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2016.04.17
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カテゴリ: 読書案内
【若林正恭/社会人大学人見知り学部卒業見込】
20160417

◆社会人になって初めて直面する大人としてのふるまいに戸惑い、悩む
大学2年生の息子が興奮ぎみに「か、感動した!」と報告して来た。
何のことかと思ったら、お笑い芸人のオードリー若林が書いたエッセイを、一気呵成に読んだという。
私は自分自身に置き換え、30年ぐらい前に矢沢永吉の『成りあがり』というエッセイを読み終えた時の感覚を思い出してみた。
きっと息子も、ほとばしるような情熱に浮かされているに違いない。若いっていいなぁ、、、そう思った。

オードリーと言えば、これまではボケを担当している春日(ピンクのベストを着ている方)がいじられキャラで、お茶の間の人気を博していたような覚えがある。
それに比べ、ツッコミの若林は地味で、目立たない存在だった。
その若林にスポットが当てられ始めたのは、雑誌ダ・ヴィンチで若林のコラムが連載されるようになってからかもしれない。
もちろんオードリーとしての人気は、Мー1グランプリで準優勝を獲得してからだが、若林個人としての人気はその数年後になる。

オードリー若林は東洋大学文学部卒で、高校時代からお笑い芸人を目指すようになったようだ。(ウィキペディア参照)

私も興味本位で読んでみた。
さて、40代半ばの私にどのような感動の渦が巻き起こるのか?!

結論から言ってしまうと、すでに一通りの経験を済ませている大人が読んだところで、息子世代の若者たちのような感動の域にまでは到達しない。
書いてあることはすべて、社会人になったら「あるある」的なプロセスに過ぎないからだ。
とはいえ、私もずいぶんと不器用な二十代、三十代を送って来た身なので、若林の苦悩には身につまされる思いだ。

私がとくに共感したのは、「牡蠣の一生」というコラムである。
若林が、番組で海に潜って魚貝類を捕るという企画で感じたのは、岩にへばりついている牡蠣を目にして、この牡蠣はこうして一生をすごすのだが、一体何が楽しいのか?ということ。
人間に発見されたら、岩からはがされて終わりじゃないかと。
「何やってんだよ牡蠣! 逃げろよ!」
と心の中で叫びつつも、食べるためにその牡蠣を捕ったらしいのだが、そんなある時、
「ただ岩にしがみついて何のために生きているのか」

これには私も「深いなぁ」と思った。

私自身、すべての人が偶然この世の中に存在しているに過ぎないと思っていたので、「最初から意味なんて無い」という答えに同感だ。
一つ一つに意味があったら、まともになんか生きられない。
私は、何の理由もなくこの世界に存在していいという哲学に救われた。
ホームレスだろうがニートだろうが、何の理由もなくとも生きていて問題ないのだ。



大学生の息子はこのエッセイを読んで、かなり勇気づけられたらしい。
「俺はいつだってネガティブ思考で、集団行動が苦手で、何一つ自信につながるものなどなかったが、オードリー若林のエッセイを読むと、たいていの男子が陥りがちな自意識との闘いなんだと言うことがわかった」(←おそらく息子が言いたかったであろう感想を、親として翻訳?してみた。)
親としてみれば、活字離れの時代と言われて久しい昨今、たとえタレント本であっても、読書によって何かしら心に残るものがあればそれで充分だと思う。

雑誌ダ・ヴィンチで読者支持第一位となったこのエッセイを、まずは若い人におすすめしたい。
私と同世代以上の方々は、立ち読みして気に入ったらご購入下さい。(笑)

『社会人大学人見知り学部卒業見込』若林正恭・著



コチラ から
★吟遊映人『読書案内』 第2弾は コチラ から



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最終更新日  2016.04.17 07:56:28
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