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2014.01.14
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カテゴリ: 名句と遊ぶ
20140114

雪の跡

さては酒屋か

豆腐屋か


              正岡子規


リフトが始まる前のゲレンデは気持ちがいい。
圧雪やゲレンデ整備のため、除雪車は早朝から動き出すのだ。暗闇でゲレンデにはりつくように動くライトは幻想的である。

「雪の跡」はキャタピラが残していく。
整然と続く雪跡は、自然の摂理に溶け込んで、それはひとつの風景になる。もはや機械の跡とは思えないのだ。

さて、こちらは雪にできた足跡にめくるめく想像をする子規である。
雪跡に軽やかな足取りを見て取ったか。雪の中をいそいそでかけるのは酒屋か肴の豆腐屋に違いない、そういうことだ。

子規は雪の句を多く詠んでいるが、このとぼけたようなふざけた感じが最も子規らしく思え、私は大好きだ。
そしてこういう句もある。

亡き妻を

夢に見る夜や

雪五尺





言わずと知れた小林一茶の句がモチーフである。

是がまあ

つひの栖(すみか)か

雪五尺


              小林一茶


三十五歳で短い一生を終えた子規は、病もあり妻をめとることはなかった。一茶を偲ぶ子規の胸中を思うと悲しい。
そういえば、子規は名著『病牀六尺』も残している。この「六尺」は「雪五尺」からのイメージかもしれない。ふとそんなことを考えてみた。

最後は子規の面目躍如たる一句である。

吉原や

眼にあまりたる

雪の不盡


              正岡子規


不盡とは「最後まで十分に尽くさないこと」という意味で、平たくいえば花魁に袖にされたわけだ。落語の「五人廻し」や「首ったけ」の世界であり、子規兄も貸座敷で一人、眠れぬ夜を過ごした口なのである。
いや、子規なら地団太踏んで朝まで悔しがったか。

悲喜こもごもの、それぞれの雪である。


降る雪や

明治は遠く

なりにけり


              中村草田男

20130124aisatsu





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最終更新日  2014.01.14 06:00:31
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