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2013.06.02
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【ダイヤルMを廻せ】
20130602

「私は妻と別れたらどうなるかを考えたよ。まず生活が問題だ。マーゴに目一杯頼ってたからね。私は贅沢が身についてた。それがテニスプレーヤーとしてのキャリアも終わり、妻も失うのかと思うと、怖くなったんだ。そこで酒を飲みにパブに入った。椅子に坐り、色々考えてみたよ。妻の男を殺す方法を考えたのだ。妻を殺す事も・・・その方が理に適っている」

ヒッチコックの自叙伝を読むと分かるのだが、とにかく女性に対しては好みがうるさい。知性的な女性が好きらしいのだ。
セクシーさに欠けていようとも、上品で知的でありさえすればヒッチコックは納得するのだ。
もっと言ってしまえば、演技力もそれほど求めていないかもしれない。あくまで監督であるヒッチコックの指導を素直に聞き入れることができるかどうか。
そういう基本的なところでの相性の良し悪しを、ヒロイン役には求めていたようだ。
だからこの『ダイヤルMを廻せ』のヒロインにグレース・ケリーが起用されたのも納得できる。
ヒッチコックがインタビューに応えて、こう言っている。
「『ダイヤルMを廻せ』の彼女(グレース・ケリー)は、私にとっては見事に咲き誇った花にも等しい。というのはエレガントな雰囲気がいつもそこにあるからなのである」
それもそのはず、『ダイヤルMを廻せ』においてグレース・ケリーは、資産家のマーゴという役を演じているのだが、それはもう申し分のない淑女然とした存在感で、グレース以外に適任者は考えられないほどのオーラを放っているのだ。

ストーリーはこうだ。

だがトニーはそのことにとっくに気づいていたのだ。トニーはマーゴの裕福な資産のおかげで贅沢に慣れており、その生活を手放したくはなかった。
そこでトニーは、妻であるマーゴを殺害するための完全犯罪を計画する。成功すれば、マーゴの資産は全てトニーが相続できるからだ。
トニーは、大学時代の友人であるレズゲイトに連絡を取る。レズゲイトは学生時代から何かと後ろめたい噂のあるワケありの男で、マーゴを殺害するのに利用できると踏んだからだ。トニーはさっそく計画を実行に移す。
アメリカからやって来たマークを、何食わぬ顔でパーティーに誘い、マーゴ一人に留守番をさせる。その間、レズゲイトに忍び込ませ、マーゴを殺害させるというものだ。
ところが、隠れていたレズゲイトがマーゴの背後から襲った時、マーゴは必死にもがき、とっさに手に掴んだハサミで逆にレズゲイトを刺殺してしまうのだった。

この作品では、犯人役のトニーが主人公となっているのだが、この役を演じたレイ・ミランドがまた物凄くいい味を出している。
ケンブリッジ大学卒で、ウィンブルドンのテニスチャンピオンというキャリアを持つものの、どうやら個人的には貧乏で、マーゴとの贅沢な暮らしから逃れられないという設定なのだが、妙に合っているのだ。
さすがにこれだけ手のこんだ殺人計画を立てるだけの人物ではあると、納得してしまうものがある。
ヒッチコック作品のおもしろさは、演じている役者が取り立ててすばらしい演技をしているわけではないのに、彼らに備わったオーラが自然とかもし出されている点であろう。
さらには、周知の通り、あの独特なカメラアングル。
大衆の目となって動いているカメラアングルと、特定の人物が目で追っているカメラアングルなど、様々な視点から成り立っている。

もともと『ダイヤルMを廻せ』は舞台作品であり、舞台で上演するものとして書かれたらしい。
ところがヒッチコックの映画化により、これほどまでのすばらしい作品となった。
カメラを操るというテクニックが、そこかしこから堪能できる。ミステリー好きも、そうでない人にもおすすめの逸作だ。

1954年公開
【監督】アルフレッド・ヒッチコック


ヒッチコックの『サイコ』
20130407
コチラ


ヒッチコックの『白い恐怖』
20130421
コチラ


ヒッチコックの『レベッカ』
20130505
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ヒッチコックの『裏窓』
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20130124aisatsu





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最終更新日  2013.06.02 11:03:02
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