全5件 (5件中 1-5件目)
1

ブログ「教育の窓」でtoshiさんが高校の実践をとりあげてくださいました。 私たちは だれも 一人じゃない!!(4)~大震災の単元構成に感激~ 私も札埜氏の「国語でできること」を紹介しながら「この授業でできたこと」、そして、「なぜできたのか」という点を取り上げてみたいと思います。国語として「できた」こと さて、『高校生活指導』191号掲載の「国語としてできること」は大規模災害に対する「募金」、「ボランティア」に対して違和感を覚える札埜氏がおこなった「国語で『東北』を意識する」授業実践です。これに対しては「すごい」、「素晴らしい」、「自分もがんばらなければと思った」といった感想・声を、私の知る人からいくつも聞きました。 おそらく実践記録にも出てくる「学びの思想化」が生徒自身の感想文や報告書からはっきり読み取れることが大きいでしょう。私自身も素晴らしいと思うこの実践において、注目すべき点を列挙したいと思います。「古典講読」での取り組み(実践部分をそのままリンク先に引用) まず、『方丈記』所収「大地震(おはなゐ)」等を題材にした古典の学習と、地震研究者谷口慶祐さんとのコラボ授業(「古典を科学する~」)の学習について。1)古典(「大地震(おほなゐ)」を読んで「現代と似ているところ」、「疑問と仮説」を意見交換しながら出していく学習は、「直接的な体験を超えた過去の事実」を生徒自身がリアルにとらえなおすものとなっています。2)それに続く谷口慶祐さんの「古典を科学する」の学習は、次のような注目すべき生徒の感想につながっています。 「古典文献から情報を引き出し、科学的研究により法則が見いだされ、更に古典文献から実証される南海地震の研究プロセスはとても面白い」、「人の...幸せや健康...、それらがよりよく実現されるために、過去に問いかけそして問いかけられているものの解明に近づこうとする。その姿勢はずっと変わらずにあるべきだ」、「普段私たちは文系理系などと大きく境をつけられるけれど、過去から学ぶことにおいては文系理系の区別などない」。現代文での取組み(実践部分をそのままリンク先に引用) 続いて現代文〔宮沢賢治「永訣の朝」、丸山真男「『である』ことと『する』こと」、石牟礼道子「後生の桜」(水俣病のエッセイ)、「水俣病訴訟原告の小笹恵さんを招いて」等〕について。1)現代文においても「直接的な体験を超えた事実」をリアルにとらえる学習が成立していることが生徒たちの感想、報告書から伝わってきます。2)「賢治が考えた『われわれに必要な科学』とは何か」という出題や、「水俣病が地震や原発問題で揺れている今の社会に投げかける問題」に関する問いかけ、「小笹恵さんを招いての授業」は、生徒における「学びの思想化」を一歩進めているように見えるのです。例えば「今原発問題で水俣病とリンクする所があり、同じ過ちを繰り返しているなと思い、悲しくなりました。(...)」といった感想。 さらに注目すべきことは、研修旅行と授業の学びが融合している点です。そのことは次のような生徒の作品(テーマ:一学期の授業内容と研修旅行で...知ったこと、感じたことを融合させながら「東北・水俣・鹿児島~京都・関西の地より( )を問い考える」)からもうかがえます。 (関西から鹿児島に移住して塩づくりを生業に地域に根ざして暮らす方の所に民泊した生徒の作品)「(・・・)地面に足をつけて生きること、一人よがりじゃなくて周りの自然や人々と共に生きてゆきたいと私は一学期の授業内容と研修旅行を通じて思いました。 もし将来科学をやることがあったとしても、どんな職業でどこに住もうとも、住んでいる所に根差して提供したり与えられたりしながら暮らしていきたい。私は科学をそんな風に使えたらいいし、別に科学を使わなくたって地域で暮らしていくことはできると、民泊でMさんが教えて下さいました」 「科学技術の恩恵と害は平等に分配されてはいない。・・・科学は科学者だけのものではない」 「これまでの話を聴いてとても宮沢賢治の思想に似ている部分があるなあと思った。人の役に立つことを生き甲斐として暮らしていらっしゃる姿は私にはとてもまぶしかった。(・・・)そして『今私にできることは何だろう』と考えさせられると同時に自分の無力さや行動力の無さに腹が立った。私は今、思うがままに生きている。 果たしてそんな人生でいいのかとすごく悩まされた。そして今の自分がとても悔しくて仕方がなかった。『誰かの役に立ちたい。そういう人生を歩みたい』と強く思うようになり、今自分ができること、誰かの役に立てることを常に考えて行動できる人になりたいと思った」 「国民だって原子力発電が危険性の高い発電方法だと理解していたはずだ。国民には意思表示の自由権が与えられているにも関わらず今更になって原発反対だの『東電もっとしっかりしろ』だの言い始める。(・・・)国民にはたくさんの権利が与えられている。それを日々使わず放置して自分が身の危機に迫られると必死になってその権力を使おうとする。こんな民を抱えてよく国が成り立つなと思った。メディアが取り上げる旬の情報に左右されすぎではないか。 そして権力を持っているにも関わらず受動的でメディア界が政権を揺さぶるような『民主国家』に私は疑問が尽きない。『しっかりせえよ』は私たち国民ではないか。社会をつくつているのは私たちであって、その私たちが変わらずして今の日本が良くなるなんて考えられるだろうか」 (上のような感想に関する、toshiさんのコメントはこちらの記事です) 以上、実践の全体を通して「学びが生徒自身の思想として血肉化されつつある」様子が見てとれますが、その前提は何でしょうか。 まず、大地震や水俣、さらには社会批判(社会創造)の問題を生徒たちが当事者意識を持ってリアルな問題として受けとめていることが重要だと思われます。それが、真の学びや「学びの思想化」へ踏み出そうという意思を形成するでしょう。それを可能にした要因はいったい何だったのでしょうか。 東日本大震災を考える授業(2)に 続く (教育問題に関する特集も含めてHP"しょう"のページに・・・)(開店休業中だったアメーバブログ〔= 「しょう」のブログ(2) 〕を復活させました。『綴方教師の誕生』から・・・ 、生活綴方教育における集団の問題 など)
2012.01.29
コメント(2)

反貧困フェスタ、東日本大震災女性支援ネットワークのお知らせ等、以下に転載します。【とりいそぎおしらせ】*詳細が確定次第、重ねて告知します。■2月11日(土・祝)10:00~16:00反貧困フェスタin福島福島大学にて分科会、全体会シンポ(佐藤栄佐久・前福島県知事など)あり。■2月25日(土)・26日(日)第3回 全国まじくるフェスタin府中府中市生涯学習センターにて*****■1(東京)2012年1月21日(土)18:00~20:30(開場17:45~)@アップリンク・ファクトリーPARCビデオ『原発、ほんまかいな?』渋谷アップリンクにて緊急上映!■2(東京)2012年1月25日(水)19:00~21:00@アジア太平洋資料センター(PARC)1F特別講座「社会にモノ言うはじめの一歩 活動家一丁あがり!」2011年度受講生による卒業イベント発表 合同記者会見のご案内■3(東京)2012年1月29日(日)13:30~17:00@文京学院大学本郷キャンパスB館4階B-406教室東日本大震災女性支援ネットワーク・中間報告会へのお誘い■4(大阪)2012年1月30(月)18:30~20:30@大阪弁護士会館2階2012年3月8日(木)18:30~20:30@大阪弁護士会館2階映画「渋谷ニューブランニューデイズ」特別上映会 &ワールドカフェ「貧困をなくすためには」■5(東京)2011年12月17日~2012年2月中旬頃まで(終了日未定)@ポレポレ東中野***「医す者として」大好評につき延長決定!***映画「医(いや)す者として」~貴重なフィルムがいま、よみがえる! 医療・介護・福祉の垣根を越えて地域をつむぐ~■6(鹿児島)2012年2月4日(土)13:00~17:00@鹿児島県市町村自治会館401号会議室ホームレス法的支援者交流会設立4周年記念企画「更生保護における法律家の役割」■7(東京)2012年2月4日(土)13:15~16:45(開場13:00)@東京都生協連会館 3階C会議室「食と農で世直しチャレンジ!」都会にくらすあなたと「食・農」を近づけるヒントがぎっしり!■8【公開放送日は終わりましたが、視聴できます】レイバーネットTV 第25号放送特集:「派遣村から3年~どうなってるの?!ハケン問題」■3(東日本大震災女性支援ネットワーク)~■8はこちら━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■1PARCビデオ『原発、ほんまかいな?』渋谷アップリンクにて緊急上映!2012年1月21日(土) 18:00~【日時】2012年1月21日(土) 18:00~20:30(開場 17:45~)【場所】アップリンク・ファクトリー (定員75名)渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1F(渋谷駅徒歩7分)http://www.uplink.co.jp/info/map.html【料金】1,500円均一(アップリンク会員:1,300円)○プログラム18:00~18:10 冒頭挨拶18:10~19:25 『原発、ほんまかいな?』本編上映 75min上映作品詳細→http://parc-jp.org/video/sakuhin/genpatsu.html19:25~19:35 休憩 10min19:35~20:30 トークイベント(Q&Aセッション)細川弘明(『原発、ほんまかいな?』監修、PARC代表理事、京都精華大学)鈴木敏明 (『原発、ほんまかいな?』監督、映像作家) 今回上映する『原発、ほんまかいな?』は、福島第一原発事故を受け、いま、原発をきちんと知り、どんな未来を選び取るのかをともに考えたい、という思いから、緊急制作した作品です。PARC初のドラマ作品で、主人公2人の疑問に専門家が答えるかたちで「原発」の姿が明らかになっていきます。ぜひ、多くの方にご覧いただければと願っています。「原発のこと、あまり良く知らないんだけど…」という初心者の方、歓迎!もちろん、既に原発関連の運動を活発にしている方も、大歓迎!!上映会にはどなたでもご参加いただけます。ぜひお誘いあわせの上、お越しください!━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■2報道関係者各位■特別講座「社会にモノ言うはじめの一歩 活動家一丁あがり!」■ 2011年度受講生による卒業イベント発表■ 合同記者会見のご案内■■■【日時】2012年1月25日(水)19:00-21:00【場所】アジア太平洋資料センター(PARC)1F東京都千代田区神田淡路町1-7-11 東洋ビルhttp://www.parc-jp.org/guidance/guidance_04.html★発表イベント(一部。詳細は文末および添付ファイル参照):「トークイベント『オシャレは世界を変える?』」「シンポジウム~大切な人を自死で亡くすということ~」「ナラティブ・イン・ザ・ナイト」「政治カフェ~モヤモヤした思いを語り合おう!~」「新感覚!シンポジウム系お食事会 カフェで語る“再生可能エネルギー”」★活動家一丁あがり実行委員(基本的に当日同席予定)○湯浅 誠(自立生活サポートセンター「もやい」事務局次長/反貧困ネットワーク事務局長)○松元千枝(しんぶんワーカーズ・ユニオン/全国一般労働組合東京南部)○土屋トカチ(映画監督)○河添 誠(首都圏青年ユニオン書記長)○須田光照(全国一般東京東部労組書記長)○内田聖子(アジア太平洋資料センター〈PARC〉事務局長)「活動家一丁あがり!」実行委員会(文末参照)は、アジア太平洋資料センター(PARC)の開催する市民講座PARC自由学校の特別講座として、2011年6月より「活動家一丁あがり! 社会にモノいう初めの一歩」を開講しました。http://www.parc-jp.org/freeschool/2011/kouza/kouza_icchoo.htmlこの講座は、2009年から始まり、現在の格差社会・貧困化する社会に対して「何かモノを言いたい!」「変えるために何かしたい!」と思いつつも、そのノウハウがわからないという若者を対象に、構造の把握や運動の歴史を学んだ上で、効果的な活動や運動の具体的なスキルやノウハウ、発信の方法について一緒に考え、動き出していくことをめざしてきました。本年度は約20名の受講生が8か月・18回の講座を通して学び、ネットワークや知見を広げてきました。その成果としてこの春、受講生の「卒業イベント」が、都内を中心に次々と開催されます。講座を受けた受講生一人ひとりが自らの問題意識から企画し、会場手配や広報、その他準備をし、実現することになったイベントです。各イベントの詳細や企画の意図、思いを皆様にお伝えするための「合同記者会見」を開催いたします。この講座は開講前から多くのメディアに注目され、講座には多数の記者の方も足を運び、受講生たちが考えていること、感じていること、そしてやりたいことを試行錯誤しながらつくりあげるプロセスにおつきあいいただきました。(2011年3月にはNHK出版より本講座の単行本が出版されました)ぜひ記者会見にて、受講生たちの心のこもったイベントについて知り、貴媒体にてご紹介いただければ幸いです。実行委員メンバーも参加し、本講座についてのご紹介や成果をお話しさせていただきます。===================★2011年度受講生による卒業イベント(2011年3-4月開催予定!)★以下、受講生によるイベント概要の一部です。各イベントの趣旨や登壇者、定員など詳細はお手数ですが添付ファイルにてご確認をお願いします。※当日は各イベントについての詳細を受講生自身が直接、皆様にお伝えします。 下記以外にも当日はたくさんのイベント発表を予定しています。――――――――――――――――――――――――(1)トークイベント『オシャレは世界を変える?』■日時:2012年3月4(日)14:00―16:20■場所:東京ウィメンズプラザ視聴覚室AB 東京都渋谷区神宮前5-53-67■参加費:一般700円 個性派オシャレさん500円■主催:everyday tea partyhttp://ameblo.jp/starcrownmake/■問合せ micaco1129@yahoo.co.jp――――――――――――――――――――――――(2)シンポジウム~大切な人を自死で亡くすということ~■日時:2012年3月17日(土)14時―16時■場所:早稲田奉仕園リバティホール 新宿区西早稲田2-3-1■問合せ:田口まゆ NPO法人Serenity(セレニティ)代表Tel/ 070-6641-8748 e-mail/ taguchi.mayu@serenity-n.com)HP http://serenity-n.com/ ブログ http://ameblo.jp/mira1105/――――――――――――――――――――――――(3)ナラティブ・イン・ザ・ナイト■日時:2012年3月17日(土)14時―16時半■場所:ユニビル4階会議室 東京都北区赤羽2丁目53番1号■問合せ:ブックオフ・りーふぐりーん(代表)高田光一TEL:080-5180-0699 E-mail:takada.kou@lemon.plala.or.jp――――――――――――――――――――――――(4)政治カフェ~モヤモヤした思いを語り合おう!~■日時:2012年3月18日(日)14:00-16:30■場所:東京都文京区勤労福祉会館3階 第1和室■問合せ:山川敦 TEL090-1729-9250 Email:yama-wa-wa@i.softbank.jp――――――――――――――――――――――――(5)新感覚!シンポジウム系お食事会 カフェで語る“再生可能エネルギー”■日時:2012年3月25日 (日) 12:00―16:00■場所:magari 東京都目黒区駒場 3-6-9 シティロード B1F■主催:spectrum.revo(スペクトラム レボ)http://sperevo.blog69.fc2.com/■担当者:駿成 Mail:rse45319@nifty.com TEL 080-1680-2623===================【参考資料】2011年度「活動家一丁あがり」講座の概要・2011年6月~2012年3月・基本的に隔週水曜日 19:00~21:00・全18回・参加費:1回300円※講座の内容はウェブサイトでもご覧いただけます。http://www.parc-jp.org/freeschool/2011/kouza/kouza_icchoo.html===================一丁あがり!実行委員会〒101-0063 千代田区神田淡路町1-7-11東洋ビル3Fアジア太平洋資料センター(PARC)気付TEL.03-5209-3455 FAX.03-5209-3453E-mail :office@parc-jp.org http://www.parc-jp.org/=================== 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)(開店休業中だったアメーバブログ〔= 「しょう」のブログ(2) 〕を復活させました。『綴方教師の誕生』から・・・ 、生活綴方教育における集団の問題 など)
2012.01.21
コメント(0)

大阪の「教育基本条例案」。一体どうなっていくのでしょうか。 大阪の仲間(教職員)から下記の集会について連絡をもらいましたので転載します。 記 集会のご案内です。「教育基本条例に反対するシンポジウム」が1月28日(土)13:30~17:00 守口文化センターで開催されます。http://homepage2.nifty.com/osaka-kouseiken/jourei0128simpochirasi.pdf パネリストは池田知隆さん(前大阪市教育委員長・「どうなる!大阪の教育」編著者)、佐藤学さん(東大教授)、野田正彰さん(精神病理学者・関学大)、前田佐和子さん(地球物理学者)で香山リカさん(精神科医)もかけつけるとのことです。 呼びかけ人には「大阪の教育のあしたを考える会」の小野田正利阪大教授も名を連ねられています。みなさん、これからもぜひ基本条例の行方にご注目お願いします。 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)(開店休業中だったアメーバブログ〔= 「しょう」のブログ(2) 〕を復活させました。『綴方教師の誕生』から・・・ 、生活綴方教育における集団の問題 など)
2012.01.14
コメント(2)

学力を論じる場合、当然、教科等の指導「目標」が問題になるわけですが、例えばイギリスではじまりヨーロッパに広がった「シチズンシップ教育」(子どもたちが、民主主義を理解・実践するために必要な知識・スキル・価値観を身につけ、市民となっていくための教育)が何かと話題になります。 ただ、政府レベルでの議論によって「上から」提示されてきた「シチズンシップ教育」とは対照的に、日本の「総合的な学習の時間(←総合学習)」や「現代社会」、「理科1」などが地域住民運動(公害反対闘争など)に深く学びつつ、「新しい知の体系とそれをもりこめる新教科を」という「下から」の要求に応えて登場したということを、ご存知ですか。 私自身も中内敏夫『教室をひらく』を読んで最近知りました。 上記の取り組みはまさに現在において、日本史上最悪の「原発事故」に正面から向き合わなければならない現在においてこそ、貴重な教訓になると考えるのです。 中内は『教室をひらく』の第4章「目標づくりの組織論」のなかで、1960年代以降急速に進められた「巨大開発」(国土総合開発計画)とその弊害に向き合って、「環境権」その他いくつかの人権概念を発展させた地域住民運動に注目しています。そして、この運動に関わっていった教師たちの実践(新たな教育目標の設定・実現)をとりあげるのです。 次に挙げるのは、青森県下北地方で新全総の巨大開発に対峙する地域住民運動に関わっていた教師たちの言葉です。 「下北の私たち教師のかかえている問題は、公害の予防であり、地域の生活と自然を守ることであり、それを教育の中でどう扱うかということである」、「社会・理科の分野で住民運動の中で学んだことを教材化することが必要だと考えた」、「子どもたちが自分の生活の場を深く見つめ、現実を直視し、将来に向かっての世界観を自己形成することを願っている」、「地域の抱えている問題・課題を普遍的な科学の問題とつなげて考え」る。 〔実践記録集『やませ』(青森国民教育研究会編)〕 「自然を大切にしましょう」という心がまえの教育ではなく、その基礎となる科学的な自然像と環境概念を築きあげることを彼らはめざすのです。 そして、「住民運動から学んだこと」をヒントに「人間社会では(とりわけ高度成長期においては)、生産と消費だけが重視され、還元(分解)は軽視され環境が破壊されている」ことに注目。生産者である植物、消費者である動物に対して菌類は還元者(分解者)として生態系の中で役割を果たしていることを教材化していきます。 つまり、「生態系における還元の概念」を目標に位置づけ、地球の危機が問題となる時代の(グローバルな展望を持つ)学力保障の運動を展開していくのです。 そして、「人権と生活を防衛するために展開されていた各地の住民運動」を背景に、新しい動きが日本教職員組合の教育研究活動の中でも生み出されていきます。 日本教職員組合が委嘱した教育制度検討委員会の報告書『現代日本の教育改革』(1983)は次のように述べています。「自然との共存をめざす教育、人間と自然との新しい共存共栄をめざして自然を理解し、・・・自然を愛し、・・・次の世代に豊かな自然を伝えていくことがいま切実に求められている。」 そして、 「公害学習」を実践していた教師は「総合学習」を提唱します。 (日教組教育研究全国集会報告集) 「公害学習が、自然科学認識と社会科学のそれとの統一の上になりたつことは、分科会設営当初から自明のことであった。(公害学習のもつ総合的性格)」 「総合学習はそれぞれの教科で習得した分析的学力を総合し、これを応用して実生活上の課題や問題にとりくみ、またこのとりくみによって教科による基礎的な学習を一層必要と感じ取れるようになるものとして、一応他の教科とは独立の領域として設定する」 (日教組が委嘱した教育制度検討委員会の第三次報告書) 注目すべきは、(そして私が「すごい」と思うのは)当時の文部省も、そのような動きや実践を積極的に学習して、「新しい総合科目」を設ける意向を表明したことです! (教育課程審議会 中間報告 1975年) 「答申」を受けて指導要領改定され、『現代社会』と『理科1』が誕生しました。 現代社会冒頭「現代と人間」の学習内容の柱は「公害学習」運動が取り組んできた環境問題です。(国連の人間環境会議(72年)の各国政府への大きな要請も「環境教育」でした)。 新学習指導要領が「住民運動と教育課程編成運動」に学ぶことによって、「既成の教科と学校知の枠組みに入りきらない新しい知の体系・総合科目を求めた」というのです! 当時の永井文相は見識の高い人だったようですが、このような形で「目標の再編成」が行われたことは素晴らしい! と感動してしまいます。 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)(開店休業中だったアメーバブログ〔= 「しょう」のブログ(2) 〕を復活させました。 『「綴方教師」の誕生』から など)
2012.01.09
コメント(6)

「夜回り先生」で有名な水谷修は『あおぞらの星』の中で、子どもたちに向かって次のように呼びかけています。 「こどもたち、初めて訪ねた真っ暗な部屋で、小さな懐中電灯を使って、どこかを照らしてごらん。もし、懐中電灯の照らす狭い視野のなかにナイフを見つけたら、ここは怖い殺人鬼のいる場所だと考えますか。でも、懐中電灯を横に向けていろいろな場所を見たら冷蔵庫や流し台が見え(・・・)台所だとわかるかもしれません。(・・・)」 「私たち人間は、子どもから大人へと成長していくなかで、日々生きていくなかで、多くの経験をします。そして、見方や考え方を広げていきます。懐中電灯でいうなら、その照らす範囲を広げていきます。そして、いろいろなものの見方や考え方できるようになります。」 そのこと(見方、考え方を広げていくこと)に対する期待もこめて、子どもたちに送る「心をこめた授業」が『あおぞらの星』(水谷修著)だったのです。 さて、仮に上記引用部分と結びつけて中内敏夫の学力観(概略)をまとめるとすれば、次のようになります。(1)「自分の見方や考え方を広げ、深めていくという意味での認識の力」、および、(2)「ヒトやモノゴト(社会や世界)に向かい、適切に対処したり働きかけていく実践的な力」。 戦後の「学力論争」でも議論されてきましたが、この(1)と(2)が全く切り離されたものであってはならず、結びついていかなければならないことを中内は強調します。 (1)でいう認識が、「身についた知識」、「その人のものになった方法」といった「行動に結びつくレベル」になることが大切であり、その段階に到達した学びのことを「習熟」という言葉で彼は表現するのです。 さて、それでは「読み、書き、算」などの基礎学力(言語能力、数学的能力、及び自然科学的、社会科学的な基礎学力)はどのように位置づけられるのでしょうか。(1)、(2)の力を支えていく「基礎体力」のようなもの(必要に応じて取り出し活用していく「道具」、「基礎知識」、あるいは「思考の枠組み」)ということになると思われます。 そして、上記(1)、(2)が分かちがたく結びついて「総合的な力」が獲得できるような教育が求められていると言えるでしょう。このような「総合的な力」はどのように表現できるでしょうか。 ここで、教育基本法の条文と結びつけて述べるならば、「平和で民主的な国家及び社会の形成者」(1947教育基本法の表現では「平和的な国家及び社会の形成者」)としての力ということになりますが、この力には「実践的な姿勢」が当然含まれます。〔ところで、条文の「平和で民主的な国家及び社会」とは、単に「戦争状態でない社会」という意味ではなく、「生存権も含む人権」が保障される民主的な社会である、ということも確認しておきたいと思います。現在いくら強調してもしすぎることはない点だと考えるのです。〕 さて、上記述べたように「平和的な国家及び社会の形成者」としての力には「実践的な姿勢」が含まれるということは自明ですね。例えば「実践的応用力も一定評価できる良くできたペーパーテスト」で高得点がとれる国家公務員が少なくないとしても、 「人権感覚」や「平和で民主的な社会を形成する意思」を全く持たない公務員が多数だという現実が仮にあれば、とんでもないことでしょう。 去年の3月に起こった原発事故に関して、その(原発建設)推進のための政策実務を積極的に行っていた省庁・官僚が全く責任をとらず、「再稼動だけは急ごうと画策・奔走する姿」に大きな疑問を感じた人は少なくないのでは? そのような現状も含めて(行政の問題点等を)批判することはもちろん大切なことです。 しかし、上記の(1)、(2)の力、そして、「平和で民主的な国家及び社会の形成者」としての力を(もちろん進学校も含めて)生徒たちが獲得できるような教育を創っていくことは、それ以上に大切なことではないでしょうか。 例えば糸賀一雄(「ラストメッセージ、思想と生涯」)はもと滋賀県の公務員です。彼についてどう思われますか・・・。 さすがに糸賀一雄にはなれないとしても、そのような力と姿勢を持った個人が育っていくような教育はどのように創っていけるのでしょうか。 具体的な実践紹介も含め、何とかまとめたいと考えています。(遅筆で申し訳ありませんが・・・) 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)(開店休業中だったアメーバブログ〔= 「しょう」のブログ(2) 〕を復活させました。⇒無着成恭の生活綴方教育と「学力」 など)
2012.01.04
コメント(6)
全5件 (5件中 1-5件目)
1

![]()
