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2013.05.19
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【裏窓】
20130519

「まったくこの世はのぞき魔だらけね。皆、家を出て気分転換に人の家をのぞく・・・。ちょっとした哲学でしょ?」
「リーダーズ・ダイジェスト1939年4月号だね」
「いいのよ、名言は引用するものなんだから」


ヒッチコック作品のほとんどをDVDでコレクションしているにもかかわらず、この『裏窓』は購入して間もない。
ヒッチコックの代表作の一つでもあるので、本来ならとっくに所持していてもおかしくはないはずなのに・・・。
幼いころ、日曜洋画劇場で何度か放送されたのを見ていたためか、DVDの購入が後回しになってしまったのかもしれない。
それはともかく、この作品もまたサスペンスとしては秀逸だ。
ヒッチコックは、同一の場所でずっとカメラを回し続ける手法を何度となく試みている。つまり場所を限定するので、例えば『裏窓』で言うなら、ほとんど主人公ジェフの住むアパートの室内限定の撮影というものだ。
似たような手法は、過去にも『ロープ』という作品でも行われている。ところがこれは(素人の私から生意気なことを言わせてもらうが)失敗作だったのでは・・・? というのも、『ロープ』ではまるで舞台劇を客席から記録映画のようにして撮影したキライがあって、サスペンス性が薄れ、むしろ退屈すら覚えたからだ。
だがヒッチコックはこの実験的な試みにより、少人数のキャスティングで、しかも狭い室内セットのもとで撮影することにより、やがて質の高い映画作りに成功するのだ。
それがこの『裏窓』である。

ストーリーはこうだ。

ジェフは、事故で足を骨折し、身動きの取れない生活を余儀なくされていた。
仕方がないので暇つぶしに商売道具の望遠鏡で、窓から見える向こうの棟のアパートの様子を覗き見ていた。
そんなある日、病気で寝たきりの妻とセールスマンらしい夫の二人の部屋に、目が留まる。
この二人はいつも口喧嘩が絶えなかったのだが、いつのまにか病気の妻の姿が見えなくなってしまった。
ジェフは長年のカンが働き、夫の動向を観察し始める。
その結果、セールスマンらしい夫は病気で寝たきりの妻が邪魔になり、妻を殺して死体をどこかへ運んだのではないかと推理する。
ジェフはそのことを恋人であるリザや、訪問看護婦であるステラにも相談し、調査することにした。

出演は、ヒッチコック作品ではおなじみのジェームズ・ステュアート、それにグレース・ケリーである。
グレース・ケリーと言えば、言わずと知れたモナコ公妃だ。“クール・ビューティー”という言葉は、このグレース・ケリーを讃えたところから生まれたらしい。
余談だが、ヒッチコック作品におけるヒロインは、セクシー女優が起用されたことがない。たいてい、イングリッド・バーグマンやグレース・ケリーのような、知的で気品のある女優がヒロインを飾っている。
今でこそハリウッドの女優さんはセクシー系が幅を利かせているけれど、私個人の好みで言わせてもらうなら、エレガントな女優さんの方が断然好きだ。

ヒッチコック作品は、サスペンス映画でありながら、随所に盛り込まれた知的な側面に、いつも圧倒される。
古い映画だが、若い人たちにもぜひともおすすめしたい作品である。

1954年(米)、1955年(日)公開
【監督】アルフレッド・ヒッチコック
【出演】ジェームズ・ステュアート、グレース・ケリー

ヒッチコックの『サイコ』
20130407
コチラ


ヒッチコックの『白い恐怖』
20130421
コチラ


ヒッチコックの『レベッカ』
20130505
コチラ


20130124aisatsu






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最終更新日  2013.05.19 06:39:15
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