クルマ、バイク、鉄道模型など趣味で人生を楽しむ

クルマ、バイク、鉄道模型など趣味で人生を楽しむ

2025.08.23
XML
カテゴリ: 文化
​​​​​​​​​​​​​​ お蔭さまで本ブログも閲覧数が157,000件を超え、お気に入りに登録いただいている フォローアーの方も6,400 方名強いらっしゃいます。
ともかく、内容の深さ、正確性を旨として投稿に努めますので、よろしくお願いいたします。

​​​

皆さん、映画「国宝」をご覧になりましたか。
6/6の公開から早80日ほどで興行収入110億円突破、観客動員数も780万人 を超えたほか、2017年に発表された原作の芥川賞作家吉田修一さんの同名小説も 累計発行部数が140万部 になったそうです。


血筋か才能か、もがき苦しむ人間の姿は一般の人々だけでなく、本業の歌舞伎役者の方々にも大変好評で、歌舞伎への関心を高めるブームが巻き起こっています。
10月には映画で印象的だった「二人藤娘」が京都や博多で上演されるそうで、地方巡業の可能性も検討されています。東宝の映画で松竹が潤うのも面白い現象です。

梨園の御曹司と部屋子の間に交わされる競争心とシンパシーの揺らぎを象徴的に示している「二人藤娘」の舞踏シーンを忘れることはないでしょう。


「連獅子」では花井半次郎役の渡辺謙も吹き替え無しで半端なく好演。

私も初めは女房に誘われて、シネマ・コンプレックスの大画面で3時間の大作を観ました。

結局3回観る羽目になり、シネマ会員になってポイントカードも持つようになりました(笑)。


吉沢亮、横浜流星が代役無しで自ら演じる迫真の舞台演技や渡辺謙、田中混、寺島しのぶ、黒川想矢(子役)などの共演者の素晴らしい助演に加え、李相日監督、種田美術監督、出演と歌舞伎指導の四代目中村鴈次郎など関係者の熱意と努力が伝わってきます。
何度観ても新たな発見ばかりで飽きることがありませんね。

この映画が今年のアカデミー賞を総なめにするのは間違いありません。
9月には来年の米国アカデミー賞国際長編映画賞の対象となる日本代表作品に選ばれました。


​この映画の感動をより深めるために、次の動画や情報をご覧いただくことをお薦めします。鑑賞前でも鑑賞後でも結構です。 ​​

​​​1.「国宝公開記念特番」​​​
https://www.bing.com/videos/riverview/relatedvideo?&q=%e6%98%a0%e7%94%bb%e5%9b%bd%e5%ae%9d%e4%ba%88%e5%91%8a%e7%b7%a8&&mid=0F7580C9C825A44331480F7580C9C825A4433148&&FORM=VRDGAR

出演者や監督が生の言葉で語る映画製作の過程はまさに感動的です。
この動画だけをみても一つの作品として満足感が残ります。

半次郎が「二人藤娘」の舞台に立とうとする俊介には「あんたは生まれた時から役者の子や。何があってもあんたの血が守ってくれる」と諭し、喜久雄には「あんたは誰よりも芸の稽古してきたんや。踊り忘れてもあんたの体が勝手に踊ってくれるはずや」と励ます。
中村勘三郎が中村勘九郎、中村新之助と中村鶴松を導いたように・・・。


上方歌舞伎界の重鎮、女形人間国宝の万菊が喜久雄との初対面で才能を見抜く。十三代目片岡仁左衛門が愛之助の才能を見抜いたように。


一応予告編の形になっていますが、「こういうことに苦労されたんだ」と知ったうえで、2回目、3回目に映画を観るとさらに感動が深まること、間違いありません。

「血筋か才能か」 に関して数々の共演者が繰り返し、色んな角度から素晴らしい演技で観客を歌舞伎の世界に引き込んでいきます。

出典:感謝  https://dorama9.com/kokuho-cast-model/

1.興行主の跡継ぎ竹野(三浦貴大 百恵の次男)
喜久雄に言い放った 「歌舞伎なんてただの世襲だろ。あんたは所詮よそ者。今は一緒に並べてもらっても、最後に悔しい思いして終わるのはアンタだぞ」 という言葉が伏線として耳に残ります。
2.花井半次郎(渡辺謙

3.最も複雑な想いの 母(寺島しのぶ)
俊介の死後に詫びに来た喜久雄に返答せず、孫のところに駆け寄るシーンも残酷でいたたまれません。
4. 上方歌舞伎の重鎮で国宝女形万菊(田中混)
喜久雄の才能を早くから認めていたにも関わらず、初対面の時に才能ある部屋子の行く末を示唆し、半次郎の死に際の言葉にも黙っているだけでした。さらにドサ周りに堕ちた喜久雄を呼び寄せながら、俊介に稽古を付けている時には訪れて横から見つめる喜久雄を完全に無視します。
​​ 人間の性でしょうか。ため息しか出ません。
このような多くのシーンが目に焼き付いて思い出される映画はそうないです。

さらに、同じ「血」で苦しんだ、 在日韓国人3世の 李相日監督の映画化に対する執念 寺島しのぶさんの迫真の熱演の背景 (息子眞秀君に2歳から日本舞踊や父、弟の舞台映像を繰り返し見せて修行を重ね、10歳で初代尾上眞秀を襲名、歌舞伎界にデビュー)に想いをはせると、 「血筋か才能か」 をより深く感じ入ることができるでしょう。

李監督は「フラガール」と同じく、苦難、苦境に打ち勝とうとする人間に常にやさしい。

寺島しのぶさんは「5歳の時、 弟の五代目菊之助 が生まれましたが、その日から周りの眼がひゅっと弟に向いたことを子供ながらに覚えています」と語っています。そのようなせつない経験がないと、この表情はできないでしょう。
その五代目尾上菊之助当人が原作「国宝」を15日間のべ90時間掛けて全編朗読し、オーディオブックが生まれたのも深い因縁を感じます。

また、映画の歌舞伎指導に関わるとともに、娘を喜久雄に奪われた上方の重鎮歌舞伎役者を演じた 四代目中村鴈次郎 さんは9月のトークショーの中で次のように語っています。
「原作者の吉田修一さんと出会って10年になりますが、ここまでこの映画に深く関わるとは考えてもみなかったです。歌舞伎の所作はもちろん、楽屋に置いてある小物、舞台や客席の雰囲気まで、歌舞伎のシーン全般の責任を持ちます。主役の吉沢さんと横浜さんは本当に頑張った。精魂尽き果てる思いだったと思いますよ。自然に動きたいけど、なかなかできなくて、もがく日々。それでも絶対あきらめず、ストイックに役と向き合う。その繰り返しでしたね。二人はくじけないし、妥協しない。監督も譲らない。教えることによって、自分も教えられたと感謝しています。そういう緊迫感を観客の皆さんにも味わってもらいたいです。私は出来上がった作品を試写でチェックすると、ジーンとして立ち上がれなかった。心が揺さぶられました。」


皆さん、いかがでしょうか。
この動画は単に予告編ではなく、映画を観たあとの感動の走馬灯になるのではないでしょうか。



​​2.市川團十郎が語る映画「国宝」の率直な感想と歌舞伎への想い​​
https://www.bing.com/videos/riverview/relatedvideo?q=%E6%98%A0%E7%94%BB%E5%9B%BD%E5%AE%9D%E4%BA%88%E5%91%8A%E7%B7%A8&mid=8B1642549D598A1A51998B1642549D598A1A5199&ajaxhist=0


これも 本当にすごい動画というか、プロが語る立派な「作品」 です。
まさか、市川團十郎さんがこんな形で真っ先に感想を述べられるとは誰も思っていなかったはずです。
7月には再生回数が170万回を突破、コメントも400件以上付きました。

梨園御曹司の歌舞伎役者として非常に言いにくい立場にありながら、慎重に言葉を選びつつ、率直な感想を述べられた市川團十郎さんに改めて敬意を表します。一層、好きになりました。
歌舞伎界の当事者として 「心に刺さる痛みを与えてくれた」と映画を正面から絶賛 されています。
普通は「あれは誇張だとか、所作、作法が形になっていない」とか、本業の役者としてついケチを付けたくなるでしょうし、コメントの内容によっては梨園の関係者から批判を浴びるリスクもあるので軽はずみなことは言えません。火中の栗を拾われて歌舞伎指導に当たられた四代目中村鴈次郎さんの顔に泥を塗ることにもなりかねません。
映画の感想を6/6の公開直後の真っ先に公表されたこと自体が立派です。
また、映画を絶賛するだけでなく、「長女の市川ぼたんや長男の市川新之助 にも早速映画を観させて、二人の眼の色が変わった」と素直に映画に感謝していることを述べておられます。
さらに市川宗家を担うプレッシャーで8-16歳ころには修行の厳しさ、苦しさ、辛さで歌舞伎が嫌になったこともあること、そして小学生3年のころから自分の子供ができたら、こう育てたいというビジョンを持つようになったことなど、赤裸々に語っておられます。
人柄が偲ばれて、この動画だけでも4-5回繰り返し拝見しました。

あと、 皆さまにぜひお薦めしたいのは、市川團十郎さんがYouTubeで啓蒙的に投稿されている一連の動画 です。
私は全く知りませんでしたが、2020年5月から投稿を始められて、一時中断していましたが、2025年6月から再開されています。総閲覧数は何と1億2,000万回を超えているようです。
投稿テーマの一覧が閲覧数順に整理されていますので、ご覧ください。
https://yutura.net/channel/34127/latest/

血筋を象徴する「家族のルール」をまず最初にご覧になるのがいいかも知れません。
花井半次郎と俊介、尾上菊五郎と寺島しのぶの関係などを念頭に置きながら・・


一連の投稿テーマは「歌舞伎から学んだ人生訓」、「歌舞伎の始まり」、「せりふの覚え方」、「発声法」、
​「十八番」、「型」、「見得」、「睨み」、「正念場」などなど、歌舞伎の修業や稽古にも繋がる内容で、どれも素晴らしくて私たちに色々な気づきを与えてくれます。

とりわけ、「発声法」「せりふの覚え方」は圧巻 です。
私はこの動画を観て、2歳から修行を重ねる世襲制の必要性も自然に受け入れることができました。
声は呼吸から始まり、身体全体を響かせるものだと團十郎さんが説く姿は、先代から教えられ、それをご子息や弟子たちに営々と伝え教えている稽古の口伝内容、そのものでしょう。
せりふは300-500の演目に亘って子供のころから稽古と舞台の中で、登場人物の心、感情とともに覚えてきたとのことですが、信じられない記憶力と努力の積み重ねには何と称賛していいのか、言葉が出ません。
歌舞伎で病気やケガによる代役が短期間のうちに立てられる理由が分かりました。


團十郎さんの教えを聞いていると、自分が歌舞伎の世界に飛び込んだらとふと考えてしまいました。


台本も見ずに、こんなに感情を込めてよどみなく、聞く者の関心をそらさずに喋り続けられる人は他にいません。ただ、ただ脱帽!
実社会でもコミュニケーション・スキルの教材として非常に参考になると思います。

一連の動画を拝見していると、ご子息だけでなく成田屋一門を率いる歌舞伎界の大御所としての実力や平素からの精進、歌舞伎の奥深さを感じずにはおれません。




​歌舞伎400年の歴史を経て、現在歌舞伎役者は総勢300人、屋号は栄枯盛衰を繰り返して100近くが現存しています。この複雑な関係の中で團十郎さんが仰る「義理と人情」、「挨拶と感謝」など梨園のルールを実践する重圧があるわけです。
一般社会から隔絶した異質の世界になるのも已むを得ないかも知れませんが、門閥外の者が一門の名跡を得てここに入り込むのがいかに大変かは容易に想像できます。
この成田屋と澤潟屋の家系図を観る限り、名跡を受け継いだ門閥外の歌舞伎役者は見当たりません。 子役で知られた市川福太郎や市川右若などは十二代市川團十郎の最後の弟子と言われています 。​また、血族であっても 2歳ころから修行を積むのが当たり前の一門の中で途中から加わった市川中車(香川照之)さんは役が付くのが早いだけにさぞ大変だろうと感じます。​

​市川團十郎さんの本気度がよく分かるのが、10月の博多座と京都南座の特別公演​ です。
昼の部では一人七役の早変わり「三升先代萩」を、夜の部では「歌舞伎の世界」と称してあの「二人藤娘」を廣松と虎之助が演じたあとで舞台挨拶を行い、自らは総重量60kgのかつら・衣装を身にまとい「荒事絵姿化粧鑑」を演じます。ともかく、映画で歌舞伎に関心を持った観客に分かりやすい形で歌舞伎の魅力を伝えようとしています。さすがです。「二人藤娘」を演じる二代目大谷廣松と初代中村虎之助は各々明石屋と成駒屋の御曹司であり、本業外の俳優には負けられないプレッシャーも相当でしょうし、「化粧鑑」は東京オリンピック2020の開会式でも披露された曰くつきの十八番演目です。
迷いなく、京都南座の公演切符を買いました。夜の部はあっという間に売り切れて、やむなく昼の部で我慢します。特別席で@16,000でした。



開演中は撮影できないので、お伝えしにくいですが、観客はやはり中年や若い女性が増えているのがすぐ分かりました。満員御礼で3階席まで埋まっていました。


昼の部でも団十郎さんの口上があり、楽しく歌舞伎を観てほしいという熱意を感じます。演目は成田屋の十八番演目の「三升先代萩」。伊達家のお家騒動を善と悪、忠義、孝などの要素をふんだんに盛り込んでスピーディに展開させますが、団十郎さんの一人七役での早代わりは見ごたえ十分でした。
やはり、より楽しむには、筋書を事前にしっかり読むことが大切で、誰が誰やら分かりにくくなります。



3.部屋子出身の片岡愛之助が語る映画感想:
​​​市川團十郎さんの率直な映画感想は素晴らしいですが、 江戸歌舞伎の本流直系の本業役者の視点 です。
私たち一般の人間には、 喜久雄と同じ境遇で「歌舞伎の家に生まれなかったが歌舞伎を愛する役者」の映画感想を聞きたい ところです。
そこでまず思い浮かぶのが、部屋子から本流に入った 片岡愛之助 さんです。​
愛之助さんが映画の感想を直接語っている動画は見当たりませんでしたが、まずは本流の家系図から調べてみました。​​


驚きました。堺の船舶部品製作メーカーの家に生まれ、松竹芸能の子役オーディションに合格して舞台・TVで活躍しているところを ​上方歌舞伎の大御所である人間国宝、十三代目片岡仁左衛門さんに見いだされ、2021年に同じく人間国宝の次男二代目片岡秀太郎さんの養子(芸養子だけでなく、戸籍上も養子縁組)になっています。​
​過去に同じく養子となった事例として、1964年に部屋子の坂東玉三郎さん(下記5で後述)が14歳で十四代守田勘弥の芸養子(1974年に戸籍上も養子縁組)になっていますが、他に殆どありません。​
松嶋屋では片岡仁左衛門の名跡は祖父が十三代目、叔父が十五代目を襲名していますが、長男、次男ではなく、三男であり、芸の世界の厳しさを感じさせます。
愛之助さんは次男秀太郎さんの娘の婿養子になったのではなく、まさに養子であり、しかも門閥外の藤原紀香さんと結婚されています。
失礼を承知で言いますと、私なら、片岡サチさんや京子さんと結婚します(笑)。
再婚の身ながら、玉の輿に乗られた紀香さんのご苦労も多いでしょうが、それにしてもよくぞ松嶋屋の華麗なる一族が結婚を許したと驚嘆せずにはいられません。秀太郎さんも当時はまだご存命でした。苦渋の選択とまでは申しませんが、 先代の十三代目片岡仁左衛門に始まる「一門繁栄のための総意 」​ があったのでしょう。愛之助さんもよく思い切りました。「王冠を賭けた恋」ではないでしょうか。
これだけでも1冊の小説が書けそうです。


松嶋屋の写真中央が長男の三代目片岡我當(故人)、右が養父の二代目片岡秀太郎(故人)、左が叔父の十五代片岡仁左衛門です。人間国宝ファミリーです。仁左衛門は2025年10月に文化勲章も授与されました。歌舞伎が注目される中、本当におめでたいことです。
なお、後列一番左が後出4の映画の感想をブログで語る片岡千之助です。

愛之助さんの芸道を極める興味深い動画 を見つけました。
Bing 動画https://www.bing.com/videos/riverview/relatedvideo?q=%e7%89%87%e5%b2%a1%e4%bb%81%e5%b7%a6%e8%a1%9b%e9%96%80+%e6%84%9b%e4%b9%8b%e5%8a%a9&mid=3DF640EE26132630E2F23DF640EE26132630E2F2&FORM=VIRE
叔父の十五代片岡仁左衛門が、自身の当たり役「木曽義賢」の稽古を愛之助に付ける 動画です。
片岡仁左衛門は体調不良時の代役に長男の片岡孝太郎さんではなく愛之助さんを指名するなど、「家より芸の質を重んじる」上方歌舞伎の伝統を感じさせます。
事実、上方歌舞伎の始祖坂田藤十郎に関して四代目まで血縁はありませんでした。
十五代片岡仁左衛門さんは父が眼を掛けた愛之助さんにどういう気持ちで稽古を付けていたのでしょうか。
「自身の当たり役の伝承」というより、「松嶋屋の十八番」、「人間国宝の宗家」を絶やしてはならないという強い使命感があるに違いありません。
カメラなど全く気にせず、ただ無心に芸に打ち込む二人の姿は感動的です。


舞台稽古での指導にとどまらず、楽屋でも愛之助に対して剣術指導を行う片岡仁左衛門。

愛之助さんの映画感想に関しては、報道記事によると「 血には勝てないと感じることもあるが、積み重ねてきたものの方が濃くなることもある。 歌舞伎の家に生まれた方と共演していて、父上に所作が似ていると感じることがあるし、国宝の秀太郎の養子になったことが配役にも影響して大きな転機になったことも事実。自分も義父の片岡秀太郎や叔父の仁左衛門に似ていると言われると嬉しい。」と述べています。
また、「映画を観て非常に興奮し、余りによかったので、夜遅くになっていたが、大河「べらぼう」で共演した横浜流星に連絡したところ、本職の方から褒めていただき、本当に嬉しいですとの返答だった」と振り返っています。
自信と実績が裏打ちされたコメント と思います。




​4 .片岡一門の御曹司 片岡千之助が語る映画感想:
直系の御曹司である片岡孝太郎の長男、 片岡千之助さん ​の率直な感想も非常に興味深い​ です。


片岡千之助と祖父の人間国宝十五代目片岡仁左衛門。二人で「連獅子」を三度も共演しており、片岡一門の期待の大きさが感じられます。

片岡千之助は原作を映画化前に読み、映画の製作過程を見ていました。
https://intojapanwaraku.com/culture/282618/
原作は発売時から梨園でも評判で、千之助は周りから「いつか映像化される時は、千之助がやればいいね」と言われ、自身も「 ​歌舞伎役者でもない限り、この物語を表現しきることは難しいだろうと思い、心のどこかで本当に僭越ながら、自分がやらせてもらえる可能性に期待していた​ 」とのことです。
その期待は日本舞踊の稽古場で、主役の二人と李監督に出会うことで打ち砕かれ、「 ​自分にご縁のなかった作品への羨ましさや嫉妬に近い感情を持ちながら、稽古場での時間を過ごした​ のも事実です」「映画が公開されてからも、真っ先に観た母にぜひ観なさいと言われたのですが、気持ちが複雑で中々観に行けず、結局友達から誘われて漸く観て非常に感動した次第です。」と率直に想いを述べておられます。
素直なお人柄に感心しました。




​5.部屋子出身の中村鶴松が語る映画感想:​
愛之助さんは名実ともに上り詰めるところにいますが、二代目中村鶴松さんは同じ部屋子出身でも現在の置かれている立場を反映してか、映画を観た感想はかなり異なります
中村鶴松は5歳の時に応募した歌舞伎の子役オーディションをきっかけに八代目中村勘三郎に目を掛けれれ、小学5年の時には 「おまえはうちの子になったらいいね」と言われ、「3人目のせがれ」と言われ厳しい稽古を重ねました。2005年、10歳の時には「二代目中村鶴松」として部屋子初演を務めました。
中村勘三郎さんがそこまで言いながら、生前や遺言で鶴松を養子にはしなかったこと、二人だけの写真は散々探しましたが、これしかなかったことを考えると複雑です。
この写真は鶴松が早稲田の学生時代に学内報で公開したもので、中村屋から公表されたものではありません。恐らく、お母さまが撮られたのでしょう。
私には「嬉しくて悲しい写真」に見えます。

共通一次入試の英語成績で全国1位、早稲田、慶応大学の4学部に合格するなど万人が認める秀才でもありますが、好事魔多し。
2012年の高校3年生の時に師匠が57歳で早世し、その後も2021年に部屋子としては異例の主役に抜擢されたものの、現在は長男六代目勘九郎や次男二代目七之助の兄弟の後ろで中村屋を盛り立てる立場にあります。


鶴松は亡くなった中村勘三郎の養子になっていたわけではないので、 中村屋の家系図を見ても、鶴松の名前はありません。この点が同じ部屋子出身の歌舞伎役者である片岡愛之助と決定的に異なります。

中村屋の公式HPでは兄弟二人が前面に出て、鶴松は「一門」の筆頭で紹介されています。
https://e-nakamuraya.jp/


「罪作りな人」と感じてしまうのは私だけでしょうか。


「3人目のせがれ」は追悼公演の記念撮影でも並んでいません。


毎年恒例の中村屋の春暁特別公演での打ち出しと配役にも ​不安定感​ があります。2021年公演は鶴松の存在感があったほうですが、それでも勘九郎の息子二人も絡んで来て複雑さが感じられます。中村屋の定期公演で鶴松が主役級を演じられる機会は非常に限られるようです。


中村屋の写真中央が長男の勘九郎、その右が次男の七之助、そして鶴松です。


2018年中村座スペイン公演で「連獅子」を共演する勘九郎と鶴松です。映画で東半コンビとして「二人藤娘」共演する喜久雄と俊介を彷彿させます。


2021年の「豊志賀の死」で共演する中村七之助(写真右)と鶴松(左)。本来は同じ女形なので共演する機会は少なく、最近は七之助の人気が高まっているので、ライバル意識は相当かと思います。共演しなくとも客を呼べるこの二人が「二人藤娘」を踊る日はいつ来るのでしょうか。

鶴松は中村屋の公演以外に2022年に全て一人で企画運営する「鶴明会」という自主公演を行っています。
はたから見ても中村屋公演と離れた公演になり、非常に難しい微妙な試みです。
「仲良く、中村屋の再興に向けて頑張って下さい・・・」あまりにも薄っぺらな言葉でどうもすみません。

鶴松がラジオ番組出演時に述べたところによると「映画はこれは違うという見方は絶対したくなかったので、そういうのは一切ゼロにしてみました。舞台裏を知っているだけに出演者の苦労に特に共感しました。 今まで言われたことのあるせりふや経験したことのあるシーンを観て、苦しい気持ちになり、途中で10回ほど中座したい気持ちになりました。 」とのことでした。
切羽詰まってくるものが現在進行中であることを感じさせます。
同情せずにはいられません。
ただ、鶴松は9/18-19に東京で開催する第二回目の自主公演「鶴明会」に関する7/25の取材で次のように述べています。
​国宝を観た人は全員観てほしいです。 僕は喜久雄と同じ立場。 違うとすれば任侠の家庭生れでないことです​ 。今回の上演演目は仮名手本忠臣蔵」の5-6段目の早野勘平と六変化する「雨乞狐」で、今やりたいトップ2を選びました。 来年は「道成寺」と「鷺娘」をやります 」と現在の役に恵まれないストレスを自主公演で昇華させるかのような気配ですが、ちょっと驚くような大胆な発言でもあります。

注目すべきは中村屋の部屋子だけでなく、「 鶴明会という鶴松と勘三郎の本名(波野哲明)から名付けた自主公 演​ 」に 中村屋宗家から勘九郎も共演 していることです。中村屋の再興を図るため、芸に秀でる者には一門を挙げて協力するという思惑もあります。これは愛之助の養子入りを認めた松嶋屋一門と同じでしょう。 ​関係者は​ お互いに苦しいんです。
鶴松は大胆な発言をしながらも、他方で「 ​最も尊敬しているお兄さん二人​ ​に似ていると言われるのが一番嬉しい​ 」と健気な発言もしています。「三人目の倅」としてどうしても認めてもらいたい気持ちが伝わってきます。今後、勘九郎が九代目中村勘三郎を襲名すれば、「お兄さん」ではなく、「旦那」になるわけで、これまた、関係がより微妙になるかも知れません。
今も八代目勘三郎を師と仰ぐ鶴松にとっては、 先代亡きあと誰に稽古を付けてもらうかは大きな課題 です。 「お兄さん」と呼ばれる勘九郎や七之助も鶴松にどこまで芸を伝えるか、割り切れない面があるはず です。片岡秀太郎亡きあとの片岡仁左衛門と愛之助のようには行きません。鶴松は「浅草若手歌舞伎で親交のある八代目市川染五郎を通じて、その父の松本幸四郎に稽古中のビデオを送り、観てもらって丁重な指導の手紙をいただいた」と記しています。鶴松に手紙を読ませてもらった市川染五郎は「子供の自分でも父からここまで丁寧な指導を受けたことはない」と苦笑したそうです。屋号の壁を越えて、波紋が広がっているわけです。

来年新春にも恒例の浅草若手歌舞伎が開催され、鶴松や染五郎も出演します。



6.部屋子出身の元祖人間国宝 語らない坂東玉三郎の生き方:​
「国宝の原作にモデルはいない」 と言われていますが、喜久雄の話は昔話でも造り話でもありません。
個人的には 小説のモデルは五代目坂東玉三郎さんが最も近い と思います。
子連れ再婚同士の姉兄たちに囲まれる料亭の家に生まれ、幼いころは小児麻痺の後遺症で病弱だったためリハビリとして始めた日本舞踊が縁で、1964年に14歳で守田勘弥の ​「芸養子」​ となり、10年後の1974年に ​「戸籍上も養子縁組」​ を受けました。いわば 試用期間付養子 であり、愛之助のように同時ではありませんでした。

「芸養子」となった14歳の玉三郎と守田勘弥夫妻です。

任侠出身というハンデに代わって174cm近い長身で左利きというハンデを負いながら女形として精進を続け、ついには2012年に ​「人間国宝」​ になられています。当たり役は何と喜久雄が最後に踊った「鷺娘」です。吉田修一の原作は2017年発表ですから、3年間の歌舞伎楽屋入りを含む6年の入念な取材期間を考えると、時期的にも符号します。
坂東玉三郎は結婚歴もなく、女形として芸一筋の人生であり、まさに「悪魔と取引」したのかも知れません (笑)。

玉三郎演じる「鷺娘」、映画を超えて、つい見とれてしまいます。

彼が立派なのは ​自らの当たり役を独占せずに後進に積極的に伝承​ している点です。「阿古屋」の遊君や「伽羅先代萩」の政岡などはかって六代目中村歌右衛門が独占的に演じていましたが、歌右衛門亡きあと女形盟主となった玉三郎は若手の中村梅枝、中村児太郎を指導して「阿古屋」を三人交互に演じたり、「二人道成寺」を尾上菊之助と共演したほか、「伽羅先代萩」の政岡を中村七之助に指導したりしています。 ​部屋子出身者が宗家の若旦那に伝授​ しているわけです。
上方歌舞伎復興にも尽力し、同じ人間国宝同士で十五代目片岡仁左衛門と繰り返し共演しているほか、同じ部屋子出身の片岡愛之助とも共演しています。
まさに身をもって範となす生き方です。

二人の共演には感慨深いものがあり、舞台を離れて話し合うこともさぞ多かったでしょう。

なお、 ​ご本人は公式サイトで毎月コメントを出されているのですが、演目の役と自分の芸とを見つめ続け、お客様のことを考える姿勢で一貫しており、「国宝」の原作や映画に関する感想などは一切投稿されていません。​
https://www.tamasaburo-bando.com/comment
人間国宝の身で自重されているとも考えられます。確かに原作主人公との共通性が高いので、市川團十郎さんとは違い、何を言っても反響がさらに大きくなると懸念されているのかも知れません。
しかし、元々人間国宝に指定された時の記者会見でも歌舞伎の将来の発展と後進の指導を謙虚に語られ、義父の
守田勘弥のことや 過去の苦労話などには全く言及されていませんので、常に「未来志向」の方なのでしょう。
https://www.bing.com/videos/riverview/relatedvideo?&q=%e5%9d%82%e6%9d%b1%e7%8e%89%e4%b8%89%e9%83%8e+%e5%9b%bd%e5%ae%9d&&mid=2D33987543762C7DC5DF2D33987543762C7DC5DF&&FORM=VRDGAR
2011年に京都賞を受賞した時には、「人間の魂は空間を共にすることで感じ合っている。 黙っていても伝わる、感じるものなんですね。 人間同士が会えば、細胞の振動だけでも理解できるものがあると思います。」と話されています。

玉三郎さんの実力を知るために2025年10月に公開中のシネマ歌舞伎「源氏物語六条御息所」を観ましたが、個人的な感想としては舞台で生を観る以上に、シネマで観ると細かい眼や首、指先、肩の動き、表情の変化などの所作がはっきりつかみ取れるので、シネマ 独自のすばらしさがあります。
お蔭で玉三郎の名演技にどっぷり浸ることができました。セリフが無くても感情が伝わってくるのはさすがというほかありません。
このような演技のうまさに触れると、大河前作「光る君へ」の吉高由里子さんの演技を思い出しました。


いすれにせよ、映画国宝の直接のモデルが誰であろうと、今も鶴松のように 「血を飲みたい」ともがき苦しむ門閥外の役者 が沢山いらっしゃるのです。

8/23のTV情報セブンデイズで三谷幸喜さんも映画を絶賛、「3時間では短い。原作にはほかにも一杯興味深いエピソードがあり、ぜひ続編を製作して、脚本を書かせてほしい」と仰っていました。「血をめぐる葛藤」は大河「鎌倉殿の13人」に通じるものがあります。
先述の片岡千之助さんのブログによれば、 ​編集前の4時間半バージョンの映像​ があるそうです。


原作を早速アマゾンで買って(税込@880X2冊)、4回目の映画を観る前に読み終えました。確かに 映画で割愛されたストーリーの紆余曲折がふんだんにあり、これをそのまま映画化すれば少なくとも5時間になる のではと感じます。
映画では分かりずらかった上方歌舞伎と東京歌舞伎の関係や唐突感のあった喜久雄と綾乃との再会、春江の心変わりなども詳しく描かれています。
また、長崎生まれの吉田修一さんが懐かしい大阪弁のため口会話(谷崎潤一郎の小説での会話をさらに庶民的に崩した感じで、最近は下町でも中々聞けません)を巧みに再現されていて、それもすごいと思います。



​以上、周辺情報まで頭に入れると、映画「国宝」の深さは底知れないものであることが分かります。 歌舞伎役者の方々の映画に対する感想が各々の置かれている立場、状況によって異なるのは非常に興味深い です。​
どうか、皆さんもぜひ何度も映画を観られて感動を深めて下さい!
私も今回の投稿で色々勉強できたので、これを胸に4回目を観に行きます。



お蔭さまで本ブログも色々なテーマで閲覧数が157,000件を超えました。
ほかのテーマにも興味があられたらご覧ください。


「歌舞伎 事始め 鑑賞教室から京都南座・大阪松竹座公演へ 愛之助、中車、鴈治郎、獅童」


​​​ 「文楽 人形浄瑠璃 事始め 教育公演 桐竹勘十郎、吉田和生」:​
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202407310000/ ​​



「万博 裏技と実態:来場予約、抽選申込、当日登録、交通、0時ログインの現実」:​ ​​
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202507070000/

「随意契約 備蓄米10kg 美味しく食べてます」:
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202507230001/​



「ゆめぴりか 銘柄米令和6年産無洗米5kg 税込み3,980円!値崩れ開始」:
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202508190000/



「安くて美味しい和牛ステーキ 山垣畜産」:
​​
​​ https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202405190000/ ​​



「パソコン バックアップ・ストレージ・デバイスの選択」:
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202510130000/


「趣味の園芸 ガーデニング」:
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202406130000/




「バラで楽しむ」:
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202405090000/


​​
「芝生は奥が深い」:
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202406110000/


​​​​​​​​​​​​​​​​ ​​ 「本当のセレブに招待される 1」
​​​​​​​ https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202404070000/



「本当のセレブに招待される 2」:​
​​​​​​​​​ ​https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202405060000/​


「本当のセレブに招待される 3」:​
​​ https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202405070000/



「遺品整理、終活、断捨離ズルズル伸ばしていませんか?」:​
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202404200000/





「帯状疱疹 早く治して神経痛に苦しまないために」:
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202508190001/



「詐欺画面にご注意 アカウントブロック等」:​
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202404160001/




「緊急必読:商品/投資詐欺サイトにご注意!  私も盗られました」:
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202405020000/




「北海道 絶景お薦めスポット」:
​​​​​
​​ ​https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202402090003/


​​ ​​​
​​​​ ​​​​​​​​​​ 「タウシュベツ川橋梁 ついに上端部崩落」: ​​​​​​​​​​​​
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202404150000/



​「北海道 痛快ロードを快走!」:​
​https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202402260005/


「全日本 痛快ロードを快走!」:
​https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202403020000/



「北海道 今昔物語 遠くに足音が聞こえる」:
​https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202402260004/ ​​ ​​


​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​


「史上最悪三毛別ヒグマ羆7人惨殺事件 本当の現場を突き止める」:

https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202403110000/



「北海道 トロッコで楽しさ倍増!」:
​https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202403060001/ ​​



私のクルマ趣味歴  愛するクルマたち 」:​
​​ https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/2024020900 00/​





「フェラーリ488スパイダー あま猫 修復歴騒動に思う」:​
​​ h ​ttps://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202501310000/ ​​ ​​



​​
​​​バイク趣味の歴史 愛するバイクたち」:​ ​​

​​
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202402090001/
​​


「軍用機 飛燕甲 キ61-1実機取材」​
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202406200000/



「米軍戦闘機細部作りこみ」
​https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202403190000/




「プラモデルを極める―軍用機編」
​https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202403100000/​




「B17アメリカ実機現地取材」:
​https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202403100002/​





「プラモデルを極める:B17の作りこみ」
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202403100001/







「帆船模型を楽しむ 戦艦ヒーロー」:
https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202402210000/



ほかにも色々投稿していますので、お気軽にご覧下さい。​

投稿テーマ一覧です。​​​​ ​​​​​​​ ​​​​ ​​​​​​​​​​​​ ​​ ​​​

​https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diaryall/

​​​​​​​​​​​​​​





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2025.11.03 15:02:01
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: