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2008.06.28
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カテゴリ: 映画/TVドラマ

「分かりました戸辺さん。もしイヴの日にどこかのコインロッカーのキーが届いたら、私からのイヴの贈り物だと思ってください。」

原作の白川道氏の作品は、残念ながらまだ読んだことがない。
「イヴの贈り物」の作風に限って言えば、浅田次郎の短編小説を彷彿とさせる。
いわゆる「純愛」をテーマにしたものだろうか。
だがこの作品から感じられるのは、もっとセンチメンタルで同情的でしかもやみくもな感情だ。
この作中の誰かに感情移入する必要などない。
我々は全て、傍観者なのだ。
この日本のどこかで起こっている「かもしれない」ドラマなのだ。


安らぎの場であるはずの家庭も夫婦仲は冷め切っており、会話と言えば妻の愚痴を聞かされるのが関の山だった。
一人娘はすでに病気で亡くなっており、人生の生きがいは仕事に打ち込むことだけだった。
そんな中、行きつけのカフェで19歳の女性アルバイト店員、中沢恵子と出会う。
戸辺は彼女に亡くした愛娘の面影を追っていた。
ある時、恵子が暗い路地で柄の悪い男にからまれている現場を目撃し、声をかける。
戸辺のおかげで助けられた恵子は、安心感のある戸辺に全てを打ち明けるのだった。
父親の残した借金のせいで、いまだにお金を取り立てられていること。
母親が女手一つで自分を育ててくれたこと。
クリスマスイヴにはろくな思い出がないことなど。
そして二人は、いつしか客と店員という関係からもっと親密であたたかな関係に変化してゆくのだった。

佐藤監督がメガホンを取ると、なぜか人生の無情とか哀切が一層際立つ。

人をいたわる気持ち、愛おしむ気持ちは、人間の最も崇高な魂なのだ。
それが間違った方向の行為であっても、全力で傾ける純粋な愛は、孤独さえも凌駕してしまうと言いたげなラストであった。
エリート商社マンから一気に奈落の底に落ちぶれた主人公を、舘ひろしが好演。
胃がんを患って頬がこけている様はごく自然で、メイクではなかった。
舘ひろしの役者魂を見たような気がした。

男性視聴者を釘付けにしたに違いない。

2007年 WOWOWにて放送
【監督】佐藤純彌
【出演】舘ひろし、貫地谷しほり

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2008.06.28 06:37:34 コメントを書く


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