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2008.07.18
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カテゴリ: 映画/ホラー

「クラッチに足を(置くんだ)。合図したら足を離せ。(いいかい)スタジアムまで行くんだ。」
「・・・・(うなずく)。」
「伏せてろ。・・・向こうで会おう。」

やっぱり夏はこれだな。
背筋も凍るような不気味な作品、そう、ホラー映画である。
うだるような暑ささえ忘れさせてくれる、に違いないから。
だが実際は寒気を催すほどの不気味さというのには、なかなかお目にかかれない。
どちらかと言うとスプラッター的で、かろうじて目まいに襲われる感覚に近いものがある。

モンスターと化した人間に“弱点”が設定されていないからだ。
例えばドラキュラには十字架、ゾンビには頭を撃って脳を破壊、山姥には三枚のお札。

とにかくモンスターには致命傷を与える有効手段が必ずある。
だが、「28週間後」にはそれが存在しない。
なんの解決策も見つからずに空しく人命が失われていくのだから、その恐怖たるや想像を絶する。

感染したら最後、吐血と同時に凶暴性を引き起こし、正常な人間に襲いかかるという新種のウイルス“レイジウイルス”がロンドンに蔓延する。
11週間後になると、米軍主導のNATO軍がイギリスに上陸し、隔離措置を取る。
18週間後になると、ついにレイジウイルスは根絶されたと発表される。
24週間後になると、イギリス国民は都市の再構築を始める。
しかしある時、二人の姉弟が安全区域内から密かに脱出し、危険地帯にある自宅に戻ったところから悲劇は始まる。
なんと、死んでしまったと思っていた母親が生き残っていたのだ。


この作品のすごいところは、現実味のないモンスターなどを登場させることなく、ウイルス感染により人間が人間を襲い、さらには感染者を駆逐させるために軍が民間人を皆殺しにするという狂気の沙汰を表現した点だ。
この、“コード・レッド”(緊急事態発令)はまんざら在りえないことでもなさそうなのだ。
人は我が身を守るために、愛する人を見殺しにできるのか?
愛する人が豹変した時、あなたならどうする?
悲しんでいる暇などない、生き延びるために殺す。

そもそも人間は何のために生きているのだろうか?
我々の前に突き付けられた主題は、あまりにも重い。

2007年公開
【監督】フアン・カルロス・フレスナディージョ
【出演】ロバート・カーライル、イモージェン・プーツ

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2008.07.18 06:39:03 コメントを書く
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