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2004年07月24日

昨夜、札幌で開催された「岡林信康と彼の仲間達」のライブ・コンサートに行ってきた。
岡林信康の名前は、私のような世代には懐かしい響きがあるのではないだろうか。
フォークの全盛時代に「神様」なんて称号まで与えられていた彼だが、
実は私が彼のコンサートに行くのは生まれて初めてであった。

若い頃の私は本当に面白みのない若者で(今でもさほど面白くもないおばさんだけど)、ビートルズにもフォークにもさほど関心はなかった。
しかし、町を歩くとそれらの音楽は流れていたから、岡林信康の名前や「山谷ブルース」くらいは知っていた。
かといって、音楽が全く嫌いだったわけではない。
ただ、十代後半から２０代にかけては私自身が混迷の季節であり、音楽も絵画もテレビも舞台も、見ていても心がはじき返していたような気がする。
それでも、徐々に心の落ち着きを取り戻し仕事をするようになってから、どちらかといえばフォークソング、ニューミュージックが私の体質に馴染んでいることを自覚し始めた。

ということで、妹を誘って昨日のライブに行った次第。
妹は若い職場仲間に、「岡林信康を聞きに行く」と言ったら、「誰、それ?」と言われたとか。
テレビにもほとんど出てこないし、最近は彼の曲も聞く機会がないから、それも当然だろう。
私自身、一度は「フォークの神様」と言われた人の歌を聴きたいと思ったわけで、正直なところ過大な期待まではしていなかった。

さて、聞いた感想はといえば・・。
「いやー、良かったぁ！」
本当に想像以上に良かった。
「チューリップのアップリケ」「山谷ブルース」などの昔の曲も、心に染みとおってきて泣けそうになった。
時代背景は随分変わってしまっても、彼の曲には人の世の普遍性があると感じた。
私が知らない曲もたくさんあったが、どれも曲と詩がとてもフィットしているので、言葉がスーッと心に届くのだ。
そしてそれを歌う彼の声も、とても澄んでいながら柔らかく、つまびくギターやハーモニカと共鳴しあいながら、全身を音でマッサージしてくれるような感じがした。

ギター、パーカッション、和太鼓、尺八、津軽三味線が渾然となった音楽は、日本的・アジア的でありながらもそれを越えた色彩もある。

うまく表現することができなくて残念だが、遅ればせながら私は彼のファンになった。
音楽も良かったけれど、それよりも彼の言葉や歌声には、彼自身が誠実に何かを探し続けてきたものを感じ、同世代としてとても嬉しく感じたのだ。
そこには、強さも弱さも抱えながら、等身大で生きようとする一人の優しい人間の姿が垣間見えて、「ああ、良い年を重ねてきたな」と感じられた。
今度からは、岡林信康がこちらに来たら、絶対に聞きに行こうと思う。

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最終更新日 2004年07月24日 13時02分21秒
コメント(6) | コメントを書く

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■コメント

懐かしいですね・・・

sweetrendez-vous さん

岡林信康さんの名前が出ているので思わずこちらにお邪魔しました。
私の世代にとってはとても懐かしい名前です。
フォークの神様って言われていましたねえ。
もしかして、みらいさんと私は同世代？

東京生まれ、東京育ちの私は、よくフォークのコンサートに行ってて、岡林信康も何回か見ましたが、彼は最盛期に突然引退してしまいました。
神様と呼ばれることが重かったようですね。
１人の人間として地道に生きるために歌を辞めたんですね。
でも今また、歌っているという事は、人間として歌いながら生きていくことに道を見出したという事なのだと思います。
私が最後に岡林さんのライブを見たのは20年前ですが、もし機会があれば聞きに行ってみたいです。 (2004年07月24日 23時37分52秒)

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Re:懐かしいですね・・・(07/24)

みらい０６１４さん

sweetrendez-vousさん、はじめまして。

＞もしかして、みらいさんと私は同世代？

同世代か、もう少し私の方が年上かも・・。

＞東京生まれ、東京育ちの私は、よくフォークのコンサートに行ってて、岡林信康も何回か見ました

私も、一時期東京にいたことがあるのですが、全く関心を払っていませんでした。
その時期、唯一足を運んだのが、友人に連れて行かれた森山良子さんのライブでした。
当時の岡林さん、今となっては見ておきたかったな・・。何せ「神様」だったようですから。

＞神様と呼ばれることが重かったようですね。

そりゃ、重いでしょうね。ご自分の生育暦と合わせて二重に・・。

＞でも今また、歌っているという事は、人間として歌いながら生きていくことに道を見出したという事なのだと思います。

そう思います。自分を大切に生きてきた人であることを感じ、同じ季節を生きている者として、とても嬉しく感じました。
機会があったらぜひ聞きに行って、若い頃を知っている人としての感想を教えてください。
ところで、当時、どうして「神様」って言われていたのですか?
ネットで探しても、その理由がよくわからなくて・・。 (2004年07月25日 10時16分23秒)

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Re[1]:懐かしいですね・・・(07/24)

sweetrendez-vous さん

みらい０６１４さん

書き込みありがとうございます。
私もみらいさんのＨＰをリンクさせていただきました。
世代が近いせいなのか共感するところがあります。

＞ところで、当時、どうして「神様」って言われていたのですか?
＞ネットで探しても、その理由がよくわからなくて・・。
-----
その頃私は若干高校生だったので、あまり詳しいことは分かりませんが、たぶん時代の空気の仕業ではないでしょうか。
歌の内容が体制批判の政治的なものだったりして、それもちょっとカリスマ的なムードを醸し出していたのかも。
例えて言えば、ジャマイカのボブ･マーリーに似ていたかもしれません。彼は音楽で大衆を扇動して政治に大きな影響を与えた人です。
でも、岡林にはそういう意図はなく、彼はただ感じた事を正直に表現していただけの詩人だったのだと思います。
でも、岡林の歌に勇気をもらった人が多くいたと思います。当時の時代の中にあって、人を癒す大きな力を持っていたのではないでしょうか？
だから神様と言われたのかもしれません。
(2004年07月26日 23時09分23秒)

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Re[2]:懐かしいですね・・・(07/24)

みらい０６１４さん

sweetrendez-vousさん、リンクありがとうございます。よろしくお願いします。

＞歌の内容が体制批判の政治的なものだったりして、それもちょっとカリスマ的なムードを醸し出していたのかも。

＞でも、岡林にはそういう意図はなく、彼はただ感じた事を正直に表現していただけの詩人だったのだと思います。

きっとそうなのでしようね。彼自身が共感すること、イヤだったりやりきれなかったりすることを、素直に言葉と音楽で表現していただけのような気がします。それは、彼自身が悩みや葛藤の中に生きていたから、説得力があったのでしょうね。
ただ、時代の雰囲気と言うものだけではないような気が・・。
（遅ればせながら、会場で買ってきたＣＤを聴いてそう思いました）

＞当時の時代の中にあって、人を癒す大きな力を持っていたのではないでしょうか？
＞だから神様と言われたのかもしれません。

そう言われると、納得します。そして、（少なくとも私にとっては）今も心を癒され励まされる音楽だと思います。
この２日間、彼の歌声を聞きながら眠っています。
睡眠導入剤より効果絶大です。
(2004年07月27日 08時50分22秒)

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Re:岡林信康と彼の仲間達(07/24)

ポンボさん

初めまして。k-nanaさんの所から飛んできました。k-nanaさんの昨日日記に同感して、カキコの方の所を放浪しております。私、彼等の被害者？だったらしいので。
岡林信康、懐かしいですね。もう歌ってないと思っていました。今歌詞を思い出さないのですが、♪朝、気持ちよい♪ってのが最後に聴いた歌でした。あの頃の方が、自由は制限されていたかも知れないけれど、自由な空気はあったように思います。
リンクボタン、頂いていきます。 (2004年08月13日 21時11分13秒)

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Re[1]:岡林信康と彼の仲間達(07/24)

みらい０６１４さん

ポンボさん、はじめまして。

＞初めまして。k-nanaさんの所から飛んできました。

私は、k-nanaさんの日記の感想にも書きましたが、論争であっても「戦い」は嫌いな体質なので、最近は毒にも薬にもならない日記ばかり書いてます。
それなのに、リンクしていただいて恐縮です。
今、ボンボさんのHPを拝見してきましたが、何となくnanaさんと似ていらっしゃる感じが・・。

＞岡林信康、懐かしいですね。もう歌ってないと思っていました。

私も、一年ほど前に「エンヤトット・ソング」を歌っていると知って、何だか嬉しくなりました。

>あの頃の方が、自由は制限されていたかも知れないけれど、自由な空気はあったように思います。

ある意味では、そうかもしれませんね。もっと自由な世の中になることを信じていたと言うか・・。
・・でも、わかりません。形は変わっても、今も似たようなものなのかも。
少なくても私自身は、あの頃よりは自由になっている気がします。

私も、リンクさせていただきますね。 (2004年08月14日 07時50分36秒)

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