・・・

・・・

2006年02月10日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
家の中にひどい風邪をもらってきた人がいて、ちょっとたいへんだった。

おかゆもうどんも食べられないというのだが、いちごはビタミンCだからといって食べさせた。
好きなものなら食べられるだろうと思って、いつものように、漬物を何種類も出したが、どれも1切れしか食べない。そばは半玉だけ食べた。
ところが、高校時代のお弁当に毎日入っていたという「石井のハンバーグ」を出してみたら、それだけ「おいしい」と言って全部食べた。
脂っこいものなのに、よく食べられるなー。
味覚って習慣によって作られるものなのだな。

1960年代生まれの韓国人女性が、子供のころ病気になると桃の缶詰が食べられるのが嬉しかった、と言っていた。当時は高価なもので、病気にならないと食べられなかったそうだ。
同じく1960年代生まれの中国人男性も、子どものころ病気になると特別においしい大好物が食べさせてもらえたという。ところが彼は健康そのものの子供で、兄や姉ばかり病気になるので、それをうらやましく思っていて、自分もなんとか風邪をひかないものかと頑張っていた時期があったそうだ。

「なんだい、このコは。熱があるというのに朝からニコニコして」
と母親に言われ、
「りんご、りんご♪」
というと、
「今は季節じゃない」
と言われてしまったというオチ。

彼らにとっては、今でも、桃缶とりんごは特別なイメージのある食べ物なのだろう。
1980年代生まれの留学生たちを見ていると想像できないが、1960年代当時の中国や韓国は、国全体が貧しかった。さらにいうと、それが加工品と果物そのままというあたりに、両国の経済格差が感じられる。

病気だからといって、特別に何かが食べられたという記憶はない。
食欲が落ちなかったのか、食欲が落ちても心配されなかったのかわからないが、高度成長期以降に生まれたので、病気に限らなくても何でも好きなものを食べられたからだろう。

病気になって嬉しかったものといえば、甘い咳止めのシロップくらいである。幼児の本やテレビ番組は、病院が嫌いという話が多いのだが、注射はわかるが、薬はうまいもんなのに不思議だなあと思っていた。



西洋の少年少女文学全集などを読んでいると、時々
「かんゆをのまされる」
という話が出てきた。
かんゆというのは、栄養補給のためとか註があった。これが毎度ものすごくまずいものの代表として描かれるので、一体どれだけまずいのか興味があったが、ろくに単語を知らない小学生が読んでいたので、やはり詳しくは意味がわかっていない「湯灌」という単語とごっちゃになってしまって、なんか気味の悪いものだなあという印象を持っていた。
肝油はサメのエキスということで、今も売られているようなのだが、まだ試していない。摂取しやすいドロップが普及しているようだ。当時はクジラのエキスもあったのではないだろうか。


胃腸に来る悪い風邪が流行ったとき、同時期に倒れていた人たちに、何が食べたいか電話できくと、
「プリン」
という小柄な社会人と
「カツ丼」
という貧乏学生がいた。

ハムスターの小屋のような社会人の部屋に、いくつかプリンを買って持っていったのだが、1個の半分を食べ終わらないうちに
「う…もう食べられないや」
と言って、毛布にくるまってハムスターのように小さくまるまって寝てしまった。
セントラルヒーティングは時間がくると切れるので、寒そうだった。

カツ丼はさすがに冗談だろうと思って、同じプリンを用意していたのに、
「カツ丼じゃなきゃ効かないよ。プリンじゃダメ」
と文句を言ってきた。
食えるわけないだろうに気休めでも必要なのかなと思い、コンビニのじゃなくて、ちゃんと専門店で揚げたてのカツ丼を買って、今の言葉でいうとゴミ屋敷のような部屋に持って行った。
これをガツガツと食うので驚いた。
もしかして、最期の晩餐のつもりで、この世に心残りがないように高価なものをねだったのかなあと思ったのだが、
「ラードは胃壁を守るからね」
というみのもんたもびっくりな独自の健康法を説いていた。
「汗が出てきた。いいぞいいぞ」
と言いながら、脂汗をかいていて、どう見てもさらに具合が悪くなっていくのだが、
「あ、好転反応、来た来た」
と言っていた。ものすごく臭くて汚い部屋で、七転八倒する姿をみて、当時話題になっていた教祖の言葉を妄信してしまう人たちってこんな感じなのかなと思ってしまった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006年02月11日 13時04分15秒


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: