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2011.07.28
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アメリカの夏。

それはFamily Reunionの季節。

ファミリー・リユニオンとはその名の通り、家族が集まることなのであるが、
これは日本のお盆に全国に散らばる一族郎党が結集するのに等しい。
ただし、アメリカにはお盆のように決まった期間はなく、たいてい、
夏の、皆が休暇を取りやすい時期に行なわれる。

何をやるかはその家族による。
昔働いていた花屋の元同僚のところは、皆でピザ屋に行ったり

誰かの家でバーベキュー。

義母はWest Virginia州の出身で、ワシントンDCから
少し山間に入った小さな町で生まれ育った。炭鉱で栄えた町で、
義母の父親も炭鉱夫だったが、閉山となって職を失い、
もっと仕事の口のある北へ北へと流れ、その結果、今の家族は
ほとんどボストンにいる。ただし、何人かの末裔はまだその地に残っている。

義母はファミリーの結束と言うことに関してほとんど宗教に近い
信条を持っていて、ファミリーリユニオンともなるとそれにより拍車がかかり、
誰にも止められない(笑)。

たいていは年に一度、ウェスト・バージニアの方でやるのだが、
今年はボストンでやることになった。

義母はウェスト・バージニア組の参加が少ないことにたいへん「憤慨」
(息子である夫は「がっかり」という言葉を使っていた。さすが息子だ優しい 笑)
していた。それはある日、私がどこかに車で連れて行ってもらった時のことだったのだが、
私が「だって遠いところから大変じゃない」というようなことを言うと、
「仕事の休みを取って皆で車に乗り合いをして来れば済むことじゃない」と、

内心、「リタイアして悠々自適のあなたが車で連れ立って17時間もかけて
あちらへ行けるからと言って、向こうが来られると期待するのは間違ってるんじゃぁないの?」
と思っていた。

今年のファミリー・レユニオンの予定は、
金曜日:Dおじさん夫妻宅にてフィッシュ&フライぱーちー
土曜日:義母宅にてバーベキュー(肉、肉、肉。。。)
日曜日:午前中は教会、午後は(再度)義母宅にてゲームなどレク関連

というてんこ盛りのスケジュールで、「なるべく参加するよう」とのお達しがあった。
でも、それが「なるべく」ではないのはその気合の入った文面からにじみ出ている。

しかしこういうものは古今東西を問わず、来る人は来るし、来ない人は何度言われても
来ないわけで、近い立場にある私などはメールだのFacebookだのありとあらゆる手段を
使って何度も同じような内容が送りつけられて来るのには少々うんざり。

その他にも、日曜日のレクの一環として行なわれる子ども達のファッションショーに、
子ども達が着る予定の服の説明を送れだの、1着だけじゃなく2着用意しろだの、
係りは誰々だの、事細かな指示の内容のメールがぽろぽろと流れてくる。

さらに、「本番」間近となった今週に入ってからは、突然私のケータイに電話がかかってきて、
「デザートのチーズケーキを8等分にスライスするのを、夫のいとこのSと手伝って欲しい」とのこと。
その時、私は子ども達2人を連れて髪を振り乱していたところだった上に、
とにかく義母は説明のポイントが不明瞭なので、私としては何日の何時にどこでということを
簡潔に言ってくれればよいものを、
「Sおばちゃんがチーズケーキを8つ作るんだけどほら、一人が4分の1も食べちゃったら
皆の分がなくなっちゃうでしょ。8つっていうのはずいぶん多いように思えるけどたくさん人が
集まったらあっという間だから前もって8人分に切っておけばいいと思って」というような
長々とした挿入句が入るので、非常に大事なことを言うのかと思って(走り回る子ども達を
横目で見ながら)一生懸命聞いていた私としては激しく脱力である。だいたい、私は
何年経っても英語を電話で話したり聞いたりするのは馴れず、非常に苦痛なのでできるだけ
避けたいと思っているので、よっぽど「今後、緊急でない用件はメールにしてほしい」と
言いそうになったほどである(笑)。

そもそも、デザートを切り分けることぐらい、当日その場で手伝ってと言われれば
やるような程度のものだろうに、と思いつつも了解したのだが、
昨日、子ども達のベビーシッターがてら我が家に遊びに来た大学生の姪っ子によると、
義母は想像以上(かつ必要以上)に、このリユニオンの準備に向けてストレス爆発エネルギー全開らしい。

その1:
家のそこらじゅうのほこりを「皆が来るからきれいにしておかないと」と言いながら、はたいて掃除している。
(姪のコメント:誰も気にしないってば)

その2:
家の中がスーパーマーケットを1店分買い取ったかのように食べ物であふれている。そして、そのうちの一つがどこかに行ってしまって見当たらないのを必死の形相で探している。
(姪のコメント:また買いに行けばいいじゃない)

その3:
真夜中に「リユニオンには皆が来るから」とぶつぶつ言いながら、白髪を染めている。
(姪のコメント:誰も見てないってば)

その4:
バーベキューの日に、亡くなった家族たちの思い出の写真を飾るテーブルというのがあるのだが、そのテーブルにかけるテーブルクロスにアイロンをかけろと言われた姪っ子。姪っ子は仕事の面接の日に着て行く洋服でさえろくにアイロンをかけないほどで、人生においてアイロンをかけたのは数えるほどらしいのだが、「これはジョニー(3月に亡くなった義母の弟)の写真を載せるから」と一言、有無を言わせぬ形相で言われて言うことを聞かざるを得なかったとのこと。

その5:
皆が当日かぶるためのハット(どんな形なんかは知らんが)の飾りつけを頼まれたアート大学出身の親戚の子。締め切り間近の仕事を抱えているというのに、そんな用事を言いつけられてしまい、姪っ子との電話で「俺は仕事をクビになっちまうよ」と嘆いていたらしい(笑)

その6:
非常に巨大なTシャツに皆がサインをするという案を思いついた義母。で、その後そのTシャツをどうするの?という姪っ子(ばかりでなく誰もが抱くであろう)の疑問に、「あら、いいアイディアかと思って」と平行線。さらに皆が書きやすいように大きなダンボールにそれを貼り付けて、「紙を貼った方がいいわね。何色がいいかしら?」。。。そして前出のアート大学の出身の子が駆り出される。。。

その7:
今回参加しないと言った親戚に電話をかけて「何で来ないの?え、お金がないって、あなた、ちゃんと貯金しなくちゃ」と説教。

姪っ子の話からは周りが「なんだかなあ」と思っているのが垣間見えて来て、私は姪っ子とお腹を抱えて笑い転げた。まあ、私も含めて誰もが義母にはずいぶんと世話になっているので何も言えないというのが正直なところなのだが、このリユニオンが終わったら、義母はがっくり疲れてしばらく立ち直れないんじゃないだろうか。

追伸:で、義父はどうしてるの?と姪っ子に聞いたら「義母に言われたとおりの用事を黙ってやっている」とのこと。正しい。正しい。正しすぎる夫としての姿。





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最終更新日  2014.10.15 12:05:12
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