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2012年11月07日
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カテゴリ: 仕事
このテーマで最後に書いてから、もう1年たってしまった。

やっぱり中途半端だなと思い直し、書き始めている。
今日書くことは、 私の仕事遍歴2「心身障害児の療育指導員その2」本文 の補足みたいなものである。

私は、ハンディを持つ幼児とその親たちとの出会いで、
大切なことをたくさん教えてもらった。
当時もその自覚はあったけれど、それ以上に自分の力量不足が申し訳なくてならなかった。
地区会館の一室で始まり、たった一人の指導員として始まったその仕事も、

行政の役割としてクローズアップされるようになってきた。
重度心身障害児は学齢期になると、「就学免除」という制度があり、
一部の学校が併設された施設などに入所する以外は、子ども同士で学ぶ場もなかったのだが、
親や関係者の努力や陳情の成果もあり、どのような子供も就学できるようになった。
しかし、一般の小中学校にすぐに入学できる体制はなく、
多くは「訪問学級」ということで、週に数度先生が訪問してくれるという程度ではあったが、
それでもどれほど重度の子供でも、その成長発達をその子に応じて支援するということは、
私たちにとってはとてもうれしい一歩であった。

私達の町でも、当初は「社会福祉協議会への委託事業」であったものが、
市の事業として小規模な障害児通園センターも開設が検討されるようになった。
それまでは「肢体不自由児、知的障害児、情緒障害児」など全部受け入れてきて、

お母さん達とそれぞれの専門家の意見を聞きながらではあるが、
ない知恵を絞ってそれぞれの発達を促そうと頑張っていた。
私や親の会の人たちは開設当初から、何度も何度も福祉事務所の担当者には、
「こんな状況では、だめです。これは一時しのぎです」と言っていたし、
大都市の「障害児訓練センター」のようなものを作る必要は伝えてはいた。

それでも、社会の動向や、近隣の市町村の動きに連動する形で、
7年目にやっと、障害児通園センターが開設される見込みとなったのだ。

今思い返すと、当時の私はいじらしいほど精一杯ではあったが、
常に私の心を苦しめていたのは
「専門家でもない私が、こんなことをやっていていいのか」という思いと、
遅々として成果の伴わない状況に、(それぞれの子供のこともであるが、行政の対応の遅さも)
「私がやっているからダメなのだ」という辛さであった。
かといって、その時の処遇では次の人にバトンタッチとはいかない状況もあった。
せめて、幼児教育についての資格をと「保母資格」を試験で取ったけれど、
私はもっと「障害児についての専門知識」がほしかった。
まとまった研修を受けたくても、家庭では二人の子育てに追われ、そんな余裕もなかった。
ぐるぐる考えると「やっぱり、私には無理だったんだ」という結論にしかいきつかない。

障害児訓練センターの開所に合わせて、
それなりに障害児教育・療育を学んだ人が市職員として採用される気配となったため、
「やっとこれで辞めることができる」と思った。
しかし、新人ばかりでは困るのでということで、
1年間だけの約束で新しいセンターで働くことになった。
しかしその1年は、私にとっては別の意味で辛いものだった。
肢体不自由児部門は、私と保育士一人が担当。
知的障害児・情緒障害児・言語障害児部門は、
〇〇大学の障害児教育課程の教授や、その学生や卒業生たちが担当することになった。
はっきり言って、大学の学閥の中にポツンと入り込んだ感じだったのだ。
さらに、大学というものは「研究と教育」が重要視される。
研究とは「仮説と証明」によるものだから当然ではあるのだが、
大学関係者の子供たちへのまなざしが、どうにも私には違和感があった。

私は「肢体不自由児部門担当」ではあったが、
幼児の場合、体の障害だけが問題ということはほとんどない。
言語や精神発達などはもとより、障害が重度であればあるほど、
知的・情緒的・言語的なことは当然として、
視覚・聴覚などにまで課題を含むのがほとんど。
最初の頃は、専門家や大学の先生たちが身近にいることを喜んだが、
その期待も束の間のものだった。
詳細は省くが、私にとってはさらなるコンプレックスの戦いと、
子ども達を「研究・実験対象」に扱っているように感じる違和感と、
違和感すらも自分の知識のなさによるものかもしれないという葛藤とで、
1年の後半は、職場に行くことが辛いという、ほぼ「職場拒否状態」に陥った。
私はただ義務を果たすだけに職場に向かい、
子どもたちやお母さん達の前では、辛さを表情に出さぬよう笑顔の仮面をかぶり、
大学関係者とは必要以上の話もせず、かといって職場環境が悪くならないようにと
言いたいことも言えずに不満をためこんだ。

結果として、その仕事を辞めた時には「責任を果たした」という充足感はなく、
「これで明日からこの玄関をくぐらなくていい」という安ど感こそあったものの、
逃げ出してしまったような後味の悪さが私の心を苦しめた。
それは、主観的には「挫折」以外の何物でもなかった。

こうやって書いていても、本当に私って開放的・楽天的なタイプじゃないと思う。
自分でできないことを、周囲のせいにしてしまう傾向もある。
当時の「自己嫌悪感」が、改めて蘇ってきてしまった。






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最終更新日  2012年11月08日 10時11分59秒
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