桜工房(だったところ)

桜工房(だったところ)

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

明守 空

明守 空

カレンダー

コメント新着

片桐早希 @ Re:桜工房「創造と維持」(02/10) こんばんは。 ご無沙汰しています。トッ…
明守 空 @ 美奈さんへ やぁ~、すごい久しぶりですね。 お元気…
美奈@ お久しぶりです。 日記毎日読んでます。これからも読ませて…
明守 空 @ torres8さんへ 人物となると、漫画のようなイラストにな…
明守 空 @ torres8さんへ torres8さん自身、非常にボキャブラリーが…
2007年06月03日
XML
「探偵狂想曲」

 #14 頼もしき、仲間たち


 そして、オレたちは博物館の前にやってきた。
 朝見たと時よりは数が減ってはいたが。相変わらず自警団の連中の出入りが多い。

「さぁ、早く中に入りましょう、シャトルさん!」
 と、妙に気合の入っている様子で言うファラ。
「ファラ、ちょっと待て――」 
 オレは前に飛び出そうとするファラの肩を捕まえた。
「はい?」

 オレはレイの方をちらりと見た。
 横目で確認できた彼女の顔は、困ったような渋い顔をしていた。
「レイ、ホントにこの大所帯で現場に行っても良いのか?」
「・・・やむを得ないだろう。私も本意ではないのだがな」
 ため息混じりにレイはそう言った。

  *  

 最初、シルバームーン探偵事務所を出発したときの面子は、オレ、ファラ、ヒュー、マリノ、レイ、そしてウィルの6人だけのはずだったのだが。
 今、博物館前に立っているのは、最初の面子にさらにロヴィン、ソーニャ、ジオ、プリシラ、ダイアナ、アイリーンの6人を加わえた総勢12人の大所帯になっていた。
 そんなに大きな町ではないため、多分、親父が盗みを働いたという噂を各々耳にしたのだろう。どいつもこいつも野次馬根性を出して、誰が召集を掛けたわけでもなく、オレたちが着いた時には、既に博物館の門のところに賑やかに集まっていた。

「お、きたきた。おーい、こっちだ」 
 オレたちの姿をいち早く見つけ、手を振ったのはロヴィンだった。

 と頬を(可愛らしく?)膨らませるプリシラ。
「まーまーまー、プルったら。そんなこと言ったらダメだよ。本当のこと言われたら、鈍いシャトル君だって傷つくよ?」
 と、プリシラに輪にかけてひどいことを言いやがったのはアイリーンだった。
 それを聞いてロヴィンが苦笑する。
「アイリーン・・・、それ、まったくフォローになっていないぞ」

「でも、事実は事実だよ。シャトルは、ぐずで鈍いの、そのくせ直ぐ怒るしねぇ~」
「ほぉ・・・、それがわかっているってことは、怒られてぇのか、プリシラ? オレは、悪い子はきっちりしつける主義なんだがなぁ」 
「わわわ! シャトル!? 今の聞こえた?」
「あったり前だ!」
「お、お兄ちゃん。落ち着いてぇ」
 そう、パピーに跨ったままジオが宥めてきた。
「って、ジオ。お前まで来ていたのか」
「う、うん。おじさんが大変だって聞いたものだから、ボクにも何か手伝えないかなと思って・・・」
「そっか、サンキューなジオ」
「シャトルさん、ボクもお手伝いしに来たよん」
 と、ダイアナ。
「・・・ダイアナ、お前は病院の仕事は良いのか?」
「うん、事件のことを聞いたお父さんが、『新薬の開発は良いから、暇ならお前はロックフォードさんの事件を手伝って来い』って言うものだからさ」
「な、なるほど・・・」
 どうやら厄介な娘を体よくあしらったらしいな、あのドクターは・・・。
 そんな親心を知ってか知らずか、ダイアナは背負っていたリュックを下ろして、中のものをごそごそあさり始めた。
「んで、うちからいろいろ持ってきたんだけど。どの薬が役に立つかなぁ」
「いや! 薬は今のところ必要ないからしまったままにしろ!」
「およ?」
 落ちがついたところで、6人目のソーニャが口を開いた。
「シャトルさん、この度はとんだことで・・・」
 ――って、おい。
「・・・ソーニャ、お前その挨拶なんか変だぞ」
「そ、そうでしょうか?」
「なんか、お悔やみみたいだ」
「な、確かにそうですけど! そういう言い方ってないんじゃないですか・・・!」 
「事実は事実だろ。縁起でもない」
「ちょっと、言い間違えただけじゃないですか!」
「本が好きなら間違うなよ」
「誰にでも、うっかりはあります!」
「うっかりの範ちゅうを越えているだろうが」
 と、またソーニャとの言い争いが始まってしまう。

 そんなオレたちをレイが止めに入った。
「待った、待った、お前達の仲が良いのはわかったからそのくらいにしておけ」
「そうだ女の子を相手にムキになってみっともないぞ、シャトル」
 マリノがそう言うと、ヒューが頷く。
「うんうん、例え女の子に非があったとしても、もっと紳士的に優しく扱ってあげないとなぁ」
「君の口から『紳士』という言葉が出るとはね・・・」
「何だよ。ウィル、文句あるって言うのか?」
「いや、そこまでは言わないが」
「じゃ何か、お前は紳士なのか?」
「・・・そうだな、君よりは紳士的である自信はあるが」
「何を!」
 と、元々馬の合わない男同士の言い争いが別の場所で始まろうとすると、マリノがヒューを、レイがウィルを、お互いに軽くこずいてを止めさせた。
「落ち着け、色ボケ男」
「まだまだ子供だなぁ、ぼうやも」
「う・・・」
「・・・ぼうやは、よしてください」

「うふふ、いつものメンバーが、これだけ揃うと賑やかね」
 アイリーンがのんきに言うと、ロヴィンが頷く。
「まったくだ。これから事件の捜査に行くというのに」
「こんな様子じゃ、先が思いやられるわねぇ」 
 と、もっとも不安要素満載のプリシラが言った。
 ――おいおい、お前がそう言うか・・・。
「む・・・。やはり、お前達も来るというのか」
「うん、ダメかな? お姉ちゃん・・・?」
「う・・・」
 ジオが上目遣いにそう訴えると、さすがのレイも、たじたじと困惑の様子を見せる。
 ――さすが、天然レディ・キラー。
「ボクもお役に立ちます。実は前々から、事件捜査に科学の力が役に立つかどうか研究したかったのです」
「私もお手伝いさせてください!」
 ダイアナ、ソーニャの二人も名乗り出た。
「まぁ、みなさん。私たちのために、ありがとうございます。レイチェルさん、私からもお願いします」
 と、ファラの言葉がダメ押しだったらしく、レイは悩み疲れた様子で頭を垂れた。
「・・・ふぅ、わかった。こうなれば何人集まろうが同じだな」

  *

 こうして、異例な民間人だらけの捜査隊が組まれたのだった。

 ここだけの話、多少、心強いものを得た気がした・・・。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2007年06月03日 12時29分31秒
コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: