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2026.05.30
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カテゴリ: 内村鑑三
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内村鑑三Q&A 山本泰次郎

「内村鑑三Q&A 山本泰次郎」  その3 内村は3か月の苦闘の末、「イエスを信ずる者の契約」に署名し、翌年6月2日洗礼を受けました

Q 内村らはそのキリスト教攻勢に対してどのような態度をとりましたか。

A 第一期生は改宗早々の信者に見られがちな熱狂的な伝道意欲にもえつつ、上級生の権威を笠に着て、猛然と第二期生に改宗を迫り、「イエスを信ずる者の誓約」に署名せよ、と強要しました。これはクラークが起草して自ら筆頭に署名し、第一期生全員がそれに続いた、いわば改宗決意誓約書です。

上級生の攻勢は実に激烈で、級友たちは続々と陥落してしまいました。その中にあって、内村は最後まで頑強に抵抗しました。

異教邪神を日本に入れることと、それを強要することとに憤激したのです。

当時の農学校はもちろん全寮制で、生徒は皆同じ校内に起臥を共にしていましたので、抵抗する下級生の立場がどんなに辛い、苦しいものであったかは想像に余ります。

内村は苦しさの余り、ある時は丸山の札幌神社の社前の枯草の中へ身を投げて

「神国日本より異教邪神を追い払いたまえ」

と涙と共に、八百万(やおよろず)の神々の助けを祈りました。

しかし衆寡敵せず、3か月の悪戦苦闘の末、彼もついに陥落して、「イエスを信ずる者の誓約」に署名してキリスト信者となることを誓い、翌年6月2日に洗礼を受けました。

キリスト教に接す

私は当時新しい官立のカレッジの新入生だった。そこではニュー・イングランドのキリスト教徒の科学者の努力によって、上級生のクラス全員(当時全校で2つのクラスしかなかった)は既にキリスト教徒に回心していた。

『赤ちゃん新入生』に対する2年生の威丈高な態度は世界中同じである。そして宗教的情熱と伝道の精神が加わったとき、彼らが不憫な新入生に与えた印象は容易に想像される。

彼らは新入生を襲撃し回心させようと試みた。しかし新入生の中に一人、『2年生の突進』、この場合は懇望ではなく宗教的突進に抵抗するだけでなく、彼らを古い信仰に再び回心させようとさえ考えていたものがいた。

しかし、ああ!私の周りの勇者は落ちて敵に降伏されていった。私は『異教徒』、とても憎むべき偶像崇拝者、救い難い木や石の崇拝者として残された。私はそのころ追いつめられた苦しい状況と孤独とをよく覚えている。

ある日の午後、私はその地方の守護神となるように政府に認可されたというその地方の異教神殿〔北海道神宮〕におもむいた。神霊の見えない存在を表わす聖なる鏡からいくらか離れて、私は枯れた雑草の上にひれふし、そしていきなり祈り出した。そのとき以来私がキリスト教の神に捧げたいかなる祈りにも劣らない真剣で純粋な祈りだった。

私は守護神に祈願した。すみやかに私のカレッジのなかの新しい宗教熱を沈静させることを、そして異国の神を拒否することを頑強に拒むような者どもを罰することを、そして私がいま支持している愛国の大義のためわずかな努力をしている私を助けたまわんことを。祈りを終えて私は寄宿舎に帰った。またも新しい信仰を受けよという最も歓迎しない説得をもって責められた。

カレッジの世論は私が反対するにはあまりに強かった。それに対抗することは私の力に及ばなかった。彼らは次に掲げる契約に署名するよう私に強いた。どこか極端な禁酒論者が手に負えない酔っ払いを説得して禁酒誓約に署名させるやり方だった。私はついに屈して署名した。私はしばしば自省した、このような強制に屈しないで踏み止まるべきではなかったのかと。私は当時僅か16歳の少年に過ぎなかった。そして私に「入れ」と強制した少年たちはみな私よりはるかに大きかった。このようにして、ごらんのように、私のキリスト教への第一歩は強制されたものであった、私の意志に反して、また私は告白しなければならないがいくらか私の良心にも反して。私が署名した契約を次のようなものだった。


イエスを信ずる者たちの契約

下段に署名するS.A.カレッジ(札幌農学校)の生徒は、キリストを彼の命令にしたがって告白することと、十字架上の彼の死に我々の罪のためにあがないを為したもうかの救い主に我々の愛と感謝とを示さんがために真の忠誠をもってすべてのキリスト信徒の義務を果すこととを願いつつ、そして彼の栄光の増進と彼が代って死にたもうた人々の救いとのために彼の御国を人々の間に前進せしめんことを熱心に望みつつ、彼の忠実な弟子となることと彼の教えの文字と精神とに厳密に一致して生きることとを。この時よりのち、神に対しまた相互に対して、厳粛に契約する。そして適当なる機会のある場合には我々は試験、洗礼、入会のためにいずれかの福音主義教会に出頭することを約する。

われわれは信ずる、聖書は言葉をもってせる神より人への唯一の直接の啓示、光栄ある未来の生命への唯一の完全無謬な指導者であることを。

われわれは信ずる、われわれの憐み深い父、われわれの公正にして至上なる支配者にいましたまい、そしてわれわれの最後の審判者にいましたもうべき、ひとりの永遠の神を。

われわれは信ずる、すべて心から悔いそして神の子を信ずる信仰によっておのが罪の赦しを得る者は、この生涯を通じて聖霊によって恵みゆたかに導かれ、そして天の父の注意深い摂理に護られ、かくしてついには贖われた聖なる者の享受するもの追及するものにあずかる備えをなさしめられるべきことを。しかし福音の招きを受けることを拒むすべての者はおのが罪の中に滅び、主の御前から永久に退けられなければならないことを。

以下の誡めは、われわれはわれわれの地上の生涯のあらゆる転変を通じてこれを記憶しこれに服従することを約する。

汝、心を尽くし精神を尽くし力を尽くし思いを尽くして主なる汝の神を愛すべし。またおのれのごとく汝の隣人を愛すべし。
汝、主なるなんじの神の御名をみだりに用うべからず。
安息日を覚えてこれを聖(きよ)く守り、すべて不必要の労働を避け、これをできるかぎり聖書の研究となんじ自身及び他人の聖なる生活への準備のために献(ささ)ぐべし。
汝、汝の両親と支配者に服従し、これを敬うべし。
汝、殺人、姦婬あるいは他の不潔、窃盗、あるいは欺瞞を犯すべからず。
汝、汝の隣人に何の悪をも為すべからず。
断えず祈れ。

相互の援助と奨励のためわれわれはここに『イエスを信ずる者』の名のもとに一団体を構成する。そしてわれわれは聖書あるいは他の宗教的書籍文書の閲読のため、会談のため、祈祷会のため、われわれが共にする間、毎週一回以上集会に出席することを固く約する。そしてわれわれは衷心より願う、聖霊の我々の心における明白なる臨在が我々の愛を活気づけ、われわれの信仰を強め、われわれを真理の救いの知識に導きいたらんことを。 

S(札幌)にて 1877年3月5日。

全文は英語で前述したアメリカ人クリスチャン科学者〔クラーク博士〕によって作成された、彼自身がニュー・イングランドのカレッジのうち最も福音的なカレッジ〔Amherst College〕の一つの卒業生であり、かつてはその教授だった。彼自身の署名に、彼の14人の生徒の署名が続いていた。そして私の級友はその数を30以上に膨張させていた。私の名前は最後か一つ二つかにあったように思う。

<札幌農学校二期生の青春> 4 

クラーク先生のピューリタニズムとは何か-純潔と努力-

「禁酒禁煙の誓約」と「イエスを信ずる者の契約」はクラークの手により成文化されている。

第一期生は全員が署名したが、クラーク先生帰国後、一期生3人が脱退する。

それは飲酒事件から起こった。

佐藤第4信抜粋「初めからの『信ずる者たち』の一人は強い誘惑を心に感じ、・・・私たちの誓約を破り、 酒を飲んだ

この一件の後、キリスト教に対する迫害が始まり・・・集会において祈りが禁じられ・・・討論を重ねたあげく、

ついに初めのメンバーのうちの3名、内田・佐藤・安田がもはやキリスト教を信じられないと宣言し、あの契約から彼らの名前を取り除いてくれと願い出たのです」 

「クラーク先生詳伝」逢坂信忢の「契約」評釈(p256-)によると、

冒頭に我らの罪を救わんがために十字架上に贖罪の死を遂げた救い主イエス・キリストに対する信仰が述べられている。

キリスト者は、天の神を信ずる者であるが、実際はキリストを信ずる、

そしてそのキリストとはわが罪の身代わりとして死にたもうた神の子イエスキリストを信じる。

クラークは契約で最初に述べた。

次に「適当な機会が来る時に受洗して福音主義の教会に加わる」ことを約束する。

この受洗は「ルビコン」をわたることであった。(略)

 「契約」は、モーゼの十戒をベースとするが、異なるところがある。

十戒5に「汝の父母を敬え」とあるが、「父母と支配者(rulers)とに従い、かつこれを敬うべし」とする。

札幌農学校での聖書による教育が黒田長官の黙認にうちに実行できたことを反映しているのであろう。

十戒6は「殺すなかれ」、7は「汝姦淫すべからず」、8は「盗むなかれ」だが、

契約では「凶殺、姦淫及び他の不潔なる行為、窃盗もしくは欺瞞をすることなかれ」とする。

評釈では「不潔なる行為」とは「自涜」であろうとする。

クラーク先生は入校時の挨拶や佐藤らへの手紙でも繰返し性欲の抑制を説かれた。

そして現実に第一期生の契約脱退者と第二期生のうち非署名者数人が丸山の売春所に入り浸り、挙句の果て遊ぶ金欲しさに学校の金を盗み、退学処分となる。

クラーク先生が懸念された酒と性欲を自制できない者は札幌農学校から堕ちていった。

また、契約の特色の一つは

「安息日を覚えてこれを聖日とせよ。この日にはすべて緊要ならざる業務を休み、勉めて聖書を研究し、自他ともに聖き生活をなさんことをつとむべし」である。

十戒にも「4安息日をおぼえてこれを潔くすべし」とあるが、具体的に日曜日の過し方を述べる。

イエスを信ずる者は厳格に守ろうとし、クラーク先生も安息日を守るとはとても大切だと繰返し手紙で教えた。

非キリスト者の論難の一つは日曜日に勉強してはいけないということであり、

『あんなに日曜日を守り、勉強もせんでいるが必ず我輩らより、成績が悪いにきまっている』(p265)と嘲笑した。

ところが、成績が発表されるや、安息日を守る7兄弟が常にトップにあった。・・・

イエスを信ずるメンバーは平日に集中して勉強し、日曜日は信仰の養成と体力の回復と友愛の育みにあてた。

その継続的習慣は、「栄光」となって表れ、純潔にして常に努力する性格となり、それは彼らの信条となった。






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最終更新日  2026.05.30 11:00:03


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