2006年09月23日
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川端 康成著   『雪国』  1947  (株)新潮社  p.70

「国境の長いトンネルと抜けると雪国であった。」
これはぼくにとっては
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。」
という方丈記と同じくらいメジャーな冒頭文ではないかと思う。
しかも、どちらも同じくらい大きな意味を持っている。

主人公の島村は普段は妻子とともに東京に住んでいる。
そんな島村のスイッチがこのトンネルだ。
そこで島村は非日常へと入っていく。


そんな彼女は日常を忘れようと、酒に溺れ、島村に溺れる。
物理的にも空間的にも日常から切り離されている島村は、そんな駒子の努力をひややかに眺め、徒労と切り捨てる。

でも、生きること自体、所詮徒労なのではなかろうか。
いや、徒労は価値観の産物でしかない。
時として、今触れている人の肌、その薄い皮膜のもたらす妖艶な誘いに身をゆだねるのも必要なのではなかろうか。
そうしなければ、地に足の着かない浮遊感に、いつまでもいつまでもぼくらの感覚は蝕まれてしまうだろう。
まるで島村が空から降ってくる天の川にその身をゆだねていくように。





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最終更新日  2012年03月19日 10時41分38秒
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Re:「島村には虚しい徒労とも思われる、遠い憧憬とも哀れまれる、駒子の生き方が、彼女自身への価値で、凛と撥の音に溢れ出るのであろう」(09/23)  
alex99  さん
そうですよね。
万物はうつろい、うたかたのもの。
私は高等宗教の創始者の中では、それを喝破した仏陀が最高であると思います。

一休和尚の御乱行にも意味があるのだと思います。
抽象的な思索だけでなく、現実の快楽を認めようというような。
あるいは、既成のステレオタイプな宗教規範を一度破壊してみようというような。

熱き柔肌に接すれば、一瞬(一瞬ですが)、形而下の世界に潜り込めますね。



(2006年09月24日 18時57分15秒)

>alex99さん  
FLUR  さん
alexさん、こんにちわ!

>万物はうつろい、うたかたのもの。

実は川端康成の本は浅草のことを書いた本に続いて2冊目で、ちゃんとした(?)小説は初めてなんです。
で、このうつろいとかうたたかとかの描写の仕方がとてもきれいだと思ったのでした(笑)

>私は高等宗教の創始者の中では、それを喝破した仏陀が最高であると思います。

そうなんですか。
ぼくの不勉強で、仏陀に関してはほとんど語れません。。
今度チャンスがあったらなにか読んでみたいですね。

>一休和尚の御乱行にも意味があるのだと思います。
>抽象的な思索だけでなく、現実の快楽を認めようというような。
>あるいは、既成のステレオタイプな宗教規範を一度破壊してみようというような。

一休和尚がご乱交!?
いやぁ、なかなかすばらしいですね♪
ぼくは知りませんでしたけど、すごく興味があります。
痴人の愛のナオコなんかもそんな感じがしますよね♪

>熱き柔肌に接すれば、一瞬(一瞬ですが)、形而下の世界に潜り込めますね。

そう、そう、そう、そーーーーなんですよ(笑)
川端康成はサルと比較して人間の皮膜の薄さを強調していましたが、その触感と大脳ってぜったいダイレクトに連携していますよね、特に男は(笑)
(2006年09月24日 19時42分37秒)

Re:>alex99さん(09/23)  
alex99  さん
FLURさん
>一休和尚がご乱交!?
-----
いいえ。
ご乱交ではなく、ご乱行です。
似ているようでちがう。(笑)
単数と複数(しかもクロス)の違いです。
帝の落とし子といわれる一休和尚は晩年、盲目の美女を性的に寵愛したようです。


>>熱き柔肌に接すれば、一瞬(一瞬ですが)、形而下の世界に潜り込めますね。

>そう、そう、そう、そーーーーなんですよ(笑)
>川端康成はサルと比較して人間の皮膜の薄さを強調していましたが、その触感と大脳ってぜったいダイレクトに連携していますよね、特に男は(笑)
-----
「性とは、粘膜と粘膜の摩擦である」というと、言い過ぎでしょうか?(笑)

とにかく、あるレベル以上の快感及び快感的状況(笑)は、小難しい理屈を吹き飛ばすものがありますね。


(2006年09月25日 01時24分06秒)

>alex99さん(2)  
FLUR  さん
alexさん、こんばんわ!

>いいえ。
>ご乱交ではなく、ご乱行です。
>似ているようでちがう。(笑)
>単数と複数(しかもクロス)の違いです。

いやぁ、お恥ずかしい。。。
恥ずかしすぎてひとりでゲラゲラ笑ってしまいました。。。(笑)

>帝の落とし子といわれる一休和尚は晩年、盲目の美女を性的に寵愛したようです。

うわ。。。。
なんというか、すごいです。
そもそも、盲目の方って自分のことを外側から見ることができないですよね?
まさに寵愛。。。ですね。。

>「性とは、粘膜と粘膜の摩擦である」というと、言い過ぎでしょうか?(笑)

>とにかく、あるレベル以上の快感及び快感的状況(笑)は、小難しい理屈を吹き飛ばすものがありますね。

粘膜とか、襞とか。。。すっげーーー怪しいですよね(笑)
グローネンバーグとか、えぐいですし(笑)
(2006年09月26日 00時56分14秒)

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