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2014.01.11
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カテゴリ: 読書案内
【円地文子/女坂】
20140111

◆明治初期の「家」における嫁の立ち位置を描く

今や当然のように女性の地位が向上したとか、女性が強くなったとか言われているが、歴史をさかのぼってみると、そんなのつい最近やっと人格を持つ者として認められるようになったことが分かる。
近代日本では、すでに一夫一婦制が導入されていたはずだった。
だが、封建的な家制度に生きる嫁の立場は低く、哀れで、惨めなものだった。
伝統に対して恨みごとを言うつもりはないけれど、女性が全てを犠牲にして家を守らねばならなかったというのは、なかなか酷なことに感じてしまう。
女性たちの我慢、我慢の連続の延長線上に成立する封建的な家制度は、良くも悪くも男性中心主義にあった。
「家」の崩壊は無秩序を引き起こしてしまうという、ある種の呪縛にとり憑かれていたに違いない。
時代の移り変わりと西洋思想の流入により、伝統や風習にあまりにも固執するのはバカげているとのことから、日本の家制度も末期を迎えることとなった。
それが女性を解放する一端を担ったことは確かだが、女性自身がそれを望んでいない場合もあったりして、事はむしろ複雑多様化しているように思える。

『女坂』は、明治期を生きた女たちの「家」における立ち位置を描くものとして捉えてみると面白い。

〈『女坂』は明治の女の言わば内緒話である。〉とのこと。
どおりでパンチの効いた風俗史であるはずだ。

あらすじはこうだ。
地方の官吏として務める夫を持つ白川倫は、好色漢である夫のために妾を求めて上京した。
女にかけては放埓な夫に複雑な思いを抱きながらも、白川家の恥とならないように、玄人筋ではない若くて器量の良い生娘を選ぶ必要があったのだ。
結局、年は十五で、まだ月のものも始まっていない須賀という少女を、夫のために連れて帰ることになった。
その後、さらに妾が一人増え、由美という生娘も抱え込むこととなった。
一方、白川夫婦の長男・通雅のもとへ嫁いで来たのは、美夜という、一見、明るくおっとりとした気立ての良い娘であった。
ところが通雅と美夜の夫婦関係は今一つで、あまり上手くいっていない。
そんな折、通雅の父・行友(倫の夫)は、長男の嫁である美夜にまで手を伸ばし、深い関係となってしまう。
倫は、その事実を知りながらも必死で息子に隠し通し、須賀や由美たちに口止めして何とか穏便に取り計ろうとする。


『女坂』を読むと、「あまりにも女性の立場が低すぎる」と感じる箇所がいくつか登場する。
なので、女性が読むのと男性が読むのとではかなり読後感に差が出る小説のように思われた。
男性の専横がしごく当然の社会にあって、行友が好色の限りを尽くす様子など、おそらく男性読者は羨ましさを隠せないのではなかろうか?
そうは言っても、ラストは主人公・倫が死を前にして意味深な言葉を夫に投げかけるところは、女性読者の溜飲を下げる。
やはり、メンタル面では圧倒的に女性は強い!


『女坂』円地文子・著

20130124aisatsu


☆次回(読書案内No.108)は谷崎潤一郎の「麒麟」を予定しています。


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★吟遊映人『読書案内』 第2弾は コチラ から





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最終更新日  2014.01.11 06:26:29


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