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2020.06.14
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テーマ: ニュース(100302)
リニア着工へ6月中にもトップ会談 JR東海と静岡県 平行線なら27年開業困難


知事は16日に周辺自治体の首長とテレビ会議を行い、地元の意見をまとめた上で会談に臨む方向。JR側は27年開業には6月中の開催・合意が必要と主張している。
東京・名古屋・大阪を最高時速500km/hで結ぶリニア建設の難関工事、3000mル級の山脈を貫く南アルプストンネルの静岡工区(8.9km)は昨年5月、準備段階で県の了解が得られず中断した。地元自治体がトンネル掘削工事による大井川の流量低下などを懸念しており、県とJR側の協議は手詰まり状態に陥っている。
開業から半世紀余が経過した東海道新幹線を補完し、日本の大動脈を超高速で結ぶリニア計画。開業予定が狂えば、約9兆円を見込む総工費はさらに膨らむ可能性がある。

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リニア中央新幹線については、ずいぶん昔に何回か記事を書いたことがあります。

狭い日本、そんなに急いでどこへ行く
リニアモーターカーが嫌いで何が悪い?

上記の記事を書いた時点では、まだリニア新幹線には公費を投入せず、全額JR東海の自己資金だけで建設するという話になっていました。しかし、その後2016年に、リニア新幹線の建設費に公費を投入することになりました。当初の約束は覆されたわけです(そうなるだろうなとは思っていましたが)。
記事を書いた当時は、リニア新幹線にはまったく賛成ではないが、建設費を全額JR東海が出すなら、反対とまではいわない(好きに作れば?)というのが私の考えでした。しかし、公費を投入するとなったら話は別で、リニア中央新幹線の建設には反対です。
MRJ(スペースジェット)と同様、大コケする可能性が否定できないし、そうでなくても大きな利益にはつながらないことは確実だからです。

東海道新幹線は、事前には批判が根強かったものの、開業したら予想外の大成功を収めました。だからリニアモーターカーも、というのは甘い考えと言わざるを得ません。新幹線が大成功を収めたのは、高度経済成長期で交通需要が激増する時期だったからです。
しかし今は違います。人口縮小期の今、これから東京大阪間の交通需要が激増するなんて考えられません。つまり、限られたパイを他の交通手段と奪い合いをするしかないわけです。しかし、現状東京大阪間のシェアは新幹線が圧倒的です。つまり、同じJR東海の運行する東海道新幹線からリニア新幹線に乗客が移行するだけで、他者の運航する飛行機や高速バスから乗客を奪える余地はあまりない。9兆円も投資して、元が取れるかどうかは大いに疑問の余地があります。

静岡県の立場から見れば、明らかに、県全体としてリニア中央新幹線によるメリットは何もありません。県の領域の北端(南アルプスの稜線の真下)をかするだけで、静岡県の住民が利用できる余地がまったくないからです。
逆に静岡県にとってのデメリットは、まず、以前から問題になっており、引用記事にも指摘されているように、静岡県の水ガメである大井川の真下にトンネルができて、そこに地下水が流失することによる流量低下の問題があります。

もっとも、短期的に見れば、静岡県内に停車しない「のぞみ」が中心に削減され、静岡県内に停車する「ひかり」「こだま」はあまり削減されない可能性が高いので、そのデメリットは最小限に食い止められるかもしれません。でも、長期的に見れば、その状態がいつまで続くかは分かりません。日本の東西を結ぶ大動脈が他県に移ることは、静岡県にとって得にはならないでしょう。

要するに、静岡県から見れば、リニア中央新幹線が着工できず完成できなくても、困ることは何一つない、というか完成しない方がよいわけです。だから、妥協しなければならない必然性が基本的にはない。佐賀県にとっての長崎新幹線と同じような状態です。

で、私自身は静岡県とは特に縁のない人間ですが、私にとってもリニア新幹線のメリットは何もありません。東京駅から乗れる東海道新幹線の方が、品川で乗り換えが必要なリニア新幹線より便利です。所要時間は早くなるというものの、現状「のぞみ」で2時間半しかかからないものを、1時間20分短縮するのと引き換えに乗り換えが増えると言われても魅力は感じません。しかも、全区間の9割近くがトンネルで、残りの1割余りも騒音対策のため防護壁で囲まれて景色は見えないというのでは、実質的に全区間地下鉄と同然です。
よっぽど切羽詰まった理由でもなければ、乗りたいと思いません。

個人の損得や好みはとりあえず措くとしても、総工費9兆円というのも、本当にそれで収まる保証はありません。というか、最初全額JR東海の自己資金で建設すると言っていたのがなし崩し的に公費投入となった経緯から考えて、今後総工費はさらに膨らむと考える方が自然です。加えて、新型コロナ騒動で交通運輸業界は急激に経営状態が悪化しており、JR東海も同様のはずです。

それらを考え合わせると、公費負担3兆円というのも、それで収まるとは限らない。際限なく公費負担が膨れ上がる可能性は高いと思わざるを得ません。そして、それに見合う経済的効果が得られるとも思えません。そんなことに公費を投入すべきではないし、公費を投入しなければできないような事業だったら、中止すべきです。





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最終更新日  2020.06.14 22:19:53
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