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前回の「ドリップと重力」からの続きです。重力が大きいところでペーパードリップをすれば、油分が多い印象の珈琲ができる。それでは、重力を大きくすることはできるのでしょうか。重力そのものを変えることはできませんが、重力が大きいのと同じ状態をつくるのは簡単です。ニュートンの法則を持ち出すまでもなく、エレベーターが加速しながら上昇すれば、エレベーターに乗っている人には、下向きの力がかかります。エレベーターに乗っている人は、エレベーターが加速上昇したのか、重力が大きくなったのか区別することができません。ということは、単純にドリッパーを上向きに加速運動させれば、ドリッパー内のお湯に下向きの力が加わるため、重力が大きくなったのと同じ状態になります。実際に、この方法で抽出したところ、油分の多い印象の珈琲ができましたので抽出方法を紹介します。フレーバーコーヒーさんの「アポロくん・ミニ」をヒントにして考えたため、「アポロくんミニもどき」と名前をつけても良いのですが、ぼくは「アポロくんミニ」で抽出した珈琲を飲んだことはありませんのでどこまで、もどきの味になっているのかわかりません。それで、抽出中にドリッパーを動かすため「動的ドリップ法」と勝手に命名してみました。動的ドリップ法 【注意】ここに書いてある抽出方法は危険をともないます。 珈琲が派手にこぼれてやけどしたり、 ドリッパーやサーバー、コーヒーカップをぶつけて壊す場合もあります。 また、ハリオの1~2人用円錐ドリッパーで18gの珈琲を使って実験していますが とくに珈琲の粉が多くなる場合は、ペーパーが珈琲の重みに耐えきれずに 破れる可能性もあります。 この抽出法を実行することでどのような事態が発生しても、 この文章の筆者は何の責任もとりません。抽出方法 ハリオやコーノの円錐ドリッパーを使って普通にベーパードリップします。 珈琲を抽出しているときに、ドリッパーの中にお湯がある状態で ドリッパーから下に落ち続けている珈琲がサーバーに入るのを確認しながら おもむろにドリッパーを持ち上げ、ラーメンの湯切りをするように ドリッパーを上下運動させます。 下向きから上向きに方向転換するときに、ドリッパー内の珈琲に下向きに 大きな加速度がかかるように動かすのがコツです。 ドリッパーの中のお湯がすべて落ちきる前に元に戻して 次のお湯をドリッパーに注ぎ、抽出が終わるまで繰り返します。抽出方法の補足 ドリッパーからコーヒーカップに直接抽出する場合は、 ドリッパーとカップを手でしっかり密着するように持って カップごと上下運動させた方が珈琲がこぼれにくく、うまくいくようです。 この場合は、抽出が進んでカップの中の珈琲が多くなってくると カップから珈琲がこぼれないように注意する必要があります。珈琲の味との関係 一般には、ドリップの終わりに近づくほど、雑味などの溶けにくい成分が多く溶けてきます。 このため、ドリップの後半に上下運動させると雑味が多めの重たい印象の珈琲になるようです。 特に、ドリップが終わる直前に上下運動を1回するだけで味の印象が変わったりします。 雑味を少なく、油分だけ多めに抽出するには、ドリップの前半に上下運動させた方が 良いと思いますが、まだよくわかっていません。 上下運動させるタイミングや回数を変えて、自分の好みの味になるところを 探している段階です。 現時点での個人的な好みは、ドリップの前半に集中的に10~20回の上下運動ですが、 明日は違うことをやっているかもしれません。 (油分の多い珈琲を飲みたいときしか、動的ドリップをやらないのでデータが集まりにくい。)「アポロくん・ミニ」と同様に、お湯が落ちる速度が速くなりすぎる場合は珈琲の挽き方を細かくすると対応できます。メリタやカリタのドリッパーでもできると思いますが未確認です。穴の大きさでお湯が落ちる速度が制限されますので円錐ドリッパーよりも効果は小さくなると思います。また、フレーバーコーヒーさんが松竹コンボドリップで書かれているようにお湯で珈琲を攪拌するように(高いところから注いで)水圧をドリッパー内の珈琲にかける方法でも、同じ原理で油分の多い珈琲になります。しかし、この方法では珈琲が攪拌される or わざと攪拌するため、雑味成分も多く出てきます。これに対して動的ドリップ法では、上下運動させるときにできるだけ水平方向に動かさないようにすれば、珈琲に余分な力がかからず雑味成分が出にくくなりますので、雑味が少なく油分の多い珈琲ができます。動的ドリップ法を実践される場合は、くれぐれも火傷や器具の破損にはお気をつけください。あまり勢いよく上下運動させるとペーパーが破れますので適当に加減してください。以上の方法は、あくまでもペーパードリップで油分が多い珈琲を抽出するための方法です。ネルドリップの場合は、事情が異なるようです。やはりフレーバーコーヒーさんがネルドリップの研究に書かれているように、珈琲の油分が染みこんだネルの布は、ペーパーのように油をはじかないため通常の使用方法で、油分が抽出されるようです。ネルを固定した状態で、お湯をそっと注ぐ方法は、珈琲の粉を動かさずに雑味を出さないための工夫だと思っていましたが、フィルターに余分な圧力をかけないための工夫とも解釈できます。(特に1杯分を淹れるときが圧力は最小です。)この場合は、ネルの布フィルターを(重力だけで)自然に通り抜ける珈琲の成分を抽出していることになります。ネルのフィルターとしての働きが弱くなる外側起毛にすると油分や珈琲の微妙な成分が多い珈琲になるというのも頷けます。一方、ネルドリップ(内側起毛 or 外側起毛)でも、抽出中にネルを上下運動させれば、下向きの力が大きくかかったときに油分や分子の大きな成分がネルを通りやすくなり、油分の多い印象の重たい and/or まろやかな味の珈琲になることは容易に想像できます。ネルドリップの喫茶店で、ネルを上下に動かしながらドリップしているお店は、珈琲の味をコントロールする(油分を多めに抽出してまろやかにする?)ために意識的にネルを動かしているのか聞いてみたいところです。珈琲の味をコントロールするためにドリッパーを上下運動させるのはネルドリップの世界では昔から知られている方法なのかもしれません。(ネルはもともと油分が通るため、ペーパーフィルターほど味が変化せず、 ただ抽出のリズムを取るために動かしているとも考えられます。)「重力が大きいところでドリップするとどうなるか?」という疑問からスタートして「動的ドリップ法」にたどり着きました。ペーパードリップでは、ドリッパーは固定して使うものという先入観があったため今まで気がつきませんでしたが、「動的ドリップ法」で抽出するとペーパードリップでも簡単に油分の多い印象の珈琲を淹れることができます。ペーパーフィルターでオイル感を抽出する方法を惜しげもなく公開されているフレーバーコーヒーののんたんさんに改めて感謝いたします。
Feb 3, 2008
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昔、議論好きの友人と珈琲を飲みながら話をしていたときに聞かれて今でも記憶に残っている質問です。「(地球以外の惑星のように)重力が違うところでドリップ式で珈琲を淹れるとどうなるのか。」重力が小さくなるとドリップができなくなるのはすぐにわかります。無重力状態では絶対にドリップはできません。重力が大きいところでは、どうなるのか。そのときは、重力が大きくなるとお湯が速く落ちて抽出時間が短くなるぐらいで、それほど違いは無いのではと適当に答えましたが、何か引っ掛かるものがあり、時々考えてみるもののそれが何なのかわからず現在に至っています。これとは別に、普段は自分で飲むために1.5杯分の珈琲をペーパードリップで抽出しています。ときどき、3杯分以上の珈琲を抽出すると、いつもの1.5杯分で抽出したときの味にならないことを体験していました。それはなぜなのか。そんなときに、フレーバーコーヒーさんが減圧抽出装置「アポロくん」を開発され驚いている間もなく、続いて「アポロくん・ミニ」を開発され、今ではその装置も販売されています。40杯分の多量の珈琲をペーパードリップで抽出すると通常のペーパードリップでは抽出されない珈琲の油分が抽出されるということをヒントにして、サーバーだけ減圧する「アポロくん・ミニ」を考案されたそうです。フレーバーコーヒーさんのサイトの「アポロくん・ミニ」に書かれている内容で参考にさせていただいたところをまとめてみますと、水と油は反発するため、水を含んだペーパーは油分を通しにくくなる。(ペーパードリップしているときに、珈琲の油分はペーパーの直前まで 来ていてペーパーに遮られている。)そこで、油分がペーパーを通り抜けるだけの力を加えてやれば、ペーパーフィルターでも珈琲の油分を抽出できる。ということになります。 ここでは油分とかきましたが、実際には、油分の他にも 分子の大きい成分がペーパーを通り抜けるものと思われます。 (一般には珈琲の雑味成分?微妙な成分?も分子が大きいと思われます。) そこで、珈琲の中にとけ込んでいて水に馴染みやすく珈琲の味を 重たい and/or まろやかな印象にする成分のことを、 以下の文章では総称して油分と呼ぶことにします。 珈琲の表面に浮いて見える油(水に馴染みにくい? 粘度が高い?) とは区別しています。 珈琲を飲んでいるときに油分として感じられる成分は何なのか、 その性質として水との馴染みやすさや粘度の違いはどうなっているのか、 などは調べていません。 詳細な成分の分析は化学が得意な人におまかせします。閑話休題「アポロくん・ミニ」の原理を知ったことで、冒頭の「重力が大きい状態でドリップすると…」の疑問が解けました。ペーパードリップしているときに、ドリッパー内の珈琲に重力よりも大きな力をかければ、通常の重力だけではペーパーフィルターを通れない珈琲の成分がペーパーを通って抽出できるようになる。ということは、珈琲の味(特に油分が多く重たい and/or まろやかな印象)が変わる。1.5杯分と3杯分や40杯分の抽出では、ドリッパー内のお湯の量や流速が異なり、ペーパーフィルターにかかる圧力が変わるため、ペーパーフィルターを通り抜ける珈琲の成分が変わる。フレーバーコーヒーさんの「アポロくん・ミニ」は、ドリッパー内のお湯に重力以外の力を加えるために、ドリッパーの下にサーバーを密着させて減圧しています。減圧することでドリッパーからサーバーに引っ張る力(下向きの力)を加えています。それでは、サーバーを減圧したり、ドリッパー内のお湯の量を変える以外にペーパーフィルターに加わる圧力を大きくする方法は無いのでしょうか。重力の大きさを変えられれば良いのですが、そんなことは可能なのでしょうか。明日の日記に続きます。
Feb 2, 2008
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