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【 Glass Onion 】
「・・には会えたかい?」
「・・・・」
あれからこの街も随分と変わった
他の街と同じような景色になってきた
君の記憶ではもう
僕を訪ねては来れないかも知れない
「空はどうだい? 時々は見てるかい?」
「・・・・」
離れ離れと名付けたあの雲は今も君の力で寄り添っている
夜から朝にかけて一通の手紙を綴った
宛先はグラスオニオン
凍てついた空から白い雪が
大地を傷つけないように
時間をかけてゆっくりと降り積もった
昼間の内に温もりを蓄えていた摩天楼が
病んだ空の痛みに小さく震えた
賑やかさに飢えたストリート
孤独に踊る少女のステップがこだまする
歪んだ街を落書きに飽きた盲目の詩人が
重い影を引きずりながら
油でまみれた輪郭を頼りにがらくたをあさって歩く
昨日の夜 同じ場所で
力尽きた一匹の野良犬がひっそりと息を引き取った
僕は練習に明け暮れる三段跳びの選手だった
MiseryMisery
愁いのある心の貧しさに触れては
水の中で息を吹き返した
栄光で飾られた広場では仲間たちが
エンジンをかけて僕の帰りを待ち続けてくれた
花束はいつか届けるつもりだった
自分を打ち砕いて迎えに行くつもりだった
止めどない乾いた言い訳が
一本のインクを使い果たしても尚止まなかった
まるで誰のせいでもない運命が
ひとつの命を奪っていった夜のように
誰も正しいとは言わなかった
誤りだと責めたりもしなかった
幻想を彷徨うことの罪深さは
ガラスの玉ねぎの中だけにこだましていた