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細菌性の結膜炎などの治療に使う抗菌剤の目薬というものがあります。 この上の写真の参天製薬のクラビット点眼液(ニューキノロン系という系統の抗菌剤)が売上ダントツナンバーワンの代表選手ですが、他にも千寿製薬のガチフロ点眼液 日本アルコン社のベガモックス点眼液 も売上上位に位置しています。 ただ我々の業界ではクラビット点眼液があまりもメジャーな存在であるためでしょうか? ほとんどの目薬はその真似をして ピンク色の外観 をしています。 ところで人間というのは年を取ると目が乾いて常にしょぼしょぼしたり、慢性的にめやにが出たりします。そしてこのクラビット点眼液に代表されるニューキノロン系の点眼剤は「めやに止め」として抜群な効果を発揮するので患者様から、 あのピンクの目薬が欲しい。 と御指名で処方をお願いされることが非常に多くあります。 眼科専門医的には、この手の抗菌剤というのは明白な臨床症状があるときのみにごく短期間に限って使用するものであり、気軽にカジュアルに処方するという類の目薬ではありません。何故かと言うと、 普段から常用していると本当に細菌性の結膜炎になったときに目の中のバイキンが凶暴化・耐性化してしまっていて効かなくなりますし、そもそも健康な状態の眼には全く必要のない ものだからです。 そのため不必要と判断した場合には、「めやにも出ていませんし、目はとても綺麗ですからいりませんよ。」と説明するのですが、 「いや、めやには本当はいっぱい出ます。今、たまたま出ていないだけです。だからピンクのを下さい。」 と頑張られる患者様が多くいらっしゃいます。 押し問答の末になんとか納得して頂いて帰宅された後にも、 「ウチのおばあさんが、先生がピンクの目薬をくれなかったと言って泣いている。どうしても処方して欲しい。」 と電話がかかってきたりすることもありますし、私が断っても、代わりにかかりつけの内科医の先生におねだりしてちゃっかり処方して貰って、秘密で毎日しっかりと点している方もいらっしゃいます。(笑) この クラビット点眼液に代表される抗菌点眼剤に対する患者様の精神的な依存度と言うものは本当に凄い ものがあります。 その理由はやはり、 「点すと目の調子が良くなる」という確かな実感が患者様にある からでしょう。もしかすると、この 魔法のピンクの小瓶 には何か、 我々眼科専門医が未だに気付いていない不思議な力 があるのかもしれないですね。
2015.12.02
さて当院は、四国有数の漁港である愛媛県八幡浜(やわたはま)市の国道197号線に面した市内中心部の超一等地に立地しています。八幡浜市を行き来する車のほとんどが通過する大動脈に直接面していることから、毎年頑張って行き交う車や人々をお迎えしています。今年もスタッフの尽力で先日から冬のイルミネーションを開始しました。今年は昨年比で+50%と更に新アイテムを大量に追加したため、より華やかな盛り盛りの出来栄えとなりました。 まずは最初にお昼の状態を見て戴きましょう。 これが夜になると、、、、、、 こんな感じになります。。。。。 皆様もご覧になったら、イルミネーションの感想を是非聞かせてくださいね。
2015.11.09
しばらく前のことですが、ネット上で面白い記事を見つけました。 詳しくは 元記事 を参照して頂きたいのですが、要点を一言で言うと、 花粉症の人は、花粉症でない人に較べてがんによる死亡率が52%低下していた。 という内容です。 「花粉症などのアレルギー疾患を持っていると、免疫機能が活発になる傾向があり、それが特定の原因による死亡を防ぐのかもしれない。」 という研究者のコメントもありましたが、私はこの記事を読んで、 あっ、これは体感的に間違いないな。 と思いました。 毎日毎日多くの患者様を診察させて頂いている経験から、 花粉症の患者様には全身的な病気が何故か少ない ということを実感していたからです。 そしてこの記事からは2つのことが示唆されると思います。 1. 花粉症の症状が強いことはトータルで見てその患者様の長寿に繋がっている可能性がある。 2. そのため花粉症に対して[過剰で強力な治療]を行って症状を押さえ込むことは、患者様の免疫機構を過度に抑制することになり却って健康を損なうかもしれない。 私はもうずっと以前から、 花粉症の患者様に対して常に「必要最低限」の治療 を心掛けてきました。ほとんどの方は 短期間適切にお薬を使えばすぐに症状が改善するから ですが、今回の記事を見て、よりその方針を徹底して行こうと思いました。
2015.11.03
先日のことですが、私のクリニックのある愛媛県八幡浜市では数週間ぶりに雨が降りました。降り方は結構激しかったのですが、朝から来院される患者様の数が異常に多く、5時間近くノンストップで診察させて頂いてようやく午前中の外来が終わるというような大変な状況でした。 その次の日は嘘のような秋晴れでした。気温も程よく絶好のお出掛け日和の一日でしたがクリニックは一日中空いていて前日とは逆にとても穏やかな日となりました。 普通なら逆になりそうなものですが、私にはこのような患者様の動向が元々手に取るように分かっていました。それが何故かと言うと、 ここ愛媛県八幡浜市は 全国有数のみかんの生産地 であり、今はその最大の繁忙期に当るからです。晴れた日にはみかん山での仕事があるので病院なんかに行っている場合ではなく、逆に雨の日こそが病院に行く日なのです。 全てはみかん山次第 ということなんですね。
2015.10.29
3年前に学会場で見たときにその能力の高さに一目惚れしていたイギリス オプトス社の超広角眼底カメラ(目の奥の網膜の写真を撮る器械)のデイトナ。 このデイトナの何が凄いかというと、 普通の眼底カメラは画角30度くらいの狭い範囲しか撮影できないのに対して、デイトナは一度に200度、網膜の80%をカバーする範囲を撮影できるという点なんですね。しかも無散瞳(むさんどう、瞳を開く検査薬を使わずにそのまま撮影できる)、非接触(目に器械が触れない)、短時間という、3拍子揃ったいい所だらけのまさに夢のマシンです。 そのため、学会場ではたくさんの人が群がり実際に体験をしていたのでした。 そして私も実際に体験していました。これが私自身の眼底写真になります。 右目と、 左目 本当に広い範囲が写っていますね。 この 「オプトス デイトナ」 がクリニックにあれば網膜剥離を筆頭に様々な病気の正確な診断に繋がりますので、私は初めて見たその日から「絶対にいつかは買いたいなあ。」と思っていました。 ただこのデイトナ、極めて高額な上に画期的なマシンで特許に守られライバル不在で値引きもほとんど無いという状況で、なかなか購入のチャンスがないままにここまで来ました。具体的に言うと2012年7月の発売時の定価は1380万円(税別)だったのですが、その後のアベノミクス進展による円安で2013年8月には1590万円(税別)へと逆に値上がりをしてしまいました。 しかし発売後3年が経ち、現段階ではもう大した値引きは見込めないという判断のもと、当院では思い切って今回購入することにしました。 ヨーロッパ的な流麗なデザインですね。 そしてオプトスデイトナの導入に合わせて、他の機械もより効率的に配置し直しました。 これからも適切な設備投資を欠かさず、八幡浜地域の皆様に全国レベルの快適で安全な眼科医療を提供し続けられるよう、スタッフ一同努力していく所存です。
2015.10.19
当院では7年前の開院時に診察システムを2つ作っていました。1つは毎日毎日皆様の診察をさせて頂いているメインシステム(1診)。そしてもう1つは様々な検査のための暗室の一部に作ったサブシステムの2診でした。 どうしてこの2診を作ったかというと、開業前に良く勉強をさせて貰いに行っていた尊敬する先輩眼科医の医院にこの2診があり、はやり目(流行性角結膜炎)などの感染性の病気の患者様を診察したり、非常勤の専門外来の先生をお呼びした時に使って戴いたりするのに非常に便利だろうと考えたからでした。 ところがこの2診、当院では実際にはあまり稼働せずスタッフが事務仕事をするための机になってしまっていました。なので当院に来院されたことのある患者様でも、その存在を全く知らない方も多いものと思います。(笑) そして今回、ある新型の検査機械を導入するためのスペースがどうしても足りなくなってしまったことから涙を呑んで撤去することとなりました。 この診察システム(専門用語で言うと細隙灯顕微鏡:さいげきとうけんびきょう)、元々は神戸かどこかのコンタクトレンズ処方がメインの眼科クリニックで使われていたもので、7年前の開業時に程度の良い中古品として当院にやってきたのでした。良く見える非常に力のある顕微鏡だったのに、あんまり使ってあげることが出来なくて申し訳なく思っています。今回、新型の検査機械購入に当たって下取り品としてドナドナされて業者の方に引き取られていくことになります。またどこかの眼科クリニックで活躍してくれたらいいのですが、、、、、 さて、この空いたスペースには毎日の眼科診療を強力にサポートしてくれる「大型ルーキーの最強マシン」が近日中に導入されます。愛媛県南予地方では当院が初めての購入となります。お楽しみに。。。。
2015.10.08
さて当院では7年前の開業時に日本のコーワ社のAP-6000という視野検査装置(緑内障の方の見える範囲を調べる検査で使うもの)を導入していました。 このAP-6000はその後ずっと快調に作動しており特に問題も無かったのですが、この7年の間に新型のAP-7000へとモデルチェンジしており、ディーラーの吉田メディカル様の御厚意でそれをデモする機会がありました。 デモする前は、「以前に学会場でコーワのブースに立ち寄った時に営業のおっちゃんが「ぶっちゃけ正直に言うと、別に買い換えるほどではない。」と言ってたし、多分大したことはないだろう。」と踏んでいました。 ところが実際にデモをしてみると、この機械、実に素晴らしかったのです。それでは具体的にどこが良かったのでしょうか? 2点あります。 1. 新たに600人以上の日本人の正常眼のデータベースを搭載していて、これのおかげで検査の精度が物凄く上がっている。 2. 緑内障かどうかを判定する診断ソフトを新たに本体に内蔵しているのだが、これの出来が滅茶苦茶良い。 ということでした。この2について具体的に解説しましょう。 これはある患者様の視野検査の結果です。左上の円で黒いところが視野が欠けているところになります。しかし視野が欠けている=緑内障ではありません。何故なら、白内障、近視性網脈絡膜萎縮、BRVO(網膜静脈分枝閉塞症)のレーザー治療後、頭部外傷後の視神経萎縮、SSOH(上方視神経低形成)など、多彩な疾患が緑内障に似た視野異常を来たすからです。つまり、緑内障と診断するには「視野の異常と目の底の視神経の異常の状態が一致していること」が必要なのです。 ところが実際の臨床の現場では、「うーん、これは微妙だな。。。」と診断に迷うことも少なくないのです。そういった時にAP-7000内蔵の緑内障判定ソフトが非常に役立ちます。 簡単に言うと、上の図のPSD、GHT、PDの3つの指標の内1つでもオレンジ色に変わっていると緑内障性の視野異常があるということになります。 ということで、このAP-7000、実際に使ってみるとAP-6000から較べると物凄く進化していたのでした。コーワの営業のおっちゃんはちょっと謙遜しすぎだと思います。(笑) 私は借りて3日くらいで「あ、これは買うしかないな。」と確信したくらいには出来が良く、そのまま購入となりました。全国のAP-6000ユーザーの皆様も、是非一度使ってみてください。
2015.09.30
小さなお子様やお身体が不自由な患者さまの目の表面(前眼部)の検査・観察に必要な検査機械に「手持ちスリットランプ」というものがあります。眼科では絶対に必要な機械であり、私も7年前の開業時に当然買っていました。 これはシンプルな機械なのですが、ここにも技術革新の波は及び、光源がLEDとなり耐久性と明るさが飛躍的に増した新製品が出ました。試しに使ってみたところ従来型のものとは較べものにならないくらい目の表面が見やすかったので大喜びで買い換えました。日本のコーワというメーカーのSL-17というモデルになります。 従来型のものよりもグリップ形状が良くなっており非常に持ちやすいです。そして何より目の中が良く見えます。具体的に言うと従来型では全然見えなかった虹彩紋理まで鮮やかに確認できて、私は毎日の診療がより楽しくなりました。 従来型のマシンをお使いの全国の眼科専門医の方、これはガチで買い替えの価値があると思います。騙されたと思って是非一度使ってみてください。(笑)
2015.08.19
さて今日は新型の眼圧測定装置である二デック社のNT-530P のどこが凄いのかを御説明申し上げましょう。一言でいえば、眼圧と角膜厚(かくまくこう:黒目の厚さの事)を同時に測定できて、測った角膜厚によって正しい眼圧を補正して算出してくれるのが凄いのです。 はい、何言っているのかチンプンカンプンですね。(笑) 分かりやすく解説しましょう。我々人間の角膜の分厚さと言うのは平均すると545マイクロメートル(1ミリの約半分)なのですが、実際にはかなりの個人差があります。つまり分厚い方も薄い方もいるのです。そして従来型の角膜厚を測定しないタイプの眼圧計だと、角膜が厚い方は実際よりも眼圧が高く、そして薄い方は低く表示されてしまうことが分かっていました。 このNT-530Pでは瞬時の測定でそれを補正して表示してくれるのです。具体的に見てみましょう。 この患者様で言うと測定値(AVG)は右が14左が15ですが、角膜厚が右548マイクロメートル、左599マイクロメートルと左目が平均よりはやや分厚い目をされています。なのでそれを補正した眼圧値(COR)は右14、左13となります。 そしてこのNT-530Pがその真価を発揮するのが近視矯正手術のレーシック術後の患者様です。レーシックと言うのは角膜を薄く削って近視を治す術式なので、従来型の眼圧計だと極端に低く測定されてしまうからです。実例を見てみましょう。 この患者様は都会のチェーン店展開をしているレーシッククリニックで両眼の手術を受けられています。眼圧の測定値(AVG)は右が6、左が5と非常に低い(正常値は10~19です)ですが、これはレーシックで角膜をかなり削っていて右が390マイクロメートル、左に至っては320マイクロメートルしかないため、それで非常に低く測定されてしまったのです。角膜厚で補正をかけるとその真実の姿(COR)は右が13、左が15となります。物凄い差ですね。もしもこの患者様が将来緑内障を発症し、そして従来型のマシンで眼圧を測定されるとすると本当の眼圧よりも大幅に低い数値が出ることになり、それで的確な治療が行えないという可能性すらあるんですね。 このNT-530Pを導入して私には1つ衝撃的だったことがありました。以前から「眼圧は非常に低いところで安定しているのにも関わらずどんどんと緑内障が進行してしまう患者様」というのが一定数いらっしゃったのですが、そういった方の多くは実際には角膜厚がかなり薄くてそれで従来型のマシンでは測定値が低く出ていたのです。つまり、実際には眼圧が十分には下がっておらず本当はもう少し強力な治療が必要だったかもしれない、ということなんですね。 このようにNT-530Pは驚異の能力を持ったマシンなのです。この3代目のお利口な眼圧計と共に私はご機嫌な診察の日々を過ごしています。
2015.07.29
医療の世界はまさに日進月歩。特に医療機器の進化と言うのは目覚しく本当にどんどんと良くなっています。 私が日記を更新していなかったこの1年の間にも、クリニックでは新たに多くの検査機械を導入しました。そのほとんどは従来から持っていたマシンを最新型に入れ替えたものですが、その必要性を十二分に納得できるものばかりでした。今回からしばらくはこの1年間の当院の設備のアップデートの状況がどのようなものであったのかをお伝えしようと思います。 最初の1回目は眼科での基本検査である眼圧(がんあつ:眼底の血圧のこと)測定装置のお話をしましょう。あごを乗せると空気がプシューと飛んでくるあれです。「ちょっと苦手だな。」 という患者様も結構いらっしゃると思います。 当院では開業時にはちょっと財務状態がタイトだったこともあって(笑)、中古の程度の良いマシンを導入しました。この機械は良く働いてくれたのですが、何しろ毎日毎日多くの患者様の眼圧を測り続けていたので2年くらいで壊れてしまい、その後大幅に世代交代した新しい2代目を使用していました。 ところがこの2代目も再び故障して再起不能になってしまったので修理も検討したのですが、ちょっと借りてみた最新鋭のマシンの出来が驚異的に良かったので、感動してそのまま買うことになりました。それがこちらのマシンです。最近素晴らしく出来の良い検査機械を連発してリリースしているニデック社の「NT-530P」といいます。 この日本のニデック社というのは無骨なメーカーで、昔から「技術は最高だがデザインが最悪」という定評があったのですが、ここ最近はその欠点だったマシンのルックスの悪さが大幅に改善されてきています。このNT-530Pもとても二デック社のものとは思えない流麗な仕上がりで私は思わず目を疑うほどでした。(笑) それでは次回は、この最新鋭のNT-530Pのどこが一体凄いのか?を分かりやすく説明することに致しましょう。
2015.07.18
さてこの日記はここ1年間ほどは休眠状態だったのですが、今日久しぶりに思いついてログインしてみるとなんと今でも平均して1日に700~800ものアクセスがありました。 私としては毎日の患者様の診療を全力で手掛けており別にそれで良いかな?と思っていたのですが、これほどのアクセスを戴きながら1年間放置というのはちょっと申し訳なかったなとも感じております。 そのため今後はまた再び、たまには更新していこうと考えています。
2015.07.17
私がまだ大学病院で眼科の研修医をしていた頃のお話です。 ある時、我々ピヨピヨの研修医がその自己紹介も兼ねて、地元のベテランの眼科開業医の先生方と飲むと言う貴重な機会がありました。 当時の私はまだ自分で白内障手術もしたことがありませんでしたし、臨床の経験も本当に未熟でした。関連病院にアルバイトに出かけると、患者様の病状が見たこともないものばかりで全身フリーズし、「これって一人前になれる日って本当に来るのかなあ?」と疑問を感じるほどでした。 さてそんなヒヨヒヨの私は、飲み会で上品な女医さんの隣に座りました。色々としゃべった後でふと私が、「先生、開業すると勤務医とは何か違うことってあるんですか?」と質問をすると、その先生がしばらく考えた後で、 「そうねえ、 開業するとまつげを抜く機会が凄く増えるわよ。 」 と仰いました。 私はそれまで患者様のまつ毛を抜いたことがなかったので、物凄く驚き、思わず、 「先生、世の中にそんなお仕事があるんですか?」 と質問してしまいました。 するとその女医さんがクスッと笑いながら、「あなたも、いつか分かるわよ。」と可笑しそうに言われました。 それから長い月日が流れました。私は開業して6年目に入りましたが、その先生の予言通り熱心に患者様の逆まつ毛を抜く毎日です。 「まつげを抜くお仕事」は、本当にこの世の中に存在した のですね。(笑) それでは、どうしてこのような奇天烈なお仕事が世の中にあるのでしょうか? それはだれでも年を取ると、目の周りの筋肉や組織が弱くなって、若い頃にはピンと外側を向いていたまつ毛が段々と内側に向いて目に当たるようになってしまうからです。そして当ったままだと角膜(黒目)に傷が付いてしまって様々なトラブルを引き起こす原因となります。 そしてこの「逆まつげ」は、その成因に合わせ、最適な手術法を取ることによって治すことが可能なのですが、手術後であっても数年後には少し戻りが出てやっぱり何本かのまつ毛が黒目に当たってしまうこともありますし、そもそも手術をするのはイヤなので来院した時に抜いて貰えばそれでいい、という患者様もいらっしゃいます。 そんなこんなで、眼科開業医の毎日にはこの「まつげを抜くお仕事」が、「切っても切れない不思議なメニュー」として存在しているんですね。
2014.07.27
目をこする・触る・打撲する習慣のある患者様というのが以前から一定の頻度でいらっしゃいます。花粉症による目のかゆみが出た状態の方、アトピー性皮膚炎がある方、またボクシングをされていて相手から目にパンチを貰いやすい方、などですね。また、例えば目がかゆかったり調子がおかしい時に、「こすると治る」と思っている患者様と言うのもたまにいらっしゃいます。 今日は大切なことを申し上げたいのですが、 目は極めて打撲に弱い組織 です。 慢性的に目を触っていると、そのダメージが蓄積して若くても白内障になったり、ひどい時には網膜はく離になったりすることもあります。実際、アトピー性皮膚炎やボクサーの方に白内障や網膜はく離が多いのは我々眼科専門医の間では常識なのです。しばらく前に引退された国民的人気を誇ったボクサーの方も若くして白内障手術を受けられていましたね。 また、目がかゆくてこするとその瞬間だけは気持ちが良いですが、結果的には炎症が増悪して逆に状態は悪化し、かえって苦しむことになります。 つまり、 目がおかしい時に触るのは逆効果で一つもよいことはない のです。 目が変な時には、触るのを我慢し、保険証を持ってすぐに近くの眼科専門医を受診する というのが正解です。覚えておいてくださいね。
2014.05.06
当院の年内の診療は、昨日12月28日(土)の午前中を持って終了となりました。 この1年間、たくさんの患者様に御来院戴けたことに感謝しています。来年もスタッフ一同笑顔を絶やさず、努力を怠らず頑張っていきます。 なお、新年は1月6日(月)診療開始となります。 来年も、全国レベルの眼科医療を提供し続けることを目指し、常に全力で勉強しながら患者様の実際の診療に臨みたいと考えています。
2013.12.29
さて少し前のことですが、当院では新型の「角膜内皮測定装置」である、二デック社のCEM-530を導入しました。 角膜内皮(かくまくないひ)というのは、角膜(黒目)の一番深いところに敷石状に並んでいる、透明性を維持している大切な細胞です。正常値は単位面積当たり2000~3000なのですが、この値が500を切ってしまうと角膜の透明性を維持できなくなって角膜移植が必要になってしまうのです。そしてコンタクトレンズの不適切な使用や加齢・病気等でこの細胞数が減少することがあり、白内障手術前などにはその測定は欠かせません。 私のクリニックにも当然その機械はあったのですが、5年前の開院時に程度の良い中古を買ったもので、細胞数の測定を手動で行わなくてはならず時間がかかっていました。その点最新型の機械は、 フルオートで短時間で快適に測定でき、かつ細胞数も瞬時に機械側で計算してくれるので正確です。 また従来型の機種よりも測定可能範囲が広がっているというメリットもあります。とにかくこのニデックのCEM-530は実に出来が良いです。旧来型の機械を使っている先生は是非一度デモで良いので使ってみてください。すぐにその素晴らしさ・測定精度の高さを実感して戴けると思います。 機械が増えてきたので、スタッフが動線を考えて上記のように院内にうまく配置してくれました。 眼科の世界は進化が早く、とにかく全てが日進月歩です。これからも常に第一線のクリニックであり続けられるように、設備投資も毎日の勉強も引き続き頑張っていこうと思っています。
2013.12.14
今日は眼科専門医制度のお話です。眼科専門医になるためには受験資格についての厳格な審査と、他科に較べてかなり難しい合格率の低い認定試験をクリアしなければならないのですが、一旦合格後にも当然勉強の日々は続きます。眼科専門医であり続けるためには、5年間で100単位、つまり1年間では20単位の専門医ポイントを獲得する必要があります。そしてこのポイントは学会などの勉強会参加や論文執筆などで手に入ります。 私は個人的に「普通の眼科専門医の3倍は勉強しよう。」と考えており、年間最低60単位の取得を目標としています。また参加した全ての学会・勉強会では常に一番前の席に座り集中して学び、もしも疑問点があればすぐに講師の先生に質問もするようにしています。 そしてこの1年(2012年10月1日~2013年9月30日)では、 合計80ポイントを獲得し、しっかりと目標を達成しました。ちなみに昨年は1年間で78ポイントだったので、 今年は更なる上積みに成功しました。具体的に参加した学会・勉強会を振り返ってみると、昨年10月には日本臨床視覚電気生理学会と愛媛県眼科フォーラム、11月には日本糖尿病眼学会と日本神経眼科学会、12月には愛媛県眼科集談会、今年の1月には東京眼科アカデミー、2月には愛媛県眼科サブスペシャリティデイ、3月には眼科診療アップデートセミナーin京都と愛媛県眼科フォーラム、4月には日本眼科学会と四国EYEランドセミナーin高松と愛媛県眼科集談会、少し空いて7月にはフォーサム2013大阪、8月には眼科臨床実践講座in東京、9月には愛媛県眼科フォーラムと日本緑内障学会でした。またこれら以外でもポイントの付かない勉強会にもできる限りたくさん参加しました。来年も更に少しでも記録を更新出来るように頑張ろうと思っています。 ただ地方在住の私がこのように全国を飛び回って勉強し続けるには、どうしてもクリニックを留守にせざるを得ないこともあります。大切な患者様にご迷惑をかけることを心苦しく思っていますが、私が常に極限まで学び成長を続けること、それが結局八幡浜地域の皆様の目の健康を守り続けるために一番大切なことだと確信していますので、どうか御了承下さい。
2013.12.06
いよいよ12月ですね。当院は四国有数の漁港である愛媛県八幡浜市の国道197号線に面した超一等地に立地することもあり、毎年頑張ってイルミネーションをしています。今年もスタッフの尽力で、先日から冬のイルミネーションを開始しました。 今年は新アイテムを大量に追加したため、昨年よりも華やかな出来栄えとなりました。 皆様もご覧になったら、イルミネーションの感想を是非聞かせてくださいね。
2013.12.02
さて本日11月25日、日本を代表する点眼薬メーカーの参天製薬から、アレルギー性結膜炎の大型新薬であるアレジオン点眼液が発売されました。未確認情報では、このお薬、実は以前は他の会社が点眼薬にしようと思って頑張っていたのですが、どうしてもうまく溶けず目薬に仕立て上げることが出来ずに投げ出し、それを引き取った参天製薬が無事に開発完了したという話です。「クスリを溶かして目薬に仕立て上げる」技術では世界一と言われる、参天製薬ならではの目薬ですね。 ところで、アレルギー性結膜炎の治療では副作用が少ない「抗アレルギー点眼薬」が第一選択なのですが、その中には実はたくさんの目薬があります。 ただ、実際の臨床の現場では、かゆみに即効性を持つ抗ヒスタミン作用のある「ヒスタミンH1受容体拮抗薬」の中で最強のパワーを持ち、現在アレルギー点眼剤で売上ダントツナンバーワンのパタノール点眼液(日本アルコン社)がpHが中性で点眼しやすく、また実際の効果も図抜けており、 実際には1人勝ちでライバル不在の状況でした。 そんな中、今回発売になったアレジオン点眼液は、その現役最強のアレルギー点眼薬「パタノール点眼液」と肩を並べる薬効を持っています。更に目に様々なダメージを与える防腐剤の濃度もパタノールが0.01%(これでも十分に低くて安全)なのに対し、アレジオンはその3分の1の0.003%と極限の低さを誇っており、日本のメーカーらしい細やかな配慮が行き届いた目薬となっています。また内服薬のアレジオンは効き目が長いことで知られており、もしかすると点眼でもその長所が受け継がれているかもしれません。 アレジオン点眼とパタノール点眼では実際にはどちらがより優れているのか、「アレルギー性結膜炎点眼薬、頂上決戦」がいよいよ始まります。楽しみですね。
2013.11.25
さて、今日は前回の日記の続きです。気になるこの「AREDS2」の結果ですね。その内容は、、、 なんと、、、、、、 プラセボ(偽薬)群と較べて有意差なし という衝撃的なものでした。サプリメントとしてルテインとEPAを加えても、AMDの進行予防の効果は認められなかったということなのです。残念でしたね。 つまりAMDの進行予防には、従来型のAREDS1に準拠したサプリメントで良いということになります。当院では元々この「AREDS1」型のものを患者様にオススメしていたので、今後も同じものを自信を持って推奨していくと言うことになります。 具体的には、サプリメントとしては上記の「オキュバイトシリーズ」というメジャーなもので言うと、一番左端の「オキュバイト+ルテイン」という一番シンプルで安いもので必要十分(ARED1準拠)ということになります。 AMDの患者様の参考になれば幸いです。
2013.11.21
さて次は日本でも患者様数が激増の一途を辿っている加齢黄班変性(AMD)の最新の話題の中で印象に残った話です。 病気は何でもそうですが、「未病」の状態で進行しないのが一番です。その意味でAMDは初期であれば進行予防の専用のサプリメントが一番お勧めです。もちろんある程度進行してしまっていてもサプリメントは非常にお勧めできます。というのは、AMDに関しては「サプリメントが効く」ことが実証されている からです。 2001年にアメリカで画期的な大規模なスタディ、AREDS1(エーレッズワン)が行われました。そして上記のスライドのように、 抗酸化ビタミン(ビタミンA+C+E)+亜鉛 を投与するとAMDの発生が約25%少なくなることが分かった のです。これは「レベル1エビデンス」の凄いデータでした。そしてこのことよりAMDの患者様は専用のサプリメントを飲んだほうが良いと我々眼科専門医は自信を持ってお勧めできるようになりました。 そしてその後サプリメントの内容を更に改善するべく、 AREDS2が進行中でした。これは分かりやすく言うと ルテインとEPAの効果を見よう というものでした。 ルテインは、ほうれん草やブロッコリーなどの色の濃い緑黄色野菜に多く含まれるカロテノイドの一種で、目の「水晶体」と「黄斑部」に多く存在しています。ルテインの働きとして、まずは光そのものを遮る働きがあります。また、紫外線などの有害な光の一部が網膜に達してしまいそれにより酸化ダメージを受ける危険性が生じた場合でも、抗酸化作用によってそれを防止します。ところが体内のルテインは、加齢や、紫外線を浴びたり、煙草を吸ったりすることで少しずつ消費され、減少していきます。そしてルテインは体内で自力では生成できないため、日々の食事を通じて継続的に摂取することが大切なのです。 逆に言うと、最近の我々日本人は食生活の欧米化で慢性野菜不足に陥り、目にとって大切な成分であるルテインが足りなくなっているせいでAMDが激増している可能性があるわけです。ルテインは具体的には網膜にAMDを引き起こす新生血管(CNV)の発生を抑制してくれます。 ちなみにこのルテイン、まずいことで有名な青汁に大量に含まれています。私は眼科専門医として末永く八幡浜地域の皆様のお役に立てるよう、毎日2本ずつ宅配してもらってクリニックで飲んでいます。本当はクリニックのスタッフの皆にも目の健康維持のために強く勧めているのですが、「臭いから絶対イヤ。」と言って誰も飲んでくれないので、仕方なく毎日1人で飲んでいます。(笑) 次にEPAですが、ブリやマグロ、カツオ、サバなどの青魚や、ウナギ、アナゴに多く含まれる栄養素です。このEPAは血液をサラサラにして血行を良くして、血栓症や動脈硬化を防ぐ効果があります。また、炎症が起こりにくい体質になる効果があり、これがAMDの進行予防に大きな効果があると考えられています。 以上をまとめると、 ルテイン摂取で新生血管(CNV)を抑制し、EPA摂取で目の中に炎症を起こさない体を作ることで、怖い病気AMDの進行をより強力に抑えるサプリメントが出来るだろうと期待されていたわけです。 そして今回のセミナーではこの期待の「AREDS2」の結果がついに発表されました。その驚くべき内容は、、、、(続く)
2013.11.15
さて今日は「眼科臨床実践講座2013」の緑内障のセッションの中で特に印象に残った話を自分用のメモとして残しておきます。眼科専門医向けのやや特殊な内容となることを御了承下さい。 緑内障では除外診断が重要。早期の緑内障は「全てのデータを把握してから」治療するので、全く問題は無い。(緑内障と言うのは超慢性疾患なゆっくりとしか病気は進行しないので。) そして緑内障の除外診断としては、眼球打撲(強く目をぶつけたことによって視神経が痛むことがある。具体的に言うとボクサー、柔道選手などに良くある。)、脳疾患、副鼻腔疾患、LASIK後などが重要。 OCTで異常所見が出てもそれを緑内障として「治療するかどうかは別」。OCTは所詮は機械に過ぎず、目の視神経は個体差が大きいのでOCT判定が絶対と言うわけでない。直接自分の目で視神経を観察して総合的に判断することが大切。 年齢と余命のことも考える。例えば80歳で初期の緑内障患者様であれば、その平均余命を考慮すればアグレッシブな治療はいらない。(緑内障が初期から末期まで進行するのには一般的に言って何十年もかかる。つまりマイルドで優しい治療だけで死ぬまで目を元気に使えて、天寿を全うできる可能性が高いと言うこと。) 非常に良い話の多いセッションでした。
2013.11.07
さて次の日に一番勉強になったのは緑内障のセッションでした。 緑内障には大きく分けて2つのタイプがあります。目の中の水の出口(隅角:ぐうかく)が広い開放隅角緑内障(POAG)と、その出口が狭い閉塞隅角緑内障(PACG)です。そしてこの閉塞隅角緑内障は水の出口の状態が不安定なので眼圧が変動しやすく、その結果失明率が高いので要注意の病態なのです。 そしてこの隅角が閉塞しているかどうかの判定に最近ではOCTという全国の眼科クリニックで急激に普及してきている機器を使うことが多くなっているのですが、 このOCTで隅角が閉塞している時には閉塞は確実なのだが、開放しているが狭い時には要注意 という話が非常に印象に残ると同時に勉強になりました。 具体的には、 ↑ この症例はOCTではギリギリ隅角は開放しているように見えるのですが、 ↑ UBMという隅角を見る専用の機械で調べると実は閉塞していることが分かります。 明日からの毎日の臨床に直ぐに、そして深く役立つ、「ハッとする」凄く良い話でした。こういうことがあるからやはり様々な学会にドンドン顔を出すことは大切なんですね。
2013.11.01
さて次は同じく「ぶどう膜炎」のセッションから、印象に残った話をまとめておきます。 ぶどう膜炎の治療では基本的にどうしても「ステロイド点眼薬」を使わざるを得ないのですが、その際に抗菌点眼剤を一緒に処方されることが臨床の現場ではままあります。 今回講演されたのは日本のぶどう膜炎治療の第一人者の先生だったのですが、 そのありがちなぶどう膜炎に対しての抗菌点眼薬治療について、明白に「無効・無用である」と断言されていたのが印象的でした。 「ステロイド点眼薬により免疫が抑制されて感染を起こしやすくなるので、予防的に抗菌剤を点眼する。」という意見に対しては、「まず感染症は起こさない。私は毎週100人以上のぶどう膜炎患者様を診ているが、抗菌剤点眼が必要な方など一人もいない。」と断言されていました。 また、「ぶどう膜炎の中の細菌性眼内炎という眼の奥にまで最近による感染が起こっているタイプかもしれないので、抗菌点眼薬を使う。」という意見に対しては、「そもそも抗菌点眼薬はそこまで届かない。効かない。」と一刀両断にされていました。 点眼薬に限らずお薬と言うのは、 「少なければ少ないほど良い。」 訳ですし、 「出来の悪い医者ほど薬が多い。」 のは明白な事実ですから、私もこの言葉を肝に銘じて、無駄で余分な抗菌剤点眼を処方しないことをこれからも常に意識していこうと思いました。 次に印象に残ったのは、 「ぶどう膜炎治療では、ほどほどが大切。」 というお話でした。これはぶどう膜炎の専門家の先生方からは良く聞く意見なのですが、病気を徹底的に強いステロイドで叩くよりも、ある程度の炎症の持続は大目に見てそれよりも「最小限のステロイド点眼薬治療に留める」ことの方が、トータルで見て患者様のメリットが大きいということなんですね。私も毎日の診療でいつも心掛けています。
2013.10.20
さて続いては、「ぶどう膜炎」のセッションで印象に残った話題です。 ぶどう膜炎という言葉に聞き覚えが無い方も多いでしょうから最初に説明しておきます。これは、「目の中に炎症を起こす病気」の総称で、皆様にはあまり馴染みがない名前でしょうが、実はその患者様の総数は膨大です。 そしてこのぶどう膜炎の診断と治療は良く「推理小説と同じ」と例えられます。なぜかというと、ひとくくりにぶどう膜炎といっても実はその中には、 200近い別の病気があり、その中でメジャーなものだけでも50くらいはあるからです。つまり、ぶどう膜炎の原因は多岐にわたり、当然治療法もそれぞれに異なるわけです。しかも、これだけ医学が進んだ現在でも確定診断に至るぶどう膜炎はせいぜい全体の50%に過ぎず、未だにこのぶどう膜炎は 眼科界の巨大なミステリー であり続けているのです。 このように神秘的で深遠なぶどう膜炎の世界ですが、「良くあるぶどう膜炎」というのは決まってもいます。 そしてぶどう膜炎の診断には、 角膜後面沈着物(KP)というものの性状をじーっと良く見ることが役立ちます。 現在ぶどう膜炎の原因疾患1位のサルコイドーシスでは、 このように大きめで豚の脂のような、大小不同のKPが特徴ですし、 原因疾患5位のヘルペス性虹彩炎では、 同じ「豚脂様」でも、それが整然と配列しているのが特徴です。 講師の先生がこの2つの違いを、 ヘルペス性虹彩炎は少しスカスカしている。例えるならば「少ししょうゆの入った東京のとんこつラーメン」である。 一方のサルコイドーシスはギトギトに脂ぎっている。例えるならば「本場九州のとんこつラーメン」である。 と表現されていたのが、抜群に分かりやすく、かつ面白くて深く印象に残りました。
2013.10.14
さて次に勉強になったのは、白内障のセッションでの「レーシック術後の眼内レンズ選択の難しさ」のお話でした。 レーシックでは角膜(黒目)の真ん中を削るので、術後には中心がフラット(平ら)で周辺部がスティープ(傾斜が急)な特殊なOblate(オブラート)形になります。 白内障の手術では、濁った水晶体を取り除いて代わりに人工の眼内レンズを挿入します。この時、通常ではSRK/T式という数式を使って眼に入れるレンズをそれぞれの患者様に合わせて計算します。実際に当院でもほぼ100%このSRK/T式を使っています。 ところがレーシックを受けられている患者様にこのSRK/T式を使うとうまく行かず、検査データが遠視の方に著明にずれてしまう(具体的には+3.0Dくらい)のです。 そのためレーシック術後の場合は、OKULIX(光線追跡法を用いた新しい眼内レンズ度数計算ソフトを使用する方法。)などの別の数式を使う必要があります。そうしないと「度数ズレ」を来たしやすいんですね。 それ以外でもレーシックには、角膜の知覚神経を切ってしまうために術後にドライアイが必発する、通常の眼圧計で測定すると眼圧が平均4くらい低く出るので緑内障を見逃されたり過小評価されたりする可能性がある、などの問題点があります。 なので、レーシック術後の患者様は眼科を受診する際には必ずそのことを問診時にお伝え下さいね。
2013.10.09
さて次は、この怖い怖い病気、アカントアメーバ角膜炎の治療の実際です。 治療には「ブロレン+PHMBあるいはクロルヘキシジン+抗真菌薬」を組み合わせて使います。特殊なお薬を、しかも複数使わなくては退治できないところに、このアカントアメーバ角膜炎治療の難しさが端的に現れていますね。 このうち、ブロレンはイギリスでは市販薬として売られていますが日本では普通には入手できません。ただ「熱帯病の治療薬」として厚生労働省のホームページで手に入れることが出来るとの事でした。私は全く知らず非常に勉強になりました。 次にクロルヘキシジンですが、これは国内で簡単に手に入ります。なぜなら、 実は「ただの消毒薬」 だからです。でもアカントアメーバ角膜炎になってしまうと、超しみる消毒薬を目に1時間ごとに点さなくてはならなくなると言うことです。コンタクトレンズを適正に使用さえしていればこんな恐ろしい目にあうことはまずない訳ですから、良い子の皆様は少なくとも「ネットで買ったカラコンを1週間入れっぱなしにする」などの無茶は絶対に避けてくださいね。 以上をまとめると、アカントアメーバの治療は上記のようになります。酸素透過度の低い粗悪なカラコンをネットやドン○ホーテで買って、それを手入れもせず滅茶苦茶な使い方をする方が若い女性を中心に爆発的に増えていますし、それに比例してこのアカントアメーバ角膜炎もこれから更に激増すると思います。その意味でもこのセッションは本当に勉強になりました。
2013.10.06
さて今日は「眼科臨床実践講座2013参戦記の」続きです。 いよいよ初日の勉強会が始まりました。 最初のセッションは角結膜感染症をオーバービューするものでしたが、この中で特に勉強になったのは「アメーバ・真菌感染」のお話でした。今日は自分用のメモ書きとして印象深かったところをピックアップしておきます。以下、眼科専門医向けのやや特殊な内容となることを御了承下さい。 最近「粗悪なカラコン」の大流行により激増しているコンタクトレンズ関連の角膜炎ですが、その原因として約3分の1がアカントアメーバによるものとのことでした。これはアメーバの一種であるアカントアメーバが角膜に感染して起こる病気で、角膜の感染症のなかでは極めて重篤なものです。以前は稀な病気と言われていましたが、女子中高生の「3種の神器」が「カラコン、つけま(付けまつ毛)、スマホ」と言われる現在、恐ろしいことに増えているんですね。 このアカントアメーバ角膜炎の恐ろしさは、まずは診断が非常に難しくて治療が後手に回りやすいこと、次に診断がついても通常の抗生物質の目薬が効かないのでなかなか退治することが出来ずその間に重症化しやすいことです。 今回の勉強会ではそんな恐ろしいアカントアメーバについて、最新の診断と治療法について学ぶことが出来ました。具体的に見て行きましょう。 まずアカントアメーバを疑うきっかけとしては、 治療しても良くならないコンタクトレンズ関連の角膜炎が怪しいということでした。ただ、普通の外来顕微鏡で見ただけでは診断は難しく、アメーバの検出には蛍光試薬と蛍光顕微鏡が必要になります。そしてこれらのアイテムは実は、 ネットで安くで買えることが紹介され、勉強になりました。そしてこれを実際に使うと、 一発で判定できるとの事でした。(続く)
2013.10.03
さて昼食後はいよいよ勉強会の会場へ出発です。 会場のJPタワーは東京駅直結の最高のロケーションです。ただ、最近出来たビルなので私は初めて来ました。 中に入ると、 凄く開放的な空間の中にたくさんのショップが軒を連ねています。 さて、ようやく会場に到着しました。 いよいよ楽しいお勉強の始まりです。
2013.09.27
さてハリーポッター展を見終わると、 「魔法使いのカフェ&パブ」のお誘いの看板があります。ちょうどお腹も空いていたのでふらふらと矢印の方向へ進むと、 導かれるようにお店に到着します。 楽しげなメニューが並び、お店も大変賑わっているのですが、肝心の私の 「食いしん坊スカウター」 が反応しません。本能が「ここは何かちょっと違うよ。」と囁くのです。具体的に言うと、食べている人たちの表情が全体的に今一歩冴えないのです。それで仕方なく私は六本木ヒルズを散策しなおします。 2階に来ると小粋なカフェを発見し、「ここだ!」と直感します。見つけたのは、「ANTICO CAFFE」というところでした。 ヘルシーで美味しそうなパンが並んでいます。この中から私は、 「スピナッチ」という、ほうれん草と4種類のキノコ、カリカリベーコンを自家製マヨネーズで合わせたパニーニと、ラズベリーやブルーベリーたっぷりのソーダ水を選びました。 この断面図を見ると、ほうれん草の豊富さが良く分かりますね。 ほうれん草には、目の黄班部という眼の奥の最も大切な場所を保護するのに役立つ「ルテイン」という成分が豊富ですし、またラズベリーやブルーベリーには「アントシアニン」という暗いところで物を見やすくする成分が入っているので、眼科専門医としては「目に良くて実に安心できる」お昼御飯になりました。(笑)
2013.09.23
さて学会最終日のランチョンセミナーは、「スムーズな関係づくりのためのコミュニケーション術」に参加しました。 ちなみにこのフォーサムは毎回そうですが、お弁当の内容が実に良いです。「力のあるエネルギッシュな学会」であることを端的に示していますね。今回のすき焼き弁当もとっても美味しかったです。 さてこのセッションでは、どのようにして患者様と「安心と信頼の関係を築くか」についての示唆に富んだ話を聞くことが出来ました。具体的には、患者様の話を「いかに聴くか」が大切であることが強調されていました。以下にそのポイント列挙しておきます。 まず最初に医療者に多い以下のような言葉遣いは厳禁であることが説明されました。「前回説明したはず」、「先ほど申し上げたとおり」、また「ご家族に、、、のような方はいないですよね?」、「、、、、、していないですよね?」、「いえ、そういうことではなくて」、「おっしゃることはわかりますが(「が」はいらない。この表現は患者様ではなく「自分」が先行してしまっている)」などの否定的な表現を極力避けるべきであることが強調されていました。その上で、 1.「はい」、「そうですね」など、あいづち・うなづきを交えて聴く。この時「はいはい」、「うん」などの言葉を使う医療者が多いが、これはダメ。 2.「事実のフィードバック」を使う。「オウム返し+相手の言葉を自分の言葉で返す」のがポイント。具体的には、「、、、ですね。」、「、、、ということですね。」、「○○さんの仰るとおり、、、、」など。 3.「感情のフィードバック」を使う。感情を受け止め、「共感」を表現する。具体的には「確かに、大変でしたね。」、「おつらいですね。」、「良かったですね。」、「分かります。」、「私も同じように感じます。」など。 この時、講師の先生から「医者はこの共感を表現するのが苦手な人が多い。その場合は{大変でしたね。}の一言だけでも良い。この言葉をトーンを変えて7色に使い分けるだけでも患者様からの信頼は全然違う。」という言葉があり、会場から「オーッ。」という感嘆のどよめきが漏れたのが印象的でした。 4.「要約フィードバック」を使う。「お話の途中ですが、私が今までの内容を理解しているかまとめさせてください。、、、、、ということですね。」 の4つがポイントで、まとめると「共感」する姿勢を前面に出し、患者様が「私のために頑張ってくれている」、「私の立場に立ってくれている」と感じられるように意識することが大切と言うことでした。 大変勉強になる、良いセミナーでした。
2013.08.28
さて今日も学会旅日記、「フォーサム大阪2013参戦記」の続きです。 7月14日(日)、この日最初に参加したのは「基礎から学べるHCL(ハードコンタクトレンズの略語)」というセッションでした。 HCLは酸素透過性が良いことから、20年程前にはコンタクトレンズ処方の主流だったのですが、長期間(20年以上)使っていると高率に眼瞼下垂(がんけんかすい:まぶたが下がってくること)を起こすことが知られるようになり、SCL(ソフトコンタクトレンズ)の材質改善で酸素透過性が良くなってHCLにほぼ追いついたこともあり、最近ではその処方数は急減しています。この「HCL性の眼瞼下垂」の原因は未だにはっきりとは確定していないのですが、HCLはSCLに較べてレンズに厚みがあり、それが上まぶたの中にあるミュラー筋という組織を慢性的に刺激することによって擦れて痛んでしまい、それでまぶたが下がってしまうというのが今現在一番有力な説です。 具体例を1つ見ておきましょう。下の患者様はまだ40歳代に入ったばかりの女性ですがHCL使用暦が25年、「最近まぶたが下がってしまい、おでこの筋肉を使って無理矢理眼を開けないと物が見えにくい。また眠くも無いのに友達から「眠いの?」と良く聞かれる。」という訴えで来院されました。 HCLの長年の使用のせいで完全にまぶたが下がってしまっており、こうなるとまぶたを吊り上げる手術をしないともう回復はしません。こういった患者様は本当にたくさんいらっしゃいます。 そのため私は現在患者様には「極力HCLを処方しない」ことを大原則としているのですが、それでも強度近視、不正乱視、円錐角膜(えんすいかくまく:黒目の真ん中が尖がっている)などのためにどうしてもHCLでしか視力を出せない患者様も一定の数でいらっしゃいます。ただ逆に言うと、現在HCLを処方せざるを得ない状況というのは同時に難しい目の状態であることが多くなっており、HCLの処方の難易度と言うのは実は以前よりも上がっているともいえます。 今回のセッションではそんなHCL処方についてしっかりと復習することが出来て大変勉強になりました。以下にそのエッセンスを自分用のメモ書きとしてまとめておきます。眼科専門医向けの内容となることを御了承下さい。 正常の角膜ではケラト値の平均値よりも2段階フラット、つまり0.05~0.1ミリ大きいベースカーブのテストレンズを選択すると良い。 強度近視の場合には頂点間距離補正や、レンズの上方偏位を予防するためにフロントカットという特別なHCLへの加工が必要である。 直乱視の場合は弱主経線値を参考にベースカーブを選択する。 ケラト値が測定できるような軽度の円錐角膜では十分に普通の球面レンズで対応できる。その場合ベースカーブは7.80ミリ前後を第一に選択する。そしてレンズ下方の浮きを気にしない。角膜上方の圧迫が無いかが最重要ポイント。またオルソケラトロジー効果で角膜形状が改善する効果もある。 瞼裂班がある患者様では、HCLへの溝加工でセンタリングを改善させたり、エッジリフトを上げて物理的な摩擦を減らすのが有用。
2013.08.24
今年は本当に毎日暑い日が続きますね。さて当院は本日8月12日(月)から8月15日(木)までお盆休みとなります。 8月16日(金)からは再び通常診療となります。スタッフ一同しっかりとお盆休みで精気を養い、お盆明けには再び元気全開で頑張りますのでよろしくお願い致します。
2013.08.12
さて学会場には到着したもののこの日のプログラムは既にほぼ終了し、会場には濃厚な「宴の後」感が漂っています。しばらくブラブラしていると、お弁当を食べながら勉強が出来る「イブニングセミナー」が残っていることに気付き、早速そちらへ向かいます。 美味しいお弁当を戴きながら、ようやく勉強の始まりです。 サークルレンズ、いわゆる「カラコン」ですがこれは、瞳を「大きく・美しく」魅力的に見せるためにレンズの周辺部に様々な装飾が施されているものです。最近は女子中高生の「3種の神器」の一つと言われるほどで、つけま(付けまつ毛)・スマホと一緒に若い女性に爆発的に広まっています。 ところがこのサークルレンズ、「カラコン」に関しては、眼科専門医の指導を受けずに自己流で使用し、結果として重い眼障害を発症してから駆け込んでくる患者様が急増しています。 今回のセミナーでは、このサークルレンズに関する諸問題が取り上げられていました。その中で印象的だったのは、眼科専門医とカラコンを装用されている患者様との間には物凄い「意識のギャップ」があり、そのことを我々は常に念頭に置かないといけないという話でした。 カラコンというのは私達眼科専門医の立場からすると、あまり酸素を通さないので目の負担が大きい、角膜(黒目)の上皮の障害が出やすい、見え方も悪い、目の健康が損なわれやすい、と欠点のオンパレードで、とても「第一選択として自信を持ってお勧めしたい」ようなレンズではありません。むしろ、出来ることなら処方したくない、「鬼っ子」のような存在です。 ところがカラコンを装用されている患者様と言うのは、流行の洋服やアクセサリーを購入するのと同じ感覚でカラコンを使われており、貪欲なまでに「美」を追求しています。そのため我々がカラコンに関してネガティブなことを言ったりすると、「あなた、その洋服、全然似合わないわよ。」と言われたような気分になり、不快感をあらわにされることが多いのです。こういう状態になると、我々眼科専門医と患者様の間には大きな溝が出来てしまい、二度と再診されないということになってしまいます。そのため、我々眼科専門医はその「意識のズレ」を認識して「なんでも否定する」ことがないように、誠心誠意を尽くして丁寧な診察をすることが大切であることが強調されていました。 また、元々カラコン患者様というのは、ほとんどがドンキホーテなどのディスカウントストアやインターネットでレンズを気軽に購入し、友達が装用するのを見よう見まねで使い、正しい取扱は知らず、目の具合が悪くなってから眼科を受診する、そして症状が改善したら2度と受診しない、というのがゴールデンパターンです。そのため、カラコン患者様が目の前に現れた時にはレンズの取扱いや材質の問題点などについて説明させて頂ける「最初で最後の機会」であることを心に留め、治療に全力を尽くし、「まずとにかく治しましょうね。」と声を掛け、決して患者様を責めてはならないということが繰り返し述べられました。 ま、いずれにせよ、これからもカラコンによる目のトラブルは更に急増するだろうと思います。私は眼科専門医として角膜感染症の病態や治療に関して、更に勉強を加速しなければならないな、と思いながら会場を後にしました。 ちなみにこの「カラコン」問題については、以前にも深く掘り下げて日記で書いていますので、興味のある方は こちら も是非あわせて御覧下さい。
2013.08.05
さて大阪駅に到着後は、シャトルバスに乗って学会場を目指します。 ふー、ようやく学会場に到着です。到着したのは夕方18時でした。眼科専門医のポイント獲得が18時30分までで、どうしてもそれには間に合いたかったのでこれで一安心です。 ちなみにこのポイントは「5年間で100ポイント」が専門医更新の条件なのですが、私は「普通の眼科専門医の最低でも3倍は勉強する」ことを目指しており、平均的な眼科専門医が年間25ポイント獲得しているとの推定の元に、現在「年間75ポイント」を最低目標としています。また昨年2012年度は1年間で78ポイントの獲得だったので、今年はその数字を上回ることも同時に目標としています。 もちろん、ただポイントを取るだけで学会で実際に勉強しなければ何の意味もありません。私は参加した全てのプログラムで必ず会場最前列に座り、集中して学ぶようにしています。 さて会場に着くと、最初のお楽しみは学会特製のコングレスバッグです。今回は、 大阪発祥の「ミカヅキモモコ」さんのトートバッグでした。どれもカラフルでポップでカワイイので迷いましたが、 今回はこのハートだらけのバッグにしました。正直少しおっさんが入り始めた私が持って歩くのには覚悟が必要なレベルですが、眼科専門医として常に「攻めの姿勢」を貫くために、勇気を持って決断をしました。(続く)
2013.07.30
しばらく前のことですが、「子供のめやにと充血がひどい。」との訴えで、女の赤ちゃんを連れた若いお母さんが受診されました。 目を診せて頂くと、確かにひどく充血し目やにもびっしりと付いています。ところが目を良く観察していると、まつげがチリチリでほとんどありません。 「あれ? お母さん、まつげ、どうかされましたか?」 と質問すると、 「はい、まつげを短く切っておくと、毛根の生命力が刺激されて大きくなった頃にまつげがフサフサの美人になると聞いたので、全部私が切りました。」 とのことでした。 まつげは、目の中にゴミなどの異物が入らないようにするために生えており、とても大切なものです。この赤ちゃんはまつげを切られてしまったので、それで目が剥き出しになり炎症を起こしてしまったのです。 赤ちゃんの時にまつげを切ると将来フサフサになる、かどうかは検証した論文もなく真実は分かりませんが、目の健康のためには間違いなく良くないことですし、またどうしても将来まつげフサフサになりたければ、 ↑ このような「プロスタグランジン関連薬」という系統の緑内障用の目薬をまつげの付け根に塗れば、驚くほどあっという間にフサフサに出来ます。それはこれらの薬に「増毛」の作用があるからです。(ただし、美容薬として保険診療機関で処方することは出来ません。一般に美容外科や美容皮膚科での自費での購入となります。) まつげは大切な役割があるからこそ生えているのです。ですので、皆様も安易にまつげを抜いたり切ったりしないようにして下さいね。
2013.07.06
毎年この季節は新しいタウンページが届く時期ですね。 タウンページは知名度抜群ですが、その分広告料も目が飛び出るほど高いので、毎年費用対効果を考えて様々なバリエーションを試してきました。 開業初年度は知名度向上を目指して 頑張って2分の1ページ(モノクロ)の大きな広告を載せたのですが、患者様からの反応は「白黒で見にくい。」、「くすんでいて印象に残らない。」とイマイチでした。 その後は、フルカラー広告にする代わりに、 サイズを4分の1ページや6分の1ページに抑えたものを出稿してきました。 そして今年は開業5周年を記念して、 目立つ巻頭特集のページに、 どーんとフルカラー2分の1ページの広告を出稿しました。 それ以外に「病院・歯科マップ」というページにも、 ちっこい広告も載せています。 今年はタウンページ広告を超奮発して頑張ったので、来年はその反動で逆に物凄くちびっこくなるかもしれません。(笑) 皆様も実際の広告を目にすることがあったら、是非感想を聞かせてくださいね。
2013.07.01
さて普通の学会だと最終日、日曜日のプログラムと言うのはメインの演題は既に終了していて内容がスカスカなことが多いのですが、最近の日眼はプログラム改革に力を入れてくれていて日曜日の午前中にも勉強になるセッションがたくさん用意されていました。我々開業医を意識してくれているのでしょうが、本当に助かります。 日眼はメジャーな学会なので参加者が多く、また会場も巨大なのでまるで迷路のようです。 行きたい会場を探してウロウロしていると、あちこちに眼科専門書の出張本屋さんが出店しているのも楽しみの一つです。 さてこの日の午前中は緑内障のセッションに集中して参加しました。開業医になるとどうしても慢性疾患である緑内障の患者様の数が勤務医時代よりも多くなるので、緑内障に関してはとにかく常にしっかりと勉強し続けることが大切なんですね。 今日は私が勉強になった内容をメモ代わりに箇条書きにしてまとめておきます。眼科専門医向けのやや特殊な内容となっていますので御了承下さい。 大乳頭の過大評価、小乳頭の過小評価には本当に注意をする必要がある。大乳頭は通常よりも目の視神経乳頭が大きいもの、小乳頭は逆に小さいものだが、大乳頭は緑内障に見えやすく、小乳頭は異常が隠れていても分かりにくくて正常に見えやすい。 視野異常=緑内障、ではない。白内障、近視性網脈絡膜萎縮、BRVO(網膜静脈分枝閉塞症)のレーザー治療後、頭部外傷後の視神経萎縮、SSOHなど、多彩な疾患が緑内障に似た視野異常を来たすので、冷静に深く鑑別する必要がある。 緑内障の進行具合を判定するためには視野検査で基準となるベースラインの設定が必要だが、そのためには「2年で6回」の視野測定が必要である。(chauhan BC、Br J Ophthalmol 2008) 達成できていない施設が極めて多いので更なる努力が求められる。 OCTはGON構造障害の一端しか捉えていない。そして視野検査は視路全般の機能障害・可塑性を反映している。そのため、OCTと視野は相補的・補完的検査であることを肝に銘じる必要がある。 非常に勉強になるセッションでした。(続く)
2013.06.08
さて今日は久々に「第117回日本眼科学会参戦記」の続きです。 日曜日の朝は、ホテルでしっかりとバランスの良い和食を食べて、 歩いて学会場へ出発です。 山手線に沿ってとことこと10分ちょっと歩けば会場に着くのですが、ガード下にはたくさんの飲食店が立ち並んでおり、食いしん坊の私には目に楽しい光景が続きます。 あっという間に到着しました。 日眼はメジャーな学会なので、開催期間中は毎日「学会新聞」が発行されます。 これがまた勉強になるんですね。 さて学会場に入ると、まずは学会特製の「コングレスバッグ」という荷物入れを貰います。最近はこのバッグ、どの学会でもかなり洗練されたデザインになっており楽しみの一つなのです。今回は、 水色と赤色からの2択でした。 水色のバッグを貰って、ようやく私にとっての学会が始まります。とは言っても実はすでに最終日なんですけどね。(笑) それにしても今回のコングレスバッグはスタイリッシュでカッコよかったです。(続く)
2013.06.03
今の時期は学校健診の季節です。私も幼稚園から中学校までいくつかの学校の校医を務めており、時間を調整して外来の昼休みの時間にコツコツと出かけています。 健診には斜視がないかをチェックするためのペンライトや 目の角膜(黒目)、結膜(赤目)、更にその奥の水晶体に異常がないかをチェックするための、手持ちスリットという機械を持っていきます。 学校に着くと、体育館や保健室に小さな椅子と机が用意されており、ズラッと並んだ生徒さん達の目を順番に見ていきます。一番気を付けているのは斜視がないかですが、それ以外にも強いアレルギー性結膜炎やさかまつげ、めいぼなどがないかもチェックしていきます。 その際全ての子に「何か目で気になることはないですか?」と質問をします。最近は日本全体が極めて清潔になったことが影響しているのでしょうか? 以前に較べてアレルギー性結膜炎の患児が激増しています。 そのため自分から「目がかゆいです」と訴える子と言うのは割と多いのですが、特に幼稚園児や小学校低学年の場合だと、1人が目がかゆいというと、それを後ろの列で並んで聞き耳を立てていて、 そういえば私もかゆいです。 僕は○○君よりも超かゆいです。 などとみんなが次々にかゆみを訴え始めて収集が付かなくなったりすることもあります。健診には健診なりの独特な苦労があるんですね。(笑) それ以外でも、 あくびをしたら涙が出るのが気になります。 こないだ目に虫が入ってからずっと目が赤いので、もしかすると目の中で卵を産んだかもしれません。 など、目に関する難問珍問が続出することもあります。(汗) そんなこんなで、毎年この時期は楽しく眼科健診をさせて頂いています。
2013.05.26
「花粉症の時期も終わったはずなのになんだか急に目がかゆい!。 変だなあ。おかしいなあ。」と言いながら受診される患者様が、今年もゴールデンウィーク明けから増え始めました。そして最近になって更に激増しています。 おかしいことは一つもありません。実は今は「世界3大花粉症」の一つ、「カモガヤ花粉症」のピークの時期なのです。 その潜在患者様は膨大な数に上るのですが、2~3月の有名な「スギ花粉症」の時とは違って何故かテレビや新聞などのマスコミでもほとんど取り上げられないため、目が猛烈にかゆくても花粉症とは夢にも思わずにじっと我慢している方が多いのが実情です。 このカモガヤというのは別名「オーチャードグラス」と呼ばれ、明治の初期に牧草として日本(北海道)に輸入されました。そして日本の気候に合っていたため、いつの間にか全国に野生化して広がったイネ科の植物です。 今の時期に「目がかゆい、鼻がムズムズする」という症状が出る方は、繁茂度と花粉飛散量がダントツのこの「カモガヤ花粉症」の可能性が高いです。オオアワガエリ、ハルガヤなどのアレルギーの場合もありますが、いずれもカモガヤと同じイネ科の植物です。 抗アレルギーの目薬 点鼻薬 内服薬などを適切に組み合わせることで症状は速やかに軽快することがほとんどですので、思い当たる方は是非気軽にお近くの眼科専門医を受診して下さいね。
2013.05.17
当院 にしわき眼科クリニック は本日5月7日で開院5周年を迎えることができました。 開院以来、多くの患者様に御来院戴けたことに心から感謝しています。またこの5年間学会出張以外では1日も休診せずに、スタッフと力を合わせ仲良く楽しく診療を続けることが出来たことも本当に嬉しく思っています。 さて今日は5周年ですので、改めて今までのクリニックの歴史を写真と共に少し振り返ってみたいと思います。 ↑ これは開院前の2007年11月の写真です。元々この場所には八水蒲鉾(はっすいかまぼこ)というかまぼこ屋さんの工場がありました。その工場は出世して郊外に移転したのですが、その工場跡地は移転後長い間そのままの状態で、この先どうなるのか、何が出来るのかは我々八幡浜市民には全くの謎で良く飲み会の話題にも出ていました。 というのは、この場所は八幡浜市の中でもおそらくナンバーワンの一等地なんですね。私も「ここは本当にいい場所だし、大きな電気屋さんとかくるくる寿司屋さんとか、街が盛り上がる施設が出来たらいいなあ。何が出来るのか楽しみだなあ。」と思っていました。なので、ある日自分にこの地でのクリニック開業のお話を戴いた時には本当にびっくりしました。そして同時に「こんな良い場所なら自分の持っている力を極限まで存分に発揮できる。」という喜びで武者震いしました。 ↑ その後、縁あって実際にこの地で開業することになり、地鎮祭をしています。 ↑ これは2008年5月の開院時の写真です。ちなみに開院日は水曜日で午前中のみの診療だったのですが、午前7時40分に最初の患者様を診始めて、午前中の診療が終わったのは午後2時30分でした。私も新規導入した電子カルテの操作にてこずっていましたし、スタッフも実際の患者様にお会いするのが初めてで検査がうまく回りませんでした。例えば一番のルーティーン検査である目の血圧を測る「眼圧検査」でも、患者様にあご台に顔を載せて頂き位置を調整し、片手でまぶたを軽く持ち上げて、もう一方の手でジョイスティックを操作して眼圧を計測する、という一連の行動が必要なのですが、スタッフの中には「どうしても両手を同時に動かせない。片手ずつしか言うことを聞かない。それに緊張で体全体が石みたいに固くなってもうどうにもならない。(泣)」という者もおり、みんながドタバタして大騒ぎの1日でした。 ↑ 壁面緑化を目指してクリニックの側面に植えたツタもまだひよひよです。最初はこんなに赤茶けていたんですね。 ↑ これは2009年5月、開院1周年時の写真です。ツタがまだ全然伸びていないですね。 ↑ そしてこれが開院3周年となった2011年5月の写真です。かなり壁面緑化が進んできていますね。 ↑ そしてこれが開院5周年となる、2013年5月7日現在の写真です。壁面緑化がついに完成しました。! ↑ 側面から見ると、綺麗で優しい「緑のトンネル」が出来ていますね。 これからも日々成長していくツタのように、眼科専門医としての毎日の努力・勉強を欠かさず、八幡浜地域の皆様に常に安全で快適な最新の眼科医療を提供し続けていけるよう、スタッフ一同精進して行きたいと気持ちを新たにしています。
2013.05.07
さて今日も「第117回日本眼科学会総会」参戦記の続きです。 展示場巡りも終わりが近づいてきました。MEテクニカのブースに別れを告げてブラブラと歩いていると、 コーワという点眼・器械メーカーのブースに辿り着きました。キューピーコーワゴールドで有名な会社ですね。 このコーワは緑内障の進行判定に用いる自動視野計という検査機械を作っています。実は私は開院時にこのコーワのAP-6000という当時の最新のマシンを買っていたのですが、しばらく前にAP-7000という新型マシンにモデルチェンジしたので、是非実際に触ってみたいと思っていました。 見た目は少しカラフルになっていますが、私の持っているAP-6000に非常に良く似ています。 そばに担当者の方がいたので、「あの、このAP-7000って、どこが6000から進化したんですか?」と聞いてみると、 「ここだけの話ですが、ぶっちゃけ、あんまり変わっていません。別に急いで買い換える必要はないですよ。」 とのことでした。なんと正直なお答え。コーワは実直なメーカーですね。次のAP-8000が出るまでのんびりと待ちます。(笑) こういう「生きた情報」が手に入るのが学会の魅力なんですね。(続く)
2013.04.27
さて医療機器展示場に到着しました。 さすが、日眼はメジャーな学会なのでたくさんの機械メーカー、製薬会社がブースを出しています。私もようやく楽しい気分になってきました。 ポスター展示を眺めた後は、これから買いたい検査機械を見て回ります。これが実に愉しいんですね。 私が今一番欲しいのは、この新型の「角膜内皮測定装置」です。角膜内皮(かくまくないひ)というのは、角膜(黒目)の一番深いところに敷石状に並んでいる、透明性を維持している大切な細胞です。コンタクトレンズの不適切な使用や加齢等で減少することがあり、白内障手術前などにはその測定は欠かせません。 私のクリニックにも当然その機械はあるのですが、5年前の開院時に程度の良い中古を買ったもので細胞数の測定を手動で行わなくてはならず時間がかかります。その点最新型の機械は、 フルオートで短時間で測定でき、かつ細胞数も瞬時に機械側で計算してくれて正確で快適です。 「うーん、これ欲しい。でも広角眼底カメラのオプトス(定価1000万円以上!)もどうしても欲しいし、本当にお金がいくらあっても足りないなあ。」と悩みながら、展示場散歩は続きます。(続く)
2013.04.18
今日も「第117回日本眼科学会総会」参戦記の続きです。 さて東京へ着きました。この日は「春の嵐」で風が強くて飛行機の出発が遅延し、事前の想定よりもかなり遅れての到着となりました。 切符を買ってダッシュで浜松町行きのモノレールに乗り込みます。急いでいるのには訳がありました。 以前にも書いたとおり、眼科専門医制度の改定でこの日眼参加は「専門医の資格更新」に必須となったわけですが、具体的には「5年に1回、1日でも単位を取ればよい」というものです。そのため私はこの日の単位受付時間である夕方の16時30分までにどうしても辿りつきたかったのです。 ふー、何とか1分前で間に合いました。空港からずっと走ってきたので全身汗びっしょりですが、これで一安心です。 さてノルマの単位は取ったわけですが、肝心の学会のプログラムはもう全て終了してしまっていました。この日は外は「春の暴風雨」ということもあり会場は既に人も少なく閑散としています。「あーあ、困ったな。どうしようかな。」 キョロキョロしていると、 学術展示(ポスターの展示)・医療機器展示会場のボードが目に留まりました。ここは18時まで開いているとの事で、息を整えそちらに向かいます。(続く)
2013.04.15
さて今日も「第117回日本眼科学会参戦記」の続きです。 ラウンジの中には新聞や週刊誌がたくさん置いてありました。 そこで週刊誌を手に取ってパラパラと見ていると、 日本サッカー界の至宝、本田圭佑選手がレーシック手術に失敗してしまい、それでワールドカップ予選に欠場することになったのではないか?という気になる記事が出ていました。 この記事だけでははっきりとしたことは分かりませんが、裸眼視力をしっかり出すためにやや過矯正気味に角膜を削りすぎてしまい、それで様々な心身の不調が出ている可能性があるという内容でした。心配ですね。 レーシックは基本的には非常に安全で確実な手術ですが、しばらく前には銀座眼科での集団感染症の発症もありましたし、「レーシック難民」という言葉があるように術後にドライアイ・微細な両眼視機能異常を始めとする様々な多彩な症状に悩まれている患者様が一部にいることも事実です。 ただこの手の週刊誌での「医療バッシング記事」はやや割り引いて読まなければならない場合もあります。というのは、バッシングされるのは美容外科、歯科のインプラント手術、眼科のレーシック手術などの保険の効かない「自由診療」のことが多いのですが、これらの業種は広告宣伝費を多く使うことで知られています。 そして広告代理店はマスコミに医療バッシングの記事が出ると、バッシング先に出かけていって「あなた方のアピール力が足りないからこういう記事が出るんです。もっと広告をする必要があります。」という営業をかけるということがあるんですね。それは巡り巡って広告料の還元と言う形でマスコミを潤すことがあり、マスコミ側にはそういった動機・インセンティブが少なくとも無意識下のレベルで働いている可能性があるということです。全てマスコミの記事と言うのは多面的に深く捉える必要があるんですね。 すいません、少し話が脱線してしまいました。最初の話の続きですが、皆様もレーシック手術を検討されるときには、手術の長所ばかりでなく短所もしっかりと説明してくれる、術前に十分な問診と両眼視機能検査を含む詳細で慎重な検査をしてくれる、また術後のフォローアップ体制がしっかりとしているクリニックを選ぶようにしてくださいね。(続く)
2013.04.11
さて来たる4月6日(土)のことなのですが、私の学会出張に伴い外来の受付終了時間を午前11時00分とさせて頂きます(通常は12時まで)。 出席するのは、日本眼科学会(略して日眼)です。眼科の世界では最も歴史のある学会ですね。 ところでこの日眼は我々眼科専門医全員が所属している「日本眼科学会」の総会でもあり、ある意味では出席して当然なのですが、実は学会の内容が基礎系(動物実験の結果を発表したりの研究系のもの)に偏っていることもあり、万年不人気の学会でした。 そして参加者が少ないことに業を煮やした日本眼科学会は強制力を発揮し、「眼科専門医の更新には最低5年に1回の日眼参加を義務とする」という制度変更をしたのです。 そのため、この日眼参加は我々眼科専門医にとっては今や必要不可欠なものとなりました。一部では、 「眼科専門医の参勤交代制度」 とも呼ばれています。(笑) まあ、私も考えてみると滅多にこの日眼には参加してきませんでしたし、今年は久々にどんな内容なのかをしっかりと見てこようと思っています。
2013.04.01
毎日の外来をしていて患者様から良く頂く質問というのがあります。最近多い質問に「皇潤(こうじゅん)って眼にもいいんですか?」というものがありますが、ヒアルロン酸は点眼液として直接目に点したほうが濃度的にも圧倒的に有利ですし、直接の有益な作用はあまり期待できないと思います。 ちなみにこの「皇潤」は宣伝が上手なので高齢者の方を中心に大人気なのですが、以前知り合いの整形外科の先生が、「患者さんが処方する薬よりもテレビのCMを信じて皇潤ばっかり飲んで困っている。あんなのバケツ一杯飲まないと効かないんだけどなあ。」とぼやいていました。(笑) まあ、それだけ皇潤は健康に不安を抱える方を精神的に満足させてくれる素晴らしい商品ということで、我々医師もそれに負けないくらいの説得力と安心感のある医療を提供していかなくてはならないと肝に銘じています。(汗) さてここからが本題なのですが、今日は「患者様から良く頂く質問」ベスト3を、以前書いた日記を交えて紹介して見たいと思います。 1位 ブルーベリーって目にいいんですか? この質問は本当に多いです。バリエーションとして「どのブルーベリー製剤が一番眼にいいんですか?」というものもありますが、さて、その真実は?、、、、、 2位 加齢黄班変性とサプリメント 食生活の欧米化に伴って近年日本でも激増の一途を辿っている加齢黄班変性症。この怖い病気の予防には伝統的な日本の食生活が有用であることが強く示唆されています。その最新の研究データを是非御覧下さい。 3位 コーヒーが緑内障に悪いって本当なの? 仕事中毒で生真面目な方が多い日本では、常に覚醒し努力し続けることが社会的に求められています。そこに大きな効力を発揮するのが「快感を伴わない覚醒剤」とも称されるカフェインであり、最も気軽に摂取できるコーヒーは我々日本人の生活に深く入り込んでいます。このコーヒーには多くの長所短所があり古来様々な角度から研究分析が続けられています。 そしてこのコーヒーに関しては、「緑内障に非常に悪い」という説が根強くあり、患者様の中にも「緑内障と診断されて以来、大好きだったコーヒーを1滴も飲んでいません。愛していたスターバックスコーヒーを見るたびに、泣きながら目を背けています。」という方まで現実にいらっしゃいます。果たしてコーヒーは緑内障に対してどれほど悪いのか、その真実は、、、、、、、? 私はこれからも、様々な分かりやすい切り口から目に関する話題を取り上げて行きたいと考えています。それではこれからも にしわき眼科クリニック院長日記 をよろしくお願いいたします。
2013.03.26
さて今日は「名薬、ムコスタ点眼液の悲劇」シリーズ最終回です。 この素晴らしい薬効を誇るムコスタ点眼液ですが、実は私自身も毎日寝る前に使用しています。 圧倒的に眼の調子が良くなりますし、 点眼すると目がかすんで見えなくなるのでそのまま良く眠れる という意外な作用もあります。(笑) 「苦い、しみる、かすむ」と3拍子揃った強面のハードボイルドなムコスタ点眼液 ですが、ドライアイ患者様なら一度は挑戦してみるべき素晴らしいポテンシャルを秘めたクスリでもあります。 私は眼科専門医として、この「悲劇の名薬」ムコスタ点眼液をこれからも適切に患者様に処方していきたいと考えています。
2013.03.22
さて今日も「名薬、ムコスタ点眼液の悲劇」シリーズの続きです。 ムコスタ点眼液の作用を専門的に言うと、まずは結膜(白目)の杯細胞を増加させます。そしてこの杯細胞は「分泌型ムチン」というものを出すので、結果として分泌型ムチンが増加するということになります。これによって、涙の質と量が劇的に改善されるのです。更にドライアイには炎症が深く関与しているのですが、ムコスタには炎症を抑える作用もあります。 つまり、 杯細胞の増加&抗炎症作用の2つの力 があるので、ムコスタ点眼液はドライアイに抜群に効くのです。 今日はここでムコスタ点眼液がどれほど眼の表面の炎症を取り、ツルツル綺麗にしてくれるのかの実例を1つ見ていただきましょう。 色々な原因で角膜(黒目)に糸状の付着物が付着してしまい、強い異物感や痛み、充血などを引き起こす「糸状角膜炎」という病気があります。 これはなかなか難治性の病気で目薬で治す事が難しく、治療は、 ピンセットや綿棒で糸状の付着物を取るくらいしかありませんでした。当然すぐに再発もしますし、痛みなどの自覚症状が強いために多くの患者様が苦しんできました。 さて、上の写真の患者様はこれまでも強力に炎症を抑えるステロイドを筆頭に様々な目薬を処方した上で2週間おきに糸状物を取り除く治療をしていたのですが、ある時試しにムコスタ点眼液を処方したところ、 2週間後の再診時には、長年苦しんでいた糸状角膜炎(filamentosa)が嘘のように全て消えてしまっていました。! 患者様も「今まで目がしょぼしょぼし過ぎてほとんど新聞が読めなかったのに、ある日読めそうな気がしてそれから日毎に紙面が読みやすくなりました。感動しています。」と大喜びでした。 私も大変驚きましたが、その後他の同じ病気の患者様にもムコスタ点眼液を処方してみたところ、ほとんどの方が劇的に症状が改善しました。 これがムコ点のパワー なんですね。「効く人には劇的に効く。患者様自身が症状の改善をダイレクトにはっきりと実感できる」、ムコスタ点眼液は本当に素晴らしいクスリだと感じています。(続く)
2013.03.18
さて、今日も「名薬、ムコスタ点眼液の悲劇」の続きです。 このように製造販売元の大塚製薬の高い期待とは裏腹に厳しい船出となったムコスタ点眼液ですが、発売後の実際の臨床の現場では結局、 その実力の高さに驚嘆 することとなりました。 「今まで様々なドライアイの目薬を使ってきたけど、どれも症状が改善したのか良く分からなかった。でもムコスタは1日点して次の日に起きて目を開けたら視界がパッと明るくなって全てが美しく見えた。目の色々な不快感も全く無くなった。こんなクスリがあるなんて信じられない。」とか、「ムコスタを使うまでは一日中目の調子が悪くていつもイライラしていた。点し始めたら目のことが全く気にならなくなって気持ちまで明るくなった。」、「ムコスタを使い始めてからは常に目が温かく潤っている。今までのクスリとは全然レベルが違う。なんでもっと早く処方してくれなかったのか!」などの、旧来のドライアイ治療薬ではほとんど戴く事の無かった患者様からの絶賛が相次いだからです。 どうしてムコスタ点眼液はこれほどまでに患者様から激賞されるのか?、それは何よりも有効成分「レバミピド」が優れているからです。これは大塚製薬が自社開発したもので、内服薬としてはずいぶん以前から発売されています。そして、胃潰瘍や胃粘膜病変に抜群な効果を発揮するベストセラー薬として知られてきました。 内服で良い薬は、目薬になっても良い。 これはほぼ外れたことのない、 目薬の法則 であり、「良薬口に苦し」の典型のムコスタ点眼液もやはり期待通りの優れたクスリだった、ということなのです。(続く)
2013.03.14
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