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今日は、裁判員裁判に限らず、刑事弁護に有用な本の紹介をさせていただきます。まずは、「法廷弁護技術」です。この本は、今回の裁判員裁判研修の講師の先生方がお書きになった本です。【全品送料無料】法廷弁護技術/日本弁護士連合会【RCP】次に、「刑事弁護ビギナーズ」です。文字通り、刑事弁護初心者のための本です。刑事弁護に必要な書式集もあって、大変使いやすいです。【送料無料】刑事弁護ビギナーズあと、「刑事弁護 新版」も良く使います。刑事弁護ビギナーズでは載っていない事柄を調べる時にも有効ですし、神山先生の刑事弁護五七五は大変分かりやすいです。【送料無料】 刑事弁護 新版 / 大出良知 【単行本】応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月30日

さて、昨日までで、裁判員裁判研修の中身の大半をお話しいたしました。今日は、ビデオクリティークについて、若干お話しします。最初に申し上げましたように、ビデオクリティークとは、実演中の自分の姿をビデオに撮り、別室で、動きや声について講評を受けるというものです。さすがに、受講生みんなの前に自分の姿が映し出され、講評される訳ではありません。しかし、別室とはいえ、自分の姿を見るのは気恥ずかしいものでした。「ものでした」と過去形なのは、不思議なことに、回数を重ねると、慣れてきてしまうものなのです。私は、NITA型研修を受けるのは3回目ですが、1回目は、自分の姿を見るのが嫌で嫌で仕方ありませんでした。しかし、3回目ともなると、慣れてしまい、平然と自分の姿を見られるようになりました。皆様も、是非、NITA型研修にご参加ください。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月29日

最終弁論について、その他の注意事項を申し上げます。まず、冒頭陳述と同じく、「弁護人は考える」というニュアンスは不可です。弁護人は、「証拠を常識的に評価すれば、○○という結論になる。○○という結論こそ正しい」と言うべきであって、弁護人の個人的な意見を述べるべきではありません。裁判官はもちろんですが、裁判員の方も、「客観的に見て正しい判決を下したい」とお考えになっています。したがって、裁判員の方に対しては、何が客観的なのか、何が正しいのかをお伝えする必要があります。また、調書の信用性について触れる場合、調書の作り方について言及した方が分かりやすいです。一般に調書は、「私は、被害者に2回殴られたので、やむなく1回殴り返しました」などと、綺麗な文章になっていることが大半です。しかし、調書はどうやって作られるかというと、検察官「なんで、被害者を殴ったんですか」被告人「被害者に殴られたからです」検察官「何回殴られましたか」被告人「2回です」検察官「あなたは、何回殴りましたか」被告人「1回です」検察官「被害者を殴るしかない、そう思ったのですか」被告人「はい」と、一問一答形式で聞いた内容を文章にしているのです。このことを裁判員の方に説明して差し上げると、調書と法廷での証言が異なることがあり得るというのを理解していただきやずくなるでしょう。あと、最終弁論であっても、被告人に不利な点は触れなければなりません。正しくは、不利な点を、ケースセオリーで矛盾なく説明し、不利ではないことを示す必要があります。全く触れないと、裁判官・裁判員は「結局、被告人に不利な証拠はそのままか」と弁護人に対する信用を大きく減らします。信用を減らすばかりか、不利な証拠がそのままだと、被告人に不利な点について立証に至ったという判断すらされかねません。それと、裁判員の方は、「裁判官と議論できるのだろうか」「他の裁判員の方と議論できるのだろうか」と、内心不安に思ってらっしゃることが多いと聞きます。そこで、「裁判員の皆様は、裁判官と同じ一票を持っています。積極的に議論に参加することが期待されています」などと勇気づけをするべきということです。ただ、通り一遍の勇気づけでは効果がないので、丁寧に勇気づけをするべきであると、講師の先生に注意されました。ちなみに、裁判員裁判では、公判前整理手続で、提出証拠が固められてしまうので、最終弁論は、公判前整理手続の段階で、骨子くらいは定めるべきということでした。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月28日

今日は、最終弁論の中身ではなく、やり方について、お話しします。まず、話すときにもメリハリは必要です。抑揚をつけ、重要なところでは、話す速度を落とすのが良いでしょう。適宜、間を取るのも有効です。裁判官・裁判員の注意を喚起したり、集中力の回復に繋がります。また、臨場感のある言葉で話した方が良いです、淡々と進みすぎると、裁判官・裁判員を飽きさせます。証拠の議論をするということで、裁判員に考えさせるという手法は有効です。その際、「あなたならどう思いますか」と言いたくなりますが、丁寧に「皆様はどう思いますか」というか、より客観的に、「私たちならどうするでしょうか」とした方が良いとのことです。たとえ話を使うのも有効ですが、その際は、論理のすり替えと受け取られないようにする注意が必要です。極端なたとえ話を示して、本件に当てはめようとすると、これも反発を食らいます。そうならないようにするためには、丁寧に定義を説明し、本件とほぼ同じような例を、たとえ話に用いた方が良いということです。また、ジェスチャーも有効です。最終弁論だと、つい、喋ることに集中してしまいますが、ジェスチャーを用いるべきだということです。ただし、その際は、何となく使うのではなく、意識的に、裁判官・裁判員がこちらを見ていることを確認したうえで、丁寧にやるべきであるということでした。あと、最終弁論をメモなしで行う場合、出だしの言葉だけは、一字一句暗記しておくと、後の内容もすんなり出てくることが多いということでした。でも、どうしても詰まってしまった場合には、間を取るふりをして、メモをチラ見することもやむなしということです。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月27日

そして、証人の弾劾は丁寧にやる方が良いです。つまり、証人の証言から何が言えて何が言えないのかを説明する必要があります。たとえば、「証人は喧嘩の一部始終を見ていたと言うが、本当は、時々目を離していたから、証言は信用できない」と言いたい場合、「時々目を離していたから信用できない」というだけでは不十分です。これだけだと、「確かに目を離していたかも知れないが、重要な部分は見ていた」という評価を許してしまい、証言が信用できないという結論には至ってくれません。あるいは、一旦弁護側に納得をしてくれた裁判員が、評議室で、検察側に納得をしている裁判員に「確かに目を離していたかも知れないけど、結局は、重要な部分は見ていたといえるのではないでしょうか。」という発言に対し、反論できず、論破されてしまうということにもなります。そこで、「目を離したときに、本件にとって重要な事項が起きていた可能性があるから、信用できない」とまでいう必要があります。このように、裁判員が評議室で弁護側に立って議論できるだけの証拠の評価をするのが肝要というわけです。なお、繰り返しになりますが、最終弁論では、証人の弾劾に限らず、証拠の議論を自由にやるべきです。逆に、証拠にないことを言うのは厳禁です。当たり前ではないかと思うでしょうが、意外とやってしまいがちです。特に、被告人質問で質問しようと思っていた事項を余り質問できなかったにも拘わらず、最終弁論では、事前に準備していた原稿のまま読んでしまうなんてことは、私もやってしまったことがあります。あるいは、最終弁論でつい熱が入ってしまい、証拠では、被害者は1回しか被告人を殴っていないのに、「被害者は、被告人を何回も殴りました」などと言ってしまうのもNGです。これをやってしまうと、異議の対象になることはもちろん、裁判官・裁判員の信用も大きく失います。さらに、熱が入る余り、押しつけをするのも良くありません。「証拠上明らかです」「これ以外あり得ません」などというと、むしろ裁判官・裁判員は、「本当なのだろうか?」と猜疑心を持ち出します。これは、根拠となる論証がないのに、押しつけをしてはいけないのは当然です。「根拠が無いから、言葉で押し切ろうとするんだ」とあっさり見抜かれます。ただし、根拠となる論証があっても、やらない方が良いです。人間、押しつけられると、反発したくなるのが人情だからです。あと、最終弁論でも、不要なことを述べる必要がないのは同じです。テーマを絞って、メリハリをつけて話しましょう。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月26日

今日は、最終弁論の内容についてお話いたします。まず、人間の脳は、一度にたくさんの量は入りません。それは、裁判官・裁判員の方も同じなので、適正な量にする必要があります。一般には、人間が一度に処理できるのは3つまでとされています。ですから、最終弁論も、テーマを3つに絞るべきです。「ルールオブ3」などと言われています。そして、テーマを絞ったら、まずは冒頭で「テーマは3つです。1つめは……、2つめは……、3つめは……」と先出しした方が、裁判官・裁判員には聞きやすくなります。ただし、3つに纏めようとして、冒頭が難解になっては元も子もありません。たとえば、正当防衛が問題になる際に、「正当防衛とは~」と言って、正確な定義を語るのでは、冒頭で聞く気をなくされてしまいます。ビジュアルエイドを使って、出来るだけ分かりやすくすることが重要です。ただし、あまり簡素化すると、説明自体が間違っているとして異議の対象になることにはお気をつけ下さい。なお、3つのテーマを立てる際は、事実レベルの話か、証拠レベルの話に統一した方が良いです。混在すると、違和感が生じます。たとえば。3つのテーマとして「1 被告人は救護措置を採った 2 目撃証人は信用できない 3 (省略)」だと、誰もが違和感を覚えるのです。1が事実レベルの話で、2が証拠レベルの話だからです。この場合は、「1 被告人は救護措置を採った 2 目撃証人は、被害者の部下である 3 (省略)」か、「1 被告人の言い分は信用できる。 2 目撃証人は信用できない 3 (省略)」また、ケースセオリーを語ると申し上げましたが、厳密には、ケースセオリーに加えて、最後の一押しをすると考えた方が良いそうです。先ほど挙げた「3つのテーマ」もそうですし、キーワードや見出しを多用して、ケースセオリーをより分かりやすく理解してもらう一押しが必要です。他にもまだありますが、今日はここまでといたしましょう。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月25日

いよいよ今日から最終弁論に入ります。最終弁論が行われると、最終意見陳述を除けば、その後は評議しかありません。評議が終われば、あとは投票・判決と流れていきます。最終弁論は、裁判官・裁判員に働きかける最後のチャンスというわけです。そこで、最終弁論の目的は、裁判官・裁判員に、弁護人のケースセオリーを理解し、評議で語っていただくことが目的となります。ただし、ケースセオリーを理解してもらうといっても、事実を語るのではありません。証拠の評価を語るのです。事実は、冒頭陳述や主尋問、場合によっては反対尋問で出尽くしていますので、ことさらに事実をかたる必要はありません。むしろ、今まで出てきた証拠をどのように評価すれば、弁護人のケースセオリーに行き着くのかを説明する必要があります。判決は、証拠に基づいて下されるからです。そして、証拠の評価を語って理解されるのは、証拠が出尽くした最終弁論の段階しかありません。ちなみに、証拠の評価がなく事実だけを述べても、裁判官・裁判員は、「だから何?」としか思ってくれません。たとえば、「犯行時間、被告人はトイレに行っていました。店内の防犯カメラにも時間付で映っています」というだけでは、裁判官・裁判員は、「そうは言っても、防犯カメラの時間が数分ズレているかも知れないし、目撃証人だっているよ」と思ってしまいます。そこで、「防犯カメラの時間は一分の狂いもなく正確です。壁掛けの電波時計と秒数まで一致しているではありませんか。目撃証人は、被害者の部下です。被害者に不利になるようなことをいうとは考えられません」などと、証拠の評価をするべきなのです。明日は、具体的にどのように最終弁論を述べるかについて、お話しいたします。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月24日

今日は、異議についてお話しします。異議の目的は、汚染された情報を、裁判官・裁判員に与えないというものです。また、上訴審のための記録作りという面もあります。つまり、不当な証人尋問に対し、適正な異議を出したにも拘わらず、異議が棄却された場合、上訴審で争うことが可能となります。異議を出しておかないと、上訴審で不当な証人尋問を争うことが出来ません。異議は、刑訴規則205条に基づき、法令違反か不相当な尋問に対して出せるとされています。法令違反はもちろん明文の法律や規則の違反という意味です。不相当というのは、前提を欠いた尋問とか、誤導が典型例です。異議を出すには、まず、異議の対象となる質問を認識します。そして、法的に有効な異議理由を考えます。典型的な異議理由は以下のとおりです。・抽象的な尋問・威嚇的侮辱的な尋問・重複尋問・供述調書による記憶喚起・主尋問の範囲外の尋問・意見や議論を求める尋問・主尋問における誘導尋問・不相当な誘導尋問・関連性のない尋問・直接体験のない尋問その上で、異議申立の必要性があるかを検討します。つまり、仮に、異議が認められる可能性のある尋問であっても、ケースセオリーに有害ではない場合、審理妨害と受け取られてしまう場合、報復的な異議を出されそうな場合、結局適法な尋問で同じ答えが出てきてしまう場合、反対尋問や最終弁論で挽回である場合には、異議の申立ては不要といえるでしょう。逆に、記録に残す必要がある場合、責問権の放棄と受け取られてしまう場合、相手方に対する牽制が期待できる場合には、積極的に異議を出すことになります。このように、不当な尋問がなされた瞬間に、上の事柄を検討しなくてはなりません。回答された後に異議が認められても、証人尋問の記録からは削除されるものの、裁判官・裁判員の頭には残ってしまうため、異議の効果は乏しくなります。したがって、事前に、記録を読み込んで、検察官の尋問を予測し、その予測された尋問に対する法的知識は準備しておく必要があります。異議を出す場合には、礼儀と自信を持って「裁判長、異議があります」といいます。逆に異議を出された場合にも、礼儀と自信を持って対応します。異議に理由がない場合には、「○○ですから、異議には理由がないと思量します」と回答します。異議に理由がある場合や、理由がないと思っても流れを止めないために必要がある場合には、「質問を変えます」といって、潔く質問を変えます。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月23日

その他反対尋問での注意事項を申し上げます。まず、反対尋問も一定の形があるため、うっかりすると、一本調子になってしまうことがあります。なので、一本調子にならないよう、気をつける必要があります。あと、焦っていると、2つめのC(C(credit=調書を作った時も正しい))を忘れて、いきなり調書を示してしまうことがあるので注意されたいということです。また、当然ですが、反対尋問でも事実を細かく聞いていくことは同じです。その他、反対尋問のテクニックとして、強調したいことは、何度も聞くというのがあります。もちろん、同じ質問の繰り返しは、異議の対象なので、質問は変える必要があります。たとえば、証人は一切Dをしなかったと言いたい場合、「Aのとき、あなたはDをしていませんでしたね」「Bのときも、あなたはDをしていませんでしたね」「Cのときも、あなたはDをしていませんでしたね」と聞きます。こうすると、質問は違うのに、Dをしていないことは強調されるのです。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月22日

最後に、3つめのC、つまり「C(confront=自己矛盾供述とご対面)」」についてお話しします。基本的には、以前お示ししたとおりです。ただ、裁判官・裁判員の方に分かりやすく伝わるよう、読み上げるときは、まず一拍おきます。そして、丁寧に読むのです。特に重要な点は、速度を落として読む必要があるでしょう。このとき、読むべき部分が長いからといって、ちょっと読んで「ここまでは正しく読みましたね」とやり、またさらに読んで「ここまでは正しく読みましたね」と分断して読むのは良くないということです。意図を察知され、言い訳をされてしまう可能性があるからです。ちなみに、あまり長い場合には、一つ目のCのところで、調書を引用して「本当は『~~』じゃないんですか」と言ってしまうのも一つの手だそうです。あと、調書を読み上げるときは、不利な部分も読み上げる必要があります。都合の良い部分だけ読み上げると、アンフェアな印象与え、弁護人に対する信用性が失われます。CICCで黙読させる場合には、どの部分の有無をチェックしてほしいのか指示をすること。指示なしに「とりあえず調書を読んで下さい」では、証人をコントロール出来なくなるからです。また、出来れば、調書は弁護人が手に持って居た方が無難です。証人が調書を握って手放さなくなる恐れもあるからです。なお、調書を読む場合、あえて法廷での証言と一致する部分から読み、異なる部分と対比させることも一つのテクニックとして有効であるということです。ただし、長すぎると、ぼやけるので、異なる部分を際立たせる程度にとどめる必要はあります。黙読部分が長すぎる場合、段落ごとに読ませるのは有効ということです。たとえば、「第1段落を読んで下さい。」→「ありませんね。」→「次に第2段落を読んで下さい。」→「ありませんね。」……という具合です。なお、調書を示す際に、刑訴規則199条の11違反として異議を出されることがあります。その際は、「自己矛盾供述の確認であり、刑訴法328条の趣旨からすると、刑訴規則199条の10として許容される」と反論してください。すなわち、刑訴法328条は、自己矛盾供述の呈示確認は、当事者の権利として定めているといえます。しかも、自己矛盾供述であることは、厳格な証明が必要という判例もあります。したがって、刑訴規則199の10が適用され、権利として裁判所の許可なく呈示が可能となります。ここで、異議が棄却されれば、堂々と調書を見せましょう。異議が認容されてしまった場合、「調書には、△△と書かれていますね」と聞きます。これに対して「覚えていません」「違うと思います」と言われた場合、改めて「同一性確認のため、刑訴規則199条の10に基づいて調書を示します」といいます。ここまで来て異議を出されることは、無いはずです。ここまで来ると、裁判員は「本当はどうなんだろう?」と気になりますし、異議を認容してしまうと、証拠提出の許容性を認めざるを得なくなってしまうので、「証拠申請の手間をかけるよりは、ここで呈示を認めた方が簡便である」と裁判官も考えてくれるはずです。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月21日

今日は、まずI(important=欠落部分は、重要な事実である)についてお話しします。欠落部分が重要であり、以前の調書で書かれていないのはおかしいということを示す部分です。重要であると理解してもらえないと、「別に欠落していてもおかしくはない」という証人の言い訳を許し、裁判官・裁判員も同じように思ってしまいます。たとえば、法廷で証人が、「被告人が『ぶっ殺 す』という発言をした」と証言し、前の調書では、「ぶっ殺 す」という言葉が一切使われていなかったとします。重要性を示そうとして「その発言は、あなたにとって印象的でしたね」とい言うだけでは不十分です。「怖かったですよね」「怖くなって、足早に帰りましたね」と具体的なエピソードを引き出す必要があります。ここまで詰めておかないと、再主尋問で、「聞かれなかったから答えなかった」という言い訳を許してしまいます。Iの段階で、「聞かれなくても話すはずだ」という印象を与える必要があるわけです。ただし、焦って「その発言は、あなたにとって重要でしたね」などと直接聞いてはいけません。さすがに意図を察知され、「いや、それほどでもないです」などと重要性を直接否定され、その後の二つ目のCまで行くことは出来なくなります。このように、CICCはかなり難しいので、CICCとCCCの両方が使える場合は、CCCの方が無難でしょう。なお、2つめのCは、以前お示ししたとおりです。言葉に気をつけて、「credit=調書を作った時も正しい」を示すのです。ただし、くどいですが、2つめのCで内容確認をしてはいけません。あくまで、「記憶通り話しましたね」と聞き、「記憶通りに話すといいながら、その日によってコロコロ変わる」という印象につなげるのです。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月20日

今日は、1つめのC、つまり「C(commit=法廷証言は正しい)」についてお話しいたします。どんな矛盾なのか、裁判官・裁判員の方に分かりやすく示すため、具体的に聞く必要があります。単に矛盾部分の確認をするだけでは、不十分であるということです。たとえば、法廷では、「後ろを振り向いてずっと喧嘩の様子を見ていた」と証言し、前の調書では「たまには前を見ていた」と供述したとします。この場合、「あなたは、『喧嘩をずっと見ていた』とおっしゃるんですね」と聞くだけでは不十分です。さらに「ずっと見ていましたね」「目を離しませんでしたね」「前を見たなんてことはないですね」「本当は、前を見たのではないですか」などと、具体的に聞いて、法廷証言に肩入れさせる必要があります。ただし、念押ししすぎると、意図を察知され言い訳を始めるので、限度はあります。同じ理由で、反対尋問でも、ケースセオリーを考え、ケースセオリーから逆算し、質問を重ねていく必要があります。やはり、単に矛盾部分の確認ではダメなんだそうです。たとえば、証人が「娘の誕生日で早く帰りたかった」と証言した場合、「娘さん可愛いですよね」「早く娘さんに会いたいと思っていましたね」「奥さんにも早く帰るよう、頼まれていたのではないですか」というように、想像力を働かせて聞いて良いのです。このとき、想像力を働かせる質問は、「主尋問の範囲」を超えて異議の対象になるのではないかという疑問が出てくるかも知れません。しかし、「主尋問の範囲」は、「主尋問で出てきたこと」とは異なります。仮に、「喧嘩を見ました」という証言のみにとどまり、「娘さんの誕生日で早く帰りたかった」という証言が出てこなかった場合でも、「何か早く帰りたい事情があったのではないですか」と聞いても構わないのです。それは、「早く帰りたい事情」は、喧嘩の視認状況に関わるため、「主尋問の範囲」といえるからです。また、反対尋問でも、裁判官・裁判員に分かりやすく示すため、舞台設定を示す必要があります。ただし、気をつけなければならないのは、舞台設定を出そうとして、主尋問の繰り返しになってはいけないということです。つまり、どこを弾劾したいのか、ケースセオリーを練り、ターゲットを絞って聞く必要があります。私は、何度も、「主尋問の繰り返しである」と講師の先生に注意されました。ところで、1つめのCで、ちゃんと「はい」と言わず、答えをはぐらかす証人に出会うこともあると思います。「たまには前を向いていたこともあるのではないですか」という質問に対し、「喧嘩の様子はちゃんと見ていました」と微妙に回答をすり返す証人がいるかも知れません。その場合は、同じ問いを繰り返すのが効果的とされます。証人が答えをはぐらかすことが強調され、裁判官・裁判員に対し、不誠実な証人であることを印象づけることが出来ます。また、弾劾したい部分が強調されるため、弾劾しやすくなります。答えをはぐらかすこともなく、「はい」とも言わない場合、焦って「はい」を引き出すことに固執する必要はありません。少なくとも「はい」と言わないということは、そもそも反対尋問不要となった可能性が高いからです。そのためにも、開示された調書を見て、どこまで「はい」と言わせることが出来るか、吟味する必要があります。なお、弾劾したい部分が複数にわたる場合、1回1回CCCを繰り返す必要があります。一気に1つめのCをやるというのは、良くありません。一気にやられてしまうと、どこを弾劾したいのか、裁判官・裁判員には伝わらなくなってしまうからです。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月19日

さて、本日は、CCCとCICCの具体的な手順について、お話いたします。<1つめのC=法廷証言は正しい>・前提として、弾劾したい事項について、「本当ですか?」「間違いないですか?」「本当は違うのではないですか?」と何度か念押しをして、「間違いありません」と何度も言わせる。※CICCの場合は、ここで、欠落している部分について、それがいかに重要な事実であるかを語る必要があります。これについて、後日といたします。<2つめのC=調書を作った時も正しい>・あなたは、事件から○日後の(記憶が新鮮であることを暗に示します。)、○年○月○日、××警察署(検察庁)で、警察官(検察官)から事情を聞かれましたね。(ここで「取り調べ」というと反発を買うので注意されたいということでした。)・あなたは、△△(弾劾したい事項)について聞かれましたね。・あなたは、その日も△△について覚えていましたね。・あなたは、記憶のとおりに答えましたね。(ここで、「あなたは△△について、今日と同じように答えましたね」と聞くのはNGです。「いや、どうだったか分かりません」とか言われてしまうからです。)・あなたの話を聞いて警察官(検察官)は、あなたの話したとおり、調書にまとめてくれましたね。・警察官(検察官)は、調書を読んでくれましたね。・あなたも、調書を手にとって確認しましたね。・警察官(検察官)は、「あなたが話したとおりでないところがあったら、訂正を申し立てて下さい」と言われましたね。(ここで「内容に間違いがあったら」……という形にすると、「いや、そんなことは言われていない」とか、「内容は正しいか分かりません」など流れを阻害する発言を許容してしまうので注意してください。)・あなたは、訂正を申し立てませんでしたね。・あなたは、話した内容が書かれていることを確認して、名前を書きましたね。・ハンコも捺しましたね。<3つめのC=自己矛盾供述とご対面>・(同一性確認のため)平成○年○月○日付証人の調書末尾署名押印部分を示します。・末尾の名前は、あなたが書いたものですね。・ハンコも、あなたのものですね。(ハンコの尋問後、CCCの場合)・では、同じ書面の○ページ○行目(△△に関わるところ)を証人に示します。ここから、私が読み上げますので、書かれているとおりに読み上げたか、確認してください(「正しく読んだか」などと聞くと、言い訳を招くので注意してください)。・「~△△~」書かれているとおりに読みましたね。(読み上げは尋問者がやるべきです。証人が素直に読んでくれるとは限らないからです。)・引き上げます。(ハンコの尋問後、CICCの場合)・では、この書面を渡しますので、「△△」という記載があるかどうか確認して下さい。・「……」ありませんね。(ここで、証人が言い訳をしても放っておいてください。遮る必要はありません。)応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月18日

では、「3 自己矛盾供述で」の話を致します。自己矛盾供述とは、法廷での証言の前にした供述との矛盾を示して殺 すということです。普通、検察官や警察官は、証人と何回か会って、取り調べをし、証人の言い分をまとめた「調書」というものを作ります。そして、「調書」は、弁護人が請求したら、原則として弁護人に見せなければなりません。そうすると、「調書」の内容と、法廷での証言が矛盾していることに気付くことがあり得るのです。たとえば、「犯行当時、信号は青だった」と証人が証言したものの、「調書」には「犯行当時、信号は赤だったと言った」と書かれていた場合などです。ここまで申し上げると、「2 他の証拠との矛盾で」と同じではないかという疑問が生じると思います。2の場合は、「他の証拠」が客観的なものであり、正しいことが前提です。昨日の例でいえば、信号が赤だったことは、客観的に明らかです。ですから、2の場合は、「証人は客観的に間違ったことを言っている」と主張するのが目的です。しかし、3の場合は、「調書」は、証人の言い分に過ぎませんから、内容が正しいかどうかは分かりません。先ほどの例でいえば、どっちも証人の言い分に過ぎませんから、犯行当時、信号が赤だったか蒼だったかは、客観的な証拠はありません。ただ、以前言ったことと矛盾する証言をしていること自体、証言に信用性がなくなります。ですから、3の場合は、「証人は、日によって言うことがコロコロ変わる」と主張するのが目的となります。このように、2と3は、主張内容が全く異なります。あと、3の派生として、欠落供述で殺 すというものがあります。人間の記憶は、時間が経つにつれて曖昧になるのが一般的ですから、法廷での証言より前に話した「調書」の方が、記憶が鮮明なときに作成されたといえます。それなのに、「調書」では語られていない重要なことが、法廷で突然証言として出てくるのは不自然であるといえますから、欠落供述は、自己矛盾供述の一種といえます。たとえば、とある殺人事件で、証人が、法廷で突然「犯行当時、信号は赤だった」と言ったものの、「調書」には、信号について言及が一切なかった場合があたります。そして、殺 し方には、手順があり、普通の自己矛盾供述については、C(commit=法廷証言は正しい)C(credit=調書を作った時も正しい)C(confront=自己矛盾供述とご対面)欠落供述のある自己矛盾供述については、C(commit=法廷証言は正しい)I(important=欠落部分は、重要な事実である)C(credit=調書を作った時も正しい)C(confront=自己矛盾供述とご対面)……といっても抽象的過ぎて分からないですよね。ということで、明日、具体的な手順をお示しします。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月17日

では、「2 殺 す反対尋問」についてお話しします。まずは、不利な事実を探します。このとき、有利な証言までも殺 そうとしてはいけません。(当たり前のようですが、うっかりやってしまう弁護士がいるそうです。)次に、殺 せる事実を探します。全ての事実が殺 せるとは限りません。殺 せない事実を殺 そうとして、失敗すると、逆に不利な事実を裁判官・裁判員に印象づけてしまいます。殺 し方は3通りあります。1 物語で殺 す2 他の証拠との矛盾で殺 す3 自己矛盾で殺 す「1 物語で」とは、証人が偏見もちだったり、嘘つきだったりする物語を示すということです。ただし、証人に「あなたは被告人に偏見を持っていますか」とか「あなたは嘘をついていますか」と聞かれて「はい」という訳はないので、「はい」と言えるような事実を積み重ねるしかないのです。たとえば、「あなたは、数日前、被告人と口論になりましたね」「あなたは、被害者から仕事をもらっていますね」など、偏見や嘘をつく可能性のある事実を聞いていく必要があります。「2 他の証拠との矛盾で」とは、証人の証言と矛盾する証拠を示すということです。示し方は、取り調べ済み証拠か否かで変わってきます。取り調べ済みの証拠に矛盾する場合、矛盾した証言を再確認します。たとえば、犯行当時、信号は赤だったとする客観証拠を持っていて、証人は「信号は青だった」と証言した場合、弁護人としては、「あなたは信号が青だったとおっしゃるんですね」と確認すれば足ります。実はそれで十分です。あとは、最終弁論で、「この証拠と、証人の証言は矛盾する」と指摘してあげればいいのです。取り調べ未了の場合は、若干異なります。矛盾した証言の再確認までは同じです。その後、検察官に開示するなどして、証人に適示が認められる状況を作り出します。そして、証人に確認してもらいます。「3 自己矛盾で」は明日にさせていただきます。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月16日

今日から反対尋問のお話をさせていただきます。反対尋問とは、弁護人がお願いしたわけではない証人に対する尋問です。大抵は、検察官がお願いした、被告人に不利なことを言う可能性が高い証人に対する尋問です。ですから、弁護人としては、証人を主役にさせる訳にはいきません。反対尋問の目的は、主尋問とは異なり、尋問者が主役です。尋問者が語るのです。証人には全て「はい」と言わせるだけでにとどめ、尋問者が言いたいことを言うのです。つまり、反対尋問では、誘導尋問を多用します。なお、事実を細かく聞くのは主尋問と同じです。ただし、評価や意見など、最終弁論で言えることは聞く必要がないとされています。まして、証人と議論する必要もありません。そして、反対尋問には2種類あると言われています。それは、1 活かす反対尋問2 殺 す反対尋問です。「1 活かす反対尋問」とは、反対尋問中に証人が有利なことを言わせるという物です。検察官がお願いしたとはいえ、稀には、証人が有利なことをいう場合があります。検察官がお願いした証人なのに、被告人に有利なことを言った場合、裁判官・裁判員は、それは真実ではないかと思ってくれる可能性が高いです。では、「有利なこと」とは何でしょうか。一つは、もちろん、弁護側のケースセオリーを支えてくれる事実です。ただ、これだけが有利なことではありません。検察側のケースセオリーと矛盾する事実も、有利なことと言えます。あと、検察官がお願いする証人が複数の場合、それらの証人の証言に矛盾があることも有利な事実と言えます。「1 活かす反対尋問」のやり方は、以下のとおりです。有利な事実を探す→尋問者がその事実の有無を尋ねる→証人に「はい」と言わせる。明日は、「2 殺 す反対尋問」についてお話しします。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月15日

主尋問・反対尋問では、物を使って尋問することが可能です。1 同一性確認のため、物を示すこと。2 記憶喚起のため、物を示すこと。3 供述明確化のため、物を利用すること。まず、「1 同一性確認のため」は、刑訴規則199の10で認められています。物の特徴を丁寧に証言してもらい、その上で物を見せます。たとえば、凶器の包丁をを見たという証人に対しては、包丁の種類、刃渡りの長さ、柄の長さ、刃の材質、柄の材質、刃の色、柄の色、長さ、材質、見たときの付着物の状況などを丁寧に聞いた上で、「あなたが見た包丁はこれですか?」と聞きます。「はい」と言われたら、「なぜ、そういえますか?」とだめ押しをします。いきなり包丁を示したのでは、誘導尋問と同じなので異議が出されてしまうでしょう。ちなみに、普通、ここで示すものは証拠申請の手続きを採っていると思いますが、何らかの理由で採っていない場合には、証拠の出所を示さなくてはなりません。示さないと、最悪、弁護人の捏造証拠と疑われても文句は言えないことになります。「2 記憶喚起のため」は刑訴規則199条の11で認められていますが、裁判長の許可が必要です。そこで、許可を求める発言をしなくてはなりません。「1 同一性確認のため」と同様、まずは、丁寧に質問します。そのうえで、どうしても記憶が蘇りそうになかったら「裁判長、証人の記憶喚起のためひつようがありますので、○○を証人に示して尋問する許可を下さい。なお、○○は、既に検察官にも閲覧してもらっています」といって下さい。このとき、うっかり、「○○を利用して」と言わないようにしてください。「記憶がないことに乗じて刷り込む気だ」と異議を出されてしまいます。さて、もっとも良く使うのが「3 供述の明確化のため」です。拡大地図に書き込みをしてもらったり、物を使って動作再現をしてもらうことは、比較的よく見かけます。これは、刑訴規則199の12で認められていますが、やはり裁判長の許可が必要です。まずは、証言だけで丁寧に証言してもらいます。そのうえで、今までの証言を明確にするために、物を使う許可を求めます。「裁判長、今の供述を明確にするため、○○を利用して尋問することの許可をください。なお、○○は、既に検察官にも閲覧してもらっています」こうして、たとえば、拡大地図を使う許可が得られたとしましょう。証人に書き込んでもらう必要がありますが、やはり、証人の方は緊張してらっしゃいます。そこで、行動を逐一指示する方がむしろ丁寧であり、証人の方も安心します。つまり、まずは「お立ち下さい」から始まり、最後は「お座り下さい」まで指示させてもらうのです。さて、証人に立っていただいたとしましょう。この段階では、拡大地図がなんなのか、裁判官・裁判員の方には、何となくしか分かりません。そこで、証人の方に、「これは何ですか?」と聞くのが第二手となります。そして、地図の説明をしてもらった後、証人の方に書き込んでもらうのですが、いきなり書き込まない方が無難です。まずは、一旦指で指し示してもらい、問題なければ書き込んでもらいます(つい、書き込みを省略したくなりますが、書き込んでもらった方が裁判官・裁判員には丁寧です。)指で指し示してもらうときも、「示して下さい」では証人を戸惑わせてしまします。「指で指して下さい」という方が丁寧です。書き込んでもらった場合、裁判所職員にデジカメ撮影してもらって、調書添付を求めたうえ、拡大地図自体は、評議室に持ち込んでもらうよう、依頼するのが良いとうことです。ところで、そもそも、拡大地図など、ビジュアルエイドを使うのは、「4 動作」に関する場面で使う方が良いです。ここぞという時に使うべきだそうです。私は、「3 舞台設定」の場面で使ってしまい、講師に注意を受けました。物を使って動作再現を求める場合もほぼ同じですが、動作再現を求める前には、より細かく動作を聞いた方が良いです。いい加減にして動作再現に入ると、挙動による誘導として異議が出されかねません。また、動作再現を求める場合、再度の質問はしない方が良いです。やはり、微妙に異なる恐れがあるからです。たとえば、被害者が被告人に棒で襲いかかったというのを再現してもらう場合で、棒で尋問する許可をもらったとしましょう。その場合「では、再度伺います。被害者は、被告人にどうやって殴りかかりましたか」などと聞かない方が良いのです。いきなり、「では、私が被告人役をやりますので、さきほどの証言のとおり、あなたが見たとおりに、殴りかかってください」と言ってしまって良いのです。なお、証拠で包丁が出されていても、安全上、証拠の包丁は使いません。模造刀を使うことになると思いますが、模造であることをちゃんと示さないと、フェアな印象を持ってもらえません。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月14日

たとえ5W1Hの形を取っていても、前提を欠いた質問は、誤導として異議が出されることがあります。たとえば、何の前提もなく「被告人は、なんと叫んでいましたか」と聞くのは誤導です。本当は、被告人は何も叫んでいないのに、被告人が何か叫んでいたことを前提にしているため、記憶をねじ曲げる行為にあたるから、許されないのです。この場合は、「それから、被告人はどうしましたか」と聞き、「何か叫んでいました」と答えてもらってから、「被告人は、なんと叫んでいましたか」と聞けるのです。また、証人尋問に限る話ではありませんが、耳で聞いて入りづらい言葉は可能な限り避けるということです。もちろん、冒頭陳述でも同じですが、冒頭陳述は、事前に準備ができます。証人尋問も、ある程度は準備できるものの、証人の反応によって、その場その場で変えなければならないため、つい、そういう気遣いを忘れがちになるのです。さて、最後に、コントロールの話です。ある程度準備できるとはいえ、証人は、おそらく法廷が初めての場合が多いので、緊張していることが多く、準備にないことを話し出すことがあります。ただし、聞き方によっては、そういうリスクを軽減することが出来ます。それは、見出しを活用するということです。「では、○○について聞きますね」と前置きすれば、証人も「○○」を外れたことは余り言わないでしょう。また、これは、裁判官・裁判人にも、質問の意図を明確に出来るというメリットがあります。同じ意味で、時間や場所を設定するのも有効です。いくら、オープンクエスチョンが良いからと言って、「では、犯行のあった日、あなたは何をしていましたか」と聞いてしまうと、証人は、「朝起きて、朝ご飯を食べて……」などと余計な説明を始めてしまいます。その場合には、「犯行時間の時、あなたは、何をしていましたか」と聞くのが良いのです。さらに同じ意味で、主語を欠落させて聞かない方が良いということです。質問者にとって主語が明確であっても、証人や裁判員・裁判官には明確でない場合が多々あるということです。その場合、主語をハッキリさせた方が、証人も裁判員・裁判官も誤解しないで済みます。あと、これは、私にとっては中々難しいテクニックなのですが、出来るだけ、当時の感覚で語ってもらうということです。「証人にとって初対面の2人が殴り合いをしており、後からそれが被告人と被害者だと知った」という場合は、「被告人と被害者が殴りあいをしているのも見ました」と証言してもらうより、「見知らぬ二人が殴り合いをしていました。後から聞いたところによると、その二人とは被告人と被害者でした」という方が臨場感が増します。あと、もし、証人自身に不利な事情がある場合は(証人が被告人の部下とか、証人自身証言が曖昧になってしまいるなど)、その不利な点を説明させ、証言の信用性には影響がないことを示す必要があります。後からばれると「やましいことがあるからこそ、黙っていたんだ」と思われ、信用性がががた落ちとなります。あと、くどいようですが、ループクエスチョンは最小限の方が良いとのことです。また、これは私がやったミスですが、ケースセオリーを良く練り込み、尋問事項に漏れがないようにすることは言うまでもありません。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月13日

さて、誘導尋問を避けた質問とはどんな質問なのでしょうか。「はい」や「いいえ」のように、答えが定まらない質問、いわゆるオープンクエスチョンです。オープンクエスチョンの代表例は、5W1Hです。「いつ、だれが、どこで、なにを、なぜ、どのように」を聞くのが基本です。あと、応用として、「○○について説明してください」「○○について述べてください」もあります。どうしても、良い質問方法が浮かばない場合には「それから、どうしましたか」でも、良いですが、証人が何を話し出すか分からないという意味で、若干リスクのある聞き方です。(ですが、誘導尋問しか浮かばなくなったら、使わざるを得ませんね。)ただ、「それから、どうしましたか」を繰り返すのは止めた方が良いと言うことです。「それから、どうしましたか」と聞いた後は、5W1Hの質問をするべきだそうです。弁護人「それから、どうしましたか」証人「私は、救急車を呼びました。弁護人「何時ころ、呼びましたか」(when)証人「21時ころです」弁護人「どこで、呼びましたか」証人「犯行現場です」(where)弁護人「どうやって、呼びましたか」(how)証人「自分が持っていた携帯電話です」という具合だそうです。また、全体から細部へという発想も持つべきということでした。弁護人「被害者は、どうしましたか」証人「被告人を殴りました」弁護人「被害者は、どの手で殴りましたか」証人「右手です」弁護人「どのように殴りましたか」証人「拳を握りしめ、振りかぶって殴りました」弁護人「何回殴りましたか」証人「1回です」というかんじです。ついつい、重要な事実だけを確認して次に行きたくなりますが、重要な点こそ丁寧に聞かなければならないのだそうです。細かい行動を丁寧に追う必要があります。ただ、ここでも忘れてはいけないのは、不要な点は聞かないということです。たとえば、いくら丁寧に聞こうといっても、「被害者は、どの指に指輪をしていましたか」などとは聞く必要はありません。なお、この時にも、感情を聞くのは、臨場感を増して良いそうです。弁護人「それを見たあなたは、どう思いましたか」証人「ちょっとやりすぎじゃないかと思いました」などです。このとき、さらに、理由を聞くと良いでしょう。弁護人「なぜ、そう思ったのですか」証人「殴られた被告人は、フラフラしていたからです」というかんじです。一般論と同じく、結論から理由を聞くという方法は、証人尋問でも有効です。また、感情的を聞く質問は、典型的な5W1Hではないため、単調化を防ぐという二次的なメリットもあります。私は、よくやってしまうのですが、単に5W1Hを繰り返すあまり、質問が単調になってしまいます。たとえ、5W1Hの繰り返しをしなければならいとしても、少しずつ文言を変えたり、回答を咀嚼して聞くという方法が有効であると教わりました。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月12日

さて、今日はどうインタビューするかという点についてお話しします。実は、この「インタビュー」というのが言い得て妙ですね。普通のインタビューでも、インタビュアーが目立つことは御法度です。あくまで、インタビューを受ける側が主役だということを忘れてはいけません。くどいようですが、証人には、ストーリーを語ってもらうように聞かなくてはなりません。そして、証人の個人的な意見や推測は、真実とは無関係なことが多い、基本的には事実を語ってもらいます。何を見たのか、何をしたのかを語ってもらいます。ただし、証人が何を思ったかというのは、どんな感情を抱いたかという事実であるうえ、臨場感を増すことになるので、適宜織り交ぜると効果的です。たとえば、被害者がヤクザで怖い人であるということを出したいと思ったとき、、×「あなたは被害者がどんな職業の人だと考えましたか」→これは推測を聞いているので、NGです。○「あなたは、被害者を見てどう思いましたか。」→これは、感情を聞いているので、OKです。また、裁判官・裁判員に分かりやすいように、短く聞きます。そして、重要なことですが、原則として誘導尋問をしないということです。誘導尋問とは、質問の中に答えが含まれている質問です。質問の中に答えが含まれているということは、質問者の期待する答えを、証人に暗示させることになり、記憶をねじ曲げるもとなので、原則として許されていません。たとえば、「被害者は、どんなお酒を飲んでいましたか?」は誘導尋問ではありません。しかし、「被害者は、ウイスキーを飲んでいましたか?」だと、質問の中に「ウイスキー」という答えが含まれているため、誘導尋問です。要するに、「はい」か「いいえ」で答えられる質問は全て誘導尋問と考えていただいて構いません。ただし、争いのない事項については、裁判官・裁判員を飽きさせないように、誘導尋問をすることが許されています。では、どう聞いたら良いのかというのは、明日にさせていただきます。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月11日

本日は、主尋問の方法についてお話いたします。主尋問の方法を端的に言えば、1 物語を構成し、2 インタビューし、3 コントロールする。だそうです。ここで言う「物語」とは、ケースセオリーの全部または一部を指します。もちろん、ケースセオリーの全部を語ってくれる証人が居れば全部を語ってもらうのですが、なかなかそうは行きません。普通、証人は、ケースセオリーの一部しか語れません。ただし、いずれにせよ、ケースセオリーだけを語ってもらうのではありません。たとえば、証人に「犯行時間、被告人はトイレに行っていました」とだけ語ってもらっても、説得力はありません。セオリーとしては、1 自己紹介2 導入3 舞台設定4 動作の順で聞くのが良いとされています。「犯行時間、被告人はトイレに行っていました」は、「4 動作」しか語っていないので、説得力がないという訳です。「1 自己紹介」とは、証人がどんな人かを語ってもらうというわけです。職業、年齢などを語ってもらい、証人が普通の一般人であり、信用に値する人物であることを裁判官・裁判員に分かってもらいます。「2 導入」とは、証人がどの点で事件と関連しているのかを語ってもらいます。「犯行時に犯行場所に居た」などを話してもらいます。ただ、普通は、冒頭陳述で、「犯行時に犯行場所にいた証人に証言してもらいます」などと、注意喚起をしているはずなので、最小限で足ります。「3 舞台設定」というのは、主に犯行現場の背景を語ってもらいます。これを欠くと、状況が裁判官・裁判員に伝わらず、臨場感を欠き、なかなか証言を理解してもらえないということになります。たとえば、「犯行時間は○時くらい。犯行現場には、お客が○人いた。明るさは、○○くらい」などです。(私は、これを省略してしまう癖があって、何度も講師に注意されました。)ただ、場合によっては、人物も「3 舞台設定」として聞くことがあるかも知れません。年齢、体格、体臭、顔の表情なども、聞いた方が良いでしょう。なお、その際は、ビジュアルエイドを使うのも有効です。犯行現場の見取り図などを拡大コピーして裁判員の皆様に見せるのは有効だそうです。もちろん、このときには、裁判員全員に見える工夫をは必須です。たとえば、ついビジュアルエイドの前に立ちっぱなしになりがちですが、注意されたいということでした。ただ、気をつけなくてはならないのは、細部は捨てるということです。たとえば、明るさに問題がない場合には、照明の種類だけ聞いて、それ以上のことは聞く必要はありません。たとえば、「犯行現場にはシャンデリアがありました」という証言が引き出され、特に明るさには問題がない場合には、「シャンデリアの形はどうでしたか」とか「シャンデリアについている電球の個数は何個ですか」とは聞かなくて良いのです。「4 動作」というのは、まさに、何があったかを聞く場面です。なお、「3 舞台設定」を聞いているうちに証人が「そのとき、被害者が○○しはじめました」などと話し出すこともあります。その場合には、慌てず、「その点については、後で聞きますね」と言って、舞台設定の話に戻して下さい。また、可能な限り、証人に動作再現をしてもらうことは有効ということでした。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月10日

本日からは、主尋問についてお話しいたします。主尋問とは、自分がお願いした証人に質問をすることです。ですから、弁護人のする主尋問とは、被告人に有利な証言をしてくれる人に対する質問か、被告人本人に対する質問をいいます(厳密には、被告人は「証人」になれませんし、被告人に対する質問は「主質問」ですが、混乱を防ぐため、敢えて区別はしません。)当然ですが、自分のお願いした証人の話を、裁判官や裁判員が信用してくれなければなりません。そこで、主尋問の目的は、証人自身にストーリーを語ってもらうということです。弁護人が語らせたように思わせてはいけないということです。弁護人が語らせたように思わせたら、証人を呼んだ意味が無くなってしまいます。ベストな主尋問は、あたかも証人自身が語ったかのように裁判官・裁判員に思わせる主尋問ということでした。つまり、裁判員が聞きたいと思うことを、スムースに、出しゃばらずに聞かなければなりません。ですから、質問者である弁護人は、黒子に徹しなければなりません。つまり、立ち位置としては、裁判員から目立たない位置に立つことが必要です。万一、裁判員から見えない場所があれば、そこに立つのがベストです。(講師の先生いわく、「書記官席で尋問したいくらい」ということです。)声も、証人の声より目立つことは避けなければなりません。(ただし、質問者の声が聞こえないと、証人が何を言いたいのか分からなくなるので、最低限、裁判員・裁判官に聞こえる声を出す必要はあります。)また、感想・合いの手・相槌は不要です。たとえば、弁護人「そのとき、あなたは何を見ましたか?」証人「被害者の死体です」という問答の後、弁護人「それは、大変でしたね」→×弁護人「はい」→×弁護人「なるほど」→×ということです。いずれも、弁護人が出しゃばった印象になり、証人に語らせたことになりません。同じ理由で、ループクエスチョンも避けた方が良いということです。ループクエスチョンとは、直前の回答を、直後の質問に入れて聞くことを言います。たとえば、先ほどの問答の後に、弁護人「死体を見たあなたは、何をしましたか。」→△証人「救急車を呼びました」弁護人「救急車を呼んだあなたは、次に何をしましたか」→△証人「被害者に人工呼吸をしました」弁護人「人工呼吸をした結果、被害者はどうなりましたか」→△証人「息を吹き返しました」という具合です。ただ、「△」なのは、特に印象づけたい場合には、少しだけ使うのはアリということだからです。上の例の場合、証人が被害者を助けようとしていたことを印象づけたい場合には、「○」ということになります。それ以外であれば、「×」となるでしょう。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月09日

冒頭陳述でも、特に注目してほしい事柄をA1くらいに拡大して、裁判員に見せることは認められています。たとえば、特に重要な事柄を箇条書きにして「1 ○○ 2 ×× 3 △△」というA1の紙を見せても良いですし、場合によっては、地図を拡大して見せることもあるでしょう。あるいは、パワーポイントで見せるということもあるでしょう。これらのように、証拠そのものではないが、裁判員の理解を促進するために裁判員に見せるものを、総称して、「ビジュアルエイド(視覚資料)」といいます。「視覚的な」理解の「助け」という意味だと思います。ただし、その場合、ビジュアルエイドは、必要がある場合にのみ見せて、必要がなくなったら下げる必要があるということです。下げないと、裁判官・裁判員の注意は、ずっとビジュアルエイドに行ってしまい、弁護人の話に注目してくれなくなってしまうからです。また、つい、弁護人がビジュアルエイドに注目してしまい、裁判員の方を向かずに話してしまうこともあるので、注意されたいということでした。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月08日

ここまでご説明申し上げると、冒頭陳述は、弁護人の意見を述べる場なのであろうかという疑問をお持ちの方も出てくるでしょう。しかし、それは誤りであるということです。何度か申し上げましたように、冒頭陳述で述べることは、証拠によって証明しようとする事柄です。証拠によって証明できる事柄であれば、それはもはや個人的な意見ではなく、客観的な真実です。したがって、弁護人は、冒頭陳述で意見を述べるのではありません。「これが真実である」という説明をするのです。ですから、「弁護人はこう思う」では、真実であるとは説得できません。また、「弁護人は主張するから、裁判員の皆さんは公平に判断してください」でも、まだ不十分です。「弁護人の主張=真実である」と納得してもらわなければならないのです。求めるのは、判断ではなく、納得です。そこで、冒頭陳述では、「弁護人は」という主語を用いない方が良いということでした。「弁護人は」というと、どうしても、個人的意見という色彩が出てしまうからです。また、同様の理由で、弁護人の推測を入れるのも良くないです。証拠で立証できない推測を入れてしまうと、説得力が落ちてしまいます。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月07日

昨日までで、冒頭陳述は、ストーリーに乗って事実を語り、最後に証拠についての注意喚起をすると申し上げました。もう一つ、弁護人が話しておくべきことがあります。それは、立証責任です。「疑わしきは被告人の利益に」という言葉どおり、有罪の立証責任は、全て検察官にあります。無罪の立証責任が弁護人にあるわけではありません。有罪を立証できなかったら、無罪にしなくてはならないのです。これは、「無実の人を間違って処罰することだけは、絶対避けなければならない」という価値判断に基づきます。無実の人が処罰される社会は、今、このブログを読んでいる皆様が処罰されるかも知れない社会であり、安心して生活できなくなるからです。裁判員の方にもこのことを知ってもらうべく、立証責任についても触れる必要があります。ただし、通常は、事前に裁判官が説明してくれていますので、軽く触れるだけで十分ということです。なお、立証責任に触れる際には、正確にやらないと、検察官から異議がでる可能性があるということです。ちなみに、裁判官が説明してくれる内容は、統一基準があって、インターネットでも公開されていますから、是非、皆様もご覧下さい(PDFです)。http://www.courts.go.jp/saikosai/vcms_lf/80101018.pdf応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月06日

昨日は、冒頭陳述では事実を語るといい、証拠の価値について語らないといいました。しかし、事実を語るだけでは、結局、どんな証拠に基づいて立証するのかが分かりません。したがって、どんな証拠が出てくるかは、説明する必要があります。というのも、一般的な説得のプロセスは、「注意喚起→理解→同意・共感→行動」であるとされています。それを、裁判員裁判に当てはめると、「冒頭陳述→証拠調べ→最終弁論→評議」となります。(評議とは、判決を考えるための、裁判官・裁判員の話し合いのことです。)したがって、冒頭陳述でも、「注意喚起」をしなくてはなりません。たとえば、「被告人の話には耳を傾けて下さい」とか「目撃者の話はちゃんと聞いて下さい」とか「店内の防犯ビデオとその時間はちゃんと確認してください」位はいう必要があります。ただし、くどいようですが、証拠の価値までは語りません。なお、「注意喚起」は、最後に纏めて行う方が聞きやすいようです。つまり、初めに事実をストーリーとして語り、最後に纏めて証拠の注意喚起をした方が、ストーリーがぶつ切れにならず、頭に入っていきやすいとのことです。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月05日

昨日は、冒頭陳述の目的についてお話ししました。今日は、冒頭陳述で何を語るかについてお話しします。昨日も申し上げましたように、冒頭陳述は、証拠によって証明しようとする事柄を話します。つまり、事実を語るのです。ただし、事実を箇条書きに語っても意味不明になってしまいますから、以前申し上げた「ケースセオリー」に沿った事実を述べるのです。たとえば、「被告人は、犯行場所でお酒を飲んでいました。」「被告人は、ビールが大好きで、犯行時間までに中ジョッキで5杯も飲んでいました。」「犯行時間直前、被告人はトイレに行きました。」「トイレから戻ってきたら、被告人は、血まみれの被害者を発見しました」「被告人は、救急車を呼びました」という具合です。このように、事実だけを、ストーリーに沿って語ります。証拠の価値については語りません。なお、「事実を述べる」といって、「トイレから戻ってきたら、被告人は血まみれの被害者を発見しました」だけでは、前後関係が分からず、説得力がないので、ちゃんと前後のストーリーを語る必要があります。冒頭陳述は、裁判の初めに行われますので、もちろん、裁判官・裁判員は証拠を見ていません。ですから、「指紋の写真は捏造です」「証人は嘘つきです」と言っても、裁判官・裁判員には、何が何だか分かりませんから、証拠の価値については語っても無意味なのです。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月04日

ブレインストーミングが終わると、次は、冒頭陳述の研修です。冒頭陳述とは、これから裁判で、証拠によって証明しようとする事柄の説明をいいます。全ての刑事裁判では、裁判の最初に、検察官が冒頭陳述をすることになっています。そして、裁判員裁判では、検察官の冒頭陳述の後、弁護人も冒頭陳述をします。弁護人の冒頭陳述の目的は、裁判官・裁判員の方に、「ひょっとしたら、弁護人の主張する方が真実ではないのか?」という疑問を持ってもらうことです。まだ、証拠を見せていないので、確信を持ってもらうことは不可能ですが、「ひょっとしたら?」と思ってもらうところまでは、不可能ではないのです。その例として、興味深い例を教えてもらいました。通称「弱い犬冒頭陳述」です。ある夫が、妻の浮気相手を、意識的に自動車で轢いたので、夫は殺人未遂罪で起訴されました。その夫は、事件前、被害者に対し「殺 してやる」というメールを何通も送っていました。そこで、検察官は、冒頭陳述で、「夫は『殺 してやる』というメールを何通も被害者に送っていました。殺意の現れです」といいました。これに対し、弁護人は、冒頭陳述で、「弱い犬ほどキャンキャン吠えるだけです。夫は弱い犬です。『殺 してやる』というメールは、キャンキャン吠えているだけで、殺意のないことを示すのです」といいました。この冒頭陳述だけでは無かったでしょうが、この事件では、殺意は認められなかったということです。このように、冒頭陳述は裁判官・裁判員の方に、「ひょっとしたら、弁護人の主張する方が真実ではないのか?」という疑問を持ってもらうことが目的だということです。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月03日

まず、裁判員裁判研修で行うことは、「ブレインストーミング」です。ここで言うブレインストーミングとは、被告人に有利なことを思いついたら何でも挙げ、その後、被告人に不利なことを思いついたら何でも挙げるというものです。ブレインストーミングは、約50人の受講者全員で行い、各受講者は、思いつき次第、挙手をして、発言します。しかも、発言しっぱなしで良く、一切批判はしません。ひたすら、思いついたことを話していくのです。そうやって、自由に発言することによって、漏らしがないようにするわけです。発言が出尽くしたら、被告人に最も有利なもの3つと、最も不利なもの3つを、多数決で決めます。そうして被告人に最も有利なもの3つを軸に、弁護人として主張するべきストーリーを考えます。これを、ケースセオリーといいます。被告人が無罪を主張している事件において、被告人に不利な証拠を批判するだけでは、裁判官も裁判員も、被告人が無罪であると信じてくれません。「本当は何があったのか」と、筋道立てて、ストーリーとして説明しないかぎり、信じてもらえません。たとえば、最も分かりやすいケースセオリーは、「犯行当時、被告人は、別のところに居た」などのアリバイの説明です。あるいは、「犯行当時、犯行場所にいたが、トイレに行っていたので、被告人は犯人ではない」などもケースセオリーといえます。このように、「被告人は、本当はこんなことをしていた」ということを説明しないと、無罪とは信じてもらえません。ですから、弁護人は、ケースセオリーを考える必要があります。ただし、そのケースセオリーは、被告人に最も不利もの3つを合理的に説明できなくてはなりません。被告人に最も不利なもの3つを説明できないようなケースセオリーは、弁護人の独りよがりなケースセオリーだと思われてしまい、説得力がなくなります。たとえば、犯行場所に指紋がある場合には、「犯行当日より前に、被告人は、犯行場所に行ったことがある」などと説明できなければなりません。「犯行場所に指紋があることは事実である。しかも、被告人は、犯行当日より前に犯行場所に行ったことはない。しかし、被告人は、犯行当時トイレに行っていたから犯人ではない。」では、説得力に乏しいのです。このように、ブレインストーミングによって、被告人に有利な事実、不利な事実を漏らし無く把握し、その中でも重要なことを軸に、どのように裁判官・裁判員に説明するのかを検討します。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月02日

先日、私は、裁判員裁判研修を受けて参りました。この研修は、NITA型研修の発展版とでもいうべきものでした。NITA型研修とは、架空の事例が渡され、それについて冒頭陳述・証人尋問・被告人質問・最終弁論を考え、講師の前で実演し、講師から内容について簡単な批評をもらいます。そのうえ、実演内容をビデオに撮ってもらい、実演中の自分の動作について、別の講師に費用をもらうというものです。普通のNITA型研修は、時間の都合で、実演時間はごく短時間にとどまることが多いです。しかし、今回の研修は、3日間みっちり時間が取られていますので、実演時間は、実際の裁判とほぼ同じ時間となりました。したがって、自分がベストだと思う内容を全て講師に聞いてもらうことになるため、内容についての講評も丁寧なものになります。つまり、今回の研修は、内容も動作も、両方とも丁寧にチェックしてもらえるという、盛りだくさんの研修でした。翌日以降、研修の内容について、備忘録代わりにお話させていただきたいと思います。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月01日
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