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「まずはお前の意見を聞かせてくれ」魯粛は子明に尋ねる。「それでは申し上げます。軍を二つに分け、 主力部隊が関羽を牽制している間に別働隊が南から攻め込みます」「それは同意見だ。あとはどう振り分けるか、だな。 関羽を抑えるにはやはり甘寧が必要になるか・・・」「そうですね。援軍を出させないようにしてもらえれば、 多少時間がかかってもうまくいくでしょう」「よし、関羽の足止めはこちらに任せてくれ。 あとのことはお前に任せる」「わかりました」子明たちが動き始める中で、関羽は内心穏やかではなかったが、それは別件であった。たった一人で戦のない日々を送っていることで、不満が募っていた。さらに、馬超なる者の噂が流れてくることも気に障る。(なにが錦馬超だ。武力でわしに敵う者がいるわけがない)そんな関羽の顔を見ていた者が「どうかなさいましたか、関羽様」「いや、馬超とはどんな奴かと思ってな」「では、聞いてみてはいかがです?」「そうだな、軍師殿に聞いてみるか」その内容の手紙は諸葛亮の元へ届く。「関羽殿から手紙とは・・・。なにかあったのでしょうか?」「もしそうなら、殿に報告しなければならない。 個人的なものだろう」諸葛亮は手紙を読むと、「だいぶ不満がたまっているようだ。 ちょっと考えなければならないな・・・」諸葛亮は言葉を選んで返事を綴る。「これでいいだろう。 あとは関羽殿が動けるよう、ここの治安を整えなければな。 そなたにも働いてくれよ」「はっ、ご期待に沿えるよう努力いたします」そして、諸葛亮の返事にありつけた関羽ははしゃいで見せびらかすほどであった。「あの軍師殿がわしに比べれば馬超などたいしたことはない、 と書いてある。わははは」ひと笑いした後さらに「時期が整えばここから攻め込むよう命が下るそうだ。 ついに来るぞ、わしの出番が」「おぉ、ついにこの時が来ますか。 私も父上とともに出陣したく存じます」「よく言った、さすが我が息子だ。 だが、わしについてくるだけではいかん。 わしを超えるぐらいの覚悟がなければならん」「はっ、父上。精進いたします」そこへ一報がもたらされる。「関羽様、大変です!」「どうした?落ち着かぬか」「そ、孫権が攻めてきました!」「なんだとっ、今すぐ出陣だ。それから兄者にも知らせろ」「ははっ」「魯粛殿、関羽がこちらに向かってきているようです」「よし、皆気を引き締めてかかってくれ。 関羽とて人の子、勝てぬ戦などない!」「魯粛殿、俺に任せてくれ。 足止めなんてけちくせぇこと言わねぇ。直接追い出してやる」「頼んだぞ、だが無理はするなよ」「わかってる。これで終わりじゃねぇからな」
2014/05/25
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「呂蒙殿、俺はどこを攻めればいい?」「お前はここから攻めてくれ、 わかってるとは思うが、これは時間との勝負だ。 敵援軍が来る前にケリをつけなければならない」「おっしゃ、任せろ」甘寧は出陣すると、いつも以上に敵を蹴散らしていく。「援軍だ、援軍を要請しろ」「このまま一気に叩き潰せっ」甘寧は当たりを一掃したあと子明と合流した。「相変わらず、見事な戦だな」「こんなもん、朝飯前にもならねぇ」子明たちがそんな話をしていた時からしばらく、曹操の援軍がやってきた。「くっ、間に合わなかったか」「張遼様、どういたしましょうか?」「我らだけではどうにもできぬ、・・・退却だ」そして、報告を終えた子明に孫権は、「よくやってくれたな」「うまくいって何よりです」「では呂蒙。そなたに太守の任を与える」「なんと、太守・・・ですか?」「そうだ、曹操もまだあきらめてはおるまい。 捕らえた人馬も与えよう」「ははっ、任務を全ういたします」あれから1年後、子明に別の任務が与えられる。「そなたも聞いているかもしれんが、 あそこの反乱がなかなか止められなくてな。頼めるか?」「はっ、お任せを」子明は反乱地域に赴き、「さて、どうするかな」他の武将たちが失敗していることで、反乱軍の士気は高い。だが、前線を守るため、割ける兵力は多くはない。「奇襲か伏兵か・・・」思案ののち子明は作戦を決めた。「作戦を伝える。これから隊を3つに分ける。 それぞれが時間帯をずらして奇襲をかける。 3、4日もすれば集中力が欠けるだろう。そこを叩く」子明の策は功を奏し、朝・昼・晩による奇襲は徐々に反乱軍のイライラと不安を膨らませた。それからついに反乱軍を制圧。「処罰はどうしますか?」「首謀者のみ処刑しろ。その他は釈放だ」「わかりました、そのようにいたします」再び子明は孫権の元へ。「おぉ、もう戻ったか。さすがだな」「いえいえ、そのようなことは」「一つ終わったところで悪いが・・・」そう言いかけた孫権に子明は、「劉備のこと、ですね」「よくわかってるな、荊州を返す気は全くないらしい。 そこで、だ。魯粛とともに荊州にあたってくれ」「ついに攻め込むのですね」「このまま劉備の思うようにはさせぬ。 孫呉の力を見せつけてこい。 首尾は魯粛とともに決めてくれ」「ははっ」「魯粛殿、お久しぶりです」「呂蒙、よく来た。元気そうだな」「もちろんです。周瑜様が得た土地、必ずや取り返しましょう」
2014/05/18
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曹操は笑っていた。「虎の子はやはり虎、ということか」「曹操様・・・」「何かしてくるやもしれぬな、警戒してくれ」曹操が警戒する中、孫権は「ここからなら夜襲をかけられる。甘寧!」「はっ」「少数精鋭を連れてかき回してこい」「おしっ、俺に任せろ」闇夜の中、甘寧は暴れまわり、曹操軍を混乱に陥れた。だが、曹操も黙ってはいない。拠点を攻め、武将を捕らえるなど反撃に出たが、その勢いを食い止めたのは子明の策であった。曹操が川を下ってくるのを防ぐため、土塁を築くことを献策していた。「あの土塁が曹操を見事に食い止めた。 この戦、守り切ってみせるぞ」孫権の言葉通り、約ひと月のあいだ膠着状態が続いた。ついに曹操は退却を決意。その際、孫権の布陣を眺め、「見事な布陣だ。息子を持つなら孫権のような者がよいな。 孫堅がうらやましいわ」「何を申されます。殿には素晴らしい子らがいるではありませんか」「ん~、どうであろうな。 少なくとも今、家督を譲ることなどできん。 親だから心配が過ぎるのかもしれんが・・・」そう言うと、少し黙った。「どうされました?」「いや・・・」(長男・曹丕は確かに万能だが、特徴に欠ける。 次男は武力、三男は詩。 特に三男の才能はわしを超えるものがある。 個人的には一番好きなのだが・・・)曹操は前線から下がっていった。本拠に戻った曹操は今後を思案する。「あの土地は肥沃なところだ。どうにか制する方法はないものか」「では、屯田兵に開拓させてはどうでしょう?」「だがそれは、前にもやったではないか」「前回失敗したのは、孫権の領地から略奪したことが原因です。 それから、不安を持っている現地住民を引き込みましょう」「ほほぅ、ではそのように手はずを整えてくれ」「ははっ」その情報を掴んだ子明は孫権に申し出る。「あそこは肥沃な土地です。 これを放置すれば数年後には手が付けられなくなります。 今のうちに叩いておくべきです」「わかった、諸将を集めて軍議を開く。 お前も策があれば存分に聞かせてくれ」すぐさま武将たちが集められ、「状況は以上だ。どう攻めとるか、皆の意見を聞きたい」子明は先駆けて意見する。「甘寧を先鋒に急襲して攻め落とすべきです」しかし、それに反対する者は、「それでは無駄に兵を失う恐れがある。 道具を集め、準備を整えてから攻めるのがよいかと」このまま退くわけにはいかない子明は、「それでは遅すぎます。 準備が不足しているのは相手も同じ。 準備が整ってからではそれこそ被害が大きくなるでしょう」「よし、呂蒙。この戦い、お前が指揮を執れ。 良き報せを待っているぞ」「必ず成し遂げてみせます」
2014/05/11
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「孔明を待つほどではありません。 わが策で何とかしてみせます」「龐統、大丈夫か?」「軍略に限れば孔明に勝てると思っています」「わかった、期待しているぞ」気持ちを新たに動き出した劉備軍であったが、敵の抵抗力は強かった。「それっ、一気に矢をかけろ!」「矢にひるむな、押し進めっ」「これ以上、前に出るのは危ないです」「皆が戦っているのだ、こういう時こそ前に出なければならん」(周瑜様、必ずや勝ち取ってみせます)それはまさに周瑜の姿と重なっていた。だが、その意気込みは結末まで追ってしまう。「龐統殿!矢が・・・」「私にかまわず、この勝機を逃すな」(周瑜殿、これで攻め落とすことができます。 最後まで見られないのが残念ですが・・・。 まさか、周瑜殿と同じ歳、同じような場面で傷を受けることになるとは。 これからはあの世でゆっくりと天下を眺めるとしますか)戦いは劉備軍の勝利で終わった。それから間もなく馬超を引き入れることに成功。馬超は引き入れてもらった恩を返すため、劉璋を勧告させ、成都攻略はこれで完結した。時を少し戻して、孫権は曹操の襲来を待ち構えていた。それは、風の強い日であった。普段から船での生活に慣れている孫呉の人々にとっても船を扱える天気ではなかった。「隊長、このままではいつ転覆するかわかりません。 一刻も早く降りてください」しかし、隊長は一歩も引かず、「ならぬ!この船は孫権様から預かったのだ。 さらには、これから戦いがあるのだ。 それを捨てて逃げ去るなど、できん」「隊長・・・」「ここは俺がやる、お前たちは逃げろ」「そんなことできるわけないじゃないですか。 そもそも一人じゃ無理です」そう言うと皆それぞれ立ち位置に戻る。「死んでも俺を恨まないでくれよ」「そりゃないでしょ、隊長」風は止むことなく、船の揺れは増すばかり。その後、船は横転し海へと投げ出される。「くそ、これしきであきらめると思うなよ」意志とは裏腹に荒波の中船は傾いていき、ついには転覆。隊長たちも飲み込まれてしまった。また別の隊は敵方の岸辺に乗り上げ、勇敢に戦うも戦況は思わしくなかった。この状況を曹操は見逃すわけもなく、夜襲を仕掛ける。だが、孫権は事前に備えていたこともありうまく退けた。それからというもの、曹操は出撃することをやめ、様子見を続けた。そして今度は孫権が動く。「あの曹操がだんまりか。ならば、ちょっと見て来よう」「孫権様、一体何を?」「心配するな、偵察に行って来るだけだ」「いけません、危険です」配下の者が引き止めれば止めるほど、孫権は頑なになり、「心配するな、兄上みたいに一騎打ちなどしようとは思わん」と、笑って部屋を出ていった。しばらくしたのち孫権は無事戻ってくると、「さぁ、盛大に鳴らせ。曹操に聴かせてやろうぞ」
2014/05/04
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