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画家を目指す青年が心中失敗などのあげくにモルヒネ中毒になるという自伝的小説。描写の技術は月並みで、一つ一つのエピソードを描き切れていない。作中では作家≠主人公というような体裁になっているので描写技術のなさはいいわけできるものの、その体裁のために感情表現をし損ねていて演出不足。延々と一人称が続き、視点の変化がないのも私小説ならではのつまらなさの一因。現代人のほうがよりアクロバティックな人間失格者が多く、太宰の体験も悲劇でもないありふれた日常の出来事にみえてしまう。★★★☆☆
2009.01.20
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会社を辞め、妻子と別居し、父親にも援助を断られた男が株でだまされる話。だめになりつつある男の愚痴が延々と続き、人物像にリアリティがあるもののストーリーは面白くない。親子の確執はある種の社会問題的側面もあるけれど、それ以外は主人公の自業自得であまり同情できない。最後に教会の普遍的な愛に救われるというのもオチとしては月並みな印象。★★★☆☆
2009.01.20
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マグロ漁船から落ちて漂流して南国の無人島で暮らす日本人がアメリカ人俳優と会って帰るかどうか迷う話。主人公のヤスシが自分を「彼」と呼んで自分の体験を書き記す文体。冒険がないうえに、すべて終わった出来事として語られるのでさらに臨場感がなくなっていて前半は退屈する。後半になってアメリカ人俳優と会い、そこからアメリカ人との価値観のずれや社会についての考察があって面白くなっていくものの、最後の戦争の描写は唐突で全体から浮いているような印象。★★★☆☆
2009.01.15
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インドネシアでヘロインを買って捕まった画家の兄と、兄を死刑から救おうとする妹の話。兄と妹のエピソードが交互に描かれ、兄が二人称、妹が一人称で語る文体。複眼的にインドネシアという場所の悪いところ、よいところが浮かび上がってくるのはよい。しかし問題なのはいつの時点でこの話を物語っているのかという点。一人称というのはおきつつあることを実況するように書くのではなく、起きた後のことを回顧して語る形式になる。妹の一人称は既に終わったことを語る文体なので、臨場感が乏しくなる。兄のエピソードに比べて妹のエピソードが弱いうえに、ですます調の丁寧語なのも感情の起伏が伝わりにくい。また兄の二人称は誰が兄に対してお前といっているのかが問題。兄が自分のことを客観視しているのか、あるいは別の人から見た兄なのかで物語の解釈の仕方が変ってくるだろう。前者なら読みにくくなるだけであえて二人称にするメリットはないように思える。★★★☆☆
2009.01.14
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ネズミが増えて大騒ぎになる話。レミングが海に集団自殺するというくだりは後になってデマだと判明したのだけれど、じゃあネズミはどうなのかと思うと小説の根幹のリアリティがあやしくなり、オチが興ざめしてしまう。主人公の立ち位置や描写が中途半端で、感情移入もしづらい。★★★☆☆
2009.01.14
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昆虫採集に出かけた男が砂に埋もれた村に捕らえられる話。だまされて村人に捕らえられるという不条理の中で価値観が変わり、生きるために順応して行く姿を書いているのはよい。昆虫や砂の描写にリアリティがあり、最後まで村人の固有名詞が出てこず得体の知れない存在として貫いているのもよい。欠点があるとすれば主人公に魅力がなく、村に残るのか村を脱出するのか行動が中途半端な所。また冒頭で行方不明になったと書いておきながらまた巻末に行方不明の証明書をつけるのは蛇足のように思える。★★★★☆
2009.01.08
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日航機墜落を担当した新聞記者が山に登る話。過去と現在が交互に描かれつつ構図で、ほとんどが日航機墜落事件のストーリーでタイトルと逆に登山の話は少なく、隠喩的意味しか持っていない。危険だとさんざん煽っておきながらあっさり登山してしまうのも興ざめ。★★★☆☆
2009.01.08
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へんてこな文体の短編集。実験的なことをあえてする心意気はよいけれど、こんな書き方もできるということをやっているだけで個々の短編に小説としての魅力は少ない。作者としても実験的手法を自分の技法として確立しきれていない印象。★★★☆☆
2009.01.08
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満州から引き上げる家族の話。各種資料を調べているのはよい。食事と排泄をきちんと書いているのも戦時中の日常をよく書いていてよい。しかしいくら瑣末な背景が充実したところで、肝心の登場人物の心理描写が足りない。書き下ろしでなく連載のせいか、後半になると筆力が落ちてきて一文で一行を埋めている有様で、嫉妬と復讐と愛情が絡み合う肝心のクライマックスで単調で一面的な描写しかされていない。これでは夫の遺言を裏切って恋人と寝る波子の行動は衝動的で軽薄な印象しか残らない。クライマックスを丹念に描かないのなら、軍人が恋人のロシア人スパイを切り殺す印象的なエピソードを冒頭に持ってきた意味が無く、主人公が波子なのか氷室なのか焦点がぼけるだけの悪手になる。戦争をテーマにすれば名作になるわけではなく、帯で褒めちぎって大作ぶっているだけに逆に小説家としての作者の技量の足りなさが目立つ。内的焦点化の技法を使いこなせていたらもっといい小説になっただろう。★★★☆☆
2009.01.08
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貧しいけれど美しい若者が順当に出世しながらも身分違いの恋で破滅する話。典型的な全能の作者による三人称の文体で、恋の葛藤やすれ違いの内面を細かく書いている点がよい。感情を表に出さない退屈な貴族の生活と、激昂しやすいジュリアンの性格の対比がジュリアンの恋をより魅力的に演出している。描写にむらっけがあって読みにくく、ジュリアンの才能が性格が誇張されている印象。中途半端に政治や宗教の話を織り込んでいて、当時これを読んだフランス人ならば理解できるだろうか、現代人が読んでもあまり要領を得ず、全体が無駄に長い。★★★☆☆
2009.01.08
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出所の怪しい金で株の取引をする話。主人公と同僚の書き分けがなくモノローグのような抑揚のない会話とまるで少年を書いているような描写がストーリーと合っていない。★★★☆☆
2009.01.08
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