吟遊映人 【創作室 Y】

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2008.07.01
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推理小説とかミステリー小説などとジャンル分けされている作品の様相が、だいぶ変わって来た。
松本清張や森村誠一を熟読して、恐怖と戦慄の瞬間を味わっていた青春時代も、今や遠い過去の記憶に過ぎない。
事件の背景にある忌わしい過去だとか、犯人にまつわる哀切極まりないエピソードとか、犯行までのプロセスだとか、そういう一連のストーリーはどこかに置き去りにされてしまったのだろうか。
そうではない。
現代社会が求めているのは、陳腐なドラマなどではなかった。
もっとドライで、意味などなく、暇つぶしの猟奇殺人なのかもしれない。
人間の汚れた側面をクローズアップさせて、作品そのものに意味など持たせず、「こんなのもアリだ」と世間に提示してみせる。
正に、現実味を帯びた「サスペンス」なのだ。


21世紀へのカウントダウンイベントでごった返す横浜展示場広場で、身代金3000万円の受け渡しが行われようとしていた。
だが、翌日見つかったのは、誘拐された6歳の少年の遺体と警察を嘲笑した犯人からの年賀状(少年の身につけていた衣類のポケットに入っていた)だった。
その後、身代金誘拐事件の捜査責任者であった巻島は、足柄署へ異動させられ、6年の月日が経つ。
そんな折、川崎で連続児童殺害事件が起きる。
ある日、巻島は県警本部から呼び出され、川崎の事件の捜査責任者としての任命を受け、テレビ出演まで要請される。
巻島は、世間を騒がせ警察を挑発する「BAD MAN」と名乗る犯人に対し、メディアを通して劇場型捜査を展開するのであった。

日本映画のサスペンスモノからずい分と遠ざかっていたせいか、この作品はかえって斬新に感じた。
犯人をジリジリと追い詰めてゆく心理描写とか、なかなか逮捕できない刑事たちのジレンマとか、捜査線上に浮かぶ疑惑の影とか、そういうものは一切なかった。
もっと淡々としていて、ドライで、よこしまな人間の本能をちらつかせた、いわば社会派作品であった。
派手なアクションシーンや無意味なBGMも使用されておらず、全体を通してトーンの乱れることのない落ち着いたドラマに仕上げられていた。
書店で下手な新刊を手に取って世情を知るより、よっぽど現代の世相が反映された内容なのだ。


【監督】瀧本智行
【出演】豊川悦司

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2008.07.01 11:20:38
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