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2023年02月28日
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テーマ: ウクライナ(157)
カテゴリ: 航空&ミリタリー
 ウクライナのゼレンスキー大統領は、戦車ではドイツ製の「レオパルト2」が欲しいと表明した。
 「レオパルト2」が、西側陣営のベストセラー戦車となった理由はまず「信頼性」だという。
 信頼のブランドであるランドクルーザーを作っているトヨタ、信頼性の高い建設機械を作っているコマツ、日立建機など、日本のメーカーが市販戦車を世界に売り出したらベストセラーになれそうな気がしてきた。壊れにくく、壊れても部品の供給力は世界でも定評がある。ライフサイクルコストでドイツにまさる戦車を製品化できるであろう。
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 兵器の価値は、交戦実績でしか確定できない。ロシアによるウクライナ侵略戦争の前、戦車は時代遅れの兵器の賜物だったが、ウクライナが失地を回復するにあたり、その価値、制圧力が再評価された。ウクライナ侵略戦争の戦績により、ドローンの軍事的有用性の評価が急激に高まった。軍事理論は交戦実績によって簡単に変わる。
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兵器で最も重視される要素とは? 
2023年2月13日 乗りものニュース
 ドイツ製戦車「レオパルト2」は、いわゆる西側陣営のベストセラー戦車です。なぜこれほど広く使われるようになったのか、その理由を紐解くことで、およそ「兵器」というものに最も求められているものについて見ていきます。
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クルマも戦車も買うならドイツ製…となるワケ
 アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア、イスラエル、スウェーデン、スイス、日本。この中で日本車以外の外車を買うとしたら、どの国のものを選択するでしょう。
 日本国内で販売された輸入車の、2022年1月から12月における累計台数は、メルセデスベンツ、フォルクスワーゲン、BMW、アウディのドイツ車で全体の52%を占めています。ドイツ車が選ばれるのは「故障しにくそう」「信頼性が高そう」という、これまでに定着している工業力のブランドイメージによるところも大きいのではないかと思われます。
 そのようなブランドイメージができたのは、ドイツ車メーカーのセールスが上手いというだけではなく、実際に品質がよく、アフターケアもしっかりしているという実績から生まれた、 メーカーに対する信頼が築かれてきたから でしょう。あるスーパーカーが最高時速300kmと謳われても、故障が多ければ需要は限られます。
 冒頭に上げた10か国は戦車を国産している、またはしていた国です。そのほかの戦車を保有している国は、これらの国のどこかから戦車そのものや部品、技術を輸入しています。国が戦車を輸入する際は、民間のクルマとは違い国防という国家の命運に直接、関わりますので、選択は慎重になります。 カタログスペックとともに、実績と信頼が優先する のは当然です。
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 そうした意味で、昨今話題になっているドイツの「レオパルト2」は、実績と信頼を積み重ね売れ続けてきたベストセラー戦車といえるでしょう。とはいえもちろん、最初から実績と信頼があったわけではありません。
 「レオパルト2」がデビューした1979(昭和54)年は、東西冷戦の真っただなかという時期です。当時の西ドイツは、ソ連を中心とした東側諸国によるワルシャワ条約機構軍の戦車部隊に対抗する最前線だったこともあり、「レオパルト2」は大量に生産されます。
 ところが1991(平成3)年に冷戦が終結すると、これが余剰になります。戦車は持っているだけでもコストになりますので、 ドイツは中古市場へ安価に放出しました。ドイツ車に代表されるような「工業力のブランドと性能」をひっさげた戦車が安価に手に入る、というコスパの良さから、「レオパルト2」の顧客は増え始めます。
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「レオパルト2」は西側最大のベストセラー戦車へ かたや東側陣営では…?
 とはいえ「レオパルト2」は、ドイツのブランド力だけで売れたわけではありません。
 クルマのディーラーが謳うセールス文句そのままのような、堅実かつ発展性のあるその設計は、ユーザー独自の改修を施す余地が大きく、ドイツ政府やメーカーはそうしたニーズに応じ、仕様変更にも対応する柔軟なサポート態勢を整えるという品質向上にも努力しました。
 こうしてドイツおよび「レオパルト2」は、 ユーザーが増えればさらにアフターフォローも充実するという、持続可能なビジネスモデルの構築に成功した のです。ウクライナが「レオパルト2」を熱望した大きな理由のひとつは、この充実したアフターフォローを期待してのことです。
 ここでひとつ 注意が必要なのは、戦車をはじめ兵器ビジネスは、クルマのビジネスとは違って基本、国家間取引で、製品力だけでなく外交関係の影響を強く受ける、ということ です。
「レオパルト2」と対決するかもしれないロシアのT-72戦車は、これまで41か国で使われ生産台数も2万5000両以上という、「レオパルト2」をしのぐベストセラーです。しかし、日本でソ連/ロシア製のクルマをほとんど見かけることがないように、かの国に「工業力のブランド」は、宇宙技術など以外にあまり感じられません。
  ―  引用終り  ―
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 ソ連・ロシアのT-72もソ連の時代の社会主義圏、一人当たりGDPの低い国々の救世主的な戦車で量産され、幅広い国々に配備された。だが、戦力としての強弱以前に機械的な信頼性が低いようだ。またソ連・ロシア製ジェット・エンジンと同様に、部品(ときにエンジン・ユニット全体)の交換サイクルが短いこともしられている。値段は安いが、維持するのに手間がかかるというわけだ。
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 大日本帝国陸海軍の軍用機・軍用車両も、機械的な信頼性に欠けていた。装備していた機銃も、ドイツ製の機銃と比べ信頼性が低かったという。
 エンジンはオイル漏れが当然で、電気コード(電纜)の質の悪さ、磁石(マグネトー)の性能の低さからエンジンの失火が多かった。
 エンジンがうまく回って戦闘機が飛び上がっても、材質不良、精度不良などにより、機銃の弾詰まりはよくあったことと聞く。
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 ウクライナに戦車を供与したポーランドは、韓国の戦車1000両の購入を決めた。韓国K-2戦車が安価なことも理由なのだろうが、ドイツの戦車の供給力が低く、ロシアの脅威が日々増す中、待っていられなかったのだろう。何もないよりは「まし」ということだ。
 ウクライナに追加供与される「レオパルト1」の価値もこの考え方に沿ったものだろう。
 レオパルト・シリーズは、操作教育、弾薬・補修部品の供給についても安心感がある。
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60年前の戦車がまだまだ“使える”ワケ
2023.02.11 白石 光(戦史研究家)
 ドイツ政府はレオパルト2戦車に続いて、レオパルト1戦車についてもウクライナへ供与すると明言しました。レオパルト1は元設計が1960年ごろの古い戦車ですが、ロシア戦車に対して有効なのでしょうか。
60年前に生産始まったオールドタイマー
 ドイツ政府は、先に表明したウクライナへの「レオパルト2」の供与に加えて2023年2月7日、同車の1世代前の主力戦車(MBT)だった「レオパルト1」の供与も決定。ウクライナに対して178両送ることを明言しました。
 ただ、レオパルト1はいまから60年ほど前の1964年に生産が開始された古い戦車です。ウクライナ紛争ではロシアが予備保管していたT-62戦車を前線に投入し、話題となりましたが、世代的にはそれに匹敵すると言えるでしょう。そんな古い戦車が、現在のロシア戦車にはたして対抗できるのでしょうか。
  …  (略)  …
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ひと昔前のスタンダード戦車 
運用国の多さが強みに?
 とはいえ、ドイツ軍が最後に配備したレオパルト1A5などは、レオパルト2の技術をフィードバックする形で近代化改修が施され、120mm砲の搭載も可能なまでに射撃管制装置などが高性能化されていました。さすがに主砲の換装はコストがかかるため、未実施で終わりましたが、そのような優れた射撃管制装置で制御された105mm砲は高い命中精度を誇ります。
 加えて105mm砲も、120mm砲と比べたら威力が低いだけで、その徹甲弾はロシアの現用MBTを十分撃破できるだけの威力があり、ロシア戦車において数的主力を占めるT-72シリーズよりも、総合性能の面では明らかに優秀だといえるでしょう。
 おまけに、実用性が検証済みのいわゆる「枯れた技術」が多用されており、電子制御もレオパルト2ほど多くないので、先んじて供与が決まったイギリス製「チャレンジャー2」やアメリカ製M1「エイブラムス」などと比べて、運用上も整備上もウクライナ軍にとっては使いやすいMBTになるのではないでしょうか。
  ―  引用終り  ―
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 ガスタービン・エンジンのメインテナンスが必要な米国製M-1エイブラムスは、戦車の整備兵にとって悪夢だろう。
 ガスタービン・エンジンは、内燃エンジンより高温に長時間接し、高回転であることなどから、精緻な部品が多く、頻繁なメンテナンスが必要となる。得意ではない回転数の大きな変化を頻繁に行うことから、燃費も悪い。燃料自体、ガソリンでもディーゼリンでもないM-1専用のはずで、その供給体制も必要となる。
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最終更新日  2023年02月28日 06時00分09秒コメント(0) | コメントを書く
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