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2017.07.24
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【アザーズ】
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「ニコラス、いつもお母さんと一緒はムリよ。一人でも我慢しなくちゃ。ロザリオはある? 怖くなったときは、これをぎゅっと握ってお祈りするのよ。『主の祈り』よ。それで平気。大丈夫、絶対よ。祈れば主がそばにいるからね。だから怖くないからね」

いきなりだが以前、何かの本で読んだことがある。
それは、人間とは地球という生命体に寄生するガン細胞である、と。
一方、私たちは日ごろ、健康で長生きしたいため健康診断にも行くし、健康食品やサプリメントなどを摂取する。
なぜなら自分の体内にガンなど(悪性腫瘍)が発症したらイヤだからだ。
つまり、立場が変われば我々はガンそのものにもなり得るし、ガンを怖がる一個体にもなり得る。
この自分という存在がどんな「立場」にあるのかを冷静に客観的に見つめるというのは、とても難しい。
今回、私がレンタルした『アザーズ』は、正に、自分という存在が一体何者であるかをスリラー映画として表現した作品である。

ネタバレになってしまうけれど、主人公らはずっと怪現象に苦悩し怯え続けているのだが、実は自分たちが幽霊であり、生きた人間を脅かし続ける存在だったのだ。

ストーリーはこうだ。

古い屋敷には美しい女主人グレースと、日光アレルギーを患う2人の子どもアンとニコラスの3人が住んでいた。
子どもたちは日に当たるとたちまちアレルギー症状が出てしまうため、グレースは細心の注意を払い、厚いカーテンを閉め、邸内に光を入れないようにしていた。
アンとニコラスは父の帰りを首を長くして待っていたが、出征したまま未だ帰って来なかった。
広大な屋敷を維持していくために雇った3人の使用人ミルズ、リディア、タトルが来てからというもの、次々と怪現象が起こる。
アンは「ビクターという男の子の幽霊がいる」と言う。
グレースはにわかに信じられないが、その証拠に物音がしたり泣き声が聴こえたりする。
恐怖を感じたグレースは早朝にもかかわらず、御祓いのため、深い霧の中、教会の神父を呼びに行くのだった。
ところが濃霧のため視界を遮られてしまい、立ち往生してしまう。
そんな中、出征したきり帰って来なかった夫チャールズとバッタリ遭遇。
グレースは我が目を疑うが、幸福感に包まれ、いそいそとチャールズを連れて帰宅するのだった。
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この作品の見どころは、何と言っても主役のニコール・キッドマンの迫真の演技にあると思う。

神様に救いを求め続けながらも、冥界をさまようが如く苦悩から解放されない主人公の背景を知ると、なるほどと納得する一方でその悲劇に胸がいっぱいになる。

スリラー作品の筆頭でもある『シックス・センス』を思わせる結末でもあるわけだが、『アザーズ』には立場が変われば自分が「他者」にもなり得るし別の誰かが「他者」になる、という異次元を鮮明に感じさせるものがある。
私はラスト、恐怖というより限りなく寂寥に近い孤独を感じないではいられなかった。

2001年(米)、2002年(日)公開
【監督】アレハンドロ・アメナーバル

【出演】ニコール・キッドマン


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最終更新日  2017.07.24 10:39:56
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