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何世紀にもわたって歴史学者や考古学者らを悩ませてきた英イングランド南部にある新石器時代の遺跡「ストーンヘンジ」をめぐる多くの謎のうち、巨石がどこから運ばれてきたのかを解明したとする研究結果がに発表されました。ストーンヘンジを構成する巨石はサルセン石と呼ばれる砂岩ですが、英ブライトン大学の研究チームが発表した論文によると、その大半は遺跡から25キロ離れたウィルトシャーのウエストウッズから運ばれたとみられるそうです。ウエストウッズ付近では、先史時代のヒトの活動の痕跡が多数見つかっています。研究チームはまずポータブル式のX線装置を用い、最大で高さ9メートル、重さ30トンにもなるサルセン石の化学組成を分析し、ほとんどの石は組成が同じで、主要な産出地は1か所だと考えられることが分かったそうです。質量分析機器を使い、1958年に巨石の一つからくりぬかれた円筒形試料2点をより高度な分析にかけました。この分析結果を巨石の産地の候補20か所と比較した結果、ウエストウッズの砂岩が最も近い特性を示したそうです。今回用いた手法について、たとえばストーンヘンジとウエストウッズの間で巨石の破片が発見できれば、巨石を運んだ経路を推測するなど、残された考古学上の謎を解明できるかもしれないと期待されています。
2020.07.31
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ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から腎組織の一部を作製することに成功したと、京都大iPS細胞研究所のグループが発表しました。遺伝性の腎臓病の再現などに応用できる可能性があるとみられています。腎臓で血液から老廃物をろ過して作られた尿は、尿細管から集合管に流れ尿管を経てぼうこうに集まります。現状ではiPS細胞やES細胞(胚性幹細胞)から、集合管を作った報告はないそうです。研究メンバーは、iPS細胞から集合管の元となる細胞の培養条件を工夫し、多数の集合管の組み合わさった胎児期の腎臓に近い組織を作製できたそうです。先天性の腎臓病の一つである多嚢胞性異形成腎(MCDK)の原因となる遺伝子を欠損させると、試験管レベルで病態を再現できたとしています。
2020.07.30
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JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、2021年春ごろに打ち上げられる米スペースX社のクルードラゴン宇宙船運用2号機に星出彰彦宇宙飛行士が搭乗することを発表しました。星出宇宙飛行士は国際宇宙ステーション(ISS)で若田光一氏以来、日本人2人目の船長を務める予定で現在、長期滞在ミッションに向けた準備、訓練を行っています。星出宇宙飛行士は「今回、新しい技術やコンセプトで開発された民間宇宙船に搭乗できることは楽しみでもあり、同時に新しい時代の到来を肌で感じております」とコメントしています。
2020.07.29
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新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛などの影響で精神面に不調をきたすいわゆる「コロナうつ」について、厚生労働省が来月にも実態調査をするそうです。調査は性別や年齢を問わず1万人を対象にインターネット上で実施されます。外出の自粛や一斉休校などの影響で生活が変化し、ストレスを抱えている人の増加が懸念されることから、アンケート形式で精神状態やストレスの対処法を尋ねて実態を把握するそうです。全国の精神保健福祉センターに寄せられた新型コロナウイルス関連の悩み相談は、4月は4946件で5月は4761件でした。調査結果は今後の相談対応などに生かされる予定で、厚労省は自殺や体調の悪化につながらないようにしたいとしています。
2020.07.28
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酪農学園大付属動物医療センター(北海道江別市)は、牛、馬といった道内の生産活動に欠かせない動物の診療に加え、動物園の飼育動物や家庭で飼われているペットも対象に高度な医療を行う施設です。最近では、世界的にも珍しいという生きたクマへの磁気共鳴画像装置(MRI)検査も実施したそうです。突然意識が無くなり、けいれん発作を起こすてんかんの症状が出るようになったクマを調べたそうですが、なんといっても麻酔が切れたら一大事ですので、大変な検査だったようです。
2020.07.27
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手足や口の中に発疹ができる手足口病の患者数が過去最低の水準となっているそうです。子どもに多い病気ですが、7月上旬のデータで、今年は大流行した昨年のわずか100分の1にとどまっています。新型コロナウイルスの感染予防が奏功したとみられています。国立感染症研究所によると、7月6~12日の1週間に全国約3000の小児科から報告のあった患者数は436人(昨年同期約4万人)です。1医療機関あたり0.14人(同12.64人)でした。例年7月下旬から8月上旬がピークですが、この時期としては、1981年に統計を取り始めて以来、最低水準だそうです。過去の統計でも流行の翌年は患者数が減る傾向があります。ヘルパンギーナや咽頭結膜熱(プール熱)といった夏に流行する他の感染症も低水準で推移していることから、新型コロナの感染予防で手洗いなどを徹底していることが影響しているとの見方もあります。
2020.07.26
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子宮頸がんの診断をする際、組織を切り取って顕微鏡で観察する代わりに、赤外線を使った撮影と人工知能(AI)による画像解読で迅速に判定できる手法を開発したと、大阪大と九州大、ニコンのチームが発表しました。研究メンバーは、「患者の体への負担を減らしながら病理医と同じレベルの診断ができる」とコメントしています。数年以内に医師の診断を支援する検査機器として実用化する考えだそうです。新手法では、内視鏡で近赤外線を当て、反射した光を読み取って組織の立体画像を作成し、それをAIが解読し、細胞核の形などから正常か表面にとどまっているがんか、深く食い込んだがんかを判定するそうです。
2020.07.25
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ねじのロケットは予定時刻の打ち上げを目指して直前までシーケンスが進められていたものの、エンジンに2つ取り付けられている「点火器」のうち片方の温度が規定の値に達しなかったため、エンジン点火の0.2秒前にロケット側の判断によって打ち上げが自動停止されました。MOMOのエンジンに使われている点火器は筒状に成形されたロウのなかに酸素を通すハイブリッド点火器と呼ばれるもので、筒内の点火玉に電圧を加えるとロウが燃えて燃焼室内に炎が出て、燃焼室に送り込まれた推進剤(エタノールと液体酸素)が着火される仕組みです。燃焼室内の全周に炎を行き渡らせるために、MOMOのエンジンには2つの点火器が備わっています。ねじのロケットでは2つある点火器の着火は実行されたものの、片方の点火器の温度上昇に遅れが生じたことで、前述のように打ち上げ直前の定められた時刻までに推進剤の着火に必要とされる温度に達しなかったとされています。点火器の最終的な温度は2つとも同程度まで上昇していることから、温度上昇が単純に遅れたものと判断されています。ただ、現時点ではまだエンジンの確認には至っておらず、点火器に着火するタイミングが遅れたのか、それともセンサーによる温度上昇の検出が遅れたのかまでは判明していません。ただし、メンバーは今回は打ち上げ前の自動停止により機体の健全性が保たれた点を前向きに捉えています。早ければ、今月中にも再打ち上げがあるかもしれません。
2020.07.24
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サンゴが黒くなって死滅する被害が近年、沖縄県内各地の海域に広がっているそうです。原因は海綿動物の一種「テルピオスカイメン」とみれられています。テルピオスは厚さ約1ミリのシート状で、サンゴの石灰質の骨格に食い込むように張り付き、1日に1~2ミリほど広がり、サンゴを黒く覆うのが特徴です。1980年代に本島周辺で確認されていましたが、その生態は明らかになっていないそうです。研究チームは2年前から研究を本格化し、新たに喜界島(鹿児島県)、古宇利島、水納島、粟国島、下地島、来間島、与那国島の七つの離島で被害を確認しました。水深数メートルの浅瀬で見られることが多く、本島西側の今帰仁村から大宜味村にかけては1キロ以上、被害が広がっているリーフもあるとしています。黒くなったサンゴの表面はざらざらした手触りで、テルピオスがくっついている感触はなく、人の手で剥がすのは無理だそうです。研究センター内の水槽でも生態を調査中だが、飼育が難しいそうです。
2020.07.23
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気候変動によりホッキョクグマが2100年までにほぼ絶滅すると予想した論文が発表されました。論文によると、海氷の減少によりホッキョクグマが餌のアザラシを狩れる時間が減り、すでに悪循環に陥っている地域もあり、体重が減ることで餌がない期間を生き残る可能性が低くなるとしています。研究では、分析対象となった13の亜個体群のうち12について、温暖化が今のペースで進めば80年後までに絶滅すると予想しています。ただし、他の6つの亜個体群については、予測に必要なデータが得られなかったとしています。北極圏の温暖化は、地球全体の2倍の速さで進んでいるとされ、ホッキョクグマが絶滅の危機にあることは長く理解されてきましたが、絶滅までの期間を特定したのは今回の研究が初めてだそうです。
2020.07.22
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インターステラテクノロジズは7月19日午後4時5分、北海道大樹町から「ねじのロケット」(MOMO7号機)の打ち上げを試みましたが、エンジンの不着火による緊急停止で打ち上げは延期となりました。原因については公開されていません。ねじのロケットの打ち上げは当初18日を予定していましたが、高層風が強く条件が合わず断念し、19日に持ち越されましたが、朝・昼の打ち上げウィンドウも条件を満たさず、打ち上げは見送られていました。なお、新たな打ち上げ日程は未定(未公表)となっています。
2020.07.21
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アラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機「HOPE」を搭載した「H-IIA」ロケット42号機が7月20日午前6時58分に、種子島宇宙センターから打ち上げられました。打ち上げは順調に進んでおり、午前8時頃に「HOPE」を分離する予定となっています。HOPEは火星の大気の観測を主な目的とする探査機です。火星の下層大気における気象の変化と上層大気からの水素と酸素の流出を観測することで、上層大気と下層大気の関係性をより深く理解し、火星の環境が温暖だった過去から気候変動と大気の流出を経て現在のように変化したプロセスを探る研究に寄与することになります。H-IIAが他国の惑星探査機を打ち上げるのはHOPEが初めてで、火星探査機の打ち上げも今回が初。火星にはアラブ首長国連邦の建国50周年となる来年2021の年2月に到着を予定しています。なお、打ち上げ後の会見は午前9時過ぎを予定しています。
2020.07.20
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厚労省が発表した2019年の国民生活基礎調査では、介護する側とされる側がともに高齢化する「老老介護」が広がり、家族間で介護する世帯の6割に迫っていることが示されました。7396人が対象(有効回答率85.11%)の調査で、同居する家族や親族が自宅で介護する在宅介護のうち、介護する人とされる人がともに65歳以上の割合は過去最高の59.7%と、前回2016年の調査より5.0ポイント増で、調査開始以来、上昇傾向が続いています。75歳以上の老老介護の割合も2.9ポイント増えて過去最高の33.1%と、家族が介護するなかでは3世帯に1世帯が75歳以上同士となったそうです。主に介護をする人は、同居する家族が54.4%で最も多く、別居の家族などが13.6%、介護サービス事業者が12.1%でした。同居する介護者を性別で見ると、65.0%を女性が占めています。
2020.07.19
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NASAは、来年2021年3月に予定されていた次世代宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」の打ち上げ予定日が2021年10月31日に延期されたことを発表しました。延期の理由として技術的な問題および新型コロナウイルス感染症の影響があげられています。ジェイムズ・ウェッブの打ち上げ予定日はこれまでにも何度か延期が繰り返されてきました。発表によると昨年秋の時点ですでにスケジュールの余裕がなくなりつつあり、今年の4月にはスケジュールの再検討が行われる予定だったものの、新型コロナウイルスの感染拡大にともない延期されていたといいます。今週完了した再検討の結果、安全対策の強化、現場のスタッフ削減、シフト体制の乱れ、その他の技術的な問題を理由に打ち上げ予定日の延期が決定しています。なお、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の開発費用はすでに88億ドルに達しているものの、既存の予算を活用することで、これ以上の費用増加は抑えられるとさしています。
2020.07.18
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厚生労働省は、6月に宮城、東京、大阪の3都府県で実施した新型コロナウイルスの疫学調査で、参加者から検出された抗体に、感染を防ぐ能力があることを確認したと明らかにしました。国立感染症研究所の分析で、アボットとロシュという二つのメーカーの検査手法でいずれも「抗体がある」と判定された場合に感染を防ぐ能力があることが分かったそうです。ただし、どちらか片方だけが陽性では、こうした能力は確認できなかったそうです。今後、抗体がどれだけ体内で残り続けるのかを調べていくとしています。ちなみに、抗体検査は、感染から一定期間たった後に体内にできる抗体を、少量の血液から検出するものです。
2020.07.17
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小惑星探査機「はやぶさ2」が、今年12月6日に地球へ帰ってくることが明らかになりました。はやぶさ2は地球上空で、探査した小惑星リュウグウの物質が入っているとみられるカプセルを分離し、オーストラリア南部の砂漠へ落とします。カプセルを地球へ届けた後、はやぶさ2の探査機本体は新たな天体へ向かう計画だそうです。はやぶさ2は2014年12月に打ち上げられ、2018年に地球と火星の間にある小惑星リュウグウへ到着しました。当初の計画では3回リュウグウへ着陸し、試料を採取する予定でしたが、リュウグウの表面全体が大きな岩で覆われ、簡単に着陸できないことから作戦変更を余儀なくされました。しかし、3億キロ離れた機体を極めて精度よく運用する方法を構築し、2019年2月に初めての着陸に成功し、さらに、2019年4月には衝突装置を使ってリュウグウ表面に人工クレーターを作り、クレーター近くへの着陸も成功させました。着陸時の状況から、リュウグウの石などが採取できた可能性が高いとみられています。先代はやぶさは姿勢制御のエンジンが壊れるなどしていたため、地球帰還時はカプセルと一緒に大気圏へ突入し、燃え尽きましたが、はやぶさ2は現在のところトラブルはなく、カプセルだけを地球へ帰し、別の天体探査へ再出発する方向で検討を進めているそうです。新たな活躍も期待したいですね。
2020.07.16
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7月2日に関東上空で目撃された火球が、千葉県習志野市のマンションに落下した隕石だったとする分析結果を、国立科学博物館が公表しました。国内では53番目の隕石で、今後「習志野隕石」として登録申請される予定だそうです。国立科学博物館の発表によると、火球が観測されたのは7月2日の午前2時32分ころで、爆発音も聞こえたことから、ネットでも話題になっていました。その後、千葉県習志野市のマンションで石のかけらが見つかり、地元の博物館に「隕石ではないか」と問い合わせが寄せられ、国立科学博物館が調査をしたところ、最近落下した隕石であることが確認されたそうです。見つかった隕石は重さ63グラムと70グラムの2つの破片から構成され、綺麗に合わさる部分があることから、元は1つだったとみられています。今後、およそ1カ月かけて隕石の分類を特定したのち、「習志野隕石」として学会に登録申請をする予定です。国内で見つかった隕石はこれで53番目で、2018年の小牧隕石以来2年ぶりとなります。
2020.07.15
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群馬県伊勢崎市の有料老人ホーム「藤和の苑」で入居者や職員ら10~90代の68人が新型コロナウイルスに感染し、うち70~90代の16人が死亡した北関東最大のクラスター発生について、群馬県が検証結果を報告書にまとめ、公表しました。最初に入居者5人の発熱の報告を受けてから複数の感染が確認されるまで4日を要した保健所の初動対応や不十分な予防対策指導などを課題に挙げ、再発防止を図るとしました。感染原因や経路は特定できなかったそうです。
2020.07.14
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急性胃腸炎などの原因となるノロウイルスが、ヒトなどの体内で構造を変化させて感染できることを生理学研究所などが確認し、発表しました。研究所によると、ノロウイルスは、遺伝子型によって表面の殻に隙間があるものとないものの2種類の構造があることが知られていました。しかし、その意味は明らかになっていなかったそうです。マウスのノロウイルスを低温電子顕微鏡で解析したところ、同じ遺伝子型のウイルスでもこの2種類の構造を示すことを確認しました。実験容器でウイルスが入った溶液の条件を変えると、一つのウイルスで構造を変化させることができたそうです。2種類の構造のウイルスをそれぞれマウスの培養細胞に感染させたところ、殻に隙間があるものは、ないものに比べて4時間程度ウイルスの増殖が遅かったそうです。別の実験では、隙間があるものは、培養細胞の表面に付着しにくいことも明らかになりました。こうした結果から、ノロウイルスは、目的の小腸の細胞に吸着して感染するために、隙間がある構造(非感染型)になって食道や胃などの消化管を通過し、小腸にたどり着いて隙間がない構造(感染型)に変化するとみられるそうです。通常、口から侵入したウイルスは消化管で免疫システムの攻撃を受けます。非感染型で免疫システムを欺き、目的の小腸に近づく間に感染型に変身すると考えられるそうです。研究では、ヒトでも同じ遺伝子型のノロウイルスが2種類の構造に変化できることを確認しました。今後、この構造変化に対応した治療薬やワクチンの開発につながる可能性があるとみられています。
2020.07.13
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7000万年前に恐竜と共存していた巨大魚の化石が、アルゼンチン南部パタゴニア地方で発見されたそうです。研究チームは、全長6メートルを超える捕食性魚類の化石を、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの約1400キロ南方に位置するコルウエ・ウアピ湖の近くで発見しました。この巨大魚は、当時、気温が今よりはるかに温暖だった白亜紀末期に現在のパタゴニア海域を泳いでいたとみられています。今回の化石は、地球史に存在した中で最も大型の捕食性魚類のグループ、シファクティヌス属に分類されました。これまでシファクティヌスの化石は北半球でしか見つかっていなかったそうですが、最近になってベネズエラで1例が発見されていたそうです。
2020.07.12
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庭木としてよく見かける常緑低木「キャラボク(伽羅木)」に共生するカビから得られる化合物「FE399」を、新たな手法で人工的に合成することに成功した、と東京理科大学の研究グループが発表しました。FE399は大腸がんなどの細胞の増殖を抑えることで知られており、この物質や手法を手がかりに、新たな抗がん剤の開発が期待されるとしています。細胞では通常、がん抑制遺伝子が異常な細胞に自死(アポトーシス)を促すことで、がんを抑えています。この遺伝子が変異して正常に働かないと、がん細胞が死を回避して増殖を繰り返します。大腸がんなどは、がん抑制遺伝子の一種の「p53遺伝子」が変異することで起こることが分かっているそうです。FE399は、このp53の変異によってできるがん細胞にアポトーシスを促して増殖を抑える化合物です。庭木や垣根などに広く使われるキャラボクの葉に共生するカビの1種の培養物から得られるが、詳しい性質や立体構造が分からないことが壁となり、抗がん剤として活用するための研究は進んでいなかったそうです。そこでグループは独自に開発した試薬「MNBA(2-メチル-6-ニトロ安息香酸無水物)」を用いることで、窒素を活性化する「マクロラクタム化」と呼ばれる反応を利用し、FE399を人工合成できたそうです。p53遺伝子は大腸がんや食道がん、一部の乳がんの細胞で増殖を抑制することが知られています。研究グループは今後、他のさまざまながんでFE399がどの程度効くのかなどを調べていくとしています。
2020.07.11
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生まれて間もないころアリの姿に擬態する、キリギリスの仲間で中国原産の「アリガタツユムシ」が、大津市内の複数箇所で見つかったそうです。国内での発見例は初めてとみられ、大津市での発見をきっかけに名付けられました。アリガタツユムシの幼虫は、最初期にはアリのように黒く体長も5ミリ程度で、触覚がアリよりも長く、脱皮を繰り返して次第に緑色を帯び、最終的には4センチ程度の成虫に育ちます。アリに擬態する昆虫はハチやクモなどの例があり、アリの持つギ酸をカマキリをはじめとする捕食者が嫌がって、攻撃されにくくなるなどと考えられています。他の地域にも生存している可能性も高いものの、報告例が少なく、生育に適した環境条件や、分布の広がりはわかっていないそうです。
2020.07.10
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神戸大などの研究チームが、東京・小笠原諸島の近海で採取した緑藻を調べたところ、アオサなどほかの緑藻とは独立した新属の藻類だと分かったそうです。薄明かりしか届かない深い海の海底で育つことから、「竜宮の藻」を意味する属名がつけられました。神戸大の研究チームは2016年、小笠原諸島の水深30~60メートルの海底から、長さ約20センチの緑藻を採取しました。新種の可能性があるとして遺伝子解析したところ、同年に米国の研究チームがハワイ沖で新種として発見し、「ヤブレグサ属」に分類したものと同種だと判明しました。ただ、遺伝的な系統を調べると、これまでに知られている緑藻のどの属とも独立しており、新属として扱うのが適当だと分かったそうです。竜宮伝説にちなみ、「竜宮の藻」という意味の「Ryuguphycus」との属名がつけられました。和名を、小笠原諸島の別名のボニン諸島から「ボニンアオノリ属」、種の名前を「ボニンアオノリ」としたそうです。
2020.07.09
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日本時間2020年7月5日午前6時19分、米ロケットラボの衛星打ち上げロケットエレクトロン13号機(ミッション名“Pics Or It Didn't Happen")がニュージーランドのマヒア半島の射場から打ち上げられましたが、打ち上げからおよそ4分後、第2段のエンジン燃焼中に異常が発生、機体は衛星と共に喪失し打ち上げは失敗しました。エレクトロン13号機は、3社の地球観測衛星を搭載し、地上を撮影する望遠鏡にキヤノン製EOS 5D Marck IIIカメラを採用しています。2017年にインドのPSLVロケットで打ち上げられた同型のCE-SAT-Iに続く2機目の衛星として、分解能90cmの撮像性能や姿勢制御の機能を実証する目的でした。ロケットラボが発表した速報によれば、打ち上げからおよそ4分後の第2段エンジン燃焼中に問題が発生し、衛星を軌道上に放出する前にロケット機体を喪失したそうです。エレクトロンロケットは、これまで初号機での失敗のあとは商用ミッションでの打ち上げ失敗がなく、11回連続で打ち上げを成功させていました。ターボポンプを使わず、電動ポンプでエンジンへ推進剤を供給する他にない方式のロケットとして実績を上げていただけに、早期の原因究明が待たれています。
2020.07.08
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これまで発見された80万個近い小惑星の中でも、地球の公転軌道よりも内側に軌道を持つ小惑星グループ「Atira(アティラ)群)」は、22個しか発見されていません。2020年1月に発見された小惑星2020 AV2は、アティラ群の中でもたった1個しかない、金星の軌道の内側に存在することがわかった最初の小惑星です。そして、この小惑星2020 AV2が太陽系初期の惑星のマントルを起源に持つ特に珍しい小惑星である可能性が指摘されています。現在の惑星形成論によれば、太陽系初期の原始惑星は熱で内部が溶融し、金属鉄の多い中心部(コア)とその周囲のマントル、さらに外側の地殻に分化していったと考えられています。こうした原始惑星が衝突などで壊れてできた小惑星は、元の天体のどの部分から生まれたかを反映しています。コアからできた小惑星は金属質のM型小惑星、地殻からできた小惑星は小惑星探査機「はやぶさ」の目的地である小惑星イトカワのような岩石質のS型小惑星になっていきます。しかし、大きなボリュームを占めるはずのマントル由来の小惑星は少なく、2019年時点で36個しか発見されていないそうです。また、そのほとんどが小惑星帯に存在し、NEAには1パーセント以下しか存在しないそうです。地球に近いNEAの中でマントル由来の小惑星が見つかれば、地球と同様に太陽系初期の惑星内部の物質が分化した名残を留める貴重なサンプルとなる可能性があるようです。とはいえ、小惑星2020 AV2の表面は微小な岩石の衝突や、太陽の激しい熱で“荒れて"おり、マントル由来のオリビン豊富な物質でできているとの推察はまだ確実なものにはなっておらず、疑問点が指摘されているのも事実だそうです。
2020.07.07
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恐竜の卵の世界最小の化石が、兵庫県丹波市の白亜紀前期の地層から見つかった、と筑波大学などの国際研究グループが発表しました。新種と判明し「ヒメウーリサス・ムラカミイ」と命名されました。丹波市ではこの時代の恐竜の卵が世界で最も多種類掘り出されたことになり、今後の恐竜研究への寄与が期待されると報じられています。
2020.07.06
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オリオン座の赤色超巨星ベテルギウスは明るさが変わる変光星のひとつで、2019年10月から2020年2月にかけての急激な減光は大きな注目を集めました。この減光の原因はベテルギウスの表面に生じた黒点(恒星黒点)だったのではないかとする研究成果が発表されています。マックス・プランク天文学研究所の研究グループは、2019年から2020年にかけて観測されたベテルギウスの減光は表面温度の低下にともなう現象であり、その原因はベテルギウスの表面に生じた巨大な黒点だった可能性が考えられるとした研究結果を発表しました。
2020.07.05
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7月2日午前2時32分ごろ、関東上空に極めて大きな流れ星(火球)が流れたようです。数分後には爆発音も聞こえたといい、火球が破裂した際の音が地上まで届いた可能性があります。火球の音が聞こえた例は極めて珍しいそうです。流れ星は西から東の空へ飛び、数分後に室内でも聞こえる大きな音が聞こえたそうです。流れ星は、宇宙を漂うちりが地球の大気とぶつかって光る現象で、大きなものが地上まで落ちてくると隕石と呼ばれます。1908年にはロシアでシベリアの森林を数十キロメートル四方にわたってなぎ倒した例があるほか、2013年にもロシアのチェリャビンスク州上空で隕石が爆発し、衝撃波で建物のガラスが割れたり、けがをしたりする人が出るなどの被害が出ています。
2020.07.04
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近畿大の研究グループは、受精卵の核である「前核」の中に、たんぱく質「アクチン」が連なった特殊な構造の「重合化アクチン」が作られていることを発見したまし。この特殊な構造は他の細胞には存在せず、核の形態維持やDNAの傷を修復するなど、受精卵が成体になるために重要な役割を果たしているとみられています。受精卵は、体内のどの細胞にもなれる「全能性」を持ちます。研究グループは、全能性の背景を調べるため、精子と卵子が受精して形成される前核に着目することで、マウスの受精卵の前核内で、アクチンが立体的に連なった重合化アクチンを形成し、核の形を保つように機能していることがわかったそうです。また、重合化アクチンをバラバラにすると、受精卵が成体になる確率が下がり、前核の大きさも小さくなりました。DNAの損傷も増えたことから、重合化アクチンがDNAの修復を促し、前核の形成に重要な役割を果たすと結論づけています。
2020.07.03
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製薬企業アンジェスは、新型コロナウイルスの予防ワクチンの臨床試験を始めたと発表しました。アンジェスと大阪大などが共同開発した「DNAワクチン」という新しいタイプのワクチンで、安全性と効果を確かめるとしています。新型コロナワクチンの治験は国内で初めてです。治験の対象は20~65歳で、新型コロナウイルスに感染したことがない健康な人で、30人を目標にしています。二つのグループに分け、ワクチンの量を変えて筋肉注射します。このワクチンは、ウイルスの遺伝情報を体内に入れ、免疫反応を起こすタイプで、ウイルスのたんぱく質を無力化する「抗体」ができるかどうか、抗体が長続きするかを調べるそうです。
2020.07.02
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2017年9月まで観測を行っていた土星探査機「カッシーニ」によって、土星の衛星タイタンの両極付近には湖が存在することが明らかになっていますが、カッシーニ到着前に行われた地球上からのレーダー観測では、赤道に近い低緯度地域にも湖が存在するとみられていました。今回、レーダーによって観測されたのは、干上がった湖の湖底だったのではないかとする研究成果が発表されています。
2020.07.01
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