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アメリカという国の正体、本性を見せつけられた一冊。 そこに住む人たちの本音や実態が隅々から湧き上がってくる。 これまでアメリカに対して漠然と抱いていたイメージが大きく揺らぎ、 2016年の大統領選で、クリントンがトランプに敗れたのも頷けるようになる。 *** ファルウェルは続ける。 合衆国が陥っている罪が5つある。 中絶、同性愛、ポルノ、教育における神をも恐れない人間中心主義、壊れた家族。 これらを悔い改め、アメリカを変えるためにできることが3つある。 選挙登録、情報拡散、動員。 キリスト教徒が政治に参加しないことは、社会に参加しないことであり、 社会に参加しないキリスト教徒は中世の修道僧のようなものだ。 また、牧師には教会員がきちんと選挙登録するように促す義務がある。 そうして議会に議員を送り込むことで、 アメリカ人の自由と権利を守る法を通すことができる。 それがアメリカを「グレート」に保つ方法なのだ。(p.80)これは、「福音派の伝統に基づいたキリスト教主義の大学」を1971年に創立した伝道師ジェリー・ファルウェルが、モラル・マジョリティについて1980年に記したもの。この時の大統領選で「ともにアメリカを再び偉大な国にしよう!」と唱えたレーガンは、「古き良きアメリカ」を守りたい福音派へと秋波を送り、共和党との蜜月関係を築きあげ、進歩的リベラリズムの民主党・カーター候補に圧勝し、大統領となった。 ファルウェルに続いた福音派が目指したのは、 アメリカ社会全体をキリスト教的な「古き良き」価値観に立ち返らせることだった。 その影響は、家庭、ジェンダー観、宗教、教育、メディア、エンターテイメント・芸術、 ビジネス、政府など多岐にわたる。(中略) したがって、米国文化のキリスト教化を目指す福音派と、 リベラルで進歩主義的なカウンターカルチャー勢との対立は先鋭化し、 結果、米国社会の分断や分極化は深まるばかりだ。(p.283)キリスト教徒の国として「古き良きアメリカ」への回帰を目指し、終末論的な世界観の中で、対立する相手をサタンや悪魔の支配下にあるものとみなして、その言説を打ち負かすため戦い続け、そこに合意や妥協点を見出そうとしない。そういった態度の行きつく先には、どんな未来が待っているのだろう。
2026.06.28
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たくさんの方に読まれている本書。 文章もとても読みやすいもので、読み進めること自体に支障はありませんでした。 ただ、高校で世界史は習ったものの、 日本史と政経で大学を受験した私には、その内容がかなり手強かった…… もちろん、世界史の教科書では触れられていないような 細かく深い所まで本書には記されているので、なおさらです。「第1章 古代-王国とディアスポラ」の部分については、旧約聖書や新約聖書について書かれた書籍や、『ローマ人の物語』を以前読んだことがあるので、ある程度は付いていけました。が、「第2章 古代末期・中世-異教国家のなかの『法治民族』」になると、もう辛い。コーランについて書かれた書籍をちょっと読んだだけの付け焼刃知識の頭には、書かれていることがすんなりと入って来てくれない…… 「第3章 近世-スファラディームとアシュケナージーム」と「第4章 近代-改革・革命・暴力」も、朦朧としつつ匍匐前進ペースでページを捲り、「第5章 現代-新たな組み合わせを求めて」に入って、ようやく意識が戻って来た感じ。しかし、一冊を読み終えて一つも付箋を貼れなかったことから、理解の浅さが分かります。それでも、第5章は面白く、この部分だけでも読む価値はあると思います。
2026.06.27
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購入後、しばらく机の上に置いてあった本書。 「次は、これを読もうかな」と思っていた頃に出向いた職場研修。 当日の講師のお名前を見ると、何か見覚えがあるな。 レジュメを捲っていくと、そこに本書の広告が印刷されていました。 SCさんらしい、とても柔らかで温かみが感じられる語り口。 高校で指導後、現在も大学で指導を続けておられることから、 多くの聴衆を前にしても、残り時間を意識しながらの落ち着いた話しぶり。 聞く者の集中力を途切れさせることなく、講演を終えられました。帰宅して、早速本書を読み始めましたが、書き言葉になっても、一つ一つのフレーズに人柄が滲み出ていました。様々な現在の教育の課題に触れられていますが、どれもこれも的を得たもので、こういう方が、文科省の話し合いに加わってくださっていることがとても嬉しくなります。 *** さらに、教育現場において多くの手を必要としているのが、 特別支援を必要とする発達的な生きづらさを抱えた子どもたちである。 もちろん、発達障害が即、不登校につながるわけではない。 特別な支援を必要とする子どもたちの特性に合った対応がなされずに、 いじめられて不登校になったり、 周りの不適切な一言から学校が苦しくなったりというケースもある。 その場合、二次障害としての不登校が起こりうる。(p.59)不登校の児童生徒数も増えていますが、特別な支援を必要とする児童生徒数も増えています。そして、特別支援学級や特別支援学校における不登校児童生徒数も増えていますが、この問題については、その対応が後手後手に回っている感が拭い切れません。今後取り組んでいくべき、大きな課題の一つと言えるでしょう。 以上のように修正を繰り返すなかで、 いじめは加害者側の理屈や客観的な事実に基づくのではなく、 被害者側の主観(苦痛を感じているということ)を何よりも重視した定義に 変化してきたことがみてとれよう。(p.107)ポイントは「客観的な事実に基づくのではなく」の部分。「被害者側の主観を何よりも重視」としていることが、誰もが納得しやすい解決へと至ることを、より難しくしているとも言えます。「いじめ」も「ハラスメント」も、とても難しい。 教育の現場ではいま、国や自治体を中心に、 子どもたちの実情や時代の変化に応じた新しい取り組みが次々と行われている。 しかし、教育という生身の人間を対象とする営みの特性上、 その効果を数値で確かめることはとても難しい。 比較対象をつくることもできず、成果が表れるまでに時間がかかるからだ。 そのため、一つひとつの教育活動の成果を十分に検証しきれないまま、 次の取り組みへと移らざるをえない現状もある。(中略) こうした時代の流れに逆らうことは難しいが、 費用対効果は悪くても、そして時間はかかっても、 後からじっくり血肉になっていたことが実感できるような教育を 大事にしたいものだと切に思う。(p.192)これは教育現場に携わっている者なら、誰もが感じていることではないでしょうか。それに比べると、行政の方がそれらの諸問題に直接関わることの出来る期間というのは総じて圧倒的に短いため、短期間で結果を出さねばならないという現実があります。行政主導で教育が進められると、どうしてもこういった弊害が出てきがちです。
2026.06.27
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『キラキラ共和国』に続く『ツバキ文具店』シリーズ第3弾。 ミツローさんとの間に生まれた小梅と蓮太朗が小学校に入学し、 QPちゃんも中学3年生になった時点からお話は始まります。 鳩子が長らく休んでいた代書屋を再開すると、次々に依頼が舞い込みます。 *** 舞ちゃんからは、義母・ゆっこママに料理の中に髪の毛が入っていたことを伝える手紙。癌に侵された茜さんからは、結婚する娘・楓ちゃんへの手紙。マダムカルピスの旦那さんから紹介された神田川さんからは、退職届け。知的ヤクザからは、商品のペットフードと一緒に発送する手紙。若年性認知症の小森蔦子さんからは、認知症になった自分に宛てた手紙。ジャコメッティさんからは、母親から父親への自動車免許返納を迫る最後通告等々。鳩子の祖母である先代・雨宮かし子が、伊豆大島に住む美村龍三と交わした恋文の数々は、今巻のお話の中でも、最大の軸となっており、その手紙供養のため鳩子は大島に赴きます。そして、龍三の甥・美村冬馬と一緒に、二人の思い出の場所・サノ浜で全て燃やします。 その冬馬からは、同性愛者であることを両親にカミングアウトする手紙を頼まれることに。もう一つの軸は、思春期に入ってギクシャクしてしまったQPちゃんとの関係。鳩子は、QPちゃんに宛てて手紙を書いたり、伊豆大島への旅に誘ったりして関係改善に努めた結果、QPちゃんからの手紙を受け取ることが出来ました。さらに、気難しいお隣さんからの、騒々しいとのクレームの手紙に対しては、蓮太朗と小梅からの謝罪の手紙を代筆して届けますが、効果なし。しかし、南仏から一時帰国したバーバラ婦人の一言で、お隣さんを守景家の女子会に招くと、一緒に鎌倉宮で厄割り石をする関係になることが出来ました。 ***最後に、今巻の中で、私の最も心に残ったところをご紹介。 「この世界って、遊園地みたいなものかもしれないわね。 ジェットコースターで恐怖を味わったり、 メリーゴーラウンドでロマンスを知ったり、 みんな、人生を謳歌するために遊園地に来るんじゃない?(中略) 遊園地で、思いっきり楽しむのが人生の醍醐味。 怖いことや苦しいことも全部全部ひっくるめて、 経験そのものを、楽しむっていうこと。 でもね、絶対に誰もが必ず遊園地を出なくちゃいけないの。 それが、この世の唯一のルールなのかもしれないなぁ、って思うんだ。 遊園地でどれだけ楽しめるかが、人生の真価のような気がするわ。」(p.412)バーバラ婦人の一言。深いです。
2026.06.21
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『復讐の協奏曲』に続く御子柴礼司シリーズ第6弾。 ようやく文庫化されたので、早速読んでみました。 最近読んでいた、香月玄太郎や高円寺静が登場するお話と違って、 やはり全編が暗くて湿った重たい空気に覆われていました。 ***深夜、介護士・忍野忠泰は自らが勤務する高級有料老人ホーム<幸朗園>に侵入すると、当直の3人を縛り上げ、入所者9人を次々に刺殺した後、現行犯逮捕された。忍野は自らは正気で、この行為は虐殺ではなく天誅だと強弁、さらに狙ったのは9人ではなく、入所者39人全員を殺すつもりだったと言う。そして、令和最初で最悪の事件の弁護人が、元<死体配達人>御子柴礼司に決まる。御子柴は、元東京弁護士会会長・谷崎完吾、宏龍会渉外委員長・山崎岳海、そして自らの法律事務所事務員・日下部洋子の強い反対を受けながらも、国選弁護人となって、被害者家族の家を一軒一軒訪ね、その人となりを聞いて回るのだった。 ***今巻も残り30頁を切って、御子柴が帝都大学医学部付属病院を訪ねたところから空気が一変。第4回公判では忍野のメール通信記録が弁一号証として提出され、犯行に及んだ背景が明らかに。さらに、判決後の面会室での忍野とのやりとりから、この裁判で御子柴が目指していたものを、読者はようやく知ることになるという展開は、いつも通り圧巻で、流石は七里さんです。
2026.06.14
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4年ぶりの新刊となる今巻は、栞子と大輔が海外へ行き不在となる1週間、 ビブリア古書堂の手伝いをすることになった樋口恭一朗の視点でお話が進みます。 恭一朗は、栞子から古書関連の相談は独断で受けないよう言われてましたが…… 結局、扉子と共に馴染み客からの急ぎの依頼に次々に応えていくことに。 第1話 『シャーロック・ホームズの歸還』(岩波文庫)は、 坂口昌志・しのぶ夫妻からの相談。 昌志の父・平尾和志郎が太平洋戦争中に戦地に持って行った 『シャーロック・ホームズの歸還』の文庫本。 この一冊が捕虜収容所で和志郎の命を救うことになり、 昌志の人生にも関わっていると和志郎は述べていました。 扉子は、『日本書紀』の下巻の中に嵌め込まれたその本に記された「踊る人形」から 和志郎の言葉の意味を解き明かしていきます。第2話 森山大道『写真よさようなら』(写真評論社)は、文香の高校の同級生・日野千尋からの相談。千尋の元夫で故人となった江間の蔵書である写真集『写真よさようなら』と挟まっていた赤いスリップの不可解。オリジナル初版と復刻版、著者のサイン、そして同級生・石黒和也との貸し借りに加え、和也の妹・美月の存在等々、謎は深まるばかり。しかし、扉子は美月と言葉をやりとりする中で、『写真よさようなら』を巡る関係者の行動の裏側を、一つ一つ解き明かしていきます。第3話 中原中也『山羊の歌』(文圃堂書店)は、文香の高校の後輩で元カレ・玉岡昴からの相談。中也の恋人・長谷川泰子への献呈署名が入った『山羊の歌』初版本が玉岡の婚約者・永井亜紀子と共に姿を消してしまいます。玉岡が『山羊の歌』を購入した大庭堂店主・田中敏雄は、亜紀子から電話があったと言います。そして、扉子たちが田中から聞き出した中也の詩集の元持ち主・安田道弥の家を訪ねると、そこに亜紀子が現れ、『山羊の歌』を父・道弥に差し出す姿を目にしたのでした。その後、亜紀子から不可解とも思える行動の理由が語られていきます。店に戻ると、扉子と恭一朗は篠川智恵子に出くわすことに。後日、玉岡が手元に戻った『山羊の歌』を店に届けてくれますが、その函の内側には「✓」が書かれていました。栞子と大輔がこれまでに見つけた「✓」の書かれた商品の多くは、これまでビブリア古書堂に持ち込まれた相談事に絡んでいたものだったのです。 「これらを作った人物は、母と繋がりがあるのかもしれませんね」(p.262)これは、栞子が大輔に言った言葉。もちろん、そういうことで、智恵子自身もそれを探っているのでしょう。 帯や函が偽造できるなら、本そのものも偽造できるのではないか。(p.260)これが、今後の展開の軸になっていくと思われる部分。誰がどのような意図でこのようなことを企てたのでしょうか? ***さて、巻末「あとがき」には、『ビブリア古書堂の事件手帖』の2027年のTVアニメ化について告知されています。TVドラマ化、映画化に続く3つ目の動画化ということになりますが、私としては、『事件簿』での扉子の活躍の方を見たかったかな。
2026.06.14
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みをつくし料理帖の第7弾。 心星を目指す決意をした澪でしたが、周囲は既に武家奉公に向け動いていました。 そんな中、やっと小松原に会うことが叶い、自分の気持ちを伝えた澪。 すると「お前は誰にも何も言わずとも良い。全て俺に任せておけ」という言葉が。 ***冬の雲雀やがて小野寺家用人・多浜重光が現れ、澪と種市、芳に平伏し、武家奉公を白紙に戻すと伝える。後日、姿を現した早帆に、澪は真相を話そうとするが、全てを悟った芳がそれを引き留めた。そして、食欲が落ちて眠れなくなった澪は、つる家の名前が消えた料理番付を目にすることに。落胆する澪に、源斉は自身も医師見立と呼ばれる番付に一度も載ったことがないと語りかける。忘れ貝再び『三方よしの日』を手伝うようになった又次から、新しい料理を考えてはと提案された澪。試行錯誤の末に出来上がった「牡蠣の宝船」は、あちこちに真似する店が現れるほど評判を呼ぶ。小松原に憤慨しながら現れた美緒には事の真相を話し、「きっと道はあるはず」と励まされるが、天赦日の夜、輿入れの長い行列が小野寺家の屋敷の中へと吸い込まれていくのを見届けることに。一陽来復味覚と嗅覚を失った澪を助けるため、又次が2か月間つる家に寝泊まりして調理場に立つことに。『三方よしの日』でない日に酒を出せと強要する二人の若侍も、機転を効かせ追い返す。一方、澪は一柳店主・柳吾から瀬戸物商で助言を受け、厳しい発言の背景にあった思いに気付く。伊佐三の親方や源斉の言葉からは、鯛粗炊から九つ道具を捜し出す「鯛の福探し」を思いついた。夏天の虹清右衛門に又次が作った料理の名を教えられ、あさひ太夫の身請けについて発破をかけられた澪。その後、坂村堂が清右衛門に頼まれたと『料理物語』と『料理早指南』4巻を届けに来る。又次が去る前日、『三方よしの日』が一日早く実施され、又次は客たちに最後の挨拶をして回る。帰途に就いた又次と、忘れ物を届けようと又次を追った澪が吉原に近付くと、甲高い鐘の音が……京町の海老屋吉助方より出た火は、余すところなく遊里を焼き尽くし、全てを灰にした。あさひ太夫は燃え盛る炎の中から又次に助け出され、澪は彼女の焦げた髪の臭いを嗅ぎ取る。が、又次は太夫を澪に託して力尽き、崩れ落ちてきた廓の大屋根の火の海に吞み込まれてしまう。弔いの後、又次が残した「柚餅子」を口にした澪は、両の瞳を閉じその味わいに専心した。 ***最後は思いもよらぬ急展開、澪は今後どのようにして野江と繋がっていくのでしょうか?また、小野寺数馬や早帆との関係は、このまま消え失せてしまうのでしょうか?さて、「巻末付録 澪の料理帖」と共に、今巻から「特別付録 みをつくし瓦版」が登場。『あきない世傳金と銀』の「治兵衛のあきない講座」に当たるもので、りうが担当しています。
2026.06.07
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第23回『このミステリーがすごい!』大賞文庫グランプリ受賞作品である 「一次元の挿し木」を加筆修正した一冊。 2026年7月5日(日)から、読売テレビ制作・日本テレビ系「日曜ドラマ」枠で 放送される予定にもなっています。 ***24年前、分子生物学の世界的権威・仙波佳代子をリーダーとするループクンド湖発掘調査隊で、共に調査に当たった日江製薬の先輩、後輩である七瀬京一と石見崎明彦。現在、京一は日江製薬主幹研究員兼代表取締役を務めているが、9年前に新興宗教団体・樹木の会の熱心な信者・七瀬楓と再婚した。しかし、その1年後に彼女は脳の病気で他界、さらに、娘の紫陽(しはる)も4年前の豪雨災害時に失踪していた。楓の連れ子だった七瀬悠(はるか)が、今でも義妹を懸命に捜し続けているのに対し、自らは失踪宣告届を提出、紫陽の葬儀を執り行う。一方、20年程前に日江製薬を退職、大学の遺伝人類学教授となっていた明彦には、インドの研究者・アモールから24年前に発掘した『骨を送った』とのメールが届く。明彦が研究室で指導する大学院生・七瀬悠に古人骨のDNA型鑑定を依頼すると、その解析結果が紫陽のものと一致、明彦は何者かによって殺害されてしまう。研究室からは古人骨とDNAサンプルの全てが盗まれ、明彦の娘・真理も行方不明に。悠は明彦の姪・唯と一緒に紫陽と真理の行方を追うことになる。悠と唯は仙波佳代子について探り、東邦ジャーナルの記者・平間孝之とも知り合う。しかし、悠は牛尾という男に襲われ、その後研究室に平間の頭蓋骨が送られてくる。さらに、刑事から京一に娘はおらず、紫陽はこの世に存在しないと言われ、京一もそれを肯定。唯の自宅を訪ねると、インターホンで「娘は、6年前に交通事故で亡くなっている」との返答。しかし、悠が紫陽との二人だけの避難所だった山城美術館に行くと、亡き母親が最期に自分と紫陽に宛てた手紙を見つけ出す。それぞれの手紙には、いずれも『あなたを産めたことを、誇りに思います』と記されていた。悠は佳代子を明彦の墓に呼び出し、彼女からループクンドの人骨研究データを受取ると、紫陽が紫陽花を見て「私と一緒」と述べていたことを伝え、佳代子、京一、明彦が携わった研究が、死者の複製だったことを看破する。佳代子は、樹木の会教祖・真鍋宗次郎と関係が深かった京一の父親で日江製薬前会長だった七瀬弓彦の全面協力を得ながら、宗次郎のクローンである牛尾から依頼を受け、『魂の巡る土地』に残された人骨から女性後継者を作ったことを認める。悠は、日江製薬応用技術センターへ向かい、そこで出会った京一から、紫陽を守るため彼女の存在を隠す必要があったこと、それは、再び牛尾が動き出し、研究の証拠や関わった人物を完全に消し去ろうとしているからだと聞かされる。実験の影響で楓が亡くなり、紫陽も同じ運命をたどる可能性があったため、京一は独自に紫陽の治療を行い続けていたが、牛尾に殺されてしまう。悠は山城美術館で、それまで唯だと思っていたのが実は石見崎真理で、そこにあったベッドで屍のように横たわっているのが紫陽だと知る。真理は4年前の紫陽との出会いから現在に至るまでの日々を悠に語るが、そこに牛尾がやって来る。悠は囮になって牛尾を引き付け、真理と紫陽を逃がすと、危機一髪で牛尾を倒すが意識を失う。真理は倒れた悠を見つけると研究施設まで運び込むが、紫陽は自ら姿を消してしまった。日江製薬のスキャンダルは表に出ることなく4年が過ぎ、悠は真理と一緒に暮らしながら、山城美術館の復元に励んでいた。そしてあの夜、紫陽は京一から投与された薬で身体の支配を取り戻すと、樹木の会教祖の役目を引き受け、現在に至っていた。 ***ドラマでは、七瀬悠を山田涼介さんが、石見崎唯を白石聖さんが、仙波佳代子を鈴木保奈美さんが、七瀬京一を佐々木蔵之介さんが演じられるとのこと。他にも錚々たるメンバーが揃っており、注目を集めそうですね。原作からどのようなアレンジが施されるかも楽しみです。
2026.06.06
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