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山口組の二次団体の後藤組組長の少年期から、引退して仏門に入るまでの自叙伝。インタビューをまとめた形式で、話し言葉で書かれていて、人物や事件についての注釈も入っているので読みやすい。半分は自伝で、ヤクザ同士の抗争や、ヤクザと企業や政治家の繋がりが書かれていて、ヤクザの倫理観や処世術、日本の裏社会の一面が見えるのは面白い。残り半分はマスコミ、創価学会、経団連、政治家への批判となっている。マスコミは人を傷つける仕事だとか、政治家は卑しいとか、経団連の御手洗はチンピラだとか、島田紳助は小チンピラだとか、池田大作は悪人だとか、ヤクザ並にたちの悪い連中を名指しで批判している点はよい。社会批判の意見自体は月並みなものの、言論タブーがない史上最強のコラムニストとしての面白さがあり、これが最初で最後の本になるというのはちょっと残念。しかし社会批判よりもむしろ主張すべき点はヤクザが必要悪かどうか、極道の大義は何かという点だろう。そこの主張が弱いのでは、結局は一般社会にはヤクザは暴力で不法に利益を得る集団で不要悪だとみなされてもしょうがない。山一戦争では大義のないほうが負けたと言っているが、ヤクザが社会から追放されたのもヤクザに大義がなかったから負けたということになる。★★★★☆【送料無料】憚りながら [ 後藤忠政 ]価格:620円(税込、送料込)
2014.01.20
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19世紀末にカナダで金鉱が見つかって、飼い犬のバックが橇犬として売られて過酷な労働をするうちに野性に目覚めていく話。三人称。犬が主人公ながら、バックが知性や気品や忍耐といった魅力を十分に備えているので、犬好きでなくても犬版貴種流離譚という感じで面白く読める。犬の心理描写については、犬が何を考えているのかは知りようがないのだから、リアリティ云々を突っ込んでもしょうがない。苦難の末にバックがジョン・ソートンという良い主人にめぐり合って金鉱を見つけて、ヘボ作家ならそこで幸せに暮らしましたとさでハッピーエンドで終わらせるところだけれど、そこからさらにジョン・ソートンがイーハット族のインディアンに殺されて、バックが復讐して、人間を殺したバックが生存競争の頂点に立ち、オオカミのリーダーになるというクライマックスに持っていくあたりが良い。全体的に暴力と殺し合いばかりの話だけれど、最後にバックが亡きジョン・ソートンを追悼することで、ただの乱暴で残忍なだけな野性ではなく、愛情と気品ある物語として終わっている。物語の面白さだけでなく描写もよい。一つ一つの場面が長すぎず、状況の説明とバックの心理描写が過不足なく書かれていて、さくさくと話が進んで物語の緊迫感を維持したまま最後まで面白く読めた。*大石真訳の新潮文庫版を読んだのだけれど、これだとThorntonは「ソートン」となっているけど、他の訳だと「ソーントン」になっているらしい。★★★★★【送料無料】野性の呼び声 [ ジャック・ロンドン ]価格:500円(税込、送料込)
2014.01.19
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作家のレオ・パースパイドが黒人女性マードゥと出会って付き合って失恋する話。一人称。主人公の身の回りの狭い世界の描写を一方的に垂れ流す私小説にありがちなつまらなさが漂う。酒とドラッグでらりぱっぱの白人レオと精神病の黒人マードゥのきちがい同士の恋がうまくいかないことは読者には予想がつくので、プロット自体に見所はない。となると、どれだけ恋愛の興奮や失恋の感傷を表現できたかというところが見所だけれど、これもうまく表現できたとは言いがたい。作者はドラッグをやりながら三日間で書き上げたらしいが、始終アップビートでノリノリで改行のない文章が延々と続き、全体としては恋にも失恋にもめりはりがなくなって、各場面が印象に残らない。主人公のレオはケルアックがモデルになっていて、他の「地下街の人びと」と呼ばれる登場人物にもギンズバーグとかそれぞれモデルがいるらしい。作者と同時代を生きたアメリカ人読者には作者とモデルとなった人物との人間関係が面白く思えるのかもしれないものの、現代日本人が読んでもその点は物語の面白さにつながらない。それに「地下街の人びと」というタイトルの割には、レオとマードゥの話ばかりで、レオとまわりの人たちの人間関係がうまく書かれていない。というかそもそもこの語り手は読者に説明するつもりがないのかもしれない。レオとマードゥ以外の人々の立場や態度がはっきりしないせいで、余計に物語がつまらなく感じる。ドラッグまみれの底辺暮らしのビート・ジェネレーションの一側面をドラッグやりながらノリノリで書いたという点ではビート的特徴がよく出ている。物語としては面白くないが、手法としては面白い。読者もドラッグをやりながらノリノリで読めば面白いのかもしれない。★★★☆☆【送料無料】地下街の人びと [ ジャック・ケルアック ]価格:515円(税込、送料込)
2014.01.17
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