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今回は、「ポートフォリオ運用の一般的な原則」のシリーズを一回お休みして、学生が作った株式ファンドの商品案を見て気がついたことを幾つかご報告する。筆者が見たのは、複数の大学にまたがる横断的かつ大規模な金融勉強会の資産運用分科会に属する学生グループが作った20本ほどの商品企画案だった。1グループは数人のメンバーで構成されており、20のグループがあって、金融機関からプロを講師に呼んで、分科会ごとに数度にわたる勉強会を開き、その後に、資産運用分科会では、レポートを作る。ファンドの企画書に加えて、具体的な銘柄と投資ウェイトもついた、力の入ったレポートが作成されていた。この団体のファンド企画案のレポートを見るのは、今年で2回目である。 ■事務処理は正確に! ファンドの企画書で述べている投資のコンセプトが、どのように実際のポートフォリオに活かされているかを見るために、ファンドの構成銘柄と投資ウェイトを「Riskscope」という商品名の日立製作所製の株式ポートフォリオ分析ソフトで分析してみることにした。そのため、学生たちには、分析ソフトに入力可能な表計算ソフトのフォーマットでポートフォリオを提出して貰ったのだが、この際に株数の入力ミスが目立った。 たとえば、株価が一株数十万円の銘柄について、数万円、或いは数千円のものと間違えて、株数を明らかに一桁、二桁多く入力する、といった原因の間違いが幾つもあった。単純な不注意によるミスなのだが、現実のファンド運用では、この種のミスは許されない。大手の運用会社の売買発注システムの場合、ファンドの中での投資ウェイトが過大にならないか、当該銘柄の時価総額に占めるウェイトは大きすぎないか、といったチェックがかかる場合があるが、それでも十分に捕捉されない入力ミスは起こりうるし、これが大きな損失につながることがある。 かくいう筆者も、ファンドマネジャーの仕事をしていた時に、ファンドで持っていない銘柄を売ってしまって青ざめたり、「売り」のはずの銘柄を誤って「買い」に行ってしまったり、といったミスをしたことがあり、偉そうなことは言えないのだが、事務について、特に売り買いの銘柄と株数が正確であることは、ファンドマネジャーとして必須の条件であり、数字をざっと眺めたときに、ミスがある箇所について、「これは、おかしい」と気付くような「数字の勘」が働くようでありたい。 今回のポートフォリオの採点では、20ファンドの実に半分にあたる10ファンドで入力ミスが見られた。入力ミスがあったファンドに関しても、ファンドのコンセプトに関する評価は行ったのだが、優秀賞など、賞の対象からは除外した。 ■投資哲学と運用プロセスの書き方 ファンドの企画案は、「投資哲学」と「運用プロセス」に分けて書いてあった。これはいいのだが、投資哲学の部分がスッキリ書けていない企画案が多かった(金融のプロの指導に問題があったのかも知れない)。 「投資哲学」では、簡単に言うと、(1)投資にあたって何に着目して、(2)その着眼点なり投資手法なりがなぜ有効なのか、という観点から、投資アイデアを説明するべきだ。 たとえば、将来予想されるキャッシュフローの割引現在価値と株価を比較することで、株価が割安である銘柄に投資した場合に、株価が割引現在価値に収斂する傾向がある、といった現象に着目して、投資を行うような割安株運用の場合に、それが株式のあるべき価値の考え方と整合的である事、また、その方法がまだ他の市場参加者に真似されていない事、自分達のリサーチが企業の将来のキャッシュフローを他の参加者よりも正確に推定することができると考える理由、などが説得的に書かれていれば合格だ。 単に、世の中のトレンド分析を述べたり、過去の成長率の高い銘柄に投資するといった基本方針を述べたりしただけで、「なぜ勝てると考えるのか」が書かれていなければ、ファンド企画案の「投資哲学」としては不十分だ。 また、「運用プロセス」では、運用に使われる情報の流れと共に、投資銘柄をどのような手続きで絞り込み、最終的に選択して、ウェイト付けするか、といった流れが、よく分かるように書かれていなければならない。もちろん、これが投資哲学と整合的である必要があるし、学生にそこまで要求するのは厳しいかと思うが、出来上がったポートフォリオが、その後どのようにメンテナンス(リバランスなど)されるか、という点にも触れてあると、より安心だ。また、現実の運用会社を評価する場合には、それぞれのプロセスを実現するデータの有無や質、さらに組織・人などを見ていくことになる。 ■(例)SRIは有効な投資方法か 「投資哲学」の観点から、SRI(社会的責任投資)について考えてみよう。SRIでは、CSR(コーポレート・ソーシャル・リスポンシビリティー:企業の社会的責任)の観点から企業を評価して、CSRを良く達成している企業の株式でポートフォリオを構築する。学生達のレポートでは、今回、20本中2本がSRIを標榜する運用方針を持っていた。 問題は、CSRと投資の収益が結びつくと言えるかどうか、ということになる。環境に対する対策や、社員の人権への配慮などは、将来、必ず必要なことなので、これらに対して、あらかじめコストを掛けることは、将来に向けた有効な投資であり、しかし、現時点では、この観点が投資家に十分浸透していない、といったことが言えるなら、SRIが収益獲得の上でも有効な投資方法だ、と言えるかも知れない。SRIを「投資哲学」として、説明しようとすると、この種の論理構築が必要になる(他の説明もある)。 ただし、SRIの場合、これが銘柄評価の観点で有効なのだとすると、「現在CSRが優れている企業」よりも「現在CSRは優れていないが、将来CSRが改善する企業」の方が、投資対象として優れているのではないか、といった論理的困難がどうしてもつきまとう。 現実には、アンケートなどに対する対応が丁寧で、組織体制が充実して見える大企業に対して高いCSR評価が与えられがちであり、実際に商品化されているSRIファンドは、単なる大型株ファンドに見えるような場合が多い。 また、CSRの評価も、実は、簡単ではない。学生のレポートの一つに、ファンドの代表的な投資銘柄は「キヤノン」である、というSRIファンドがあった。しかし、キヤノンは、確かにこれまでイメージのいい企業であったが、長年にわたって「偽装請負」と呼ばれる違法な労働者の使い方を大規模に行ってきたことが、今年に入ってから報じられるようになった(明らかな違法行為である)。ある意味では、現在、企業倫理的に劣る会社の代表ともいえる。 ■プロと勝負できる場所はどこか ビジネスの評価や、財務分析などは、プロの投資家に敵わないので、世の中のトレンドを読み、これに合わせたファンドを作ることで勝負する、といった方針を述べている学生レポートが幾つかあった(明示的でなくとも実質的にそのような内容の企画案も含めて)ことも気になった。 一つには、これは、完全にプロの能力を買い被っている。実際には、証券会社のアナリストなどの専門家が、アマチュア投資家以上に有効な情報を継続的に集められるわけではないし、株価評価において、卓越した能力を持っているわけではない。 また、「賭を分散する」というポートフォリオ運用の基本的なセオリーから考えても、個々の企業単位で分析上の優位を築くことができれば、大きな傾向性を当てに行くよりも、安定的にライバルに勝つことが出来る。 加えて、個別の財務分析では勝てないが、トレンド分析なら、勝てる、勝負になる、と考えられる根拠の提示は難しい。学生のように「若い」ということは、世の中のトレンドを読む上では若干有利かも知れないが、それだけで勝負になると考えるのは無理があろう。 ■「商品になるポートフォリオ」とは レポートを評価した11月上旬の時点で、Riskscopeが推定したTOPIXのリスク値は17.16%(年率、標準偏差)だった。分散投資されたポートフォリオのリスク値としては、ここからそう大きく離れていない方がいい。 また、投資信託は、もともと「少額の資金でも分散投資のメリットが享受できる」という部分が長所の商品だから、主として個々の銘柄の投資ウェイトが大きいことに起因する「個別銘柄リスク」(分析ソフト上は、業種やファクターで説明できないリスクの大きさとして推定・計算される)があまり大きくない方がいい。 たとえば、村上ファンドに投資していたことなどをはじめとする一連の問題で資産公開された福井日銀総裁の個人的株式投資(キッコーマン5千株、新日鐵1万株、富士通5千株、三井不動産5千株、商船三井1万株)は、トータルのリスクが19.48%、個別銘柄リスクが9.59%と推定された。トータルのリスク値については、良く抑えられていて、機関投資家のポートフォリオでも十分あり得る数字であり、これは「業種をバラした数銘柄で分散投資すれば、投信など買わなくてもリスクを抑えた運用が出来る」ということの根拠になりうる好例だが、10%に迫る個別銘柄リスクは、ベンチマークに対する勝ち負けのブレが大きいことを意味するし、分散投資が不十分だということなので、個人のポートフォリオとしては十分でも、商品としては、不十分だ。個人のポートフォリオの場合、運用結果に対する説明は必要ないが、商品として運用するポートフォリオの場合は、どのようなリスクを取っていて、どういう結果が出たのかを顧客に説明する必要があり、5銘柄ポートフォリオのようなものだと、1銘柄、2銘柄の当たり外れで、パフォーマンスを説明するようなことになってしまうだろう。 学生のポートフォリオ案では、個別銘柄リスクは4%程度に抑えられたものが3、4本あって、これくらいなら、商品に出来るが、傾向としては、分散投資が不足しているものが多かった。これは、そもそも、ポートフォリオの作り方(特に銘柄のウェイトの決め方)を十分教えられていないことに起因したのかも知れないのだが、商品として提供できるポートフォリオとはどのようなものか、といったことも考えなければならない。
2006年11月17日

■簡便法の例 例えば、ユニバースが東証一部上場銘柄でベンチマークもTOPIX(東証株価指数)で、手もとに全銘柄のPERのデータがあり、PERのみを判断材料にして銘柄の評価をする(低い方が好ましい、と考えるとする)、と決意したとしよう。概略以下のような方法で期待リターンを作ることができる。(1) 全銘柄のデータを表計算ソフト等に取り込む。 (2) 赤字会社についての処理を決める。(例えば、一旦ユニバースから除外することにする。) (3) 対象データの平均と標準偏差を計算する。 (4) プラス/マイナス3標準偏差だけ平均から離れたデータの値をそれぞれプラス/マイナス3標準偏差に対応する値に置き換える。(この際に、赤字会社をプラス3標準偏差位の値でデータに加えても良い。) (5) 上記のデータ(修正された生データ)に対してもう一度平均と標準偏差を計算する。 (6) 各銘柄の修正生データから上記の平均値を引いたものを上記の標準偏差で割った値を求める。(「正規化されたPER」が得られる。) (7) プラス/マイナス3以上の値を持つものをそれぞれプラス/マイナス3の値に置き換える。 (8) 上記のプロセスで得られた値に-1.5%(PERが低い方にプラスの評価を与えるためマイナスの値を掛ける)を掛けた値を各銘柄の年率期待アクティブ・リターンとする。 (例)例えば、修正された平均PERが20倍で、東証一部のPERの1標準偏差が5倍とした場合に、PER15倍の銘柄のアクティブ・リターンは年率1.5%と考えられることになる。 一般に、PERのような数値データを直接評価尺度とする場合には、データの範囲と分布の様子について考慮する必要がある。単純に求めた平均や標準偏差をそのまま使うと、大きな外れ値があった場合にその影響を受けて、大多数の普通の値を程良く評価することができなくなることがある。もちろん、外れ値の意味によっては扱い方が異なるべきだし、上記の手順は数ある処理方法の一例に過ぎないが、「無難な値」を作るために、大きく外れた値の処理について工夫している。 なお、評価の基準となるデータは必ずしもPERのような数値データである必要はない。例えば、銘柄に対するアナリストのレーティングのようなものを判断材料にする場合は、レーティングを100点満点に直して適当な点数を対応させるなどの処理をして、データの正規化を行った値に1標準偏差当たりの期待リターンを掛ける、といった操作をするとよい。 通常は、一度「1標準偏差=1.5%」で過去のデータに関するバックテストを行って、その結果を参考にしながら、評価尺度自体の妥当性を見直したり、見直しを反映して、入力値を修正したり、といった手順を踏んでポートフォリオを作ることになる。「1標準偏差=1.5%」と考えて、データにあたってみて、過去データを参考に修正するというやり方は、何らかの評価尺度や投資アイデアがどの程度使えるかを検証する際には、有効な方法だった。ファンドマネジャーの為に、もう少し説明すると、一般論として、ある尺度に関して余りに大きな期待リターンを仮定すると、バックテストの際にできるポートフォリオが大きく歪んで、当該尺度以外の意図しない要因が相当程度入ってくるケースが増える。そうした場合、過去のデータについて当該評価尺度単独の影響を評価することが難しくなるので、最初のテストをする際には、やや控えめな値を使用することが無難な場合が多い。そこでテストを行ってみて、IR(インフォメーション・レシオ)や、アクティブ・リターンの出方の安定性、アクティブ・リターンの要因分解などを見て、アイデアを評価するといい。 ■効用関数との関係 ところで、この「ポートフォリオ運用の一般的な原則」のシリーズの冒頭で説明したポートフォリオの効用関数に沿って考えると、現実的なポートフォリオを作るためには、リターンとして入力すべき数字の大きさと、ポートフォリオ全体の推定リスクの大きさの見当及びリスク拒否度の数値の大きさとのバランスが問題になる。上記の「1標準偏差=1.5%方式」もリスク拒否度と推定リスクの大きさによってはほとんど用をなさなくなることがあるので、テストを行う条件の妥当性については、吟味が必要だ。 また、売買コストとの関係について考えると、ファンドの目的関数を考えると、例えば、リスクに関する影響を無視して考えた場合に、売買コストが1ターンオーバー(往復)あたり年率換算3%とすると、評価尺度に関して上下に2標準偏差の差が生じてはじめて銘柄入れ替えのメリットが発生することになる。現実には、そうした組み合わせになる銘柄が、そうたくさん出てくるわけではないので、売買回転率は、そう大きくはならないはずだ。 もちろん、リスク拒否度、推定リスク、売買コスト、さらに期待リターンのいずれも本来は独立に、最終的にファンドマネジャーの判断によって決まるべきものであり、効用関数の値に対する影響のバランスから考えて、実際にそれぞれの数値がどのくらいの値を取るか、そして、それに対して、ポートフォリオがどう動くかといったことに対して想像力を働かせることが重要になる。 ある評価尺度、つまり投資アイデアの、リターンとしての価値がどのくらいあるか、ということの評価は、ある意味ではファンドマネジメントの仕事の核心であり、ファンドマネジャーの主な仕事場はこの辺りにある。 個人投資家の場合、株式投資では、「この銘柄はいい!」と評価した場合の具体的な期待リターンの数字が問題になることは多くないかと思われるが、機関投資家の運用の舞台裏を知ると共に、「自分の当たり外れの信頼度を反映させて銘柄を評価すると、妥当な期待リターンの数字は、そんなに大きなものではない」ということを知っておかれるといいだろう。
2006年11月02日
■期待リターンの決め方 どの銘柄が良いと思うか、ということについては大抵のファンドマネジャーが意見を言うことができるだろうが、では個別の銘柄の期待リターンを数字で何パーセントか示してみよ、と言われると、ほとんど答えられないのが現実ではなかろうか。そして、率直に言って、これは難しい質問だ。しかし、ポートフォリオの中で、ある銘柄なり、資産クラスなりのウェイトを決めているということは、リスク計算ができていることを前提とすると(できていないとすると、大きな問題だ)、何らかの期待リターンを決めているということと同じ意味になる。現実のポートフォリオを運用するためには、個々の組み入れ資産の期待リターンについて、自信をもって精確な値を求めることは難しくても、最善の推測値を決める努力が必要だ。 期待リターンの具体的な決め方を考える前に、期待リターンというものの、イメージについて確認しておこう。たとえば、株式のある銘柄の期待リターンが10%だという場合、実際のこの銘柄の将来のリターンは、20%であるかもしれないし、8%であるかもしれないし、2%であるかもしれないし・・・、という諸々の可能性があって、それらの実現確率を考慮した上で、「予想される平均」として「期待値」を求めると10%だ、というイメージになる。将来のリターンをピタリと当てることができれば、その数値を使いたいところだが、実際にはそれは不可能だし、不可能ななりに、妥当な予想の平均値として期待リターンを使い、その数値の変動の具合も考慮して、ポートフォリオを作ろう、というのが、投資の理論とも重なる現実の運用作業のイメージだ。 ■株式ポートフォリオを作る際のアクティブ・リターン 先ず、現実にポートフォリオを構築する場合に用いる期待リターンの数字の大きさの見当をつけてみよう。株式のポートフォリオを作る場合には、ベンチマークのリターンも含めた「トータル・リターン」ではなく、ベンチマークに対して、どれくらいプラスかマイナスかという「アクティブ・リターン」の形で、期待リターンを求めてポートフォリオを作ることが多い。 通常の株式のポートフォリオの運用であれば、アクティブ・リターンとして想定される数値は、絶対値でほとんど0%~5%の間、主として1%~3%程度の数字になるだろう。しかし、実際の株式のリターンは、もっと上下に大きく異なる印象があるから、意外に思われる方が多いのではないだろうか。理由を説明しよう。 まず、個々の銘柄の対ベンチマーク・リスク(アクティブ・リスク)は、銘柄により、市場環境により、差があると考えられるが、ざっくり言って、年率の標準偏差で20%~40%見当の大きさを持っている。仮に、これを「30%」と考えるとして、個々の銘柄の期待アクティブ・リターンを(事後的実現値でなく期待値であることに注意)完全に推定できる場合には、相対的に1標準偏差プラスと判断した銘柄(模擬試験の偏差値でいうと60と評価した銘柄)の期待アクティブ・リターンは30%でいいはずだ。 しかし、残念ながら、期待リターンの高い(低い)銘柄を100%正確に当てることは、実際にはまず誰にもできない。大まかにいって、ファンドマネジャーも含めて投資家の平均的な予測力は、50%あるかないか、つまり当たり・外れが半々というが現実だろう。 ここで簡単化のために、仮に投資対象となる全銘柄の半分がプラス30%、残りの半分がマイナス30%のアクティブ・リターンを持つと考えて、これを55%の確度で予測できる投資家がいると考えてみよう。この投資家が、「プラス」と判断した銘柄は、平均的に55%のケースはプラス30%のアクティブ・リターンだが、45%はマイナス30%のアクティブ・リターンということになるので、差し引きを考えて平均すると「プラス3%」のアクティブ・リターンがあるという計算になる。 予測を現実に使用するためには、予測の当たり・外れの程度も合わせて考える必要がある。例えば、予測の確度は、予測したアクティブ・リターンと実現したアクティブ・リターンの相関係数で考えることができる。相関係数は、当たり・外れが半々のケースではゼロ、上記の「55%当たる」というケースではプラスの0.1となる。 予測の信頼度を期待リターンに反映させるためには、予測と現実の相関係数を予測した期待リターンに乗ずる方法を考えることができる。この相関係数の大きさが問題になるが、アクティブ・リターンを基準に考える場合には、投資家の平均は0のはずなので、相対的な能力としてあまり大きな値を考えることは難しいだろう。 これは一つの経験値に過ぎないが、優秀なファンドマネジャー或いは投資情報の場合で、この相関係数は0.05くらいではないかといわれている。率直にいって、0.1は現実のケースとしては強気に過ぎるレベルといえるだろう。予測と現実の相関係数がプラスの0.05という状態は、単純な、「当たり・外れ」に換算すると、21勝19敗というくらいの能力ということだが、「優秀なファンドマネジャー」の能力がこれくらい、というのが現実なのだ。 さて、信頼度を調整する相関係数が0.05、平均的な銘柄のアクティブ・リスクを30%と考えると、相対的に「プラス1標準偏差」と判断した銘柄の期待アクティブ・リターンの大きさは年率1.5%くらいと見当をつけることができる。この数値を使って、何らかの銘柄評価(程度の差が数値で表現されていれば、PERのような尺度でも、アナリストの評価を点数かしたものでも何でもよい)を、現実的なポートフォリオを作るための期待リターンに作り替えるための簡便法を一つ紹介する。
2006年11月02日
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