偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2020.04.23
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 花と来れば蝶も来るで、今日は「虫」であります。
 どんな「虫」が登場するかを、目次を兼ねた歌で示せば次の通り。
舞ひ舞ひて 来たれる蝶が 色黄色 燕飛び兼ね 雲も動かず (虫麻呂)
​ これで、何の虫が登場するかを即座に理解できた人は相当に頭が柔らかいお方であります。
 解説すると、
 舞ひ舞ひ=マイマイ=カタツムリ
 蝶が色黄色=黄色の蝶=キチョウ
 蝶が色の「が」=蛾、この辺は苦し紛れですガ=ガ
 燕=燕を名に持つ蝶=ツバメシジミ
 雲=くも=蜘蛛=クモ
 では、先ずカタツムリであります。
 デンデンムシとかマイマイとかとも言い、蝸牛などという偉そうな名も持って居りますが、ヤカモチ的には5文字のカタツムリがしっくりします。
 カタツムリは我が国だけでも700種とか800種とかもいるということですから、何という名のカタツムリであるかなどはハナから諦めていて調べる気にもなりません。

(カタツムリ)
 やや大型、普通のカタツムリです。
 ナミマイマイという名のカタツムリがいますから、それかも。
 先日、ライラックの学名が「Syringa vulgaris 」であると知って、普通の注射器かと思ったら普通のハシドイであったのでしたが、ラテン語の「vulgaris」というのは、「普通の」とか「通常の」という意味だそうな。であれば、ナミマイマイも「マイマイ・ウルガーリス」などと呼んであげたら、ちょっと格が上がってエスカルゴの上を行くことになるかも、と思ったりしましたが・・。​

(同上)
​ エスカルゴを初めて食べたのは勤務していた会社でまだ若手の駆け出しに少し毛の生えた程度の社員であった頃である。メインバンクから移籍して来られた当時の専務にアフター5のお供を仰せつかることが時々あって、その時には決まってエスカルゴが出て来たものである。大いに閉口しながらも顔には出さずこれを食したのは言うまでもないが、自分から進んで食べたい料理ではないから、今日のマイマイ君も安心したまえ。

(同上)
​ エスカルゴのことを思い浮かべたのが彼にも伝わったのか、伸ばしていた首を少し引っ込めたようでもある。
 ここは昨日の記事でオドリコソウの群れ咲いていた近くの大きな木の幹の根元に近い部分である。
 幹の上の方から下って来たので、地上に降り立つつもりであったのかもしれないが、動きを止めてしまった。
 それと言うのも、彼の進路に立ちふさがるようにしてカメラ・レンズを向けたからである。

(同上)
​ しばし睨めっこである。
 こういう角度でカタツムリと対峙したことはないので、彼の表情などを何処で探ればいいのかもわからない。
 しかし、彼が固まっているということは、その雰囲気からわかる。
 遠い、遠い祖先を辿れば、ヤカモチもカタツムリと親戚なのだから。
 ひょっとすると樹皮に生えている苔や菌類をはぎ取ってのお食事中であったのかもしれないと気づき、食事の邪魔をするのは野暮なこと、こころ置きなく召し上がられよ、とその場を立ち去ることとしました。
 虫は虫でも、この手の虫は苦手というお方も多いでしょうから、無難なところで次は蝶です。

(キチョウ)
​ こいつは何処で見かけたのやら。
 4月10日に大龍寺の桜を見に行ったときに道端で見かけたのであったような気がする。
 何やらこちらを見ているようであり、上のカタツムリとは違って、ヤカモチとしっかりアイコンタクトがとれているような。ということは、カタツムリより蝶の方が親戚としては近いのか。

(ツバメシジミ)
​ これは花園中央公園にいた奴。
 ハルジオンの花を撮影していたら飛来して、近くの木の葉に止まったのでした。
 後翅の突起とオレンジ色の斑紋からツバメシジミと判定。
 蝶は万葉歌に詠まれてはいないが、大伴家持と大伴池主との間に交換された歌の序に登場するし、何と言っても、令和の元号の典拠となった「梅花の歌32首の序」にも「庭に新蝶舞ひ」と出て来るのであれば、万葉の虫と言っていいだろう。
 令和で注目された序文であるが、蝶の方は話題にものぼらなかったのは「チョー残念」と蝶も言って居ります。
 再び、枚岡梅林に戻って、ガ。苦し紛れの蛾であります。

(キアヤヒメノメイガ)
 これは、メイガの一種でキアヤヒメノメイガ。小型の蛾である。
 草むらなどに踏み入るとこいつが飛び出して来る。
 人のこのような行動は、メイガからすればメイワク。
 さて、蛾眉などと美女の眉を表現しますが、女性を蝶に喩えるはよけど、蛾に喩えるはならじ、であります。思ってもこれを口にしないのが紳士であります。
 そして最後は流れる雲のごとく、と美しくまとめたいのでありますが、そこは偐万葉の悲しさ、くもはくもでも動かないくもなのであります。

(ジョロウグモ)
 女郎蜘蛛。女郎花と言えばオミナエシ。万葉でも馴染みの花であるが、女郎蜘蛛は出て来ない。
 因みに、古代は、女性は「いらつめ」、男性は「いらつこ」であるが、いらつめは「いらつこめ」が短縮したものではないかと思う。
 で、「いらつめ」の表記であるが、これには「女郎」と「郎女」との二つがある。
 何かで読んだと記憶する説明だが、身分の高い貴族の女性は「郎女」で、身分が低い女性は「女郎」という使い分けがなされていたが、時代が進むにつれて、その辺の区別は曖昧になって行くというとのこと。
 そんなことで、わが偐万葉にご登場の女性陣の皆さま方については、どなた様も「郎女」と呼称させていただいて居ります。
 話がどんどん脱線してゆく虫の話。今日はこの辺で。
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最終更新日  2020.04.23 14:25:15
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