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進級したハルユキの前に現れた新入生能美。彼はハルユキにゲームオーバーを宣告した。《ブレイン・バースト》のマッチングリストにも現れず、それでいて《加速世界》を自由に使いこなす彼は、デュエル・アバター《ダスク・テイカー》としてハルユキの大切なものを次々と奪っていく略奪者だった・・・ おいおい、なんてことだ! よりによってこんなところで終わるなんて、と思わせる、いわゆる上下巻続きものの上巻です。リアルタイムで読んだ人たちは、4巻が待ち遠しかったことが容易に想像できます。 そもそも、今回は巻頭からの能美がかなりの悪役ぶり。それも腕っぷしにものを言わせるのではなく、ちょっと知的な悪。そこで読者の憎悪を一身に受け、「がんばれ、ハルユキ」と懸命に応援させておいてあの展開ですから、読者はたまったもんじゃないなあ。まさに構成の勝利。 チユリが新たに《ブレイン・バースト》をインストールし、フィールドに出るようになった代わりに黒雪姫が修学旅行で不在。まさにハルユキとタクムにかかっているんですよね。ここでどれだけ踏ん張ることができるのか、本当に4巻は見ものです。 ところで、新しく登場した《心意システム》。これってどうなんでしょうね。一歩間違えれば作中のゲームバランスを崩してしまいそうな「なんでもあり」な気がしてなりません。十分注意して使ってほしいところです。せっかく破綻なく、バランスがいい世界が構築されているので。関連作:『アクセル・ワールド 1 ―黒雪姫の帰還―』『アクセル・ワールド 2 ―紅の暴風姫―』2010年7月21日読了
2010.08.17
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帰宅したハルユキを待ち受けていたのは、小学生の少女トモコ。はとこだという彼女は、母が留守中に預けられたらしい。母が留守になる数日間トモコを預かるハルユキだが、黒雪姫の視線が冷たい。その頃、《加速世界》ではひとつの問題が発生。呪いの強化外装《災禍の鎧》が猛威を振るうのだった・・・ 《赤の王》、《黄の王》現る。 敵味方の区別なく襲い続ける《災禍の鎧》。これを食い止めるためにハルユキは唯一の存在である「飛行アビリティ」を駆使するというお話。 突然現れたトモコ=二代目赤の王ニコという特攻のような姿勢に驚かされましたが、その秘められた真実、即ち《災禍の鎧》との関係がなんとも悲劇的でした。また、そこに黒雪姫が抱える過去の問題も絡められ、物語全体の構成の巧みさを感じずにはいられません。 加速世界における親と子という新たな絆。もちろん、黒雪姫とハルユキの関係は単純に親と子というだけではないのですが、ほかの組み合わせのことを考えるととても切なくなります。 ただ、今回はリアルとバーチャルの比率がちょっとバーチャル寄りで、少しずつそちらに偏っていってしまいそうなのが残念でした。1巻は絶妙のバランスで両者が組み合わされ、どちらも楽しませてもらっただけに。その辺を次で打開してもらえるといいかな。チユリの出番もずいぶん減ってしまいましたし。黒雪姫とハルユキの間のケーブルの長さはもちろんですが、チユリとハルユキの間のケーブルも短くなった方が絶対おもしろいはず。そこは次に期待です。関連作:『アクセル・ワールド 1 ―黒雪姫の帰還―』2010年7月20日読了
2010.08.16
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学内カースト制度の最底辺にいるいじめられっ子・ハルユキ。学内ローカルネットでも一人黙々とピンクのブタのアバターでスカッシュに打ち込んでいた彼だったが、校内一の美しさと気品を持つ《黒雪姫》との出会いがすべてを変えた。《加速世界》における戦士《バーストリンカー》になったのだ・・・ 第15回電撃小説大賞受賞作。これはおもしろかった。 「ニューロリンカー」なるものを用いて、脳とネットを直接つなぐ近未来の物語。スクールカーストの最底辺でいじめられていたハルユキが、《ブラック・ロータス》を護る《シルバークロウ》として戦う中で成長していく様子が描かれています。 中心になるには、自らの感覚を加速させ1,000倍の長さに感じさせるというソフト『ブレイン・バースト』です。戦闘アクションものなのでかなりハードなシーンがあることも予想していたのですがそれはハズレ。ゲーム要素もあってか、あまり凄惨なシーンであったり殺伐とした雰囲気だとかいうものは感じませんでした。 また、レベル9で妥協せず常に上を目指す黒雪姫の生き方もなかなかのもの。自身と《ネガ・ネピュラス》の復活を告げるあの宣言は名シーンでした。 もうひとつ中心といえるのは黒雪姫とハルユキをはじめとする、リアルとバーチャルでの人間関係。最底辺にいたハルユキと最上級の黒雪姫という、本来なら出会うことのないふたりの関係も微笑ましいのですが、その一方でハルユキと幼なじみのチユリ、そしてタクムとの関係もなかなかに青春していて、こちらも楽しませてくれました。チユリの立ち位置だとか、黒雪姫とハルユキが恋愛関係なのか主従関係なのか、これからが楽しみです。 「ニューロリンカー」から始まるシステムも巧みに構成され、ネットを使う人ならば入り込みやすい世界になっています。リアルとは違う加速世界で、ハルユキはどんな活躍を見せてくれるのでしょうか。2010年7月18日読了
2010.08.11
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人格入れ替わりを乗り越えた五人に襲いかかる新たな試練。自分の体が、勝手に思ってもみなかった動きをしてしまうのだ。やがて、青木と唯が警察に補導され大問題に。今度の試練は心の奥底に潜んだ欲望の開放。理性による歯止めが効かない暴走で・・・ シリーズ第二弾。人の生死にまで持ち出した前作に比べると、今回は軽い題材に見えるかもしれません。しかし、欲望解放による人間関係の崩壊は、ひょっとするとかなり重い意味を秘めているようにも見えました。 良好な人間関係というものは相互信頼によって成り立っていくものだと思うのですが、欲望が解放されてしまうことで起こるのが、信頼の喪失=人間関係の崩壊にほかなりません。これを乗り越えることができるのは、本来の欲望を持った自分、すなわち隠すことのないあるがままの姿の自分をお互いに受け入れられるか否かということにかかっているように思います。これって、結構ハードル高くないですか? さて、今回中心にいたのはまぎれもなく稲葉。前作では太一と伊織、青木と唯という組み合わせからちょっと引いたかのような立ち位置だったのですが、今回は本当にど真ん中。欲望解放というアクシデントがいい方向に転がったケースです。今までの稲葉姫子とのギャップの大きさが変化を的確にあらわしているのですが、その変化を決断させた伊織の格好よさといったら! 次の第三作『ココロコネクト カコランダム』でも、きっとこのふたりは重要な位置を占めるのでしょう。対象的なこのふたりがどんな形で物語を進めていくのか、楽しみです。 あとは「ふうせんかずら」。人格入れ替わりも欲望解放も、その意図がはっきりしません。もちろん「ふうせんかずら」の存在も謎。どういう形で意味づけられるのか、こちらも注目です。関連作:『ココロコネクト ヒトランダム』2010年7月17日読了
2010.08.10
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