全28件 (28件中 1-28件目)
1
「なつかしい町並みの旅」吉田桂二 新潮文庫 この前の香川のうどん巡礼に出向いた際に古本屋で買った一冊です。表紙は大分県臼杵である。一度歩いたことがある。一目見て「あゝ懐かしい」と思った。ところが、何処にも表紙絵の説明が無い。著者が文章で取り上げているのは、臼杵の少し北の杵築なのでなおさらである。しかしスケッチの中にある「一の井手」という銘酒の看板を検索して確信した。 著者の絵はプロ級だけれども、職業は一級建築士である。それは、町並みのスケッチと共に綴られいる文章を読むとよく分かる。 「瀬戸内型の町家の形を写生すると、屋根は本瓦葺の入母屋(いりもや)形、下り隅棟(すみむね)の先をはね上げ、大棟の先端は鬼板(鬼瓦)でとめ、その上に鳥衾(とりぶすま)という細丸瓦が天を指すように据えられる。細丸瓦ではなく、帆掛け船の帆をかたどったもの、鯱型も多い。豪壮で重量感のある屋根だ。壁は蔵造りか塗屋造りで、白漆喰が原則だが黒もある。一階の開口部は連子格子(れんじこうし)、二階は塗り回しの虫籠窓(むしこまど)が普通だ。端的いうとお城と同類のつくりである。」(150p広島県 鞆の章) 今ではなかなか使われない建築用語のオンパレードである。反対に言えば、とても勉強になる。ここに採用された町並みに行きたくなる。 しかし、日帰りで行けそうな所(広島県鞆の浦、岡山県吹屋、京都伏見)は何度か行ってブログでも紹介した所だった。それでも文章読むと大いに参考になった。また行きたくなる。 祝島も採用されていた。石塀の説明も具体的。そして、謎だった塀が建物にくっつく造り方の原因を推測して「用地が狭い」「風雨が激しく、石塀と建物を一体化して強靭な外壁として利用している」と書いている。新しい知見である。しかも、船で運ぶから大変な出費なはずの屋根が全て本瓦なのは、風雨に対して強い屋根が欲しかったせいだろうと喝破している。なるほどである。もちろん著者が祝島に最後に行ったのは1979年。上関原発で話題になる以前である。 ここで採用されている所で行きたいのは、東北の羽黒手向、関東の山奥の稲荷山、奥丹後半島の伊根、奈良の大宇陀、大分の杵築、対馬の厳原、天草の西の果て崎津などであるが、いずれも大旅行をしないといけない所だ。 とりあえずの目標は江戸時代初期に銀山で賑わい、江戸が人口40万の頃になんと人口20万人を数えたという島根県大森に行くことにしよう。 2014年1月18日読了
2014年01月31日
コメント(0)
「The MANZAI 6」あさのあつこ ポプラ文庫 ぼくは秋本が好きだ。感謝している。この街に来なかったら、秋本に出逢わなかったら、ぼくはこんな風に前を向けなかった。頭のあげ方を、笑いながら歩くことを、まっ、いいかと開き直ることを、他者の笑いをエネルギーに換えることを、まっすぐに他人に向き合うことを、自分を信じていいんだということを、一人で生きることを、誰かと生きていくことを、お好み焼きの美味しい食べ方を、リフティングのコツを、グラスの洗い方を、キャベツの芯が意外に美味いことを、人間がうざくて熱苦しくて、だからこそ、面白くてかけがえのない存在なのだということを、ぼくは秋本から教わった。みんな、どれもこれも全部、秋本が教えてくれた。 だけど、反対だってあるはずだ。 ぼくが秋本に教えた何かが、与えた何かがあるはずだ。あると信じたい。信じなきゃやってられないじゃないかよ。(184p) 最終巻だから、歩くんが心の中でこんな風に呟いてもいいじゃない。友情の純粋な部分をチラリと見せてくれたって、いかにも気恥ずかしくて本人の前では間違っても気取られてはいけない男の子らしい告白を見せてくれたって、まあ許してあげましょう。 五年前に読み始めたポプラ文庫創刊時のシリーズの結末部分が、ポプラ文庫らしいこのような少年の友情物語で終わってホント良かった。 5巻の正月のドタバタを読んでいた今年の7日までの時に、私の私的リアルでも、やっぱり私の長引いた歯痛や叔母の入院や叔父の兄の急死やなどたった一周間の間に暗くなることもあったけど、そしてこの6巻の中でも親しくなったおばあちゃんの急死や秋本の出生の秘密やらあったけど、私の歯痛は急激に痛みが緩和し、叔母の容態は安定し、お兄さんの葬儀は恙無く済んで、この物語もそれぞれは爽やかに終盤に移った。マア、世の中も物語も完全ハッピィエンドなんてありはしない。 2014年1月12日読了
2014年01月30日
コメント(0)
「成長から成熟へ」天野祐吉 集英社新書 去年の10月に亡くなったCMコラムニストの天野祐吉さんの最後の著作である。刊行がなくなった日のちょうど一ヶ月後なので、さぞかし悲愴な決意の遺作かと思いきや、闘病のあとは一切見せない、天野さんらしい、わかりやすい言葉で鋭く世相と世界を切り取り、方向性を示した好著になっていました。 ブロローグで「世界は歪んでいる」と言って以下の事を例に出しています。 マスク人間の増殖、原発再稼働、テレビショッピングの横行、福袋のブーム、利点よりも失われるモノが多いリニア新幹線。 この「おかしさはみんな、いまの世の中の入れ物自体の歪みからきているんじゃないか」と著者は言うのです。 その入れ物は、大量消費社会という入れ物です。大量生産・大量消費という巨大なシステムから、次々に吐き出されてくる膨大な種類と量の商品やサービスを、ぼくらは否応なく消費させられる社会に住んでいます。 はじめのころは、それはぼくらの生活を快適にしてくれるいい面がありましたが、いまやそんな物やサービスがあふれかえって、福袋くらいしか買う物が思いつかない世の中になってしまいました。それでも経済成長を持続するためには、大量生産・大量消費の歯車を止めるわけにはいかない。なぜって、国民の消費支出、つまりぼくらがモノやサービスを買うことがそのまま経済成長につながっているからです。が、この仕組みがいまや限界にきて、音を立てて壊れようとしている。 それがいまの世の中のいろいろなところで、さまざまな歪みになって現れてきているというわけですね。 ついでに言うと、十数年前からしきりに言われてきたグローバリズムというのは、その行き止まりをこわすために、地球上をぜんぶ一つの市場にしてしまおうということのようです。大量生産のはけ口を、途上国に求めていこうということですが、これもいずれは行き詰まるのが目に見えています。つまりは、どうやっても限界ということで、そこまでいったときには地球上は、楽園どころか、地域文化も何も押しつぶされた一面の荒野になってしまうんじゃないでしょうか。 それともう一つ、ぼくらが住んでいるこの大量消費社会というのは、都市化社会と表裏一体というか、大量消費社会を一ヶ所に圧縮したのが都市化社会というものじゃないかと思います。(略) もともと"生活"は再上限を求め、"生存"は最低限を求めます。誰だって、生活の豊かさは再上限を求めたい。が、それを求めつづけると、あちこちで無理が起きてきて、守るべき生存の最低限が危うくなってくる。いまはまさに、生存の最低限がおびやかされている、それも臨界点のところまでおびやかされているときだと、言っていいように思います。(21-24p) 広告の世界から、「そのままいくと危ないぞ」と批判する目をずっと持って来た著者の止むに止まれぬ「警告」が、ここにある。 著者はしかし、広告を発注する会社たちにもずっと寄り添って、どうやったら折り合いがとれるか考えできたのだと思う。その結論が 「成熟社会」ということであり、 「脱成長」ということであり、「老楽国家」ということであり、「再ローカル化」ということであるのだと思うのです。 その詳しいことは、天野さんのお勧めする参考書物を読まねばならない。しかし、大企業と庶民とのパイプ役として「ご意見番」として半世紀を生きた人の「遺言」は傾聴に値すると思うのです。 (BOOKデータベースより) 六〇年にわたり広告の最前線に立ち会った著者が語るその内幕と功罪。そして成長至上主義が限界を迎えたいま、経済力や軍事力のモノサシで測れない成熟した社会のために広告ができることを提言する。 プロローグ 世界は歪んでいる/第1章 計画的廃品化のうらおもて(電球の寿命は一〇〇〇時間?/それはヘンリー・フォードから始まった ほか)/第2章 差異化のいきつく果てに(アメリカ・アメリカ・アメリカ!/人生は広告を模倣する? ほか)/第3章 生活大国ってどこですか(「広告批評」の創刊/広告を広告する ほか)/エピローグ 新しい時代への旅(くたばれ中央集権/広告はどうなる ほか) 2014年1月12日読了
2014年01月29日
コメント(0)
籾井会長に抗議文のハガキを送りました。 〒150-8011 NHK放送センター 籾井勝人会長宛てで届くそうです。 以下問題の会見やり取り(朝日新聞より) NHK籾井会長会見の主なやりとり NHKの籾井勝人新会長の25日の記者会見での主なやり取りは次の通り。 NHK籾井新会長「従軍慰安婦、どこの国にもあった」 私の任務はボルトやナットを締め直すこと。放送法を順守しながらいろいろな課題に取り組んでいく。 ――尖閣諸島などの領土問題について、国内番組で日本の立場を伝えたほうがいいという考えか。 日本の明確な領土ですから、これを国民にきちっと理解してもらう必要がある。今までの放送で十分かどうかは検証したい。 ――国際放送では日本の立場を政府見解そのままに伝えるつもりか。 国際放送は国内とは違う。領土問題については、明確に日本の立場を主張するのは当然のこと。政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない。 ――靖国神社の参拝と合祀(ごうし)についての考えは。 総理が信念で行かれたということで、それはそれでよろしい。いいの悪いのという立場にない。行かれたという事実だけ。 ――NHKの報道姿勢としてはどうか。 ただ、淡々と総理は靖国に参拝しましたでピリオドだろう。 ――正月の番組で印象に残ったものは。 どの局も一緒。NHKをできるだけ見た。他社の番組も見た。それほど、これがよかったというのは用意していない。 ――慰安婦を巡る問題については。 戦時中だからいいとか悪いとかいうつもりは毛頭無いが、この問題はどこの国にもあったこと。 ――戦争していた国すべてに、慰安婦がいたということか。 韓国だけにあったと思っているのか。戦争地域にはどこでもあったと思っている。ドイツやフランスにはなかったと言えるのか。ヨーロッパはどこでもあった。なぜオランダには今も飾り窓があるのか。 ――証拠があっての発言か。 慰安婦そのものは、今のモラルでは悪い。だが、従軍慰安婦はそのときの現実としてあったこと。会長の職はさておき、韓国は日本だけが強制連行をしたみたいなことを言うからややこしい。お金をよこせ、補償しろと言っているわけだが、日韓条約ですべて解決していることをなぜ蒸し返すのか。おかしい。 ――会長の職はさておきというが、公式の会見だ。 では全部取り消します。 ――取り消せない。 会長としては答えられないが、それだとノーコメントばかりになるから「さておき」と言って答えた。 ――秘密法については。 世間が心配していることが政府の目的であれば大変だが、そういうことはないだろう。秘密法は政府が必要と説明しているので、様子を見るしかない。あまりかっかかっかすることはないと思う。 ――強い反発があった問題だが。 色々な意見があっていい。政府の中にはメディアは反対ばっかりで、賛成があってもいいという意見もある。 ――番組に対して、自身の考えを反映させたいという思いがあるか。 ない。私がどういう考えであろうがなかろうが、放送法に基づいて判断していく。 ――政権の意向を代弁したいと考えるか。 ない。放送法と何度も言っているのは、それがあるから距離を保てるということ。私の発言は、政府からふきこまれたわけでも何でもない。
2014年01月27日
コメント(2)
ビックイシュー231号(1月15日発行)をゲットしました。 岡山天満屋前の販売者さんに「どうですか?」と聞くと、「11月にテレビで取り上げてくれて、なんとか売れ出したとのこと」けれども、正月は2日から立っているし、この日も7枚も服を着ているそうで、まるでダルマのようでした。安定した生活まではまだ遠そうでした。 さて、今回の表紙はジュディ・デンチです。今や英国を代表する大物女優で、ずっと昔からのスターなのかなと思っていたら、ブレイクは案外最近。63歳の時の「恋に落ちたシェイクスピア」(’98)のわずか8分のエリザベス一世でオスカー助演女優賞を獲ってからだという。昨年末に79歳になった。しかし、老いてますます様々な作品に出ている。「007シリーズ」の上司「M」(「スカイフォール」では主役級の働きをしましたよね)、「マリーゴールドホテルで会いましょう」(’12)では、全裸を見せたり第二の人生を歩んだりしている。今度の作品「あなたを抱きしめる日まで」は奪われた息子を50年間探し求める母を演じているし、次回作の「マリーゴールド」の2では、ダスティン・ホフマンと共演するらしい。老いてますます輝くということは、どういうことか。彼女が体現している。 映画といえば、「鉄くず拾いの物語」が来たら、なんとかして観ようと思っている。貧困をテーマにした、とってもすごい作品らしい。これが「ロマ」という「ヨーロッパ最大の少数民族」の人々の実話だということは知らなかった。彼らは領土というものを一度も持ったことがないが、ヨーロッパ各地にいて、推定800〜1000万人いるそうだ。彼らの80%が貧困ライン以下の暮らしをしているらしい。寿命はヨーロッパ平均より10-15歳短く、15%が常に飢えと闘っているそうだ。 民族差別は、右傾化が進む日本でも対岸の火事ではない。想像力はゼロからは生まれない。 新シリーズ「若者支援の現場」も始まった。総務省調べで、現在15-34歳の若者人口は2855万人。そのうち学生や専業主婦などの非労働力人口は978万人。労働力人口1875万人のうち、失業者は134万人である。フリーター183万人。ほとんどは非労働力人口の中にいるが、ニートは約60万人である。 政府は05年に出来た就労支援事業の地域若者サポートステーションを廃止する予定だという。昨年末成立した生活困窮者自立支援法には、所得制限が設けられか親の家にいてようやく生活が成り立っているボーダー層」が排除される可能性が高いそうだ。 個人は家族で支えるものだ、というのが安倍政権の考え方である。そういう「共同体」はとっくの昔に自民党が壊して回ったというのに。 ホームレス人生相談もいつも素敵です。 「去年は身内の不幸や、家族の不仲、恋人との別れ、仕事の失敗など続いた。今年こそ、いい年にしたい。心がけることは?」 (略)僕、今57歳なんだけど、いいことばかり続いたら、次は悪いことがくるように、人生ってできているのかもなぁって最近思います。あまり若いうちから、いいことばかり続くよりも、そこそこの不幸がある、そこそこの人生のほうが歩みやすいのかな、なんて。(略) いやあ、いいですね。
2014年01月26日
コメント(0)
「デモクラシーを研ぎなおす」唯物論研究年誌第18号 大月書店 インタビュー「社会運動から政治へ 弱者救済のためのリアリズム」宇都宮健児 ( 2013.3.7記録) 宇都宮健児さんの著書は最近「わるいやつら」(集英社新書)が出て、クレサラ問題(クレジット・サラ金問題)については多分そこで詳しく語られているとは思う。 しかし、2012年12月の東京都知事選についての「総括」を本にしたのは(今月刊行の)「希望社会の実現」(花伝社)以外では、図書館で借りることのできるのは多分この本以外にはないのではないか。 30P足らずのインタビューではあるが、宇都宮さんがいかにリアリスティックに政策の実現に向けて運動を進めてきたかが分かる。 クレサラ問題も、法案成立は2006年、小泉新自由主義政権の真っ只中だった。しかし、宇都宮さんは労働組合、日弁連、地方議会などをフル活用して、徹底的に国会対策を行った。もちろん、自民党内の抵抗勢力、アメリカの圧力などもあった。しかしサラ金業者は案外ケチで議員の買収を大々的に行わなかったのも幸いし、マスコミ対策も徹底し、「国民のため」という当たり前のことが通じる当時の小泉チルドレンたちの協力も得て、多数派工作に成功するのである。 市民運動の問題点についても敏感だ。「院内集会をする時に楽な共産党議員に部屋をとってもらうことはよくない」という。与党の国会議員にとってもらえば、与党議員がきてくれる。あるいは「地元で集会をやる際に、国会議員に働きかけるのであれば、東京以外は国会期間中は土日にやらなければならない」という。好き嫌いで、運動をしてはならない、と言っている。 日弁連会長の時に3.11が起きた。単に意見書や声明を出すだけではなくて、実現させる立法活動を行っている。相続の承認または放棄を三ヶ月より先に延長させる法律、災害弔慰金支給対象を一緒に暮らしていた兄弟姉妹まで拡大する法律、義援金を債権者が差し押さえるのを禁止する法律、二重ローン対策立法、子ども被災者支援法等々等々である。この時に宇都宮さんが日弁連会長で本当に良かった、と私は思う。 そして一年と少し前の都知事選である。宇都宮さんは「無党派層に思いが届かなかった」と認めながらも前向きに総括していた。 あらゆる面で、反動的な政策が進められている中、「リベラル勢力が、政治的イデオロギー的立場を超えてつながることが重要になっている」という。 そのための「正しい情勢分析」だけではなく、「運動を広げるための方法・運動論」の発展を訴えている。 残念なのは、宇都宮さんにとりおそらくそのための準備はあまりにも短かったのだろうということだ。 しかし、方向性は、私はこれでいいと思う。 今回も厳しい。しかし、勝機はあると思う。先週の朝ズバで、電話アンケートでは肝心の無党派層では宇都宮、舛添、細川が拮抗していた。選択基準も、脱原発は第三位、オリンピックは下位、福祉や雇用が上位に入っていた。マスコミ誘導の「人気投票」に陥ることがなければ、勝てると思う。 2014年1月25日読了
2014年01月25日
コメント(0)
宇都宮健児さんの政策の続きです。 4.教育現場への押し付けをなくし、すべての子どもたちが生き生きと学べる学校をつくります。 (1) すべての子どもたちが平等に学べる学校、教育をつくります ○格差なく学べる教育の無償化を進めます。 義務教育の無償化を実現し、教材費、給食費、制服代なども無償とします。 公立高校授業料の無償化を継続し私立高校の所得制限付き授業料無償化を導入します。 高校に給付型奨学金を導入します。 統廃合の結果、全日制高校の進学率は90%を割っています。全日制高校、定時制高校の増設により、子どもたちの高校で学ぶ権利を確保します。 ○障害のある子どもたちの教育を受ける権利を保障します。 石原都政のもと切り捨てられてきた特別支援学校を10校から20校増設します。 ○東京の子どもたちが通える都立短大を創設します。青年の就職につながる資格取得が安価でできる、教育、福祉、保育、医療、モノづくりのための教育に重点をおいた学校とします。 ○私立大学入学者への授業料補助制度、給付型奨学金制度を導入します。 (2) 競争の教育に歯止めをかけ、すべての子どもたちが生き生きと学べる学校を再建します ○小中学校における学校選択制、学校統廃合、小中一貫教育、全国学力テストなどを検証します。 ○子どもと教師との間の人間的触れ合いを実現するのに不可欠な少人数学級を実現します。 ○青年期(12歳から18歳)にはどんな教育が必要かを、現場の教師や専門家を集めて議論し、それに基づいて高校入試をより競争的でないものに改革します。 (3) 伸び伸びとした教育が行われるよう、教育の統制、教育現場への押しつけをなくし、教職員が子どもの教育に打ち込める環境づくりをすすめます ○安倍内閣が「教育再生」の名目で推し進めようとする教育の統制、押しつけに反対し、自由な教育を守ります。 教科書検定基準の強化や道徳の教科化に対して、教師、市民、保護者、子どもがともに検討していく機会を保障します。 現場の声を生かした教科書採択制度を導入します。 ○子どもたちの自主性を重んじた学校づくりに不可欠の教育の自由を復活、強化します。 学校儀式における「日の丸・君が代」を強制し、あるいは職員会議における挙手を禁止した通達など、石原教育改革によるさまざまな抑圧的な学校管理・教員管理政策を見直します。 校長権限の拡大、副校長・主幹制などの組織改編は、平等な教育集団の形成という視点から見直します。 ○教職員が生き生きと子どもの教育に打ち込める環境をつくります。 教員の多忙化を緩和できる教員配置基準を導入します。 都独自の教員給与体系(人事考課制度とリンクした)を改正します。 (4) いじめ、体罰のない学校をつくります ○いじめの実態の調査を緊急に行い、専門家の総力を挙げて、都がやるべきこと、対策を検討します。 教師と父母も参加した「東京都いじめ問題対策会議」を設置し、総合的な対策の立案と推進をおこないます。 ○人権教育の徹底をおこないます。 子どもの権利条約を教職員、子どもたちが共有していくための学びの場を設けます。 ○教職員が集団で子どもたちに向き合う自由でゆとりのある環境をつくり、いじめの起こりにくい教室をつくります。 学校におけるクラス規模を縮小(30人学級の実現と20人学級に向けての改革)教職員と子どもたちがより密接に関係を持てるようにします。 (5) 生き生きした学校づくりのための教育行政と教育運営を民主的なものに変えます ○安倍内閣が進める教育委員会制度の改変に反対し、教育委員会制度を政治に従属させることなく、教育に民意を反映できるように改善・強化します。 教育委員会の準公選を実施します。 ○学校運営を上からのトップダウンでなく、現場の総意・工夫が生きるものに作りかえます。 石原都政下で縮小された職員会議の地位を強化し、現場の声を学校運営に反映する仕組みを復活させます。 ○石原都政下で改正された教育基本方針を、教育現場の当事者と市民の参加をえて、憲法、国連子どもの権利条約、国連障害者の権利条約などをふまえて改訂します。 (6) 大人になっても学べる東京をつくります ○区市町村の公民館・公立図書館の施設と機能の充実に努めます。 ○大学、高校などと連携しながら、多様な社会教育を無償で受けられるネットワークをつくります。 5.安倍政権の暴走ストップし、憲法を生かし、アジアに平和を発信する東京をつくります。 (1) アジアに平和と核廃絶を発信するまち東京をつくります 1.東京からアジアに平和と核廃絶を発信します。アジアの諸都市と連携し、地域の平和をめざします ○東京、北京、ソウルの3都市を結んで、平和と環境の国際会議を都民参加で開催します。 ○東京、北京、ソウル3都市とASEAN10カ国の首都との交流を通じて、武力によらない紛争解決の規範づくりをめざします。ASEANには、すでにその規範の原型があります。 ○東京から核兵器のない世界を発信します。 全世界で5860都市の首長が加盟している平和首長会議に東京都知事として加盟します。 2.靖国参拝、集団的自衛権などアジア諸国の対立を煽る安倍政権の政治を東京から変えます。 ○特定秘密保護法の廃止をめざし、「知る権利」のモデルとなる東京をつくります。 東京都公文署管理条例を制定し、都政に関する情報の隠ぺい、廃棄を防ぎ保存させます。 東京都公文書館の施設と機能を拡充し、都民がアクセスしやすい施設にします。 ○安倍首相の靖国参拝に抗議し、「戦争の記憶」を風化させず、次の世代に受け継ぐための取り組みを市民の力ですすめます。 東京都の平和関係予算を拡充し、「東京平和プロジェクト」を立ちあげます。 その事業のひとつとして、戦争の記憶を残すために行われている都民のたくさんのとり組みを支援します。 3.基地のない平和のまち東京をつくります。平和の日本をつくるためのイニシアティブをとります。 ○地元自治体、住民の同意もないままの普天間基地の辺野古移転、横田基地へのオスプレイ配備には、自治を侵害する行為として、政府に、ただちにやめるよう申し入れます。他の自治体とも連携して米軍基地の撤去、米軍艦船の配備・寄港の停止に向け、努力します。 沖縄県、名護市、神奈川県などに呼びかけ、「米軍基地をなくし9条を実現する自治体首長会議」を立ちあげ、政府に対する要望、共同の研究・基地の被害実態調査活動、相互の交流をすすめます。 ○地元住民に対する騒音等の被害の深刻な横田基地の即時返還を、アメリカ政府に求めるよう、政府に強く要求します。 (2) 憲法の生きる東京をつくります。だれもが排除されない参加できる東京をつくります 1.外国人や性的マイノリティの権利が確保され、生き生きと共生できるまちをつくります。 (性的マイノリティ) ○性的マイノリティの人権状況を調査し、性的マイノリティの権利の養護活動を推進します。 (外国人の人権) ○外国人都民会議を復活します。 ○定住外国人の地方参政権付与の検討を開始します。 ○外国にルーツをもつ子どもたちが教育を受ける権利が保障されるよう、都が支援します。 2.憲法の定める人権が言葉だけでなく、くらしに生きる東京をつくります。 ○表現の自由を守ります。 ○クラブのダンス規制については、国際的にはまったくありえないものであり、表現の自由を守るという意味からも不必要な規制をなくす方向で見直します。 (3) 憲法の地方自治の理念である住民福祉の増進を市民参加で実現します 1.都政のあらゆる場面で市民参加をすすめ、開かれた都政に変えます。 ○知事との対話集会を復活し、初年度中に12カ所(都民約100万人に対して1カ所の割合)を開いて多様な都民の声を直接聞きます。 ○女性副知事をすみやかに任命し、また都庁と外郭団体の幹部に女性の割合を増やします。 ○住民投票の実績を区市町村条例で積み上げ、政府には地方自治法上の住民投票を緩和するよう働きかけます。 ○障がい者、女性、雇用など緊急に権利擁護が求められる分野に、都が市民からオンブズパーソン(行政監視・提言する専門家)を委嘱します。 ○NPOなどの市民活動を都政のパートナーとし、独立性を尊重しつつサポートします。 2.都財政をガラス張りにし、財源を活用して、オリンピック準備とくらし底上げ両立の予算を組みます。 ○都財政のムダを省き、利権や疑惑のない運営で都民生活改善に直結させます。 ○北海道ニセコ町などに学んで、都予算の財源・積算、また入札・コンペの評価などを市民分かりやすい形で公開します。 ○予算編成を公開しながら、都民が参加しやすい条件整備を進めます。そして、都政への要望アンケートや対話集会を活用した参加型予算制度を構築します。 ○監査委員(知事指名2)の人選を公開で拡げ、計数だけでなく仕事内容にもメスを入れます。 ○安倍政権による地方税の吸い上げ法案に反対し、都民自治の固有財源を守ります。 3.都民サービスを充実する都政に向け、都の機構改革を進めます。 ○住宅局を復活し、家賃補助・公営住宅・都民住宅の建設と、空き家利用・居住困難者への民間賃貸あっせんを提供します。 ○都「公契約条例」を制定し、契約事業者に下請の適正価格、適正労賃、非正規雇用の改善、同一賃金など雇用ルールを義務付けます。 ○切り下げられた「保育所人件費の公私格差是正」を復活し、介護など他の福祉職場にも拡大をはかります。 ○看護・介護・保育など対人サービスで人手不足の公共部門では、公的雇用を拡大します。 ○都の動物園・図書館・体育施設などの委託・営利化による人身事故・サービスの低下と雇用の悪化に歯止めをかけ、雇用モラルを向上させます。 ○都の臨時・非常勤職員の条件を改善し、「官製ワーキングプア」と呼ばれる差別をなくします。非常勤職員の正職員化に道を開きます。 4.多摩・島しょ振興を実現するために、地域格差の是正に取り組み、市町村の自治強化を応援します。 ○多摩・島しょの住民から見た区部との格差について、市民参加で調査活動を行い、解決を図ります。 ○多摩・島しょの産業振興・雇用・地域福祉・医療環境・教育条件向上へ、都は市町村と定期協議します。 ○多摩・島しょ振興交付金・同基金を拡充し、市町村の拠出とあわせ「多摩島しょ財政調整」のしくみをつくり自治的・計画的な振興をはかります。 特別政策1オリンピック・パラリンピック政策 ○「オリンピック憲章」がうたうように、1.人類の調和のとれた発達のためにスポーツを役立て、2.人間の尊厳の尊重、3.平和な社会の推進、4.人権としてのスポーツをすすめることを目的として、東京都として2020年東京オリンピック大会の準備を進めます。 1.コンパクトで、シンプルで、エコロジー重視の大会をめざします。都民の税金を無駄に使わず、自然・生態系を損なわず、大型開発を行わないようにします。 ○新国立競技場については、規模・経費・安全・景観の観点から、新設案を見直し、現競技場の改築案も検討するよう要請します。 ○オリンピックの財政は透明にし、都民に情報を公開します。 2.パラリンピック大会を重視します。これを契機に、障がいをもつ人でも暮らしやすいバリアフリーのまちづくりを進めます。 3.「平和」のメッセージを世界に発信します。 4.4000億円をこえる都のオリンピック基金は、大型インフラ開発だけでなく、障がい者も含め都民の誰もがスポーツに日常的にアクセスできる身近なスポーツ施設の整備や、都民の健康づくり、子ども・若者の基礎体力アップ、地域のスポーツ・サークルの振興、引退したスポーツ選手を指導者として養成するしくみづくりなど、ソフト面にも支出します。 ○東日本大震災の被災者、東電福島第一原発事故の被害者のみなさんからも意見を聞き、被災者・被害者のみなさんにも喜んでもらえる心のこもった大会をめざします。 特別政策2カネと利権から決別する都政を ○カネと利権から決別した都政をつくります。 ○猪瀬前都知事が徳洲会から受け取っていた5000万円の問題は、全容解明できていません。この問題は、猪瀬前都知事以前から続く問題の可能性もあり、徹底して解明していきます。都議会が100条委員会を設置することをすすめるように都議会に都知事として要請します。 この政策は要約版です。さらに詳細な「総合政策集」は近日中にアップいたします。
2014年01月24日
コメント(0)
少し長いですが、多くの人はリンク先まで見にいきません。東京都民の皆さん、政策で選んでください。 宇都宮けんじの希望の政策! 希望のまち東京をつくる会 http://t.co/clvyrUICi6 1.世界一、働きやすく、くらしやすい希望のまち東京をつくります。 (1)「くらし・住まい・雇用保障条例」を制定し、都民がいつでも頼れる東京都版の生活保障システムをつくります ○「くらし・住まい・雇用保障条例」により、<子育て・介護・年金・医療・女性・障がい>の抜本的な充実を実現させ、切れ目のない生活保障システムをつくります。 (2)「子育てしやすい環境づくり条例」で、待機児童ゼロ、学童保育・児童館の充実などの子育て環境を整えます ○「子育てしやすい環境づくり条例」により、保育園の待機児童解消、学童保育の小学校高学年利用、1小学校1児童館実現、いじめや困難家庭の継続的なサポートのためのスクール・ソーシャルワーカーの全中学校配置など、東京都が全国のモデルになる高い行政を実現します。 ○待機児童ゼロにするために、5年間で5万人、当面に2万人超の認可保育園等の定員増をはかります。 ○子育て広場事業を全都に広げて、孤立化しやすい子育ての仲間づくりを応援します。 ○子育てを応援するため、産後ヘルパー派遣やファミリーサポートセンター、病児・病後児保育、一次預かり保育、ショートステイなどの拡充と利用料の減免のため市町村への補助金を増やします。 ○18歳まで医療費無料化を拡大します。 ○定員増加で不足している学童保育を増設します。 ○都立児童相談所を、人口50万人に対し1カ所という国の規準にのっとって、現行11カ所から26カ所へ大幅に増やします。 (3) 働きやすく、だれでも人間らしく生活できる生活保障をつくります ○「ブラック企業規制条例」を制定し、若者の使い捨てを許しません。 ○若者が将来に希望をもてるように、「若者評議会」(ユース・カウンシル)を設置します。若者自身が若者政策を立案し、それを都政に反映させます。 ○都営住宅建設ゼロから脱却して、都営住宅の新規建設に取り組みます。また区市の家賃補助制度へ東京都の上乗せを検討します。空家を借上げて、住宅困窮者へ提供する新制度の導入をめざします。 ○「安心して暮らせる脱貧困都民会議」を都民・当事者・専門家の参加で設置し、東京都の貧困実態を調査し解決にむけた行動を起こします。 ○「脱法ハウス」など劣悪な居住環境の物件への規制を進めるとともに、健全なシェアハウスを育成するための条例を制定します。 ○「ネットカフェ難民」向けの相談窓口である「TOKYOチャレンジネット(住居喪失不安定就労者支援センター)」を拡充し、居住支援を強化します。 ○都立職業訓練校を増設します。(5年間で15から30校へ、定員を2万6000人から3万5000人へ、授業料も無料化します)。 ○違法な解雇・賃下げ・賃金不払いなどについての対策として、東京都労働相談情報センターの拡充と機能強化をおこない、労働委員会の機能も強化して、相談・あっせんなどを受けやすくします。労働法セミナーなどもさらに拡充します。 ○都の最低賃金を時給1000円以上にするよう国に働きかけます。 ○公務公共部門で働く「官製ワーキングプア」の労働条件を改善します。 (4)「お年寄りにやさしい福祉条例」で、都財政をお年寄りのくらしの支えに活用します ○後期高齢者の保険料、国保保険料(税)、介護保険料の値下げをめざします。 ○都独自の高齢者医療費無料化(65歳以上の窓口負担ゼロ)にむけて、当面、75歳以上の医療費の無料化を検討します。都下でも日の出町で75歳以上の医療費無料化が実現しています。 ○「消えた年金問題対策室」を区市町村と協力して設置し、実態解明をして、安心して年金が受けられるような救済をおこないます。 ○生活できる年金制度に改革するために、無年金者の解決も検討課題に入れた「年金改革検討委員会」を設置し、国に提言するとともに、都民にも「年金改革案」を提示します。 ○認知症者の家族の支援を強化します。介護者が、人間として文化的な生活がすごせるように、休息(レスパイト)等の権利保障を促進します。 ○ヘルパーと看護師がペアをつくって訪問介護・訪問看護を同時に行う「24時間型巡回型在宅ケア」の仕組みを構築します。 ○特別養護老人ホームを拡充して、4万3000人を超える特養待機者を段階的にゼロにします。特養を拡充するとともに、人員を増やし、虐待のない尊厳を尊重した介護保障をめざします。 ○お年寄りの自由な生活を拡大するために介護予防を区市町村と共に取り組みます。 ○昨年の23区内の孤独死は6000人を超えています。孤独死をされた方で納骨の引き取り手のいない場合のために、都営の無縁墓地をつくり納骨できるようにします。 ○シルバーパスの無料化を含め、高齢者の交通費負担の軽減を検討します。 (5) だれもが安心して医療を受けられる東京をつくります ○国民健康保険の無保険者をゼロにします。国民健康保険料が払えずに無保険となっている方に対し、都が一時的に財政支援を行う仕組みを検討します。区市町村に対して、国民健康保険証のとりあげ(短期保険証や資格者証明書)をやめるように指導します。 ○後期高齢者医療制度の保険証は、全員に無条件で交付するべきです。保険料の未払いによる、保険証の未交付をやめるように、東京都後期高齢者医療広域連合に求めます。 都独自に、保険料未交付者への一時金立替を検討します。 ○公的保険料未払い者へ、財産の差押えを行っている区市があります。これらの区市に対して、財産差押えを止めるように働きかけます。これまで、地方税・公的保険料等の差押えを推奨してきた東京都の姿勢を転換して、生活実態に合わせた料金徴収政策に変えます。 ○中小企業のご家族の健診率が低く、ガン等の早期発見がおくれています。「協会けんぽ」の加入者も利用できるように、民間医療機関の活用を促進して、全ての都民が健診を受けられる仕組みづくりをめざします。 ○新しい都立病院の建設により、民間でできない行政医療の拠点を拡大します。「たらいまわし」がないように救急医療体制を強化します。 ○看護師養成のために都立看護学校を増やします。 ○子宮頸ガンワクチンについては、深刻な副作用の報告があることを踏まえ、副作用の実態を調査し、予防原則に基づいて対策を講じます。 ○小児科・産婦人科・周産期医療の体制をいっそう充実させ、「大都会の医療過疎」をなくすようにつとめます。 ○国が進めようとしている国民健康保険制度の都道府県化に反対します。 (6) 女性の意見が反映され人権が尊重される東京をつくります ○副知事ひとりを女性とし、東京都の審議会や管理職へ女性を登用します。 ○公契約において男女平等の視点を入れます。 ○性暴力被害者支援のワンストップセンターを女性支援団体の協力を得て設置します。 ○性と生に関する教育を学校で実施し、望まない妊娠や性感染症、性的被害を防ぐとともに、性の多様性に関する教育を推進します。 ○東京ウィメンズプラザを東京都における男女平等施策の拠点として活性化させます。 (7) 障がいのある人もない人も、ともに生きる東京にします ○国連・障害者権利条約批准に基づき、障害当事者が参画して「障害のある人の権利確保のための条例」を制定します。 ○住宅・相談・介護支援・医療システムの整備を行い、家族に頼らなくても障害者が安心して暮らせる東京のまちをつくります。そのために障がい者のためのバリアフリーの都営住宅を建設します。 ○障害年金の改革を求めるとともに、東京都独自の所得補償の施策を検討実施します。 ○障害があっても働ける仕事の確保に努めます。 ○ADHDやLD、自閉症などの発達障害を含めた障害の早期発見に努めながら適切な支援が得られるように身近な地域に相談できる専門機関を増やします。 (8) 消費税増税に反対します。消費税増税後も都営地下鉄・バスの運賃の値上げを実施しません。上下水道料金の値上げを実施しません 2.地域経済を活性化し、環境重視・防災減災重視のまち東京をつくります。 (1) 災害に弱い都市政策を転換し、命と生活を守る防災・減災政策を進めます 1971年、美濃部都政で制定された『東京都震災予防条例』では、安全性を欠いたまま都市形成が行なわれた東京を人間の英知と技術と努力によって地震災害を最小限にくいとめることができるとして「都民と都が一体となって東京を地震による災害から守る」決意を表明しています。しかし2000年石原都政が制定した『東京震災対策条例』では、地震災害から生命・財産を守るのは都民自ら=自助、まちを守るのは自分たち=共助、震災対策推進の第一義的責任は区市町村であるとしました。こうして東京都は本来の重要な任務である「都民の命や財産を守る」ことを、「首都における政治、経済、文化等の中枢機能を守るための危機管理」へと重点を移動させました。 石原都政を継承した猪瀬都政下での防災対策の重点は、幹線道路の整備とだき合わせた緊急輸送道路の沿道建物の耐震化です。沿道から離れた木造密集地域やさらに多くの一般市街地での木造住宅の耐震・耐火化は自助努力とされています。これでは、首都直下地震被時での犠牲者(中央防災会議は犠牲者を最大2万3000人としています)や家屋倒壊被害を最小限にくいとめることができません。ところがこの首都直下地震に対処するとして永田町・霞ヶ関の中枢機能を防衛する一極集中型耐震建造物群が企図されています。しかし、この一極集中型の都市政策こそが地震をはじめ様々な災害に対する脆弱性をつくり出しているのです。加えて、高度成長期に建設された首都高速をはじめとするインフラが老朽化して次々と危険な状態になりつつあります。これらのインフラを高度成長期と同じ一極集中型都市政策のもとで補強・改修するならば東京の脆弱性はいっそう深刻化します。 そこでこれまでの防災政策を根本的に見直しつつ市民の視点から災害に強い新たな都市像をつくりあげます。同時にいつ深刻な災害が起こっても対処できるために以下の緊急対策に全力で取り組みます。 ○首都直下地震への防災・減災対策を強化します。 ○木造密集地域を含めた耐震・耐火対策をすすめます。 ○市街地の大きな部分を占めるマンション等の集合住宅への耐震・耐火対策、エレベーター閉じ込めへの対策などを強化します。 ○高層建造物における長周期地震動対策をはじめ耐震対策を進めます。 ○学校、庁舎、病院、福祉、文化施設など、公共施設の耐震・耐火対策を強化するとともに、災害時の安全な避難施設としても機能するようにします。 ○港湾埋め立て地域とライフラインの液状化防止対策をすすめます。 ○東京湾岸の石油コンビナートに係る防災対策を強化します。 ○中枢機能維持に名を借りた都心部大規模開発に反対します。 ○伊豆大島の被災者と災害復興を全面的に支援します。 ○近隣県と連携して富士山噴火・降灰への緊急対策をおこないます。 ○降灰を除去・収集するロードスイーパーなどの確保と配置をおこないます。 ○東京湾岸、埋立地、ならびに河口付近における高潮・津波対策をすすめます。 ○首都高危険個所など老朽化した道路・橋梁などインフラの検査・補修を国と連携して重点的に進めます。 (2) 都心一極集中・大規模開発優先の都政を転換し、コミュニティと環境を重視する都市構造をつくります ○まちづくりの基調(都市の整備、開発、保全の方針)を、都市の膨張と都心一極集中に歯止めをかけ、地球温暖化を防止し、緑・水・アメニティ(都市の暮らしやすさ)・コミュニティ(地域社会)を重視する「サステイナブルな(持続可能な)世界都市の創造」に転換します。 ○東京がめざす「世界都市」とは、都市間の経済競争に勝ち抜くことだけを念頭に置いたものではありません。市民参加、人権尊重、国際平和、福祉増進、文化充実をめざして、世界各地の自治体と連携する都市です。 ○東京都心の大型開発・再開発に歯止めをかけます。「オリンピック」に名を借りた大型開発は行いません。 ○都心の高層化に制限をかけ、「ゲリラ豪雨」の原因とも言われるヒートアイランド現象への対策を強化します。多摩地域に業務・商業を分散し、職住近接のコンパクトな生活圏を整備します。 ○道路政策の軸足を、新規建設から、防災減災・老朽化対策(維持・補修)中心に移します。区部・多摩地域の道路整備を見直し、道路予算を削減します。「不燃化プロジェクト」に名を借りた大型都市計画道路の整備は行いません。「東京外郭環状道路」(外環道)計画は見直し、「外環道ノ2」(地上部街路)の都市計画決定を取り消します。 ○老朽化している首都高速道路やその他の道路については、必要な補修・改修・更新(全面的な造り替え)・除去を急いで進めます。学校・保育・介護など生活に身近な公共施設の老朽化対策では、1.防災減災の視点、2.都民・利用者(障がい者、子ども、女性、高齢者など)の視点を重視します。 ○新型路面電車(LRT)・バスなどの近距離型公共交通の整備を都として支援し、あわせて徒歩・自転車(レーン、駐輪場などの整備を含む)を中心とした交通政策を進め、通勤・通学・通院・買い物がしやすいまちに変えます。 ○都独自の大気汚染医療(気管支ぜんそく)費無料化制度を延長します。都心の自動車交通の総量を減らします。 ○マンション・団地対策を進めます。孤独死をなくす地域の「見守り市民活動」を支援し、修繕計画を作る際に住民が長く住み続けられるしくみをつくります。 ○安全・安心のまちづくりを進めます。犯罪の多くは、生活困窮とコミュニティからの孤立が原因です。いま真に必要な防犯政策は、貧困を減らし、人びとがコミュニティに包まれて安心して暮らせるようにする政策です。防犯・子どもの事故防止・青少年の居場所づくり・孤独死ゼロ・防災減災などを一体的にとらえた、市民を主体とする地域ぐるみの「マップづくり」と「安全のまち」提言活動にとりくめるよう、都として支援します。 (3) グローバル経済に翻弄されない東京の地域経済をつくり、雇用を増やし、都民にとって一番暮らしやすい・働きやすいまちに作りかえます ○都内の産業構造を組み替え、雇用を増やし、内需を拡大し、地域経済を活性化させます。アベノミクス型「成長戦略」とはちがう、もう一つの経済政策を進めます。 ○住宅、環境、自然再生エネルギー、福祉・医療・介護、情報など今成長しつつある産業分野に重点を置いた都独自の産業政策を進めます。都市農業を重視し、農業予算を拡大し、若者の就農を進めます。 ○まちづくり・地域情報の発信、商店街活性化、環境ビジネス、子育て・高齢者などの分野で、女性・退職世代・学生などが「社会的起業家」(協同組合、NPO、非営利法人など)として活動できる、コミュニティ・ビジネスやソーシャル・ビジネスを成長させます。 ○グローバル経済の波に翻弄され、大規模工場の移転・閉鎖が相次ぎ、厳しい経済状況にある多摩地域について、倒産防止、雇用・失業・職業訓練の対策を進め、「グリーン・ニューディール」政策などを参考にして地域再生を進めます。 ○カジノ開設に反対します。ギャンブル依存症が大きな社会問題となっている今、公営・民営に関わらず都がギャンブルを推奨することには反対です。 ○1400億円の都民の税金をつぎ込んだ新銀行東京は、清算します。 ○消費者にとって安全で安心でき、中小の業者がこれまでのように営業を続けられるよう、築地市場を守ります。豊洲移転を見直します。豊洲での土壌汚染対策を強化します。築地市場のあり方については、現地再整備案を含め、改めて、市場で働く人々や地元自治体・住民の意見を聞いて、判断します。築地移転を前提とした都有地の民間売却や大型再開発は行いません。 ○八ツ場ダムについては、都の予算支出を行いません。 ○東京の農林水産業・中小企業と、消費者の食や生活の安心・安全を守る立場から、TPPに反対します。 (4) 中小企業は、東京の地域経済を支える重要な存在です。中小企業を発展させ、自営業者の生活を守ります ○都として中小企業予算を大幅に拡充し、公・民の中小企業むけ投資を増やします。 ○資金繰りの不安を解消するために、区市町村の制度融資と連携して、都の制度融資を充実させます。 ○ものづくり産業に職人志望の若者が参入できるように、区市町村の創業支援事業を都として支援します。 ○最低賃金引き上げに伴って、中小企業にたいする経営補助制度を創設します。 ○中小企業むけの医療保険である「協会けんぽ」の加入者が健康診断をうけやすくします。 3.原発事故被害者の支援に取り組み、原発再稼働・原発輸出を認めず、「脱原発都市東京」を実現します。 (1) 原発事故被害者を積極的に支援し、東京電力の責任を問います ○福島原発事故被害者、とりわけ東京都に避難している6000人以上の避難者に対して、住宅・医療・生活再建支援などの積極的な支援を進めます。 ○福島原発事故被害者の財産の損失や身体的かつ精神的被害に対して、東京電力がきちんと賠償を行なうよう、株主として求めます。 ○国および東電に、汚染水対策などの事故収束を着実な実施と、収束作業にあたる作業員の被ばく低減と身分の保障、健康管理を求めます。 ○巨額の税金を投入し、さまざまな弊害を生んでいる無責任な「東電救済スキーム」を是正するため、国に対して、東電の破綻処理と国有化を求めます。被害賠償や事故収束は、新しい体制のもとで国が直轄で行うことを提案します。 (2) 東京都から脱原発を実現します ○東京都として「脱原発都市宣言」を発します。 ○東京電力の経営方針を脱原発に転換するよう提案します。 ○再稼働に反対し、福島第一原発、福島第二原発、柏崎刈羽原発の全炉の閉鎖を株主提案します。 ○柏崎刈羽原発の再稼働を前提とした東電の新「総合特別事業計画」に反対します。 (3)「希望のエネルギー政策」を実現します ○「東京都希望エネルギー政策会議」を設けて、内外の専門家・市民・都内事業者から広く意見を聞き、効果的な脱原発・エネルギー政策を立案します。 ○「自然エネルギー(再生可能エネルギー)促進条例」と「省エネルギー促進条例」を提案し、自然エネルギーの発電所の普及やエネルギー利用の効率化が進むように補助金や投資を誘導する施策を立案します。 ○太陽光や風力など、自然エネルギー発電事業への投資に特化した、官民ファンド事業を興し、建物等の所有者と発電事業者等を媒介するプロジェクト(いわゆる「屋根貸しビジネス」など)を推進します。 ○都として、公共施設への自然エネルギー、省エネルギーの導入を積極的に進めます。その実現のために目標年次を設定する方式をとります。 ○自然エネルギーの安定供給を促進するため、スマートグリッドやと水素燃料電池の活用をすすめます。 ○都民および都内事業者の参加を求めて、大規模な都独自のエネルギー利用の効率化を進め、原発一基分の消費電力を減らすための計画(東京都節電所計画)を作成します。 ○天然ガス発電の大規模導入に向けて、都として進めてきた自主事業を引き続き推進します。 ○国に先駆けて電力事業の自由化の範囲を拡大し、電力コストを下げる努力をします。 (4) 脱被ばく政策を進めます ○放射性物質の拡散が心配されている瓦礫の焼却処理については、いったん凍結し、専門家を集めて公開で調査と検討を行います。 ○都民を放射能汚染から守るために、都独自の「食品の安全規制」と都民と連携した食品や土壌等の放射能測定ネットワークをつくります。 字数制限に引っかかったので、二回に分けます。
2014年01月24日
コメント(0)
NHK Eテレ「日本人は何をめざしてきたのか第七回下北半島」を観た。 沖縄が軍事部門で日本列島の捨て石になっているのだとしたら、下北半島は原発部門で日本の捨て石になっている。と感じた。縦に長い日本列島の尖端に札束と住民の分断を持ち込んで、安保とエネルギーの矛盾を押し付けている。戦後の60数年間、それはみごとなほどに一貫しているだろう。 NHKのEテレには、まだ良心的なディレクターが奇跡的に残っている。素晴らしく鋭いというわけではない。しかし、NHKだからカメラの前に座ったに違いない、「六ヶ所村ラプソディー」などの監督の前では決して出てこない人たちが登場する。 例えば、高橋さんは約30年前には泊の土地を売った金で大豪邸を建ててインタビューに答えている。次の瞬間、その家は草茫々の空地になり、貸屋みたいな処で出稼ぎに出掛け人生に疲れた高橋さんの顔が写し出される。 或いは六ヶ所村の村長選挙で、反対派と政策協定を結び、核燃料再処理施設の住民投票にかけるという約束で村長になった男が、2005年に過去を回想して、「私は協定を結ぶ気はなかった。つい印鑑を押しちゃったんだ。無意味な協定だった」と堂々と言っている。彼は既に故人だそうだが、六ヶ所村が原発政策のキーポイントだったことを考えると、この厚顔無恥に憤りを覚えるのである。 高村薫の「新リア王」は、80年代の下北半島の自民党の側からみた原発政策決定の事情を説明して余りない。是非通読をお勧めする。 この番組のホームページの説明と、再放送予定は以下の通りである。未観の方は是非。 【再放送】2014年1月25日(土)午前0時45分~午前2時15分(金曜深夜) かつて青森県下北半島は貧困のどん底に喘いでいた。辛酸を嘗めた戦後開拓。冷害。希望を託したビート栽培も自由化で頓挫した。沿岸漁業も規模が零細で、中学生が夜はイカ漁に出るしかない状態だった。60年代の「むつ製鉄」、70年代の「むつ小川原開発」と工場誘致も相次いで失敗。1960年代半ばの高校進学率は20%で、若者たちの多くは集団就職で村を離れていった。 そうした暮らしが変わり始めたのは、1980年代の核燃料サイクル基地の六ヶ所村への誘致だった。村を二分した激しい対立が繰り返されたが、結果として、原子力マネーは村を変えた。 いま六ヶ所村は全国でも数少ない地方交付税の未交付団体。若者たちは、希望すれば地元で働くことができるようになった。後に続けと、東通村は原発、むつ市は使用済み核燃料の中間貯蔵施設、大間町はフルMOX原発建設へと舵をとった。下北半島はいまや有数の原子力産業集積地になったのである。 全国でも類を見ないほどの大きな変貌を遂げた下北半島、その戦後史を関係者の証言から綴る。
2014年01月23日
コメント(2)
明日には期限が切れる1月9日、青春切符の残りを使ってむりやり出かけたのは、神戸は元町にある竹中大工道具館である。去年読んだ「古代の超技術」で紹介されていたので、一度来たかったのである。神戸の滞在時間は約三時間、この博物館を見るだけの贅沢な旅です。 駅の案内地図にも載ってない小さな博物館ですが、とっても素晴らしい博物館でした。年末には六甲山の麓に新築移転するそうです。 あの本には法隆寺の加工された板がここに展示されているかのように書かれていたが、残念ながら写真しかなかった。しかし、ここではじっさいに斧、鋸(のこ)、鑿(のみ)を使って木を切断し、木を割って製材したあと、ほとんどの部材はちょうなで荒く削られ、目に触れる部分はヤリガンナで仕上げられた過程がよくわかるように展示されていた。 左が当時のチョウナ。右が鑿である。 左はヤリガンナ。右はチョウナの柄である。 中世になれば、このような水平器も登場していた。 縄文時代の石斧による切断面の展示。 20度の鋭角で打ち込む。木の繊維を少しづつ剥ぎ取って切断していた。そのために繊維の剥がれやすい栗の木などの広葉樹が多く伐られていた。しかし、縄文時代から既に石器を用いてホゾ・相欠きなどの穴を加工して、垂直材と水平材を接合する技術が発達していた。 鉄斧の切断面である。 弥生時代前期に登場した鉄斧は、45度の角度で伐る。繊維を断ち切ることが出来るために、年輪の明瞭な杉や檜(針葉樹)の伐木が可能になった。鉄斧は石斧と比較して約4倍の速さで木を伐り倒すことができた。 打割製材の技術。 縄文時代から中世前半までの数千年にわたり、斧、鑿、楔(くさび)を用いて木を割る「打割製材」が行われた。杉や檜など、木目の通った良材が豊富にとれる日本では、打割製材は風土に適していた。そのために、早くから鋸(のこ)が使われたヨーロッパや中国と比べて、この方法が長く使われた。写真は、檜の丸太を打ち割り、厚い板を作る過程。木を半分に割ったあとはチョウナで削って板にするので、中世以前の板はほとんどが一寸(3センチ)以上であったという。 チョウナではつったあと。少しデコボコしているが、案外平らだった。 ヤリガンナで鉋(かんな)のように仕上げたあと。ビックリするくらいツルツルしていた。確かに少しあとは残るが、繊維が切れていないので、ずっと腐らないのだと「古代の超技術」では書いていた。 大工道具館なので、歴史ばかりではなく、現代の道具の作り方、使い方を丁寧に展示していた。それぞれが古代からの知恵の結晶であり、時を忘れた。きて良かった。 帰りは隣のラッセハウスでランチ。神戸らしく洒落たレストランだった。 神戸のしめ縄は香川高松のように横長だった。少し縄が太い。 青春切符2500 道具館 300 本1500 昼食800 コーヒー 220 土産580 駐車場600 計 6800
2014年01月22日
コメント(4)
尾道からの帰りに、福山の広島県立博物館でやっていた「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのチカラ」展を見に行った。最終日だった。宝塚の手塚治虫記念館には四回ぐらい通ったことのある私には見慣れた展示物ばかりかと思いきや、知らなかったのだが、この間未発表原稿が次々と発見されていたらしい。あの膨大な作品を発表していた初期の頃に、完全に非の打ち所がないような原稿を、推敲して破棄していた事実に打ちのめされた。 初期の原稿は縮小の技術がなかったのか、とても小さい。その中に、奇跡のようにくしゃくしゃの立体的な帽子、未来都市、デフォルメされてはいるけどキリンやオウムが目の前にいるように唄を歌う姿、それらの生原稿を観る。なんと線が生き生きと踊っていることか。全ての線が的確に確信を持って描かれている。一方、ビックリするのは最晩年の「プライムローズ」の顔の輪郭がどう考えても指が震えていること。 手塚治虫と石ノ森章太郎を同等に展示する意図はわからなくはない。確かに石ノ森は手塚のマンガを一歩進めた部分はある(テレビメディアとのタイアップ、「日本の歴史」などの情報漫画)。早熟で早死にしたという共通点もある。若い人は石ノ森からも多くの発見をするだろう。しかし、私は「新たな発見」は、驚くことに一つもなかった。改めて手塚治虫と石ノ森章太郎では「格」が違うと思う。 観覧時間が一時間と少ししかなかった。最後の生原稿の山はざっと見ただけだったので、久しぶりに図録を買ってしまった(トートバック込みで2800円)。ちょっと幸せ気分。 この写真は手塚治虫「噫それなのに」直筆原稿(手塚プロダクション蔵)。新発見された手塚治虫デビュー前後の時期の作品。特別展で初公開された。
2014年01月20日
コメント(0)
私は東に向かって歩いている。路地の奥には井戸がまだまだ残っている。その隣には必ずお地蔵さんが祀ってある。お母さんたちの悲しみと祈りであろう。 天満宮上り口に細長い家があった。釜山にもこういう家があった。面白い。 何故、御袖天満宮に来たのか。 それはここの階段が有名な大林宣彦監督の「転校生」で小林聡美と尾美としのりが転んでいって入れ替わった場所だからである。一度来たかった。 ここの「さすり牛」は触れたら願いが叶えられるらしい。さすって来ました(^-^)/。 お寺前の通りには(もう動いてないけど)何故か大きな時計が。 さて、尾道迷路彷徨から外れて商店街に入る。歩いていると、尾道ゲストハウスがあった。「あなごのねどこ」。まさにそんな感じ。ただし、一泊2500円!である。韓国でいえば、ヨインスク(旅人宿)並みの安さだ。 遅い食事(午後1時)をとる。尾道風のお好み焼きを食べた。何処が尾道なのかというと、中に砂ずりが入っているところらしい。 ロンドンオリンピック卓球女子監督の村上さんの色紙があった。向島の出身らしい。去年の9.11の日付だから、一ヶ月後にやっと休暇がとれて実家に帰って来たのだろう。願わくは石川佳純ちゃんも来てほしかった(昨日、三年ぶりの優勝おめでとう!)。 おのみち映画資料館と歴史館に寄った。歴史館は見るものが何も無かった。映画資料館も、メインはなんと百冊以上の映画パンフが見放題、東京物語の資料映像のミニシアターぐらいで、見るべき「博物館」ではなかった。 そこで知って小津安二郎監督の「東京物語」出てくる原節子と笠智衆が話し込んでいた灯籠の場所には行ってみた。映画には松もなければ、石碑もない。けれども灯籠と背後の海だけは映画のままである。 実はこの小旅行の目的地はもう一つある。電車で福山に行く。
2014年01月19日
コメント(0)
尾道を彷徨っている。時が止まった廃屋の時計を見つけた。あとでも出てくるが、尾道では何故か家の外に時計をかけている家がある。 屋根の形がみんな自由だ。しかも、狭い所に家を建てているからか、建てまし構造の複雑な家になっている。 志賀直哉旧家に寄る。管理人の話では、知り合いの女将さんがたまたま尾道出身で、家出をした時に尾道の家を紹介してくれたらしい。初めての1人暮らしではあるが、家のこと全般は通いの女中が全てしてくれたらしい。書斎の窓からは尾道海道が見渡せる。 「いいところですね。」と管理人に言うと 「ちょっと住むのにはね。買い物なんかは大変だよ」 そりゃそうだ。車も自転車もここまでくることは出来ない。住んでいる人にとっては、大変なところだ。だから、空き家も増えている。志賀直哉も(うろ覚えだが)9ヶ月しか居なかったらしい。 流石に「暗夜行路」には、ここの経験がそのまま書かれている。 「謙作の寓居は三軒の小さな棟割長屋の1番奥にあった。隣は人のいい老夫婦でその婆さんに食事、洗濯その他の世話を頼んだ‥‥」 そのあと、文学記念室によった。旧福井亭。東棟は大正元年の築101年、西棟は昭和2年の築81年。ガラスは手作り、板も通している柱も欄もいろいろ凝っている。 その時、管理人に「どうしてこんなにも古屋が多いか」と聞くと、待ってましたとばかりこう教えてくれた。 「戦災に合わなかったからですよ。なぜか。尾道海道の向かい側に捕虜収容所があったからなんですねえ」 文学館だけでなく、普通の民家の硝子戸も手づくり硝子を入れている家も多かった。反射が歪んでいるので、すぐ分かる。何十年も大事に磨きあげているのである。 尾道は猫も多い。 メジロがいた。今年初めて。 木造の細い路地に戻る。 香川高松は横に延びている正月飾りが多かったが、尾道のそれは圧倒的に丸い飾りが多かった。
2014年01月18日
コメント(4)
青春切符があと二枚残っている。去る1月6日、歯痛が少し治まったのを見計らい尾道に小旅行しました。尾道商店街の前には「放浪記」の 「海が見えた。海が見える。五年振りに見る尾道の海はなつかしい」 という一節と銅像が迎えます。 そこから道路を渡ると、山のような尾道の「町並」が切り立っている。その坂を登る。まだ朝の10時。 前回(2011.3の祝島に行く前に寄った時)は一時間しか時間がなかったので、落ち着いて「尾道の迷路」の中に入れなかったけど、今回は進んで入って行こう。人が1人やっと通れるような石畳を登る。 狭い空間になんとか家を建てているのは、釜山でも同じなのだが、石垣の作り方は堅固で正確。細い抜け道、複雑な坂道、しかし釜山のように塀が崩れるとか垂直が取れていないとかはなく、綺麗な迷路が出来上がる。 この崩れかけた煉瓦でさえ正確に積んでいる。 家の至るところにこんな飾りがあった。よくわからない。 下町の屋根を見下ろす。なんとなく面白い。 向島への渡し船。大林宣彦監督の尾道三部作で、何度となく出てくる。 一挙に展望台に登ってみた。ここは、尾道海道に守られた天然の良港なのである。 千光寺から文学の小道に下りる。途中頼山陽の銅像と詩碑があった。頼山陽は備後の人である。 鼓岩。岩の上を小石で打つと「ポンポン」と鼓のような音がするらしい。 菅茶山の説明板があった。加藤周一の「夕陽妄語」の元になった「夕陽沈む」の詩がこの鼓岩で詠まれたとは、初めて知った。
2014年01月17日
コメント(2)
「本へのとびら ー岩波少年文庫を語る」宮崎駿 岩波新書 少し宮崎駿の認識を改めねばならない。私は「宮崎駿は、世界は滅ぶべき運命にあると確信している人」と思っていた。ナウシカの漫画版後半や「もののけ姫」「ハウルの動く城」などを見ていると、そう思わざるを得なかったのである。しかし、宮崎駿はこの本の中で繰り返し以下のようなことを述べる。 何かうまくないことが起こっても、それを超えてもう一度やり直しがきくんだよ、と。たとえいま貧窮に苦しんでいても、君の努力で目の前がひらける、君を助けてくれる人間があらわれるよ、と、子供たちにそういうことを伝えようと書かれたものが多かったと思うんです。そうじゃないでしょうか。 要するに児童文学というものは、「どうにもならない、これが人間という存在だ」という人間の存在に対する厳格で批判的な文学とは違って「生まれてきてよかったんだ」というものです。生きてて良かったんだ、生きていいんだ、というふうなことを、子供たちにエールとして送ろうというのが、児童文学が生まれた基本的なきっかけだと思います。(163p) 「終わりが始まった」と彼は現代を認識している。 生きていくのに困難な時代の幕が上がりました。この国だけではありません。破局は世界規模になっています。おそらく大量消費文明のはっきりした終わりの第一段階に入ったのだと思います。 そのなかで、自分たちは正気を失わずに生活していかなければなりません。 「風が吹き始めた時代」の風とはさわやかな風ではありません。おそろしく轟々と吹き抜ける風です。死をはらみ、毒を含む風です。人生を根こそぎにしようという風です。(151p) そのなかで、未来には希望を持っている。少なくとも絶望を選択してはいない。 本当の終わりが始まった時代に、軽々しくファンタジーを作れない。けれども「いずれ必ず、新しいファンタジーは出てきます」(164p)、と宮崎駿はいう。 私は宮崎駿の世界観を全面的に賛同はしていない。けれども、現代を「轟々と風が吹き抜ける」時代だという認識には、賛同するし、いつかはそこで未来を掴み取るファンタジーが出来上がる(それは宮崎駿の作品ではない)ことに賛同する。 2013年12月28日読了
2014年01月16日
コメント(2)
予想とおり都知事選は、マスコミが「舛添か細川か」という幻想の対決を演出して、国民は それに踊らされつつあるように思います。しかし、ネット選挙は解禁されています。 都民の皆さんには、情報を取捨選択して良識のある投票をしていただきたいと思います。残念ながら、都知事選は日本全体の問題でもあるのですから。 今朝届いたニュースを読んでみてください。 ────・○●「宇都宮けんじニュース」第10号(2014年1月15日号)をお届け致しま す。●○・──── みなさん、おはようございます。 脱原発を掲げた細川護煕元首相と舛添要一氏の立候補発表をうけて、昨日、緊急 記者会見を行いました。 テレビカメラも数多く並ぶ、注目の会見になりました。また、会見に先だち、名 護市長選で辺野古基地建設に反対する現職の稲嶺進さんへ、宇都宮けんじさんか ら、手書きの必勝応援メッセージが出されました。そのメッセージを携えて、な んと木内みどりさんが急遽、沖縄へ飛びました〜!! そのメッセージをお渡し する様子は、ネットでも配信される予定です。 ────・○●CONTENTS●○・──── 1.細川護煕氏、桝添要一氏出馬を受けて 2.今後のスケジュール 3.明日、18:00〜 新橋SL広場・スーツ街宣&シール投票!! 4.うつけんポスタープロジェクト 5.宇都宮けんじのキャッチコピーを募集 4.私も応援します! 賛同人募集! ────────────────────── ************************************************************************** 1.細川護煕氏、桝添要一氏出馬を受けて ************************************************************************* 宇都宮さんの会見要約です。 本日予定されていたJC主催の公開討論会へのは、私だけ。 他の候補予定者が参加しないため中止になってしまいました。 政策を検討して投票するという有権者の権利を奪う行為であり、正々堂々と討論することを求めます。 脱原発での一本化についての質問も多くいただくが、私たちは、公開の場で堂々と公開討論を求めています。 そうした重要な問題についてはコソコソやってはならない。 細川さん自身からも、その周辺からも、こちらの声かけには一切の反応がありません。 会ったこともない、話したこともない候補者と一本化するしないという話になるはずもない。 都政は、原発だけではない。 原発問題についても、原発をゼロにするだけではない。 東京にも多くおられる被災者のこと、汚染問題などにも向き合いながら考える問題である。 *記者会見に先だち、名護市長選で辺野古基地建設に反対する現職の稲嶺進さん へ、宇都宮けんじさんから、必勝応援メッセージが出されました。宇都宮さん手 書きのメッセージを携えて、木内みどりさんが急遽、沖縄へ。そのメッセージを お渡しする様子は、ネット配信される予定です。 ************************************************************************** 2.今後のスケジュール ************************************************************************** 1/16(木)18:00〜 スーツ街宣@新橋SL広場 1/17(金)10:00〜 すがも地蔵通り「宇都宮けんじさんと”ねり歩き”」 夜 脱原発官邸前デモ 19:00〜 杉並・中野・練馬 勝手連キックオフ集会@杉並区立産業商工会館 1/18(土) 午前 南部(品川区/大田区他)駅頭練り歩き 1/19(日) 午後 ブラック企業対策プロジェクト、被害者・支援者との意見交換 1/23(木) **告示日**「うつけんポスタープロジェクト」ポスターを掲示 板に貼って、一緒に記念撮影! *事情により変更することもあります。ご了承ください。 ************************************************************************* 3.明日、18:00〜 新橋SL広場・スーツ街宣&シール投票!! ************************************************************************* 来る1月16日(木)、場所は新橋駅前SL広場にて、《スーツ街宣》&《シール投票》 17時〜フライヤー配布 18時〜宇都宮さんスピーチ 熱い思いを胸に秘め、折り目正しく丁寧に、真摯なスタイルで宇都宮けんじさん を応援します! これぞというサポーターの皆さん、是非スーツを着て新橋へ! お待ちしています! ※スーツの色等は問いません。コートの着用はもちろんOKです。鳴り物、許可の無い、幟、旗はご遠慮ください。 ************************************************************************** 4.うつけんポスタープロジェクト ************************************************************************* イベント参加が無理な場合も、拡散にご協力ください! 都知事選公示掲示板に市民の手でポスターを楽しく貼り終えるプロジェクトで す。平日の午前(1/23 木)ですが、お時間のとれるかた、ぜひご協力ください! 集合場所:都内各地 ※ポスターの受け渡しは地域ごとに行います。 「うつけんポスタープロジェクト」 宇都宮けんじ候補のポスターを都内各地の掲示板に貼って、一緒に記念撮影! その写真をTwitter,Facebook,Line等にUPしよう! 子供と一緒に、犬と散歩しながら、猫と一緒に、選挙をもっと身近に感じよ う!わたしたちが応援するわたしたちの候補者であることをアピールしながら、 ただのポスター貼りではなく、他の候補者が羨むような市民パワーを見せつけま しょう! 特別イベント その1================= 「宇都宮けんじと一緒にポスターを貼ろう!」(確定) (場所:選挙事務所周辺) 1.選挙事務所に集合 8時30分頃 2.選挙事務所近くのポスター掲示板で宇都宮けんじと記念撮影 3.各自、予め決められた場所に移動し、ポスターを掲示し、ポスターと一緒に 記念撮影(自分撮り)して、ネットに流す! ========================== 特別イベント その2================ 「ゼロノミクマと一緒にをポスターを貼ろう!」(確定) (場所:未定 お母さんと子供が参加できる場所) 1.駅頭のポスター掲示板に集合 8時頃 2.ゼロノミクマと一緒に集合写真 3.Aチームと、Bチームに分かれてポスター貼り [Aチーム] ゼロノミクマと掲示板の番号を受信して、駅頭に一枚、その他一か所 にポスター掲示し、記念撮影。 (※Aは、お子さん連れの方のみ参加可とします。) [Bチーム]集合写真を撮った後、予め決められた場所に移動し、その間、メール で掲示版の番号を受信し、ポスターを掲示し、ポスターと一緒に記念撮影(自分 撮り)して、ネットに流す! (※Bチームの底力でポスターを貼り終えます!)
2014年01月15日
コメント(2)
12月に観た映画は12作品でした。「永遠の0」「47RONIN」以外は力作が多く、充実した月だったと思います。 「日本の悲劇」 この作品に描かれているようなことが、実際にもあり得るのか。父子は別に憎しみあっているわけでもない。父親の年金が生活の拠り所だった子どもが父親の死後もその死を隠し続け、年金や給付金を不正に受け取るというようなことが果たして起こり得るのか。実は2010年7月、同じような事が巷のニュースをいっとき賑わせた。この作品はそれにインスパイアされて作られたらしい。実際の事件の真実はわからない。しかし、この作品では、父親は様々なことを考えて自ら絶食して死に至ろうとしている。子どもはそれに戸惑い、なんとか阻止しようとし、最後には受け入れる。 それを信じられるかどうかが、この作品の「肝」だと思う。 俳優は四人しか出てこない。大森暁美と寺島しのぶは回想場面での出演なので、仲代達矢と北村一輝の2人芝居ともいえる。仲代の死に至ろうとする顔と、北村の泣きじゃくる顔。それは果たしてリアルだったのか。結論としていえば、リアルだったと思う。 リストラ、うつ病社会、自殺社会、老人介護、大震災、貧困問題等々、日本の諸問題が絡み合って、この小さな家族に襲いかかっている。父親は彼なりにかなり理性的に考えて、考えて、行動に移したと思われる。しかし、その結果は悲劇にしかならない。「日本の悲劇」とタイトルされた所以であろう。 監督 小林政広 inシネマクレール 2013年12月1日 ★★★★☆ 「42 世界を変えた男」 1人黒人大リーガーが頑張ってヒーローになったという話ではない。アメリカ社会そのものが戦後間もなく野球社会の中で差別をなくしてゆくことを、戸惑いながらも、意思を持って、時には耐え、時には勇気を持ち作り上げて来たことを、淡々と描き上げていた。好作品だと思う。 ただ、この邦題は気に入らない。アメリカ社会は変えたとは思うが、「世界」は変えていない。 (解説) 黒人初のメジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンの伝記ドラマ。白人の世界だったメジャーリーグに飛び込み、偏見や差別に屈することなく奮闘した彼の姿を描く。監督は、『L.A.コンフィデンシャル』の脚本家としても知られるブライアン・ヘルゲランド。テレビドラマ「FRINGE/フリンジ」などのチャドウィック・ボーズマンが、ジャッキーを快演。親身になって彼を支えたドジャースの重役ブランチ・リッキーを、名優ハリソン・フォードが徹底した人物リサーチと特殊メイクを施して演じ切っている。 in movix倉敷 2013年12月4日 ★★★★☆ 「タワーリング・インフェルノ」新午前10時の映画祭 「今回は運が良かった。死者も200人以下だ。今度こんな高層ビル火災が起きたら、一万人が犠牲になるかもしれない」 親に連れていってもらわないで、友だちと観た映画の2作目だった。「ポセイドン・アドベンチャー」の印象があまりにも強烈だったためか、途中で寝てしまったのか、ほとんど内容を覚えていなかった。しかし、放心したように焼け跡のビルの前で座り込むポール・ニューマンとフェイ・ダナウェイ、そしてスティーヴ・マックイーンの姿だけは覚えている。書いて思い出したけど、多分途中で寝たみたい。中学生にはむつかしい内容だった?しかし、今見ると、CGのない時代に良く撮れたなあ、と思うことばかり。つい最近韓国版の「ザ・タワー」を観たばかり。こういう作品はやはり緊迫度において実写には敵わない、ということがよくわかる。メッセージもよく伝わったし。(1975年作品) 監督 ジョン・ギラーミン in TOHOシネマズ岡南 2013年12月5日 ★★★★☆ 「陽だまりの彼女」 どうして今さらこんな見え見えのファンタジーを作る必要があったのか。しかも、10年も会えないなんてあり得ないから。恣意的なストーリーにうんざり。 唯一の収穫は、上野樹里が時々光り輝いていたこと。復活とも言っていい。 (解説) 「金曜のバカ」「ボーナス・トラック」などの越谷オサムのベストセラー小説を実写化したラブストーリー。パッとしなかった幼なじみと再会した青年が、魅力的な女性になった彼女と恋に落ちたのを機に、切なくて温かな奇跡の物語が動き出していく。メガホンを取るのは、『僕等がいた』シリーズの新鋭・三木孝浩。『花より男子』シリーズの松本潤と『のだめカンタービレ』シリーズの上野樹里が、主人公のカップルを快演する。舞台となる湘南の魅力を余すところなく捉えたロケ映像も見ものだ。 in TOHOシネマズ岡南 2013年12月5日 ★★★☆☆ 「REDリターンズ」 登場人物たちのキャラが立っていて、とても気持ちよく鑑賞出来た。特にメアリー=ルイーズ・パーカーやイ・ビョンホンが乗ってやっていてくれた。ホプキンスが素晴らしいのは当たり前。だけど、彼の病気引退説が流れたのはいったいどこからか? (解説) 引退した元スパイたちの活躍を描いた、人気アクション『RED/レッド』の続編。至って静かに日々を過ごしていた元CIAの敏腕エージェントが、仲間らと行方不明の小型爆弾を追いながら事件の裏に潜む巨悪に挑む。ブルース・ウィリス、ジョン・マルコヴィッチ、ヘレン・ミレン、メアリー=ルイーズ・パーカーら名優たちが前作に続いて登場。さらにアンソニー・ホプキンス、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、イ・ビョンホンという豪華な面々が共演。老いてますます盛んを地で行くようなノリや見せ場を堪能できる。 in movix倉敷 2013年12月7日 ★★★★☆ 「利休にたずねよ」 利休切腹を基点に現在から一旦21年過去に戻って数年ごとに戦闘場面無しに戦国時代を描き、現在になったとたんに最後の1/3で50年前に遡るという面白い構成になっていた。私にはわかりやすいが、戦国時代の歴史の素養がなければ何のことかわからない内容。あまりにも速く時代がすぎるので、権力欲と美意識の対立という本来のテーマが、表層的過ぎたのではないか、という嫌いがある。 利休の求めた「美」の内容を、映画ならではの豪華な(おそらく本物の)茶道具や建物、水盆にに映した月、茶室の一輪の生花等々で現しているのは、茶には詳しくはないが面白かった。茶を少しでもやったことのある人には、一つひとつの所作も参考になるのだろう。 親子出演も話題になった。団十郎は死病に侵されているとは思えない、堂々とした演技であり、海老蔵は「武蔵」の頃よりは遥かに良くなっていた。 全く無名の(しかしちゃんと演技が出来る)クララを重要な女性に選んだのは、成功していた。 映画館で観た方がいい映画である。 (解説) 直木賞に輝いた山本兼一の小説を実写化した歴史ドラマ。戦国時代から安土桃山時代に実在した茶人・千利休の若い頃の恋、それを経て培った美への情熱と執着を壮大に映し出す。『一命』の市川海老蔵が千利休にふんし、10代から70代間際までの変遷を見事に体現。さらに、利休の妻・宗恩に中谷美紀、豊臣秀吉に大森南朋、織田信長に伊勢谷友介と、実力派が集結。三井寺、大徳寺、神護寺、彦根城など、国宝級の建造物で行われたロケ映像も見ものだ。 監督:田中光敏 キャスト 市川海老蔵、中谷美紀、成海璃子、福士誠治、クララ、市川團十郎、大森南朋 in movix倉敷 2013年12月11日 ★★★★☆ 「47RONIN」 奇しくも、討ち入りの12月14日に観てしまいました。今年の「とんでも映画」No.1の名誉を与えようと思う。想像以上でした。凄い。 (以下ネタバレ多し) いや、最初からこの世にない獣が出てくるので、これが日本の江戸時代を表してはないと世界の人びとは思ってくれているとは、信じたいのですが。何しろ日本の領土の形は正確に出てくるし、登場人物たちの名前も魁や浅野の姫の名前以外はとりあえずそのまま出てくるので、もしかしたら日本の忠臣蔵はこんな話だったんだ、と勘違いする外国人が出てこないとは限らない、あっ、日本人も‥‥。 松の廊下はおろか、吉良の目的は赤穂の領土になって仕舞っている。よって大石たちが「仇討ち」をする目的も変わって仕舞っている。実際に吉良を討ったあとに浅野家は再興すると言う暴挙が起きているし、大石力は切腹を赦されるし。 いや、それよりか切腹をまるで見世物の様に、将軍、浅野家姫、臣下の家族まで見守る中で全員で一挙に腹を切るなんて、何を考えているのやら。「お辞儀」も意味が全く違うし。えっ?キアヌ?そりゃあ単なる人寄せパンダだからどうでもいいんです。 (解説) 世界的スター、キアヌ・リーヴスを主演に迎え、歌舞伎や映画、ドラマなどで不動の人気を誇る「忠臣蔵」を大胆にアレンジしたアクションファンタジー。非業の死を遂げた主君の敵を討つべく集まった47人の浪士と異端の混血のサムライが協力し、数々の試練を乗り越え決死の戦いに臨むさまを描く。監督は、CMなどを手掛けてきた新鋭カール・リンシュ。共演には国際的に活躍する真田広之、浅野忠信、菊地凛子のほか、本作でハリウッド作初出演の柴咲コウに加え、赤西仁も名を連ねる。 in movix倉敷 2013年12月14日 ★☆☆☆☆ 「もうひとりの息子」 18歳という年齢は決定的である。2人は自分の意思でお互いの国を行き来することが出来る。 その若い感性で実際に訪ねないと、本当の人の気持ちや世界は理解出来ない。パレスチナを1人で訪ねた時に、言語がわからない若者の手を引いて老婆が家に案内をする。貧しさは心の貧さではない。若者と同時に観客の我々もそれを知るだろう。 両親のうち、母親よりも男親の方が道を見出し得ないでいたのは、当然だろう。男は歴史と政治が作ってきた社会で生き残ってきたからである。女性は産むとという行為で、それを軽々と飛び越えることが出来るのだろう。叶わない。 「そして、父になる」もどこにも疑問がない作品だったが、こちらも同様だった。 (解説) テルアビブに暮らすフランス系イスラエル人の家族。ある日、18歳になった息子が兵役検査を受ける。そして残酷にも、その結果が証明したのは、息子が実の子ではないという信じ難い事実。18年前、湾岸戦争の混乱の中、出生時の病院で別の赤ん坊と取り違えられていたのだ。やがてその事実が相手側の家族に伝えられ、2つの家族は、それが“壁”で隔てられたイスラエルとパレスチナの子の取り違えだったと知る……。アイデンティティを揺さぶられ、家族とは何か、愛情とは何か、という問いに直面する2つの家族。はたして、彼らは最後にどんな選択をするのだろう。 イスラエル人、パレスチナ人撮影スタッフの意見を日々取り入れて、この衝撃的な題材をリアルで感動的な家族の物語に完成させたのはフランスの女性監督ロレーヌ・レヴィ。育てた子と産んだ子の狭間で揺れる2人の母に、フランスのトップ女優エマニュエル・ドゥヴォスとパレスチナ映画界の大女優アリーン・ウマリ、その息子を子役時代から活躍するジュール・シトリュクと美しき新進俳優マハディ・ザハビ。フランス、パレスチナ、イスラエル…異なる背景を持つ俳優たちの、このうえなく繊細で献身的な演技を、世界中のメディアが絶賛。対立を乗り越え希望を見いだそうとする人間の強さに、誰もがもう一度、未来を信じたくなる名作が誕生した。 inシネマクレール 2013年12月15日 ★★★★☆ 「ゼロ・グラビティ」 凄い映像「体験」だったとしか言いようがない。宇宙空間という「密室」の中で、繰り広げられる人類の叡智と勇気のシュミレーションをさせてもらった。 もう一つの見所は大画面で宇宙から見れる地球の姿なのだけど、残念ながら(おそらく)アメリカ大陸周辺しか出てこない。 (解説) 『しあわせの隠れ場所』などのサンドラ・ブロックと『ファミリー・ツリー』などのジョージ・クルーニーという、オスカー俳優が共演を果たしたSFサスペンス。事故によって宇宙空間に放り出され、スペースシャトルも大破してしまった宇宙飛行士と科学者が決死のサバイバルを繰り広げる。監督を務めるのは、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』『トゥモロー・ワールド』などの鬼才アルフォンソ・キュアロン。極限状況下に置かれた者たちのドラマはもとより、リアルな宇宙空間や事故描写を創造したVFXも必見。 in movix倉敷 2013年12月19日 ★★★★☆ 「武士の献立」 上戸彩の仄かな色気がたまりませぬ。もう少し作り方も伝授してくださったり、当時の料理技術云々がわかるかな、と思ったのであるが、出来上がった料理しか見せてくれず、消化不良。柚餅子は機会があれば、食べてみたい。 幕末モノかと思いきや、加賀騒動の時代でした。それと絡めていて、割りとフィクションが入っている。それはあまり必要性を感じなかった。 (解説) 『釣りバカ日誌』シリーズの朝原雄三が監督を務め、江戸時代に包丁侍として料理の腕を振るった武家に嫁いだ主人公の紆余(うよ)曲折を描く人間ドラマ。加賀藩に実際に存在した料理担当武士・舟木伝内と息子が残したレシピ集「料理無言抄」を題材に、当時の台所事情に迫る。気の強いヒロインを上戸彩、年下の夫を高良健吾が好演。伝統的な和食の世界はもとより、家族や夫婦の絆などを見つめる普遍的な人情劇が胸に染みる。 in movix倉敷 2013年12月21日 ★★★☆☆ 「もらとりあむタマ子」 最高に忙しかった2012年の8月までの日々。前田敦子はその直後、生涯で1番暇な時間を持つことになる。「苦役列車」の天然少女も、「クロユリ団地」の影のある女性も、彼女の一面ではあるが、このぐうたらな生活もやはり彼女の一面ではあるのだろう。 潔い脚本。全編タマ子は基本食って寝るだけ。広辞苑によれば、「モラトリアム」とは「三、人間が成長して、なお社会的義務の遂行を猶予される期間。また、その猶予にとどまろうとする心理状態」なのだそうだ。モラトリアム人間という言葉は聞かなくなって久しいが、社会がその余裕を持たなくなっただけで、それを必要とする人間は普遍的にいることを、この作品は圧倒的な前田敦子の存在感で証明する。 もうそれだけを「証明する」作品である。 (解説) タマ子、23歳。現在、無職。父がひとり暮らしをする実家で、家事を手伝うこともなく、就職活動をすることもなく、ただ食べて、寝て、マンガを読む生活を送っている。テレビを見れば「ダメだな、日本は」とか「クソ暑いのに野球なんてよくやるよ」とか悪態をつき、近所の中学生には「あの人、友だちいないから……」と同情される、逆ギレばかりのぐうたら娘。それでもなぜか愛おしいタマ子を、音楽、ドラマ、映画とさらに幅広い活躍を見せ、今年出演した『クロユリ団地』が国内映画ランキング初登場1位を記録した前田敦子が、かつてない多彩な表情で演じてみせた。待望の最新主演作は、“前田敦子史上もっともぐうたらな前田敦子”が姿を現す必見の一作。彼女の女優としての新境地から目が離せない! 監督は『リンダ リンダ リンダ』『マイ・バック・ページ』などの作品が国内外で高く評価される山下敦弘。『苦役列車』に続く前田敦子との顔合わせで、等身大な彼女の魅力を存分に引き出すことに成功した。また、脚本を務めるのは山下と大学時代からコンビを組み、近年は映画『ふがいない僕は空を見た』『陽だまりの彼女』などで才気を発揮する向井康介。2007年公開の『松ヶ根乱射事件』以来、約6年ぶりとなる山下と向井のオリジナル映画ができあがった。 主演・前田敦子、監督・山下敦弘、主題歌・星野 源という最強のコラボレーションがここに実現した。 inシネマクレール 2013年12月22日 ★★★★☆ 「 永遠の0 」 隣の1人で来ていた40代の男性は終始泣いていた。私が全然涙を流さなかったわけではない。山崎監督は「ALWAYS 三丁目の夕日'64」の時でもそうだったが、泣かせのツボは心得ている人である。山崎監督は非常にバランス感覚のある人で、明らかに右寄りな原作は中道に変えてしまう(「宇宙戦艦ヤマト」)。その反対もあるということである。結果、お涙頂戴が得意になってしまう。 原作の中の大本営の「酷い無戦略」はスパッと省略していた。まろさんが批判していた新聞記者の貶めは、健太郎の友人に替えていていた。左右の「難しい話」は全て省略していた。VFXは違和感なく作っているのは、さすが「白組」。 しかし結果、話の構造的に「特攻隊の人々が頑張ったから、今の日本がある」ということになってしまっていた。お正月映画の興行収入トップ作品なだけに、その罪は重い。 純粋な若者たちがどうして戦争に向かわざるを得なかったのか。それは原作でも十分に描いていないし、映画にするとどうしてもヒロイズムが強くなる。 テレビプロデューサーだった原作者は映画化の時も考えて、あの長編を書いたのではないかと勘ぐるのである。 夏八木勲さんはいつ頃出演したのか。かなり重要な役だった。逝く者は、決して首相が秘密保護法とか作ったり靖国に参拝して周辺諸国を挑発するような国を願って頑張ったのではない、と思うのだが。 (解説) 司法試験に落ちて進路に迷う佐伯健太郎は、祖母・松乃の葬儀の日に驚くべき事実を知らされる。実は祖父・賢一郎とは血のつながりが無く、“血縁上の祖父”が別にいるというのだ。本当の祖父の名は、宮部久蔵。60年前の太平洋戦争で零戦パイロットとして戦い、終戦直前に特攻出撃により帰らぬ人となっていた。宮部の事を調べるために、かつての戦友のもとを訪ね歩く健太郎。しかし、そこで耳にした宮部の人物評は「海軍一の臆病者」などの酷い内容だった。やがて宮部の最期を知る人物に辿りついた健太郎は、衝撃の真実を知ることに…。宮部が命がけで遺したメッセージとは何か。そして現代に生きる健太郎は、その思いを受け取ることができるのか。 監督 山崎貴 出演 岡田准一、三浦春馬、井上真央 in TOHOシネマズ岡南 2013年12月26日 ★☆☆☆☆
2014年01月14日
コメント(4)
1月5日(土)晴 下関→倉敷 昨夜のことなんだけど、ここに書きます。フェリーの中で「チャンコロは‥」とのたまう男に出会った。同室の男と少し飲んだ時の話である。(※チャンコロは中国人の蔑称であるが、この男は朝鮮人を指して言っていた) 「朝鮮は儒教の国だと言うけれど、とんでもないことだね。親や公式の前ではいい顔するけど、町に唾を吐くわ、モノを片付けないわ、部屋を汚してもお構いなし。酷いもんだよ。日本人のように品というものがないんだ」 彼は韓国の友達はたくさんいる。たくさんの人間と直に付き合ってきたことから出した結論だと、さも説得力があるかのように言う。 途中まで反論したが、言うのはやめた。 果ては彼は 「上空侵犯されたら、即武力攻撃できないようではダメだ」 「2人殺したら、即死刑は当たり前だ。判決のあとに即刑を執行しないから、死刑予定者があんなに溢れかえるようなことになるんだ」 「公務員は遊び過ぎだね。即1/3にしないといけない」 絵に描いたような「小橋下」である。あゝこれが新自由主義にかぶれた男の成れの果てか。朝鮮人は嫌いだと言いながら、何度も韓国に渡り、凝り固まった思考で「わかりやすい言説」にしか飛びつかない。 下関港に着いた。8時下船なんだけど、再入国の時には税関だけが列になる。私は幸い最初の頃に通ったので、日本の外の空気を吸ったのは8時5分ころ。 「やっぱり日本は暖かい」 それが帰国最初の実感です。 8時12分の新山口行の電車に乗った。今までで最速の帰宅の途だ。(←夕方に用事があるため)しかし今日は乗り継ぎが多く、新山口、徳山、岩国、三原と途中で四回も乗り継ぎをしないといけない。もちろん、もう札束が入った封筒を落とすようなヘマはしないと自分に言い聞かす。徳山駅では30分も間が空いたために、初めて徳山駅の外に出てみた。駅舎に市民交流センターみたいなものがあって、おかげで寒いプラットホームで待たなくて済んだ。 交流センターには「地元をおいしく食べよう」というコーナーあり。郷土料理レシピを持って帰れるようになっていた。蕎麦がきは鹿野の名産なのかな?今度やってみよう。 広島や一部都市部を除いて、山陽線の上りはそんなに混んではいない。しかし、最近の日本人は混んでないところならば、隣に荷物を置いて隣に座らせないようにする人が非常に多い。昨日の「新自由主義」のおっさんに言いたい。これでも儒教の国の韓国人よりも日本人の方が礼儀があると主張するのか。 そして何よりも悪いのは、幾人かはそれでも自分の荷物を退けて席を空けているのに、そこに座ろうとせずに、立ちん坊を選ぶのである。つまり他人の隣には「怖くて」座れない老若男女が多数存在するのだ。新自由主義のおっさんよ、これが「品のある日本」なのだ。韓国人ならば、「その荷物を退けて座らせてくれ」と堂々と次から次へと言いそうだ。いや、言う前にみんな荷物を退けるだろう。 倉敷駅に着いた。 駅前の喫茶店で遅い昼食を食べる。喫茶店の店員が大荷物を持っている私を見て、プレートを席まで運んでくれた。こういう細かい「気配り」が出来るのも、「品のある日本」なのだとつくづく思う。(この日記を書いて9ヶ月後に、この気配りを「おもてなし」とも言うようになったが、私は意識してそういう言葉は使わないようにしている) 「品のある日本」は、他の言い方をすれば「おびえる日本」でもある。相手の気持ちを言葉で確かめずに、あれこれ想像して、かってに自分で判断する。その時にわかりやすい言葉があれば、それに飛びつくだろう。そんな時に上空侵犯があったり、領海侵入があれば「軍隊でもって叩け」と言った方がわかりやすくていいだろう。おびえる犬ほどよく吠える。 では、どうすればいいのか。それはこの小さな旅行記の任ではない。 青春切符2500円 昼食540円 バス340円 計 3380円 これで、私の韓国旅行のストックは全てなくなりました。少なくとも来年の正月までは韓国へは行かないと思います。でも韓国は日本の 未来を考える上で、貴重な合わせ鏡なのです。 ずっと注視していきます。
2014年01月12日
コメント(4)
倭国は決して採用しなかった「殉葬」の実態がどうやら少しづつ解明されて来ているらしい。これは殉葬時のジオラマ。 4-5世紀の新羅・大陸系と1ー3世紀の王族とは、明らかな断絶がある。それが象徴的に分かるのが、野外展示場である。29号木槨墓を壊して39号木槨墓が作られている。この間の時間差は100年余り。その間に広開土王の南征があり、金海は手痛い打撃があったという。そのあと、傍若無人な王を据えて、殉葬という文化の違いとはいえ屈辱的な犠牲者を出す墓制も取り入れざるを得なかった。 殉葬は、1人の王につき5人が供えられた。これは大成洞博物館の展示。王の傍らには一振りの太刀が置かれ、王の側面を囲むように臣下が殺されて(?)一緒の墓の中に入れられていた。 足下にも人が殺されて(?)横たわっている。この人には装飾品はかけられていない。 殉葬があった墓で、57号墳墓からの人骨を三体復元していた。人骨A.B.Cの平均身長は149.7センチ。20-30代の女性であった(!)AとCは、1-2回の出産経験があり、成長期に栄養不足を経験した(←つまり、奴隷階級から側女に選ばれた、ということか?)。また、女性でありながら、脚の筋肉が発達しており、重労働に従事していた身分であった可能性が高い(日本語の説明では更に現代韓国人が好む顔かたちではなく、丸顔(←ブスであると言外に言っている!)だということを強調していた)。高麗の王が入ってきて、金海の女性たちは酷い扱いをされたことが想像出来るのである。 大成洞博物館と国立博物館との間に金海中央観光案内所という建物が出来ていたので、行ってみた。去年幼稚園を改装して作ったらしい。 金海の歌というCDを無料でくれた(^-^)/。 国立博物館駅へ。 ここの階段には、「右側通行をしましょう」という珍しい表示。韓国は右なのか、左なのか、ずっと悩んでいたのでこれは助かる。博物館駅出発は4時30分だった。フェリーのチケット交換時間は6時までである。果たして1時間半で行けるのか、二回乗り換えて、中央駅からは重たい荷物を引きずって国際ターミナルまで歩かなくてはならない、急に不安になる。 10分前に着いた。結局バタバタの帰国になった。 出国フロアーは今日から新年営業ということで、すごい人出である。 これでしばらく韓国は見納めだ。 靴50000 朝食5000 DVD10000 チャージ5000 Wi-Fi 7700 みやげ29100 本 12000 港使用料14500 夕食 11000 計 129800w 歩数 10641歩 ちなみに、今回韓国滞在5日間で使ったウォンは合計448750wでした。日本でのフェリー代と電車往復に約2万5 千円なので、7日間で約6万5千円だったということになります。一ヶ月滞在の旅よりもコストパフォーマンスは遥かに悪いけど、一般の外国旅行よりも遥かに安い。 あ、旅はまだ終わりませんよ。日本に着いてから、いろいろと物思いにふけった記録が残っています。
2014年01月11日
コメント(0)
大成洞(テソンドン)古墳群に着いた。ここは、半年前に発掘して王陵級の発見があったらしい。韓国のことだから、未だ発掘が終わっていないのではないか、と期待したのである。 (参考12.8ハンギョレ新聞より) 大成洞(テソンドン)で4世紀の木棺墓2基など確認 4世紀 金官伽耶時代と推定される大型王陵級古墳が慶南(キョンナム)、金海、大成洞古墳群で発見された。 金海、大成洞古墳博物館は去る6月から行ってきた大成洞古墳群に対する7次学術発掘調査で、4世紀前半に作られた王陵級の大型木棺墓2基と5世紀後半頃の石槨墓5基を確認したと7日明らかにした。 発掘された古墳の中で注目されるのは88号と91号と名付けられた木棺墓で4世紀に中国東北地方鮮卑族系統の銅椀(銅製の器)と銅鈴(青銅鈴),殉葬人骨などが確認され、墓の性格を巡って学界の関心が集まっている。 シン・ギョンチョル釜山大教授は「墓の規模や殉葬跡などから見て、王陵級であることが明らかで、中国・日本系統遺物が一緒に出てきていることから古代東アジア古墳遺物編年に重要な根拠資料になるものと見られる」と話した。 博物館側は8日午後3時に現場説明会を開く計画だ。 しかしそれらしきものはない。 野外展示場の少し南側に土の色が変わっている処があった。おそらく此処が発掘現場なのだろう。 この古墳群の小さな丘。いつもは芝に隠れて見えないのだが、此処だけはむき出しの土が出ている。発掘の跡を見ていると、まるで貝塚のように貝が散らばっていた。 墳墓の周りに貝塚があるなんて聞いたことがない。(←あとで博物館の日本語ガイドの人に聞いたら、その人も見学した時にビックリしたと言っていた。韓国でも滅多にある事ではないのだろうか) 土器も幾つか落ちていた。 大成洞博物館には久しぶりに入る。 この博物館に入ると、正面に兵士たちの階層がわかる人形たちがズラリと並んでいる。大将は立派だけど、 隊長クラスになると突然馬はおろか、鎧は簡素になり武具も少なくなる。 歩兵になれば、鎧もない。これはおそらく5世紀あたりの服装だと思うが、倭国の影響も受けていたことを考えると、日本も同じような感じだったのではないか。 今回ゆっくり見たせいか、展示にボタンで日本語説明案内がある事に初めて気がついた。全ての解説文には日本語もあるし、図録の日本語版もある。この博物館はホント日本人に優しい。 以下、紀元前から3-5世紀ぐらいの三国時代の土器の変遷。 倭国との交流を示す日本の新聞記事を二つ展示してあった。今回殉葬について、わりとゆっくり観たのでのの成果は次回に回します。
2014年01月10日
コメント(8)
人に聞いてロッテマートの場所を探す。 肉は安いと思う。 豚肉バラ100g(64円?) しかしスーパーの野菜は高い。 卵もそんなに安くない。種類は多いなあ。 市場と比べて、パックする手間はあると思う。比較的衛生管理もいいのだろう。だから少しは高くなるのはわかる。しかし、それならば徹底するべきだ。この野菜などは、キズモノが相当混じっていた。スーパーの技術は日本よりも相当低いと見るべきだ。これが未だに市場が流通の多くを担っている理由なのだろう。反対に言えば、キチンとした企業が流通を担えば、韓国の台所はもっと安く衛生的になる。 レジは一応最新的なPOSシステム導入。 結局これだけ買って29100w(約2700円)。袋は有料です。このあと、金海に向かった。 チャガルチから中央駅まで行って、そこで(国際ターミナルに行くにはここから歩いてゆくため)荷物をロッカーに入れ、また地下鉄で沙上駅へ。そこから金海軽鉄道で金海に向かう。金海空港の南側に巨大な「街」が出来上がりつつある。ほぼ外観は出来ていて、全ての建物の上に太陽光発電がある。 商業都市のようでもあり、工業都市のようでもある。しかし一挙に街を作って、それで人が集まるものだろうか。 金海空港は軍事基地も兼ねているので、軍用機も停まっている。詳しい人がいたなら、機種を教えて。 首露王陵駅に着いた。そこから鳳凰台が見える。 金海自転車教育センター。韓国には何かの教育センターが異様に多い。 大成洞(テソンドン)古墳群に着いた。
2014年01月09日
コメント(4)
年を越しましたが、2012-2013年の「年越し韓国の旅」を終わらせます。お忘れの方もいるかもしれませんので、前回2013年1月3日のおさらい。大邱、馬山、釜山と極寒の中歩いた私は見事に風邪をひき、suzuさんから熱さましの薬を貰ってチャガルチの宿で爆睡したのでした。 1月4日(金)晴れ 釜山 朝だいぶダルさがとれた。これならば、外に出ても大丈夫そうだ。それでも、ゆっくりと支度したために10時ごろになる。 ここの部屋は505号室で、前回の503号室と比べてバスタブがない。少し寒そうだったので、お風呂は諦める。 先ずは国際映画通りに出て、いつもは直前でバタバタするので、今回は午前中に(自分用の)土産物を買っておこう。 靴屋さんで運動靴を買う。これでも7万wを5万wに値切りました。 suzuさんオススメの豆腐屋さんで遅い朝食。「豆腐家」。 ドアには「あけましておめでとうごさいます」の文字が。 小綺麗な店なんだけど、美味しい定食が食べれるらしい。 豆腐飯を頼むと先ず小さなヤカンに入った豆乳が出てくる。コクがあって美味しい。 そしてあつあつの麦ごはんに豆腐とキャベツを和えた熱飯と、オカズが5品もついてくる。これで5000w。流石suzuさんの目利きは確かだ。 ここでゆっくり次の予定を練ろうとしたら、またWi-Fiルータがいう事を聞かなくなった。街中でこうもしょっちゅう必要なときに通信障害を起こすようなら、使えない。ollehKTはダメだ。
2014年01月08日
コメント(2)
ビックイシュー230号(1月1日発行)ゲットしました。いつもの販売者さん(岡山天満屋前)は、お正月は2日から始めたらしい。普通の労働者よりも、休みなく働いている。 今回、何人もの人が秘密保護法について言及していました。 エコノミストの浜矩子さんは経済活動の影響について「念のために思想信条の調査をしておかないと、安心して人を採用することが出来なくなるかもしれない。デモに参加したことのある人はお断り。カネやモノの動き、そしてヒトの取扱い方が経済外敵要因に振り回される。そのような状況に陥ることがあってはならない」という。 被災地レポート(62)では「被災地「県民の声を無視するな」特定秘密保護法強行採決で県民の怒りやまず」と報告、公聴会で意見を述べた2人の怒りの声を載せていた。 「テレビうらおもて」(195)は、NHKの報道の異常さを具体的にレポート。「12月5、6日は委員会審議を全く中継しなかった。4日も福島瑞穂議員の質問途中の打ち切り、11月26日の衆院特別委は中継していたが、不思議なことに強行採決の直前で放送を終え、その1分後にニュースで「可決」を報じる。」 料理記事の枝元なほみさんでさえ、二つのお餅料理を紹介しながら、年末は腑抜けになったという。「秘密保護法もそれをめぐるめちゃくちゃな議決も、原発の再稼働を平気な顔で言い始めることも、TPPその他の進め方にしても、普通の感覚だと思っていたものが次々と覆されていくのを見るようだった。どうしてこんなことになるんだよ、と思うような2013年だった。納得のいかない政治のやりたい放題にさらされ続けて、いやおうなく鬱々としたところに追い込まれ、体力を消耗して腑が抜け落ちそうな状態になった。ヤバイ。」 他にも久しぶりの佐良直美さんが歌手をやめて、150匹の犬猫と暮らしながら「家庭犬しつけ教室」をしている状況を知ったこと。 サルバドール・アジェンデ大統領の親戚の作家イザベル・アジェンデの「精霊たちの家」にまつわるインタビュー記事など、興味深い記事が盛りだくさんでした。 冒頭にビックイシュー特製お正月かるた言葉が載っていました。沁みたのは、以下の言葉。 (れ)歴史を読むのは楽しみだ。だが、それよりもっと心を引き、興味があるのは、歴史を作り参加することだ(ジャワハルラール・ネルー/政治家) (せ)世界は先祖から譲られたものではなく、子孫から預かっているものだ(アフリカ少数民族の教え)
2014年01月07日
コメント(0)
ちょっとチカラの入った読書ノートはいとま申して、ストックから北村薫の新作を一つ。 言い訳。何しろ歯が痛い。治ったかと思うと、時折急激にやってくる。この一週間でロキソニンを30錠以上飲んだ。胃がボロボロである。今宵はやっと予定の歯医者にかかる。「おかげでおせちもお餅も酒も無かったよ」と嫌味を言うべきかどうか迷っている。 「いとま申して 「童話」の人びと」北村薫 文春文庫 途中で読むのが嫌になった。 狙いは共感出来る。 北村薫のお父さんが遺した日記を手がかりに、大正末から昭和初年の旧制中学生の青春と、金子みすゞや淀川長治も寄稿した雑誌「童話」を巡る昭和の空気を再現しようというのだろう。 構成も、いかにも北村薫らしい。 日記の一つの言葉に拘って、再現無く調べてゆく。よって世界は広がらない。政治や歴史は語られない。それも日常の謎解きを大切にする著者らしい拘りなのだろう。 ただ私は、大正から昭和にかけての「時代」のイメージが全然湧かなかった。残念という他ない。 2013年12月20日読了
2014年01月06日
コメント(6)
「生活保護から考える」稲葉剛 岩波新書 先ずこの本を読んで欲しいのは、この間に生活保護受給者に対して人前で何回も攻撃的な言説をしたり、ネットに一回でも書いたことがある人である。その人たちは根拠を持ってそう言っているのだろうし、それが社会の「空気」を作り、引いては先日成立した生活保護法と生活者自立支援法に結実し、更に社会保障の切り下げに繋がったのは確かなのだから、ここに書いている著者の「根拠」に対して、きちんと「反論」する(少しきついけど)社会的責任があると思うのです。 法案成立に関わった議員や役人にその責任があるのは当然です。 読んだ上で、反論が出来るのであれば出来たら教えて欲しい。 もし、その反論が人としての価値観に関係するのだとしたら、私は特に著者が書いた以下の部分を強調したい。 生活保護制度の本当の意味とはなんでしょうか。それは人間の「生」を無条件で保障し、肯定することだと私は考えています。「生」というと、最低限の生活が出来ている状態という意味に受け取られがちですが、ここでいう「生」とは衣食住だけでなく、健康で文化的な生活、つまり「人間らしく生きる」ことを意味しています。 現代社会において「人間らしく生きる」ためには経済的な基盤が不可欠です。その基盤を支えるための制度はさまざまありますが、どんな人に対しても最後のラインで「生」を防衛しているのが生活保護制度だと言えます。その意味で、生活保護制度は「人間らしく生きたい」という人として当然の願いを無条件で肯定している制度だと思います。 「生」を支える生活保護をパッシングしている人びとは、私から見ると他者の多様な「生」のありようを肯定出来ていない人たちに見えます。そして、他者の「生」を肯定出来ない人は、実は自分自身が「人間らしく生きる」ということをも無条件で肯定出来ていないのではないかと私は感じています。(204p) こういう例を引くと、「生活保護受給者をパッシングしている人は人非人だ」という風に短絡的に考える人が出てくると困るので、少し付け加えます。これは私は人としての立ち位置の問題だと思うのです。歯痛は、自らなってみないとなかなかその苦しみはわからない。でも、わからないことを含めて、どういう立場で人を見るか、ということのだと思う。「彼は命に関わるわけじゃないのだから、薬は用法を守って我慢するべきだ」としたり顔で言うのか、とりあえず痛みを和らげるために、定量以上の薬服用含めてあらゆる手立てを取るべきだと考えるのか。薬を与える立場に立つのか、それとも貰う人に寄り添うのか。 それは答のない人としての選択だと思うのです、 2014年1月5日読了
2014年01月05日
コメント(0)
薔薇豪城さんが既にアップしていますが、私も「拡散」します。 これを進めている方は1昨年、EUが「地域の統合により、国家の和解と平和を進めた」として平和賞に選ばれたとき、「これなら、70年間この憲法の力で、戦争に参加せずにいた日本国憲法も獲れるはず」と運動を始めたそうです。 けれども、以前にも申し込んだ時には、当の委員会からは「そんな抽象的なモノには授与出来ない」とつれない返事。 でも「EUにも獲れた」「そうか、団体や個人ならば獲れるんだ」と閃いた彼女は『九条を保持している日本国民』という枠組みで再度申し込み。推薦人の必要なノーベル賞の大学教授などの「推薦人」も集まりました 2月1日がノーベル平和賞の推薦締め切り。多くの推薦人、賛同する署名が多いほど、委員会へのアピールになるそうです。署名先はこちら。 http://www.change.org/ja/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%83%B3/%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%90%84%E5%9B%BD%E3%81%AB%E5%B9%B3%E5%92%8C%E6%86%B2%E6%B3%95%E3%82%92%E5%BA%83%E3%82%81%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%86%B2%E6%B3%95-%E7%89%B9%E3%81%AB%E7%AC%AC9%E6%9D%A1-%E3%82%92%E4%BF%9D%E6%8C%81%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%B0%91%E3%81%AB%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E5%B9%B3%E5%92%8C%E8%B3%9E%E3%82%92%E6%8E%88%E4%B8%8E%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84-please-award-the-nobel-peace-prize-to-the-japanese-citizens-who-have-continued-maintaining-this-pacifist-constitution-article-9-in-particular-up-until-present?share_id=bXPPOVjonn&utm_campaign=friend_inviter_chat&utm_medium=facebook&utm_source=share_petition&utm_term=permissions_dialog_true もし、ノーベル賞が獲れたならばこれ以上にない改憲阻止の援護射撃になります。 produced by 「13日の水曜日」碧猫さん
2014年01月04日
コメント(8)
「現代語訳 竹取物語」川端康成 訳 高畑勲の「かぐや姫の物語」を観て、一度「竹取物語」をおさらいしたいと思い、この本を紐解いた。 先ず気がついたのは、アニメが中心的に描いたかぐや姫の幼少期の話は一章で終わっており、物語の大半は公達や帝の妻恋に多くを採っているということである。 高畑勲版は、比較的原作に忠実に描かれてはいるが、従来の話とは全く違う物語だということは、ここからも解る。 竹取の翁は終始出てくるが、その妻は「爺さんはそれを婆さんにあずけて育てさせた」と一文出てくるだけであり、視点が全く違う。姫や婆さんの目から見た世界はどう映っていたのか。私たちは、アニメというカメラを通して、自然の美しさ、人の世の愚かさを知るだろう。原作は、明らかに男の視点で見ている。それだけは、川端康成も認めている。 帝の望みをかぐや姫は断る。これは、当時としてはタブーだった。しかし、なぜ物語として許されたのか。川端康成は、そのことに延々と筆を及ばす。しかし、かぐや姫としては、それはあまりにも理の当然のことであって、私もあまり関心はない。月の使者が「いったいそのかぐや姫は、ある罪を犯しなすったによって、汝のごとき賤しき者のところに、暫く身をお寄せになったのである。」と書いているが、「罪」と書いて、川端康成は、ひとつも解説に言及していない。此処に、時代を越えて「支配する側」の世界の「限界」があると想うのは、私の穿ち過ぎなのだろうか。 最後に川端康成は解説に書く。 「かぐや姫の昇天は、勿論この世に失望した人の昇天である。が、失望はしたが、しかも尚それを捨てきれないものの悲しい昇天なのである。昇天の前の、あの月を見ての悲しみがそれを証拠だてている。 またかぐや姫は、彼女の周囲のすべての人間を一蹴した。勿論それは、彼女の高い清純さのためであろう。が、いかに高い清純さのためとはいえ、やはり現実を軽蔑した者の淋しさは受けねばならぬのである。」(163p) 原典に沿って解釈すれば、また、まだ女性の処女性が家の存続の為に当然のこととされていた戦後間もない男性社会にとっては、こういう解釈も当然だったのかもしれない。しかし、高畑監督の「かぐや姫の物語」を観てしまった我々から見れば、なんと狭く根拠のない解釈かと思うのである。 かぐや姫は、確かに「仰ぎ見る世界」月からやって来た。我々の世界を、全てを見渡したと見なければならない。京の都を飛び出て世界を見渡しただろう。それならば、彼女は十分に世界を見たから月に帰らざるを得なかったのである。「竹取物語」に描かれなかった物語を含めて、我々はこれからこの物語を見ることになるだろう。 2014年1月3日読了
2014年01月03日
コメント(0)
あけましておめでとうございます。除夜の鐘が鳴った途端に、歯痛の激痛に苛まれ、七転八倒のお正月を迎えた私です。健康の大切さを身に染みてわかった今年の一日目でした。 緊急医から応急処置してもらったのに、鎮痛剤がなかなか効かなくて昨晩も七転八倒しました(涙)。 さて、やっと痛みが落ち着いたので、今日の午後映画に繰り出しました。そして、調子が良かったのかさらに軽いこの本を一冊読了したのでありました。 「The MANZAI 5」あさのあつこ ポプラ文庫 2008年の正月、私はかなり暗い環境でこの明るい青春漫才ストーリーを読んでいた。末期ガンの父親の看病をしながら、毎日付き添いで寝ずの番をしながら読んでいた数冊のうち一冊がこれだったのである(読んだのは一巻目と二巻目)。あの頃はまさかこれが全六冊のシリーズになるとは思っていなかった。でも彼らの話にかなり癒されていた。 中学二年から一年と少し経って、ツッコミの秋本をイヤイヤながらウケながら瀬田歩も、色恋を絡ませながら仲良し7人組が成立する。今回は、中学三年の大みそかから正月にかけてのてんやわんやの一節である。 歩は大みそかのてんやわんやで、なぜか病院に担ぎ込まれる。そこで「不治の病でもう長くない」と元旦の朝にシクシク泣いているおばあさんに出会う。図らずも、今年の正月、そういう気持ちになる入院患者の気持ちはよく分かるのである。歯痛の激痛の中、お気楽な正月番組を聞きながら、明日の治療の展望もないままに、10分が永遠のような時の中では、闘う気力は一晩で無くなるモノです。さそういえば、末期ガン父親も病院が始まるまでの五日間何度も「はよ死なせてくれ」と言っていた。指定の数倍の麻薬パッチを要求して、何もわからない我々兄弟は、貼っても貼っても苦しみが治まらない父親を眺める他なかった。後で病院の医師から「そんなに貼っていつ死んでもおかしくはなかった」と言われた。それ程までに、今の苦しみから逃れるためには何でもしたくなるモノだと、図らずも今年私も体験したのである。昨晩は既定の量を越えて鎮痛剤を飲んだりした。おばあちゃんたちが元旦の朝に泣きたくなるのも当たり前です。 そんな時に、秋本、歩の「ロミジュリ」コンビが即興の漫才パフォーマンスを彼女たちの前で披露することが、どれだけの「力」になるのかも、私はよくわかる。目の前のライブには、それだけの力がある。 少年たちは、きっとそれを肌で感じるだろう。
2014年01月02日
コメント(2)
全28件 (28件中 1-28件目)
1