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2015.12.30
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『用語の説明』

AWC(Advanced Work Class):BPSにある4年生から6年生向けの進学クラス



娘の転校先を探そうと決めた矢先、ちょうどいいタイミングでShowcaseと呼ばれる各校紹介の機会があることを知った。これは、ある会場に各校の担当者がブースを設置し、保護者や生徒の質問に答えるという形式の見学会で、とある平日の夜から我が町の高校を会場にして開催されるとのこと。家族全員で出向くことにした。

これには我が町のBPS・私立・チャータースクール(特色のある公立校)の小中学校の担当者が参加しており、その他にも、隣町だが我が家のBPS学区内にもなっている町の中学校が参加していた。

その「E中学校」の名前は、地元の親達から何度か聞いていた。いつも息子のバス停で一緒に待っていた男の子のお父さんも、中学校はそこがいいと言っていた。ただ、隣町とは言っても感覚的には「遠く」、また、時々電車の中で見かけるその中学校の生徒達(学校名の書かれた制服を着ているので分かる)を見た限りでは、その雰囲気が、いかにも都会育ちのちょっとすれた感じで、現在6年生として娘が通っている学校と何ら変わるところはないように見えて、転校先の候補としては特に考えていなかったのである。

ところが、このShowcaseを見て気が変わった。

こうしたフェアでの各ブースは、その学校の雰囲気がかなりはっきり表れるものである。E中学校は恐らく10校ほどの参加校の中でも1,2を争うほどに目立っていた。ちなみにもう一つ目立っていたのは、娘が3年生まで通っていて、そして現在2年生の息子が今でも通っているP小学校だった(笑)。どちらも、担当者だけでなく生徒も何人か参加していてPR係を担当し、学校の様子を紹介した写真がたくさん貼られたパネルが立っており、さらにE中学校の方はバックパックが当たるくじ引きがあったり、P小学校の方は校章が印刷された風船がもらえるというおまけがあった。P小学校の方は、校長のほかにこうした対外的なイベントの時には必ず同行する専任職員だけだったが、E中学校の方は教科担任やカウンセラーなども何人か来ていた。とにかく両校とも、人数の多さだけでも他を圧倒していた。

娘は我が町にある評判の良いチャータースクール2校に興味があり、まずそちらのブースを訪れて情報を得て、そのうちの1つが気に入ったようだった。私は遅れて行ったので実際には話を聞いていないのだが、学習カリキュラムが充実していて色々な教科をまんべんなく学べること、課外授業も充実している点が魅力だったらしい。もう一つの学校は、主要教科(国語・数学)の時間が長い分、それ以外の教科は1年を通してではなく、半年ごとに入れ替わるというシステムで、しかもかなり勉強重視という印象を受けたとのことであった。

会場にはピザやジュースなど簡単な食事も用意されていて、夫と娘がそれを食べている間、私は目に入ったその派手なブースのE中学校に行ってみることにした。

ブースに近づくと、まず若い男性の教師が声を掛けて来た。理科と算数を教えていて、この学校に来て6年になると言う。この学校では、生徒が学校に来るのが楽しいから自分も来るのが楽しい、と、心からこの学校が好きなことが伝わって来た。

その後、夫と娘に声をかけてブースに戻った時は、今度はカウンセラーの女性が声をかけて来た。最初は何を聞いていいのか分からなかった娘に、どんなことに興味があるの?との質問から上手に話を持って行ってくれ、そこからこの学校でも、勉強だけでなくスポーツやダンスなどの課外活動が盛んであることが分かり、このE中学校も急に候補として上がることになった。

このShowcaseが開催された週の週末に、今度は学校で見学会があると聞き、これもまた家族全員で出向くことにした。土曜日の9時半から1時という時間帯で、朝寝坊して学校に到着したのは12時近くだったが、まず小さな教室に案内され、コーヒーとドーナツが提供され、それを持って回りながら(アメリカっぽいw)、担当者が学校の中を説明してくれた。

学校に入った時、最初に思ったのは、P小学校と造りが似ているということだった。そして、学校を回っているうちに、土曜日で生徒達は学校にいなかったけれど、廊下に貼ってある伸び伸びした雰囲気の絵などから、P小学校のような、自由で楽しそうな雰囲気が伝わって来た。

また、勉強面でも、先生達が学年ごとに毎週ミーティングをして、どの生徒がどの点でつまずいているかを元に強化すべき内容を週毎に設定し、各教科で連携しながら対応しているということだった。逆に、勉強について行っている生徒には、もう少し難しい問題にも挑戦させるらしい。どの学校も子供の学力を伸ばそうとするのは当たり前だが、それを個々の担任のやり方だけに任せるのではなく、学校共通の体制で継続的に実施しているという点は、非常に魅力的に感じた。また、一般的にSpecial Needsと呼ばれる障碍のある生徒達も同じクラスで学び、担任とその専門家の担任がチームになって教えているとのことだった。

ツアーが終わって最初の教室に戻り、学校の様子を紹介した簡単なビデオを観た。写真がたくさん貼られたパネルもあり、そこにうちの近所の子が写っているのに気がついた娘が、「あ、これダニーだ」と声を上げると、担当者が「ダニーXXX?」とフルネームを言った。私達はその子の苗字を知らなかったので(笑)、知らないと答えると、その担当者は「ダニーはいっぱいいるんだよね」と、言いながら写真のところにやって来てその子の顔を見るとすぐ、「あ、これはダニー○○○」と別の苗字を言った。全校300名ほどの規模とは言え、この担当者もひとりひとりの生徒のことを良く知っているのではないかと思った。

最後に設けられた質疑応答の時間では、娘は課外授業の方が気になったらしく、遠足はたくさんあるのか、クラブ活動はいくつ選べるのかなど、勉強とは全く関係ない質問に集中していた(笑)。

私は生徒の素行に問題があった場合、具体的にどのように対応するのか、ということを聞いてみた。それに対しては、懲罰を与えるというよりは、具体的にどうすれば改善できるかを共に考える、というのが基本方針である、という回答を得られた。娘はAWCのある小学校で短い期間ではあるが、クラスメートからいじめを受けたことがあり、その時の学校側の対応に少々不満があったので、このE中学校の姿勢にはひと安心した。

Showcase、学校での見学会ともに校長は姿を見せず、代わりに渉外担当の専門職員が複数名対応していたが、このポジションの人達が、これだけしっかり学校のことを把握していて質問にも明確に答えられるのであれば、きっと校長もしっかりしているのではないかと思った。娘の転校が具体化したら、校長にも是非会って話を聞いてみたいと思う。



その6:統計や周囲の評判に惑わされない 』へ続く






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最終更新日  2017.11.30 11:30:58


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