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さてしばらくこのブログを更新していなかったので、今日から数回に分けて、この2年間で行った当院の設備投資についてまとめておこうと思います。 まずは昨年2017年のことですが、日本のトプコン社の最新型のOCT(3次元眼底撮影装置)である、 スウェプトソースOCT DRI OCT Triton(トリトン) を導入しました。 このOCTと言うのは現代の眼科医療においては既に無くてはならない必須機械となっており、当院でも2011年に同じトプコン社のOCT2000というマシンを導入していたのですが、今回新しく入れたトリトンは飛躍的にその能力が向上しています。特に緑内障の診断能力が以前のマシンから較べると10倍くらいになっており、それが買い替えの決め手となりました。 眼科の検査機械の進歩と言うのは、本当に凄いものなんですね。
2018.05.12
本日で当院は開業10周年を迎えました。 お祝いでお花を戴きました。有難う御座います。 さてこの10年間を振り返って見ますと、開業時のスタッフも半数以上がそのまま今でも勤務してくれていますし、楽しくて明るい雰囲気のクリニックを維持し続けて来れたことが一番嬉しいなあ、と思っています。 そして、この10年間は以下の事を意識してクリニックを運営してきました。1. 院長である私がとにかく仕事を楽しむ。そして居心地の良い、雰囲気の良い院内環境を作り出すことを常に意識して、スタッフには働きやすい、患者様には明るくて受診しやすいクリニックであり続ける。2. 眼科医療の世界は変化と進歩がとても早い。当然検査機器や手術機械などもどんどんどんどんと進化する。そのため常に基幹病院と同等レベルの検査・診断・治療が出来るように、設備投資への出費を怠らず、むしろ意識してやや過剰なくらいに積極的な投資を行い、常に最新の医療機器を整え続ける。3. 院長である私自身が常に眼科医療に関しての知識を最新の状態にアップデートし続けることが患者様のために何よりも大切。何故なら自分が患者さんだったら不勉強な医者になんか絶対にかかりたくないから。そのため、可能な限り多くの勉強会・学会に参加し倒して、極限まで学び続ける。 これからもスタッフ一同常に研鑽を欠かさず、地域の皆様の役に立つクリニックであり続けることが出来るように努力を重ねて行こうと思います。
2018.05.07
今の白内障手術と言うのは技術的にはほぼ完成し尽しており、手術後には眼底(目の奥の網膜)に異常がなければ高い確率でよく見えるようになります。 でも、手術をしたらしたで、また「別の問題」が発生することもあるんですね。今日はそういったお話をちょっとして見ましょう。 白内障手術後に患者様からよく聞く訴えの一つに、 「手術が済んだら、顔のシワが増えた。」 というものがあります。特に女性に多いですね。 これは別に術後に急にシワが増えたわけではなく、それまでは白内障があって自分の顔の詳細が良く見えていなかったのが、手術が済んだらはっきりくっきり見えるようになって、それで急にシワが気になるようになってがっかりしたというお話です。 もう一つ多いのが、 「手術が済んだら、家中がほこりだらけで愕然とした。」 というものです。 これも、手術前には白内障のせいで家の中の細かい汚れが見えなかったのが、手術後に急に気になりだしたというお話です。この場合には、 「頑張って掃除をしまくっていたら、今度はぎっくり腰になってしまった。」 というのも、たまに聞くお話です。(笑) このように、白内障の手術後には良くも悪くも見え方は激変します。もしかすると、「手術をしない幸せ」というものもあるのかも知れないですね。
2017.12.11
いよいよ12月ですね。当院は四国有数の漁港である愛媛県八幡浜市の国道197号線に面した超一等地に立地することもあり、毎年頑張ってイルミネーションをしています。今年2017年もスタッフの尽力で、先日から冬のイルミネーションを開始しました。 今年は新アイテムを大量に追加し、例年よりもラグジュアリーでエレガントな出来栄えとなりました。 皆様もご覧になったら、イルミネーションの感想を是非聞かせてくださいね。
2017.12.04
緑内障で眼圧を下げる目薬を点して頂いている患者様から、 眼圧を目薬で下げすぎたらヤバくないですか? と言う質問を頂きました。 なかなか鋭い視点ですね。今日はこの問題について考えて見ましょう。 私たちの目の玉はボールのようなものなので、眼圧が低すぎるとペコペコになってしまいます。そうですね、最低でも5mmHg(単位はミリメートル水銀柱)程度はないと、「低眼圧黄斑症」といって視力が下がってしまいます。その意味では確かに「眼圧は下げ過ぎたらヤバい。」のは事実なんですね。 ところで緑内障の方の眼圧についてですが、12mmHg(単位はミリメートル水銀柱)以下にコントロールできると視野障害の進行がグッと抑制できることが知られています。そのため私達眼科専門医は常にこの数字を念頭において患者様の治療に当たっていますが、現実的にはそこまで眼圧が下がらない方が多いです。 その理由ですが、実は目の中の水の出口(上強膜静脈)の眼圧が大体8mmHgなので、目薬だけの治療では理論的には最大でもそこまでしか下がらないのです。 なので、目薬の治療だけでペコペコになるほどに眼圧が下がり過ぎるということはほとんどないと考えて頂いてよいと思います。つまり、 目薬だけでは(悪い意味で)ヤバいレベルまでは眼圧は下がらない ということなんですね。
2017.11.21
角膜に潰瘍が出来てしまいなかなか治らない患者様がいらっしゃいました。 目の状態は上の写真の様な状況で、見ただけで大きな潰瘍(写真で緑色に染まっている部分)があるのが分かりますね。 これは「周辺部角膜潰瘍」という病気で、自分で自分の目を攻撃してしまっている状態です。ステロイドの目薬を使えばすぐに治ることが多く、私達眼科専門医にとっては一般的にはそれほど難しい病気ではありません。 ところが、この患者様、とにかく全然良くならないのです。目薬を変えてみたり色々と作戦を練るのですが、全然潰瘍が小さくならず改善しません。 「潰瘍部に凶悪なばい菌が住み着いていてそれで治らないのかな? それとも自分の見立てと違う何か違う病気なのかな? これは困ったな。」私も段々と焦りの色が強くなっていきます。 そんなある日、患者様を診察していると、かなり強く目を閉じる癖があることに気付きました。「もしや?」と思って患者様に自分で目薬を点してもらうと、 点眼した瞬間に目を強く閉じてしまっており、実際には目薬が全く目に入っていませんでした。 つまり、この患者様はちゃんと目薬を点せていなかったせいで、それで全く治らなかったのです。 そこで、この日からは奥様に代わりに目薬を点してもらうようにしたところ、 潰瘍はほんの数日で見る見る良くなりました。 大変勉強になる、そして印象に残る出来事でしたね。
2017.01.15
患者様から、「赤ちゃんってちゃんと見えているの? 視力は具体的にどのくらいなの?」という質問を受けました。今日はこの問題について考えて見ましょう。 私達人間は、黄班部(おうはんぶ)というところで物を見ています。ところがここが成熟するのは生後8~12ヶ月前後と言われており、生まれたての赤ちゃんはまだ黄班部がきちんと発育していないため大人の様にはキチンとは見えません。 ただし周辺部の網膜はそれなりに発達しているため全く見えないと言う訳でもありません。視力でいうと0.02程度はあると考えられています。なので 赤ちゃんに話しかけるときにはニコニコとオーバーリアクションが必要 です。そうしないと赤ちゃんには見えないんですね。 ちなみにまだ言葉がしゃべれない赤ちゃんの視力をどのようにして測るかと言うと、縞模様に反応しやすいという赤ちゃんの性質を生かして、 PL法という特殊なやり方で測定します。 そして0.02程度だった赤ちゃんの視力は、1歳で0.1、3歳で0.5、4歳で1.0とみるみる発達していきます。びっくりするほどに凄いスピードで目は成長していくんですね。
2016.10.17
しばらく前のヤフーのトップニュースに、 視力矯正するレーシック手術が激減! その真相を探ってみると、、、 と言う興味深い記事がありました。 この記事によると、 平成20年に45万件施行されていたのが、平成26年にはなんと5万件!と9分の1にまで落ち込んだ ことが指摘されています。 レーシック手術の件数が激減した理由については以前から色々と考察されています。一般的に良く言われていることを列挙すると、 1. 銀座眼科という東京都中央区にあったレーシック専門クリニックで多くの方が角膜感染症を発症すると言う「集団感染事件」 があり、これがマスコミで大々的に報じられたことによって「レーシックはどうやら怖い手術らしい」とのイメージが国民の間に急速に広まった。 2. その後消費者庁から レーシック手術に関する注意喚起 の文書が出され、それによって「やっぱり凄く危険な手術なんだ。」という認識が国民の間で一般的となった。 3. この数年でソフトコンタクトレンズの技術革新が急速に進み、シリコンハイドロゲルレンズという「ほとんど裸眼と一緒」と言って良い位に角膜に多くの酸素を供給してくれる安全で快適なレンズが普及したことによって、レーシック手術を受けなくても目の乾燥感無く良好な矯正視力を得ることが出来るようになった。 などが挙げられます。 それ以外にもネットで良く言われている言説に、 「レーシック手術が安全だと力説している医者が、何故か自分自身はメガネをかけている。その理由はきっとレーシックに色々な危険性があるからだろう。本当に安全なら自分もとっくにレーシックを受けているはずだ。」 と言うような、 「素朴だがなかなか鋭くて説得力のある意見」 もあります。(笑) そして上記の理由が相乗効果を上げて今の「レーシック手術冬の時代」を迎えているのですが、私が考えるのにはもう1つ大きな理由があります。 それは、 日本の医療は元々総合力で世界1位(世界保健機関(WHO)と経済協力開発機構(OECD)の報告書による) であり、 しかも国民皆保険制度の下で1割~3割の負担額でそれを享受できると言う「夢のような状況」 なので、レーシック手術のような負担額10割の自由診療が広まるハードルが極めて高いと言うことです。 レーシック手術自体は極めて洗練され安全でかつ患者様満足度の高い良い手術なのですが、負担額が最高でも3割の保険診療の3倍以上のクオリティがあるのか?と言われると、「うーん、それはどうかな?」ということになってしまっているのではないかと思うのです。 つまり、ここ日本でレーシック手術が激減したのは、そもそもの「日本の保険医療制度の実力のとてつもない、尋常でない高さ」 が影響しているということなんですね。
2016.09.08
目の神経が圧迫されて傷むことにより、見える範囲が欠けてきて最後は失明に至る恐ろしい病気の緑内障。 40歳以上の20人に1人、70歳以上ではなんと7人に1人! という大変頻度の高い病気なのですが、 緑内障患者様の10人に9人は未発見で放置されているのが現状 で、「なんだか最近目が凄く霞む。おかしいので来た。」と カジュアルに来院され、突然に失明寸前の末期の緑内障が発見されて途方にくれて立ち尽くされるという悲劇 が後を絶ちません。 ところでこの緑内障、 治らない 失明してしまうというような非常に怖い病気であるというイメージがとても強い のですが、実は同時に、 治療をすればするほど得をする 病気でもあるのです。いったいどういうことなのか説明しましょう。 私たち人間は生まれた時には目の視神経が約120万本あります。これが半分の約60万本以下になると視野(見える範囲)が欠けてきて緑内障になります。 そして、なぜかあまり一般に知られていないことなのですが、 この視神経、生きているだけでどんな人でも年に5000本くらいは自然に減っていく のです。でもこのくらいの減り方なら100歳になっても視神経が70万本残っているわけで元気に目を使って頂けます。ところが 緑内障の方は視神経が弱いので年に20000~30000本減ってしまいます。 仮に年に20000本減る方だと60歳時点で視神経は残り0本、すなわち失明ということになってしまいます。 さてここからが本題ですが、放っておくと年に20000本の視神経を失ってしまう緑内障患者様がここにいるとして、頑張って毎日眼圧を下げる緑内障の目薬を点します。するとこの 失う視神経の量を自然減の年間5000本に抑え込むことが出来る のです。 1年だと20000-5000=15000本、 1日だと約400本の視神経を余分に守り抜くことが出来た、得をした ことになります。そしてこの 得をした目の貯金が積み重なると、物凄い差 になります。 つまり、 緑内障の治療はすればするほど、目の寿命が延びて得をする ということなんですね。
2016.08.06
さて当院で最新型の インテグラ プロスキャンレーザー光凝固装置(イエロー&レッド) というパターンレーザーを導入してしばらく経ちました。 今日はこの新型のパターンレーザーと従来型のレーザーとで、どのように手術痕が違うのかを実際に見てみましょう。 これが新旧レーザーの移行期に、糖尿病による合併症である網膜症(DMR)の進行予防のための汎網膜光凝固(PRP)を施行した患者様の眼底写真です。小さな粒粒が見えると思うのですが、その1つ1つがレーザーの手術痕となります。 次に新旧のレーザー痕を図解してみます。 新型のパターンレーザーの方が手術痕が均質で焼けムラが少ない のが見て頂ければすぐに分かると思います。 コンピューターで高度に制御されているからこその美しさ ですね。また従来型のレーザーは1発当たり0.2秒のレーザー発射時間が必要で、そのためにレーザーによる痛みや術後の網膜の腫れを起こしやすかったのですが、新型のレーザーは1発当たり僅か0.02秒しかレーザーを発射しないので、 レーザー時の目の痛みがほとんどなく、かつ術後の合併症も激減 します。素晴らしいマシンの進歩ですね。 このように良い事ばかりの新型パターンレーザー装置と共に、これからも皆様の目の健康維持のためにスタッフ一同頑張って参ります。
2016.07.26
義眼の方の目の中はどうなっているんですか? と言う質問を患者様から頂きました。 義眼は怪我や病気などで眼球を摘出せざるを得なかったり眼球の中身を取る手術をした場合に、 眼球があるように見せるために入れる扁平な楕円形のもの で合成樹脂で作られています。ほとんどは反対側の元気な目に合わせて色や形を整えて1つ1つオーダーメイドで作ります。 それでは実際に見てみましょう。 非常に綺麗に義眼が入っていますね。 これを外すと、、、、、 中は空洞 になっています。この空洞(結膜嚢:けつまくのう)の状態に合わせて1人1人の患者様にぴったりの義眼を作っているので、パッと見では義眼と分からないことも多いくらいなんですね。
2016.07.15
最近の検査機器の進歩によって PPG (Preperimetoric glaucoma : 視野障害前緑内障) と言う概念が急速に広まってきています。これは、 視神経に緑内障性変化を認めるものの視野異常を認めない状態 のことです。 私達人間には目の視神経が元々120万本あります。そして大雑把に言うとこれが半分の60万本を切ると視野(見える範囲)が欠けてきて緑内障発症ということになります。 そして視神経に異常がありそれに一致する視野欠損があれば、どこからどう見ても立派な緑内障で当然に治療開始と言うことになる訳ですが、例えば今の視神経が残り70万本位で思い切り緑内障性の視神経変化を認めるけれども、視野検査では色々な検査法を駆使してチェックしてもまだ完全に正常であると言うことは臨床上非常に良くあります。つまり、 視野検査と言うのは「もどかしい位に非常に感度が低い検査」 なんですね。 分かりにくいので、具体的にPPGの症例を見ながらお話をしましょう。 これはある患者様の目の視神経をOCTという機械で解析したものです。上の図の左側が右目の神経の状態を示しているのですが、良く見ると下側に色が赤いところがありますね。これはその部分の視神経が減ってきていることを示しています。この状態で視野検査をしましたが全く正常でした。患者様は同時に高眼圧症と言って眼圧が非常に高い状態だったのですが、治療を希望されなかったのでそのまま様子を見ることになりました。。。。。。 さてこれが同じ患者様の 2年半後の写真 です。赤い部分が少しだけですが明らかに広がっていますね。 視神経が更に減ってしまった のです。ただ この段階でも視野検査はまだ完璧に正常 です。でも眼圧は25前後(正常値は10~21mmHg:単位の読み方はミリメートル水銀柱)と非常に高い状態が続いていました。眼圧が高いと視神経が非常に痛みやすいこと、またこの2年半での視神経の減り方を考えると今後数年以内に極めて高い確率で視野異常が出てきて「どこからどう見ても立派な緑内障」に移行するであろうこと、これが仮に私自身の目だとしたら絶対に目薬を使うことを説明したところ、治療開始を希望されたのでこの患者様は眼圧を下げる緑内障点眼を開始することになりました。 ただこのPPGをどの段階から治療開始とするか?については今のところ 明白な決まり がありません。1人1人の患者様と個別に丁寧に相談しながら決めると言うことになります。ただ、私自身の考えを言えば、 PPGは積極的に治療を開始すべき であると思います。 なぜなら 緑内障は進行すれば失明することもあり、しかも一度発症してしまえば「決して良くなる事は無い」怖い病気だから です。 進行傾向が明らかなのに、近い将来に視野が欠け始めることが分かっているのに、「その日が来るまで、ただひたすら座して待つ。」などということが良い選択だとはとても思えない からです。 このように医学の進歩と言うのは、様々な複雑で難しい問題を引き起こすことがあるんですね。
2016.07.11
さてアクティブになる楽しい夏の季節なのですが、それに伴って目にも色々なものが入ってトラブルを起こすことがあります。これは以前にも書いたことがある人気記事なのですが、新たな画像を追加して「2016年夏バージョン」でお送りしましょう。 ↑ この患者様は、「魚を捌いていたら急に目が痛くなって水で洗っても目薬しても何しても痛みが取れない。」との訴えで来院されました。矢印の部分に何かがありますね。 魚のうろこが白目(結膜)に刺さっていました。うろこは表面が複雑な形状をしているので一度目にくっつくとなかなか自力では取れません。顕微鏡で見ながら慎重にピンセットで引っぺがしたのですが、強力にくっついていたので剥がすのが大変でした。 ↑ この患者様は以前も紹介したことがありますが、農作業中に田んぼで転んでその時に目にヒルが食い付いてしまいました。非常にすばしっこく逃げるので摘出するのが大変でした。 ↑ この患者様はみかんの摘果(てきか)作業中に目にゴミが入り、「洗っても何してもどうしても取れない。」との訴えで受診されました。それもそのはず、蟻が目から振り落とされないように結膜(白目)に足を深く刺してしがみついたまま絶命していました。このありんこも引っぺがすのが大変でした。 ↑ この患者様は、「まぶたの裏で何かがもぞもぞ動いている!」との訴えで来院されました。上まぶたをめくって調べて見ると、ショウジョウバエと思われる2ミリ大の虫が目の中で既に絶命していました。 このように、目の中と言うのは様々な異物が入り込みます。自力ではなかなか取れないもの、取るのが危険なものもあります。ですので、「あれ?何か目にゴミが入ったぞ。」という時には、是非気軽に遠慮なくお近くの眼科専門医を受診するようにしてくださいね。
2016.07.07
さて今日は当院で先月導入した、オーストラリア エレックス社の インテグラ プロスキャンレーザー光凝固装置YR(イエロー&レッド) の実物を御覧戴きましょう。 画面左下のトラックパッドでレーザー中にパターンの形やサイズを自由自在にクリクリと思い通りに変えることが出来るのですが、これが滅茶苦茶便利で気持ちがいいです。これからパターンレーザーの購入を検討されている全国の眼科の先生方は、騙されたと思って是非一度このエレックス社のマシンもデモして見て下さい。これは凄いですよ。♪ またこのタッチスクリーン式のインターフェイスが直感的に操作できて実に使いやすいんですね。本当に洗練されていて感嘆します。 そしてこのエレックス社の新型レーザーで一番優れているところがここ。 レーザー部分が驚くほどコンパクト に作られているのです。顕微鏡(スリットランプ)の下にスタイリッシュに収まっているのですが、この エレックス社の技術力の高さはヤバイ 位ですね。 さてこれで、インテグラ プロスキャンレーザー光凝固装置(イエロー&レッド) の紹介は終わりです。飛躍的に性能がアップし、かつ患者様の様々な負担が軽減される最新型のマシンでこれからのレーザー治療が出来ることを嬉しく思います。 そして同時に、これからも適切な設備投資と勉強を欠かさず、 常に全国レベルの安全で快適な眼科医療を提供し続けられるようにスタッフ一同努力をしていきたいと考えています。
2016.07.04
さて当院では今月、待望の新型レーザー光凝固装置を導入しました。開院9年目で3代目となります。購入したのはオーストラリア エレックス社の インテグラ プロスキャンレーザー光凝固装置YR(イエロー&レッド) という機種です。日本発売が2016年1月というピカピカの最新型であり、この機種を導入するのは当院が「四国初」となります。 まずはカタログ写真でスペックを紹介していきましょう。 見ての通り、コンパクトでかつ極めて流麗で美しいデザインなのが特徴です。 操作部のスリットランプと下のレーザー部分が一体型でデザインされているからなのですが、エレックス社の技術力の高さに驚嘆します。と言うのは、他社のマシンはどれも驚くほどにサイズが大きいんですね。 上記のような様々なパターンのレーザーをコンピューター制御で迅速且つ安全に打つことが出来ます。 最新型だけあって非常に良く練られたマシンで、画面がシンプルで見やすくて更に操作性が抜群に良いのが特徴です。 これが実際のパターンレーザーの写真ですが、コンピューターで高度に制御されているおかげで、従来型のレーザーに較べると目が受けるダメージが5分の1から10分の1程度に減ります。なのでレーザー後の副作用である網膜の腫れ(浮腫)が激減しますし、レーザー照射にかかる時間も短縮され、更に患者様が感じる目の痛みも大幅に軽減されます。良いことばっかりなんですね。唯一の欠点は、「マシンの値段が目が飛び出るほど高い!!!」ということだけです。車で言うとフェラーリが買える位で、なんと定価は2000万円以上もするんですね。(笑) レーザーの波長はグリーン、イエロー、レッドの3色から1色もしくは2色を選択できます。グリーンが一番値段が安くてレッドが一番高いのですが、今回は最大限に頑張ってイエローとレッドの2色を選択しました。この2色があればどのようなレーザー手術にも完璧に対応できるんですね。(続く)
2016.06.29
眼科医療には必要不可欠な機械であるレーザー光凝固装置。具体的には糖尿病網膜症の進行抑制や網膜に穴が開く網膜剥離裂孔の治療に使用するのですが、当院では8年前の開業時にグリーン(緑)1色だけ打てる廉価版のマシンを最初に導入しました。 これは開院時は財務的にかなりタイトだったために価格的にハイグレードのマシンが買いにくかったためだったのですが、白内障が強い患者様だとグリーンレーザーは目の奥の網膜までキチンと到達しないという問題点があり、「あ、これじゃ全然ダメだな。」という判断の元、開院2年目には早くもグリーン(緑)に加えてレッド(赤)も打てる上位機種 に急遽買い換えました。そしてこの目の奥までキチンと届くレッドレーザーがあれば、ほぼどんな患者様へのレーザー治療にも対応できたために、今日まで御機嫌で使用してきました。 これがこの7年間を共に戦ってきたマシン、オーストラリアエレックス社の「インテグラデュオRGレーザー光凝固装置」 となります。特に悪いところも無く今でも現役バリバリの状態良好のマシンなのですが、眼科医療の進歩のスピードはとてつもなく速く、大幅に機能アップした最新鋭のマシンへ買い換えることにしたので、泣く泣くお別れすることになりました。シンプルで分かりやすい操作性で、サイズもコンパクト、かつ実に安定したパフォーマンスを発揮してくれた名機で、とても名残惜しいです。本当にお世話になりました。。。。。。。。 さてこれまでこの「インテグラデュオRGレーザー」がいた場所には、3代目となる新型レーザー装置がやってきます。このマシンの眼科医療機関への導入はなんと当院が「四国初」となります。お楽しみに。。。。。。。。。
2016.06.27
黒目と白目の境目がどんどん白くなってきたのですが大丈夫ですか? と言う質問を患者様から受けることが良くあります。そうですね、大体1ヶ月に数回は聞かれます。今日はこの問題について考えて見ましょう。 まず結論から言うと、これは 老人環(ろうじんかん senile ring) というものです。「お年のせい」ということですね。加齢によって脂質が沈着して黒目の周りが白っぽくなったものですが、通常は視力低下に繋がったりはしないので気にしなくて大丈夫です。 それではこの老人環が一体どのようなものなのかを具体的に一緒に見ておきましょう。 上の写真で水色の矢印で示したのが老人環です。ちょっと分かりにくいので色を塗ってみましょう。 緑色に塗った所が老人環です。黒目(角膜)の隅っこなので視力などには影響はないので心配しなくてもいいんですね。 そしてこの老人環、70歳以上だと大体80%くらいの方に存在します。なので、 目の白髪 くらいに思って頂いて良いと思いますね。
2016.06.21
さて前回の日記である患者様の網膜剥離の術後の写真(左目)をお見せしたのですが、 そもそも網膜剥離は疫学的には 1年間に10000人に1人 発症すると言われています。ところが、 片目に網膜剥離を起こした患者様がもう片方の目に剥離を起こす可能性はその100倍の1年間に100人に1人へと跳ね上がる のです。それだけ目が弱いということなんですね。 実際、上でお見せした患者様の反対眼の右目の網膜の状態を覗き込んで見ると、 やはり隅っこにすでに穴が開いていました。! ただこちらはまだ幸運にも剥がれてはいなかったので、レーザー(PC)を打って周りを補強することで事なきを得ました。 このように網膜剥離には「起こしやすい方」がいます。具体的には、片目に網膜剥離を起こした方を筆頭に、近視の強い方(網膜が薄くて弱いため)、アトピー性皮膚炎の方(かゆみで目を慢性的に触るのでそのダメージが降り積もるため)、ボクシングや相撲などの目を打撲することが多い格闘技をされる方などが該当します。心配な方は是非一度お近くの 眼科専門医 を受診されてくださいね。
2016.06.17
さて当院に導入して半年以上が経過した、イギリス オプトス社の超広角眼底カメラ(目の奥の網膜の写真を撮るマシン)のオプトスデイトナ。 このオプトスの凄さを改めて復習すると、普通の眼底カメラは画角30度くらいの狭い範囲しか撮影できないのに対して、オプトスは一度に200度、網膜の80%をカバーする範囲が撮影できるということです。しかも無散瞳(むさんどう、瞳を開く検査薬を使わずにそのまま撮影できる)、非接触(目に器械が触れない)、短時間という、3拍子揃ったいい所だらけのまさに夢のマシンです。 さてこの夢のマシン、オプトスを導入してから私は毎日の外来診療がより楽しくなったのですが、その最大の理由が、 目の奥の網膜の状態が手に取るように全て分かる ようになったことでした。従来の眼底カメラだと画像を継ぎ合わせないと網膜の全体像と言うのは把握できなかったのですが、このオプトスだとそれが一発でOKなんですね。 今日は恐ろしい病気として知られている 網膜剥離(もうまくはくり) の術後の網膜の状態をご覧戴きましょう。 上の図の矢印の部分に丸く開いているのが網膜剥離(RD)の跡です。この大穴から水が入って網膜が剥がれてしまい緊急手術を要しました。穴の周りがブツブツに見えるのは穴を塞ぐ為にレーザーを何重にも打ってカチカチに固めてあるからなんですね。非常に綺麗に手術が出来ており今は視力もすっかり良好に回復しているのですが、術後の状況が手に取るように分かります。 このように オプトスと言うのは毎日の外来診療に凄まじい効果を発揮 してくれます。「もう2度とオプトス無しの生活には戻れない。」と言っても過言ではないですね。
2016.06.10
どうして人間の瞳は丸いのですか? という質問を患者様から戴きました。今日はこの問題について考えて見ましょう。 まずここで言う瞳と言うのは目の真ん中に開いている「瞳孔」のことですね。私達人間は 「外界からの情報の80%を目から手に入れている」 と言われており、その入り口となるとても重要な部分となります。 さてこの瞳孔、我々人間はたまたま丸いわけですが、 実は動物によって異なる のです。! (眼科セカンドオピニオン 銀海舎 P53より引用) 猫が縦型なのは割と皆さんも御存知かと思うのですが、 ヒキガエルはなんとハート型 なんですね。 また我々人間でも、たまにこのハート型の瞳を見ることもあります。 これはある患者様に検査のために散瞳薬という目薬を入れたところなのですが、上方の虹彩(茶目)の一部がその後ろの水晶体とくっついている関係で、偶然「ハート型」になっています。 患者様に「目がハート型になっていますよ。」とこの写真をお見せしたら大変喜んで頂いたのですが、とっても珍しいものが見れて私も嬉しかったです。こういった様々な楽しいことがあるので、私は毎日の外来診療が大好き なんですね。
2016.06.06
さて当院では開院時より待合室にティーサーバーを置いて常時4種類のドリンクを楽しんで頂けるようにしていましたが、この度それを最新型の機種へと入れ替えました。 ↑ こちらが古いティーサーバーです。いつの間にかだいぶ色褪せてしまいましたね。 ↑ そしてこれが新しいティーサーバーです。以前から人気の高かった玄米茶は残し、特上煎茶、ピーチティー、うるおいレモン水を新規に導入しました。私も試しに飲んでみましたが、どれもとても美味しかったです。 当院ではこれからもクリニックの隅々にまで気を配って、スタッフ一同頑張って行きたいと考えています。
2016.06.04
さて白内障手術時には、目の中への器具の出し入れと眼内レンズ挿入のために一般的に2.2~2.8ミリ程度の切開創を作ります。私自身は色々と試行錯誤の末に今は余裕を持って2.5ミリで手術を行っています。以前は2.3~2.4ミリでやっていたのですが、器具の出し入れ時にやや狭くて負担がかかり逆に創の強度が落ちることがあったために、安全性を重視して少し広げました。 そしてこの切開を作るためには スリットナイフ というものを使うのですが、私が開業しているエリアは非常に目が窪んで(奥目)いて更に瞼の幅(瞼裂)が狭い人が多いので、理想通りの切開を作るのに非常に苦労する場合がありました。 この苦労について以前に日記に書いてボヤいていたのを、眼科ナイフメーカーのマニー社(純国産メーカーです) の方が見ていて、「奥目用の新製品が出たので使ってみて下さい。」とディーラーの吉田メディカルさんを通して連絡をしてくれました。ちなみに眼科ナイフメーカーは数社あるのですが、その技術力と切れ味はこのマニー社がダントツのトップで、私は手術でマニーのナイフ以外は一切使いません。そのくらい他社のナイフとは差があり、私はマニーが世界一の眼科ナイフメーカーであると確信しています。 そしてこれがその新製品 ショートヘッドナイフ となります。 アングルから先が従来品よりも2ミリ短くなっていて、飛躍的に操作性が上がっています。またナイフの先端から1.5ミリと2.0ミリのところにラインが入ったことによって更に使いやすくなっています。本物を見てみましょう。 小さすぎて何だかよく分かりませんね。それでは実際に手術時の画像を御覧戴きましょう。 切開が狙い通りに超クールに決まります。滅茶苦茶使いやすくて感動しました。また、奥目の患者様以外でも全然いけます。これは素晴らしいナイフですね。 この新製品のショートヘッドナイフが最高だったので、即日全ての手術で使用するように変更しました。マニーの担当者の方、またディーラーの吉田メディカルさん、素晴らしい情報を教えて頂いて有難う御座いました。
2016.06.02
さて当院では最低年に2回、「医療安全管理」に関しての全スタッフを対象とした研修を行っています。これには外部講師を招くこともありますし、院長の私が行うこともあるのですが、今日はその実際をちょっと見て頂くことにしましょう。 昨年の春に行った研修では、院長の私が 「白内障手術トラブル時の安全管理に必要な専門用語について」 を語りました。 白内障手術というのはテレビのスーパードクターを取り上げる番組等でも「数分で終わる簡単で安全で気軽な手術である。」というような取り上げ方をされることが非常に多く、また結果的にはその通りであることがほとんどなのですが、我々白内障手術専門医からすると、「執刀する前から簡単な手術など1つもない。ほとんどの手術が上手くいくのは事実だが、一歩道を踏み外せばとてつもない惨劇が待ち構えていることもある非常に難しい手術である。」というのが偽らざる実感なのです。 実際私よりも上手いと思う術者で、「白内障手術なんてカンタン」という人を今まで1人も見たことがありません。 やればやるほど奥が深い、それが白内障手術なのです。 その理由としては、現代の白内障手術というのは術式が完成し極めて洗練されているが故に逆に術者のミスを一切許容しない幅の狭い厳しいものとなっていること、手術の術野が非常に狭くて様々な複雑なテクニックを要求される術式であるために、一定以上の熟練のレベルに達するのが実は難しいこと、基本的に局所麻酔での手術になるのですが目と言うのは人間にとっては「急所」なので、手術中にキンキンに緊張されたり精神的に不安定な状態になってしまう患者様が一定の確率で存在し、そういった場合には安全な手術の施行が困難な状況になることがあり得ること、などがあります。 その為に、このような安全管理講習を通じて、万が一の手術トラブル時にも全スタッフが迅速に的確に行動して最適のリカバリーショットを打てるように、常に全員で勉強を続けています。
2016.05.30
さて当院では最低年に2回、「院内感染対策」に関しての全スタッフを対象とした研修を行っています。これには外部講師を招くこともありますし、院長の私が行うこともあるのですが、今日はその実際をちょっと見て頂くことにしましょう。 この日は「古くて新しい病気」である結核について私が概説をしました。長引く風邪や咳がある場合、それはもしかしたら結核かもしれません。何故なら今でも1年に20000人以上の方が新しく罹っている病気だからです。 そしてこの結核、実は目にも出るのです。 このように結核によって目の奥の網膜の血管が詰まってしまい出血を起こすことがあるのです。こうして古くて新しい病気である結核は、今でも静かに日本のどこかで広まっているんですね。
2016.04.21
毎日の患者様の診察で使用する機械であるスリット(細隙灯顕微鏡:さいげきとうけんびきょう)。 それを乗せている台の、出し入れのスイッチは使いすぎでいつもボロボロです。 もちろんスイッチの配置は「指先が完全に覚えている」のですが、「神は細部に宿る」という格言もありますし、クリニックの隅々にまで常に心配りをしたいという思いからスイッチの修理をしました。 新旧のスイッチを見較べると凄い差ですね。実は開業以来これで3回目の修理となりました。 これからもクリニックの全てに気を配りながら、常にベストの状態で患者様の診療に当ることができるようにスタッフ一同心掛けて行きたいと考えています。
2016.02.26
先日大雨の日に外来をしていると、 「雨の日は晴れの日に較べていつも見えにくくて視力が出ないのですが、それは何故ですか?」 という質問を患者様から戴きました。今日はこの問題について考えて見たいと思います。 まず、雨の日が見えにくいのは太陽の光が足りなくて薄暗いからです。逆に晴れの日が見えやすいのは明るいからです。つまり上記の質問は、 暗いところで見えにくいのは何故か? という質問に置き換えることが出来ると思います。 ところで、我々が物を見ることが出来るのは、網膜の中にある光を感じる細胞である視細胞があるからです。網膜は全部で10層構造なのですが、この視細胞は上から9層目という深部に位置しています。大切なものなので奥深くにあるんですね。 上の写真でIS/OS(視細胞内節外節接合部)と書いてあるのが視細胞の位置になります。(最近では呼び名がIS/OSからelllipsoid zone:エリプソイド帯に代わりつつあります。医学の世界は日進月歩で進化が速く、すぐにころころと用語が変わるのです。) そしてこの視細胞には、700万個の錐体(すいたい)と2億個の桿体(かんたい)の2種類があります。 錐体(すいたい)は明るいところで働き黄班(おうはん)部という網膜の中心部に分布し良好な視力の源になっています。更に色を見分ける能力も持っています。明るいところではこの錐体が働くので良く見えるのです。 次に桿体(かんたい)ですが、こちらは暗いところで働き網膜の周辺部に分布しています。色を感じることは出来ず能力が低い細胞ですが、錐体に較べると弱い光でも働くことが出来るという長所があります。つまり、錐体と桿体はお互いに補い合う関係にあるわけです。そして、 暗いところでは錐体は働くことが出来ず桿体のみで見ることになるので、それで見えにくい わけです。 雨の日に視力検査をすると実力を発揮しにくいのには、こういった理由があるんですね。
2016.01.28
さて2010年12月の発売以来、今や日本人の国民病とまで言われる「ドライアイ」の治療を革命的に進歩させた参天製薬の名薬、ジクアス点眼液。 このジクアス点眼液は従来型のヒアルロン酸の点眼薬(商品名で言うとヒアレインやティアバランス)よりも明らかに効果が強い、目の表面の傷を改善する力が高い、ドライアイ分野では15年振りの待望の大型新薬だったわけですが、発売後の売上高の順調な伸長(現在年間75億円)がジクアスが非凡なお薬であったことを明白に証明しています。 ところで ジクアス はその薬理作用上、目の細胞からの水分とムチンという物質の分泌を促進するので、点眼後に目を潤す効果が強いお薬です。そのため多くの方が苦しんでいる [ソフトコンタクトレンズ装用中の目の渇き] に抜群な効果を発揮する のですが、残念ながら今まではソフトコンタクトレンズの上からは「原則として」点眼することが出来ませんでした。 それはジクアスが防腐剤としてベンザルコニウム塩化物というものを使用していたからです。このベンザルコニウム塩化物(我々の業界では「塩ベコ(えんべこ)」と略す)は非常に防腐剤としての効力が強い反面、角膜(くろめ)の表面を荒らしたり、ソフトコンタクトレンズを劣化させたりするという副作用があったのです。ただこの塩ベコを使わずに目薬を作るのには非常に高い技術力と費用が必要なので、特に安いジェネリック医薬品には大量で高濃度の塩ベコがべっとりと含まれているのが実情です。 さて今回ジクアス点眼液は製品改良により、 この悪の元凶である「塩ベコ」を取り除くことに成功 しました。 それによって、 ソフトコンタクトレンズの上からも安全に点眼が出来るようになりました。 ジクアス×ソフトコンタクトレンズのコラボレーションは非常に目が潤いますので、コンタクトレンズ使用中のドライアイ患者様にとっての大きな福音と思います。 素晴らしい製品改良 ですね。 我々眼科専門医が世界トップレベルの眼科医療を提供できているのは、この参天製薬に代表される日本の点眼薬メーカーの高い技術力に負うところが大きい のです。本当に感謝・感謝ですね。
2015.12.21
細菌性の結膜炎などの治療に使う抗菌剤の目薬というものがあります。 この上の写真の参天製薬のクラビット点眼液(ニューキノロン系という系統の抗菌剤)が売上ダントツナンバーワンの代表選手ですが、他にも千寿製薬のガチフロ点眼液 日本アルコン社のベガモックス点眼液 も売上上位に位置しています。 ただ我々の業界ではクラビット点眼液があまりもメジャーな存在であるためでしょうか? ほとんどの目薬はその真似をして ピンク色の外観 をしています。 ところで人間というのは年を取ると目が乾いて常にしょぼしょぼしたり、慢性的にめやにが出たりします。そしてこのクラビット点眼液に代表されるニューキノロン系の点眼剤は「めやに止め」として抜群な効果を発揮するので患者様から、 あのピンクの目薬が欲しい。 と御指名で処方をお願いされることが非常に多くあります。 眼科専門医的には、この手の抗菌剤というのは明白な臨床症状があるときのみにごく短期間に限って使用するものであり、気軽にカジュアルに処方するという類の目薬ではありません。何故かと言うと、 普段から常用していると本当に細菌性の結膜炎になったときに目の中のバイキンが凶暴化・耐性化してしまっていて効かなくなりますし、そもそも健康な状態の眼には全く必要のない ものだからです。 そのため不必要と判断した場合には、「めやにも出ていませんし、目はとても綺麗ですからいりませんよ。」と説明するのですが、 「いや、めやには本当はいっぱい出ます。今、たまたま出ていないだけです。だからピンクのを下さい。」 と頑張られる患者様が多くいらっしゃいます。 押し問答の末になんとか納得して頂いて帰宅された後にも、 「ウチのおばあさんが、先生がピンクの目薬をくれなかったと言って泣いている。どうしても処方して欲しい。」 と電話がかかってきたりすることもありますし、私が断っても、代わりにかかりつけの内科医の先生におねだりしてちゃっかり処方して貰って、秘密で毎日しっかりと点している方もいらっしゃいます。(笑) この クラビット点眼液に代表される抗菌点眼剤に対する患者様の精神的な依存度と言うものは本当に凄い ものがあります。 その理由はやはり、 「点すと目の調子が良くなる」という確かな実感が患者様にある からでしょう。もしかすると、この 魔法のピンクの小瓶 には何か、 我々眼科専門医が未だに気付いていない不思議な力 があるのかもしれないですね。
2015.12.02
さて当院は、四国有数の漁港である愛媛県八幡浜(やわたはま)市の国道197号線に面した市内中心部の超一等地に立地しています。八幡浜市を行き来する車のほとんどが通過する大動脈に直接面していることから、毎年頑張って行き交う車や人々をお迎えしています。今年もスタッフの尽力で先日から冬のイルミネーションを開始しました。今年は昨年比で+50%と更に新アイテムを大量に追加したため、より華やかな盛り盛りの出来栄えとなりました。 まずは最初にお昼の状態を見て戴きましょう。 これが夜になると、、、、、、 こんな感じになります。。。。。 皆様もご覧になったら、イルミネーションの感想を是非聞かせてくださいね。
2015.11.09
しばらく前のことですが、ネット上で面白い記事を見つけました。 詳しくは 元記事 を参照して頂きたいのですが、要点を一言で言うと、 花粉症の人は、花粉症でない人に較べてがんによる死亡率が52%低下していた。 という内容です。 「花粉症などのアレルギー疾患を持っていると、免疫機能が活発になる傾向があり、それが特定の原因による死亡を防ぐのかもしれない。」 という研究者のコメントもありましたが、私はこの記事を読んで、 あっ、これは体感的に間違いないな。 と思いました。 毎日毎日多くの患者様を診察させて頂いている経験から、 花粉症の患者様には全身的な病気が何故か少ない ということを実感していたからです。 そしてこの記事からは2つのことが示唆されると思います。 1. 花粉症の症状が強いことはトータルで見てその患者様の長寿に繋がっている可能性がある。 2. そのため花粉症に対して[過剰で強力な治療]を行って症状を押さえ込むことは、患者様の免疫機構を過度に抑制することになり却って健康を損なうかもしれない。 私はもうずっと以前から、 花粉症の患者様に対して常に「必要最低限」の治療 を心掛けてきました。ほとんどの方は 短期間適切にお薬を使えばすぐに症状が改善するから ですが、今回の記事を見て、よりその方針を徹底して行こうと思いました。
2015.11.03
先日のことですが、私のクリニックのある愛媛県八幡浜市では数週間ぶりに雨が降りました。降り方は結構激しかったのですが、朝から来院される患者様の数が異常に多く、5時間近くノンストップで診察させて頂いてようやく午前中の外来が終わるというような大変な状況でした。 その次の日は嘘のような秋晴れでした。気温も程よく絶好のお出掛け日和の一日でしたがクリニックは一日中空いていて前日とは逆にとても穏やかな日となりました。 普通なら逆になりそうなものですが、私にはこのような患者様の動向が元々手に取るように分かっていました。それが何故かと言うと、 ここ愛媛県八幡浜市は 全国有数のみかんの生産地 であり、今はその最大の繁忙期に当るからです。晴れた日にはみかん山での仕事があるので病院なんかに行っている場合ではなく、逆に雨の日こそが病院に行く日なのです。 全てはみかん山次第 ということなんですね。
2015.10.29
3年前に学会場で見たときにその能力の高さに一目惚れしていたイギリス オプトス社の超広角眼底カメラ(目の奥の網膜の写真を撮る器械)のデイトナ。 このデイトナの何が凄いかというと、 普通の眼底カメラは画角30度くらいの狭い範囲しか撮影できないのに対して、デイトナは一度に200度、網膜の80%をカバーする範囲を撮影できるという点なんですね。しかも無散瞳(むさんどう、瞳を開く検査薬を使わずにそのまま撮影できる)、非接触(目に器械が触れない)、短時間という、3拍子揃ったいい所だらけのまさに夢のマシンです。 そのため、学会場ではたくさんの人が群がり実際に体験をしていたのでした。 そして私も実際に体験していました。これが私自身の眼底写真になります。 右目と、 左目 本当に広い範囲が写っていますね。 この 「オプトス デイトナ」 がクリニックにあれば網膜剥離を筆頭に様々な病気の正確な診断に繋がりますので、私は初めて見たその日から「絶対にいつかは買いたいなあ。」と思っていました。 ただこのデイトナ、極めて高額な上に画期的なマシンで特許に守られライバル不在で値引きもほとんど無いという状況で、なかなか購入のチャンスがないままにここまで来ました。具体的に言うと2012年7月の発売時の定価は1380万円(税別)だったのですが、その後のアベノミクス進展による円安で2013年8月には1590万円(税別)へと逆に値上がりをしてしまいました。 しかし発売後3年が経ち、現段階ではもう大した値引きは見込めないという判断のもと、当院では思い切って今回購入することにしました。 ヨーロッパ的な流麗なデザインですね。 そしてオプトスデイトナの導入に合わせて、他の機械もより効率的に配置し直しました。 これからも適切な設備投資を欠かさず、八幡浜地域の皆様に全国レベルの快適で安全な眼科医療を提供し続けられるよう、スタッフ一同努力していく所存です。
2015.10.19
当院では7年前の開院時に診察システムを2つ作っていました。1つは毎日毎日皆様の診察をさせて頂いているメインシステム(1診)。そしてもう1つは様々な検査のための暗室の一部に作ったサブシステムの2診でした。 どうしてこの2診を作ったかというと、開業前に良く勉強をさせて貰いに行っていた尊敬する先輩眼科医の医院にこの2診があり、はやり目(流行性角結膜炎)などの感染性の病気の患者様を診察したり、非常勤の専門外来の先生をお呼びした時に使って戴いたりするのに非常に便利だろうと考えたからでした。 ところがこの2診、当院では実際にはあまり稼働せずスタッフが事務仕事をするための机になってしまっていました。なので当院に来院されたことのある患者様でも、その存在を全く知らない方も多いものと思います。(笑) そして今回、ある新型の検査機械を導入するためのスペースがどうしても足りなくなってしまったことから涙を呑んで撤去することとなりました。 この診察システム(専門用語で言うと細隙灯顕微鏡:さいげきとうけんびきょう)、元々は神戸かどこかのコンタクトレンズ処方がメインの眼科クリニックで使われていたもので、7年前の開業時に程度の良い中古品として当院にやってきたのでした。良く見える非常に力のある顕微鏡だったのに、あんまり使ってあげることが出来なくて申し訳なく思っています。今回、新型の検査機械購入に当たって下取り品としてドナドナされて業者の方に引き取られていくことになります。またどこかの眼科クリニックで活躍してくれたらいいのですが、、、、、 さて、この空いたスペースには毎日の眼科診療を強力にサポートしてくれる「大型ルーキーの最強マシン」が近日中に導入されます。愛媛県南予地方では当院が初めての購入となります。お楽しみに。。。。
2015.10.08
さて当院では今年の8月に最新鋭の光学式眼軸長(がんじくちょう)測定装置である、日本のトーメー社のOA-2000を導入しました。 これは一体何のための機械かというと、白内障の手術を受けられる患者様の眼の表面から底までの長さ(眼軸)を測定するものなのです。この眼軸の長さによって眼に入れる眼内レンズ(IOL)の度数を決めることになるので、手術前の検査としては最も重要なものなのです。 それは何故かと言うと、眼軸長さえビッシリ・ピッタリ計れていれば手術後の裸眼視力と言うのはまず概ね狙い通りに良好に出るからです。ただこの眼軸長測定が不正確だとなかなか思ったような裸眼視力が出ないことになります。その意味では本当に手術の「肝」となる大切な検査なんですね。 そのため当院では元々今から3、4年ほど前に、当時最新鋭の機械だった同じトーメー社のOA-1000というマシンを導入していました。 このマシンは当時(と言っても僅か数年前のことですが)画期的な性能を誇り、測定さえ出来ればその正確さは従来の装置に較べて異次元のレベルでした。ただこの機械には大きな欠点があり、白内障の進行が激しい患者様だと光が透過しなくて測定できないことがありました。測れる率は大体80%くらいだったでしょうか? 当院は日本でも有数に高齢化が進行したエリアにあるため必然的に重症の白内障の方が多いことも影響していたと思いますが、いずれにせよ測れない場合には旧来型の超音波を使ったやや不正確な機械を使わざるを得ませんでした。 ところが、このOA-2000は「フーリエドメイン」という新方式の採用によってOA-1000に較べて何と100倍!程度も性能が上がっており、 驚くほど測れるのです。更に ボタンをポンと1つ押せば全てをフルオート でやってくれるという賢さです。従来のOA-1000だったら見た瞬間に「これは無理だな。測れないな。」と感じていた、成熟白内障(せいじゅくはくないしょう:非常に進行して真っ白になってしまった白内障)や後嚢下白内障(こうのうかはくないしょう:水晶体の底がびっしりと濁ってしまって光がその先に通らない状態の白内障)でも、ほとんど大丈夫です。「こんなに進行しているのに、どうして測定できるのだろう?」と疑問に思うほどに進化しているのです。そして当院での 測定率はOA-2000を導入してからは驚異の100%! です。 私はこのOA-2000を導入してから白内障手術が前にも増して好きになりました。何故ならほとんど100%の患者様の眼軸長が正確に測定できるので、今までにも増して自信を持って手術に臨める様になり、更に術後に患者様により喜んで頂けるようになったからです。 このOA-2000は凄いマシンです。全国の未体験の白内障手術専門医の先生方に是非一度使って戴きたいと思います。手術のストレスが激減しますよ。♪♪♪
2015.10.05
さて当院では7年前の開業時に日本のコーワ社のAP-6000という視野検査装置(緑内障の方の見える範囲を調べる検査で使うもの)を導入していました。 このAP-6000はその後ずっと快調に作動しており特に問題も無かったのですが、この7年の間に新型のAP-7000へとモデルチェンジしており、ディーラーの吉田メディカル様の御厚意でそれをデモする機会がありました。 デモする前は、「以前に学会場でコーワのブースに立ち寄った時に営業のおっちゃんが「ぶっちゃけ正直に言うと、別に買い換えるほどではない。」と言ってたし、多分大したことはないだろう。」と踏んでいました。 ところが実際にデモをしてみると、この機械、実に素晴らしかったのです。それでは具体的にどこが良かったのでしょうか? 2点あります。 1. 新たに600人以上の日本人の正常眼のデータベースを搭載していて、これのおかげで検査の精度が物凄く上がっている。 2. 緑内障かどうかを判定する診断ソフトを新たに本体に内蔵しているのだが、これの出来が滅茶苦茶良い。 ということでした。この2について具体的に解説しましょう。 これはある患者様の視野検査の結果です。左上の円で黒いところが視野が欠けているところになります。しかし視野が欠けている=緑内障ではありません。何故なら、白内障、近視性網脈絡膜萎縮、BRVO(網膜静脈分枝閉塞症)のレーザー治療後、頭部外傷後の視神経萎縮、SSOH(上方視神経低形成)など、多彩な疾患が緑内障に似た視野異常を来たすからです。つまり、緑内障と診断するには「視野の異常と目の底の視神経の異常の状態が一致していること」が必要なのです。 ところが実際の臨床の現場では、「うーん、これは微妙だな。。。」と診断に迷うことも少なくないのです。そういった時にAP-7000内蔵の緑内障判定ソフトが非常に役立ちます。 簡単に言うと、上の図のPSD、GHT、PDの3つの指標の内1つでもオレンジ色に変わっていると緑内障性の視野異常があるということになります。 ということで、このAP-7000、実際に使ってみるとAP-6000から較べると物凄く進化していたのでした。コーワの営業のおっちゃんはちょっと謙遜しすぎだと思います。(笑) 私は借りて3日くらいで「あ、これは買うしかないな。」と確信したくらいには出来が良く、そのまま購入となりました。全国のAP-6000ユーザーの皆様も、是非一度使ってみてください。
2015.09.30
小さなお子様やお身体が不自由な患者さまの目の表面(前眼部)の検査・観察に必要な検査機械に「手持ちスリットランプ」というものがあります。眼科では絶対に必要な機械であり、私も7年前の開業時に当然買っていました。 これはシンプルな機械なのですが、ここにも技術革新の波は及び、光源がLEDとなり耐久性と明るさが飛躍的に増した新製品が出ました。試しに使ってみたところ従来型のものとは較べものにならないくらい目の表面が見やすかったので大喜びで買い換えました。日本のコーワというメーカーのSL-17というモデルになります。 従来型のものよりもグリップ形状が良くなっており非常に持ちやすいです。そして何より目の中が良く見えます。具体的に言うと従来型では全然見えなかった虹彩紋理まで鮮やかに確認できて、私は毎日の診療がより楽しくなりました。 従来型のマシンをお使いの全国の眼科専門医の方、これはガチで買い替えの価値があると思います。騙されたと思って是非一度使ってみてください。(笑)
2015.08.19
さて今日は新型の眼圧測定装置である二デック社のNT-530P のどこが凄いのかを御説明申し上げましょう。一言でいえば、眼圧と角膜厚(かくまくこう:黒目の厚さの事)を同時に測定できて、測った角膜厚によって正しい眼圧を補正して算出してくれるのが凄いのです。 はい、何言っているのかチンプンカンプンですね。(笑) 分かりやすく解説しましょう。我々人間の角膜の分厚さと言うのは平均すると545マイクロメートル(1ミリの約半分)なのですが、実際にはかなりの個人差があります。つまり分厚い方も薄い方もいるのです。そして従来型の角膜厚を測定しないタイプの眼圧計だと、角膜が厚い方は実際よりも眼圧が高く、そして薄い方は低く表示されてしまうことが分かっていました。 このNT-530Pでは瞬時の測定でそれを補正して表示してくれるのです。具体的に見てみましょう。 この患者様で言うと測定値(AVG)は右が14左が15ですが、角膜厚が右548マイクロメートル、左599マイクロメートルと左目が平均よりはやや分厚い目をされています。なのでそれを補正した眼圧値(COR)は右14、左13となります。 そしてこのNT-530Pがその真価を発揮するのが近視矯正手術のレーシック術後の患者様です。レーシックと言うのは角膜を薄く削って近視を治す術式なので、従来型の眼圧計だと極端に低く測定されてしまうからです。実例を見てみましょう。 この患者様は都会のチェーン店展開をしているレーシッククリニックで両眼の手術を受けられています。眼圧の測定値(AVG)は右が6、左が5と非常に低い(正常値は10~19です)ですが、これはレーシックで角膜をかなり削っていて右が390マイクロメートル、左に至っては320マイクロメートルしかないため、それで非常に低く測定されてしまったのです。角膜厚で補正をかけるとその真実の姿(COR)は右が13、左が15となります。物凄い差ですね。もしもこの患者様が将来緑内障を発症し、そして従来型のマシンで眼圧を測定されるとすると本当の眼圧よりも大幅に低い数値が出ることになり、それで的確な治療が行えないという可能性すらあるんですね。 このNT-530Pを導入して私には1つ衝撃的だったことがありました。以前から「眼圧は非常に低いところで安定しているのにも関わらずどんどんと緑内障が進行してしまう患者様」というのが一定数いらっしゃったのですが、そういった方の多くは実際には角膜厚がかなり薄くてそれで従来型のマシンでは測定値が低く出ていたのです。つまり、実際には眼圧が十分には下がっておらず本当はもう少し強力な治療が必要だったかもしれない、ということなんですね。 このようにNT-530Pは驚異の能力を持ったマシンなのです。この3代目のお利口な眼圧計と共に私はご機嫌な診察の日々を過ごしています。
2015.07.29
医療の世界はまさに日進月歩。特に医療機器の進化と言うのは目覚しく本当にどんどんと良くなっています。 私が日記を更新していなかったこの1年の間にも、クリニックでは新たに多くの検査機械を導入しました。そのほとんどは従来から持っていたマシンを最新型に入れ替えたものですが、その必要性を十二分に納得できるものばかりでした。今回からしばらくはこの1年間の当院の設備のアップデートの状況がどのようなものであったのかをお伝えしようと思います。 最初の1回目は眼科での基本検査である眼圧(がんあつ:眼底の血圧のこと)測定装置のお話をしましょう。あごを乗せると空気がプシューと飛んでくるあれです。「ちょっと苦手だな。」 という患者様も結構いらっしゃると思います。 当院では開業時にはちょっと財務状態がタイトだったこともあって(笑)、中古の程度の良いマシンを導入しました。この機械は良く働いてくれたのですが、何しろ毎日毎日多くの患者様の眼圧を測り続けていたので2年くらいで壊れてしまい、その後大幅に世代交代した新しい2代目を使用していました。 ところがこの2代目も再び故障して再起不能になってしまったので修理も検討したのですが、ちょっと借りてみた最新鋭のマシンの出来が驚異的に良かったので、感動してそのまま買うことになりました。それがこちらのマシンです。最近素晴らしく出来の良い検査機械を連発してリリースしているニデック社の「NT-530P」といいます。 この日本のニデック社というのは無骨なメーカーで、昔から「技術は最高だがデザインが最悪」という定評があったのですが、ここ最近はその欠点だったマシンのルックスの悪さが大幅に改善されてきています。このNT-530Pもとても二デック社のものとは思えない流麗な仕上がりで私は思わず目を疑うほどでした。(笑) それでは次回は、この最新鋭のNT-530Pのどこが一体凄いのか?を分かりやすく説明することに致しましょう。
2015.07.18
さてこの日記はここ1年間ほどは休眠状態だったのですが、今日久しぶりに思いついてログインしてみるとなんと今でも平均して1日に700~800ものアクセスがありました。 私としては毎日の患者様の診療を全力で手掛けており別にそれで良いかな?と思っていたのですが、これほどのアクセスを戴きながら1年間放置というのはちょっと申し訳なかったなとも感じております。 そのため今後はまた再び、たまには更新していこうと考えています。
2015.07.17
私がまだ大学病院で眼科の研修医をしていた頃のお話です。 ある時、我々ピヨピヨの研修医がその自己紹介も兼ねて、地元のベテランの眼科開業医の先生方と飲むと言う貴重な機会がありました。 当時の私はまだ自分で白内障手術もしたことがありませんでしたし、臨床の経験も本当に未熟でした。関連病院にアルバイトに出かけると、患者様の病状が見たこともないものばかりで全身フリーズし、「これって一人前になれる日って本当に来るのかなあ?」と疑問を感じるほどでした。 さてそんなヒヨヒヨの私は、飲み会で上品な女医さんの隣に座りました。色々としゃべった後でふと私が、「先生、開業すると勤務医とは何か違うことってあるんですか?」と質問をすると、その先生がしばらく考えた後で、 「そうねえ、 開業するとまつげを抜く機会が凄く増えるわよ。 」 と仰いました。 私はそれまで患者様のまつ毛を抜いたことがなかったので、物凄く驚き、思わず、 「先生、世の中にそんなお仕事があるんですか?」 と質問してしまいました。 するとその女医さんがクスッと笑いながら、「あなたも、いつか分かるわよ。」と可笑しそうに言われました。 それから長い月日が流れました。私は開業して6年目に入りましたが、その先生の予言通り熱心に患者様の逆まつ毛を抜く毎日です。 「まつげを抜くお仕事」は、本当にこの世の中に存在した のですね。(笑) それでは、どうしてこのような奇天烈なお仕事が世の中にあるのでしょうか? それはだれでも年を取ると、目の周りの筋肉や組織が弱くなって、若い頃にはピンと外側を向いていたまつ毛が段々と内側に向いて目に当たるようになってしまうからです。そして当ったままだと角膜(黒目)に傷が付いてしまって様々なトラブルを引き起こす原因となります。 そしてこの「逆まつげ」は、その成因に合わせ、最適な手術法を取ることによって治すことが可能なのですが、手術後であっても数年後には少し戻りが出てやっぱり何本かのまつ毛が黒目に当たってしまうこともありますし、そもそも手術をするのはイヤなので来院した時に抜いて貰えばそれでいい、という患者様もいらっしゃいます。 そんなこんなで、眼科開業医の毎日にはこの「まつげを抜くお仕事」が、「切っても切れない不思議なメニュー」として存在しているんですね。
2014.07.27
目をこする・触る・打撲する習慣のある患者様というのが以前から一定の頻度でいらっしゃいます。花粉症による目のかゆみが出た状態の方、アトピー性皮膚炎がある方、またボクシングをされていて相手から目にパンチを貰いやすい方、などですね。また、例えば目がかゆかったり調子がおかしい時に、「こすると治る」と思っている患者様と言うのもたまにいらっしゃいます。 今日は大切なことを申し上げたいのですが、 目は極めて打撲に弱い組織 です。 慢性的に目を触っていると、そのダメージが蓄積して若くても白内障になったり、ひどい時には網膜はく離になったりすることもあります。実際、アトピー性皮膚炎やボクサーの方に白内障や網膜はく離が多いのは我々眼科専門医の間では常識なのです。しばらく前に引退された国民的人気を誇ったボクサーの方も若くして白内障手術を受けられていましたね。 また、目がかゆくてこするとその瞬間だけは気持ちが良いですが、結果的には炎症が増悪して逆に状態は悪化し、かえって苦しむことになります。 つまり、 目がおかしい時に触るのは逆効果で一つもよいことはない のです。 目が変な時には、触るのを我慢し、保険証を持ってすぐに近くの眼科専門医を受診する というのが正解です。覚えておいてくださいね。
2014.05.06
当院の年内の診療は、昨日12月28日(土)の午前中を持って終了となりました。 この1年間、たくさんの患者様に御来院戴けたことに感謝しています。来年もスタッフ一同笑顔を絶やさず、努力を怠らず頑張っていきます。 なお、新年は1月6日(月)診療開始となります。 来年も、全国レベルの眼科医療を提供し続けることを目指し、常に全力で勉強しながら患者様の実際の診療に臨みたいと考えています。
2013.12.29
当院の年内の手術は今日が最終日でした。 今年は年の初めに、「とにかく手術の1つ1つの手技を丁寧にしよう。全ての手術を、自分の両親の手術を行うつもりで全身全霊を賭けて施行しよう。」と決意していました。 そして結果としては、この1年間で行った全ての白内障手術は合併症0で終了しました。これは手術の全工程を常に見直し続け、少しでも安全で確実に行えるようにブラッシュアップを重ねてきた結果だと思いますし、今は本当にホッとしています。 来年も今年以上に確実な手術を目指して、術式の更なる改善を目指していきたいと思っています。
2013.12.18
さて少し前のことですが、当院では新型の「角膜内皮測定装置」である、二デック社のCEM-530を導入しました。 角膜内皮(かくまくないひ)というのは、角膜(黒目)の一番深いところに敷石状に並んでいる、透明性を維持している大切な細胞です。正常値は単位面積当たり2000~3000なのですが、この値が500を切ってしまうと角膜の透明性を維持できなくなって角膜移植が必要になってしまうのです。そしてコンタクトレンズの不適切な使用や加齢・病気等でこの細胞数が減少することがあり、白内障手術前などにはその測定は欠かせません。 私のクリニックにも当然その機械はあったのですが、5年前の開院時に程度の良い中古を買ったもので、細胞数の測定を手動で行わなくてはならず時間がかかっていました。その点最新型の機械は、 フルオートで短時間で快適に測定でき、かつ細胞数も瞬時に機械側で計算してくれるので正確です。 また従来型の機種よりも測定可能範囲が広がっているというメリットもあります。とにかくこのニデックのCEM-530は実に出来が良いです。旧来型の機械を使っている先生は是非一度デモで良いので使ってみてください。すぐにその素晴らしさ・測定精度の高さを実感して戴けると思います。 機械が増えてきたので、スタッフが動線を考えて上記のように院内にうまく配置してくれました。 眼科の世界は進化が早く、とにかく全てが日進月歩です。これからも常に第一線のクリニックであり続けられるように、設備投資も毎日の勉強も引き続き頑張っていこうと思っています。
2013.12.14
今日は眼科専門医制度のお話です。眼科専門医になるためには受験資格についての厳格な審査と、他科に較べてかなり難しい合格率の低い認定試験をクリアしなければならないのですが、一旦合格後にも当然勉強の日々は続きます。眼科専門医であり続けるためには、5年間で100単位、つまり1年間では20単位の専門医ポイントを獲得する必要があります。そしてこのポイントは学会などの勉強会参加や論文執筆などで手に入ります。 私は個人的に「普通の眼科専門医の3倍は勉強しよう。」と考えており、年間最低60単位の取得を目標としています。また参加した全ての学会・勉強会では常に一番前の席に座り集中して学び、もしも疑問点があればすぐに講師の先生に質問もするようにしています。 そしてこの1年(2012年10月1日~2013年9月30日)では、 合計80ポイントを獲得し、しっかりと目標を達成しました。ちなみに昨年は1年間で78ポイントだったので、 今年は更なる上積みに成功しました。具体的に参加した学会・勉強会を振り返ってみると、昨年10月には日本臨床視覚電気生理学会と愛媛県眼科フォーラム、11月には日本糖尿病眼学会と日本神経眼科学会、12月には愛媛県眼科集談会、今年の1月には東京眼科アカデミー、2月には愛媛県眼科サブスペシャリティデイ、3月には眼科診療アップデートセミナーin京都と愛媛県眼科フォーラム、4月には日本眼科学会と四国EYEランドセミナーin高松と愛媛県眼科集談会、少し空いて7月にはフォーサム2013大阪、8月には眼科臨床実践講座in東京、9月には愛媛県眼科フォーラムと日本緑内障学会でした。またこれら以外でもポイントの付かない勉強会にもできる限りたくさん参加しました。来年も更に少しでも記録を更新出来るように頑張ろうと思っています。 ただ地方在住の私がこのように全国を飛び回って勉強し続けるには、どうしてもクリニックを留守にせざるを得ないこともあります。大切な患者様にご迷惑をかけることを心苦しく思っていますが、私が常に極限まで学び成長を続けること、それが結局八幡浜地域の皆様の目の健康を守り続けるために一番大切なことだと確信していますので、どうか御了承下さい。
2013.12.06
いよいよ12月ですね。当院は四国有数の漁港である愛媛県八幡浜市の国道197号線に面した超一等地に立地することもあり、毎年頑張ってイルミネーションをしています。今年もスタッフの尽力で、先日から冬のイルミネーションを開始しました。 今年は新アイテムを大量に追加したため、昨年よりも華やかな出来栄えとなりました。 皆様もご覧になったら、イルミネーションの感想を是非聞かせてくださいね。
2013.12.02
さて大変勉強になった「眼科臨床実践講座2013」ですが、最後は「加齢黄班変性(AMD)の治療」のセッションでした。ここでは1つ衝撃的な話がありました。 現在AMDの標準的な治療は抗VEGF薬というものを 目の玉の奥(硝子体:しょうしたい)に直接注射するものとなっています。効き目は抜群ですが、それがずっとは持続せず数カ月おきに怖い注射を打たなくてはならず、しかもお薬が極めて高額(1本10万円以上!)なのが患者様にとっても我々眼科専門医にとっても悩みの種になっています。 そしてこの抗VEGF薬には無効例もありますし、もっと問題なのが耐性(使っているうちに効かなくなってくる)があることでした。実際に毎日臨床の現場にいても、「あぁ、もうこの患者様はいくら注射を打ってもダメだろうな。」と感じることというのは割りと頻繁にあることだったのです。 今回のセッションでは抗VEGF薬の中でも現在売上ナンバーワンのラニビズマブ(商品名ルセンティス)の長期成績が発表されました。 そしてその結果は衝撃的なものでした。お薬を使って2年間くらいは症状が改善するものの、4年目くらいには元に戻ってしまい、7年後には薬を使っていても著明に悪化してしまう、という内容だったからです。 抗VEGF薬は最近になって新しいものが増えている(参天製薬から発売された商品名アイリーアなど)ので、それらを順繰りに使って耐性化を防いだり、まだまだ様々な工夫をしていかなくてはならないんだな、と痛感しました。 それにしても今年から始まったこの「眼科臨床実践講座」、本当に素晴らしい内容でした。来年も自分の葬式がない限りは (笑)、絶対に参戦したいと思っています。 眼科臨床実践講座2013参戦記 終
2013.11.30
さて本日11月25日、日本を代表する点眼薬メーカーの参天製薬から、アレルギー性結膜炎の大型新薬であるアレジオン点眼液が発売されました。未確認情報では、このお薬、実は以前は他の会社が点眼薬にしようと思って頑張っていたのですが、どうしてもうまく溶けず目薬に仕立て上げることが出来ずに投げ出し、それを引き取った参天製薬が無事に開発完了したという話です。「クスリを溶かして目薬に仕立て上げる」技術では世界一と言われる、参天製薬ならではの目薬ですね。 ところで、アレルギー性結膜炎の治療では副作用が少ない「抗アレルギー点眼薬」が第一選択なのですが、その中には実はたくさんの目薬があります。 ただ、実際の臨床の現場では、かゆみに即効性を持つ抗ヒスタミン作用のある「ヒスタミンH1受容体拮抗薬」の中で最強のパワーを持ち、現在アレルギー点眼剤で売上ダントツナンバーワンのパタノール点眼液(日本アルコン社)がpHが中性で点眼しやすく、また実際の効果も図抜けており、 実際には1人勝ちでライバル不在の状況でした。 そんな中、今回発売になったアレジオン点眼液は、その現役最強のアレルギー点眼薬「パタノール点眼液」と肩を並べる薬効を持っています。更に目に様々なダメージを与える防腐剤の濃度もパタノールが0.01%(これでも十分に低くて安全)なのに対し、アレジオンはその3分の1の0.003%と極限の低さを誇っており、日本のメーカーらしい細やかな配慮が行き届いた目薬となっています。また内服薬のアレジオンは効き目が長いことで知られており、もしかすると点眼でもその長所が受け継がれているかもしれません。 アレジオン点眼とパタノール点眼では実際にはどちらがより優れているのか、「アレルギー性結膜炎点眼薬、頂上決戦」がいよいよ始まります。楽しみですね。
2013.11.25
さて、今日は前回の日記の続きです。気になるこの「AREDS2」の結果ですね。その内容は、、、 なんと、、、、、、 プラセボ(偽薬)群と較べて有意差なし という衝撃的なものでした。サプリメントとしてルテインとEPAを加えても、AMDの進行予防の効果は認められなかったということなのです。残念でしたね。 つまりAMDの進行予防には、従来型のAREDS1に準拠したサプリメントで良いということになります。当院では元々この「AREDS1」型のものを患者様にオススメしていたので、今後も同じものを自信を持って推奨していくと言うことになります。 具体的には、サプリメントとしては上記の「オキュバイトシリーズ」というメジャーなもので言うと、一番左端の「オキュバイト+ルテイン」という一番シンプルで安いもので必要十分(ARED1準拠)ということになります。 AMDの患者様の参考になれば幸いです。
2013.11.21
さて次は日本でも患者様数が激増の一途を辿っている加齢黄班変性(AMD)の最新の話題の中で印象に残った話です。 病気は何でもそうですが、「未病」の状態で進行しないのが一番です。その意味でAMDは初期であれば進行予防の専用のサプリメントが一番お勧めです。もちろんある程度進行してしまっていてもサプリメントは非常にお勧めできます。というのは、AMDに関しては「サプリメントが効く」ことが実証されている からです。 2001年にアメリカで画期的な大規模なスタディ、AREDS1(エーレッズワン)が行われました。そして上記のスライドのように、 抗酸化ビタミン(ビタミンA+C+E)+亜鉛 を投与するとAMDの発生が約25%少なくなることが分かった のです。これは「レベル1エビデンス」の凄いデータでした。そしてこのことよりAMDの患者様は専用のサプリメントを飲んだほうが良いと我々眼科専門医は自信を持ってお勧めできるようになりました。 そしてその後サプリメントの内容を更に改善するべく、 AREDS2が進行中でした。これは分かりやすく言うと ルテインとEPAの効果を見よう というものでした。 ルテインは、ほうれん草やブロッコリーなどの色の濃い緑黄色野菜に多く含まれるカロテノイドの一種で、目の「水晶体」と「黄斑部」に多く存在しています。ルテインの働きとして、まずは光そのものを遮る働きがあります。また、紫外線などの有害な光の一部が網膜に達してしまいそれにより酸化ダメージを受ける危険性が生じた場合でも、抗酸化作用によってそれを防止します。ところが体内のルテインは、加齢や、紫外線を浴びたり、煙草を吸ったりすることで少しずつ消費され、減少していきます。そしてルテインは体内で自力では生成できないため、日々の食事を通じて継続的に摂取することが大切なのです。 逆に言うと、最近の我々日本人は食生活の欧米化で慢性野菜不足に陥り、目にとって大切な成分であるルテインが足りなくなっているせいでAMDが激増している可能性があるわけです。ルテインは具体的には網膜にAMDを引き起こす新生血管(CNV)の発生を抑制してくれます。 ちなみにこのルテイン、まずいことで有名な青汁に大量に含まれています。私は眼科専門医として末永く八幡浜地域の皆様のお役に立てるよう、毎日2本ずつ宅配してもらってクリニックで飲んでいます。本当はクリニックのスタッフの皆にも目の健康維持のために強く勧めているのですが、「臭いから絶対イヤ。」と言って誰も飲んでくれないので、仕方なく毎日1人で飲んでいます。(笑) 次にEPAですが、ブリやマグロ、カツオ、サバなどの青魚や、ウナギ、アナゴに多く含まれる栄養素です。このEPAは血液をサラサラにして血行を良くして、血栓症や動脈硬化を防ぐ効果があります。また、炎症が起こりにくい体質になる効果があり、これがAMDの進行予防に大きな効果があると考えられています。 以上をまとめると、 ルテイン摂取で新生血管(CNV)を抑制し、EPA摂取で目の中に炎症を起こさない体を作ることで、怖い病気AMDの進行をより強力に抑えるサプリメントが出来るだろうと期待されていたわけです。 そして今回のセミナーではこの期待の「AREDS2」の結果がついに発表されました。その驚くべき内容は、、、、(続く)
2013.11.15
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