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青森でツリーハウスを作る親方のところでアルバイトしているデザイナーを目指している男が兄と兄弟げんかをする話。主人公の一人称。文体は平凡で、クライマックスで太字になったりカタカナになったりつらつら書いたりというのも青春小説でよくやられた手法で冷めてしまう。主人公が混乱するのはかまわないのだけれど、読者を混乱させてしまっては描写として意味をなさない。読者をミスリードする意図がないのであれば主人公の混乱をわかりやすく伝えるべきだろう。ヘリコプターでつるされる夢というのも暗喩としてよくわからない。それにナラトロジーとしても、現在進行形で自分語りをするのは説明くさくなるうえに語り手が混乱しているのは物語のリアリティを削いで物語をわかりにくくするという二重の悪手。他の作家がしている失敗を踏襲しているうえに、この作家ならではの技法や感性が突出している部分がなく、見所がなく下手な部分だけ目立ってしまう。この小説でいちばんよくできている部分は表紙に使われたペンギンのぬいぐるみで、せめてタイトルにあわせてウミネコにしろと突っ込みたくなる。★★★☆☆【送料無料】海猫ツリーハウス価格:1,000円(税込、送料別)
2012.01.20
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恋人との心中に失敗した女が女花火師に弟子入りする話。作者の視点の三人称。心中未遂の際の心理描写も浅く、花火師に弟子入りする動機も希薄で、あまりテーマを練らずに書いたのが伺える。心中に失敗して流産して「ショックだった」で済ますのはいくら前フリにしてもおざなりで、冒頭でいきなり手抜きされると興ざめしてしまう。『幸福村』に収録されている「天櫓」は死化粧師に弟子入りする話だけれど、女主人公が変わった職業に弟子入りするというのは安易な物語展開の仕方で悪手だろう。主人公よりも女花火師のほうが存在感があり、主人公を軸に物語を展開する利点がない。そのうえ父親の病気だの恋愛だのと花火と関係ない話題も絡んできて物語が散漫になっているし、弟子入りして花火にかかわるまでに全体の半分ページを使うという展開の遅さも退屈する。はじめから女花火師の物語として書いたほうがましだろう。物語展開だけでなく文体もよくない。この作家は情報の出し方が下手で、取材したことを解説書のようにづらづらと書いていて興ざめする。銀ブラという時代とともに風化する言葉を軽々しく使うのも良くない。全体的に推敲が足りず、花火や花火師の仕事の解説書におまけで小説をくっつけたというような仕上がり。★★★☆☆【送料無料】千輪の華価格:571円(税込、送料別)
2012.01.20
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阪神大震災をテーマにした短編集。三人称。地震で大勢死者が出ているせいか、比較的セックス描写を抑えてまじめに書いている印象。ジャック・ロンドンの焚き火をモチーフにした「アイロンのある風景」は村上春樹らしくないがゆえによくできていて、純文学的なしかけが機能している。他の短編は村上春樹らしさが出ていてよくない。短編なうえに無理やり地震を物語に絡めていて、さらに人物描写が浅いのでリアリティがなくなっていてしらける。★★★☆☆【送料無料】神の子どもたちはみな踊る価格:515円(税込、送料別)
2012.01.20
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