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詩: しぇりーいすちゃんツイッター:しぇりーいすちゃん @izchan1※転載:詩集『不思議の泉』p.226 よりイラスト: トラ太郎さんツイッター:トラ太郎 @torataro123登録スタンプ:トラ太郎のクマさんとうざちゃん しょう がくふしゅう ―象の楽譜集― 『はる』 いわてさんの ひざこぞう くらかけやまの みぎほっぺ しろい しろい まるぼおろ 《いくつとける》 ひとつひとつと とけてって 、とけいは ぎゅうぎゅう おすし おされて おれて おれはもう 「つららはやめる 《つづうらら》 うつらつら つらつらかたる かたるしす 《ひにのたり》 ほら、もうすぐ・・
2015年04月28日
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組詩:田中宏輔さん ツイッター:田中宏輔 @atsusuketanaka 絵:美々婆々さん ツイッター:あとりゑ騏 @vivibaba0207 画像転載:お絵描き三昧よりケルンのよかマンボウ 戦争を純粋に楽しむための再教育プログラム。あるいは、菓子袋の中のピーナッツがしゃべ るのをやめると、なぜ隣の部屋に住んでいる男が、わたしの部屋の壁を激しく叩くのか?男の 代わりに、柿の種と称するおかきが代弁する。(大便ちゃうで~。)あらゆることに意味があ ると、あなたは、思っていまいまいませんか? 人間はひとりひとり、自分の好みの地獄の中 に住んでいる。 世界が音楽のように美しくなれば、音楽のほうが美しくなくなるような気がするんやけど、 どやろか? まっ、じっさいのところ、わからんけどねえ。笑。 バリ、行ったことない。中身 は、どうでもええ。風景の伝染病。恋人たちは、ジタバタしたはる。インド人。想像のブラや なんて、いやらしい。いつでも、つけてや。笑。ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃ。 ケルンのよかマンボウ。あるいは、神は徘徊する金魚の群れ。 moumou と sousou の金 魚たち。 リンゴも赤いし、金魚も赤いわ。蟹、われと戯れて。 ぼくの詩を読んで死ねます。か。 扇風機、突然、憂鬱な金魚のフリをする。ざ、が抜けてるわ。金魚、訂正する。 ぼくは金魚に生まれ変わった扇風機になる。 狒狒、非存在たることに気づく、わっしゃあなあ。ベーコンエッグフライパンを火にかけて しばらくしたら サラダオイルをひいて ベーコンを2枚おいて タマゴを2個、割り落として ちょっとおいて 水を入れて ふたをする ジュージュー音がする しばらくしたら 火をとめて ふたをとって フライパンの中身を そっくりゴミバケツに捨てる点点は裁かない。 点は殺さない。 点は愛さない。点は真理でもなく愛でもなく 道でもない。 しかし裁くものは点であり 殺すものは点であり 愛するものは点である。 真理は点であり 愛は点であり 道は点である。その点F・ザビエルも、その点について考えたことがある。 フッサールも、その点について考えたことがある。 カントも、その点について考えたことがある。 マキャベリも、その点について考えたことがある。 M・トウェインも、その点について考えたことがある。 J・S・バッハも、その点について考えたことがある。 イエス・キリストも、その点について考えたことがある。 ニュートンも、その点について考えたことがある。 コロンブスも、その点について考えたことがある。 ニーチェも、その点について考えたことがある。 シェイクスピアも、その点について考えたことがある。 仏陀も、その点について考えたことがある。 ダ・ヴィンチも、その点について考えたことがある。 ジョン・レノンも、その点について考えたことがある。 シーザーも、その点について考えたことがある。 ゲーテも、その点について考えたことがある。 だれもが、一度は、その点について考えたことがある。 神も、悪魔も、天使や、聖人たちも、その点について考えたことがある。 点もまた、その点について考えたことがある。顔 人間の顔はよく見ると、とても怖い。よく見ないでも怖い顔のひとはいるのだけれ ど、よく見ないでも怖い顔をしているひとはべつにして、一見、怖くないひとの顔で も、よく見ると怖い。きょう、仕事帰りの電車の中で、隣に坐っていた二十歳くらい のぽっちゃりした男の子の顔をちらっと見て、かわいらしい顔をしているなあと思っ たのだけれど、じっと見ていると、突然、とても怖い顔になった。順列 並べ替え詩。3×2×1ソファの水蒸気の太陽。 水蒸気の太陽のソファ。 太陽のソファの水蒸気。 ソファの太陽の水蒸気。 水蒸気のソファの太陽。 太陽の水蒸気のソファ。午後の整数のアウストラロピテクス。 整数のアウストラロピテクスの午後。 アウストラロピテクスの午後の整数。 午後のアウストラロピテクスの整数。 整数の午後のアウストラロピテクス。 アウストラロピテクスの整数の午後。正六角形のぶつぶつの蟻。 ぶつぶつの蟻の正六角形。 蟻の正六角形のぶつぶつ。 正六角形の蟻のぶつぶつ。 ぶつぶつの正六角形の蟻。 蟻のぶつぶつの正六角形。
2015年04月17日
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詩小説:香鳴裕人さん ツイッター:香鳴裕人/am @zxam9 フォト・アート:羊谷知嘉さん ツイッター:羊谷知嘉 Chika Hitujiya @hail2you_cameo ツイッター:Engineerism @EngineerismJ-POP 打算は好きだけど綺麗事は嫌いだよと言った。 おそらくは、私が私自身を綺麗事で守っていることの負い目から。 気持ちをどこに向けるにしても運賃は足らず、積み上げた過去が重荷になる。自分を悲劇の客体にすることからは遠ざかりすぎている。結果として、灰皿が吸い殻であふれることになる。10年前よりもずっと早いペースで。イチゴヤドクガエルに思いを馳せながら、トマトを握り潰すことしかできないでいる。せめて酸漿であれば少しくらいは格好がついただろうに。 あの時、有線のチャンネルをJ-POPのチャンネルに合わせていたら、汀子は死なずに済んだだろうか。 世界ってこんなにもくだらないんだよと、嘘を吐けていたなら。 ◆ ◆ ◆ 季節は勤勉さだけが誉れ 私たちを取りこぼしたりしてくれない 汀子はバスルームでシャワーを浴びていた。シャワーを全身に浴びるだけだとしたら、もうとっくにバスローブを着て出てきてもいい。午前中は部活だったと言うから、ちゃんと洗いたいのかもしれない。まだ春先、不快な暑さはないにしても、陸上部の長距離ランナーなら汗もかくのだろう。 所在なかった。このホテルの利点は駅から近い、というだけで、他に美点を挙げることはできない。ゲームもカラオケもできないし、ジュースが買える冷蔵庫すらない(小さな冷蔵庫にはウーロン茶の缶がひとつだけ入っている)。愛を盛り上げそうな工夫(鏡とか)もどこにも見当たらない。テレビのリモコンをいじってみても、ろくなチャンネルが入らない。 有線だけは入っていたので、チャンネルを回して、フィリピンポップスをかけていた。 自分の生きる気配が濁っていく気がした。 3月末のハレーションは 月夜烏のお遊戯 諾々と月桂に浴する めくるめく蕾 浮き世をすり抜ける さんざめいて開花 まかり間違って惚れてるなんて言ったって あと1週間もすれば花は見頃 全部を嘘にしてしまうだろう 日差しにやられて 打算に徹することができていたなら 散る花弁のひとつやふたつが あるいは全てが ハレーションを引き裂いたかもしれない まるで真実のように でも待てないよ 引き寄せたいよ 不覚にも思うだろう 私は言う 月夜烏が愛を囁くのを 少しは信じる気になってほしい、と 吐き気のするような綺麗事で ハレーションを背負って ずいぶん卑怯だ 期間限定だよ 咲き誇るまでは 正直者でいられる バスルームから出て来た汀子は、何も着ていなかった。「女としての恥じらいはどこに捨ててきたの?」私は問うた。「私の恥じらいは、笹峯中学校の第三倉庫に転がってるよ。そこ、ラブホ代わりにしてたから」やたら具体的な答えが返ってきた。 3月末のハレーション 傷みも喪失も何もかもなくて 曖昧な線上で 危険のない綱渡りみたいなことをしている そんな日常が私たちの証左 私は気になっていた。「なんで私を誘ったの?」私の質問を背中で聞いて、汀子はテレビのリモコンを手に取った。チャンネルをアダルトに回したのだけれど、音はすぐに消した。「音は要らない」テレビに映るのは、当然ながら、男と女の組み合わせ。汀子はそれで楽しめるのだろうか。「なんで私? 彼氏いた時も知ってるでしょ? フツーに男子が好きなんだけど」ここまで来ておいて今さらなのは重々承知。 3月末のハレーション きっときみは情熱を傾けているんだろう 持て余した気持ちも時間も、体温さえも 意味なく消費してしまうことに それを私に求めてしまうほどに 汀子はこちらへ振り向かなかった。けれど熱心にテレビを見ているふうでもなかった。「別に、たいしたことじゃないよ。人生とお金を無駄遣いさせたかっただけ。あなたのね」汀子の言ったことの中から、読みとれたのはひとつだけだった。「あ、やっぱワリカン? ここ?」 証左を捨てられないから 幸せを甘受して 生き物になるでもいいだろう 今月はだいぶ厳しいんだけど。「性別も学年も同じなんだから、ワリカン」いつの間にか汀子はこっちを向いていた。今、休憩料金の話をしている時が、一番かわいい汀子だった。 たぶん、汀子はもっと通俗的なものに浸るべきだった。 けれど私は、J-POPのチャンネルに合わせなかった。 体重と熱とわずかばかりの後悔がベッドに沈んでいく。 春だね 春だよ ◆ ◆ ◆ 気がついたら私は、灰皿にどれだけ吸い殻を押し込めるか、新記録に挑戦していた。 桜雲を飛び越えて ひとりの吐息を繋ぐ あの時のベッドから 咽ぶ雫をこぼしてよ もうきみとワリカンのできない私を 潤して
2015年04月15日
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詩:田中宏輔さん ツイッター:田中宏輔 @atsusuketanaka 絵:美々婆々さん ツイッター:あとりゑ騏 @vivibaba0207 (作品は「けしき」シリーズの1枚。現在は個人蔵。) 画像転載:お絵描き三昧より魂心音が途絶え 父の身体が浮き上がっていった。 いや、もう身体とは言えない。 遺体なのだ。 人間は死ぬと 魂と肉体が分離して 死んだ肉体が重さを失い 宙に浮かんで天国に行くのである。 病室の窓が開けられた。 仰向けになった父の死体が 窓から外に出ていき ゆっくりと漂いながら上昇していった。 魂の縛めを解かれて、父の肉体が昇っていく。 だんだんちいさくなっていく父の姿を見上げながら ぼくは後ろから母の肩をぎゅっと抱いた。 点のようにまでなり、もう何も見えなくなると ベッドのほうを見下ろした。 布団の上に汚らしいしみをつくって ぬらぬらとしている父の魂を 看護婦が手袋をした手でつまみあげると それをビニール袋の中に入れ 袋の口をきつくしばって 病室の隅に置いてある屑入れの中に入れた。 ぼくと母は、父の魂が入った屑入れを一瞥した。 肉体から離れた魂は、 すぐに腐臭を放って崩れていくのだった。 天国に昇っていく きれいになった父の肉体を頭に思い描きながら 看護婦の後ろからついていくようにして、 ぼくは、母といっしょに病室を出た。 Oを●にする ●K、のようにOを●にしてみる。 B●●K D●G G●D B●Y C●●K L●●K T●UCH G●●D J●Y C●●L ●UT S●UL Z●● T●Y 1●● + 1●● = 2●●●● 3●●●● − 1●● = 2●● なんていうのも、見た目が、きれいかもしれない。 まだまだできそうだね、かわいいのが。 L●VE L●NG H●T N● S●METHING W●RST B●X 循環小数 微熱する交番でナオコを直していると、学生服を着た自転車が突っ込んできた。驚いて 目を覚ますと、「うつくしいひととき。」とナオコがつぶやいた。「カフェで、こうして いっしょにいることが?」と言うと、「おれの見間違いかな。」とナオコ。微熱する交番 でナオコを直していると、学生服を着た自転車が突っ込んできた。驚いて目を覚ますと、 「うつくしいひととき。」とナオコがつぶやいた。「カフェで、こうしていっしょにいる ことが?」と言うと、「おれの見間違いかな。」とナオコ。微熱する交番でナオコを直し ていると、学生服を着た自転車が突っ込んできた。驚いて目を覚ますと、「うつくしいひ ととき。」とナオコがつぶやいた。「カフェで、こうしていっしょにいることが?」と言 うと、「おれの見間違いかな。」とナオコ。微熱する交番でナオコを直していると、学生 服を着た自転車が突っ込んできた。驚いて目を覚ますと、「うつくしいひととき。」とナ オコがつぶやいた。「カフェで、こうしていっしょにいることが?」と言うと、「おれの 見間違いかな。」とナオコ。微熱する交番でナオコを直していると、学生服を着た自転車 が突っ込んできた。驚いて目を覚ますと、「うつくしいひととき。」とナオコがつぶやい た。「カフェで、こうしていっしょにいることが?」と言うと、「おれの見間違いかな。」 とナオコ。微熱する交番でナオコを直していると、学生服を着た自転車が突っ込んできた。 驚いて目を覚ますと、「うつくしいひととき。」とナオコがつぶやいた。「カフェで、こ うしていっしょにいることが?」と言うと、「おれの見間違いかな。」とナオコ。微熱す る交番でナオコを直していると、学生服を着た自転車が突っ込んできた。驚いて目を覚ま すと、「うつくしいひととき。」とナオコがつぶやいた。「カフェで、こうしていっしょ にいることが?」と言うと、「おれの見間違いかな。」とナオコ。……言葉 一人の人間が言葉について学べるのも、せいぜい百年にも満たない期間である。一方、 一つの言葉が人間について学べる期間は、数千年以上もあった。人間が言葉から学ぶよ りも、ずっとじょうずに言葉は人間から学ぶ。人間は言葉について、すべてのことを知 らない。言葉は人間について、すべてのことを知っている。 たとえどんなに偉大な詩人や作家でも、一つの言葉よりも文学に貢献しているなどと いうことはありえない。どんなにすぐれた詩人や作家よりも、ただ一つの言葉のほうが 大いなる可能性を持っているのである。一人の詩人や作家には寿命があり、才能の発揮 できる時間が限られているからである。たとえどのような言葉であっても、自分の時間 を無限に持っているのである。
2015年04月06日
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エスカラス (ジュリエットを見て)そなたの方は? 田中宏輔「ロミオとハムレット。」より * 新説「ロミオとジュリエット」 あれから二か月後。キャピュレット家とモンタギュー家の和解。 若い二人の壮大な争議のあとの二か月後。 森の中の洋館。バスタブ。湯気。石鹸の甘い匂い。そこに男女が裸で―――。 ふっと、顔がアップになる。 ジュリエットは言った。「偽装自殺・・・うまくいきましたわね。」 ロミオは言った。「そうだとも。」 ジュリエットは肯いた。「あん。そこ弱いの。」 ロミオは、青臭い詩の台詞よりもさらに巧みな指づかいで、 さながらハーレクインの描写のように、 女の隠された秘湯を責め立てた。うほっ。 原始人みたいな声でロミオは、筒井康隆した。 ロミオは言った。「よいではないか。よいではないか。」 (しかしその野性的な様子が、ジュリエットに火を点けるのだ。 二枚目でナイーヴ。だのに、野性的な男というギャップに。) ジュリエットは悶えながら言った。「でも、そろそろ戻りますか?」 ロミオは言った。「そうだな。そろそろ、金も欲しい。」 ジュリエットは笑った。「―――でも、棺桶を運ばれる時は、どきどきしましたわ。」 ロミオは肯いた。「・・・生きた心地がしなかったな。」 ジュリエットは言った。「あん。いまは――別の意味で・・・」 ロミオは屹立した騎士の剣のようなものを、突き立てた。 頭の中に今日もまた、ささやくような声が聞こえる。・ ・・教会で神に祈った時、僕は本当に死のうと思っていた。 ジュリエットと。もうそれ以外に道はないと。 心中。しかしあの時、われわれの元に、悪魔が現れた。 おお、若いお二人さん、そんな運命を選ぶなら、どうです、 ズルい話聞いてみやしませんか。巧みな話術に、にこやかな笑顔。 悪魔は、自殺を偽装して、隠れろと言う。万事こちらにおまかせあれ。 睡眠薬。そしてロミオとジュリエットそっくりの蝋人形。 驚く僕に、悪魔は言った。なあに、こんなの、 死ぬお二人さんの苦悩に比べれば軽い仕事で。 しかし、と僕は聞いた。お前に何の得がある? いえいえ、得はありますよ。二ヶ月後にね。 ロミオは果てたあと、ジュリエットに言った。 「・・・あれはどういう意味だったのだろう?」 ――二ヶ月後、両家にロミオとジュリエットが現れた。 あれは偽装自殺だのと、言いながら説明するが、 身振り手振りで真剣に説明するが、この気狂い野郎めと、 ぼこぼこにロミオは殴られ、ジュリエットはあやうく犯されそうになった。 二人は路頭に迷って、教会へ来た。 そこに、悪魔は、はじめからわかっていたように言った。 「ああようやく来ましたか。ああ、ひどい目に遭いましたね。 お可哀そうに。」 ロミオとジュリエットは怒りそうになったが、堪えた。 本当に怒るべきは、何も話を聞いてくれなかった、あいつらだと思えたからだ。 「・・・わたしはね、あなた方ふたりを、悪魔にスカウトしたいんですよ。 どうです? これから、あの嘘つきのキャピュレット家とモンタギュー家を、 破滅させてやりませんか。親なんてもういらないでしょう。あなた方、 ふたりは愛し合ってる。愛のための聖なる戦いだ。どうです?」 悪魔は、とても残酷に笑った。 「・・・悪魔ってのはね、本当は天使のことなんです。 どうしてわたしが、こんな見た目をしてると思います? それはね、本当に心があるからですよ。心があるから、 外面なんて気にしない。そういうことですよ。」 でもしかし、親を破滅させる、親殺しをするというのは――。 悪魔はけたけたと笑った。 「じゃあ、あなた方は死ぬんで? それで、一切何の恨みもないんで? でしたら、どうしてここへ? 人がもし、親や子というなら、 人がもし、愛だの平和だのと言うなら、どうして、 お二人は泣いてるんで? 辛い人生の場面に立つんで?」
2015年04月05日
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公園でも 吹き出しちゃったよ。 あまりにえげつなくってね。 フホッ。 田中宏輔「100人のダリが曲がっている。」より * 家庭の中のあまりに情操すぎる教育 「うさぎさん可愛いね。」とお母さんは言った。 「うさぎさんかえして、うさぎさん、かえして。」 うさぎさんをいじくりながら、お母さんは言った。 「でも、こんなうさぎいないからね。」 えぐっ! 子供の夢、全面否定! 「それに、こんなに簡単に、 いじくられたら、すぐに、 矢で殺されてしまう。」 どうして殺される前提の話。 「おかあさん、おかあさん。 いつものうさぎさんごっこ!」 「・・・はいはい、うさぎですよ。」 めっちゃ、やる気ない! 「・・・うさぎさん、どうしたの?」 「――おとうさんの給料が少なくて、 お母さんと喧嘩してるのよ。」 どうしてそんな舞台設定のうさぎ! 「安月給! 甲斐性なし!」 「・・・うさぎさん?」 急にうさぎさんが、うずくまったのだ。 「いま、ドメスティックバイオレンス中。」
2015年04月05日
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みんな 考えることが おっくうに なったので 頭を はずして かわりに 肩の上に 鳥籠をのっけて 歩いてた 田中宏輔「鳥籠。」より * KAMOME STUDIO「いずうさ、今日はちょっと白鳥でやってみる。」 鳥でいえば白鳥、 オハヨウゴザイマス。 なんだか近頃、 アメリカン・スクールで、 モオツアルトばかり、 聴いてた頃を思い出す。 アド・バルーンなんだ、 あたし。帰国子女のいずうさ。 (アメリカ? あれあたしの庭よ。) 光の交響曲と、 渦巻ける鳥の群れ。 そして仮想人物のパニック。 ・・・鳥で言えば、 かもめの奴がなんか言ってる。 三文オペラ。 永遠なる口笛。 あの人も飽きないね。 ・・・鳥で言えば鳩の顔した奴が、 スマートフォン覗きこんでる。 「(それは餌じゃないぞ。)」 「(それは豆じゃないぞ。)」 やれやれ、馬鹿だからわからない。
2015年04月05日
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ちっとも 鳴きやまなかった だから、ぼくは コンパスの針で刺してやった ノートの上に くし刺しにしてやった そうして、その細い脚を カッターナイフで刻んでやった 田中宏輔「虫」より * 虫のくせに・・・ この街はいつも何処かで涙と溜息を、 明晰な文字の中に置いてゆく。 それが白骨なのだと。恐ろしい様相で右へ左へ、 上へ下へ。しずかに崩れおちてゆく嘘の感覚は、 途切れることもないまま、雪が降るのを見ている。 ――また問題が起きた。計算結果に問題が起きた。 「・・・この街でまた誰かが死のうとしている。 肉や皮膚を腐らせようとしている。」 (――虫が・・・) この街はいつも、結ばれないまま捨てられる。 冷えた血は、不幸や生きる叫びに粘着く。 それでも書類は作成され、記入洩れがないかチェックし、 判子が押される。 誰かが言った。 「蛇口からはじけ出す、ビー玉なんだよ、本当は。 ある崖上の感情で、痩せた忘れえぬ非凡な蝋燭の揺らぎ。 壊れやすいんだよ。でも、光と音は、それを水にする。」 「・・・この街に、陽が射すと、風が動きだす。 葉の動きとして。無数の瞳が、道路を。看板を。 標識を、思い出す。でも、きらきらとした光を、 面倒臭いもののように、必要のないもののように、 見つめながら、歩いてる、歩いてる、人、人――」 (虫のくせに・・・)
2015年04月05日
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ダメ? ダメかしら? そうよ。 牛は牛の顔してるし、馬は馬の顔してるわ。 あたりまえのことよ。 でもね、 あたりまえのことが面白いのよ。 田中宏輔「死んだ子が悪い。」より * 遠い目をして君は笑う、 そこは紙の中の白い曠野で I have far-off eyes, and you laugh, There is white wasteland in the paper かすかに冷たく、あるかなきかの重力にやられて、 僕は苦悩と喜びを再生してゆく―― やたら、かなしい夢をみたよ めちゃめちゃ胸を掻き乱されるんだ Getting nowhere...... Getting nowhere... やたら、かなしい Getting nowhere...... Getting nowhere... 集中できなくて、女の顔を思い出す ほら、何か似てる 待ちぼうけの街で夕陽の燐寸で僕は胸に火を点ける・・・ 待ちぼうけの街で夕陽の燐寸で僕は胸に火を点ける・・・・・・・
2015年04月05日
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そして、わたくしは? わたくしは 、、干からびて死んでいく ウミガメの子が見た 、夢だっ た 。 田中宏輔「亀の背に乗って帰る。」より * ひと雫ずつ滑稽に水が落ちる 夢なしの底なしの穴 わたしだけがわたしだけが 痛い わかるはずも――――――
2015年04月05日
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天国は激しく求め合う。 天国は激しく求め合う。 七月の手のひらのなかで 田中宏輔「こんなん出ましたけど。」より * あめのひは、かさをこわす。 ねこと、つめのとぎあいをする。 おいで、おえおえ、うー。 おかあさん、しらないのね、 おっくれてるわ、 これが、いまどきの、もだんよ。 あめのひは、ごりんじゅう。 ねこと、ごりんじゅう。 おいでおいで。 きょうは、まんどらごら、と、きすしたい。 ひっこぬくと、かえるのかおになる。 そういうのが、もだんよ。 かんちがいしてる。 それはちがいます。 いいじゃない、あたし、そうおもうんだから。 あめのひは、らせんかいだんのぼる。 ねこは、こうもりになる。 おいで、おえおえ、うー。 おばあちゃん、あの、ねこ、 あなたににてるのよ。 いつねこになったの、おしえて。
2015年04月05日
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さて、さて、さて (キリル・ボンフィリオリ『チャーリー・モルデカイ1』2、三角和代訳)ところで、 (ジェイムズ・P・ホーガン『造物主(ライフメーカー)の掟』小隅 黎訳)きみ (コナン・ドイル『ボヘミアの醜聞』1、阿部知二訳) 田中宏輔「HELLO IT'S ME。」より * それなりに情けなくて 煙草臭い息を吐くたびに 運命というものを笑いたくなるよ タール (僕はそうやって逆さづりになった、 自分を見てるんだ。) 濃厚な匂いのエッセンス・・・・・・・・・ ―――懐かしいオーデコロン。 「砂」と「水」と「果物」で 出来ているみたいに タール (声を立てて笑ったように聞こえた一瞬) 高速回轉する星 引っかかりなんてないんだ自由なんだ 突き抜けるしかないんだ回り続けているしかないんだ ――それが無音の世界の透明な微塵になることでも、 魔法の終わりの訪れでも、そしてそれが僕のいのちの終わりでも、 僕は最後までときめく色合いの演技を続ける。 ・・・・・・・・・声は届いているの ・・・・・・音楽は届いているの ・・・・・・・・・君なの ・・・・・・ねえそれは君なの
2015年04月05日
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もうひとつの昨日にいるのかもしれない。 (ジェラルド・カーシュ『ブライトンの怪物』吉村満美子訳)同じ夢を見ていたのだろうか? (イタロ・ズヴェーヴォ『トリエステの謝肉祭』8、堤 康徳訳) 田中宏輔「YOU TAKE MY BREATH AWAY。」より * 洗濯 人生の大半は退屈なこと わたしたちはあきれた そこで靴下を脱ぎ 蒸れた足のにおいをかいでいる 犬みたいな貧しさ 人にやさしくする 人に―― 思う以上に わたしたちは わたしというエゴに 苦心惨憺しているらしい 名前を無数に連ねた 引用の海 肖像は水に浮く 帰れない海のくらげたち
2015年04月05日
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しきりに電話が鳴っていた。 (コルターサル『石蹴り遊び』28、土岐恒二訳)まだうとうととしながらも (プルースト『失われた時を求めて』囚われの女、鈴木道彦訳)わたしは受話器をとりあげた。 (ボルヘス『伝奇集』第I部・八岐の園・八岐の園、篠田一士訳) 田中宏輔「カリカリ・トーストと海亀のスープの物語。」より * 田中君は青ざめた顔をして、 (井伏鱒二「黒い雨」)前の穴を吉沢にこねまわされながら、 (日比盛一「女教師隷従の契り」)音楽の聞こえてくる、静かな、悲しい夜が、 (アディ・エンドレ「新詩集」訳:原田清美)あたふたと家を飛び出し、 (高見順「故旧忘れ得べき」)ただ北風が運んだ白雪に包まれた姿は (村田辰男「母の死」)さまよいはじめた耳の奥で (岩木誠一郎「しろい月」)女生徒たちが顔を近づけ話しかけてくる (筒井康隆「秒読み」)・・・(それ)は (安土萌「水底」)黒い巨大な網のような眠り (村上春樹「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」)
2015年04月05日
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詩:田中宏輔さんツイッター:田中宏輔 @atsusuketanaka転載:詩集『ツイット・コラージュ詩』思潮社(オンデマンド)よりイラスト:サトウアツコさんツイッター:サトウアツコ @YearMoon 希望の大地 『あたらしい祈り』より トウモロコシ畑が黄金色にキラキラと輝いている。 一粒一粒の実から潜望鏡がのぞいている。 死んだ者たちが小人の幽霊となって、 一粒一粒の実のなかから潜望鏡でのぞいているのだ。 百億と千億の潜望鏡のレンズがキラキラと輝いている。 トウモロコシ畑が黄金色にキラキラと輝いている。
2015年04月04日
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