吟遊映人 【創作室 Y】

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2009.04.07
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カテゴリ: 映画/ヒューマン


この作品は全体を通して、暗く陰鬱だ。
そもそも扱っているテーマが、児童虐待や、小児性愛、DV、あるいは若者の自殺などであるから救いようがなく重い。
現代社会にぽっかりと口を開ける闇の部分をクローズアップしているせいで、なるほど世間の注目度は高かったかもしれないし、メディアからの評価も高かったであろう。
その証拠に、海外で名誉ある映画賞も受賞している。
だが、吟遊映人はこの作品を、非常にネガティブで難しい問題提議であると思わずにはいられなかった。
メガホンを取ったのは俳優の奥田瑛ニであるが、おそらく、歪んだ現代社会をストレートに表現してみたかったのではなかろうか。
役者のセリフに頼らず、映像の美しさと場面ごとにこだわった“間”を生かすことで、孤独や絶望を効果的に映し出すセンスが見受けられた。

妻の葬儀を終えた安田は、自宅を出て、愛知県内のとある古びたアパートに引っ越す。


夜な夜な聞えて来るのは、男女の交わる声か、あるいは幼い娘の虐待を受ける悲痛な叫び。
見かねた安田は、少女(サチ)を連れ出し、旅に出る。

名優、緒形拳が本来の持ち味を捨てて挑んだ作品かもしれない。
おそらく、奥田瑛ニの演出によるものではなかろうか。
これまで純情路線の女優だった高岡早紀も、本作では育児放棄した愛情の欠片も感じさせない母親役を体当たりで演じている。
出演者たちの顔ぶれは錚々たるものだが、なにぶん、テーマが重いだけに楽しめる映画とは一線を画す。
エンディングタイトルに、井上陽水の「傘がない」をUAがカバーしたものが採用されているが、これはすばらしく、作品を効果的に盛り上げていた。
社会派ヒューマンドラマが好きな方には、おすすめの一作である。

2006年公開
【監督】奥田瑛ニ
【出演】緒形拳、高岡早紀、杉浦花菜


See you next time !(^^)





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最終更新日  2009.04.07 06:42:26 コメントを書く


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