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著 者=湊かなえ(みなと・かなえ)書 名=告白発行所=双葉社発行年=2008.8評 価=★★★★★【送料無料】告白ひとつの殺人事件を、被害者の家族からの視点、加害者の視点、加害者の家族の視点、共通の知人の視点から描くことがこれほど面白いことなのか改めて知った。ストーリーも非常に面白く言うべきことは少ない。多分、登場人物の性格をきっちりと定義付けているのだろう。ストーリーの秀逸さという意味の構想力だけでなく、描写や心の動きなど素晴らしい表現力と思える。著者の力量なのだろう、称賛に値する。2010年の映画「告白」(中島哲也監督、松たかこ主演)の原作だが、見ていないが映画も面白いのだろう。非常に楽しみな作家である。
2011.10.22
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著 者=東 直己(あずま・なおみ)書 名=立ち向かう者たち発行所=光文社発行年=2009.6評 価=★★★☆☆ 【送料無料】立ち向かう者たち6編の短編小説をまとめて、立ち向かう者たちと題してまとめたもの。最初の短編「立ち向かう者」のみが、ある程度何かに立ち向かっているものの、他の5編は別に立ち向かう者が登場する訳ではない。まとめることに何か意味があるのだろうか。不思議だ。ただ、文体や作風は非常に好感が持て読みやすい。2011年の映画「探偵はBARにいる」(橋本一監督、大泉洋主演)の原作者だけあって、実力もあるのだろう。ただ本書はいただけない、探偵物を読めばよかった。
2011.10.22
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著 者=安東能明(あんどう・よしあき)書 名=アドニスの帰還発行所=双葉社発行年=2007.9評 価=★★☆☆☆【送料無料】アドニスの帰還 推理サスペンス物。大して面白くないのに最後まで読んでしまった。不思議。内容は、日本で警察の通訳として働くブラジル人日系3世の主人公が、ブラジルでの幼い時の恐怖体験を年月を経て再び体験するサスペンス話である。ただし、最後はハッピーエンド。でも題名の「アドニス」って何でしょうか。普通は、ギリシャ神話に登場する美と愛の女神ヴィーナスに愛された「美少年」を指すのでしょうが、一体だれのこと。「帰還」ってどういう意味。普通に考えると、主人公の幼友達で死んだと思われていた「マルコス」が重要な局面で現れ、事件終息後、再び故郷ブラジルへ帰ることのようだが、しっくりこない。誰か教えて・・・
2011.10.17
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著 者=伊藤たかみ(いとう・たかみ)書 名=八月の路上に捨てる発行所=文藝春秋発行年=2006.8評 価=★★★☆☆ 【送料無料】八月の路上に捨てる第135回(2006年上半期)芥川賞受賞作品である。内容は、自販機の飲料補充アルバイトの主人公とシングルマザーの相棒とが、8月の暑い一日に運搬トラックでの仕事中に、主人公のの離婚寸前の夫婦生活を回想・話し合う物語である。面白いかと言うと、そうでもない。多分、「八月の路上に捨てた」のは、主人公と上手くいかなかった妻との夫婦生活だと思う。何があるいはどちらかが決定的に悪い訳ではないが、最初から上手くいかないものはどうしても上手くいかないんだと思う。離婚って簡単じゃあないとはいえ・・・
2011.10.17
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著 者=絲山秋子(いとやま・あきこ)書 名=沖で待つ発行所=文藝春秋発行年=2006.2評 価=★★★☆☆【送料無料】沖で待つ第134回(2005年下半期)芥川賞受賞作品である。内容は、女性総合職として住宅設備機器メーカに入社した主人公と、同期で同じ職場に配属された男性との友人関係としての互いの奮闘を描く物語である。題名の「沖で待つ」とは、同期男性が結婚した別の女性への思いを綴った詩の中に出てくる表現で、主人公が気に入ったフレーズではあるが、事故死したこともあって、「三途の川」の沖合で、主人公の今後の職場での奮闘努力の行く末を先に待って見守っているという意味合いもあるように思える。いくつか転勤場所がある、ある程度の大企業のサラリーマンにとって、同期とは社内でも特別な存在である。若いうちは、いっしょにつるんだりコンパをしたり気の置けない仲間である意識が強く、その感覚はお互いが部下を持つ立場になっても、あるいは会社内である程度昇進に差があってもづっと残る感覚である。ライバル的な側面があっても、同期と言うだけでそれとは別に、互いをなぜか信頼し応援する気持は残るものである。そういった感覚を思い出させてくれただけでも本書の価値はあった。
2011.10.16
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著 者=吉村萬壱(よしむら・まんいち)書 名=ハリガネムシ発行所=文藝春秋発行年=2003.8評 価=★★★★☆【送料無料】ハリガネムシ第129回(2003年上半期)芥川賞受賞作品である。内容は、普通の高校教師がソープ嬢と出会い、徐々にアブノーマルな関係に陥り、更には結婚まで意識するようになる物語である。題名のハリガネムシとは、ハバヒロカマキリに寄生する本当に針金の形をした寄生虫で、人間の内部に潜む全く別の人格、特に暴力性や肉欲の存在を象徴しているものと思われる。純文学としてはかなり性的にキワドク、非日常を描いているし、主人公や登場人物一人ひとりの行動や言動についてもはっきり言って共感できるものでもない。また、何か人生に役に立ったり格言めいたもののある訳ではない。が、何かひっかかるものがあるのは確かだ。暴力や性欲は、理性で制御された状態ではなんら恐れるものではない。置かれた周辺の環境・状況やタイミング・偶然といった事柄が、何かのきっかけで噴出するものなだろう。怒りが収まらない、自分を限りなく責める、あるいは何の良心の呵責もなく暴力を弱者に向ける、そういったちょっとしたことの連鎖が繋がっていく時に恐ろしいことが起こるのだろう。
2011.10.16
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著 者=吉田修一(よしだ・しゅういち)書 名=パーク・ライフ発行所=文藝春秋発行年=2002.8評 価=★★★★☆【送料無料】パーク・ライフ第127回(2002年上半期)芥川賞受賞作品である。内容は、東京・日比谷公園で知り合う見知らぬ男女のちょっとした非日常を描いたものである。サラリーマンの都会生活での巡り合いは、公園で始まるというのは核心かもしれない。その点が評価されたのかな。サラリーマンは、毎日が家と職場の往復で、毎日が同じスタイルと作法で暮らしている。最寄駅までの途中には、喫茶店やレストラン、あるいは趣味を楽しむ場などがあるだろう。その点、公園は何かを目的にするという場所ではなく、だたぼんやりとベンチに佇んでいても問題はない。ただ、周りを見渡してちょっと気になる人物がいないかどうかを探すくらいの手間と勇気さえあれば、何か新しいことが始まる可能性がある。そんなことを感じます。
2011.10.16
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著 者=真山仁(まやま・じん)書 名=レッドゾーン 上発行所=講談社発行年=2009.4評 価=★★★★★【送料無料】レッドゾーン(下)内容は、投資ファンド「サムライ・キャピタル」社長の鷲津政彦が、日本有数の自動車メーカーのアカマ自動車を狙う中国国家ファンドとの攻防を描く物語である。最後には、あっけなく主人公が話を円満にまとめ上げることで終わる。フィクションとは思いつつ、単純に、鷲津をかっこいいと思ったりする。(レッドゾーン(上)は、こちら )良くできた秀作でした。M&Aや投融資のことが分からなくても、別に本書が参考にならないとしても、単純に小説の展開は秀逸と思われる。いつかはこういった大きなディールにも関与してみたいものだ。なんてね。
2011.10.01
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著 者=遠藤 徹(えんどう・とおる)書 名=姉飼発行所=角川書店発行年=2003.11評 価=★★★☆☆【送料無料】姉飼ホラー短編小説で内容も不気味、表紙の絵も煽動的かつ不気味で泣きそうになるし気持ち悪くもなる。良いのか悪いのかよく分からず、あまり感想は書けそうもない。ただ、ホラー小説はあまり好きではないことが良く分かった。他に、「キューブ・ガールズ」「ジャングル・ジム」「妹の島」を収録。感想なし。以上。
2011.10.01
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著 者=三浦しをん書 名=まほろ駅前多田便利軒発行所=文藝春秋発行年=2006.3評 価=★★★★☆【送料無料】まほろ駅前多田便利軒東京郊外のまほろ市駅前に便利屋を開業する主人公多田の元に、ふとしたきっかけで居候することになる中学時代の同級生行天(ぎょうてん)との間で起こる事件や顛末を物語る作品である。共にバツいちで、家族との関係も色々と事情も複雑で、便利屋という職業を通じて様々な人間模様も絡みあう楽しい内容だ。秀作です。そういえば、同名の映画が大森立嗣監督・瑛太/松田龍平主演で2011年GWに公開され、見た覚えがある。映画は典型的な日本映画で、断片は思いだすが何も印象に残っていない。ただ、主演のキャスティングも自然で、この雰囲気はひょっとする最も日本映画化に適した原作の内容なのかもしれない。
2011.10.01
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著 者=桐野夏生(きりの・なつお)書 名=東京島 【とうきょうじま】発行所=新潮社発行年=2008.5評 価=★★★★☆【送料無料】東京島太平洋の南国の無人島に流された夫婦と男ばかりの集団が織りなす物語である。いつまでたっても救助は来ず、いつしか月日は流れるが最後には、女は生まれたばかりの娘とともに無人島から脱出に成功する。そういうお話です。こういった荒唐無稽な設定と各登場人物の個性や行動が重要な作品が原作においては見たいとは思わないが、2010年夏には同名で木村多江主演・篠崎誠監督で映画化されている。別にこのような作品に、筆者の言いたい事やテーマがあるようには思えない。が、すべてがすべてと言う訳ではないが、要所要所の状況設定やストーリー展開が単純に面白いのかも知れない。名作とは言わないにしても・・・
2011.10.01
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著 者=磯崎憲一郎(いそざき・きんいちろう) 書 名=終の住処 【ついのすみか】 発行所=新潮社 発行年=2009.7 評 価=★★★★☆【送料無料】終の住処 第141回(2009年上半期)芥川賞受賞作品である。内容は、浮気症だが仕事はできる主人公が、30歳でそれほど好きでもない女性と結婚した後、長く妻から言葉も交わさないほど冷めた結婚生活を続けた後、子供も生まれ家を建て、50歳を過ぎて、ようやくこれから死ぬまで妻と二人でこの家で暮らし続けていくんだと悟る日常を描いた作品である。20年間以上の話を、淡々と111ページでまとめられている。なぜだか分からないけれど、どこか共感する部分がある。これは、主婦や自由業の方には分からないサラリーマン人生特有の感覚だろう。年を経るにつれ、日常の数々の自由な選択肢は限定されどうにもならないと思いつつ、それでも、何か非日常的なことに憧れたりする感覚である。加えて、非日常は行き過ぎても日常を壊すし、これを押しとどめなくてなならないバランスが日常にある感覚である。この感覚の感じがつかめないと、作品の主人公の行動やエピソードは謎だらけだろう。
2011.10.01
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著 者=長嶋 有(ながしま・ゆう)書 名=猛スピードで母は発行所=文藝春秋発行年=2002.1評 価=★★★☆☆ 【送料無料】猛スピードで母は第126回(2001年下半期)芥川賞受賞作品である。内容は、両親が離婚し力強く生きる母子家庭の元で育つ、何事にも消極的な娘の主人公が感じ体験する日常を描いている。幾度かの再婚相手との会話や、祖母の看護、学校でのいじめなどの出来事を、主人公は当事者でないかのようにそれこそ淡々と後から日記をつけるがごとく語られる。一方自由奔放な母は、猛スピードで車を運転し、猛スピードで人生を駆け抜けていることを暗示しているようだ。個人的には、同時収録されている「サイドカーに犬」の方が好きだ。ただ両作品とも、「昭和の薫」を醸し出すことが上手で、ほわっとした捉えどころのない性格の女性の描写がとても上手く描かれており、良い作品なのでしょう。
2011.10.01
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著 者=阿部和重(あべ・かずしげ)書 名=グランド・フィナーレ発行所=講談社発行年=2005.2評 価=★★★★☆【送料無料】グランド・フィナーレ第132回(2004年下半期)芥川賞受賞作品である。内容は、妻子持ちの教育映画監督の主人公が、行きすぎたロリコン趣味であることが知られ、失業・離婚してもなお娘と会うことを願いつつ実家の文房具店を継ぎ、そこで児童劇の演技指導することとなった日常を描いている。タイトルのグランド・フィナーレとは、結末の児童劇の開演に向かう主役児童2人の心境と、ひいては主人公の新たな人生のステージでの立ち直りを暗示しているようだ。内容についての評価は、テーマがテーマなだけに議論の分かれる所。ただ、この筆者の文体は、しつこいようでいてなぜか読みやすく温和な感じがする独特のものだ。はっきり言って、好きな部類に属する。芥川賞受賞作品の作家にしては珍しく、他の作品も読みたくなる雰囲気を醸し出させており、本物かもしれない。
2011.10.01
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