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正直、パメラがこれほど美しくなっているとは思わなかった、とアイヴォリーは驚いていた。茶色い髪はロンドンにいた頃はぱさついていたものだが、つやつやとよく手入れがなされ、くるくると肩に落ちている。明るく整った顔立ち。上質のドレスのせいだろうか、背が伸びて、胸や腰は見とれるような曲線を描いているというのに、首筋や腕はすんなりと細長い。長いまつ毛に縁取られた瞳の光だけはそのままだった。十四歳の時からそうだった。どんなにみすぼらしい格好をしていても隠せない。向こう見ずで真っ直ぐな瞳。男を振り回す女の目だ。まるで気まぐれな猫のように。自分の目は間違っていなかった、とアイヴォリーは思った。パメラを逃がした失敗をあらためて悔やみ、そしてここで会えた事を感謝した。「逢いたかったよ、パメラ。ずっと捜していたけれど、こんな所にいるとは思わなかった」「あたしは、あんたには一生、会いたくなかったわ」パメラは・・・。 「ヴィクトリアン・ローズ・テーラー」シリーズは、「恋を叶えてくれるドレスをつくる」ことで評判な主人公の縫い子の少女クリスティン・パレス(通称・クリス)が公爵家の御曹司シャーロックと身分違いの恋に落ちるストーリーです。幼い頃から母リンダのもとでドレスを作っていたクリス。しかし、リンダは自らの恋に夢中になりドレスを作れなくなってしまいました。しだいにクリスとリンダは確執が生じることになります。一方、娼館で下働きをしていたパメラは娼婦になるのが嫌で一生懸命勉強をしていました。母の元から逃げ出したいクリスと娼館から逃げたいパメラは運命的に出会い、協力して逃げ出して二人の店・仕立て屋「薔薇色」(ローズ・カラーズ)を開くことになるのです。クリスがドレスを作り、パメラがお店を経営する。まだ十四歳だった二人は親友同士力を合わせて頑張ることになります。 3年前からずっとパメラに異常な執着をみせる紳士?アイヴォリーはパメラに「娼館で働いていたことを皆にばらす」と卑劣な脅迫をしてきます。突然の脅迫者に動揺するパメラでしたが、「舞踏会に出席する親友クリスを応援する」ため警戒しながらもアイヴォリーの話にのることになってしまいます。番外編です。パメラが主役となる「聖者は薔薇にささやいて」他、マンガやショートストーリーなどバラエティ溢れる構成になっています。引っ込み思案なクリスとは違う、勝気で親友思いなパメラをめぐる恋の駆け引きや華やかな舞踏会での活躍が大変面白かったです。特にパメラをめぐる恋のライバルのはずなのに、パメラを守るため協力することになってしまうアントニーとイアン医師が格好良かったと思います。 ジャンルは英国ラブロマンス・ファンタジー。ラブストーリーが好きな人にお薦めです。<終>ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ(一部紹介)
2010年05月28日
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「仲間たちが助かるのなら、魔族になってもかまわない」人類のため、仲間たちのために人間でいることを捨てて大魔王ケストラーの血を吸ったハーメル。ケストラーにダメージを与えて倒したものの、ハーメルはすっかり魔族化してしまいます。「よく・・・やった・・・な・・・ハーメル・・・たとえその身が・・・魔族じゃろうと・・・お前は・・・間違いなく・・・人間じゃよ・・・」体の半分を失う大ケガをしながらも我が子同然のハーメルの成長を喜ぶオーボウ。ところが、「おのれ魔族めー!!シーザースラッシュ!!バケモノめ退治してくれるゥ」「ああっこんな所に魔族がいる!!天使の鎌で地獄へ送ってやるう!」ハーメルの仲間である剣士トロンやハーメルの妹サイザーは、勘違いで魔族化したハーメルを攻撃。感動シーンがわけが分からない展開になる中、大魔王が復活して・・・。 「ハーメルンのバイオリン弾き」シリーズは、巨大なバイオリンを操って魔族を倒す主人公の勇者ハーメルをはじめ、変な勇者たちが人類を救うため大魔王を倒す旅に出ることになるというストーリーです。「大魔王の息子」という重すぎる運命を背負うせいで常にバカ騒ぎをしていないと正気を保つことができないハーメル、王女で聖女なのにサル・カメ・F1などの着ぐるみを着せられて虐待されるヒロイン・フルート、女性に触れると興奮のあまり鼻血を噴き出して死にそうなる愛の勇者ライエル、臆病者で何でも金で解決しようとする亡国の王子トロン、本来はものすごく強いのに小鳥に変身しているせいで戦力にならないオーボウ、など問題ありまくりの勇者たちが人類を魔族の手から救うため頑張って戦うことになります。 北の都の最終決戦。いよいよケストラーとハーメルとの戦いに決着がついたり、水晶の中に囚われているハーメルの母パンドラが復活したり、感動的なシーン盛りだくさんなシリーズ最終巻なのですが、いつも通りアホでバカバカしいシーンも満載です。魔王を父に持ち、聖女を母に持つハーメルは重い宿命を背負っていてシリアスなシーンも非常に多いのですが、同時におバカなことをやっていないと精神的に耐えられない性格でもあるので、結局最初から最後まで切ないシリアスなストーリーなのか?アホでバカバカしいストーリーなのか?よく分からない展開でした。ただ、こうして最終巻を迎えてみると、辛いこと悲しいこともあって、バカバカしく楽しいこともあって、両方があって勇者たちが強くたくましくなったことが伝わり、非常に感動的で面白かったです。また、最後にコル・ネットがトロンを結婚して王妃になっていたのが衝撃的でした。時々怪獣になって暴れる王妃って怖いですね。 ジャンルは、変人勇者シリアス・コメディ・アクション・ファンタジー。シリアスなストーリーやコメディやアクションが好きな人にお薦めです。<終>ハーメルンのバイオリン弾きシリーズ全巻セット続編やDVDもあります
2010年05月21日
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「ちょっと、海月君!」声を上げて呼び止めて、駆け寄った。「ねえ、製図、大丈夫なの?やってる?」「いや」海月は軽く答える。首を振るようなこともしない。「どうして?留年するつもり?」「そんなところかな」「え?ちょっと、どういうことなの」少し腹が立った。彼女は海月の手を引っ張って、建物から出た。掲示板の付近にいた何人かがこちらを見ていたからだ。駐車場の方へ移動した。そこで彼の手を離す。「説明してよ」加部谷は言った。「何を?」「どうして、留年なんかするの?」「そのうち話そうと思っていたことだけど、来年は別の大学へ行こうと思う」「え?」加部谷は驚いた。「別のって、どこの大学?」「まだ受けていないから分からない。しっかりとは決めていない」海月の言葉に、加部谷はこれまで経験したことがない不思議な感情を覚える。そんな中、加部谷は目薬αの事件に巻き込まれて・・・。 「G」シリーズは、主人公の西之園萌絵や加部谷恵美、海月及介、山吹早月、雨宮純たちC大学の学生が謎のギリシャ文字に関わる不思議な事件に次々と巻き込まれていくことになるというストーリーです。ギリシャ文字に関わる一連の不可解な事件は決定的な証拠はないものの、「すべてがFになる」に登場する天才博士・真賀田四季との結びつきが見え隠れします。西之園萌絵たちは、普通の人間とは全く思考能力が異なる天才が計画した謎の実験?に関係する不可解な事件に遭遇することになっていきます。今回、神戸で希硫酸という劇物が入った目薬が発見されます。被害者は失明することはなかったものの、目薬製造会社のTTK製薬は大混乱。目薬の名前にギリシャ文字「α」が使われていたことで探偵・赤柳初朗は、黒幕に真賀田博士がいると疑問を抱くことになるのです。 「どうして目薬の中に劇物が入れられたのか?」「犯人は誰なのか?」「目薬の中に劇物を入れた方法は?」TTK製薬会社の社員の変死体を発見してしまった加部谷は、殺人事件の被害者の第一発見者として事件に関わることになってしまいます。親友だと思っていた海月が何の相談もなく「別の大学へ行く」ことを決めていたり、突然変死体を発見したり、加部谷さんにとってはショックが大きいストーリー展開でした。ショックのあまり追い詰められた加部谷が論理的推理に関係なく勢いで謎を解いてしまう予想のつかない意外性がとても面白かったです。また、今回のストーリーは劇物混入ということで以前話題になった中国の毒入りギョーザのことを思い出してしまいました。 ジャンルはユニバーシティ論理ミステリー。ミステリーが好きな人にお薦めです。<終>GシリーズSMシリーズ1巻Vシリーズ1巻GシリーズはSMシリーズやVシリーズに関連したシリーズです。あらかじめSMシリーズやVシリーズを読んでから読むといっそう楽しめます。
2010年05月14日
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「か、・・・からし?・・・ねりねり・・・するんですか?」学園祭を夜に行うのが、普通になればいいのに。人生はフルコースの料理のようなものだ。出された料理を淡々と食べる人間もいれば、出される度に一喜一憂する人間も存在する。毎日同じ料理を食べたい人もいれば、毎日味を変えたい人もいるわけだ。さて、いつも食べる側だった人間が、いざ料理を出す側になったとき、何に注意を払うべきだろうか?・・・簡単なことだ。今まで食べてきたモノをそのまま出せばいい。妙にスパイスをきかせた料理やドッレシングをぶちまけただけの料理、得体の知れない料理なんか誰が楽しめるだろうか?普通が一番さ。俺が何を言いたいかというと・・・。 「これはゾンビですか?」シリーズは、殺されてゾンビになってしまった主人公の男子高校生・相川歩が何故か魔装少女にもなってしまい、冥界からやって来る怪物「メガロ」(見た目は学ランを着た動物。結構可愛い)や魔法世界ヴィリエからこの世界を侵略するためにやって来た「魔装少女」(基本的に魔法少女風)、世界の平和を守るため傍若無人に戦いまくる「吸血忍者」(美人多し)など、非常識な存在と戦うことになってしまうストーリーです。ゾンビとなった歩は日光にあたるとダメージを受けることになり、強敵と戦うために魔装少女に変身すると「変態、気持ち悪い」と罵られ、厳しい苦境に立たされることになるのですが、家族同然に一緒に暮らしているネクロマンサーのユーや天才魔装少女ハルナや吸血忍者セラたちを守るため頑張ることになります。 学園祭が突如「夜祭」になり安心するゾンビの歩でしたが、魔力を失っているはずのハルナが異常なほどパワーアップして暴れまわったり、夜の学校に酔っ払いゴスロリ少女が出現したり、喋ることができないユーが話せるようになったり、殺されたはずの吸血忍者が生きていたり、ありえない異変が次から次へと起きてとんでもない事態になっていきます。元々このシリーズは理不尽すぎる展開やバカバカしい設定の数々が楽しい作品なのですが、今回はいつにも増してありえない事態が次々起きてビックリしました。自力でメガロを圧倒するハルナ、喋り語り歌うユー、エロいコスプレをして接客するセラ、など本来見られないはずの珍しいシーン満載で大変面白かったです。「非日常のことで盛り上がる」という学園祭らしい雰囲気が伝わってきた気がします。 ジャンルは理不尽学園アクション・コメディ・ファンタジー。コメディやアクションが好きな人にお薦めです。<終>これはゾンビですか?シリーズドラマCDもあります
2010年05月06日
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