吟遊映人 【創作室 Y】

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2008.01.17
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カテゴリ: 写真

「策士、策に溺れる」
信玄は敵に裏をかかれたことを知り、その顔は蒼白に変わっていった。

【異様なもの音がはるかな前方から聞えて来た。それは風の草原を過ぎる音とも、遠い川瀬のひびきとも、聞けば、聞かれたが、信玄のものなれた耳には、たしかに人馬の押して来る音と聞えた。しかも、相当大軍の・・・。きびしく胸がしまった。】
(「天と地と」より海音寺潮五郎・著)

白馬にまたがった僧形の武人が、ただ一騎で本陣めがけて真一文字に疾駆して来た。
それは正しく、敵の総大将上杉政虎であった。
政虎は、ただ信玄のみをめがけて斬りつける。
あまりの急なことに信玄は床机にかけたまま、軍配うちわで受けるほかない。


この戦いは、甲陽軍鑑によって広く武士階級に知れ渡り、また後に、頼山陽の「鞭声粛々」でも有名になった名だたる戦いなのだ。
武田信玄、上杉謙信、両雄の仰いだであろう信濃の空と同じ光景を目の当たりにした時、川中島決戦場跡に馬のいななきと兵士たちの諸声があがるのを聞いたような気がした。
(旅先の一枚)





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最終更新日  2008.01.17 06:10:35 コメントを書く


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