬでな」 「余り皆さまを待たせても成りますまい、お仕度を・・・」 「皆、待たせたのぉ~」 皆がにやりと笑った。 皆は龍一郎とお佐紀なら皆が始めた事など最初から知っているはず・・・と思ったからである。 「今朝は員数が多い故に横の壁際から始める」 皆は横の壁際へと並んだ、普段は縦に進むが員数が多い故距離は短い横を選んだ。 並んだ順番は自然と技前順になっていた。 当然、上座が龍一郎で隣がお佐紀そして最後がお高であった。 中盤の入れ替わりが認められた、誠一郎と舞が清吉とお駒の上座になっていた。 並ぶ順は龍一郎が認めたものでも言ったものでも無い、自分達で己で決めたものであった。 「はじめ~」 龍一郎の掛け声と共に皆が竹刀を上段から振り下ろした・・・。 それが何往復も繰り返されその都度に振り下ろしの速さが増して行った。 型も上段の振り下ろしから右八双へ替わり左八双へ替わり右逆八双、左逆八双、左右の胴切りと変わって行った。 「止め~」 龍一郎の声と共に皆が竹刀から木刀に持ち替えた。 只の木刀では無い、それぞれの力量に合わせた重しの着いた木刀である。 因みに重しは木刀だけでは無かった、それぞれが足首と手首にも重しを着けていた。 「始め~」 又も龍一郎の掛け声と共に上段の振り下ろしから始まった・・・。 「止め~」 龍一郎の掛声と共に今度は皆が木刀から真剣に持ち替え左腰に鞘毎差した。 「始め~」 三度目の打ち下ろしからの往復が始まった・・・。 「止め~」 今度の掛け声の後は此れまでと違っていた。 一番の末席のお高が前に進み道場の真ん中に立った。 お高は腰を少し落とし右手を前にだらりと垂らし無言の掛け声と共に剣を抜き打ち鞘に納めた。 この動作を五度に渡り行い自分の立ち位置に戻って行った。 お高が自席に着く前に隣のお花が入れ替わりに道場の真ん中へと向かって歩み出した。 この流れる様な一連の連携が続き最後に龍一郎が行い皆が刀を腰から抜き右手に持ち正座し横に剣を置いた。 龍一郎が右手に刀を持ち道場の真ん中で同様に正座した。 「皆の精進が伺える・・・本日は新な技を伝授したす」 皆から驚きと期待の表情が見られた。 「他人の屋敷を尋ねたおりには今其方らがしておる様に右に刀を置くが礼儀じゃ・・・訳を知っておるか・・・平太」 「・・・知りませぬ」 「良き返事じゃ・・・子供言葉ではのうなったのぉ~・・・誠一郎殿はご存知じゃな」 「世の中には利き腕が右の者が多う御座います、その者が太刀を抜く場合には左手に持ち替えねば成りませぬ・・・抜き打ちの遅れと成ります故に右手に太刀を持つは己に攻撃の意思無しを表すものと心得ます」 「平太・・・覚えておけ」 「はぁ」 「では、こちらが攻める気が無い現れとして右手に太刀を持つ時に誰ぞに攻められる事は無い・・・との保証はあるかな」 「・・・」 「あるはずも無し、招かれた家の家人の罠の場合もあろう、その時の鍛錬を致す、何を成すか解りますかな・・・義父上」 「・・・うむ~」 「では、舞どうじゃ」 「左手で太刀を抜く鍛錬じゃ無いのかなぁ~」 「なんと」 「まさか」 この驚きの声は剣を持ち慣れた者たちから洩れたものであった。 「舞・・・良う言うた、その通りじゃ・・・見よ」 龍一郎がそう言うと右に置いた太刀を右手で掴むと左手で抜き祓い直ぐに鞘に納め右に置いた。 「今の所作は其方らに見える様に遅くした・・・見よ」 龍一郎が言ったが皆が見えたのは右手で太刀に触った事と右の床に置いた時だけだった。 「佐紀・・・見えたか」 「はい、左に祓い右上に切り上げ左下に切り下し収めました」 「何~佐紀・・・三太刀もか・・・其方には見えたのか」 「龍一郎様は私に見える速さに抑えて下さいました故に」 「何と・・・今ので抑えて居ったと申すか」 「はい、龍一郎様の全力が私になど見えるはずも御座いませぬ」 「はぁ~」 小兵衛は呆れた声を発したが、他の者達は惚れ惚れとした顔で龍一郎を見ていた。 「龍一郎様、私も修行をすれば出来ますよね」 「無論じゃ、平太・・・鍛錬以外に有るまい、但し身体の鍛錬だけでは無く、心の鍛錬もじゃぞ」 「心もですか」 「そうじゃ・・・己の技前の自惚れ、慢心、相手に対する恐怖、死への恐怖、気の高振り・・・それらが己の本来の力の発動を阻害する・・・解るな」 「残念ですが、今は判りませぬ、ですが心に刻み修練致します」 「良い返事じゃ、鍛錬致せ・・・皆もな」 「ははぁ~」 皆が返事と共に龍一郎に平伏した。 龍一郎には明朝からは皆がこれまでよりも早く起き鍛錬の時間を増やすと予想された。 だが、料亭と船宿を営む者たちは早く眠る事も難しいであろうになぁ~と少々の疑念も沸いた。<つづく>
2020.10.09
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<居酒屋 その三>-----#170 「お駒が倒したと言うのか??? それも其方らが太刀打ちできぬ者たちをか???」 「左様で御座います、付け加えますと今はお駒などと呼び捨てにする門弟は居りませぬ、門弟たちは「お駒殿」又は「お駒様」とお呼びして居ります」 「鍛錬所の初日・・・あ、今は道場であったな、その道場開きでは橘小兵衛殿の妻女であろうお久殿が腕自慢の者に勝った・・・それも赤子相手の様にであった事は儂も見た、見たが・・・」 「はい、それで門弟衆の間ではお二人だけでは無く初日に入口近くに控えていた方達も・・・と噂されて居ります」 「何~あそこには子供も・・・確か揚羽亭の女将も居ったではないか???」 「はい」 「あの者らが全員お久殿、お駒殿の様に強いと申すのか???」 「・・・と我ら門弟衆は思っております、故に皆への態度、言葉使いは以前とは格段に丁寧になっております」 二人の先輩たちが「ごくり」と喉を鳴らした。 「それで何か証でもあったのか」 「いいえ、そのような証は御座いませぬ、ですが、噂が御座いました」 「どのような噂じゃ」 「何でも揚羽亭に何処ぞの旗本の酔っぱらいが昼日中に参りましたそうな、そして無理やり店に入ろうとしまして、それを女将が叩き出した・・・と言う噂で御座います」 「その様な物は只の噂でろう」 「・・・それが一件だけでは無いので・・・中居のお花と申す者も同様に・・・そして船宿を開くに当り揚羽亭で修行中であったお駒殿も同様に・・・だそうな」 「その様な事がなぁ~揚羽亭とお駒殿の船宿の人気が高まる訳だのぉ~、そう言えば確か奥方のお佐紀様の武勇伝と言う題の着いた読売が有ったな、それも二度有った様に記憶しておるが」 「おぉ~、それなら儂も覚えておる、読売故にどうせ大仰にと思うておった」 「もし、それが真であったなら・・・」 「真であろうなぁ~、儂はこの目で見ておるからな」 「最近お前は奉行所の鍛錬所では我らと申し合わせをせぬが何故だ。 いや誰ともして居らぬな、見ると木刀の素振りばかりしておる様に思うが・・・」 「・・・はい、何方とも試合はしては居りませぬ、打ち合いもしては居りませぬ」 「何故じゃ」 「師範の教えに御座います・・・生半可な技前の内の相手との打ち合いは為に成らぬ。 己の型を定める事こそ基本、基礎とのお言葉でした。 相手がいれば当然相手の出方で剣筋も変えねばなりませぬ、故に己の型が定まり難い。 まずは己の型を身に付ける事こそ大事。 振り始めの位置、打ち下ろした後の位置が毎回同じ位置になる様にゆるりゆるりと振る。 最初はゆるりで少しづつ早くして行く、始めの位置、終りの位置がぶれる様では己のその時点での力量はその程度と言う事、だが毎日毎日振り続ければ少しずつ速さは増して行く。 それは遅々として進まぬ諦め様とも思える、だがその気持ちを抑え毎日毎日続ける。 必ずやその努力は報われる。打ち下ろし、右八双、左八双、右逆八双、左逆八双、左右の切りを同様に行う、毎日毎日。今後どれ程の技前になっても続ける事じゃ。 儂は今も八つ半に起き我が家の庭にて行っている。 これは我が家の毎朝の行事の様なものじゃ・・・と申されました」 「あの化け物の様に強い師範が今も八つ半に起きて・・・毎日毎日と申したのか」 「はい、左様で御座います」 「待て、待て、師範は我が家と申したのか、儂のでは無かったのか」 「はい、我が家とはっきり申されました、が何か???」 「馬鹿者、我が家と言う事は師範一人では無いと言う事だ」 「あぁ~そう言う事ですか」 「誰と誰がじゃろうか」 「師範は道場に泊る事も御座いますが屋敷に戻られる時も御座います」 「道場では館長も一緒であろう・・・がお久様も一緒では無いのか???」 「となれば師範の妻女のお佐紀様も・・・」 「本日の試合を思い出してみよ、平四郎殿、誠一郎殿、あの舞と言う小娘も並大抵の腕前では無かった、お主にあの舞と言う娘が使った技が出来るか・・・どうじゃ」 「出来る訳がなかろう」 「道場にあの舞と言う娘が顔を出す事があるのか」 「御座います、御座いますが我らなど相手に成りませぬ。 と言うか奉行所でも強いと評判の剛の者があっさりと負けました、赤子相手の様でした。 一度だけでしたが・・・それ以来誰も舞殿に申し込む者は居りませぬ」 「何と、あの可愛い顔でかぁ~」 「剣の腕前に可愛い可愛く無いは関係あるまい、第一お佐紀様の容姿端麗でお綺麗な事、とても剣の達人には見えぬわ」 「これも師範のお言葉で御座いますが・・・弱い犬程よく吠えるの例えにある様に強くなれば成る程に戦いを避ける様になるものじゃ・・・との事でした。 又強いと思う者には己の本性を隠し弱いと思う者には本性を出し悪さを成す者がいる。 人の本性を計るには弱く見せて置く事じゃ・・・と申されました」 「・・・う~む、成程のぉ~、儂も其方を弱いと思うて態度も言葉も乱暴であった。 だが今は其方の方が強いやも知れぬなぁ~」 「かも知れぬな、その様な言葉を教えられている者と知らぬ者とでは毎日の暮らしも違うのぉ~」 「・・・」 「・・・」 「某は決め申した、橘道場に弟子入りを申し込み申す」 「某も同席をお願い申す」 「早速、明日早朝にもお願いに参りましょう」 「承知・・・其方が先輩弟子じゃ、良しなにな、いや、お願い申す」 二人の先輩が若輩同心に頭を下げた・・・それ程に覚悟を決めた。 まさか次の日に館長・小兵衛と師範・龍一郎が千代田の城に呼ばれている事など夢にも思わなかった。<つづく>
2020.10.08
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以前の私は日本ニュース見なかった。コロナ感染の情報を知ろうと観る様になりました。但し、地デジではありません、CSの「日テレ24」「TBS-News」「BBCワールド」です。芸能人がどうした、こうしたなどの報道が無いからです。アナウンサーによる起こった事の羅列だけだからです。トランプ大統領のコロナ感染-4日で退院。ここ数日で記憶に残っている事は「高田賢三」さんのコロナによる訃報、81歳。今朝の「ヴァン・ヘイレン」の訃報、「いんとうガン」だった様です。まだまだ有りますが私の記憶に残っているものはこれだけです。しかし、日本語と英語の違いなのか、人の違いなのか、方針の違いなのか???日本人アナウンサーは抑揚が無く淡々と語り、アメリカのアナウンサーは抑揚が激しい。アナウンサーが変わっても同じなので言語の違いでしょう。外国人、アメリカ人は日本人の感情が読み難いと言います、世界中の人は韓国人、中国人の会話はいつも喧嘩している様だ・・・と言います。言語の違いですかね??? トランプ大統領の感染は驚きましたが、予想できた事で軽視し過ぎでした。4日で退院の方が驚きでした、周りの人達への感染が不安です、軽視し過ぎです、多分周りに感染しクラスター発生となるでしょう、周りの人達には迷惑な話でしょう、じっと隔離入院してほしいでしょう。「ヴァン・ヘイレン」さんは「ジャンプ」が好きで良く聞きました。今だに時々聞きます、元気の出る局です、残念。「高田賢三」さんは1965にパリに行ったそうです、凄いです。日本人のデザイナー。世界で活躍する日本人が一人減った事は残念です。今だにコロナによる被害者で私に最大の衝撃を与えたのは「志村けん」さんです。-----おしまい
2020.10.07
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このニュースに日本中は驚いた事でしょう。このニュースに世界は驚いた事でしょう。このニュースに近隣の二か国は喜んだ事でしょう。二か国は安倍さんの対応に困っていた様ですからね。脅してもすかしても全く動ぜず強気の対応をされ、これまでの対応と違っていたからです。自国の国民を煽って安倍さんの退陣を要求しても日本では人気が有ったのでどうしようもありませんでした。この様な首相は近年いませんでした。政治家の評価基準として外国から嫌われる事にも良い政治家だから・・・もあると解りました。そう言えば、あの田中角栄さんも評価の見直しがされています。それまでは日米の首脳会談は米国本土へ日本の首相が行っていたが、田中さんは同じ米国ては言えハワイで会談をしたようです。後の評価で安倍さんの評価はきっと良いもの、素晴らしく良いものになる・・・と思っています。新たな菅さんもせいぜい近隣二か国に嫌われる様に願います。-----おしまい
2020.10.05
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私の「名優の基準」は単純。自然かどうかだけでる。中には演出家ちまりは監督の指示で行っている演技もるとは思います・・・が。だから単純に俳優の演技が悪いのか演出が悪いのか撮影が悪いのか編集が悪いのかは解り難い。条件が異なり同じなのは俳優だけなのに演技が上手く無いと思う俳優は本当に演技が下手なのだと思う。事前な演技とは何か・・・と言うと声の大きさ、声の張り、言葉の速さ、言葉の滑らかさ、などです。時代劇、舞台の多い俳優は声に張りが有り、声が大きい・・・どんな時でもである、ここは囁く処だろうと言う場面でも声が大きく張りがある・・・不自然です。〇良太郎さん、松〇弘樹さん。松〇健さんなどである。ところが、加藤剛さん、緒形拳さん、藤田まことさんは声の大きさ張りに違いがあり抑揚もある、言葉が詰まるはずの処では滑らかな台詞を言わない。台詞が何時も滑らかで良いとは限らないと思う、驚いた時、恐怖を感じた時などでは滑らかな政府は不自然です。不思議な事に上手くない松〇弘樹さんがとても上手いと感じた作品がりました、藤田まことさんが主役の「剣客商売」にゲスト出演した時の演技は素晴らしいものに感じました。悲しい時の小さな弱弱しい台詞、詰まる様な台詞、実に名園でした。一場面を何度も捕り編集で選ぶでしょうから編集が悪いのかも、または監督が声を大きくとか張りをとか言っているのかも知れません・・・が、大俳優として扱われている訳ですから自分の意見が通ると思われます、新人の頃ならいざ知らず。舞台では声を大きく張りが無ければならないと思いますが、映画、テレビでは必要りません。メディアの種類によって演技を使い分けていた藤田まことさんの演技は素晴らしいものでした。藤田まことさんの「剣客商売」は特に素晴らしい。後で北〇〇欣也さんが「剣客商売」を演じていますが、残念な事に声の大きさ張りがどの場面でも同じで抑揚も無く、只の台詞の羅列に感じました。海外の名優、大御所と言われる俳優は皆、自然です、台詞が台詞らしく無く台詞が言葉になっています。俳優志望の競争が激しく選抜されて行く結果だと思います。残念ながら日本では二世俳優、スタイル、美貌だけの女優などが主演です。見る気にもなりません・・・非常に残念です。時々、変わっているかと日本のドラマを見る事もありますが最初の5分で止める事に成ります。-----おしまい
2020.10.04
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「クィーン・メリー2」のタスマニアでした。2016年に改装したそうで、その費用が1億ドル以上掛かったそうです。1億ドルって日本円で100億円ですよ、100億円、改装です、建造ではありませんよ。只直しただけで100億円以上の費用・・・どんな改装なのか???私のクルーズ体験はエジプト・ナイル川での2泊だけです、が、とても快適でした。起きれば次の目的地、次の日には次の目的地その間の荷物移動は無し・・・なんて便利、快適。クルーズで世界一周できたなら最高です。約3ケ月の船旅・・・但し費用は膨大です、私にとっては。世界中の世界一周クルーズはいろいろあり料金も様々です。日本の客船・飛鳥2でもあります、確か600万円位だったと記憶しています。3ケ月で600万円・・・安いのか高いのか・・・しかし大金です私には。でも、飛鳥2で募集すると直ぐに完売する様です、お金持ちが多いですね。世界で有名なお金持ち「ビル・ゲイツ」、資産は7兆円とも9兆円とも言われています。彼ら家族は何度も乗ったのでしょうね。こんな事に魅力を感じ無い人も多いでしょうが遺跡大好きな私には魅力です。今回のオーストラリア・タスマニアにも行って見たいなぁ~。-----おしまい
2020.10.03
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とうとう「トランプ大統領」がコロナ感染、私の予想ではもっもっと早くに感染すると思ってしました、遅い位です。彼の報道官かなにかのスタッフが最初の様です。その人は女性でとても綺麗な人です。トランプさんの奥方も美しい方です、トランプさんは美人好きの様です。今日のニュースで初めてマスク姿のトランプさんの映像を見ました、なんと新鮮だった事か。何に拘ってマスクを拒否していたのでしょうか??? トランプさんが触った物を消毒している様子が見られませんでした・・・二次感染で多分周りに広がるのではと心配です。何処かのニュースで今回の感染は嘘で早く回復して言った通りにコロナ何て風邪と同じだ・・・との証明に使い選挙戦を有利にするつもりではないか・・・との話もりました、う~ん、無いとは言えないなぁ、と感じました。今後の回復状況が見物です。-----おしまい
2020.10.03
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<お駒の武勇>-----#169その日、お駒は船宿の昼の忙しい時間が過ぎ久しぶりに蕎麦打ちがしたくなり橘道場へ行って門下生達にご馳走しようと考え八つに道場へ向かった。「さて、午後の稽古には何人程残っているかね」などと独り言を言いながら門を潜った時に怒声が聞こえた。「どうした、どうした、この程度か、今をときめく橘道場とは・・・強い強いなど矢張り噂に過ぎぬ・・のぉ~」「おのれ・・貴様ら、ここを何処と心得おる・・・我等は南町、北町、火付盗賊改の与力・同心であるぞ」「それがどうした、我等が何ぞ罪を犯したかな、どうじゃ唯の試合では御座らぬかな」「おのれ・・・道場主、師範、師範代と強者(つわもの)が居ぬ間を狙っての・・・・しぅ」「ほう、その者たちなれば我等に勝てると申すか、御主らの腕前を見れば強いとも思えぬがのぉ~」「おのれ言わせておけば・・・」その時、奥へと続く出入り口からお駒が顔を出し声を掛けた。「皆様、お久し振りに御座います。ご無沙汰して申し訳御座いません」などと暢気な言葉を穏やかな声で掛けた。門弟たちと浪人たちも皆が声のした方を向き、浪人たちの頭目と思しき男が言った。「何だ、家人がおるではないか、が、女子(おなご)では・・なぁ~」「あの女子は道場の者では無い」「女子じゃ、どちらでも良いわ・・・怪我をせぬうちに奥へ戻っておれ・・・さて続きを致そうか」「お待ち下さいませ、続きと申されますと試合と言う事でしょうか・・・・道場破り殿」「道場破り・・・だと・・・抜かしたな・・・女子とて容赦はせぬぞ」頭目の後に控える槍を持った大男が吼えた。「おや、おや、道場破りの皆様で御座いませんので・・・・何の前触れも無く突然訪れ家人の許しも無く稽古場に押し入る・・・・これを何と呼べば宜しいので御座いますか」「おのれ、言わせておけば・・・・」槍の大男がなおも吼えた。「長い槍を持った大きな侍が大きな声で怒鳴る・・・・怖い、怖い。なれど門弟衆の皆様・・良くお考え下さい・・・・この男は頭目では無い。つまりは・・・この者たちの中で一番強い訳では無い・・・と言う事です」「うぉ~」吼え声と共に前に進みいよいよ熱り(いきり)立った。「其処まで言うからには女子とて容赦はせぬ、相手をせい~」「お、お待ち下さい、その女子は船宿の女将にすぎぬ方じゃ無体は止せ」門弟衆の若い一人が言って止めた。「ならば、御主が相手を致すか」怒鳴り返され返す言葉を失ってしまった。「私で良ければ、お相手致しましょう・・・・でも女子に負けてこのお江戸を歩け無くなりますよ」「な・な・何、貴様・・・儂に勝てると思うてか」槍の大男が憤怒と熱り立った。「お駒さん、お止め下さい、我等、先生や師範に叱られます、怪我をしても成りませぬ」門弟衆の一人が言うのへ隣の門弟が止めに入り小声で言った。「お駒さんも龍一郎師範の直弟子やも知れぬぞ・・・そうだとすると途轍も無く強い・・・はずだ」「た・確かに道場開きの日にも控えておったと聞いた・・・・が船宿の女将だぞ、強いかのぉ~」「あの大男を前にして、あの落ち着き様を見よ、唯の女将のものとも思えぬ・・・儂は強いと思う」門弟衆の話合いを他所にお駒は平然と壁に掛けられた木刀の中から定寸の物を選び一振りして大男の前に戻って来た。「お待たせ致しました、では始めましょうか」「うぬ~本当に相手をするのか、怪我をするぞ、女子とて容赦はせぬぞ」大男は恐れぬお駒に対して如何して良いのか判らぬ風情で狼狽していた。その態度に頭目と思しき浪人が叱った。「権差衛門、早うやってしまえ御主がやらぬのなら儂が相手をするぞ」「待て、待て、儂が相手をする、良いか女子・・・・覚悟せい~」「どうぞ」お駒はそう答えると木刀を正眼に構えた。その途端、道場破りたちと門弟衆は驚きに声を失ってしまった。お駒の木刀構えがぴたりと決まり隙も無い様に思えたのである。「如何なされたので御座いますか、来られぬならばこちらから参りますよ」この言葉に我に返った大男は長槍を構えた。「おやおや、真剣勝負ですか・・・・それでは試合との言い訳が通りませぬが宜しいので・・・・まぁそなたらはどこぞの何方かに頼まれただけでしょうから同じ事ですね。但し、竹刀、木刀であるならば怪我で済ますつもりでしたが真剣となりますと大怪我を覚悟して戴くことになりますよ」「ぬかせ、どうせ少々小太刀などをかじっただけであろうが、儂に勝てると思うてか」大槍を前後に扱いて序々に間合いを詰めて行った。槍先がお駒の胸元に近付いては遠のき一扱き(しごき)毎に近付いた。門弟衆は今にも槍先がお駒の胸に突き立ちそうで「あぁ」と声を上げる者もいた。だが、当のお駒は平然と見切ってでもいるかの様に最初の立ち位置を全く動かず正眼の構えも崩さなかった。この様子を見つめる頭目の見る目が序々に険しくなり始めた。その時、大男の槍先がお駒の胸に突き刺さった・・・・かの様に門弟衆には見えた・・・と思った。次の瞬間には大男はその場に突っ伏しており、槍の先端が折られていた。お駒は元の位置で一歩も動いた様子も無く構えも正眼に構えたままだった。門弟衆には何が起こったのかが解からなかった。又道場破りの浪人たちも頭目以外は解からなかった。お駒は突き出された槍の千段巻きを木刀で一撃し槍先を圧し折ると前に出て大男の右肩を痛打し元の位置に戻り構えも元の正眼に戻したのである。浪人達には沈黙が走り、門弟衆の間に歓声が起こったが暫くして、お駒の余りの強さに恐怖し道場は静寂に包まれた。「次は親分さんですか」物静かな、それでいて凛とした声でお駒が尋ね今度は奥に向かって声を掛けた。「お久様、私で宜しいですか、替わりますか」その声に皆が奥への出入り口を見ると橘道場・道場主の奥方・お久が入って来た。その姿を見て門弟衆は喜びの声を上げた。道場開きの日に始まり、日頃より奥方の剣術の腕前を知っており、この危機に安堵したのである。道場に入ったお久はたちどころに状況を把握し言った。「お駒さん、お手を煩わせましたなぁ~、主の居らぬ間に様も危難を救って戴いた。感謝申します・・・・続けるも良し、私に譲って下さるも良し、お駒さんの思いのままに」お久はそう言うと高所下の正面脇に正座した。「では、私が続けてお相手致します」お駒はお久への返事とも浪人たちへの言葉とも取れる言葉を口にした。「では、頭目殿お相手仕る(つかまつる)・・・そうそう、お願いがあるのですが、もし私が勝利しましたら誰に頼まれたかをお聞かせ願えませぬか」「儂に勝つと言うか、第一我らの稼業では雇い主の名は決して明かさぬが掟じゃ」「ありがとう御座います、やはり何方かに雇われた訳ですね」「くそ~、引っ掛けおって・・・忌々しい女め~、女子とて容赦はせぬ存分に痛め付けてくれるわ」お駒が入って来た時に門弟に突き付けていた木刀をそのまま構えた。「おや~頭目殿は木刀で宜しいのですか・・・・何でしたら真剣にお換えになっても宜しいですよ。お待ちしましょうか、最も私は木刀でお相手いたしますが」「お・お・おのれ馬鹿にしくさって・・」当初門弟たちははらはらと見ていたが今はお駒が大男を易々と倒すのを見せられ、日頃より時々相手をしてくれる強い奥方が戻ってきてくれ、尚且つお駒が自分たちが恐れ慄いた頭目を相手に全くの動揺も見せぬ姿に今は唯々次にどうなるかと安心しきって見つめるだけであった。門弟たちにちらちらと見つめられた道場主の奥方・お久も堂々としてお駒の試合を安心し切って見つめていた。この頃のお駒の剣術は上達が目覚しく知り合った頃の町屋の女将さんだった頃とは雲泥の違いで今では若い頃とは言え小太刀の名手と言われたお久と互角に立ち会う様になっていた。そんな二人ではあるが三郎太を始めとする男衆には適わなかった。近頃では清吉にも負ける様になり誠一郎には勝てなくなっていた。無論、お久も名手と言われた若い頃よりも数段上達していた。向かい合った頭目とお駒は最初は相正眼で対峙していたが頭目が剣を右上にゆっくりと移動させ八双に移した、お駒は唯静かに正眼を崩さず佇んでいた。頭目が小さく息を吸い込み大きく踏み込んで来た。お駒は動かずぎりぎりまで引き付け見ている者達が討たれたと思う寸前で左に体を開き頭目の右肩を木刀で強かに叩き砕いた。頭目は其の場に崩れ気を失った。「さてさて、残りの方々は如何なされますかな・・・・一人一人は面倒ですし門弟衆の稽古にも差し障ります、皆様ご一緒にお相手致しましょうか・・・ね」声を掛けられた四人の浪人たちはお互いを見合い相手になろうとはしなかった。その様子を見てお駒が続けて言った。「今日は許して差し上げます、この二人はもう武士としては生きて行けません。あなた方もこうなりたくなければ生活を改める事です、二人を連れて立ち去りなさい」お駒の言葉に四人は二人を抱えお駒を恐怖の目で見詰めながら道場を去って行った。暫くしてお駒はお久に顔を向けると二人は目線で会話しお駒は道場から奥へと消えた。無論、浪人たちの跡を追い雇い主を突き止める為である。「さて、門弟の皆様当家の者の留守に大変失礼を致しました、稽古を始めて下さい」お久に言葉を掛けられても誰一人として立ち上がる者はいなかった。「お待ち下さい、奥方様、お駒様は船宿の女将と聞いております。何故にあれ程剣術が強いので御座いますか、普段のお駒様とは思えませぬ」日頃は「お駒さん」と呼んでいたが今の剣技を見せられ「お駒様」に変わっていた。「そうですか、私には普段の優しいお駒さんと何ら変わりが無い様に見えましたがな」「はぁ~確かに態度も言葉も普段と変わらず優しさがありましたが・・・・・剣技は夜叉か化け物の・・・いや、凄まじいものでした」「ほぉほぉほぉ、お駒さんはね、唯の船宿の女将では有りませぬぞ。我が倅・龍一郎の直弟子で御座いますよ、強いに決まっております」「師範の直弟子・・・お駒様が・・・」道場にいて目撃した者たちは無論の事、その者達から話しを聞き其の日より「お駒」への呼び方がさんから様に変わり態度も変わった。更には、道場開きのおりにお駒と共に控えていた者達もお駒同様に強いのではないかと噂され同様に呼び方と態度が変わってしまった。<つづく>
2020.10.03
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<居酒屋 その二>-----#168 居酒屋で与力と同心の会話が続いていた。 「その様な凄まじい技前を目の前を見せられては・・・儂の気も・・・入門しようと思うて居った気も萎えてしもうたのじゃ」 「実はなぁ~儂も似た様な者なのだ」 「どう言う事なのだ」 「儂の弟が入門して居る、父の命により一緒に入門のはずであったが、丁度その日が儂の役務の日でのぉ、弟だけが先に入門したのだ」 「それで次の日にでも行けば良かろうが???」 「それがなぁ~、その日の道場での出来事を弟が興奮して話おった。 その話を聞いて儂は怖気付いてしもうたのよ、恥ずかしいがな」 「何があったと言うのだ」 「其方は駒清と言う船宿を知っておるか」 「あぁ確か以前は蕎麦屋だった店ではなかったか」 「そうよ、その店よ、以前の蕎麦屋の時は良く通ったものだがな。 船宿になってからは儂の様な薄給の者には入れぬわ」 「其方も通っておったのか、儂もあの店の蕎麦が好きでなぁ~通った、通った毎日の様に行っておった、その船宿がどうしたのだ」 「そこの女将、お駒と言う名なのだそうだ」 「その女将がどうしたと言うのだ」 「まぁ待て・・・その女将が実は剣を使うらしいのだ・・・それも滅法強いらしいのだ」 「待て、待て、船宿の女将・・・元は蕎麦屋の女将であろうが」 「そうなのだ、だがな何でも亭主の清吉は岡っ引きらしい」 「亭主が清吉で女将がお駒・・・それで船宿の名が駒清か」 「店の名などで感心をするで無い」 その時、最初は攻められていた若輩が小さな声で言った。 「そのお駒様の件の時に私は道場に居りまして全て見ておりました」 「何~」 「何だと~」 「ひぃ~」 先輩二人の怒号に悲鳴にも似た声を上げ首を竦めた・・・が一瞬で平静に戻りしっかりと答えた。 「始めから全てを見ておりました」 「やはり、お主は変ったなぁ~以前で有れば首を竦めて終りであったがな」 「そうよなぁ~、図太くなったのか、物おじしなくなったのか、自信が付いたのか」 「弟から聞いた話は信じがたい・・・が怖くなってな、詳しく話せ」 「そうだ、最初からきっちりと聞かせろ」 「はい、では最初から詳しくお話いたします」<つづく>
2020.10.02
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<佐紀のお転婆>-----#167 「妻女のあの美貌じゃによって町中を歩けば皆の目に止まるは必定よの~。 だが大半の者達は見つめるだけで終わるのだが、中には、悪さをする者もおる。 特に酒に酔うて気が大きくなった者達がな。 儂が後を着けていた時もそんな者たちが居った」 「止めに入り、助成しましたか」 「儂が止めに入る前に三人の鍛錬所帰りの者達に先を越されてしもうた」 「では奥方はご無事でございましたか???」 「おぉ~稀に観る、いや観ぬ見目麗しい女子では無いか、我らに同道して酌を致せ」 三人の武家がお佐紀と舞の二人の前に立ち前を塞いだ。 お佐紀と舞は「あぁ~あ、又ですか」とばかりに眼を見合った。 その時、脇から若者の声が飛んで来た。 「待て、待て、昼日中から酒など喰らいおって婦女子に狼藉とは捨て置けぬ」二人が見ると剣道の稽古場帰りの青年三人で、よくよく見るとその三人は以前お佐紀と舞に絡み諭された旗本の次男、三男たちだった。「奥方様、その折は大変失礼を致しました。我ら以前に奥方様に諭された者に御座います。その節はご迷惑をお掛け申しました。ご覧の様に我ら奥方様の助言通り行動を改めまして御座います。我らの修練の成果をご覧下さい」「餓鬼どもが煩い、邪魔を致すな、怪我をせぬ内にいね~」「奥方様、以前の我らもこの様な醜態で御座いましたか」「まぁ~似た様なものでしたね」「お恥ずかしい限りで御座います」「ええ~い煩い、退かぬと斬るぞ」止めに入った三人の若武者が鍛錬用の竹刀と真剣を横に置き木刀を構えた。酔って絡んだ方は一人で相手をする様で三対一の戦いとなった。酔った男が振らついた様に前に出ると柄頭を一人の鳩尾に打ち込み刀を鞘毎抜くと残り二人の脇腹を薙ぎ払った。これはいかぬと役人が止めに入ろうとしたその瞬間、奥方と目が合った。奥方は微かに笑みを浮かべて「助勢は無用」とばかりに小さく首を横に振った。そして奥方は止めに入った若武者が置いた竹刀の一本を手にすると能でも踊っているかの様にするすると酔った三人の方へと歩み正眼の構えを取った。三人の若者を軽くあしらった武士が馬鹿にした様に向き合ったが暫くすると二人の仲間に助勢を求める声を発した。「この女、強い・・・強い、頼む助勢を頼む」「何を言っているたかが武家の女と言っても一人ではないか」そう言いながらも横に並んだ・・・が直ぐに女の強さを理解した。「どうなさいました、弱い相手としか勝負しないのですか、来ないのならばこちらから参りますよ」馬鹿にした様な言葉に釣られ一人が八双から打ち下ろした。佐紀はその打ち下ろしを引き付けるだけ引き付けて寸余の処で左に躱し相手の脇腹を竹刀で軽く叩き、その流れのままに残りの二人の脇腹を極極軽く叩いた。軽く、極極軽くと言っても佐紀の軽くである、並みの男衆の何倍もの痛みが相手を襲った。余りにも痛みが激しいと呻くだけで悲鳴の声も出せないのである。「其方たちの助勢に感謝申し上げます、ですがまだまだ修行が足らぬ様ですね」佐紀と舞を助けに入ったものの反撃に合い負けた三人の若者たちに優しく声を掛けた。辺りは静寂に包まれていたが暫くして見物人たちの喝采が沸き起こった。人々は口々に「強い奥方様じゃ」「何処の奥方だ」などと言っていたが一人の老人が言った「あのお方は今評判の橘道場の若先生の奥方様のお佐紀様じゃて」「ほう~あの道場は奥方も強いか・・・・しかも美しい方だの」などとお佐紀の身元が知れ渡った。「奥方様、助けに入ったつもりが助けられました。申し訳も御座いませぬ」「何の事がありましょう、其方らが心を改め精進している姿を見られて嬉しく思いますよ」「有り難きお言葉を戴き感謝に耐えませぬ、なれどまだまだ精進が足りませぬ。見物衆の話に寄りますと奥方様は橘道場の若先生の奥方様との事ですが真で御座いましょうや」「真です」「橘道場の弟子になれるのは町奉行所の与力・同心だけで御座いましょうか」「そなたらも入門したいと申されますか」「はい、出来ます事ならば・・・」「道場は何方でも入門出来ます。なれど生半可な修練では有りませぬ、その覚悟が出来たならお出でなさい」三人の青年たちは「ごくり」と生唾を飲み込んだ。「あ・あ・ありがたき幸せに御座います、覚悟が出来ましたならお訪ね致します」「お待ちしますよ、舞、参りましょう」「はい」二人が歩き出すと見物人の人垣が歩みと共に別れ凛とした美しさを讃えお佐紀と舞は姉妹の様に歩み去って行った。「凄い奥方様だね~」「俺っちはあの美貌で見つめられただけで倒れちまうね」「おうさ、あの奥方に強さは必要ないやね」などとひとしきり余韻が残っていた。助けに入り助けられた三人が話あった。「おい、本当に入門するつもりか」「うむ、強くなりたい・・・・だがな~・・・あの強さになるのには・・・・・・」「生半可では・・・いや生半可どころでは無いぞ」「だがな、俺は同伴のお女中を見ておったがあの娘も強いぞ・・・きっとな、あの騒ぎを平然と見ておったからのぉ~」「そうか、お女中もか・・・・あれ位の幼き頃よりの修行が必要なのかのぉ~」「かも知れぬ、止めるか」「・・・・いや俺は行く・・・強くなりたい」「おう俺も行くぞ」「同じく」三人の若侍が剣術の世界へと歩み出した。<つづく>
2020.10.01
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